◎ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX B-Distagon 35mm/f4 “Blitz”(CRX)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Oberkochenに位置するCarl Zeiss製広角レンズ・・・・、
 『CONTAREX B-Distagon 35mm/f4 “Blitz (CRX)』です。


今回初めての扱いになりますが、1959年に旧西ドイツのZeiss Ikon から発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタ
レックス)」は後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり、巷の俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産されなかったカメラです。

大きな円形窓が軍艦部に備わりますが絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラですね。この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれますがセレン光電池式連動露出計であり、この俗称の由来は「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。

1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、焦点距離21mm から何と1,000mmまで揃っていたので、本気度が違いますね(笑) とは言いつつも、現実的な話しとして非常に高価なフィルムカメラだっので、はたしてこれらオプション交換レンズ群を揃えられた人が世界中でいったいどれだけ居るのかと考えてしまいます(笑)

翌年1960年にはウェストレベルファインダー装備の「CONTAREX
Special
」を発売しますが、このタイミングで今回扱う「フラッシュ マチック機構」を装備した「Blitzモデル」も同時発売しています。
(wikiでは1965年の発売と案内されていますが、以下「CONTAREX special」取扱説明書のオプション交換レンズ群解説欄に「ZEISS B-DISTAGON f/4, 35mm」と掲載されています。

↑さらに上位格バージョンの「Distagon 35mm/f2」も発売したばかりであることが謳われています。

従って広角レンズの「Distagon銘」は全部で4種類のモデルが揃っていたことになります。
Distagon 35mm/f4 silver (1959年発売)
Distagon 35mm/f4 black (1960年発売)
B-Distagon 35mm/f4 “Blitz (1960年発売)
Distagon 35mm/f2 silver (1965年発売)

上記の通り当時の取扱説明書に光学系構成図が掲載されているので、 それをトレースしたのが右図になります。

特に第3群は「3枚の貼り合わせレンズ」と言う贅を尽くしたこだわりの設計を採っていますが、そもそも戦前〜戦後で主流だったレンジファインダーカメラと違い、クィックリターン式ミラー装備の一眼レフカメラ用にバックフォーカスを稼いだ広角レンズ域専用光学設計として「レトロフォーカス型」が1950年に世界で初めて開発されたという背景を考えると、この「4群で収めてしまったレトロフォーカス型」と言う要素に、光学知識に疎いながらも「凄い!」とえらく感心してしまった次第です。

今回オーバーホールの為にバラして光学系をチェックすると、何と
第2群のカタチが異なることを発見しました。
さすがにこのカタチの構成図はネット上を探してもどこにも見つかり ません(笑)
また当方がウソを平気で載せているとSNSで批判の嵐になるのだろうと思いますが(笑)、実際に手に取ってしまったからどうにもなりません。

↑上の写真は、今回の個体から取り出した光学系各群のガラスレンズです。左端が第1群で前玉になり、右端が最後の第4群で後玉です。グリーンの矢印で指し示した箇所の第2群のカタチが異なります。

さらにその第2群のガラスレンズを拡大撮影しました。真横から撮影 していますが、ご覧のとおり「鼓状に中央が絞られているカタチ」 とでも言いましょうか。もちろん貼り合わせレンズではなく1つの
ガラス玉です。

すると「フラッシュマチック機構」を装備した「Blitzモデル」は従来の最短撮影距離19cmから「38cmへ後退」してしまった為に、光学系は再設計されていると考えるのが自然です。つまり前述の取扱説明書掲載の構成図は、実は 普通の「Distagon 35mm/f4」の構成図なのだと捉えるのが良さそうです。
(実際一番最初のCONTAREX I型取扱説明書を確認するとその考えがまさに検証できた)

ちなみに「フラッシュマチック機構」はストロボ撮影時にフラッシュのガイドナンバーに合わせて鏡胴のプリセット環をセットすると、自動的に「距離環の駆動範囲と適切な絞り羽根の 開閉幅が限定される仕組み」であり、要は失敗の無いキレイな写真をストロボ撮影で簡単に 撮ることが叶うと言う概念です。


上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左側2枚は玉ボケが滲んで溶けていく様をピックアップしています。真円の円形ボケとして表出させることがそもそも苦手のようですが、実写を見ていて一番最初に感じた印象は「どの円形ボケもキレイに滲むなぁ〜」でした。それは右側の2枚を見るとより強く感じます。

まるで標準レンズで撮った写真のようにアウトフォーカス部の滲み方が素直に階調豊かに溶けていくので、ピント面の鋭さも然ることながらこのトロトロ感が堪らないです(笑)

二段目
どう言うワケか実写が極端に少なかったのですが、発色性に関しては左側2枚のとおり極々自然で人の目で捉えたままに移っている事が分かります。特にコッテリ系に偏ることも無く下手に鮮やかに振れることも無い「とても安心して見ていられる発色性」が好感を持てます。

また階調表現が滑らかである点と合わせてダイナミックレンジが相当広いので、ビミョ〜に陰影もしっかりと写し込んでいるところがさすがです。ディストーションもよく抑えられており、みなさんが銘玉中の銘玉と揶揄される理由が分かったような気持ちになります。

【今回のヤフオク! 出品の狙い】
完璧なオーバーホールによる使い易い操作性の復活
LMマウント化する事で汎用的に使えるようにする
(絞り環を装備しているのでこの段階で完結する)
さらにマクロヘリコイド装備のマウントアダプタ併用
によりSONY Eマウント化を狙う
(最短撮影距離を15短縮化して23cmを達成)
もちろんフィルターやキャップ類をちゃんと用意
CONTAREX版広角レンズの良さを広める

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。本来ならばちゃんと絞りユニットも完全解体して絞り羽根を撮りだして並べて撮影するのですが、残念ながら今回の個体は絞りユニットを取り出せず絞り羽根は中に装備したままになります。

特に油染みも無かったのですが、一応念の為絞りユニットはちゃんと清掃しています。

↑このように絞り羽根が組み込まれている完成した絞りユニットが最深部に配置されているそのままの状態ですが、赤色矢印で指し示した箇所をご覧下さい。

実は今回の個体は初めての扱いだったのですが、実写チェックしてみるとネット上で見られる鋭いピント面には至らない「ちょっと眠い感じ」の鋭さ感でした。どう考えてもCONTAREX版オールドレンズには不釣り合いなちょっとガッカリめのピント面です。

それで注意深く観察しながらバラしていったワケですが、原因はまた今回も例によって「過去メンテナンス時整備者の自己満足によるコバ端着色」により第1群 (前玉) が本来格納されるべき位置でセットされていなかったのです。

赤色矢印で指し示した箇所に第1群 (前玉) が格納されますが、相当な厚みを持っています。 冒頭の並べた写真をご覧頂ければ前玉が分厚いのが分かると思います。

この「コバ端に黒色反射防止塗料を塗ってしまった」為にクリティカルに陥り最後まで入っていなかったワケです。実際今回の組み立て工程でもコツを使って前玉を入れ込まなければ適切な光路長にセットできませんでした。

↑鏡筒を立てて撮影しましたが、写真上方向が前玉側になります。相当な厚みがある事がこの写真を見ただけでも分かりますね。前玉を格納する際にブカブカでスカスカ状態なら例えコバ端着色したとしても問題には至りませんが、事前に前玉をハメ込んだ時に「既にコバ端着色 無しの状態でクリティカル」とすれば、必然的に塗ったら最後適切な光路長は確保されません。コツを使って今回入れ込みましたが、それでもコバ端着色の一部が剥がれるので、相当 クリティカルだと言える状況です。

↑鏡筒が既に完成しきっているので、ここからはヘリコイド部の組み立て工程に入ります。距離環やマウント部が組み付けられる基台です。今回のモデルは「フラッシュマチック機構」を装備した「Blitzモデル」なので、普通のDistagonとはヘリコイド部の設計が異なります。

↑このような感じで上の写真中央に位置する鏡筒から飛び出てきている「開閉アーム」がグリーンの矢印で指し示したとおり「アームガイド」の溝部分に刺さります (赤色矢印)。

すると「制御環」が絞り環操作により絞り羽根を閉じたり開いたりするので「横方向の駆動範囲」があるのと同時に、ヘリコイド (オスメス) の回転に伴い鏡筒が繰り出されたり/収納したりする為「直進動」することからブルー矢印のような2つの方向性で動くようになっています。

そしてさらに今回のモデルは「フラッシュマチック機構」を装備するので「ギアが存在する」ワケです (赤色矢印)。

↑実際に前述の構成パーツを全て組み付けたところを撮影しました。実は「制御環」は「基台の内径よりもさらに小さい」為にそのままではストンと基台を貫通して落下してしまいます (保持できない)。

従って「ベアリングの半径分で制御環を保持しながら360度の滑らかな回転を実現している設計」を採っています。つまり「制御環」組み込みの際はその周囲にベアリングをポツンポツンと落とし込んでいくワケですが、ほんの僅かでも位置がズレるとアッと言う間にベアリングがパラパラと落下してしまい、また最初からヤリ直しです(笑)

ベアリングは全部で「72個」存在し、実際は「シルバーな大きめの鋼球24個」に「茶褐色の小さめな鋼球48個」と2種類に分かれているので、1:2の比率でベアリングを入れ込んでいかないと滑らかな駆動に至りません。

要はここの工程如何で「絞り羽根開閉の滑らかさが決まる」ワケです。

↑完成した基台をひっくり返して、今度は後玉側方向から撮影しています。基台の側面には「ガイドナンバー用のキー (溝)」が備わっています。

↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置の当たりを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑さらにヘリコイド (オス側) ょ、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で10箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑ヘリコイド (オスメス) が正しく組み込まれるとこんな感じに仕上がります。ヘリコイド (オス側) の内側には両サイドに広めの「」が用意されており、そこに「直進キー」と言うパーツが刺さってスライドして動きます。

要は距離環を回した時の「回転するチカラ」が「直進キー」によって「直進動するチカラ」に変換されるので、結果的に鏡筒が繰り出されたり/収納したりする概念ですね。

従って「必ず直進キーが介在してチカラの方向性を変換する」為に、ヘリコイドグリースの粘性だけでトルクを微調整しようとしても限界がある事に気が付かなければ適切な整備が適いません(笑)

逆に言えば、ではいったい何処の微調整を施すことでヘリコイドグリースの粘性に頼らずとも適切なトルク感に仕上げられるのか、という命題に真正面から挑まない限り軽い操作性にはなりませんね(笑)

↑基台の中腹に「フラッシュマチック機構」が組み込まれており、グリーンの矢印で指し示したように「ガイドナンバーの高低により2つの方向性にカムが突き当たる概念」で設計されています。

もっと言うなら「ガイドナンバーのプリセット環が操作されない場合と全部で3種類の動き方の違いがある」点に気が付かないとダメです。鏡胴の外から見れば一目瞭然ですが「ガイドナンバーのプリセット用ツマミの左右に高低でGN数値が刻印されている」ワケで、当然ながら「フラッシュマチック機構」を働かせない場合の普通の撮影もあるから「全部で3通り」の動き方になるワケです。

斜めの勾配 (左右)」の何処に「カム」が突き当たるのかで、その時の絞り羽根の開閉角度が決まる設計です。従って距離環を回していると「コツンと内部で何かが当たる感触と音が聞こえる」そのコツンと突き当たっているのは、上の写真の「カム」ですね(笑)

↑このような感じで「ガイドナンバープリセット環」がセットされてブルーの矢印のように回ります。

↑マウント部を組み上げたところです。

↑ひっくり返して基準「」マーカーが刻印されている指標値環をセットしてフィルター枠を固定します。

↑距離環を仮止めしてから光学系前後群を格納して無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。CONTAREX版のDistagonがこんなに軽い操作性で仕上がってしまうのかというほどに快適な使い勝手に至っています。そしてもちろん冒頭解説の通り「本来あるべき鋭いピント面」にも光路長確保してあるので、安心してお使い頂けます。

↑冒頭解説の通り「前玉のコバ端が剥がれる」大変クリティカルな格納なので、上の写真のように一部にコバ端が剥がれてシルバーな内壁が見えています。完全にコバ端を着色してから前玉を入れ込んでいるのですが、狭くてギッチギチなのでこのように一部が剥がれてしまいます (当方ではこれ以上改善不可能)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もコバ端着色していますが、また格納が楽なのでハガレは起きていません。光学系前後群は全てLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無の状態です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:12点、目立つ点キズ:6点
後群内:18点、目立つ点キズ:13点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い6ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑絞りユニットを解体できていませんが、一応ちゃんと清掃はしたのでキレイになり確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は正四角形を維持しています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せますが、マウントアダプタ側にクリック式絞り環を装備しています。
・距離環を回した時に僅かにトルクムラと内部でコツンと突き当たる感触を感じますが設計上の仕様なので改善できません (クレーム対象としません)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・附属の中古フィルターは清掃済ですが微かな拭きキズなどが残っています(実用レベルでキレイ)。

↑ご落札者様1名様だけが分かりますが「こんなに軽い操作性なのか!」と言うくらいの快適な使い易さに仕上げました。

↑今回も「疑似マクロ化」を狙っているので最短撮影距離を「38cm23cmに短縮化」しています。

【附属品】
TIFFEN製中古UVフィルター
オールドレンズ本体『CONTAREX B-Distagon 35mm/f4 “Blitz” (CRX)』
YIYO製CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)
haoPe製LM→SONY Eマウントアダプタ (ヘリコイド装備)
汎用SONY Eマウント用樹脂製後キャップ

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる開放実写で、1枚面でオリジナルの状態である「最短撮影距離38cm」で、
2枚目がヘリコイド付マウントアダプタ側を最大限まで繰り出した状態での「最短撮影距離23cm」での同様開放実写です。

ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。

↑同様1枚目が「最短撮影距離38cm」でのf値「f5.6」での撮影です。2枚目が「最短撮影距離23cm」での同様f値「f5.6」です。

↑さらに回してf値「f8」で撮影しています。

↑f値は「f11」に上がりました。

↑f値「f16」です。もうだいぶ絞り羽根が閉じきってきているのですが、それでも「回折現象」の影響が現れずにこれだけの写真を残しています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。