◎ mamiya (マミヤ) AUTO mamiya/sekor SX 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)

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SX5514(0603)レンズ銘板

Mamiya_logo100マミヤのことはあまり詳しくありません (元々当方はフィルムカメラに関しては無知です)。オールドレンズに関してもそれほど知っているワケではありません。大判サイズ用フォーマットのレンズとして世田谷光機での委託生産も行っていたようですが1964年にマミヤの浦和工場で生産が開始されると委託生産をやめマミヤでの内製をしていたようです。

1966年にフィルムカメラ「TLシリーズ」が発売されるとその交換レンズ群が用意され「mamiya/sekorシリーズ」や「AUTO mamiya/sekorシリーズ」が登場しますが、後の1974年にはフィルムカメラ「MSXシリーズ」用として「SXシリーズ」交換レンズ群も用意されたようです。

この「mamiya/sekorシリーズ」の交換レンズ群の中で特に標準レンズ「mamiya/sekor 55mm/f1.4」に関してはこちらのページでも解説していますが富岡光学製によるOEM供給レンズでした。そもそも大判サイズのオールドレンズとは生産拠点を分けていたのかも知れませんね・・。

mamiyasekor-55mmf1.4構成図この「AUTO mamiya/sekor 55mm/f1.4」にはモデルバリエーションとして「前期型・後期型」が存在しています。光学系は5群7枚の拡張ダブルガウス型で分類としてはBiotar型に属すると思います。富岡光学製OEMモデルですから、当然ながらその描写性は富岡光学製オールドレンズに通ずる写りなのですが、今回のモデル「SXシリーズ」をバラしてみたところ何と後玉のコーティングが今までに見たことがない輝きでした・・具体的に表現すると「桜色」に光彩を放つコーティング層を蒸着しています。この輝きは製品の後玉を光に反射させてもなかなか上手く見えません。バラして清掃している際に判明しました・・もちろん下の掲載写真でパーツの全景写真で並べているところでもコーティング層の輝きの色合いが確認できます。ワザワザ後玉に施したこのコーティング層が実際に描写性にどのような影響を与えているのでしょうか? 興味津々ですね・・ご落札頂いた方は是非ともそのあたりの実写比較もして頂ければと思います。

当方での扱いは今回初めてであると同時に市場にはなかなか出回らないモデルでもあります。「開放測光用のピン」を外してある個体も少ないでしょうし、M42マウントアダプタとの関係も記載していることもあまり無いでしょうか・・次回の扱い予定は未定ですのでお探しの方は是非ともご検討下さいませ。

SX5514(0604)24前期型:ブラック

シルバーとのツートーンモデルも存在し、いずれもYASHICAのモデルとの共通パーツを内部に使っています。この当時のモデルのコーティングはモノコーティングの時代です。

SX5514(0604)25前期型:ツートーン

上のブラックの別カラーリングモデルです。YASHICAにも同じバリエーションが存在しています。典型的なM42マウントモデルです。


SX5514(0604)27後期型:輸出向け

アメリカの「SEARS」向け輸出品として供給されていたモデルです。「SXシリーズ」が原型なのでマウント面に「開放測光用ピン」が有ります。距離環ローレット上下に「銀枠飾り環」を配しレンズ銘板は「金属製」でした。

SX5514(0604)26後期型:輸出向け

「Rollei」向け輸出品として供給されていたモデルで「Rolleinar-MC 55mm/f1.4」です。

SX5514(0603)仕様

SX5514(0603)レンズ銘板

 オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を掲載していきます。

すべて解体したパーツの全景写真です。

SX5514(0604)11ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。上の写真で中央の白紙に並べた光学硝子レンズの中心・・桜色に光り輝く後玉があります。

構成パーツの中で「駆動系」や「連動系」のパーツ、或いはそれらのパーツが直接接する部分は、すでに当方にて「磨き研磨」を施しています (上の写真の一部構成パーツが光り輝いているのは「磨き研磨」を施したからです)。「磨き研磨」を施すことにより必用無い「グリースの塗布」を排除でき、同時に将来的な揮発油分による各処への「油染み」を防ぐことにもなります。また各部の連係は最低限の負荷で確実に駆動させることが実現でき、今後も含めて経年使用に於ける「摩耗」の進行も抑制できますね・・。

SX5514(0604)12絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。

SX5514(0604)136枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

SX5514(0604)14こちらは距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

SX5514(0604)15ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

SX5514(0604)16鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルには全部で11箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

SX5514(0604)17こちらはマウント部内部の各連動系・連係系パーツを外して「磨き研磨」を施した状態の写真です。

SX5514(0604)18このモデルでは絞り環をマウント部内部から固定しているのでマウント部内部に各連動系・連係系パーツをセットすると同時に一緒に絞り環も組み付けなければイケマセン。

SX5514(0604)19鏡筒に光学系前後群を組み付けます。

SX5514(0604)20マウント部を基台にセットしてから距離環を仮止めして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

SX5514(0604)1後期型なのでレンズ銘板は従来の金属製からプラスティック製に替わっています。富岡光学で作られOEM供給されていた最後のモデルになります。

SX5514(0604)2光学系内の透明度はとても高く大変クリアです。但し、経年の拭きキズや極微細な薄いヘアラインキズは複数存在しています。

SX5514(0604)2-1こちらは前玉の極微細な点キズを拡大撮影していますが、微細すぎてすべて写っていません。

SX5514(0604)9光学系後群もキレイになりました。光に反射するとほんのりと「桜色」を帯びているでしょうか・・。

SX5514(0604)9-1後群のキズの状態を拡大撮影しています。後群のほうが前群に比べると経年の極微細な点キズは多目です。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
前群内:11点、目立つ点キズ:6点
後群内:16点、目立つ点キズ:9点
コーティング経年劣化:前後群あり
カビ除去痕:あり、カビ:なし
ヘアラインキズ:複数あり
・その他:バルサム切れなし。光学系内には極微細なヘアラインキズや拭きキズが複数あります。
・光学系内の透明度が非常に高い個体です。
・光学系内はLED光照射でようやく視認可能レベルの極微細な拭きキズや汚れ、クモリもありますがいずれもすべて写真への影響はありませんでした。

SX5514(0604)36枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。

ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感があまり感じられないとてもキレイな状態をキープした個体で、筐体外装には「磨き」をいれたので落ち着いた美しい仕上がりになっています。

SX5514(0604)4

SX5514(0604)5

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SX5514(0604)7【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドのグリースは「粘性:中程度」を塗布しています。距離環や絞り環の操作は大変滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通」で滑らかに感じ完璧に均一です。
・ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する場合には外径:59mm以内、或いはマウント面の突出量1mm以上のマウントアダプタをご使用ください。またマウントアダプタとの相性に拠っては絞り羽根の駆動が影響を受けて最小絞り値「f16」まで閉じないことがありますがレンズ側の問題ではないのでクレーム対象としません、ご注意ください (マウントアダプタとの相性に拠る返品・返金・キャンセルは受け付けません)。相性が問題になるマウントアダプタでも「f11」までは正常駆動します (当方所有M42マウントアダプタ11個で確認済:マウントアダプタとの相性があります)。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

SX5514(0604)8当方での扱いは今回が初めてになりますが、内部の構造化から見ればYASHICA製「AUTO YASHINON-DX」や「YASHICA LENS ML」などのシリーズと同一の構成パーツが使われていますし、もちろんRolleiに供給されていた「Rolleinar」モデルとは瓜二つです。しかし、数多くある富岡光学製OEM派生型モデル「55mm/f1.4」の中でも後玉に「桜色」のコーティングを蒸着したモデルはありませんでした。その描写性が気になるところですが試写した印象としてはほんのりと画全体にマイルド感を与える効果があるように感じます。いわゆる富岡光学製オールドレンズの画造りなのですが、その中でもより優しさを伴う印象でありボケ味の煩さも僅かに大人しく見えます・・なかなか魅力的なモデルです。

SX5514(0604)10当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。

SX5514(0604)21こちらはマウント面の解説をしました。マウント面から突出している「開放測光用のピン」を既に取り外していますので一般的なM42マウントアダプタに装着しての使用が可能です。但し、絞り環から縁が1mm飛び出ていますから装着するM42マウントアダプタはその外径が「59mm以下」でなければ当たって最後までネジ込めなくなります・・つまり無限遠が出ない (合焦しない) ことになります。

もしもマミヤのフィルムカメラに装着してご使用になるのであればご落札後にお申し出下さいませ。外している「開放測光用のピン」を打ち込んでからお届けします (ミラーレス一眼でマウントアダプタ経由ご使用でも外してある「開放測光用のピン」は同梱して発送します)。

SX5514(0604)22念のためにM42マウントアダプタ側の解説をします。マウント面が平坦なM42マウントアダプタの場合には上の写真の通り製品外径が「59mm以内」のモデルを装着してご使用下さいませ。但し、それでも「絞り連動ピン」を強制的に押し込む底面の深さは製品によってマチマチなので「相性」が存在することにご留意下さいませ (相性に係る返品・返金・キャンセルなどは受け付けません)。

SX5514(0604)23同じM42マウントアダプタでもマウント面に突出があるモデルも存在します。この場合出っ張り量が「1mm以上」あれば絞り環の縁とは干渉しないのでご使用頂けます。上の写真ではちょうど1mmなので干渉しないことを確認しています。

当方では所有しているM42マウントアダプタが全部で11個あります。すべてで装着確認をしたのでほとんどの相性に関しては把握しています。万一トラブルが起きても相性に関する対応は致しません・・ご自分で解決してください。相性のすべてを出品ページに逐一書き出すことはできませんし、そもそもオールドレンズとの相性に関わる問題は「オールドレンズと付き合う上でのリスクのひとつ」との認識が当方の考えですので、それにご賛同頂けない方は決してご落札頂かぬようお願い申し上げます。そのような方々はプロのカメラ店様や修理専門会社様で扱っているオールドレンズをお買い求め頂くのが最善と思います・・当方の出品レンズ落札、或いはオーバーホール/修理のご依頼は決してされぬよう切にお願い申し上げます。

なお、YASHICAのオールドレンズや一部の富岡光学製オールドレンズとマウントアダプタとの関係でよく発生する不具合に「絞り羽根が最小絞り値まで閉じない/動かない」と言う現象があります。今回の出品個体も同様でM42マウントアダプタとの相性に拠っては最小絞り値「f16」まで絞り羽根が閉じないことが起こります。これはM42マウントアダプタの「強制絞り連動ピン押し込み底面」の深さの相違による相性なので出品個体のレンズ側の問題ではありません。

よく不具合の判定として「他のオールドレンズでは問題が無いのにこのレンズだけ不具合が起きる」とのご指摘で返品してくる方がいらっしゃいます。そもそもフィルムカメラだけの時代ではフィルムカメラ側ボディ内の「絞り連動ピン押し込み板」にはクッション性があり適度なチカラで絞り連動ピンを押し込む構造となっていましたが、現在のミラーレス一眼などにM42マウントアダプタ経由装着する際は絞り連動ピンは強制的に最後まで強いチカラで押し込まれてしまいます (そのチカラも強制押し込み底面の深さでマチマチ)。

さらにオールドレンズ側の問題としてマウント部内部 (或いは絞りユニット裏面) の連動系・連係系機構は規格が存在せず各社各様の方式で設計しているため、絞り連動ピンに架かった必要以上なチカラの逃がし方や構造も異なります。従って「他のオールドレンズで問題が無いのに」と言う前提はそもそも成り立ちません。たまたまその不具合が生じているオールドレンズの構造が影響している場合もあるのです。そのような事柄を逐一書き出すことはしません・・それがオールドレンズとの付き合い方です。

オールドレンズが装着されるカメラボディ側がフィルムカメラからミラーレス一眼へと変わってきた現代に於いてオールドレンズ側の設計や仕組みそのものは数十年前の生産当時のままです。それがオーバーホール/修理したからと言って何ら変わるものではなく、これは改造/改修の領域に入る話でありオーバーホール/修理とはそもそも概念が違います。それらを一緒くたにして指摘/クレームをつけてくるのは甚だ遺憾であり当方は一切対応しません。