◎ KMZ (クラスノゴルスク機械工廠) МИР−10А (MIR-10A) 28mm/f3.5(M42)
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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方での扱いが初めてのモデルでしたので、当方の記録としての意味合いもあり無料で掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。
この数日どう言うワケかロシアンレンズのオーバーホール/修理ご依頼分が (受付順なので) 続いていますが、まだ1月20日前後に承ったオーバーホール/修理ご依頼分の作業をしている始末で、本当に遅くなってしまいお待ち頂いている皆様には誠に申し訳御座いません!!! 順次仕上げて参りますので今暫くお待ち下さいませ。
今回整備するのはロシア (旧ソ連) のKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) から1970年に発売された広角レンズ『MIR-10A 28mm/f3.5 (M42)』です。総重量507gの大柄な筐体サイズで前玉からして大玉です。
今回初めて扱うモデルだったのですが外観のデザインからHelios辺りの距離環ローレット (滑り止め) に似ていたので内部の構造も近いだろうと踏んで取り掛かかりました・・しかし、それは大きな見当違いでした。ロシアンレンズでこれほどまで複雑な構造化と厄介な調整が成されているモデルは今までに経験がありません。正直、もう二度と触りたくないモデルになってしまいました・・。
光学系は7群8枚のレトロフォーカス型なのですがロシアンレンズらしく光学系の硝子レンズは「積み上げ式」の格納方法を採っており、例えば標準レンズの「INDUSTAR-61 L/Z MC 50mm/f2.8」と同じ格納方式です・・これはどう言うことなのか? 光学硝子レンズを固定する「固定環 (リング/輪っか)」は7群8枚の硝子レンズが使われていながら「たったの2個」しか存在しないのです。つまり「前玉」と「後玉」の2箇所だけに硝子レンズを締め付けて固定する「固定環」が用意されており、その他はバラバラと積み上げていく非常に (光学性能が心配になるほどに) 簡素な格納方法なのです。方法はどうであれ「結果オーライ」なのが「おロシア」(笑) 最先端技術の投入や改善/改革など凡そ余計なことは考えずに豊富な人海戦術による大量生産のほうが優先されている設計であることがバラしてみると理解できます・・さすが共産主義体制国家です。
このモデルの描写性も、またロシアンレンズの特徴を良く出しており骨太なエッジながらも、それが気にならないほどに収差を適度に残したロシアンレンズとしての「味」を持つ独特な雰囲気が大変魅力に感じる表現性です。Flickriverにてこのモデルの実写を検索しましたので興味がある方はご覧下さいませ。パシッとキリッとカリカリの鋭いピント面を構成しているワケでもないのですが、意外にもリアルでインパクトのあるメリハリ感を漂わす独特な描写世界です。さらにオモシロイのは「INDUSTAR-61 L/Z MC 50mm/f2.8」と同じく「ダビデの星」たる「星形ボケ」を表出させるのが容易な広角レンズであることです・・これはその方面のファンの方には堪らない貴重な存在でしょう。逆光耐性が悪いことも予測に反する何が出てくるか分からないような写真を残せる愉しみがあり、なかなか魅力的なモデルではないかと言う印象です。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。ご多分に漏れずロシアンレンズは「ひたすらに環 (リング/輪っか) の集合体」であることを踏襲した構成パーツなのですが、この設計を1970年登場のモデルでも連綿とつづけているのが「さすがおロシア」と言わざるを得ません。オールドレンズである以上「環 (リング/輪っか)」の集合体なのは極自然な成り行きなのですが、その固定方法が特徴的でありひたすらに「イモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種)」だけを使い続けているところがスゴイのです。ネジ部だけなので当然ながら小さいのですが胡麻一粒よりもさらに小さな小さなネジのイモネジばかりで限りなく固定し続ける方法で組み上げていきます。従って撮影で使っている小道具の楢材のお盆にバラした構成パーツが並び切りません
↑光学系が7群8枚のレトロフォーカス型構成ですから光路長が長く必然的に鏡筒の奥行きも深くなっています。しかも今回のモデルは大玉ですから深淵の何とも異様な雰囲気を感じるほどに階層を重ねた鏡筒です。このモデルは鏡胴が「前部」と「後部」の二分割になっているのでヘリコイド (オス側) は独立しており別に存在しています (鏡胴後部側)。次の写真をご覧下さいませ。
↑上の写真は既にオーバーホールが完了した時の写真で後玉側を撮影したのですが、別の標準レンズ「INDUSTAR-61 L/Z MC 50mm/f2.8」の後玉周囲と全く同一で「鏡胴前部用の固定環」が存在していました。当初バラす前の時点で、この「鏡胴前部用固定環」を見てしまったのがイケマセン・・先入観に駆られてしまい冷静な判断を失ってしまったのです。
ロシアンレンズでは鏡胴が二分割の場合、鏡胴「前部」の固定には2種類の固定方法が採られており、1つめが後玉の周囲にある「鏡胴固定環」なるリング/輪っかを使って締め付け固定する方法です・・つまり鏡胴「前部」を鏡胴「後部」の中にストンと入れ込んでから最後に固定環で締め付け固定すれば良いだけなので組み立てが非常に楽なのです。また2つめの方法は鏡胴「前部」を鏡胴「後部」にひたすらにネジ込んでいく方法です。最後までネジ込めば組み立てが完了と言う、こちらもとても楽な方法です。
従って、今回はこの後玉周囲にある「鏡胴前部用固定環」を見てしまったが為に当然ながら最初にバラす際にカニ目レンチを使って外したのです・・ところが鏡胴「前部」はビクともしません。何をしようが一切外れません。
ならばもう一つの鏡胴「前部」固定方法である「ネジ込み式」なのか??? 専用工具を使って鏡胴「前部」を時計とは反対方向に回すのですが、やはりビクともしません。 実はこの当時のオールドレンズの場合、絞り環の内部に使われている絞り羽根の開閉を行っているパーツに「シリンダーネジ」と言うネジがあります。コトバの如く「金属製の円柱にネジ部が飛び出ている特殊ネジ」なのですが、思いっきり鏡胴「前部」をチカラ限りに回すと「シリンダーネジ」を破断してしまう危険性が高いのです。一度そのネジが折れてしまったらもう二度と絞り羽根は開閉しません (つまりいきなしジャンク品になります)。
従って、この作業も恐る恐る手に架かっている抵抗を感じつつ回そうと試みたのですが一切回りません。
ロシアンレンズで、こんなことは初めてです。いったいどうやって鏡胴「前部」を取り外すのか??? アッチから眺めコッチから眺めつつ数十分が過ぎていきました・・正しい解体方法は後ほど出てきます。
↑工程を進めます。上の写真は当方による「磨き研磨」が終わった状態の絞りユニットを撮りました。絞り羽根には1枚につき表裏に1本ずつの金属製突起棒が打ち込まれており (合計2本)「キー」になっています。上の写真左側に裏側のキーが刺さり絞り羽根の位置が確定します。上の写真右側のスリット (細長い開口部) にもう一方の表側キーが入り込み、右側の環が回ることで絞り羽根が角度を変えて閉じたり開いたりする仕組みです。焦点距離28mmの広角レンズなので、この絞りユニットが僅か2cmにも満たない直径 (16mm) で大変小っちゃいのです。
↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させた写真です。
↑組み上がった絞りユニットを鏡筒の最深部に落とし込みますが、ストンと落ちるのではなく「マイナスドライバーを使って押し込んでいく」作業になり絞りユニットの左右の縁を均等に押し込みながら注意深く落とし込みます。このチカラ加減をミスると絞りユニットが僅かに斜めになって挟まってしまい外せなくなります・・。
↑鏡筒を立てて撮影しました。相当に深い鏡筒なのがお分かりでしょうか・・。ちなみに前出の絞りユニットは鏡筒の一番下にある横方向のスリット (開口部) 部分に位置しています。上の写真ではイモネジ用に用意された「下穴」の箇所を矢印で指し示していますが全部で6箇所あり、それぞれに環 (リング/輪っか) が介在してきます。
↑当方が当初バラす際に見誤ってしまったのが (見当違いだったのが) このイモネジ用「下穴」です。全部で4箇所にイモネジ用の「下穴」が用意されていますが、この中の1箇所だけが鏡胴「前部」の固定用に使われていたのです・・答えは「上の写真下から2番目の下穴」でした。鏡筒の回りに3箇所のイモネジ用「下穴」が用意されていて鏡胴「前部」をイモネジで締め付け固定していました。胡麻粒の半分よりもさらに小さいイモネジで大型な鏡胴「前部」を締め付け固定してしまうと言う発想が・・そもそも「おロシア」的です。つまり後玉周囲にあった「鏡胴用固定環」は予備的な締め付け固定環だったのが、これで判明します。当然ながら固定環を外しても鏡胴「前部」がビクともしないワケですし、鏡胴「前部」を回そうとしても一切動かないワケです。実際に今回バラす方法を理解するためだけに1時間も費やしてしまいました・・何とも修行不足であり当方の技術スキルが如何に低いのかお分かり頂けるお話だと思います。先入観に囚われて物事を観察しては・・ダメですね。恥ずかしい・・。
↑工程を進めます。前玉側にプリセット絞り環や絞り環などが位置しているので、それを順番に組み付けていきます。上の写真で真鍮製の (黄金色の) 部分が「プリセット絞り機構部」の環 (リング/輪っか) であり「絞り値キー」と言う「溝」が用意されており各絞り値に見合う位置で溝が刻まれています。
先に「プリセット絞り環用ベース環」を入れ込んでから真鍮製のプリセット絞り環機構部をイモネジを使って固定します。この固定位置をミスると後々厄介なことに陥ります。
↑上の写真は何だかグロイ写真になってしまいましたが、プリセット絞り環機構部の絞り値キーがどのような意味を持つのかを撮影しました。「溝」なのですが、この溝にカチカチとクリック感を実現してハマッているのは鋼球ボールではなく「シリンダー (金属製の円柱)」です。そのシリンダーに適度なチカラを及ぼしているのが「鋼 (ハガネ)」の板バネです。この板バネの強さ (固定ネジの締め付けの強さ) でクリック感のカチカチと填る強さが変わるので2個あるどちらのネジが固定用で、どちらが調整用なのかを見極めなければイケマセン。当然ながら上の写真向かって左側の固定ネジが「強さ調整ネジ」になりますね・・「原理原則」です。当初バラす前の時点で、このクリック感がガチガチした印象で固かったので調整して滑らかに程良いクリック感で操作できるように改善しました。
さて、クリック感の調整のお話をするために写真を載せたのではなく「プリセット絞り機構」が働く仕組みを解説するために掲載しました。鋼の左端は「ストッパー」と解説していますが、この部分はシリンダーの押さえになっています。そして同時に「ストッパー」の役目も兼ねているので、それに気がつくかどうかでロシアンレンズの「プリセット絞り機構部」が理解できるか否かが分かれます。
後で出てきますが「絞り環」のベース環に用意されている「停止壁」なるモノが、このストッパーに突き当たることでプリセット絞りが機能しているのです。従って単にクリック感の強さだけの調整で鋼の位置調整をするのではなくプリセット絞り環の停止位置調整も同時にこの箇所で行わなければイケナイことを理解しなければダメです・・「原理原則」
残念ながら過去のメンテナンスでは、この部分の調整方法が全く理解できていない人の手によって整備されていたようでデタラメな位置でイモネジ固定していました。結果、プリセット絞り環も絞り環も共にガチャガチャとガタつきが発生しており、さらに他の部分にも悪影響を来していたのです。
↑出てきました・・絞り環のベース環を組み付けていますが「停止壁」が備わっています。プリセット絞り環を希望する絞り値に設定するとストッパーの位置がズレるので、絞り環を回して絞り環 (の停止壁がストッパーに突き当たって) の停止する位置も自動的に変化する ・・つまり「プリセット絞り機構」と言うワケですね。この原理が理解できていないと全く違う場所に絞り環やプリセット絞り環をイモネジで固定してしまうことになるので、当然ながら絞りユニット指標値とのズレも生じてしまいチグハグな指標値位置の個体になってしまいます・・実際、そんなロシアンレンズが市場にはゴロゴロしていますね(笑)
↑ロシアンレンズの面倒くささと言うのはプリセット絞り環/絞り環/距離環のすべてに於いて必ず「ベース環」が存在していることです。それぞれの環はそれらのベース環にイモネジで締め付け固定していきますから工程数としては二度手間と言うか面倒なのです。
↑前の工程で鏡胴「前部」が取り敢えず完成したので今度は光学系を組み付けていきます。上の写真奥側一列が「光学系前群」であり手前一列が「後群」になります。こんな感じで硝子レンズが金属製の格納筒に既に一体成形されており、単純にバラバラと積み上げていけばOKと言う格納方法です (上の写真では奥左側から第1群:前玉〜手前右端が第7群:後玉です)。このシルバーな硝子レンズ枠の間に何か塵などが入っていると当然ながら光軸ズレを生じるので各硝子レンズの格納時には細心の注意が必要です。
↑ここからは鏡胴「後部」の組み立てに入ります。距離環→マウント部を組み付けるための基台 (ヘリコイド:メス側) です。
↑ロシアンレンズでは大変珍しいのですが「真鍮製 (真鍮 (黄銅) 製/ガンメタル)」のヘリコイド (オス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
↑後からセットするのでは目安がないままに組み上げることになるので、ここで先に指標値環をやはりイモネジ3本で締め付け固定します。当然ながらこの指標値環がズレていたらすべてがズレたままの個体になってしまいます。
↑距離環を仮止めしてから完成している鏡胴「前部」を組み付けて固定し無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠 (レンズ銘板を兼ねる) をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑写真では分かりにくいですが総重量507gのとても大きな広角レンズ『MIR-10A 28mm/f3.5 (M42)』です。登場したのが1970年にも拘わらずモノコーティングになります。今回の個体は製造番号からその登場した1970年製造の初期ロット品であることが判明していますから非常にキチョ〜な個体でありラッキ〜ですね・・。
↑光学系なは透明度が高い部類なのですが経年の拭きキズやヘアラインキズなどはそのまま残っています。開放F値「f3.5」と少々暗めですが開放時でも絞り羽根が顔出ししている仕様です (調整ミスではありません)。絞りユニットの切削をもう少ししていれば完全開放まで絞り羽根が開くハズなのに・・していないのがさすが「おロシア」です(笑) まぁ、実際は単に全開すれば良いだけではなく光学系の設計 (おそらくF値f2.8) が追いついていないとダメですね。
↑光学系後群の透明度はピカイチです。後玉がほんの僅かに突き出るのですが当てキズがありませんでした。素晴らしいです。
↑6枚の絞り羽根も当初は油染みが生じていましたがキレイになり確実に駆動しています。分かりにくいですが上の写真は最小絞り値「f22」になっており「星形」のカタチになっていますね・・。
ここからは鏡胴の写真になりますが経年の使用感が相応に感じられる筐体です。当方による「磨き」を一応いれたので多少はキレイになったでしょうか・・清掃時にすべての指標値が褪色したので当方による着色をしています。
↑塗布したヘリコイド・グリースは何度か組み直しを行いつつ最終的に「粘性:重め+軽め」を塗っています。おそらく当初届いた時のトルク感に近い状態の軽さに仕上がっていると思いますが、これ以上「重い」トルク感にはできません (ヘリコイドのネジ山の仕様の問題です)。
↑指標値環の「Ι」マーカー位置に可能な限りすべての指標値を合致させて合わせましたがイモネジ固定なので特に「プリセット絞り環」と「絞り環」に関しては過去のメンテナンス時に全く違う箇所に固定されていたため適正位置に戻しています・・その際に「下穴」が存在せず仕方なくドリル加工を施して組み上げています。
・・と言うことで完成し実写確認をしたのですが問題が発生しました。何とレンズを振ると「コトコト」音が聞こえてくるのです。どうやら前玉が固定されていません。
↑上の写真は再びバラして撮影していますが、不具合のすべての根本原因がここからスタートしていたことが最後の最後になって初めて判明しました。前玉の固定環はもちろん存在するのですがシルバーな硝子レンズ格納筒が一切固定されていません。フィルター枠 (レンズ銘板も兼ねる) をネジ込むことで前玉が固定されるのですが、今回フィルター枠をネジ込んでも前玉が固定されずにコトコト中で鳴っています・・。
本来は (おそらく) この位置に「シム」と言うスペーサーみたいな役目の非常に薄い環 (リング/輪っか) が入っていたハズであり、実際にそのためのスペースが用意されています (一段下がっている)。
仕方ないのでリングは製作できませんからテーピングを施しました・・と言うのもフィルター枠をどんどんネジ込んでいけば当然ながら前玉が固定されてコトコト音も消えて問題なくなるのですが今度はプリセット絞り環が一切回りません。つまりフィルター枠が当たってしまい動かなくなるのです。
そこで再びバラすハメに陥りました・・しかも完全解体です(泣) 何をしたのか・・? プリセット絞り環用のベース環と真鍮製のプリセット絞り機構部の固定位置をズラしてみたのです (最初の写真の状態まで戻りました)。すると今度は絞り環が回りません。またまた解体して今度はさらに絞り環の位置もズラして組み上げると、何と距離環が当たっていて回りません。
・・こうなるとさすがに笑ってしまいましたねぇ〜。まさしく「はじめよければ終わりよし」の諺ではありませんか (笑) 最前端のフィルター枠固定位置が狂ってくるとぜ〜んぶ狂ってしまうのですからロシアンレンズ・・奧が深いです(笑)
結局、一度完成したのに (無限遠位置まで確認して完璧に完了したのに) 再び組み直すこと3回・・ようやく原因にブチ当たりました。前玉を固定する役目のスペーサーである「シム」がそもそも欠品しているのだと。
コトコト音が無くなり前玉もシッカリと固定されましたがテービングでごまかしているので適正な厚みになっておらず押されているのか距離環を回して無限遠位置にする時にほんの僅かに「クッ」と抵抗感を感じます。鏡胴が繰り出される最短撮影距離の位置側では一切問題ありません。実用面でその度に違和感を抱くほどではないと思うのですが、もしもご納得頂けないようであれば請求額より必要額を減額下さいませ。但し、当方ではこの処置による改善が限界です。
↑当レンズによる最短撮影距離20cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでベッドライトが点灯します)。
↑絞り環を回して次の絞り値であるF値「f4」に合わせて撮影しています。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼誠にありがとう御座いました。