◎ ISCO-GÖTTINGEN (イスコ・ゲッチンゲン) WESTROMAT 50mm/f1.9《後期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
ISCO-GÖTTINGEN製標準レンズ・・・・、
WESTROMAT 50mm/f1.9《後期型》(M42)』です。
《但し今回のヤフオク! 出品はジャンク扱いになります》


 

 

  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時のISCO-GÖTTINGEN製標準レンズ「50mm/f1.9」の括りで捉えると
僅か3本目ですが、今回扱った個体「後期型」だけでカウントすると初めての扱いです。

但し、今回のヤフオク! 出品はトルクムラが残る為、またトルク自体も重い箇所と軽い箇所に分かれる為『ジャンク扱い』として出品します。その一方で光学系の状態は大変素晴らしく、また絞り羽根の駆動も完全に正常化させたので、誠に惜しい限りです(涙)・・お好きな価格で是非ご検討下さいませ。

なお、このような事情から今回の扱いが最初で最後になります。このモデルについては今後の扱いはありません。

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ISCO-GÖTTINGEN (イスコ・ゲッチンゲン) 社の創業は戦前ドイツになり、1936年に同じくドイツの老舗光学メーカーたるSchneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) 社による完全100%出資として、当時のナチスドイツ政府の要請に拠り創設されました。

社名のISCO-GÖTTINGENは「Josef Schneider & Co.」から採っているとの事ですが、ドイツ語の発音が難しいのでよく分かりません(笑) ドイツ語のアルファベットでは「Jj」は「イョット(ゥ)」との発音になるらしく、そこから転じて「」なのでしょうか???

ネット上でドイツ語発音講座を調べると「Josef」は「ヨーゼフ」と聞こえますが、よ〜く聞くと「イヨーゼフ」と発音しているのが分かり、実際ネット上の解説でも「イョッ」を強調しています (難しい)(泣)

それはともかく、ISCO-GÖTTINGEN社は当初Bad Kreuznach (バート・クロイツナッハ) 市に1913年に創業した「Optische Anstalt Jos. Schneider & Co」の姉妹会社として創設されたものの、フランス国境に近すぎた事から主体的な位置付けの兵器製産工場をGÖTTINGEN (ゲッチンゲン) 市に移したようです。1941年にWeende (ヴェーンデ) の大砲通り (現高速27号線沿い) のビルに強制収容所の囚人により工場が建設され、後の1944年までにニーダザクセン州南部でトップ30社に入る大規模な兵器工場に様変わりしたようです。当時最大で653人を強制労働させていたようで、その内訳は東部労働者46人 (ポーランド人/ロシア人など)、西部労働者113人 (連合国軍捕虜、及び女性含む)、西洋人労働者41人 (フランス人) 他囚人453人 (ユダヤ人) だったようです (1944年12月31日時点)。

ふ〜ん、オモシロイなぁ〜と思ったのは(笑)、強制労働させていた囚人でフランス人だけが「西洋人」とのドイツ語での分類区分けで捉えていた (特に当時のゲシュタポ/ナチスドイツの秘密国家警察組織) 点で、その一方で連合国軍の兵士捕虜は戦線地域別に東部と西部で分類していて「決して西洋人呼ばわりしていない」のが敵意丸出しで、なるほどなぁ〜と思いました (専門研究者の論文より調査)(笑) 特にナチス政府となれば「アーリア人絶対主義」的な概念で、優生民族/種族との捉え方からしても、もの凄い考え方と言うか概念だと驚嘆を隠せません(怖)

例えば1942年1月20日に戦時中ドイツはベルリン西部近郊 (高速利用で約30分) に位置する「Wannsee湖 (ヴァンゼィー)」と言う当時ナチスドイツ高官向けの高級住宅地で、親衛隊所有邸宅で開催された「ユダヤ人絶滅計画検討会議」を題材にした、現在のドイツ製作映画ヒトラーのための虐殺会議 (邦題)(原題:THE CONFERENCE) を鑑賞しても、リアルに史実に忠実を期したとの事ながら、会議の内容は「如何に効率良く合理的に欧州のユダヤ人を虐殺するのか」についてナチスドイツの各省庁を跨いで、且つ軍組織各部署の高官が討議した内容であり、このような内容の会議が現実に開催されていた事実/歴史に驚愕しかあり得ません(怖)

それら会議に参加しているナチスドイツ高官達は、自らの立場を堅持したいが為に参加しているのではなく (一部はそのようにも見えましたが) あくまでも或る特定の民族/人種をこの地球上から抹殺するのが良心であり、正義であるとの概念 (実際映画内でも語られていましたが、自分達の子供や孫の時代と言う近い将来を見据えても、ユダヤ人絶滅はまるで親として当然の義務であり責務との考え方) に染まっている時点で、人間とは本当に怖い生き物なのだと改めて感じ入った次第です (実際のヴァンゼィー会議でのタイピング及び筆記による詳細な議事録/或いは参加者の戦犯裁判や戦後記述などを参考にした再現映画)(涙)

当時のヨーロッパ在住ユダヤ人約600万人に対する国ぐるみ/民族ぐるみによる組織的な迫害及び虐殺を指して「1933年〜1945年のホロコースト」と定義されていますが (実際亡くなられた方々の人口/ヴァンゼィー会議での想定計画人口は1,100万人)、優生民族主義やもっと平たく言えば人種差別/民族迫害などは今現在の世界中でも相変わらず起きている現実であり、平和なニッポンで生まれ育った当方などにしてみれば、自分の人生の晩年をどう幸せに過ごすのかなど、そんな事ばかり考え暇がありませんが(笑)、人間たるモノ「自らの人生を如何に有意義に平和に全うすべきか」固執するのが、現代の21世紀の望ましい姿ではないかと、まるで思っていた自分が・・そんなのはまさに甘々ですね (反省)!(汗)

・・今回扱ったこのモデルをネットで調査していて、そんな事柄を反省しているところです。

↑戦時中は主に航空機用光学製品や様々な軍需用品を製産しており、製品銘板には「KQC」の暗号名で製造会社刻印されていました。上の写真は大戦中のISCO-GÖTTINGEN製品で「航空撮影用機器 (左)」に「夜間監視用双眼鏡 (中)」そして「爆撃機Ju-88用計器時計 (右)」です。

戦後登場した一眼レフ (フィルム) カメラ「Edixa-MAT REFLEX」や「EXAKTA」或いは「PRAKTICA」など向けに、様々なモデルが供給されたものの、正規のオプション交換レンズ群としてフィルムカメラの取扱説明書には一切記載されていなかったようです。ここでもSchneider-Kreuznach製モデルとの差別化が気になるところです(泣)

↑モデルバリエーションは2種類だけで、左側の金属鏡胴ゼブラ柄モデル 「前期型 (1958年発売)」及び筐体外装が樹脂製に変わった右側「後期型 (1961年発売)」です。

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端から円形ボケが収差の影響を受けて崩れ乱れていく様をピックアップしています。いわゆるシャボン玉ボケの表出は難しいようで、実写を探しても見つかりません。円形ボケでもほぼ玉ボケレベルが主体でしょうか・・やがて右側2枚の実写の如く乱れていきますが、グルグルボケも現れるのでビックリです。

二段目
この段では背景ボケの収差レベルをチェックする意味合いでピックアップしています。僅かに二線ボケの傾向も否めないので、相応に被写体の背景には気を使うシ〜ンもあると思います。しかしある一線を越えるとなかなか素直で質の良い乱れ方にガラッと変化するので、例えば右側2枚の実写のような「ちょっと背景を工夫して気を遣えば油絵的な/絵画的なイントネーションやインパクトを漂わす写真」に仕上げるのも、難しくなさそうで期待感が膨らみます。

三段目
この段では素材の質感表現能力や材質感を写し込む質感表現能力の高さと、それに合わせてノッペリした画に堕ちないか確認する意味合いもありグラデーションを調べています。

例えば旧東ドイツの有名処Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) のオールドレンズでは、多くのモデルで大変素晴らしいシャボン玉ボケ表出を充分に狙えますが、実はそれが主体的で一般的な写真は「意外にもノッペリしていて立体感を感じない」のが、当方には気になって仕方ありません。唯一標準レンズ域のモデルでは「Primoplan 58mm/f1.9」辺りが、立体感も兼ね備えた優秀なモデルとして評価しています。

それらMeyer-Optik Görlitz製モデルと比較しても充分に勝る「距離感や立体感を感じられる写真」を撮れる部分に魅力を今回のこのモデルには感じ取れます。レンガや砂壁の質感表現と合わせて、それらのグラデーションが残っている部分について比較するとよく分かります。また一番右端の人物写真のように相当なインパクトを残せているのは、人物の背景部分の明部がノッペリ墜ちていないからで、椅子のオレンジも光沢部分で白潰れしまくっていますが、却ってそれが効果として美味く活用できているようにも見えます・・なかなか素晴らしい写真です。

四段目
この段では少々暗めの印象を抱く実写ばかりをピックアップしています。明部の耐性の素晴らしさに反して暗部はアッと言う間にストンと墜ちてしまうので、簡単に黒潰れしてしまいますが、それでもその直前までのグラデーションは相当ちゃんと頑張って遺しているので、上手く説明できない実写に至っています。

五段目
左端の被写界深度をチェックすると、開放f値:f1.9にしては期待ハズレと言うか、それほど被写界深度が浅くなく/狭くなく、フツ〜に撮れてしまう印象です。また他の3枚の実写を見る限り、相当逆光耐性も良く、合わせて光源に対しての耐性も高く、雰囲気を残してくれるオールではないでしょうか・・素晴らしいモデルです。

光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型構成です。ネット上を探すと右の構成図とカタチが異なる4群6枚ダブルガウス型構成が数多く見られますが、このモデルの光学系は「格納筒への光学硝子レンズ落とし込み格納方法」の設計を採っており、各光学硝子レンズは前玉と後玉の2つ分しか締め付け環が存在しません。

右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

特に同じ「落とし込み格納方法」を数多くのオールドレンズに積極的に採用していた事でも特筆できるのが「ロシアンレンズ」ですが(笑)、ロシアンレンズのほうは単に簡素な設計にこだわっていただけの話で、必要最低限が当たり前のお国柄とでも言えそうな印象です(笑)

↑上の写真は今回扱った個体から取り出した光学系第1群 (前玉) 〜第4群 (後玉) までを並べています。それぞれの群で写真上側方向が外側に向いた位置になります。

↑同様ひっくり返して裏面を撮影しています。

↑今度は第2群と第3群の貼り合わせレンズを、互いに裏面側を写真上方向に向けて撮影しました。当方が光学系構成図をトレースして掲載すると「平気で公然とウソを載せて拡散させている」と某有名処サイトで誹謗中傷コメントやSNSで批判されているようなので(涙)、ちゃんといちいち証拠写真を撮って載せないとイケナイみたいです(笑) 貼り合わせレンズはご覧のようなカタチになっていて、当然ながらそのようにトレースした構成図になっています。

このカタチにもちゃんと理由があり、それぞれが「格納筒に落とし込み」なので、これら2つの貼り合わせレンズは互いに一切固定されません。例えば第1群 (前玉) と上の写真左側の第2群とは「スリーブ環」と言うスペーサーのような役目の環が挟まれるだけで、一切締付環で締め付け固定されません。

同様右側の第3群貼り合わせレンズも第4群の後玉との間に「やはりスリーブ環」が挟まり、そのスリーブ環の内側に後玉が格納される設計です。だからこそ「締付環は前玉用と後玉用の2つしか用意されていない」設計なのが、今回扱ったモデルです。

従ってこれら貼り合わせレンズの裏面側がご覧のような突出したカタチに作られているのは「格納筒にストンと落とし込んだ時に確実にハマるように考えられてその形状に硝子切削している」からで、このカタチは必然なのだと言えます(笑)

なお今回扱ったモデルも含め、当時の幾つかのISCO-GÖTTINGEN製モデルを今までオーバーホールしてきましたが、一つだけ明確に指摘できるのは「内部構造面から捉えた簡素化/合理化の設計」を積極的に採っていた事が当方としては掴めています。

これは冒頭で解説したように親会社が同じ旧西ドイツのSchneider-Kreuznachですが、Schneider-Kreuznach製オールドレンズの多くのモデルに比べて、当時のISCO-GÖTTINGEN製モデルの内部構造は「ほぼ1/3程度の複雑さレベル」の範疇に留めているように受け取っています。せいぜい複雑と言ってもゼブラ柄モデルが「1/2程度のレベル止まり」であり、同じ時期のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルと比べたら、まるで天と地の差です(笑)

そもそもSchneider-Kreuznach製オールドレンズはゼブラ柄モデルとなれば「全てのパーツに必ず締付用イモネジが介在する」と言っても過言ではないほどにパーツ点数は非常に多いと明言できます。当方ではバラした後にパーツやネジ類を入れる小さなケースを40個用意していますが、それで足りなくなる事が時々起きます(泣) 例えばイモネジも何処のどのパーツに何の目的で備わるのかを書き込んでケースに入れているので、いちいち解体写真を撮らずともすぐにオーバーホール工程を進められますが、イモネジが介在するとなれば「多くの場合で固定位置の微調整が必須」なので、当然ながら関連する他のパーツとの位置合わせ、詰めが必要になり、単に組み立てるだけの工程では決して済みません(泣)

そのような要素と比較すると明らかに当時のISCO-GÖTTINGEN製オールドレンズは多くのモデルで「簡素化/合理化」を前提として設計していた事が伺え、結果的にSchneider-Kreuznachの「高級志向」に対して「廉価版/低価格路線志向」だった事が伺えます。もしもSchneider-Kreuznach製オールドレンズの「50mm/f1.9」辺りで比較するなら「落とし込みの光学系」はあり得ませんね(笑) その意味では外観から捉えたカタチの相違や可動パーツの違いなどだけを以てして判断してしまうのは、少々乱暴すぎると思います(笑)・・どんなに相違があっても、内部構造面での設計概念の違いがシッカリ認識できてしまう以上、Schneider-Kreuznachと同じ土俵で戦っていたようには受け取れません(笑)

なお、以下のオーバーホール工程の中でも解説しますが、Schneider-Kreuznach製オールドレンズと同様に「懸垂式ヘリコイド駆動方式」を積極的に採用しているので、やはりSchneider-Kreuznachによる100%出資会社だけはあると言えます。ところが、意外にも当時の旧西ドイツの他の光学メーカーで、例えばA.Schacht Ulm (シャハト) やSteinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) でも似たような「懸垂式ヘリコイド駆動」を数多く採用しているので何か関係や繋がりがあったのか興味をそそられます (その一方でライカの徹底的な設計にはやはり内部構造面でも適わない)(笑)

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

ハレーション
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す

フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はISCO-GÖTTINGEN製オールドレンズの多くのモデルに共通した設計概念を採り、光学系の各光学硝子レンズが格納筒に落とし込み方式に変わったので、鏡胴が金属製筐体だった頃のゼブラ柄モデルと比べて、内部構成パーツ点数が簡素化/合理化に伴い減じられています。また筐体外装が従前の金属製から樹脂製に変更になった分、こちらも簡素化が進んでいます。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。ご覧のようなシルバーに切削されている底面に「絞りユニット」が組み込まれます。

↑絞りユニットを構成する主要パーツです。位置決め環 (左) と開閉環 (右) です (赤色文字)。開閉環には「開閉アーム」が刺さるためのスリット/切り欠きが用意されており、開閉環はベアリングによりクルクルと回転する構造です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑6枚の絞り羽根が組み込まれた状態の鏡筒です。上の写真の状態ではまだ絞りユニットが固定されていないので、このままひっくり返したりすると絞り羽根がバラけてしまいます。

↑光学系前群格納筒で、ここに光学系第1群 (前玉) と第2群の貼り合わせレンズが格納されます。一番先に第2群の貼り合わせレンズをストンと落とし込んだ後に「スリーブ環」と言うスペーサーのような役目の環/リング/輪っかを挟んで、最後に第1群前玉を入れ込んでから「締付環」をネジ込んで締め付け固定します。

従って赤色矢印で指し示しているとおり、光学硝子レンズを締め付けるためのネジ山は1つ分しか用意されていません (締付環が1つだけなので)。

↑光学系前群格納筒をネジ込んで、先に鏡筒最深部にセットしていた「絞りユニット」を固定したところです。つまり「光学系前群格納筒が絞りユニットの固定環の役目も兼ねている」設計です。

逆に言うなら、絞りユニットの「開閉環」がクルクルと回転するので (絞り羽根の設定絞り値に従い角度を変えるので、その際開閉環が回るから) その時に抵抗/負荷/摩擦が生じないよう「光学系前群格納筒の裏側は平滑処理で仕上げられている」設計です。

従って光学系前群格納筒の裏面側が経年により酸化/腐食/錆びが生じていた場合、絞り羽根が角度を変える際の抵抗/負荷/摩擦が発生し「動きが緩慢に至る」一因になります (つまりこのモデルの場合は絞り羽根の動きが緩慢になる因果関係は油染みが原因とは限らない)。

このように内部構造の相違により「注意すべき内容が変わる」ので、単純にバラした逆手順で組み立てていくと適切な微調整が成されない懸念が残ります。

↑同様、光学系後群側も「落とし込みによる格納方法」なので、後玉用の締付環が1つだけしか存在しません・・先に組み込んでしまいます。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上方向が前玉方向にあたります。鏡筒側面に絞りユニット内の開閉環に備わる「開閉アーム用のスリット/切り欠き」が見えています (グリーンの矢印)。ここに「開閉アーム」と言うパーツが刺さり「左右に動くことで開閉環が回って絞り羽根が角度を変えるので開いたり閉じたりする原理」です。

なお赤色矢印で囲んで示していますが、ヘリコイドオス側のネジ山はたったこれだけの厚みしか無く、しかも意外に細かいネジ山なのが分かります。

鏡筒の最も上部にヘリコイドオス側のネジ山が、このような短いネジ山数で配置しているので「ヘリコイドメス側に対して極僅かなオス側のネジ山だけでブラ下がる駆動概念」である為「懸垂式ヘリコイド駆動」と当方では呼称しています。

↑実際に「開閉アーム」をセットしたところです (グリーンの矢印)。開閉アームはブルーの矢印のように左右に動き、それに伴い鏡筒内部にセットしてある「開閉環」が回るので、挟まれている絞り羽根が閉じたり開いたりする原理です。

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台ですが、既に絞り環がセットされています (赤色矢印)。基台も絞り環も共に樹脂製ですが、同じく樹脂製の締付環が最上部にネジ込まれているために外すことができません。従って一度製産時点に組み立てられたらこの部位のみ解体することができません。

なお基台は金属製なのでグリーンの矢印で指し示している箇所は「平滑処理」が施されており、ここに「空転ヘリコイド」がセットされます。従って空転ヘリコイドやこの基台の内壁に経年に伴う酸化/腐食/錆びが生じていると、ヘリコイド駆動が重くなる一因になります。

↑ヘリコイド群を並べて撮影しましたが、左端の基台に対して右端の黄鋼製「空転ヘリコイド (メス側)」がセットされ、その次に中央の鏡筒 (ヘリコイドオス側) がネジ込まれる手順です。

↑黄鋼製の空転ヘリコイドは右側の赤色矢印で指し示しているとおり、相当な深さ/長さのメス側ネジ山を備えています。この長さの中を前述の鏡筒たるヘリコイドオス側が「ブラ下がったまま何処も保持されずに行ったり来たり繰り出し/収納動作を繰り返す」ので「懸垂式ヘリコイド駆動」と呼んでいます。

ちなみに「空転ヘリコイド」なので、グリーンの矢印で指し示している箇所がキッチリ「平滑処理」されていないと、途端にトルクが重く変わります。

↑「空転ヘリコイド」を基台に封入したところです。黄鋼製のヘリコイドメス側 (赤色矢印) の深さ/長さに対して、奥深く/下のほうに格納状態になっている「鏡筒のヘリコイドオス側」が僅かグリーンの矢印で囲んだ分の浅いネジ山しか存在しないので「懸垂式ヘリコイド駆動」と言うワケです。

分かりにくいので、上の写真で図示した赤色矢印グリーンの矢印は、あくまでもイメージして捉えて頂けると良いと思います。

↑この状態のままひっくり返して基台の裏側を撮影しました。ご覧のように鏡筒は何処にも保持されないまま、然し周囲から「開閉アーム (グリーンの矢印)」や「操作アーム (赤色矢印)」が介在するので、前述のとおりヘリコイドメス側にブラ下がっているだけの構造上「適切なチカラの伝達でない限りヘリコイド駆動が重くなる」のは自明の理です。

操作アームが動くと (ブルーの矢印①) 開閉アームが押されて絞り羽根が閉じます (ブルーの矢印②)。従って赤色矢印で指し示している「操作アーム」状に垂直状に立っている「金属棒」が、絞り環の内側にある「制御壁」に突き当たることで、その勾配に従い絞り羽根の移動角度と移動量を決めており、必要な移動量のみ「操作アームが動くから開閉アームを押し込む量 (グリーンの矢印の先端部分) が変化して設定絞り値まで絞り羽根が閉じる原理」です(笑) 絞り環を解体できていないので内側を撮影できませんから解説のみです(泣)

↑ひっくり返して距離環をセットしたところです。実は一つ前の写真の状態のままでヘリコイドオスメスを駆動させると「懸垂式ヘリコイド駆動」ながら、当方独自の大変軽いヌメヌメッとしたシットリ感漂うトルク感で全域で操作できています。

ところが上の写真のように「樹脂製の距離環を組み込むと、途端に抵抗/負荷/摩擦が大幅に増大してトルクムラが起きてしまう」状況です。これは何度トライしても、或いは距離環の締付固定位置を変更しても全く変わらないので「距離環の内側の樹脂材が経年劣化に伴い歪なカタチに変形してしまっている」とみています(涙)

実際どの位置で抵抗/負荷/摩擦が増大するのかまで調べる方法が無いので不明ですが、距離環をセットしなければ一切問題が無いのに、締め付け固定すると途端にトルクムラの嵐です(涙)

・・この距離環のせいで今回のヤフオク! 出品を「ジャンク扱い」とします!(涙)

ちなみに、この距離環も内側の締付環/リング/輪っか自体が樹脂材なので、一度締め付けてしまうと二度と回らないようで、何をやってもビクともしませんでした(涙) 金属材なら「溶剤の注入」や「加熱処置」など固着が酷い場合の解体手法がありますが、相手が樹脂材では「溶剤の注入で溶けてしまう」或いは「加熱により溶けてしまい変形する」ので処置無しと言ったところです(涙)

↑上の写真はマウント部内部ですが、各構成パーツを全て外し、既に当方のによる「磨き研磨」が終わった状態で撮っています。当初バラした直後はこの内部に相当な酸化/腐食/錆びが進行しており、一部にカビも生じていました。

↑取り外していた各構成パーツも個別に「磨き研磨」した上でセットします。これらのパーツのほぼ全てに「赤サビ」がビッチリ生じており「磨き研磨」を施し可能な限り除去しましたが、ご覧のように完全には除去しきれていません (金属材を侵食している酸化/腐食/錆び部分はどうにもならない)(泣)

当初バラす前の確認時に「マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの動きが緩慢」だった原因も、それら経年に伴う酸化/腐食/錆びであり、捻りバネや締付ネジのレベルと言う「最小単位」まで分解して処置したので、現状は全く何のトラブルも起きずに平滑性を取り戻しています。

赤色矢印で指し示している箇所のパーツが「絞り連動ピン機構部」になり、ここのカムが動くことで前述の「操作アーム」が移動します。

↑ベアリング+スプリングを入れ込んでから、やはり樹脂製の「A/M切替スイッチ」を組み込み、金属製のマウント部をセットしたところです。この「A/M切替スイッチ」の環/リング/輪っかも樹脂製ですが、極僅かにやはり経年劣化に伴い歪なカタチに変質しており、少々広がった感じでセットしないと組み込みできませんでした(泣)

↑マウント部の途中にはご覧のような「細い金属棒の突出」があります (赤色矢印)。実はこの金属棒の突出のおかげで「最後までM42マウントのネジ込みをした時に必ず真上に指標値が来るように微調整できる機能を装備している」大変ありがたい設計です。

↑上の写真はこのモデルの「M42マウント規格のネジ部 (の環/リング/輪っか)」ですが (左の赤色矢印)、途中に11個の「停止位置確定キー」と言う溝が用意されていて、そこに前述の突出している金属棒が刺さる事で「このマウントのネジ部の固定位置が決まる」設計を採っており、それによって「確実に真上に指標値が来るよう微調整できる機能」と言えます。

日本メーカーも含め、世界中のオールドレンズでこのような機能が装備されていれば「必ず指標値が真上に来る」ようになり、特にネジ込み式のマウント規格の場合にはとても助かりますね(涙)・・ちょっとした事ですが、こんな簡単な仕組みだけでもなかなか賢いです!(驚)

この後はマウント部を仕上げてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっていますが、解説してきたとおり「樹脂製の距離環のせいで (カタチが極僅かに歪) 距離環を回す時にトルクムラが酷い」状況です(涙)・・この理由により今回のヤフオク! 出品は「ジャンク扱い」ですので、お好きな価格で是非ご検討下さいませ。

このモデルの「後期型」に関しては筐体外装が樹脂製である為、今回の扱いが最初で最後とし、今後扱う予定は一切ありませんし、オーバーホール/修理の
ご依頼もご辞退申し上げます・・その理由は、相手が「樹脂材」ではどのような処置も講ずる事ができず、起きている不具合の改善が不可能だからです。

実際に今後の経年でどの程度これら筐体外装の樹脂材がさらに変質していくのかは、製造メーカーでない限りは追求できないでしょう(涙) 1961年の登場であり、おそらくは1980年代の終わり辺りまで製産が続いていたと推察できますが、30年以上の時間を経ての樹脂材変質なので、既に変質の度合いは軽度に落ち着いているのか、或いは今後さらに酷くなるのかは全く不明ですからご留意下さいませ。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。特に光学系内を覗き込んでもほぼ微細な「/」しか視認できず、それも意識して執拗にチェックしてようやく見えるレベルなので「相当光学系の状態が良い」個体とも言え、素晴らしい限りです!(涙)・・スカッとクリアです!

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も同様LED光照射で極薄いクモリが皆無であり、合わせて本当に素晴らしい状態を維持しています・・スカッとクリアです!

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

設計上、単なる落とし込みの光学硝子レンズ格納だとしても、ちゃんと設計が成されていればこのように素晴らしい光学系の状態を維持できる事の「まるでお手本」のような現実ですが(笑)、当然ながら光学硝子レンズの成分や配合、或いは蒸着しているコーティング層のレベルも良いのでしょう。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:6点
後群内:11点、目立つ点キズ:8点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大4mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環同様確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきますが最小絞り値側では極僅かに歪になる事があります (上の写真参照)。但し、当初起きていた不具合である「絞り羽根の動きが緩慢」或いは「マウント面から飛び出ている絞り連動ピンとの連係動作が鈍い」などの現象は全て排除できています。

A/M切替スイッチ」の環/リング/輪っかも樹脂製ですが、極僅かに歪であるものの確実に装着が済んでいるので、連係動作に全く問題は起きていません。

但し、そもそもA/M切替スイッチも絞り環も「樹脂製」なので、ベアリングによるクリック感はガチガチした印象の操作性になり、合わせてその改善処置を講ずる事は材質の問題から一切不可能です。内部を確認すれば分かりますが、直径が大きいベアリングを使い、且つクリック感を実現させる目的の溝も相当硬いので、経年摩耗が一切顕在せず素晴らしい状態を維持している分、操作性はガチガチした印象です・・ご留意下さいませ。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。但し筐体外装はほぼ全てが「樹脂製」なので、磨き入れには限界があり、且つ「エイジング処理」も実施できません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑筐体はご覧のように距離環を回して鏡筒の繰り出し/収納を行っても全高がほとんど変化しない (極僅か0.5㎜弱) 設計なので、鏡筒の繰り出し/収納は「インナーフォーカス機構」にほぼ近似した動き方になります。

【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を塗布していますが、筐体外装が樹脂製である問題から経年劣化に伴い歪みが生じており、その影響により距離環を回すトルクにムラが現れています。特に∞〜0.6辺りまでが重めで、最短撮影距離の0.5でストンと軽く変わります。
・絞り環操作はクリック感を伴いますが、樹脂製の絞り環に対して内部で金属製ベアリングがハマる為、少々ガチガチした印象の操作性です。同様にA/M切替スイッチの切り替え操作もガチガチした印象になります。これらは全て設計上の仕様です。
・ピント合わせの際に違和感を抱くレベルで意識的に相応にチカラを入れて距離環を回している感覚での操作性に仕上がっています・・この点に於いて今回の出品を「ジャンク扱い」と設定しています。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
出品のこのオールドレンズは筐体外装の多くが樹脂製(エンジニアリング・プラスチック製)です

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『WESTROMAT 50mm/f1.9《後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

今回のヤフオク! 出品はジャンク扱いでの出品になりますが、附属品はいつもどおりのモノを付けています(笑) 距離環を回すトルクムラには本当に閉口ですが(涙)、但しこのモデルの光学系が吐き出す描写性能は「決してバカにできない大変素晴らしい特徴的な写り」なので、是非お楽しみ頂きたいところです。

今回のヤフオク! 出品個体の距離環操作性は、一般的には確かにトルクムラと受け取られ、且つトルクも重かったり突然軽かったりと不安定要素いっぱいですが、では撮影時に実際使っていて「重すぎてマウントが回ってしまうの???」と問われると、そのような重さではありません。しかし当方の判定基準としては「許せないトルクムラと重さ」なので、確かにオールドレンズ自身には「罪は無い」でしょうが(笑)、如何せんどうにも対処できないこの樹脂製の筐体外装に甚だ抗議しているような感じで、全くの八つ当たりも甚だしいですョね???(笑)・・
一日がかりでオーバーホールして組み立てて「コレ」なので、そういうのが人情と言うものです(笑)・・ごめんなさい!(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑念の為に当方所有の中国製マウントアダプタK&F CONCEPT製 M42 → SONY E マウントアダプタ」に装着して確認しましたが、全く正常に使用できています。マウントアダプタ内側の「ピン押し底面」は「凹面側を上に向けてセット」して頂くと最も良いと思います。「A/M切替スイッチ」による連係動作や (ピン押し底面があるので手動絞り方式と何ら変わりませんが)(笑)、絞り環操作も距離環のトルク感も全く変化しません (但し距離環を回すトルクは重くトルクムラが残っている)。

赤色矢印で指し示している約1㎜弱の隙間は、このマウントアダプタの仕様で「オールドレンズ側マウント面から飛び出ている突出物を避けるために配慮されている仕様」ですが、このモデルでは一切影響がありません(笑)・・ちゃんと最後まで締付固定できて、且つオーバーホール工程でも解説したとおり「ちゃんと真上に指標値が来る位置でマウント部を固定してある」のが分かると思います(笑)

↑今度は当方所有の日本製マウントアダプタRayqual製 M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して試しています。同様全く正常に使用できています。「A/M切替スイッチ」による連係動作や (ピン押し底面があるので手動絞り方式と何ら変わりませんが)(笑)、絞り環操作も距離環のトルク感も全く変化しません (但し距離環を回すトルクは重くトルクムラが残っている)。

赤色矢印で指し示している約1㎜弱の隙間は、このマウントアダプタの仕様で「オールドレンズ側マウント面から飛び出ている突出物を避けるために配慮されている仕様」ですが、このモデルでは一切影響がありません(笑)・・ちゃんと最後まで締付固定できて、且つオーバーホール工程でも解説したとおり「ちゃんと真上に指標値が来る位置でマウント部を固定してある」のが分かると思います(笑)

↑上の写真は今回出品個体のマウント部突出をデジタルノギスで計測して明示しています (グリーンの矢印)。一部の一眼レフ (フィルム) カメラではミラー干渉する懸念がありますし、一部のデジカメ一眼/ミラーレス一眼でもマウント内部の干渉懸念があるのでご留意下さいませ。

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」に到達しました。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので、極僅かですが「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。