◎ 色ズレ・フリンジの懸念が憑きもののマウント改造

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  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

1年の中で時々、直接当方とは全く関係が無い『駆け込み寺』の如く質問/お問い合わせを頂く事があります。今回もそのような内容の問い合わせが着信したので、解説していきます。

着信した内容を読むと、どうやらオークションで以前に「改造オールドレンズ」を手に入れたようですが、撮影に使っていて最近になり「ピント面に紫色の色が輪郭に纏わり付く」ことに気付き、撮影場所を変更したりフードを取り付けたりMCフィルターを買い替えたりといろいろ試されたようですが、結果的にほぼ全てのシ〜ンでピント面の周りに「パープルフリンジが纏わり付く」と結論されたようです。

それはそれで「きっとそう言う描写性のオールドレンズなのだろう・・」と好意的に捉えていたようです。ところがネット上のサイトで「光軸ズレ」のコメントを見つけてしまい、それまでの「そのオールドレンズ固有の写り」との認識がヒックリ返り、且つ疑念が湧き始めて落ち着けないとのお話しでした(泣)

・・ご心痛お察し致します(涙)

そのオールドレンズが気に入っているモデルとなればなおさらのこと。しかも改造オールドレンズとしても「ちゃんと整備してある個体」で十分に使い易い操作性に仕上がっており、特に手に入れた際の金額が高かった分も影響して「総てが所有欲を充たす充足感へと流れていた」のが・・今は可愛そうな事に「流れの途中でグルグルと渦を巻いている状況」なのではないかと、内容を知った当方まで憂鬱な気分です(涙)

・・人情として「所有欲を充たす充足感」に到達するプロセスとは?

そんな事を考えさせられた『駆け込み寺』の内容でした・・(涙)

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左はByteDanceが運営する動画に特化したSNSですが (TokTok登録商標商標)、ちょうどこのロゴが説明するのに分かり易いです。パッと見で3Dでリアルに飛び出るように見える「両眼立体視」効果を狙ったようなロゴですが、両眼視差を活用した立体認識「ステレオグラム」とも言います。

冒頭で問合せ内容にあった「ピント面のエッジに纏わり付くパープル色の色ズレ」がちょうどこのような印象で見えます。左ロゴの文字の輪郭に附随する「ブルー色のズレ赤色のズレ」が両方とも「パープル色にズレて見えている/写真に写っている状況」と言えます。

当方はこのようなステレオグラムの類の画像を見続けていると目眩がしてきます。実際医学的にもこのような画像を見続けるのは両眼に対する負荷が相当高くなるので要注意ですし、当方のような人間には精神面でも不快感に至りとても受け入れられません。

同じようにお気にのオールドレンズで撮影したとっておきの写真に、そのピント面のエッジに纏わり付く「パープルフリンジ」が気になり始めたら、そのオールドレンズで撮影した多くの写真で目に着くようになり「高揚感が一瞬に不快感に変わる」とも言え、なかなか気にしなければ良いと一言で片付けて無視できる話とも言えません(泣)

↑上の図はオールドレンズの光学系内に透過する入射光の色成分についての簡単な解説図です。

一つの両凸光学硝子レンズに入射する光 (上の図では左から入射) は、その光の成分として「紫外線域 (波長が短い) 赤外線域 (波長が長い)」のスペクトルに分光しますが、これは光の成分の波長の違いから或る任意の地点に到達するまでの時間に差が生じます。

すると上の図で言えば、その目安として両凸レンズの中心部を透過する「軸上」に対して、波長が短い「青色成分 ()」が一番先に交差していることを示しています。次に「グリーン色の成分 ()」そして「赤色の成分 ()」です。

この時、上の図で例えば右側の黒色縦線の位置に像面が結像するのだと仮定すると各色成分がズレズレ状態なのが分かります。普段太陽光も陽射しが当たっている場所は白色っぽく見えているのに、その光を分光するとこんな感じにバラバラに入射しています。

↑この時像面の画像のピントを鋭くしようと考えブルーの矢印方向に結像面たる縦線の位置をズラしたとしても、各色成分の波長が異なるので結局一致しません (キリッと鋭いピント面に至らず甘い印象でズレズレの画像)。

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

すると上の図で例えば像面が一番右端にあった時、ピント面には結像しているのは赤色成分が最も近く、それ以降左方向に向かってグリーン色成分青色成分の順に遠のきます (説明上そのように表現しているだけで現実は違います)。

すると上の図ではピント面のエッジの周囲に纏わり付いているのが「ブルーフリンジ」になりグリーン色成分は目立たなくなりほぼ視認できない状態です。

一方今度は像面をブルーの矢印方向 (上図左方向) にズラしていくと、今度は青色成分に近づくに従いピント面がハッキリしてきますが、合わせて逆に「赤色成分が遠のくのでズレてパープルフリンジが纏わり付く」画像に見えます。

結局、ピント面はコントラストが堕ちたと同時にやはり明確な鋭さを発揮できず甘々の印象のままです(泣)

人の瞳で認識できる可視光域として捉えると、波長が長い「赤外線域の方向」に残る色ズレの光成分のほうが見えやすいので「ブルーフリンジよりもパープルフリンジのほうが目に着きやすい」ものの、現実には撮影した写真のピント面をチェックしていて視認できている程度の話です (撮影時に視認できている人は居ない)。

↑これでは位置まで経っても鋭いピント面が結像できませんから光学系の研究が進歩して「両凸レンズ凹メニスカス」の組み合わせによる「色消し効果」を狙った「色消しレンズ」が開発されます。これで像面に総ての色成分が結像して鋭いピント面を構成できるようになりました (但し現実には他の収差もあるので一概に色ズレだけで話は終わらない)。

そもそも相当昔のクラシックレンズの時代ではない限り、色収差の改善を放置プレイのオールドレンズはまず存在しないと思います。すると冒頭の改造オールドレンズで「パープルフリンジがほぼ常時ピント面に纏わり付く」現象の説明に至っていません(泣)

↑ここでようやく「パープルフリンジの因果関係」解説に至ります。上の図では左から3つの光学系を並べています (相応に大袈裟に描いています)。

正常な光学系の場合 (両凸レンズ2個)
光軸ズレした光学系の場合
偏心した光学系の場合

2個の両凸レンズは格納位置が適切で正しい場合のようになりますが、前後の両凸レンズでその格納位置が僅かにズレてしまい「光軸が一致していない場合」がとしてイメージ図を書きました。ブル〜色の両凸レンズのほうの光軸と直前の黒色両凸レンズの光軸がズレたまま格納されている場合です。または前後の両凸レンズで光軸が互いに水平位置をイジしておらず、特に赤色レンズが「偏心状態」と言えます。

このような状況の時にどんな写真が撮れるのかと言えば、の場合はピント面の被写体が複数写り込んでいるような重なった印象になり、一方のほうはピント面が彗星のように尾を引く印象の画像になります。

しかしいずれの場合も「ピント面に附随してパープルフリンジ/ブルーフリンジが纏わり付く事が多い」ワケで、逆にの正常な場合でピント面から離れた位置 (多くの場合で周辺域) にフリンジが纏わり付く場合、それは光学系の設計から来るフリンジ、或いは収差の影響と考えられます。

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では冒頭の「パープルフリンジ」はどうしてピント面に纏わり付くのでしょうか? 答えは「マウント部を改造した時の新たにセットしたマウントのズレによる光軸ズレか偏心、或いはその両方の影響が現れている」と考えたほうが良さそうです(泣)

一緒に添付頂いた写真を拝見した限りでは、光軸ズレと偏心の両方が現れているようにも見えますし、或いはそもそもの光学設計から来る収差の影響も現れているのかも知れません。

特に最近のヤフオク! などを観ていても「プロの写真家」や整備好きの人の手による「マウント部改造」により、本来のオリジナルな状態のマウント部を切削なり切除して新たなマウント部と入れ替えた「マウント改造」が流行っています。

そこで最大のポイントになるのが「新たなマウント部をどのように組み込むのか?」ですが、古いオリジナルなマウント部を切削切除するのはともかく「新たなマウント部は光軸ズレ無しに、或いは偏心無しにちゃんと検査して組み込んだのか?」が問われる話になります。

すると昔から数多くのマウント改造を手掛けている出品者が掲載する改造後の個体による実写を観る限り「光軸ズレ無し/偏心無し」に見えますが、一方で「マウント部の爪切削後に新たなマウント部をイモネジで締め付け固定した場合」の実写には「明らかなパープルフリンジが一緒に写っている」次第で(笑)、はたして出品者はどうして気づかないのか「???」です(笑)

可哀想な事に、今回『駆け込み寺』で問い合わせてきた方のオールドレンズは、その出品者から手に入れられた個体のようで、且つその手法も同様「イモネジ固定式に拠るマウント改造」なのが添付頂いた写真で確認できます。

オリジナルな使えないマウント部の爪を切除して、その上から新たに「M42マウント」を被せて/エポキシ系接着してイモネジで締め付け固定しても「イモネジの締め付け量が3方向で一定にならない限り光軸ズレ/偏心ズレの懸念が相当高い」と言わざるを得ません。

もっと言うなら切除したマウントの爪 (例えばaltixマウントの爪を切除して筒状にしてから新たな変換リングを被せて3方向からイモネジ固定する場合など) が適切にその後のイモネジで締め付け固定する3箇所で切除されているのかどうかももう一つのポイントでもあります。するとイモネジをどのくらい締め付ければ良いのか、或いはイモネジが当たっているその切除した箇所の寸法が真円を維持できているのか? そのような事柄について逐一検査して納得ずくで仕上げなければ、完成したオールドレンズでの実写に「パープルフリンジが纏わり付く (或いはブルーフリンジ)」話に繋がります(泣)

そしてその因果関係は必要ない爪を切除した箇所の真円度のみならず「その後に被せてイモネジで締め付け固定する代替マウントの金属材」にも拠ります。何故なら、たいていの場合でそれら代替マウント環/リング/輪っかの金属材は「アルミ合金材」だからです。3方向から均等に締め付け固定したつもりでも検査すると1本〜3本のイモネジの締め付け量が均一にならず、前述の「光軸ズレ/偏心」を招くのだとすれば、その個体で撮影する多くの実写のピント面 (或いはアウトフォーカス領域) にフリンジが着くのも納得できます。

・・だから当方は滅多な事ではマウント改造しません(笑)

それこそまさに電子検査設備の導入が必須で、それら電子検査整備を駆使したからと言って別に「光軸ズレ/偏心ズレ」が解消するワケでは当然ありません(笑) あくまでも検査しながら詰めていって「芯出し」するしか方法が無いのです(泣)

・・こんな難しい作業はありません!(怖)

技術スキルが低い当方は到底真似できないマウント改造」なので、さすが「プロの写真家」ともなればいとも簡単に改造できてしまうのだからたいしたものです。

当方で直してもらえないかとのご要請でしたが・・それはご勘弁下さいませ (当方が改造したのではありません/他人の改造物は内部がどうなっているのか見当着きません)(笑)

そんなワケで、エポキシ系接着剤に頼ったマウント部改造やイモネジによる締め付け改造などは「その多くで必ず検査が必須」であり、ヤフオク! を見る限り古参のベテラン出品者が手掛けている改造オールドレンズはさすが良く仕上げられていますが、新参者のイモネジタイプは当方がチェックしただけでも「パープルフリンジ付」だったりで(笑)、コワイです(怖) もちろんそれら改造オールドレンズでも仕上がり後の実写をチェックして一切フリンジが纏わり付かない個体も数多く出回っています。

・・充分チェックして手に入れて下さいませ。

逆に言うなら、当方が今までマウント変更した上でオーバーホール済でヤフオク! 出品してきた幾つかのモデルは (Paxette版)、そのマウント部が従来のオリジナルなマウントではない「代替マウント (Paxette版ではM39→L39)」に変更しているものの「エポキシ系接着剤やイモネジの類は一切使用せずにフランジバックを見当付けしたネジ込みのみで仕上げている」ので最低でも「光軸ズレ/偏心」の多くが排除されます。

すると検査すべきは/チェックすべきはそれら代替で使う変換リング類の「ネジ山切削の精度」或いは「ネジ山のスタート位置/終端位置」であり、単純計算でフランジバックから逆算してOKだったつもりでも、現実にそれら変換リング類をネジ込んでいくと互いの環/リング/輪っかの微妙な誤差が加算されて「最終的にフランジバックを超過してしまい無限遠合焦しなくなる」ので、多くのベテラン整備者はヘリコイド付マウントアダプタなどを併用する事で対応しています。

・・要は検査設備が整わないので厄介だから(笑)

昔から非常に多くの整備者が挑戦していますが、それでもなお極限られた整備者のみが「改造マウントの完成品を供給」している現実を鑑みれば、そう簡単に仕上げられるとも限らないのを認識するべきですね(笑) 少なくとも仕上がった個体で撮影した実写をチェックすれば、フリンジの状況は簡単に確認できますから、納得してから手に入れるほうが安心です(泣)

ちなみにヤフオク! などで流通しているマウント改造レンズ達をチェックする際は、ありがたい事にその改造レンズで撮影した実写が掲載されていれば、その画像を画像加工アプリなど使い数倍まで拡大します。その後にピント面の附近で「パープルフリンジ/ブルーフリンジ」がエッジに附随していれば高い確率で「光軸ズレ/偏心」の懸念が高まりますが、その一方で画の周辺域に (エッジ附近ではなくて) 滲んでいるように見えるのは「単に実装している光学系の収差の影響を受けた色ズレや色ノイズの類」なので、それはそのオールドレンズの光学系設計から由来する問題であり、マウント改造との因果関係には至りにくいです。そしてそれらチェックをする際「画像は本来デジカメ一眼/ミラーレス一眼内処理で撮像素子で受光した画をひっくり返している」点を考慮すれば、その該当するフリンジの位置が「上下左右反対に写っている」ことから、光軸ズレや偏心の向きを探る事も適いそうです。いずれにしても当方ではそのような「接着やイモネジに頼るマウント改造は一度も執っていない」ので、残念ながら改善策や詳細は分かりません。実際にヤフオク! などで出品している出品者に尋ねて下さいませ (時々駆け込み寺的に改善策や修理可能か否かの問い合わせを毎年数件頂きますが、残念ながら当方では一切対応できません/スミマセン)(泣)

なお、当方は基本的に「極度のカメラ音痴」であり「光学知識も疎く」ここで述べている事柄
/内容はその多くに信憑性を伴わず、且つ当方自身の思い込みなども影響してネット上の様々なサイトとの比較には値しない事を事前に告知しておきます (それら比較元サイトのほうを正として捉えて下さいませ)。

従ってこのブログをご覧になりご不満や不快感を抱いた場合は平に附してお詫び申し上げますが、誹謗中傷メールを送信してくることだけはどうかご勘弁下さいませ。

ウソを拡散するような考えなど一切なく、合わせてヤフオク! での出品についても決して詐欺的商法など執る気持ちはなく、どのようなクレームにも必ず対応させて頂く所存です。

そしてこのブログも決してヤフオク! での出品商品を高く売らんが為に煽る目的で掲載しておらず、むしろ純粋にヤフオク! のようなオークションで単にご落札頂くよりも、さらに楽しくそのオールドレンズの素性を知る事ができる事を目指して、その目的にのみ限定してこのブログを添えている次第です (その他の他意は御座いません)。

今このブログをご覧頂いている皆様も、何かご指摘事項が御座いましたら以下までお知らせ下さいませ。

ご指摘事項は・・・・
   出品者のひとりごと・・・・pakira3kara@pakira3.sakura.ne.jp
までお知らせ下さいませ。

・・即座に改善/訂正致します。お手数おかけする事になり本当に申し訳御座いません。