〓 Ernst Leitz GmbH Wetzlar (エルンスト・ライツ・ヴェッツラー) Summicron 5cm/f2 (2nd)《沈胴式:1955年製》(LM)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、旧西ドイツは
Enrst Leitz Wetzlar製標準レンズ・・・・、
Summicron 5cm/f2 (2nd)《沈胴式:1955年製》(LM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のライカ製標準レンズ「Summicron 5cm/F2 沈胴式」だけで捉えると18本目にあたりますが、今回扱った「2ndモデル」だけでカウントすると17本目です。

孫が夏休みで自由研究に取り掛かっているとのことで、真に微笑ましいですが、それならと当方も勢いづき自由課題に取り掛かりました・・!(笑)

今回の個体は当方による完全解体のオーバーホールが終わっていますが、残念ながら改善できなかった瑕疵が幾つも残っています。それを受けオーバーホール済でのヤフオク出品に際し『ジャンク扱いでの出品』としているので、興味がある方はお好きな価格でご検討頂けると
幸いです(汗)

・・当方は仕上がりが納得できないと『ジャンク扱い出品』するポリシ~です(汗)

そもそも今回の個体は、以前から当方を懇意にして頂くファンの方から譲り受けた個体です (ちゃんとウン万円払って買い入れています)。もちろん今現在市場流通する価格帯からみれば「お安くゲット」ではあるものの(笑)、既に現れていた複数の瑕疵内容が分かっている中での入手なので、なかなか悩ましいところです(汗)

従って「支払ったウン万円 vs 修復できるか否かの期待値」との天秤にかけ、手に入れた次第ですが・・蓋を開ければなかなかどうして(汗)

・・詰まる処、こんな結末に至り、どうぞお笑い下さいませ(涙)

要は整備を始めて13年も経っているのに「自分の技術スキルの低さを思い知った」ワケで
(汗)、予め事前に瑕疵内容の全てを逐一知らされているのに「それを全て修復できないスキルの低さ以上に、自らの甘さや自惚れにひたすらに猛省」です・・情けない(涙)

そんなワケで、徹底的に納得できない仕上がりでのオーバーホール済ヤフオク!出品ですので(汗)、それを重々勘案してご検討頂ける方がいらしたら、是非ともお願い申し上げます(涙)

そもそものこんな瑕疵に至った経緯・・

前所有者様の案内によると、手に入れた個体が届きチェックしたところ「撮影した写真に偏芯を確認した」ことから、光学系をバラしてもう一度ちゃんと格納し直そうと考えたそうです。
(その際ついでに光学系清掃まで済ませてしまおう)・・至極道理に適った話です。

ところがバラし始めたところ、光学系第2群が引き抜けず、おそらくそこで傾いていると認識されたようです (だから撮った写真に偏芯が現れている)(泣)

しかし第2群を裏面側から押してもビクともせず、そもそも格納箇所の内壁に経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビが酷く残り、ついに諦めたようです(涙)

それならばと沈胴筒を抜いて、ヘリコイドグリースを入り替え、距離環を回した時に感じる
トルクムラを改善しようと考えたのが間違いでした(涙)

距離環のトルクムラがヘリコイドグリースの問題ではなく「距離環の変型」であるのを発見し
工具を使いカタチを整えたものの、その結果キズだらけになってしまいました(汗) さらに
抜いた沈胴筒が入れられない現実に遭遇し、且つツマミ操作まで硬くなりました(涙)

結果、当方に売却することを考えられたようです・・(涙)

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
鏡筒内部の経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビが酷い (硝子レンズが入らない)。
不必要な箇所に反射防止黒色塗料を塗っている。
沈胴筒が入る箇所の不織布がはだけてしまい入れられなくなっている。
距離環とマウント部に凹みやキズ、スレが多い。

 トルクムラが残ったまま改善されていない。
ツマミのロックが硬くなり解除しにくい。

《バラした後に新たに確認できた内容》
空転ヘリコイドの封入環が外せなくなっている。
距離環とマウント部のカタチを整えるのにキズだらけになっている。
白色系グリースに潤滑油が注入され、粘性を帯び始めている。
マウント部の爪が硬くて締め付けできなくなっている。
もしかしたらマウント部の爪が転用されている???

・・とこんな感じでした(汗) まぁ〜どうにかなるかも知れないと考えた当方が浅はかすぎたワケですが(恥)、簡単に修復できるシロモノではありませんでした(涙)

↑上の図は、前回扱った同型モデルのブログページからの転載です。今回の個体が「間違いなく2ndモデルである証拠」こそが、上の構成図でグリーン色の矢印が指し示す「空気層の厚み」により明白になるからです。

逆に言うと、今回の個体を扱って確信を得ましたが「鏡胴の各部位は今までに転用されまくっている」ために、製造番号や筐体外装の状況だけを根拠にしてこの沈胴式タイプだけは「1stモデル2ndモデルを確定できない」のが・・
リアルな現実です(涙)

そのため、最低限「光学系だけでもどちらのタイプなのかの根拠を得たかった」からこそ解説用に上に再掲示しています。

これは今回扱った個体に限った話ではなく、現在ヤフオク!などに流通している個体さえも、はたして光学系内まで間違いなく製造番号に匹敵する内容で実装されているのかを確認すれば、意外と合致しなかったりします(笑) もっと言えば、光学系内に限らず、下手すれば鏡胴「前部」がごっそり丸ごと転用されていたり「1st/2nd」を区別するのに最も分かり易い「筐体外装の意匠の相違」すら、鏡胴「後部」を丸ごと入れ替えられていたら「???」です(笑) 沈胴筒にしても内径が同じなので転用が可能ですが、実は今回の個体のように「沈胴時スライドする溝の刻みが、マウント部の溝の刻み込みと僅かに違う」ことが判明しました。

と言うのも、今回オーバーホールしてみて『ジャンク扱い出品』しかできないとの判定に至った時点で、直近で落札された同型モデルの価格帯を調べてみました(涙)

直近の凡そ51本の沈胴式 Summicron 5cm/f2を「1st/2nd」の両方でピックアップして
価格帯を調べましたが、その際製造番号が全く以て混在してしまっている点と合わせて、光学
系の蒸着コーティング層までバラバラに混在している事実を知り「これは部位別にパーツ転用
されている
」との認識に至りました(涙)

残念ながら、現在市場に流通している個体の多くは、純粋に「製造番号を基にしたモデルバリ
エーションの把握ができない
」上に、さらに大きく分けると「鏡胴前部/後部光学系の前部/後部沈胴筒とマウント部の関係性マウント部と爪との関係性」という4つの部位別に拠る「パーツの転用」の混在を確認しました(汗)

この4つの部位は、厳密に関係する構成パーツを互いにチェックしていけば、自ずと微妙な
位置ズレや切削の違いを知ることになります (今まで完全解体してオーバーホールしているから知っている)(汗)

大きく分けてこれら4つの部位別にパーツ転用できてしまうワケですが、実は厳密に言うと「転用できても微妙に適合性が違う」のが、今回の個体を完全解体して理解できました(汗)
(今回扱った個体の沈胴筒スライドが引っかかる問題と爪の硬いロック/解除)

その意味で、なかなかオソロシイ状況に至っているのがライカ製オールドレンズの「メンテ
ナンス時に施されたアッチコッチの入れ替え
」と言うリアルな現実です(怖)

そこで「せめて光学系だけでも」との思いから、モデルバリエーションを確定するための根拠に据えたのが上に挙げた図で「光学系前群に使われているシム環の厚みをチェックすることで1stと2ndの相違を確定できる」のを根拠としています(汗)

左の図は1952年に提出された特許出願申請書『FR1061347』の掲載図面を引用しています。また次2つめの構成図はタップすると拡大しますが、その特許出願申請書を基に製品化された「1stバージョンの光学系トレース図」であり、右端が今回の個体と同じ「2ndモデルのトレース図」です (いずれもオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図)。

掲載した構成図ではグリーン色の矢印で指し示している箇所に「第1群前玉と第2群との間に隙間を用意するシム環が挟まっている」のを明示しています。一方赤色矢印で指し示している箇所には1stも2ndも関係なく「シム環が存在せず、直接第3群と第4群が重なり合う」光学設計であるのを確認済です (つまり第3群と第4群の互いの曲がり率で空気層の厚みを変更している)。

シム環
必要なスペースを用意したり、バックフォーカス適合目的に距離を微調整する為の薄いリング

そこで「1st/2nd」根拠となる「シム環の厚みの違い0.27㎜ (1st)、0.18㎜ (2nd)」に倣い、今回扱った個体が「0.18㎜」であったのを根拠として「2ndモデルの光学系と確信を得た」と指摘できます(汗)

鏡胴のカタチがどうのこうのとか、コーティング層の光彩がどうだとか、そう言う次元の話ではなく「明確な実測値から捉えた検証結果」として、モデルバリエーションを確定できるのだと言っているのです(汗)

従って、より厳しく正しく正確に捉えようとするなら、現在市場流通している個体を入手した際に「シム環の厚みを調べるモデルバリエーションの整合性を担保する一つの証拠になる」事になり、単に製造番号だけに頼ってあ~だこ~だ考察するよりも、より確実性が増すと明言できそうです。
(残念ながら鏡胴意匠の相違や蒸着コーティング層の違いは100%あてにならない)(笑)

いつも不思議に思いますが、いくらでもネット上にバラした時の解説サイトがアップされているのに、どうして誰もこう言う「リアルに現実的な根拠に据えられる真実」を解説しないのかと思います(笑)

↑上の写真は当初バラした直後の状況ですが、前所有者が工具を使いいろいろ処置した時に付いたキズなどを赤色矢印で指し示しています(汗)・・使っていた工具には筐体にキズを付けないようラバーを被せていたそうですが、残念ながら効果が薄かったようです(涙)

↑距離環のほうにも数多く凹み/キズ/擦れ痕が残っています (赤色矢印)(汗) またグリーン色の矢印で指し示しているのが、沈胴筒がスライドする際に適切な抵抗/負荷/摩擦になるよう配慮された黒色不織布ですが、残念ながらはだけてしまい、それが干渉して沈胴筒を再びセットできなくなっています(涙)

ライカ製オールドレンズの沈胴式タイプには、このように不織布が沈胴筒との接触箇所に貼られており、一度沈胴筒を抜いてしまうと、このようにはだけてしまい二度と入れられなくなります(怖)

今回のオーバーホールでは、当方にて用意した新しい不織布に張り替えて仕上げています(汗)

結局「距離環が変形し真円を維持していなかったのが距離環を回した時のトルクムラの原因」であり、合わせて「空転ヘリコイド」を外す際に封入環をカニメレンチで回した時、とても
強いチカラでツマミまで保持して回そうと試みたのが「これらの変型をさらに悪化させていった」と言う因果関係です(涙)

この当時のライカ製オールドレンズで沈胴式モデルは非常に神経質な設計なので、筐体自体が黄銅材で切削されている以上「強いチカラを加えると真円を維持できなくなりトルクムラや
重いトルクの原因に至る
」と肝に命ずるべきです(怖)

↑当初バラしている途中で撮影した、鏡胴「前部」の鏡筒ですが、ご覧のように絞り環の接触箇所にグリースを塗っていた分で「経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進行」しているのが明白です(汗)

なお上の写真は鏡筒ですが、沈胴筒も兼ねるので下部の黄銅材の地が露出している箇所が鋭角な切削になっており「その縁で不織布がはだけてしまう」ものの、ここにテープや何かを被せても差し込む際に「スパッと切れる!」ほど鋭角ですから、沈胴筒を引き抜くと大変な目に
遭います!(怖)

↑さらに絞りユニットから取り出した「開閉環」ですが、本来黄銅材の切削であるものの、
ご覧のように真っ黒に酸化/腐食/サビが進んでいます(涙)

白っぽく汚れ状に見えているモノは、実は酸化/腐食/サビ部分で「溶剤により明確に浮き出ている状況」です(汗)

↑問題の鏡筒内部「光学系第2群が格納される場所の内壁」を赤色矢印で指し示しています。

実は取り出した光学系第2群のコバ端には「反射防止黒色塗料」の着色が無かった (着色されていない/焼付け塗装されていないのが製産時点) 点から、これら鏡筒内壁に「反射防止黒色
塗料
」を塗りまくったのは、過去メンテナンス時の整備者と容易に推測できます(笑)

右の赤色矢印は削れている箇所を指し示していますが、光学系第2群を取り出そうとして付いてしまったのでしょうか???(汗)

  ●               

今回の出品個体を譲って頂いた方から質問メールが届いたので、その内容に沿って急遽まとめてみました。

質問内容は「今回市場調査したサンプルの51本は、実際に製造番号に対してモデルバリエーションがどんな分布を示していたのでしょうか???」と言うことで、なかなか適切で具体的なお問い合わせです(汗)

さっそく調べたサンプル51本について、その製造番号を基に「ライカの製産年度とその出荷台数」との関係性について分布をまとめました。

↑上の一覧は、先日調査した直近のヤフオク!で落札されていた「Summicron 5cm/f2 (1stと2nd) 《沈胴式》」サンプル数51本について、ライカの年度別による製造番号帯、及びその製産台数に照合し、実際にモデルバリエーションがどのように分布していたのかを明示しています。

上の一覧で、ライカの製造番号帯が年度を跨いで繋がって連続していないのは「上の一覧で
欠落している番号体を使って別のモデルを製産して割り当てていたから
」です (つまり上の一覧はSummicron 5cm/f2だけをピックアップしてまとめたものです)(汗)

実際のライカでの製産は、例えばについて示すなら、1951年度内に2回の製産ラインを稼働、1952年度は5回、1953年度も4回稼働していますから、必ずしも連続的にこれらの台数 (39,201台) をまとめて製産していたワケではありません (最大値でも8,000本迄で、多くは稼働あたり5,000本前後の本数をそのラインで製産していた)。

すると 1951年〜1953年の製造番号帯については、間違いなく「1stモデルだけで
落札されていた
」ことが判明しました (2ndモデルは1台も存在せず)。同様 1954年の製造番号帯も「1stモデルだけ」で同じですが、実はこの1954年に「2ndモデルが発売」されたので 色付で別枠にしていますし、そもそも一旦製産をストップしたかのように「僅か4,300台しか出荷していない」点に於いて、この次ののタイミングで「2ndタイプの製産ラインが動き出し、出荷を始めた」とも受け取れます。

そして問題なのは 色付した 1954年 1955年以降で、サンプル数51本の中で、この枠内だけがモデルバリエーションがバラバラに混在していたことになります(汗)

然しその一方で、 1954年〜1955年は「2ndタイプだけしか存在しない/流通して
いない
」結果になったので、これもまた「???」です (単にその製造番号帯の個体をピックアップできなかっただけの話かもしれませんが、相応の本数が集中しています)。

つまりこうです・・もしも「製造番号割当制」に則り事前に製産ライン別に割当を決めていたのなら、製産するタイミングで符番する製造番号は前後していく道理が成り立ちます (1stと2ndがバラバラに出荷されていく)。ところがそうしたルールに則るなら 色付した枠の「2ndタイプの集中的な製産出荷」に矛盾が現れます (なぜなら、その後に再びバリエーションが混在してしまうから)。

そこから透けて見えてくるのがさんざん解説してきた「流通市場や整備者の手による部位別の転用/使いまわし」であり、特に上の一覧から見えきたのは 色付した 1954年 1955年以降で、明らかに混在してしまった理由は「転用されてしまった個体が混ざっている」と受け止めるしかありません(汗)

最も判別し易い「鏡胴前部と後部で、それぞれが転用されてしまった個体」が混ざっていれば
例えば「本当は2ndだったのに、鏡胴後部が1stに入れ替えられて1stの筐体意匠として区別された時、然し製造番号は2ndの番号帯の刻印のまま」みたいな話が現れます。これがまさに「外見の見た目は1stタイプなのに、蒸着コーティングの色合いはパープルアンバーで、製造番号まで違う個体 (つまり見た目の1stの製造番号帯を採っていないから)」と言う、まるで
アンバランスな個体が流通しているのも成り立ってしまう話になります。

このような事例は、詰まる処「何しろ見た目が1stなので、高く売れる」のを狙っているワケです(汗) しかもそれがオークションたるヤフオク!だけでの話に限定されるなら仕方ないですが、街なかの某有名ショップでさえ店頭のGケースに並べられているとしたら・・如何ですか??? ライカなのに結構オソロシクないですか???(笑)

カメラ店で買うなら安心と言う人達も多いですが(笑)、当方のような小心者は「疑いの眼差しで目を細めて店内をウロウロする」からヤバそうですョねぇ(笑)

そう受け取るなら、上の一覧の 色付した 1954年 1955年以降の信憑性もワリと確かな憶測へと繋がりそうです(汗)

・・はたしてロマンは、まるで河の如く際限なく流れていくだけの様相です(笑)

そうは言っても、この一覧を用意してみて初めて納得できましたが「1stの製造番号と筐体の意匠 (鏡胴後部のデザイン) で、且つアンバーの光彩だけを放っていたら、その個体は間違い
なく1stモデル
」とポチッとするべきですね(笑)・・それだけは確実のようです(汗)

手に入れて届いてからバラして「シム環の厚みをチェック」しても、間違いなく「0.27㎜」です(笑)・・こういう探求と検証結果こそが「所有者の充足感を限りなく充たしていくだろう」と願うもので御座いまする(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSummicron 5cm/f2《collapsible》(2nd) (LM)』のページをご参照下さいませ。

前述した光学系の素性を確定させる「シム環」は、上の写真最前列に並べた環/リング/輪っかの中で、左から3つめの「薄い厚みのリングシム環」であり
今回扱った個体の光学系が2ndモデルの光学設計を示す証拠です。

 

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑上の写真は当方の『磨き研磨』が終わった光学系の一部を並べて撮影しています。光学系の
第5群
第6群後玉が左側で、グリーン色の矢印で指し示す向きは前玉の露出面側方向を意味します (つまり絞りユニットの背後が後群なので向きが反転しているとの意味)。

また右端は光学系前群で使う「光学系第4群の締付環とその押え環」ですが、ご覧のとおり「締付環に付随する押え環は黄銅材の環/リング/輪っかそのまま」でピッカピカです(笑)

実はこの「押え環」まで過去メンテナンス時の整備者は「反射防止黒色塗料」で塗っていました(笑)・・もちろん左側の2つの後群側格納筒も外周全てを「反射防止黒色塗料」で塗りまくりで(笑)、徹底して着色しています。

するとこの後玉第6群の格納筒は、左端第5群の格納筒の上から被さるだけなので(汗)、もしも互いが「反射防止黒色塗料」が塗ったくられていて、その塗膜の厚みが干渉しあい抵抗/負荷/摩擦が生じていれば「光路長を狂わせる一因としての懸念材料になる」ことが分かっていません(笑)

過去メンテナンス時の整備者は、ライカ製オールドレンズを扱う整備者なのに「不必要な場所に執拗に塗りまくる」のです(笑)

もしもこんなにピッカピカに磨ききってしまい「迷光迷光」と騒ぐなら(笑)、完成した写真を後で掲載しているのでチェックしてみて下さいませ・・何処にもピッカピカの痕跡が現れません。それよりも、当方は「光路長を狂わせる因果を全て100%排除しまくる」ほうが
最重要課題です(汗)

・・外面や見てくれの良さなど、全く追求していません!(笑)

↑鏡筒を前玉側方向の真正面から覗き込んだ写真ですが、光学系第3群の直前に位置する「遮光環」にまで「反射防止黒色塗料」が厚塗されていましたが、そもそもここもちゃんと製産時点で「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」されており、本来塗りまくる必要がありません(汗)

また赤色矢印で指し示している箇所は「光学系第2群のコバ端が飛び出る箇所」であるものの、ご覧のようにブライドシルバーな「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」で造られています(笑)

迷光迷光」と騒ぐ人達は、いったいこれをどのように説明するのでしょうか???(笑)

↑完璧なオーバーホールが終わっていますが、瑕疵内容が残っており納得できないので、今回のオーバーホール済でのヤフオク!出品は『ジャンク扱い出品』です(涙)

《オーバーホール後に残ってしまった瑕疵内容》
距離環のツマミが自動的にロック孔に入らず、都度ツマミを押し込む必要があります。
筐体外装の凹み/キズ/擦れ痕は磨き研磨しても何ら改善できません。
沈胴筒のスライド時に引っかかる箇所があり、強く操作する必要があります。
マウント部の爪の締め付け/解除は抵抗/負荷/摩擦があり、強めな操作が必要です。

 光学系内の一部にコーティング層のハガレと大きめのカビ除去痕(ハガレ)が残ります。
距離環を回すとトルクは軽めですが、無限遠位置付近はロック機構で硬めです。

《オーバーホールで改善できた内容》
距離環のツマミが保塚に変形していたのを修復するも完璧ではない。
距離環の固着を解消しトルクムラを改善。軽い操作性に戻りました。
沈胴筒が接触する不織布を張り替え、沈胴ができるように戻しました。
光学系内のカビ繁殖とクモリを除去し、スカッとクリアに戻しました。

 光路長ズレを解消し、本来の鋭いピント面に戻しました。
無限遠位置はピタリと合唱する位置に微調整しています。

・・とまぁ〜、こんな感じで、本当に不本意なる整備結果です(涙)

・・どうぞ皆様、お笑い下さいませ(恥)

冒頭解説のとおり、直近ヤフオク!落札価格帯を調べると「38,500円〜110,000円」で、その中心価格帯は「5万円台15本」に「4万円台13本」さらに「6万円台11本」と続き、一番の安値/底値は「38,500円 (1本)」なので、ここは一つ「3万円未満がお得感いっぱい!」といったところでしょうか???(笑)

・・既に大赤字覚悟なので、お好きな価格でどうぞ!(涙)

だいたいライカ製オールドレンズを1本オーバーホール/修理すると「多くの個体でご請求上限額39,000円」に到達してしまうのを勘案すれば、そもそも今回のオーバーホール済でのヤフオク!出品自体が『ジャンク扱い出品』であれば「大赤字覚悟」を示す証拠みたいな話です(笑)

↑そに反して、光学系内の透明度は非常に高い状態まで復元できました!(驚) LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

ちなみに、光学系内を覗き込んだ時にパープルアンバーを主体にするも角度によってはブルーの光彩も放つ」根拠は、光学系第2群が表裏面で「鮮やかなライトブルーの光彩」を放つ蒸着コーティング層であるものの、最も強力に
ブルー系の輝きを放つのは、後群側の「光学系第5群2枚貼り合わせレンズの表裏面」であり、その色合いは「深みと味わいのあるエメラルドグリーン色」です(涙)

この微妙なト〜ンの青色を放つ蒸着コーティング層により、入射光の後玉までの透過をより促進し、且つ生々しくもそれでいて繊細感あふれる写りを楽しませてくれる最大の貢献者なのではないかと、ロマンが巡ります(笑)

↑光学系後群側も、クモリが除去でき、合わせて超絶にデカイカビの繁殖まで完全除去できたのでスカッとクリアに戻りました(涙)

・・これでもう少しは頑張れるね! と残り僅かな花道に再びの栄華あれ!(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

1枚めの写真を見ると「後玉の外縁に沿って全周に渡り汚れ状が視認できる」のですが、実はこの位置には「当初バラす前時点で既に反射防止黒色塗料が内側まで塗られていた」ワケで、要は「後玉のコバ端着色」で、オーバーホールしていると本当に多くの個体で目にしますが「光学硝子レンズの内側までコバ端着色を延伸させて塗っている」のがリアルな現実です。
(経年劣化進行に伴いコーティング層の化学反応に拠る変質が起きているので除去不可能)

すると或る整備会社に言わせると「僅か1〜2㎜程度内側になったところで性能に変わりはない」と、まるでイメージサークルの如く開き直って明言しますが(汗)、そもそも光学系の設計で光量計算した時に必要な光学硝子領域だからこそ「一体モールド成形の境目を設計している」として捉えるなら、少なくとも「描写性能を左右しない」と言い切ってしまうところが『凄い上から目線』です(涙)

・・しかも後玉でこれをヤッてしまうのが本当に凄い!(怖)

また2枚めの写真では左寄りに「大きめのカビ除去痕」が写っていますが(汗)、実は光学系内を覗き込んでもこのカビの繁殖を全く認知していませんでした!(汗) その意味で、当然ながら「カビ菌糸の繁殖を人の瞳で見て認知できるハズがない」ものの、まさにそのリアルな現実を思い知らされたような感覚です (普通に透明と思っていた箇所に繁殖していたと言う意味)(汗)

このような大きさのカビ除去痕でもコーティング層の話なので「撮影する写真への影響は一切起きない」と明言できます。

↑今までのマウント側方向からの写真は「全て沈胴状態での撮影」でしたが(汗)、爪を締付固定
/ロックさせると上のような感じです。この操作をする際に「少々締め付けが硬いのでチカラを入れる必要がある」次第で・・前述残っている瑕疵内容の「 マウント部の爪の締め付け/解除は抵抗/負荷/摩擦があり、強めな操作が必要です」になります。

この残っている瑕疵内容の因果関係は、冒頭解説した「過去メンテナンス時のパーツ転用」が原因と考えられ、実際に沈胴筒に切削されている「溝のカタチと深さ」及び「マウントの鏡胴締付環に続く溝のカタチと深さとの整合性」に微妙な違いが顕在し、それが影響/干渉して沈胴筒スライド時に引っかかりが起きています(汗)

また爪のロック/解除が硬いことから・・鏡胴「前部」の沈胴筒と、鏡胴「後部」の距離環含むヘリコイド群が互いに転用されて合体している個体と推察しています(汗)

すると沈胴筒に対して「鏡胴後部側の爪締め付け受け部の仕様が極僅かに違うので爪のロック
/解除が硬くなる
」次第です(汗) さらに沈胴筒を締め付け固定する (つまり鏡胴前部を締め付け固定する役目の) マウント部締付環が「鏡胴後部からの転用パーツなのに、肝心な爪自体が鏡胴前部からの転用品」と互いに違っている為に、沈胴筒のスライドに対する溝の切削に微妙な仕様の違いが現れます(涙)

従って「転用できてしまうのがライカ製オールドレンズのモデル別、或いはバリエーションで捉えた時の大きな問題点」なので(怖)、ハッキリ言って「製造番号や筐体意匠を基に高価格帯で、あ~だこ~だ舞い上がって騒いでいる人達」は、正直情けないと言うか、もしもライカ通なのだとしたら、それこそ恥ずかしいですね(笑)

当方は基本的に『カメラ音痴』なので(笑)、決してライカのことについて詳しくないですが、それでも13年間で整備してきた「凡そ80本のライカ製オールドレンズ達」の保存してあるデータベース記録を顧みると「内部構造同一なるもパーツ固定位置の仕様に微妙な相違が一部に有」の判定を示すマーキングが記してある個体が多く、大雑把に言えば3割強で何某かの
違和感を「製造番号を基にした時と比較して」感じながら整備しています(汗)
(記録を残さないとご依頼者様からの問い合わせに対応できないから/整備内容を思いだす為)

それが明示するのは「過去メンテナンス時に整備者の手によりアッチコッチ転用されまくって仕上げられている」との憶測に立てば、自ずと「最終的な店頭販売価格 (或いはオークション落札価格) を高くする為」が透けて見えてきて(笑)、何事も相応に操作できてしまえば「結構
古いからねぇ〜
」合言葉の号令一下、皆々様方ご満悦に至り、恐悦至極に存じ奉りまする・・ですです!(笑)

その意味で、当方がヤッているオーバーホール作業と言うのは、単にバラして組み直してではなく(笑)、そこに整合性まで追求しつつも「個体の素性を手繰り寄せていく」ことも作業上の一つと捉えて、真摯に謙虚に真っ正直に臨んでいます(汗)

・・詰まる処、人が感じるロマンとは、みんなそれぞれだから。

↑10枚の絞り羽根は油染みが消えてキレイになりました。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」で軽いトルク感に仕上がっていますが、ツマミの変型が必要以上にチカラをいれて修復すると割れそうなので(怖)、適度なところでやめている分、前述瑕疵内容「 距離環のツマミが自動的にロック孔に入らず、都度ツマミを押し込む必要があります」ものの、実は「変型を正していないので、ツマミ直前でトルクが重く変わる」次第です(涙)・・残念ながら割れそうなので、これ以上ツマミを水平に戻せません(汗)

また沈胴筒のスライドも「 沈胴筒のスライド時に引っかかる箇所があり、強く操作する必要があります」為に、沈胴↔引き出しの操作性は非常に悪いです(涙)

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製UVフィルター (新品)
本体『Summicron 5cm/f2 (2nd)《沈胴式:1955年製》(LM)』
純正樹脂製バヨネット式後キャップ (中古品)
汎用金属製フード (中古品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

汎用品の付属品は「新品」ですが、袋から取り出した時点で既に微細なキズや擦れが確認できたりします(汗)

今回のオーバーホール作業に対し、不本意なる結果で仕上がってしまった点について「そのお詫びとしてせめてクリーニング布を同梱」します (スミマセン!)(涙)

距離計連動ヘリコイド」の設定は、当初バラす前の位置のまま組み上げているので当時のライカカメラやレンジファインダーカメラなどを使って確認できていません (当方にはライカカメラが無いので確認環境がありません/当時のレンジファインダーカメラなどを使っても視認できないので確認できません)。あくまでも今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラ向けにマウントアダプタ経由装着してご使用頂くことを前提としています (距離計連動ヘリコイドに纏わる無限遠位置の問題などクレームとして対応できません)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f2.0被写体までの距離49m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度24m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りの被写体にピント合わせしつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑鏡胴のマウント部直前辺りを拡大撮影しました・・こんな感じで工具を使った際のキズの跡が残っています(涙)

↑そのまま上方向に上がって絞り環辺りを撮影しました・・こっちはキレイです(汗)

↑反対側に回して撮影しました・・キレイなままです(汗)

↑そのまま下がって再びマウント付近に戻りましたが、やはり凹み/キズ/擦れ痕が多く残っています(涙)

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフードは付属品の汎用金属製を装着して撮影しています。

ご覧のとおり、このモデル本来の本当に鋭いピント面にやっとのことで戻りました(涙)

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」での撮影です。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

以上、本当にホントに不本意すぎて申し訳ありませんが(涙)、もしもご検討頂ける「神々しい方」が居ましたら、是非是非ご検討下さいませ。どうぞよろしくお願い申し上げます。