実例:中国製マウントアダプタによる不具合
今度は「PK」マウントのマウントアダプタに纏わる不具合の実例です。対象のオールドレンズは「ROCOH XR RIKENON 50mm/f2 前期型」と言う「和製ズミクロン」の異名を持つ優秀な描写特性のレンズです。
このレンズをマウントアダプタに装着してSONYのα7に装着すると「無限遠が出ない (合焦しない)」と言う不具合で返送されてきました。当初の当方オーバーホールではオーバーインフに設定し、距離環の「無限遠位置」より僅かに手前で無限遠にて合焦するように調整を施しました。その状態で出品しご落札頂いたオールドレンズです。距離環の駆動も滑らかでピント合わせも大変楽にできます・・整備したレンズはなかなか可愛いモノです(笑)
さっそく同梱でお送り頂いたご落札者様所有のマウントアダプタにて調べてみたところ、微妙に無限遠が出ていない描写でした。あともう少しと言う感じです。そうなると結論は簡単で、このレンズに装備されている「無限遠位置調整機能」で正しく合わせてあげれば良いだけです。
しかし、そもそも当初の整備ではそのような状況 (マウントアダプタとの相性) を想定してオーバーインフの設定に調整したのに、どうして微妙に合っていないのか??? ・・と言うことになります。
調べてみました。
上の写真はレンズと一緒に同梱してお送り頂いたご落札者様所有のEマウント用のマウントアダプタです。中国製になりますね・・。このマウントアダプタは横に用意されている「リリースボタン (レンズを固定するロックボタン)」が僅かに変形しており、ロック解除が大変やりずらしいです・・。
マウント面とカメラボディ側の面との実寸は「27.5mm」でした。次の写真ももう一つご所有の同じ「PK-NEX」マウントアダプタです。
こちらも中国製になります。同じ実寸で「27.5mm」でした。こちらのマウントアダプタはレンズ側のマウント金具が完全に締め付けされておらずガタガタしていましたので、ちゃんと締め付けて固定しました・・これで問題なくご使用頂けます(笑) 中国製ですとこのようなコトも時々ありますね・・。
さて、次の写真は当方所有の「KIPON PK-NEX」マウントアダプタでやはり中国製です。
こちらの実寸はちょうど「27.00mm」でした。前述の2つのマウントアダプタとの実寸による「差」は・・僅か「0.5mm」です。
これが根本原因でした。今回は「0.5mmの攻防」でした・・!(笑) 当方では有名処の日本製マウントアダプタも所有していますが、さすがにひとつひとつが高価なので、いくつも購入していられません。仕方なくKIPON製マウントアダプタなどを購入しています。KIPONも中国製になりますが日本製のNC旋盤で高価なモデルを何台も工場に導入しており、製品の開発速度が早く同時に精度も中国製にしては徐々にですが向上してきています。製品の開発速度が早いと言うコトがポイントで、改善や改良も自ずと早くなりますから・・。KIPONはその意味では真面目に頑張っている会社の部類ではないでしょうか?!
不具合で戻ってきたレンズは、再度無限遠位置の調整を施し無事に完了しました。しかし・・再調整料はやはりこのご落札価格ですともう1本入手できてしまう価格なので・・頂けませんねぇ〜(泣) そのお金でもう1本ゲットすればオールドレンズライフもさらに楽しいと言うものです! 本日もタダ働きでした・・(笑)