◎ MINOLTA (ミノルタ) MD W.ROKKOR 28mm/f2《第2世代》(SR/MC/MD)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するするモデルは、国産は
MINOLTA製広角レンズ・・・・、
MD W.ROKKOR 28mm/f2《第2世代》(SR/MC/MD』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のMINOLTA製広角レンズ域「焦点距離28㎜」だけで括ると9本目にあたりますが、実は今回扱った「開放f値:f2.0」だけでカウントすると初めての扱いです。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜り
ました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!

いつも懇意にして頂くご依頼者様なので、何気なく着信したオーバーホール/修理ご依頼メールにそのままOKしたものの、リアルな現実に届いた個体を手にして「あらまぁ~、バカでかいこと!」(驚)・・と、この時点で初めてただならぬ大きさを知った次第です (要は何一つ調べずにそのまま快諾していたから)。

単なる「28㎜/f2」でこんなにデカイとは、いったいどうしてなのかとようやく調べてみると「何と光学系内にフローティング機構を内包している」と!(驚)・・いやはや、フローティングシステムが含まれているなら、オーバーホール作業はタダでは済まされず(怖)、ご辞退していれば良かったと後悔先に立たずと言ったところです(涙)

そして実際完全解体してオーバーホール作業に臨むと、予測通り「ハッキリ言ってとんでもなく神経質に変質してしまっていた」ことから、すっかり懲りてしまい・・残念ながら、今回を最初で最後の扱いにすると決めたところです(涙)

実際のところ、このような光学系に内包するフローティングシステムについては、競合たるOLYMPUSが1972年に発売した一眼 (レフ) フィルムカメラ「OM−1」からのオプション交換レンズ群の中に揃えられていた、同じ「28㎜/f2」がありますが、本音を言わせてもらうならこれら当時のOLYMPUS製「F2シリーズ」モデルに組み込まれているフローティングシステムをもっと参考にするべきだったと、今回初めてMINOLTAのフローティングシステムを手にして強く感じたところで御座います (右写真はそのOM−1)(泣)

それは明確な設計概念の大きな相違が現れているからで、当時のOLYMPUS製オールドレンズ達の多くのモデルが「絞り環を前玉側に配置する内部設計だった」点が指摘でき、距離環の駆動に際してその支点になっているのが「マウント部に近い箇所」と言う「少ないチカラでヘリコイド駆動させて鏡筒の繰り出し/収納を行う」設計概念から出発している点が大きな違いだからです。

従って少ないチカラで製品としての操作性の良さを担保させるなら、内包するフローティングシステムの駆動制御は「さらに少ないチカラで制御できる設計が前提になる」ことを意味し、実際OLYMPUS製「F2シリーズ」の主要モデルは全てが共通項的に「サイズの小さいフローティングシステムを配置する」ことに相当果敢に挑んでいるからです (右の構成図はOLYMPUS製ZUIKO MC AUTO-W 28mm/f2の光学系)。

この概念を当時のMINOLTAは後発メーカーであったからこそ、なおさらに参考にすべきだったと今回完全解体してみて強く感じ入ったところで御座います(涙)

しかしリアルな現実には、そもそもの光学設計上の大きな概念の違いがハッキリ現れており、それはOLYMPUSが「光学系後群でフローティングシステムをセットしてきた」のに対し、後発のMINOLTAは「光学系前群内に配置して攻めてきた」点に於いて、実は「OLYMPUSに倣ってサイズをコンパクト化できなかったのは自明の理」との結論に達します(汗)

もちろんこれはあくまでも「28㎜/f2」に関しての話だけで終わるのですが、実はこの一点に於いて「MINOLTA社内での、このモデルに充てがわれていた予算配分の問題が隠れているのではないか」とすら勘ぐりたくなってしまいます(汗)

↑上に挙げた構成図は左が今回扱った「MD W.ROKKOR 28mm/f2」に対し、右が「MD 28mm/f2」の光学系構成図です。左の構成図のみ今回のオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測した
トレース図です (右はネット上掲載構成図からのトレース)。

すると左は 色付光学系第5群だけがフローティングシステム内に組み込まれており、同様右も 色付第5群のみがフローティングしていると推測できます。

フローティング領域は「光学系第4群の直前まで」であり、その空間「凡そ0.85㎜の高低差を、距離環刻印距離指標値の∞~0.3m間で常に水平垂直移動」するフローティングシステムなのが確認できました (この間、水平垂直の位置で一度も停止することがない)。

ではどうしてMINOLTAのこの前群内にフローティングの概念を導入するのが「予算の問題になる」のかと言えば、前群側でできるだけ集光しまくっているからです(笑) これはあくまでも光学知識皆無な当方の妄想範疇を超えませんが(汗)、おそらくOLYMPUSは取り込む入射光自体を既に見限っていたとすら考えられます (製品理念から本当に必要な入射光だけに限定していた前群設計という意味合い)(泣)

それは筐体サイズを大型化できないOLYMPUSの「小さく造る」企業理念が大きく影響しており、そもそもの一眼 (レフ) フィルムカメラ側が「OM−1」と言うコンパクトな筐体からスタートしている時点で、実は本来同じ土俵で闘っていません(汗)

するとそのような制約が存在しないMINOLTAにとっては、前玉のサイズを大口径化して好きなだけ自由に入射光を料理できるものの「f2f2.5f2.8」と言う開放f値の3ラインで製品化を進めていた背景から「後群側を固定させてコストを確定させた中、前群側でコスト管理させる」体制だったのではないかと当方では勘ぐっているのです。

それは一つには、後のタイミングで「f2.5」モデルがMDシリーズからは脱落して消滅している点と、実は今回バラしてみて初めて「MINOLTA製オールドレンズの中でおそらく唯一のダイレクトなヘリコイド駆動制御方式」とも指摘できるくらいオドロキのヘリコイド設計を採っていたからです。

普通ヘリコイドのオスメスが個別に存在し、それに対して「ヘリコイドメス側がネジ込まれる基台が用意される」のが一般的です。ところが今回扱ったモデルは「ヘリコイドオス側がダイレクトに基台にネジ込まれる」設計を採っており、ヘリコイドの駆動制御に関しそこまで手を抜く必要が (当時のMINOLTAでさえ) あり得ないとの捉え方から、実際面で社内的に3ラインのf値で製品戦略を指揮してしまった以上、その予算配分に困っていたのが真の実情ではないかとすら感じています(汗)

・・要はそのように勘ぐりたくなるほどに、オドロキの設計だったと言う意味(驚)

このようになかなかロマンが尽きない設計概念を垣間見ることができるモデルなのですが、如何せんそのフローティングシステムは非常に神経質であり、製産時点をそのまま維持し続けていてくれさえすれば良いものの、リアルな現実にそんな個体など数えるほどしか存在せず、多くの個体が過去メンテナンスを経ているとなれば「グリースを塗られまくってしまったフローティング筒/昇降筒を復元するのは、ハッキリ言って至難の業」なのが明白だからです(涙)

これは特にOLYMPUSのフローティングシステム内に使われている「ポリエチレン環/リング/輪っか」を活用した駆動制御を、もっとMINOLTAも参考にするべきだったと、今回バラしてみて本当に強く感じたところです(泣)・・それほどポリキャップを介在させた駆動制御は素晴らしいモノがあり、いくら競合相手でも真摯に素直に見習うべきは見倣っておくべきだったと思ふ処で御座いまする(笑)

逆に指摘するなら、例え経年劣化進行が進んでいても「ちゃんと経年の酸化/腐食/サビを除去してから整備する」過去メンテナンスであったなら、何一つ問題が残らなかったとさえ結論できます (ポリキャップが無くても対応できるから)(涙)

・・詰まるところ、グリースに頼ったフローティング制御に組み立てるから拙いのです(涙)

  ●               

←左写真は1975年のレンズカタログからの抜粋で、この時のカタログに初めて「28㎜/F2」モデルが登場します (1974年までは製品化されていない)。

まさにこのカタログの説明通りで、大口径化した中でもフレアを恐れず、然し周辺域までしっかり解像感を追求していると誇らしげに語っています(涙)

↑このように1975年 (昭和50年) 12月9日時点のオプション交換レンズ群一覧に印刷されているのが分かります。

↑上の図面は特許出願申請書からの一部抜粋です。

公開番号「特開昭49-101020」1973年1月30日出願 (発明者:小倉敏布)
公開番号「特開昭54-164127」1978年6月16日出願 (発明者:中村昭義)

今回扱った「MD W.ROKKOR 28mm/f2」が左の特許出願申請書であり、その実施例「第4図」が該当しますが、量産型の (つまり製品化された) 光学系のカタチは光学硝子材との関係もあり必然的に変わっています。

また後に登場する「MD 28mm/f2」の特許出願申請書が右図になり、その実施例「第7図」が該当します。

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。

第1世代:1975年発売
MC W.ROKKOR-SI 28mm/f2
光学系:9群10枚レトロフォーカス型光学系
(第5群にフローティングシステム内包)
絞り値:f2~f16
フィルター枠:⌀ 55㎜

第1世代:1975年発売 (北米向け輸出専用機)
MC W.ROKKOR-X 28mm/f2
光学系:9群10枚レトロフォーカス型光学系
(第5群にフローティングシステム内包)
絞り値:f2~f16
フィルター枠:⌀ 55㎜

第2世代:1977年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f2
光学系:9群10枚レトロフォーカス
(第5群にフローティングシステム内包)
絞り値:f2~f22
フィルター枠:⌀ 55㎜
※絞り環にMD爪追加

第3世代:1978年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f2
光学系:9群10枚レトロフォーカス型光学系
(第5群にフローティングシステム内包)
絞り値:f2~f22
フィルター枠:⌀ 55㎜
※レンズ銘板にフィルター枠径の刻印追加

第4世代:1981年発売
MD 28mm/f2
光学系:9群9枚レトロフォーカス型光学系
(第5群にフローティングシステム内包)
絞り値:f2~f22
フィルター枠:⌀ 49㎜
※最小絞り値ロック機構 (ツマミ) を装備

モデルバリエーションの中で、他の焦点距離モデルなどに一部用意されていた欧州向けの輸出専用機「CELTIC (ケルティック) 」モデルがありません。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。なにしろ筐体サイズがバカでかいので、パッと見でまるでズームレンズのように見えてしまいます(笑)・・従ってバラしても並びきりません(汗)

↑ここからは数枚ですが、当初バラしている途中の写真を載せていきます。先ずは取り外したマウント部内部の写真です・・例によって先日このブログにアップしたMINOLTA製標準レンズMC ROKKOR-PF 55mm/f1.7《1970年製》(SR/MC)』と100%同じ「固着剤」を使い、全く同じ手法でトーションバネ (捻りバネ) の一端を固めて止めていました(汗)

ハッキリ言ってここまで同じ「固着剤」で同じ手法と言うのは、同一人物による整備としか考えらません(汗) トーションバネ (捻りバネ) のみならず、やはりマウント部内部の構成パーツの使い方をミスっており、当時の他の光学メーカー製オールドレンズのマウント部内部のミスとも全く同一なので「非常に多くの光学メーカー製オールドレンズを片っ端に整備している整備会社に在籍する整備者のミス」と当方では捉えており、おそらく相応に大手の整備会社ではないかとみています。

・・この整備者はパーツの使い方を完璧にマスターしていません!(汗)

ッて言うか、金属相手の整備作業ならまるで当たり前の事柄を理解しておらず、甚だ信じられない話です(驚) 当方は今までの14年間でたかが3,400本を超す程度の個体数しか扱っていませんが、大手の整備会社ですら10年でせいぜい4,000本であるのを鑑みれば、決して少ない数字ではないと捉えていますが、その中で相当数の個体のマウント部内部にこのミスを発見します(驚)・・おそらく100本を超えないにしても、まるでそれに近い本数ではないかと言う印象です(汗)

例えば当時のFUJICA製オールドレンズで言うなら、その8割弱の個体でマウント部内部のパーツに於いて100%同じミスを犯しており、そのせいで絞り羽根開閉異常を来し、挙句の果てには「ごまかしの整備」でその異常を正している始末で、このようなリアルな現実に同じ整備を志す者として全く以て信じられません(驚)

ましてやトーションバネ (捻りバネ) の役目と目的/効果を理解しないまま、オールドレンズの整備作業をしている時点で、そんな整備者を雇用している会社すら全く以て信用できません(驚)

ハの字型に左右に広がるその一端を「固着剤」で固められると、本来ハの字型の先端部分に向けてチカラを及ぼす効果が反転してしまい、もう一方の端に対するチカラの伝達が狂います。

もっと言うなら、どうして端部分のアール/丸みがピタリと金属棒の位置で合致しない設計で使われているのかすら、この過去メンテナンス時の整備者は分かっていません(笑)・・こういう事柄が本当に恥ずかしいことだと、どうして思わないのか本当に不思議でなりませんね(恥)

↑こちらの写真も当初バラしている最中に撮影しています。距離環のラバー製ローレット (滑り止め) を取り外したところです。フィルター枠をネジ込んだ後にテーピングして止めていますが、これは製産時点からこのように仕上げられているのを他のMINOLTA製オールドレンズで確認済です。

↑さらに解体を進めてようやく取り出したフローティング筒/昇降筒であり、絞りユニットや光学系前後具を格納する鏡筒でもあります。

・・外壁一面に「潤滑油」がビッチリ残っているのが分かります(汗)

↑同じフローティング筒/昇降筒たる鏡筒を、今度は前玉側方向から覗き込んで最深部の絞りユニットを撮影しています。すると「位置決め環」が節とされているものの、その上から鋼材で造られている「C型環 (グリーン色の矢印)」がハマッていて、さらに赤色矢印の3箇所に締め付け用のネジ穴が備わります。

するとここから見えてくる設計は「位置決め環を固定する手法はC型環でハメ込んで締め付けるだけ」なのが分かり、この「位置決め環は鏡筒に直接締め付け固定されていない」ことになります(汗)

↑さらにヘリコイドオスメスを外している最中の撮影ですが、ご覧のように過去メンテナンス時に塗布されたのは「白色系グリース」であり、既に経年劣化進行に伴い「濃いグレー状」に変質しているのが分かります。

今回のオーバーホール/修理ご依頼内容は「距離環を回すトルクが異常に重い」であるものの、その原因がここまでで既に2つ確認でき一つは「フローティング筒/昇降筒への潤滑油注入」そしてもう一つが上の写真「白色系グリースの塗布」です(汗)

ちなみに冒頭解説のとおり、一般的なオールドレンズの設計と異なり「基台にダイレクトにヘリコイドオス側がネジ込まれる設計」なのが一目瞭然です(汗)

通常は「基台にヘリコイドメス側かネジ込まれ」そのヘリコイドメス側に「ヘリコイドオス側がさらにネジ込まれる」方式が多いです。

今回のモデルのこの設計の特殊性は「実は距離環の駆動域があまりにも短い」が故にダイレクトに基台にヘリコイドのメス側ネジ山を切削しているのだと分かりますが「重要なのはその結果ヘリコイド駆動のトルク制御もダイレクトになってしまう問題を抱える」為、だからこそ塗布するヘリコイドグリースの成分/配合と性質が、組み上がった製品としての操作面でとても重要になる道理です(汗)

↑取り出したフローティング筒/昇降筒ですが、溶剤で洗浄し終わった状態を撮っています。すると赤色矢印で指し示している箇所が「平滑面なので平滑仕上げ」なのに「微細なキズが残っている」状況です(汗)

さらにグリーン色矢印で指し示している箇所は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」なのに、当初バラしている最中の (前に掲載した) 写真は「潤滑油だらけ」だった次第です。

すると当時のMINOLTAは、いったい何の為に敢えてワザと故意に「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」に仕上げたのかを過去メンテナンス時の整備者が全く理解していなかったことを示しています(笑)

要は「油成分が回らないよう仕切る目的で微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工に仕上げていた」のに、そこに過去メンテナンス時の整備者は「潤滑油」を注入したのです(笑)

しかも「平滑面の平滑性を一切取り戻さずにそのまま潤滑油注入でごまかした」が為に、結果経年の中で微細な擦れが増大しています(泣)

・・いったいこの何処に整備する意義があるのですか???(怒)

こういう「ごまかしの整備」がまるで横行しているのが今現在のプロのカメラ店様や修理専門会社様だったりするのに、どうしてそういうところで皆さんは平気でオールドレンズを購入できるのか本当に不思議でなりませんね(汗)・・どうしてこんな為体な整備が好まれるのか、当方にはまるで理解できません(驚)

・・いったいこの整備の何処に「プロ」や「専門店」の格付けを裏付けしているのか???

本当に誰か教えてほしいくらいです(笑) 14年間オーバーホール作業してきて、未だに当方はその理由を掴んでいません(汗)

・・皆さんはどうしてこういう整備が好きなのでしょうか???

↑同じフローティング筒/昇降筒ですが、裏側を撮影しています。するとホワイトマジックで「206」と書かれており、この書き方がニッポン人特有なのが分かります。

↑こちらはヘリコイドオス側ですが、今度は「205」と書かれています。他の構成パーツにも「205」がマーキングされている為、この数字は「製造番号ではなくこの整備会社の管理番号」であるのが推察できます(汗)

・・何故なら、製造メーカーはこのように構成パーツにマーキしません (当たり前です)(笑)

するとここから推察できる話が見えてきました(汗) 残念ながら今回の個体は「ニコイチ」している個体です。

転用してきたのは「206」と言う管理番号の光学系前後群とフローティング筒/昇降筒に絞りユニットです・・平たく言うと光学系含めた鏡筒をゴッソリ丸ごと転用してきています(汗)

他の構成パーツは全て「205」の管理番号なので、そこから推察して「ニコイチ」の話に至ります(涙)

ちなみに上の写真、ヘリコイドオス側のネジ山以外の領域も「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」なのが一目瞭然ですね (つまり油成分の流入を嫌っている処置のメッキ加工)(笑)

↑ここからは完全解体が終わり、全ての構成パーツに対して当方の手による『磨き研磨』が施され、オーバーホールの組立工程に入っている写真撮影になります。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒ですが、このモデルではフローティング筒/昇降筒でもあります。

外壁のシルバー部分は、当方の手により既に「平滑研磨」を施して仕上げてあり、いつもの『磨き研磨』とは別の処理です。「平滑研磨」はまさにそのコトバのとおり平滑性を担保する必要がある為、普通の『磨き研磨』ではまるで対応できません(汗)・・それは金属材同士が互いに100%接触し合いながら回転なり、スライドなり、任意の方向性を以て駆動する部位を指すからです。

その一方で中間域の仕切りを意味する「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」は、その梨地仕上げに見合う『磨き研磨』を施してあり、これも普通の『磨き研磨』とは異なります。微細な凹凸があるメッキ加工である以上、普通に『磨き研磨』してしまうと剥がれてしまいますが、その凹凸面の奥までちゃんと磨かれている必要があります(笑)

その意味で「磨く」と言うと何でもただ磨けば良いと受け取られがちですが、相手が金属材である以上、それを勘案して処置を進めるべきなのは当たり前の話です(笑)

↑絞りユニットの構成パーツで「位置決め環 (左)」と「開閉環 (右)」であり、右の「開閉環」から飛び出ている金属棒が「開閉アーム」であり、マウント部内部の「操作アームの先端に備わる爪」によってガシッと常時掴まれたまま、絞り羽根を開いたり閉じたりの動作が伝達されます。

・・いずれも油染みを嫌う為、やはり微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工です。

ちなみに左側「位置決め環」とマット仕上げですが、右側「開閉環」は絞り羽根が擦れながら開いたり閉じたりの動きをする為「平滑梨地仕上げ」だったりします (だから見え方も肌触りもまるで違う)(笑)

↑仮組みすると、こんな感じでヘリコイドオス側の内側にフローティング筒/昇降筒が入ります (グリーン色の矢印)。

フローティング筒/昇降筒 (グリーン色の矢印) をヘリコイドオス側の内側に差し込む際、実はちゃんとしっかりとシルバーな光彩を放っている部分を「平滑研磨」していれば「ふわぁ~ッ」と入っていく、まさに空気の抵抗を感じる感触になります。

ところがシルバーな部分の微細なキズ/擦れ痕が多く残っていると (本来製産時点は平滑研摩に仕上げられている為、そのような微細なキズ/擦れ痕が付いていない為)、その微細なキズ/擦れ痕の凹凸によってフローティング筒/昇降筒がスムーズに入っていきません (途中で引っかかってそこで再び新たなキズ/擦れ痕が付いてしまう)。

それ故、過去メンテナンス時の整備者の多くは「グリースや潤滑油の注入に頼ってフローティングシステムを組み立てていく」から、余計に経年劣化進行に伴い微細なキズ/擦れ痕が増えていく悪循環にハマります(涙)

最終的に、それら微細なキズ/擦れ痕のレベルが致命的な凹凸/深さまで到達すると、もはや「平滑研磨」しても受け付けず、その個体のフローティングシステム自体が破綻し (グリースや潤滑油を注入しても軽い操作性に仕上がらないから)『製品寿命』を迎えます(涙)

微細なキズ/擦れ痕が増えたのなら再び研磨して「平滑性を復活させれば良い」と考えられがちですが、大きな問題をすっかり忘れています(笑)

寸法公差」という問題があり、必要以上に研磨してこのシルバーな部分の厚みが減っていくと、最終的にヘリコイドオス側内壁との隙間が空いてしまい「互いに齧り合う金属融着」と言う、まさにヘリコイドネジ山のカジリ付現象に似た現象が起き、その時点でフローティングシステムは破壊され機能しなくなります(怖)

すると距離環を回しても異常に重い操作性にしかならないので、必然的に『製品寿命』の如く扱われる運命しか待っていません(涙)

このような『製品寿命』を迎える経緯をみていけば一目瞭然で、過去メンテナンス時の整備者による所為こそが間違っており、むしそれら整備によって早い時期にその個体が『製品寿命』を迎えるべく進んでいることを示しています(泣)

従ってフローティングシステムに組み込まれているフローティング筒/昇降筒の「平滑研磨」は100%その整備のタイミングで必須項目であり、且つグリースや「潤滑油」注入など以ての外であることを、当方はさんざんOLYMPUS製「F2シリーズ」のフローティングシステムを整備してきて、イヤと言うほど思い知っています (先ず以て白色系グリースが塗られていない個体を見たことがないのがリアルな現実)。

・・平滑性の追求にグリースや「潤滑油」を使えば良いと言う考え方は、本当に恐ろしい(怖)

金属相手に整備作業しているのに、肝心なその金属やメッキ加工のことを一切研究せず、自分の思い込みだけで処置していくから次から次へと『製品寿命』に向けてまっしぐらです(涙)

・・世知辛い世の中です、本当に(涙)

↑このような位置まで内部にフローティング筒/昇降筒が入り込みますが、この時「グリースや潤滑油などは一切塗らずにダイレクトにそのまま互いが接触しながら入り込み駆動する」のが原理です。

その根拠は「一方が微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工で、もう一方が平滑メッキ仕上げだから」です(笑)・・ここにグリースや「潤滑油」を注入するから、どんどん微細なキズが増えて、やがて『製品寿命』を迎えます(涙)

ハッキリ言って、冒頭でご紹介したOLYMPUS製「F2シリーズ」やマクロレンズなどは、ほぼ間違いなく光学系内にフローティングシステムを内包するモデルなので、距離環操作時のトルクが重くなってきたら、限りなく『製品寿命』に近づきつつあると認識すべきなのに、誰も何も処置しようと考えません(笑)

すると今回の個体のように「潤滑油」を注入していっとき (自分が所有している間だけ) 軽い操作で使えれば良いと考える「利己的な/自己中な人間ばかり」だからこそ、オールドレンズは50年後には『絶滅危惧種』だと述べています(涙)

・・まぁ~その頃、当方はもう居ないので構いませんがね(笑)

上の写真でヘリコイドオス側の上部には両サイドに「斜め状に開口部/スリット/切り欠きが用意」されており「グリーン色の領域8.03㎜」に対し「ブルー色の領域7.17㎜」なので、その高低差「0.85㎜」と言う計算になります。

この「0.85㎜」こそがフローティング筒/昇降筒が水平に、同時に垂直にスライドしながら光学系第4群真下に接近したり離れたりを距離環操作に連動して駆動している仕組みです。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑鏡筒たるフローティング筒/昇降筒最深部に絞りユニットをセットしたところです。

↑前玉側方向から中を覗き込むとこんな感じです。「位置決め環」をグリーン色の矢印で指し示している箇所の「C型環」が鋼材なので、強力なチカラで押し込みながら押さえ込みつつ、同時にブルー色の矢印で指し示している「締付ネジ」によって締め付け固定されますが、その締め付ける先が「この鏡筒/フローティング筒/昇降筒ではない」点に、ちゃんと意味があるワケです(笑)・・逆に言うなら、どうしてワザワザ「C型環」を使うのか、ですね(笑)

↑上の写真はフローティング筒/昇降筒をヘリコイドオス側の両サイドに備わる開口部/スリット/切り欠き部分に固定する役目の「フローティングキー」ですが、単なるネジではなく赤色矢印で指し示している箇所は「平滑仕上げ」である必要があります。

その一方でネジ頭のグリーン色の矢印で指し示している箇所は平坦なままなので (丸まっていない)、ヘリコイドオス側の外壁から外には顔を出さない原理なのが確定します(汗)

↑上の写真はヘリコイドオス側の内側で。開口部/スリット/切欠きの上部に残る「擦れキズ」を拡大撮影しています。赤色矢印グリーン色の矢印の両端で斜め状に残っていることから、経年で擦れていたのが明白です。

フローティングシステムの駆動時には (つまり距離環操作時は)、その高低差「0.85㎜」があるので、必ず上の写真のようにフローティング筒/昇降筒とこのヘリコイドオス側内壁が互いに100%完璧に接触し合い擦れていたことを意味しています。

その際製産時点なら「グリースや潤滑油をこのフローティングシステム内に注入しない」ので、このような擦れ痕が残ることはあり得ませんが (実際上の写真を見ても赤色矢印グリーン色の矢印で指し示している箇所以外には、互いが接触しながら擦れていたのに擦れ痕が残っていない)、チカラの影響を受ける箇所のみ擦れていたことがこの痕跡だけで判明します(涙)

詰まるところ「潤滑油」を注入しても、このように擦れまくっていたワケで、意味が分かりません(笑)

↑実際に組み上げるとこんな感じに仕上がります。もちろんフローティング筒/昇降筒にはグリースや「潤滑油」などは一切注入していません(笑)・・グリーン色の矢印で指し示している箇所に前述の「フローティングキー」のネジ頭が見えており、述べた通り開口部/スリット/切り欠きからネジ頭が飛び出していないのが明白です。

↑薄い板状の銅板が用意されています。真っ黒に酸化/腐食/錆びが進んでいましたが、キレイに磨いて仕上げてあります。

↑銅板がヘリコイドオス側の開口部/スリット/切り欠き部分をグルっと覆って塞ぎます。この薄い銅板の役目は「フローティングキーの近辺への塵/砂などの侵入を防ぐ目的」があります。

↑基台ですが、このモデルではヘリコイドメス側のネジ山が直接刻まれています。

↑ヘリコイドオス側を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で6箇所のネジ込み位置がある為、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります

黄銅材の制限板を固定して距離環の駆動域を限定します。赤色矢印で指し示している箇所が無限遠位置「」刻印にあたり、反対側のグリーン色の矢印で指し示している箇所が「最短撮影距離30cm」を意味します。

↑この状態でヒックリ返して裏側を撮影するとこんな感じです。絞りユニットから飛び出ている「開閉アーム」が見え、ブルー色の矢印で指し示している「円形バネ」によって常時絞り羽根を閉じるチカラが働いているのが分かります。

またフローティング筒/昇降筒の両サイドには「直進キー」か締め付け固定されます。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑距離環をセットしたところです。赤色矢印で指し示している箇所にあるプレッシングされている窪みが距離環の駆動域を決めている停止キーの役目です。

↑フローティング筒/昇降筒の内部を見ると、こんな感じで光学系第5群が絞りユニットの直上に既にセットされています。つまりこの光学系第5群だけがフローティングしていることを意味します。

↑フィルター枠をネジ込んで最後にテーピングします。

↑マウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して、当方の手による『磨き研磨』を終わらせた状態で撮影しています。

↑マウント部内部にはこのような構成パーツが組み込まれのす。そもそも当初バラしている最中のチェックでは「操作アーム伝達アームが互いに擦れ合う為、グリースを塗っていた」ワケですが「観察と考察」すれば一目瞭然で「操作アーム側は金属材のまま」であるものの (もちろんメッキ加工されています)、一方の「伝達アーム側は微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」なので、そもそもグリースを塗る必要がありません(笑)

・・そういう事すら、過去メンテナンス時の整備者は理解していません(笑)

↑取り外していた各構成パーツも全て『磨き研磨』を終わらせてセットします。赤色矢印で指し示している箇所にも当然ながら「固着剤」など塗りませんし、他にもグリースや「潤滑油」なども一切注入しません・・もちろん過去メンテナンス時の整備者がミスっていたパーツの使い方も正しています(笑)

・・これが真の製産時点たる組み立て工程です(笑)

最後はこのマウント部を基台にセットして、光学系前後群を組み込めば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。フローティング筒/昇降筒の「平滑仕上げの復元 (残っていた経年の微細な擦れを除去する研磨)」作業は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工のヘリコイドオス側内壁との接触具合」にプラスして、実際のヘリコイドオスメスのトルク加減を見合いながら、最終的に7回にも及ぶ組み直しの中でようやく組み上げられ、どんだけ神経質なのか思い知らされた感じです(涙)

・・すっかり懲りたので、今回が最初で最後の扱いです(涙)

↑ニコイチされていた光学系ですが、光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

・・と言いたいところですが、残念ながらフローティング筒/昇降筒の光学系第5群、2枚貼り合わせレンズはおそらく蒸着コーティング層の経年劣化進行に伴い非常に薄いクモリが現れ始めています。

光学系第5群を単独で取り出して手にしてチェックしたものの、バルサム切れではないのが確認できたので不幸中の幸いではありますが、コーティング層の劣化が進んでいますから、おそらくこの個体の光学系は今回の整備が最後になると思います。

↑後群側もスカッとクリアで極薄いクモリすら皆無です。ここで気がついたと思いますが、グリーン色の光彩ばかり放つ光学系前群に対し、この後群側はパープルアンバーだったりします(笑)

実際光学系を取り出して確認しても、光学系前群は「第1群前玉ブルーグリーン (表裏)」に対して「第2群第5群グリーン」と言う徹底ぶりです。ところが光学系後群側になると一転して「第6群第9群パープルアンバー」なので、ここから超えてくる設計の意図は「後群側で解像度重視の光学設計」だったのがみてとれます。

そこで念のために放射線量を計測すると「第1群前玉0.07µSv/h、第2群0.08µSv/h、第3群0.06µSv/h、第4群0.05≦µSv/h、第5群0.06µSv/h」一方光学系後群側は「第6群0.05≦µSv/h、第7群0.08µSv/h、第8群0.08µSv/h、第9群0.05≦µSv/h」と言う結果でした。

↑6枚の絞り羽根もきれいになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を塗布したものの、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

但し、フローティングシステムを内蔵するが故の抵抗/負荷/摩擦感が僅かに掴んでいる指には伝わってくるので、その点がまさに冒頭で解説したOLYMPUS製「F2シリーズ」との違いの一つでもあるように考えられます(汗)

そしてもっと言うなら・・そのOLYMPUS製「F2シリーズ」のフローティングシステム内で使っている「ポリキャップ」の存在と、それを介在させたチカラの伝達制御を執る設計概念で造られていることが、最終的な操作性を左右させているとも指摘でき、きっと整備の裏側を知らない皆さんには「たかがポリキャップがそんな操作性を左右させる要因になるのか???」と疑心暗鬼でしょうが、オールドレンズと言えども金属相手の整備世界となれば、本当に極々僅かなチカラの伝達ロスさえも操作性を低下させる要因に至るのだと、当方は痛いほどよ~く知っています(怖)

・・ポリキャップのおかげで「F2シリーズ」は整備結果をちゃんと明示できるのです(涙)

もちろん当方が施すオーバーホールでは、フローティングシステム内にグリースや「潤滑油」の類は一切注入せず「まさにポリキャップの真髄をその効果として示すことができる」からこそ、素晴らしい操作性に仕上げられているのです(笑)

↑その他ご報告すべき瑕疵内容は残っていません。ご依頼内容の思いトルク感は相当なレベルで改善できていますし、そもそもピント面の解像度感もカメラ側ピーキングの反応で確認する限りは、当初バラす前よりも増しているように感じます(汗)

なお、当初バラす前時点の実写確認時は僅かなアンダーインフ状態だったので、無限遠位置をピタリに合わせてあります。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離28㎜開放F値f2.0被写体までの距離16m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度8.5m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、10m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の20m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。もうほぼ絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。本日2本まとめて厳重梱包し、クロネコヤマト宅急便にて発送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。