◎ Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) Primotar E 50mm/f3.5 V silver(M42)
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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツのMeyer-Optik Görlitz製標準レンズ『Primotar E 50mm/f3.5 V (M42)』です。
前回このモデルをオーバーホール済でヤフオク! に出品したのはちょうど一年前でした。Meyer-Optik Görlitz製オールドレンズでも、日本ではあまり人気が無いマイナーなモデルなので、一年に一度しか出品していません(笑)
今回はちょっと趣向を変えて絞り羽根の開閉をイジってみました・・。
このモデルは開放f値「f3.5」ですが、オールドレンズ単体状態ならばf値「f3.5」に絞り環をセットしている時、自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) 設定が自動 (A) の場合は完全開放しています。
ところが、マウント面の「絞り連動ピン」が押し込まれた途端、絞り羽根が顔出しして少し閉じます (左写真)。ご覧のとおり絞り羽根が出てきて正六角形に閉じていますが、これが開放時のf値「f3.5」設定であり、内部の構造上適正ですし、もちろん設計上そのように造られています (手動設定時も同じ状態になる)。
つまりフィルムカメラに装着してもデジカメ一眼/ミラーレス一眼などにマウントアダプタ経由装着しても、このモデルは開放f値「f3.5」の時、絞り羽根は上の写真のように撮影時に必ず出てきます。
今回のオーバーホールでは、これを可能な限り完全開放に近い状態まで調整しました (右写真)。右の写真は、オーバーホール後の今回出品個体でマウントアダプタを装着したまま絞り環をf値「f3.5」にセットした時の写真です。マウントアダプタ装着ですからマウント面の絞り連動ピンは常時押し込まれたままですが、A/Mスイッチの設定に拘わらずご覧のとおり開放を維持しています。
実際に絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) を検査具で調べてみると、この時のf値は「f3.1」くらいなので、僅かに明るくなったかなと言う程度です。だとしても、世界中何処を探しても完全開放を維持した個体は・・無いかも知れませんョ!(笑)
(ホンネを言うと本当はf2.9くらいを狙っていたんですが、ウ〜ン・・)
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今回この完全開放にちょっと拘ってみた理由が、実は以下の写真です。
上の写真はFlickriverでこのモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「シャボン玉ボケ・リングボケ・円形ボケ・発色性」で、下段左端に移って「油絵風 (背景)・水彩画風 (背景)・被写界深度・ゴースト」です。
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Meyer-Optik Görlitz製オールドレンズで一躍有名になった「シャボン玉ボケ」は、この当時の上位格モデル「Trioplanシリーズ」で人気を博したワケですが、光学系は3群3枚の簡素なトリプレット型でした。
(左はTrioplanの構成図です)
いわゆる3枚玉と呼ばれているトリプレット型は、当時発展系として開発され定着した3群4枚のテッサー型に主役の座を譲るまで、標準レンズ域の画角に於いて鋭いピント面の構成を狙って数多くの光学メーカーが採用していました。
だとすれば、当時の3枚玉トリプレット型オールドレンズならば、何処の会社の製品でも優雅で繊細なシャボン玉ボケがたッくさん表出していてもおかしくありません。ところが、こんなに繊細で真円に近いキレイなシャボン玉ボケを表出できるのはMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズのまるで特権のような話になっています。
つまり、シャボン玉ボケで大騒ぎしているのはあくまでも現在のデジカメ一眼/ミラーレス一眼などの性能が向上し、オールドレンズの特性を余すことなく引き出せるようになったからであり、当時のMeyer-Optik Görlitzでは単なる「収差」の一つとして捉えていたのではないかと推測しています。当方の考えでは、何か別の目的や思想を光学設計で目差した結果、その「副産物」としてシャボン玉ボケが表出されているのではないかと考えています。それゆえ、他社光学メーカーの当時のオールドレンズではこれほどキレイなシャボン玉ボケが表出しない (つまりMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの特権のような) 話なのではないかと思いますね・・。
その考え方に則ると、実は今回のPrimotarの光学系が異なることでも辻褄が合います。当モデルは3群4枚のテッサー型光学系を採用していますが、結果としてより収差を改善したピント面の鋭さだけを3枚玉トリプレット型からさらに向上させ、しかしボケ味は可能な限り従前の設計方針を踏襲させているように見えます。
前出のピックアップした実写を見ると、キレイなシャボン玉ボケが表出しますが、上段左端から3枚目の「何だかよく分からない円形ボケ」のような写真も撮れてしまいます。これは背景のボケ味にエッジが際立ってくる特徴なのと差し込んでいる光とが影響し合って、何とも奇々怪々な写真になっています(笑)
しかし、このモデルで特に言いたいのは「ピンク色の美しさ」です。上段右端のピンクの美しいこと。さらには被写体の材質感や素材感をも写し込む質感表現能力の高さが、この花弁の肉厚感からも窺えます。意外とこのモデルで撮った人物写真の肌色は、最近の画像編集ソフトやカメラ内処理のフィルタなどのような「美肌効果」などせずとも、女性にはありがたい写真が撮れそうです(笑)
下段左端の2枚は、まさに背景のボケ方に癖があるのが分かる写真ですが、むしろそれを逆手に利用して油絵風な写真にしてしまうのも手です。2枚目の水彩画風にまでは至りきらない (つまりトロトロになり切らない) 背景のボケ味が少々消化不良気味です。被写界深度も神経質になるほど狭くなく盛大なゴーストは、これはこれで楽しい要素のひとつにもなり得ます。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。当時の廉価版なモデルなので内部の構成パーツ点数は多くありません。しかし今回のオーバーホールでも苦労しましたが、様々に出回っているマウントアダプタの「ピン押し底面」の深さに対応させようとすると、実は厄介なモデルの一つです。
一応、マウント面の絞り連動ピンが必要以上に押し込まれた時の対処が設計上施されているのですが、そうは言っても当時のフィルムカメラ相手の話です。フィルムカメラ側では装着したオールドレンズの絞り連動ピンを押し込む「押し込み板」にはクッション性があるので、必要以上に押し込まないよう配慮されているからです。
つまり、現在のデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着した時の「絞り連動ピンが常時押し込まれた状態」には対応した設計になっていません (当たり前ですが)。
しかし、意外とこの点について正しく認識できている方が少ないのも事実で、M42マウントの規格品ならば何処のマウントアダプタに装着しても同じように使えると「信じ込んでいる」方が居ます。特に「日本製マウントアダプタ信者」からのクレームはなかなかハードです(笑)
当方が整備したオールドレンズでトラブルが起きると、信者の方は最終的に生産元に問合せします。有名処の日本製マウントアダプタはおそらく1社のみですから、電話すると「それは整備した内容が悪い」と言われ(笑)、M42マウントの規格で設計して造っているから問題は無いと言う答えに至極納得して当方に問合せしてきます。仰ることは逐一ご尤もであり、何ら反論できません(笑) 仕方なく無償で再整備するワケですね(笑)
毎年数件このようなハメに陥るのですが、いつまで経っても「日本製マウントアダプタ信者」が怖いです(笑)
当方はもう既に把握してますが、試しに旧西ドイツ製オールドレンズから旧東ドイツ製、はたまたロシアンレンズまでM42マウントのオールドレンズを取っ替え引っ替え装着してみれば分かります。或いは、シルバー鏡胴の時代のオールドレンズから黒色鏡胴までを調べても良いでしょう。全く問題無く100%絞り羽根が開閉するのか否か・・?
すると今度は「どんなオールドレンズでも必ず過去にメンテナンスされているのだから一概に正常に組み立てられているとは限らない」となります(笑) はい、ご尤もです。結局、泣き寝入りするのは整備した当方と言うストーリーなのですね(笑)
愚痴りましたが、今回の出品個体はそれを考慮して、当方所有の3つのM42マウントアダプタ (日本製・中国製・台湾製) を使って絞り羽根開閉が正常になるよう調整を施しました (つまりは絞り連動ピンを押し込むピン押し底面の深さの相違)。そうは言っても、市場に流通しているすべてのマウントアダプタをチェックしたワケではないので、もしも不具合が発生した時は「アンタの整備が悪い」と言えば、無償で再整備します。販売店に問い合わせてもそう言われたというストーリーで問題ありません (但し到着後3日以内の申告)。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルではヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。
一見するとフツ〜の鏡筒なのですが、実は上の写真は「後玉側」から撮影しています (前玉側は反対側です)。このモデルは光学系の外径サイズが絞りユニットの大きさよりも遙かに小さく造られています。これポイントです。
↑絞りユニットや制御系パーツを組み付けて半完成状態で撮ったのが上の写真です (このままひっくり返すと絞り羽根が外れてバラける)。
実は、ここで現在ヤフオク! でこのモデルを整備済で出品していらっしゃるプロの方の記載内容が思い浮かびます。絞りユニット/絞り羽根が「非常に小さい絞り機構で破損の危険性がありましたので分解はせず溶剤で丸洗い清掃」とのこと・・ウン???
絞り羽根・・小さくないんだけど(笑) ッて言うか、絞りユニット決して小さくない。むしろ前玉のほうが小っちゃい。何を言ってるのか分からない。しかも、どこが壊れるのかしら? 清掃くらいで壊れるところ無いんだけど?! もしかして解体する自信無いの?(笑)
ウソやごまかしは頂けませんねぇ〜(笑) 当方の話がウソだと思うなら、試しにCarl Zeiss Jena製テッサーやゼブラ柄のFlektogon 35mm/f2.8 zebraなどの絞り羽根の大きさを比較すれば一目瞭然です。ハッキリ言って、こちらのPrimotarのほうが遙かにデカイです(笑)
その方はFlektogonまで月に10本もオーバーホール済で出品していらっしゃるので、少なくとも絞り羽根の大きさの相違はご存知なハズ・・と思うのですが。しかし、絞りユニットを丸ごと溶剤漬けと言うのは、ウ〜ン・・(笑)
光学硝子レンズまで浸すのが好きな人らしいので (自分で言っている)(笑) どうなのかしら?
そのクセ、オールドレンズの有効活用に社会的意義を感じていると自らを絶賛!(笑) 当方などは、単に皆様に喜んで頂きたいだけでやっているので理念も何も無いのですが、さすがプロは違います!(笑)
ッて言うか、この人、結局は同業者になるのに試しに当方にオーバーホール/修理を依頼して来たので大キライです!
よく平気でそういうことできますョ・・ (気がつかなかった当方が悪いのですが)。
また愚痴りました・・スミマセン。
↑光学系後群 (第3群:つまり要は後玉) を格納する格納環 (メクラ環) を組み付けます。前出の絞り羽根丸出しの状態を被せて固定しているのは、この「メクラ環」であり、同時に光学系後群の格納筒を兼ねています。これでようやく絞り羽根がバラけなくなりました。
↑この状態で鏡筒を立てて撮影しましたが、写真上側が後玉側方向になります。内部にセットされる「開閉操作カム」が何だか「砲台」のような形に見えますが(笑)、絞りユニットから飛び出ている「開閉アーム」を砲身の先っぽでブルー矢印のように動かして絞り羽根を開閉する仕組みです (開閉操作カムはグリーンの矢印の位置にセットされます)。つまり、マウント面の絞り連動ピンが押し込まれると、同時にこの「砲台 (開閉操作カム)」が勢いよく首振りをするワケですね(笑)
↑距離環 (ヘリコイド:メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
↑この状態でひっくり返して撮影しました。前出の「開閉アーム」が絞りユニットから飛び出ています。グリーンの矢印の場所に「砲台 (開閉操作カム)」がセットされます。
↑絞り環操作時にクリック感を実現する「絞り値キー」と言う「穴」が備わっている絞り環用制限環を組み付けます。絞り環を回した時のクリック感と共に絞り環が回る範囲を制限している役目の環 (リング/輪っか) です。
↑鋼球ボール+コイルばねをセットしてから絞り環を組み付けます。
↑Meyer-Optik Görlitz製オールドレンズに多用されている「尖頭筒」と呼んでいる「直進キー」を両サイドに組み付けます。この中にコイルばねが入り、スプリングのチカラの強さで直進キーである「尖頭筒」を押し込みながら鏡筒を繰り出したり収納したりする仕組みです。
「直進キー」は距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目のパーツですが、トルクムラが多かったりする個体の場合には、このコイルばねを故意に外してトルクムラを解消させる「常套手段」が整備時に罷り通っています。要注意なのですが、そうは言っても外見から判断することができませんし、万一コイルばねが欠品していても代用のスプリングがありません (非常に硬いコイルばねなので)。つまりトルクムラが出ている個体の場合には改善が難しいのがMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの宿命です。
↑マウント部を被せた後に光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (それぞれ解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑ちょっと拘って絞り連動ピン押し込み時に完全開放するよう調整を施した個体です。従って最小絞り値側がf値「f11過ぎ (f16手前)」止まりですのでご留意下さいませ。逆に開放側は「f3.1 (限りなくf3.0に近い)」くらいまで明るくなっています。
初期の頃の個体なのでレンズ銘板にある「V」刻印が誇らしげです。後の生産品では省かれてしまった刻印ですが、無いよりはあったほうが何だか所有欲が満たされます(笑)
↑光学系内の透明度は高いのですが、中玉 (第2群) しか存在しないのでフツ〜程度です。第1群 (つまり前玉) の外周に一部コーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリがLED光照射では視認できます (順光目視ではまず見えません)。また、光学系内には数点の極微細な「気泡」も点在していますが、この当時は光学硝子材が規定の高温に到達している「証」として正常品扱いしそのまま出荷していたようです。いずれも写真には一切影響がありません。
なお、上の写真はマウント面の絞り連動ピンが一切押し込まれていないオールドレンズ単体状態の撮影です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群 (と言っても後玉だけ) も大変キレイな状態を維持しています。後玉は貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) ですが、バルサム切れもコーティング層の経年劣化も進行していません。カビ除去痕が複数残っているのでLED光照射では浮かび上がります。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:10点、目立つ点キズ:6点
後群内:15点、目立つ点キズ:8点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:無し
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
・光学系内の透明度が非常に高い個体です。
・第1群(前玉)外周の一部にコーティング層経年劣化に伴う極僅かな非常に薄いクモリがLED光照射で視認できますが写真には一切影響しません。
・光学系内は微細な塵や埃に見える複数の「非常に微細な気泡」がありますが、当時は正常品としてそのまま出荷されていました。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。
↑開放f値側を調整しているので、必然的に最小絞り値側が開きます。オーバーホール後の絞り羽根開閉幅 (開口部/入射光量) の検査では、ほぼf値「f11」を過ぎた辺りで「f16」手前と言った感じです。
もしも、オリジナルな開放時に絞り羽根が顔出ししている状態に戻すのであれば、ご落札後の一番最初の取引ナビメッセージにて、その旨お伝え下さいませ。「別途再作業料:2,000円」を申し受けますが再調整して発送致します (数日遅延します)。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの、当方による「光沢研磨」をクロームメッキの筐体外装に施したので、当時のような眩い艶めかしい光彩を放っています。触ると「指紋」の痕が気になるほどです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通」で滑らかに感じに感じトルクは全域に渡り<B>「完璧に均一」</B>です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・距離環を回している時、微かに擦れる音や感触を感じる箇所がありますが内部パーツが擦れている音/感触なので改善できません(クレーム対象としません)。
・フィルター枠が自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ)を兼ねていますが、手動絞り(M)側にセットする/切り替える時に僅かな引っ掛かりを感じます。内部パーツの影響ですが将来的に問題を生じることはないのでそのまま少々強めに操作して切り替えてください。自動側は「●」で手動側が「●」です。
【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
↑今回の個体は距離環を回す際のトルクムラが全く無いので、非常に軽い操作性になり扱い易いですね。スイッチ操作だけは手動絞り (M) の「●」セット時はちょっとキツイですが、チカラを入れて操作して頂いて全く構いません。将来的にそれで不具合が起きることも一切ありません。内部の切替孔の影響なので、完全解体して組み上げているからこその把握です。
距離環や絞り環のローレット (滑り止め) ジャギー部分も、可能な限りブラッシングしたので経年の汚れや手垢などはほぼ排除できています。現物をご覧頂ければ明白ですが、相当キレイに光り輝いています!(笑) 当方の「光沢研磨」ではあまりやらないのですが、今回は筐体外装の「微細なキズ消し」作業も実施したので、ほとんどキズと言うキズが残っていません (もちろんサビ痕もある程度除去しています/完全除去はできません)。
もしかしたら、当方の見込み違いかも知れませんが、完全開放に拘った『Primotar E 50mm/f3.5 V (M42)』は、如何でしょうか?
↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。
↑絞り環を回して設定絞り値「f4」にセットして撮影しています。
↑上の写真 (2枚) は、当初バラす前の実写チェック時に撮影したオリジナルの状態での「f11 (1枚目)」と「f16 (2枚目)」です。特に2枚目のf値「f16」で回折現象から極僅かですがコントラスト低下を招いているのが分かりますね。その意味では、このモデルのちょうど「美味しいところ」である「f11」までで絞り羽根の開閉をストップさせてあるので、その分開放側が実測では「f3.1」と言うワケです。
さらに明るく仕上がったPrimotar片手に、間もなく訪れる春を是非ともお楽しみ下さいませ!