◆ ZENIT (ゼニット) MC ZENITAR-M2s 50mm/f2(M42)Magic Bokeh

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧ソ連時代の
ロシアンレンズ、ZENIT製標準レンズ・・・・、
MC ZENITAR-M2s 50mm/f2 (M42) Magic Bokeh』です。


久しぶりに扱う旧ソ連時代に製産されていたロシアンレンズの中から、後の時代に発売されたマルチコーティングの標準レンズ『MC ZENITAR-M2s 50mm/f2 (M42)』を扱います。
当方での扱い数は今回の個体が累計で7本目に当たります。

さらに今回のオーバーホールでは巷で騒がれている「Magic Bokeh (魔法ボケ)」の処置を施してあるので、諸収差が増大してしまい飛んでもない (オモシロイ) 描写で撮影できるよう仕上げています。もちろん当方がオーバーホールする以上、それだけではなく他の問題点も全て改善処置を講じています。

例えば当初バラす前の時点では距離環を回すトルクは「スリップ現象」が盛大に現れており、ククッと微動ばかりするのでとても扱い易いピント合わせが楽な状態とはほど遠い状況でした。また絞り羽根には相当な油染みが進行しており、且つ鏡胴から経年の揮発油成分が滲み出てきていて掴んだ手の指がベトベトになる有様です(笑)

それらの原因と言うか「因果関係」については後ほどご案内しますが、決してロシアンレンズだから仕方ないのではなく、問題なのは過去メンテナンス時の「整備内容」であり、その如何によって数年後でも扱い易いまま維持できているかどうかが決まってきます。整備するなら当然な話であり、何を今さら敢えて言っているのか?!と追求されそうですが(笑)、現実的に「そうではない状態」だから申し上げている次第で、決して当方の自慢話の一つではありま
せん(笑)

まッ。そう受け取られてしまうのも仕方ありませんが・・(笑)

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戦後の旧ソ連時代ですが1952年に初代の一眼レフ (フィルム) カメラ「ZENIT」が登場し、実に2003年までシリーズを作り続けたという 話なので相当な息の長さです。

右写真はその最初に登場した元祖「ZENIT」ですが、ロシア語の
キリル文字「ЗЕНИТ」で刻印されているので見落としがちですね(笑)

ある程度の慣れが必要ですが、オールドレンズの中でも特にロシアンレンズとなると「ロシア語キリル文字」の頭文字を採った表記なのか、或いは「ラテン語/英語」に翻訳してからの頭 文字表記なのかの違いで全く別モノの表し方に変わるので要注意です。

例えば今回の「ZENIT」シリーズのオールドレンズを製産していたモスクワ近郊のクラスノ ゴルスク機械工廠ですが、ロシア語/キリル文字では「Красногорский Механический Завод」なのでその略語表記は「КМЗ」です。一方ラテン語/英語表記にすると「Krasnogorski Mekhanicheski Zavod」なのでその略語表記は「KMZ」です。

どちらも同じ工廠の名前を表記しているだけなのですがロシア語/キリル文字のほうで見ると 下手すれば最後が数字の「」と読まれがちです。少々ややっこしい話ですがロシアンレンズが好きな方は慣れるしかありません(泣)

今回扱う標準レンズ『MC ZENITAR-M2s 50mm/f2 (M42)』はだいぶ後の時代になってからマルチコーティング化として登場したオールドレンズですから、そのセット対象となった一眼レフ (フィルム) カメラも異なります。

1995年に登場した一眼レフ (フィルム) カメラ「ZENIT 122」のセット用標準レンズとしてゼロスタートで再設計されたのが今回のモデルです。

ところが実際には1992年時点で量産型モデルの設計が確定し製産を スタートしています。右写真のように一眼レフ (フィルム) カメラ「ZENIT 122」とセットで売りに出されるケースは希で、まだまだ 工場や市場に相当な数量で滞留し続けていた「HELIOS 44Mシリーズ」の消化のほうが優先されて、相変わらずHELIOS-44M-5〜HELIOS-44M-7などがセットされ続けたようです。

それもそのハズで、そもそもフィルムカメラ側が総金属製なのでセットする標準レンズも総金属製のほうが好まれたのは納得できます。

従って筐体外装が総エンジニアリング・プラスティック製で登場した 一眼レフ (フィルム) カメラ「ZENIT 412シリーズ」発売のタイミングである2000年になってようやくマルチコーティングの今回のモデルの優先度が上がってきたと言う、何とも「8年遅れ」と言う変わった ある意味不遇なモデルとも受け取られます。

他にPKマウント規格の製品も用意されましたが2003年まで製産が 続いたようです。その中から今回出品する個体は「2000年製産出荷品」の個体です。

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光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型構成です。右図は今回の オーバーホールに際し完全解体した際に光学系の清掃時に当方の手で
デジタルノギスを使って逐一計測したトレース図です。

この中で 部分の第3群について逆転させて格納すると今回の出品に 際し狙っている「Magic Bokeh (魔法ボケ)」での撮影が実現できます。

ところが右図のように光学系第3群を反転させて格納するワケですが、ここで問題になるのが逆向きに入ると限りなく絞りユニットの「絞り羽根直下」まで飛び出てきてしまいます。それもそのハズで第3群の格納箇所にはちゃんとガラスレンズのカタチが用意されているので、その中に落ち込んでしまうからですね。

何を言いたいのか???

要は焦点距離が設計上は実焦点距離で「52.24mm」なのですが、それを逸脱してしまうので画角まで変化してきます (拡大傾向になる/画角が狭くなる)。僅かな違いですがそういった相違もありますね。



上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端から円形ボケが滲んで破綻し背景ボケへと変わっていく様をピックアップしています。おそらくキレイなエッジを伴うシャボン玉ボケも表出できると考えるのですが実写がありません (実写で確認できるのは円形ボケや玉ボケまで)。あくまでも光学系の基本設計は古い時代から通用し続けていた「HELIOSシリーズ」のダブルガウス型のようなので、純粋にマルチコーティング化で解像度が向上しただけのような描写性です。

二段目
アウトフォーカス部がすぐに滲み始めるのでそれほど荒い雑な背景になりにくくマルチコーティング化で解像度が向上した分よりピント面とのインパクトの差が大きく現れます。その意味では典型的なダブルガウス型の写り方と言えるでしょうか。

三段目
何と左端のように標準レンズのくせにたいそうなタル型歪みがあると言う「恐るべしロシアンレンズ」といったところです(笑) 人物撮影もそこそここなしますが美肌的な写り具合にまとまっているだけの話です (つまりそれほど本格的に解像していない)。

※以下のピックアップ写真は今回と同じ光学系第3群を反転格納した場合の実写を探してピックアップしました。


一段目
今回出品するオールドレンズなら、被写体を中心に置いて背景になるべく光りモノ配置して開放側で撮影するとこのような「Magic Bokeh (魔法ボケ)」が撮れます (光学系第3群を反転させてあるから)。逆に言えば普通の写真は撮影できなくなるのでそのつもりで使う必要があり ます (但し絞り値を上げれば近い写真は撮れる)。

二段目
同様に光りモノを配置していますがその円形ボケのエッジを際立たせるかどうかで背景の幻想的な雰囲気がガラッと変わるようです。また光りモノではないざわついた感じの背景を用意するとまた異なる収差の写り方になるので、それはそれで「背景効果」として捉えるなら活用できると考えます。

取り敢えずこのブログページの一番最後に今回出品する個体による実写を用意しました。通常の (正常な) 格納での光学系による撮影と、第3群だけを反転格納した場合との2種類を掲載しており、どのように変化するのか分かり易いと思います。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程の解説などは「MC ZENITAR-M2s 50mm/f2 (M42)」のページをご参照下さいませ。冒頭でもご案内しましたが、過去メンテナンス時に「白色系グリース」を使って整備されており、当初バラす前の確認時点で以下のような問題点が既に発生していました。

【当初バラす前のチェック内容】
距離環を回してピント合わせする際「スリップ現象」によりククッと微動してしまいピント合わせし辛い。
絞り環操作がガチガチしていて希望する絞り値にセットしにくい。
 絞り羽根が相当油染みしておりヒタヒタ状態。
必然的に光学系内が湿っているように見えていた。

【バラした後に確認できた内容】
過去に塗布された「白色系グリース」から揮発油成分がヒタヒタと出ている。
光学硝子レンズにも揮発油成分の膜が附着。
一部は液化して流れている状態。

実は調達時に「整備済」を謳っていたのを落札したので、過去メンテナンスと言ってもおそらく数ヶ月前の話ではないかと推察しますが、はたしてそれで絞り羽根の油染みがヒタヒタ状態と言うのもある意味「オドロキ」だったりします(笑)

そもそもこのモデルは上の写真のように筐体の内外装のほとんどがエンジニアリング・プラスティック製です。特にヘリコイド (オスメス) までエンジニアリング・プラスティック製ですから、そこに「白色系グリース」を塗ったくると容易に揮発油成分が流れ出します。

いったいどこにどんな感じで流れ出してくるのかはまた後ほどご案内します。

もっと言うなら今現在のヤフオク! を見ていても「整備済/清掃済」を謳って出品している出品者が増えてきていますが、それはそれで良いことだとは考えますが、問題なのはその「整備内容」です。

見ているとどうやら某ホビーツールのネット販売でヘリコイドグリースを手に入れているようなので、必然的に「白色系グリース」であり、且つ使い易い粘性として「♯10」或いは粘性が軽めの「♯30/♯3000」あたりを使っているので、どう考えても早ければ1年、遅くとも数年内に揮発油成分が液化して流れ始めます。もっと言うならこれらの「白色系グリース」を普段保存しているだけで、次に使う時グリースの上の部分に既に液化し始めた揮発油成分が「液体状に溜まっている」のが確認できますから、はたしてオールドレンズ内部なら大丈夫だと断言できるのでしょうか?(笑)

実際このブログの「特集」コーナーの中「解体新書」で自ら整備して出品しているプロの写真家のオールドレンズを当方で再びバラして整備していますから (現在もヤフオク! で出品を続けている信用/信頼の高い人気の出品者)、どのような内部の状況なのかはご確認頂けます。そもそも今までに同一の出品者から落札した個体ばかりがオーバーホール/修理ご依頼として (8年間の中で) 11本も来ましたから、はたして落札してまだ1年前後の時間しか経っていないのに、どうして当方に再整備を依頼してくるのかと言う疑念も湧いてきます(笑)

要は使っていてピント合わせ時の「スリップ現象」が気になったり、実際に油成分が手や指について滑ってしまい落下しそうになるからなど、様々な理由でオーバーホール/修理ご依頼が来ました。

はたしてそのような短時間で再整備しなければならない状況を以てして「整備済」と言って良いのかどうか、当方にしてみると疑念しか残りませんね(笑) 少なくとも当方が仕上げたオールドレンズ達は、今の処7年前に仕上げた個体までは特に問題が起きていないのを確認済なので (実際に当方が回収して内部状況を検証済だから断言できる) さすがに1年〜数年レベルで問題が現れるとなると、当方としては考えてしまいます(笑)

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。手に取って距離環や絞り環などを操作してみればよ〜く分かりますが(笑)、なかなか感触の良い使い易い操作性に仕上がっています。筐体外装全てがエンジニアリング・プラスティック製のロシアンレンズだとしても、これなら使う気持ちになるのではないでしょうか?(笑)

ご覧のとおりエメラルドグリーンに光彩を放つマルチコーティングタイプです。「HELIOS-44Mシリーズ」の描写性と比べても大幅に垢抜けした精緻な写り方が期待できる、ロシアンレンズにしては良く設計されたオールドレンズの一つだと評価しています。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。冒頭の話のとおり今回の出品個体は「2000年製造出荷品」なので、まだ新しい部類に入ります。さらにご覧のとおり光学系内の内面反射を可能な限り低減させてあるので (コバ端着色済) コントラストがビミョ〜に低くなり易い性格も多少なりとも改善されています。

光学系内は前後群共に極僅かな拭きキズや点キズ、ヘアラインキズなどが残っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も前群同様LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:11点
後群内:18点、目立つ点キズ:15点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い8ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・後群内の一部にパッと見で拭き残しのように見える箇所がありますがコーティング層経年劣化に伴う汚れ状のため清掃しても除去できません(クレーム対象としません/写真に一切影響せず)。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系第3群貼り合わせレンズを逆転させて格納している為、諸収差が製産時点時よりも増大した状態で故意にワザと仕上げています。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑当初油染みが酷かった絞り羽根もキレイになり、且つ動きが緩慢だった問題も無くなり絞り環操作共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。もちろん絞り環もクリック感も当初のガチガチ感は消えてとても小気味良く操作できます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・エンジニアリング・プラスティック製ヘリコイドの設計なのでトルクが重くなる箇所と多少軽くなる箇所のムラがありますが改善できません。
(仕様なのでクレーム対象としません)
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑当初バラす前の段階でヒタヒタと液化した揮発油成分が滲み出てきていた場所が上の写真赤色矢印で指し示した箇所です。

要は筐体外装含め内部のほとんどがエンジニアリング・プラスティック製なので、そこに「白色系グリース」を塗布すると経年劣化進行に伴い揮発油成分が液体状に変質してしまった場合「ここに流れ出てくる」ワケです(笑) 従って使っているうちに手や指にベトベト油性分が附着してしまい、下手すれば滑ってオールドレンズを落下させる危険性もあったりします(怖)

当方では整備してから1年〜数年でそのような状況に陥る事を適切な状況と捉えていないので、もちろん今回のオーバーホールでもヘリコイド (オスメス) だけにしかヘリコイドグリースを塗っていないので、上の写真赤色矢印の箇所に流れ出てくる要素がありません!(笑)

原理原則」を理解しているならそのような整備をしないハズですし、誰が考えても揮発油成分が流れ出てくる状況に何のメリットも感じないと考えますね(笑)

↑そんなワケで当初バラす前に確認できていた全ての問題点は完璧に改善されています。きッとご満足頂ける操作性に仕上がっていると思います。そうは言っても当方は決してプロではないので、前述のプロの写真家やその他のヤフオク! 出品者のように信頼/信用はありませんから重々ご承知おき下さいませ。その意味では当方の出品オールドレンズを落札するよりも、むしろそれらプロの方々の整備品をご落札頂くほうが安心なのかも知れませんね(笑)

あくまでもバカみたいにこだわっているのは当方一人だけの話です!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離35cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。

1枚目の写真が今回のモデル『MC ZENITAR-M2s 50mm/f2 (M42) 』の正規の状態で光学系を格納した場合の写りです (つまり市場に流れているのはこちらの写り方)。

一方2枚目の写真は光学系第3群を反転格納した状態の「Magic Bokeh (魔法ボケ)」での撮影です。被写体と同一距離で撮影しているので、光学系第3群を反転させた事によってご覧のように「画角が変化してハミ出ている (拡大している)」写りに変わっています。

もちろん諸収差も増大しているのでご覧のような飛んでもない写りになっています(笑)

↑同様1枚目が通常の状態で絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」にセットして撮影しています。2枚目も同じくf値「f2.8」での撮影です。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。

↑今度は多少分かり易いようにミニカーの後に光りモノを置いて撮ってみました。同様1枚目が正常な状態での撮影で2枚目が第3群反転格納の状態です。

同様ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」にセットして撮影しています。1枚目が正規の状態で2枚目が第3群反転格納です。

↑さらに回してf値「f4」で撮っています。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」に上がりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。なお光学系を正規の状態に戻したほうが良ければ、ご落札後の一番最初のメッセージにてお申し付け下さいませ。送料欄に別途「2,000円」の作業料を追加頂ければ、反転させた第3群を再び正しい位置に戻してお届けします。

YouTubeなどでぶっ叩いて第3群を取り外している動画がアップされていますが(笑)、あの方法をやると下手すれば光学硝子レンズの縁が欠けたりするので絶対にやってはイケマセン!(怖) 逆に言うとこのモデルは格納筒自体もエンジニアリング・プラスティック製なので、単に第3群だけを入れ替えるのではなく「すべてバラして入れ替える/戻す」手法を執らないとダメなので作業料がかかります (そうしないと光軸ズレ/偏心が残ったりするから)。もちろん検査具でチェック済ですし元に戻す際もチェックしてからお届けします