◎ LEITZ CANADA (ライツ・カナダ) (MACRO) ELMAR 65mm/f3.5 (silver)+OTZFO (16464K)(VISOFLEX)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理がおわりご案内するモデルは、
LEITZ CANADA製マクロレンズ・・・・、
ELMAR 65mm/f3.5 (silver) (VISOFLEX)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても初めての扱いです。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りま
した事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います

当方は『極度のカメラ音痴』で (フィルムカメラの事を、その歴史も踏まえて何も知らない)、しかも「光学知識が皆無」なのに合わせて「写真スキルまで皆無」なので、あ~だこ~だ語る資格すらありませんが(汗)、それでもこのブログを掲載するのに、いろいろネット上を漁って勉強していくと、少なからず見えてくるモノもあったりします(笑)

今回扱うモデルは、標準レンズ「ELMAR 50mm/f2.8」などの存在は知っていましたが、今回の「VISOFLEXマウント規格」なるモノは、全く以て「???」で(汗)、オーバーホール/修理ご依頼を受けて、初めてネットを漁ったほどです(笑)

するとライカ製レンジファインダーカメラでの撮影で、最短撮影距離70cmを超えて近接撮影が可能になると言う「夢のような話」(笑) の為に、ちゃんと用意されていたシステムが存在する事を、今回勉強しました(笑)

↑上の図は1956年時点の「LEICA lenses (カタログ)」に載っている「ELMAR 65mm/
f3.5
(VISOFLEX)」の案内で (Pacificcamera.comより引用)、このレンズヘッドを接写専用
延伸筒に装着して使う「まさに夢のシステム」のカタログです(笑)

モデル銘には「MACRO (ドイツ語ならMAKRO)」の文字は入りませんが(笑)、倍率1:2.4で最短撮影距離33cmと言う近接撮影が叶うモデルなのが分かります。

それで「延伸筒でズズ〜ッとヤルだけか!」と高をくくって、何だかよく分かんないけれど「VISOFLEXマウント規格」なるも、オーバーホール/修理は簡単だろう・・と踏んだものの、イザッバラし始めるととんでもないシロモノなのが判り、冷や汗ものでした(汗)

然し、当初の印象は「ELMAR銘の如く、いわゆる3群4枚テッサー型 (モドキ)」と半ば罵っているかのように捉えていたのを猛省するほどに、正しくネット上評判どおりのその描写性能に
・・思わず唸ってしまいました(汗)

テッサー (モドキ)」と表現したのには理由があり、確かに光学系前後群の相対的な捉え方は「3群4枚のテッサー型そのモノ」なるも、実は当方が天邪鬼な性格なので(笑)、どうしても「絞りユニットの配置が気になって仕方ない」故に「モドキ」なのです(汗)

それは光学系のレンズパワー配分から捉えるなら、絞りユニットの絞り羽根を使い「入射光量を減じる」制御としてみる時、どうしても「前群と後群とのバランスで (その描写性を) 考えるべき」との妄想に取り憑かれているからです(笑)・・すると純なテッサー型なら絞りユニットは光学系第2群の次に配置されるものの、今回扱う「ELMARシリーズ」は第1群前玉背後に、イキナシ居たりします(汗)

とは言っても、よくよく考えればいつも愛用している「Makro-Kilarシリーズ」でさえ、同族の絞りユニット配置なので・・ウ〜ン、何だか納得いかないなぁ〜との思いのままです(笑)

そこでハッと気づいたのですが(汗)、その愛用マクロレンズ「Makro-Kilarシリーズ」で撮影した写りは「果てしなく、そして限りなくドライな写りのまま」に対し、今回初めて手にした「ELMAR 65mm/f3.5 (VISOFLEX)」の描写は「ドライとは対極に居る繊細感と美しさまで
漂わせつつも
・・然し、マクロレンズなのだ」と訴えているかのような表現性に、思わず
魅入ってしまいました
(驚)

やはり何だか分かんないままですが(汗)、何処か国産光学メーカー製マクロレンズとは一種異なる場所に佇んでいるかの如く「孤高の写り」のように、限りなく眩しくみえてしまうのは・・どうしてなのでしょうか???(汗)

・・このオールドレンズ、欲しいかも?!!!(汗) 時には素直にならないとッ。

  ●               

↑上の写真はネット上から拾ってきたモノで、左から順に「VISOFLEX−I (左)、VISOFLEX−II (中)、VISOFLEX−III (右)」になり、それぞれwikiのリンクを貼ってあります。また取扱説明書も「VISOFLEX−IVISOFLEX−IIVISOFLEX−III」です (いずれもwikiのリンクより)。

特にM型ライカに装着して使うには「VISOFLEX−III」だけがボディ干渉せず装着可能で、且つミラーアップ状態でも使用可能なので、ライブビュー撮影も実現できるらしいです。

例によって特許出願申請書を漁ってみました(笑) 一番最初に登場したのは大御所様のサイト解説では「Leitz Anastigmat 5cm/f3.5」後に「Elmax 5cm/f3.5」に改名らしいですが、
(滲みレンズ:ライカレンズの歴史)(汗)、Paul Rudolph博士の特許出願申請に抵触する為に、ライツからは特許出願申請しなかったのか???・・申請書がついに見つけられません(汗)

↑左端から順にDE343086C (1920年)』『GB383233A (1931年)』『DE1655233U (1950年)』『DE1784450U (1958年)になり、これらの中で1920年の特許出願申請書から量産化まで進んだのが「Elmar 5cm/f3.5」ではないかとみており、さらに右端1958年の特許出願申請書は「Elmar 50mm/f2.8」が濃厚そうです(汗)

↑それぞれの特許出願申請書に掲載の構成図から、当方の手によりトレースしたのが上の構成図ですが、この中で2つめの構成図 (特許出願申請書) には絞りユニットが入っていません(汗)

←ちなみに左の図の如く、カタログの掲載構成図をチェックすると、まさに1920年の特許出願申請書が1925年発売の初期型たる「Elmar 50mm/f3.5」であり、後に「Elmar 5cm/f3.5」とcm表記に変わっています(汗)

いずれも沈胴式ですね。

そして右構成図が今回扱ったELMAR 65mm/f3.5 (silver) (VISOFLEX)』で、オーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

前出の1956年時点カタログ掲載の構成図にほぼ近似していますが、当然ながら量産型の光学系のカタチは同じにはなりません(汗)

特に近接撮影を実現させる為に、最短撮影距離:33cmとしている光学設計から、当然ながら光路長が伸びていく道理になるので、後でちゃんと『証拠写真』を載せますが(笑)、特に後玉たる2枚貼り合わせレンズには「直前にスリーブ環が入る」ので、右図のとおり延伸している次第です。

↑上の写真は今回扱った個体から取り出した光学系第1群 (前玉) 〜 第3群 (後玉) です。赤色文字光学系前群になり、絞りユニットの直前に配置です。一方ブルー色文字光学系後群で、絞りユニットの後にセットされます。またグリーン色の矢印は前玉の露出面側方向を指しています (後玉は反転するので矢印がヒックリ返る)。

↑同様、今度は各群の光学硝子レンズをヒックリ返して裏面側を上向きに並べて撮影しています。内容は同じです。ちなみに左端、光学系第1群前玉のコバ端に「303」の鉛筆書きが
あるのは、当方が記入したのではなく、当初よりこの状態でした (製造番号の一部ではありません)(汗)

←また左写真が同様、今回の個体から取り出した「スリーブ環」で、光学系後群側の「第2群第3群の間に挟まる配置」であり、前述した当方がトレースした今回のモデルELMAR 65mm/f3.5 (silver) (VISOFLEX)』の光学系構成図の中で、第3群後玉の光路長が延伸しているのを示す『証拠写真』です(笑) 左写真の向きで言うと、右側に第2群が来て、左側に第3群後玉がセットされる順番です。

従って光学系後群側は第2群第3群のとの間の距離が延伸して、最短撮影距離を短縮化した光学設計を採っているのが明白です (このスリーブ環は遮光環を兼ねる)(汗)

ちなみに今回、光学系各群の放射線量も測定してみました(笑)・・第1群前玉0.07µSv/h
第2群0.05µSv/h以下、第3群構成3枚目0.05µSv/h、第3群構成4枚目0.09µSv/hと言う結果ですから (いずれも光学硝子レンズ直上の実測平均値)、初期型エルマーの如く屈折率を稼ぐ目的でランタン材を光学硝子レンズに配合していないのが判明します (ランタン材の含有により屈折率1.13%の向上を期待できる)・・逆に言えば今回扱った個体 (1960年製) には新種硝子が使われているとの憶測が生まれそうですし(汗)、そもそも光学系第1群の前玉 〜 第3群後玉に至るまで、表裏面に「パープルアンバー」のモノコーティングが施して
あるので、憶測が憶測を超えそうな勢いです(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。上の写真はレンズヘッドであるELMAR 65mm/f3.5 (silver) (VISOFLEX)』と共に、近接撮影用の延伸ヘリコイド「OTZFO (16464K) (VISOFLEX)」を完全解体し、一緒に混ぜて撮影しています。

レンズヘッドのほうは「LENS MADE IN CANADA」刻印付で、製造番号から1960年製造品のなのが判明しますし、延伸ヘリコイドは「ERNST LEITZ WETZLAR GERMANY」刻印があるのでドイツ製です。

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
延伸筒/延伸ヘリコイドにガタつきとトルクムラがある
延伸ヘリコイドを操作すると、重めのトルク感でマクロレンズでは使い辛い。
無限遠位置はオーバーインフ量が少々多目の印象。
延伸ヘリコイドを回していると、グンと重くなる箇所がある。

 プリセット絞り環のクリック感に違和感が在る。
絞り環の基準「●」マーカー位置が指標値とズレている。
絞り環の操作環にも違和感を感じる。

《バラした後に新たに確認できた内容》
プリセット絞り値環用ベース環にアルミ合金材摩耗粉が凄い。
古い黄褐色系グリース残したまま、その上から白色系グリースを塗り足している。
絞りユニット内部にまで黄褐色系グリースを塗っている。
絞り羽根に変型が確認できる。
白色系グリースはウレアグリースを使い、塗り足している。
蛇腹のヒダ部分を補強しているがボロボロの原因に至っている。
メッキ加工の違いを全く理解していない。
グリースに頼った整備しかできない整備者。
シム環の意味と役割、使い方を理解していない。
設計者の意図を完全に無視した組み上げをしている。

・・とまぁ〜いちいち挙げていったらきりがないくらいに『酷い』です(涙)・・上の列挙で「 延伸筒/延伸ヘリコイドにガタつきとトルクムラがある」だけが、今回のオーバーホール/修理ご依頼者様からのご指摘内容です。

十数年前に専門店にて入手されたとのことですが、ハッキリ言ってこういう整備をライカ製オールドレンズに施してしまう、その神経/人間性/人格が信じられない!』と・・全く以て
忸怩たる思いです
(怒)

その専門店に赴き、事情聴取したいくらい頭にきています (自分の処で整備したのか、外注したのか、ならば何処の外注先なのか)(怒)・・こういう整備を公然と平気で施す整備会社、或いは整備者を「見せしめとして暴露して辱めたい」想いしか、抱きません(涙)

いくら外からは見えないにしても、少なくともライカ製オールドレンズに対する「畏敬の念」が無いのかと、それこそ磔刑に処したいくらいです(怒)・・当方は悦び勇んで、何度も何度も
突き刺しますね (例えですが)(笑)

こういう整備を公然と平気で施す整備者を、生き残らせておくこと自体が『絶滅危惧種』たるオールドレンズの宿命としても、さらに輪をかけて短命化を促している始末で、とても許せません(怒)

古い「黄褐色系グリース」を除去せずに、その上から「白色系グリース」を塗り足し、しかも「ウレアグリース」を使っている様など、プロたるプライドすら感じ得ません(泣)・・何故なら「増ちょう剤にウレア化合物」を使い、その重合反応に拠り基油との相性が悪く、グリース化しない (潤滑性を担保し続けられない) 懸念が残るからです(怖)

実際今回の個体を完全解体してみれば、特に黄銅材ヘリコイドメス側に対する、経年劣化進行度合いが増しているように見えます (電子顕微鏡で調べたワケではないので微細なクラックの度合いは不明)。

確かに今現在もヤフオク!で「分解設備済」を謳って、勢い出品し続けているバカな出品者が居ますが(笑)、その出品者の出品ページ解説を読む限り「グリースによって経年劣化進行の耐性が増し守られている」と言いますが、その一方で洗浄した後のヘリコイドの溝には酸化/腐食/錆びなどが相当量残っているとも述べており・・既にこの時点で辻褄が合っていません (呆れてしまう)(笑)

そもそも製産時点に使っていた「純正ヘリコイドグリース」など入手できず、市場流通もしない為、同じ環境下で製産後には整備できない道理が自明の理なのに「グリースに頼った整備にばかり固執しているから盲目になる」まさに良き例の如く・・恥を晒しています(笑)

従って、ライカ製オールドレンズに対しても似たような所為を、公然と平気で執れるプロの
カメラ店や修理専門会社が存続していることに、まさに脅威を感じている次第です(怖)

さらにみていくと「 延伸ヘリコイドを回していると、グンと重くなる箇所がある」などは、内部構造で「プラスして延伸機構が直進動に備わる設計」であることが「バラさずとも判る」のに、そこにすら「白色系グリース」を塗ったくっている感触が、掴んでいる指に伝わって
きます(汗)・・こういうのが「原理原則」なので、何でもかんでもバラさなければ判明しない話にはまとまりません(笑)

また「 プリセット絞り環のクリック感に違和感が在る」なども、ライカ製オールドレンズならば、多くのモデルで「鋼球ボールスプリング」によるクリック感操作ではなく「板バネを活用したクリック感」に仕上げているのが歴然なので(汗)、少なくともガツガツしたクリック感などは有り得ない話です(笑)

ちゃんと「板バネでクリックしているクンクンと指に伝わる小気味よい感触」こそが、ライカ製オールドレンズの (設計者と工程作業者の) 誇りなのではないかとさえ・・感じ入ります(涙)

・・そういう要素にこそライカとしての充足感を充たせるのではないでしょうか???(涙)

と、当方はこだわりたいですね(涙)・・とは言いつつも、何しろ当方は金欠病真っ最中な貧困難民年金生活者の一派なので(笑)、とてもライカ製オールドレンズなどを触れる資格すらありませんが(汗) まぁ〜、せめてものイメージ世界として、そのような孤高の存在と崇めている
次第です (崇める自由は憲法にも書かれている???/何人もそれを奪えない)(笑)

なお、このモデルをバラして特にヘリコイドグリースの入れ替えができる技術スキルとなれば
シロウト整備はムリなので、どう考えても何処ぞのプロのカメラ店か修理専門会社による仕業としか考えられませんね(笑)・・まさに世も末です(涙)

↑このモデルに関する、ネット上の解説サイトなどを読んでいても「プリセット絞り環と絞り環の位置を違えて捉えている人が、意外にも結構居たりする」のですが、酷い場合は「プロの写真家」でさえハズカシ気もなく目一杯解説していることがあるので・・おぉ〜、です(笑)

プリセット絞り環」が上の位置になり、クンクンと板バネに拠る小気味良い操作感を指が
感じとりながら操作できるのが「モノホンの証明」みたいな話です (ブルー色の矢印のように駆動範囲が在る)(笑)

一方「絞り環」はその下側に位置し、このモデルでは「絞り値環の直下」に居ます。「絞り環」には基準「●」マーカーが一つだけ刻印されており (グリーン色の矢印)、その駆動域が
ブルー色の矢印で指し示しているものの「無段階式(実絞り)」の操作性です。

ここで明示しているのは「グリーン色の矢印で指し示している● 刻印の位置がズレている」点です(汗)

↑同様最小絞り値:f22にプリセット絞り感をセットして絞り環操作しても「● 刻印はズレた
まま
(グリーン色の矢印)」停止してしまいます。

・・はたしてこの因果はいったい何なのか???

実は先に述べますが「今までのいつかのタイミングで、このオールドレンズの使い方を間違えている」からズレてしまったワケで、さすがにこのズレが生じたまま「整備しましたョ〜ぉ」と店頭のガラスケースに並べるプロのカメラ店様は、居ないのではないかと思ったりします(笑)

要は所有者の「プリセット絞り機構の操作方法」にムリがあったのです(涙)・・これはなかなか責めるにも責めきれない要素があったりしますが、その一つが前述した「プリセット絞り環と絞り環の位置を間違えて捉えている解説者」の話になり、それを読んで信じた読者がまた、
同じ使い方をして「どんどん劣化が進んでいく」悪循環に陥ります(涙)

・・或る意味、人情的に仕方ない一面があったりするので悔しい限り(涙)

組み上がったこのブログページの最後のほうでちゃんと解説しますが(汗)「プリセット絞り環
だけを指で掴んで、絞り環と丸ごと、ガツガツと一緒に回して絞り値操作してはイケナイ
」の
です(涙)

その証拠をこの後で明示します(汗)

↑上の写真は当初のバラし始めた時に撮影した写真です。「絞り環」を取り外して「絞り環用
ベース環
」を露わにしたところですが、ご覧のように「アルミ合金材の摩耗粉」がそこいら中
に・・(涙) 「絞り環」はこの「絞り環用ベース環」の上から被さって「イモネジで締め付け
固定される
」ものの、前述のとおり「面倒くさいから、プリセット絞り環絞り環を一緒に回して、ガツガツとクリック感を伴いつつ絞り値操作を続けてきた」と言う使い方の問題が明白になります(涙)

これは実際の操作で言うと「絞り環を回さずにプリセット絞り環だけを指で掴んで、希望する絞り値にセットしていた」と言う使い方になります(汗)

ところがもっと言うなら、このアルミ合金材摩耗粉を生み出してしまった「根本的な原因」がちゃんと顕在し、それこそが過去メンテナンス時の整備者の不始末なのです(涙)

この「絞り環用ベース環」には全部で3本のイモネジが均等配置で締め付け固定されますが、その締め付け固定される箇所には「2箇所にちゃんと下穴が切削されて用意してある」と言う細かい配慮がライカの設計では「当たり前です」(笑)

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種でネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。

大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。

すると前述のとおり3本使うので、1本だけ下穴が存在しないことになります(汗)・・どう
してなのかを過去メンテナンス時の整備者は「考える必要もなし!」と高をくくったのです。

後のオーバーホール工程で出てきますが、ライカ製オールドレンズの多くのモデルで「絞り環操作に係る連結は、鏡胴の両サイド2箇所から均等にチカラを及ぼすようチカラ配分させる
設計
」が当たり前であり、確かにこのモデルでも絞りユニットと絞り環との連携は「ちゃんと両サイドの2箇所で執られる」次第です(笑)

すると前述の余っている1本分の下穴が存在しない理由/根拠は「板バネに拠るクンクンと指に小気味良く伝わるクリック感を最大限保証させる目的で、残りの1箇所だけはイモネジの仕様が違う」と言う、まさに徹底的な (おそらくはこのように解説しなければ誰一人知られない)、顧客の操作性に対する『企業姿勢』の賜物なのです(涙)・・単にチョ〜高額設定し、企業利潤の追求だけに奔走していない (まるで当方のことを指しているような無いような) のです(涙)

それなのに(涙)、今回の個体を完全解体して、使われているネジの1本に至るまでチェックすると「ウ〜ン、1本だけイモネジの仕様が違うぞ!」と、この部位で前述の目的の為に「本来使われるべきイモネジの仕様とは別モノが刺さっいた」ので、過去のいつかのタイミングで所有者が間違った使い方を続けていた時期に「イモネジの尖った先端が削れていった」その摩耗粉だったのです(汗)

逆に指摘するならそのような仕様諸元の異なるイモネジを使われようとも「絞り環用ベース環は、ひたすらに削れて摩耗せず、バカみたいに至極キレイなままを維持」していたから、まさにオドロキでした!(驚)

・・ちょっとそれを知って/理解して、鳥肌たちましたねぇ〜(笑)

おぉ〜、ヤッバしライカッてスッゲェ〜や!(驚) そんなオドロキで意外に新鮮でした(笑)

そしてこれらから判明した「過去メンテナンス時の整備者の不始末」とは、まるで自慰の如く(笑)、気を利かせて尖った先端のイモネジを用意してきて入れ替えたのです(笑)・・呆れるのを通り越して笑えますが(笑) 流石にライカ! そんなことに微塵も挫けません!(笑)

挫けて粉砕したのは、そう言う手前勝手な盲目の「顧客思い」を装った、過去メンテナンス時の整備者思考回路そのモノです(笑)・・その意味で、却って粉々になったアルミ合金材摩耗粉を見て「ざッまぁ〜みろぉ〜!」と自慢気に嬉しかったりしました(笑)

詰まる処、削れて削れて擦り減って「本来の使用諸元に近似したカタチのイモネジに生まれ
変わった
(要は先端が平坦になった)」ので、今回のオーバーホール工程ではそのまま使って
います (ちゃんと追加で僅かに削ったので、将来に渡り問題を起こしません)。

↑さらにオーバーホール工程を進めて (当初のバラし作業ですが)、前述の「絞り環用ベース環」を取り外したところです。

レンズ銘板も含め「白色系グリース」塗ったくり状態ですが (グリーン色の矢印)(笑)、ブルー色の矢印で指し示したように「古い黄褐色系グリース」が、やはり残ったままです(笑)・・なんでせっかく整備するのに、ちゃんと除去しないのでしょうか???(汗)

↑ヒックリ返して鏡筒の向きを変更して撮影していますが、絞りユニット内に使う構成パーツの一つ「開閉環」にまで「黄褐色系グリース」です (ブルー色の矢印)(汗)

この所為は、過去メンテナンス時の中で「白色系グリース」を塗ったくった直近での整備ではなく、さらに昔の時期に塗布されているとの推測が成り立ちます・・要は「白色系グリース」を塗ったくった整備者は、この鏡筒内絞りユニットをバラしていません(笑)

ちなみに、この鏡筒内最深部にセットされる絞りユニットの構成パーツの一つ「開閉環」は、今回のこのモデルの場合「近接撮影の為にこだわり尽くして、真っ黒な微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」と言う徹底的な配慮設計を採っており「そこに黄褐色系グリースを塗ったくる神経が信じられない」と述べているのです。

・・いったい何の為にこだわって真っ黒にマットなメッキを被せたのか???!

↑取り外した絞り羽根を清掃した時のシルボン紙の汚れで「経年劣化進行に伴う赤サビ」です (もちろん油染みも出ていた)(汗)

↑さらに笑える写真です(笑) 10枚装備する絞り羽根の中から「3つのカタチの違いを順に並べて撮影」した写真です。

グリーン色の矢印方向に膨れたへの字型の絞り羽根
何処も膨れていない平坦な状態の絞り羽根
グリーン色の矢印の方向に凹んでいる絞り羽根

・・とまぁ〜、適切で製産時点を示すカタチを維持しているのは、当然ながらです(笑) が3枚にが2枚で、詰まる処ちゃんと水平を維持していた絞り羽根は「半分の5枚だけ」と言う状況でした(笑)

これは過去メンテナンス時でも「黄褐色系グリース」を塗布していたタイミングに「油染み
していた絞り羽根をそのまま滑らせて取り外した
」が為に、このようにクビレた最も細い箇所で変形してしまったのです(汗)

・・当方がバラすとあらゆる事柄が白日の下に晒されます(笑)

つまり鏡筒の絞りユニット内部に刺さっている絞り羽根の状態のまま、油染みしていたのに剥がして取り出したのが浮かんできます (その時に変形した)。しかもそれを直さずに、そのまま使って組み上げてしまい、その後の「白色系グリース」を塗ったくったタイミングでは、その整備者が絞りユニットをバラさなかったので、赤サビも酷くなりました (全てお見通し)(涙)

↑今度は延伸ヘリコイドのほうにバラし作業が移っています。ウレアグリースを塗ったくっています(笑)

ヘリコイドメス側が「黄銅材」で、オス側がアルミ合金材削り出しですが、実はこのオス側は「アルミ合金材削り出しのアルマイト仕上げ」だったりするので、ちゃんとその目的や役目
まで配慮してある設計なのが一目瞭然です(笑)

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

↑繰り出しの駆動により、こんな感じでズズゥ~ッとヘリコイドオス側が繰り出されていきますが「直進キーガイド (溝)」のグリーン色の矢印で指し示している処には「直進キー」が現れていません(笑)・・これがこのモデルでヘリコイド駆動のトルクを軽くする時のポイントです!

・・要は決して塗ったくったヘリコイドグリースのおかげで軽くなるのではない!

↑取り外したヘリコイドメス側 (黄銅材)(左) と「直進キー環 (右)」です。赤色矢印で指し示している箇所 (ヘリコイドネジ山の谷部分) には、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びが進んでいる箇所が見えますが、これ以上進行しません (何故ならグリースが塗られているから)。

逆に言うなら、冒頭で解説したバカなヤフオク!出品者の如く「グリースに覆われているから酸化被膜で保護されて酸化/腐食/錆びしない」など、あり得ませんね(笑)・・もしもそう言うならこれらの現象の説明をしてほしいです(笑)

・・如何にも酸化被膜ありがたや、的に解説しますがとんでもない!(笑)

一方グリーン色の矢印の箇所には「緑青」も出ています(汗)・・もちろん黄銅材は逐一経年
劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進んでしまい「変質」しています(汗)

↑同様取り出した「蛇腹」ですが(汗)、実は螺旋状に巻かれているのがこの「蛇腹」であるものの、内側からは見えませんが「外側に固着剤を塗って補強していた」為に、経年劣化進行に伴いその塗布した固着剤が溶解し始めて「蛇腹」のヒダ部分が互いにくっついて固まってしまい「当初バラす前時点の延伸ヘリコイドのトルクを重くする一因に影響していた」次第です(汗)
・・溶剤でそれら固着剤を除去した箇所が、上の写真のようにテカリで光っています (グリーン色の矢印)。また、レンズ側端 (右側) はカタチをキープしていますが、マウント側 (左側) は既にボロボロです(涙)・・一部が裂けており「蛇腹伸び縮みの際、マウント部内部の真鍮製/
ブラス製が光って見えている状況
」です(涙)

  ●               

ここからはバラして完全解体してから溶剤で洗浄後、当方の手により「磨き研磨」を施し組立工程へと入ります。

↑鏡筒の内部を前玉側方向から撮影していますが、絞りユニットの最深部底面には「位置決めキー用の穴」が切削され、また側面には両サイドに「連携孔」の切り欠き/スリット/開口部が空いています。

なお「03」と「303」のマーキングが彫られていますが、これは当方の所為ではありません(汗)・・このマーキングの書体を見ると「ニッポン人の書き方/筆記順」で、特に「」のカタチが英語圏に多い書き方とは違うのが分かります(汗)

当然ながら、製産時点の工程の中で、こんなマーキングを行うハズもないので、よくもまぁ〜
ライカ製オールドレンズにこういう所為ができるものだと変な感心が現れますが(汗)、実はこれらの事実からある思考回路が見え透いてきます(笑)

過去メンテナンス時の整備者が、複数の個体を同時にバラして同時進行で整備しているのではなく「個体別の識別番号として管理する目的のマーキング」であり、要は「使いまわし/転用/流用」の一環としての組織的なルール (と言うか慣例) とも受け取れ、決して個人レベルのシロウト整備ではなく「何処ぞのプロのカメラ店か修理専門会社」による犯行との憶測が、かなり濃厚です(汗)

詰まる処、別の個体整備時に「使いまわし/転用/流用」して、如何にも瑕疵が残る構成パーツを新たに調達して改善しました・・的に顧客に説明するのでしょう (堪ったものではない)。

或いは自分が施す「ごまかしの整備」が上手く仕上がらずに、別個体から「使いまわし/転用/流用」していることも十分考えられるので、マジッでバラしてみないかぎり疑わしかったり
します (平気でそういうことが顧客に隠したままできてしまうワケで、もう本当に感覚が麻痺していますね!)(怖)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑10枚の絞り羽根を組み込むと、こんな感じに仕上がりますが、上の写真の状態ではまだ「開閉環」が固定されていないので、このままヒックリ返すと絞り羽根が外れて、バラけてしまいます(汗)・・この「開閉環」には、一般的なオールドレンズで先ず以て滅多な目にしませんが「微細な凹凸を伴うマットな黒色梨地メッキ加工」がシッカリ施されている気配りで、
さすがライカ製オールドレンズだと関心です(涙)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側がレンズ銘板方向の向きです。すると鏡筒の
両サイドに「連携孔」の切り欠き/スリット/開口部が切削されて空いており、その内部に絞り
ユニットの構成パーツの一つ「開閉環」が見えています。

前述のとおり、この「開閉環」はパーツ内外が「微細な凹凸を伴うマットな黒色梨地メッキ
加工
」なので、冒頭説明のとおり「黄褐色系グリース」を塗ったくるなど以ての外です(泣)

当然ながら、そんな所為を施せば「絞り羽根の油染み」など、当たり前の話です(涙)

ちなみにブルー色の矢印で指し示しているように、ちゃんと両サイドに絞り環との連携ようにネジ穴が用意されています。 また「絞り値キー (溝)」に鋼球ボールがカチカチとハマるので
プリセット絞り環操作時にクリック感を伴う原理なのが分かりますね(笑)

↑上の写真は鏡筒を真横から撮影していますが「連携孔」の奥に居る「開閉環」に備わるネジ穴がブルー色の矢印のように直視できます。

実は上の写真は「左端にネジ穴が来ているので、開閉環が完全開放時の位置」であることを解説しています。

↑今度は「開閉環」を回して反対側に来ました。ブルー色の矢印で指し示している「ネジ穴」が上の方向に持ち上がってしまい、直視できません(汗)

この位置は「開閉環の最小絞り値:f22の時の状態」を撮影しており、ご覧のように「最小絞り値方向に向かって絞り羽根が重なり合うと、膨れ上がる現象が起きるのでネジ穴が上方向に持ち上がってしまった」原理を解説している写真です。

これを「絞り羽根が最も重なり合うのは完全開放の時だから嘘を書くな!」と言ってくる人が居ますが、笑ってしまいます(笑)・・円運動の原理を全く理解していないようですね。

ちなみにグリーン色の矢印が指し示している箇所のネジ山は「このモデルのレンズヘッドとして、延伸ヘリコイドにネジ込む時のネジ山」であり、その直前に「ちゃんと平滑性を担保した切削面が用意されている気配りの凄さ」なのも分かります(涙)

これは今回のオーバーホール/修理ご依頼者様や、既にこのモデルを所有している人なら知っていますが「このレンズヘッドをネジ込む時、シッカリ最後まできつくネジ込まれるものの、固まったりしない」設計の素晴らしさをも体現できます。

↑プリセット絞り環ですが、冒頭解説のとおり「板バネ」に拠るクンクンと指に伝わる小気味良い感触を実現させている設計の要です(笑)・・一般的な「鋼球ボールスプリング」に拠るクリック感の「カチカチ」とは全く異なる「板バネを使う独特なクリック感クンクンという感触」であり、それが心に悦びを残すのです(涙)

この「クンクンという独特な感触」が掴んでいる指に伝わった時、実はその原理として「板バネの応力での反響が板バネから指に伝達されるからクンクンになる」ワケで、こう言う処にでさえ「観察と考察」「原理原則」が漂っているので(笑)、別にバラさずとも操作しただけで内部状況が掴めますし、何をどうすれば良いのかも分かります(笑)

↑そのプリセット絞り環の内側の溝には「上の写真右横の薄いシム環」が赤色矢印の位置に
セットされます。当方の手により既に「磨き研磨」が終わっているので、ほぼ製産時点に近似した状態まで、このプリセット絞り環が復元できています(涙)

すると過去メンテナンス時の整備者 (当初バラした直後の確認時には、黄褐色系グリースが塗布してあったので数十年前の話) は、ここに「黄褐色系グリース」を塗ったくっていたものの「どうして筐体外装パーツが微細な凹凸を伴う、ブライトクローム梨地メッキ加工」なのか
まで、全く思考回路が働いていません(笑)

この薄いシム環が用意された設計者の意図は「ここにグリースなど塗らなくても、狙い通りの平滑性と操作性を担保できる仕組みとして薄いシム環を挟んでいる」と言うこだわりこそが、冒頭で解説してきた「板バネに拠るクリック感の感触を顧客が楽しみながら使える満足感」の具現化として用意しているのを、過去メンテナンス時の整備者は台無しにしています(涙)

逆に指摘するなら、数十年前のメンテナンス時に「黄褐色系グリース」を塗ったくった為に、結果的に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが、この薄いシム環に生じてしまい「設計者の
企図を駆逐してしまった
」ワケで、その一方で、それら酸化/腐食/サビはプリセット絞り環の内側「微細な凹凸を伴うブライトクローム梨地メッキ加工」の場所には生じなかったのか?
・・ライカ設計陣の素晴らしさは、こういう要素でもその一面を窺い知ることが叶います(凄)

もっと言うなら、ここにグリースを塗るつもりでいたのなら「薄いシム環は存在しなかった」とも言い替えられ、その分 (シム環の厚み分) 切削サイズが異なっていたハズです (単にシム環を挟めば良いだけの話ではない!)・・ライカとはそう言う徹底した設計方針を採る会社です。

・・「観察と考察」「原理原則」から、このシム環にはグリースを塗りません!(笑)

もっと言うなら、この薄いシム環も、この後の工程に出てくる4本の他の薄いシム環も、全てを当方の手により「磨き研磨」して、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビをワザワザ除去しまくっている始末で(笑)、いったい何をヤラされているのか「???」だったりします(汗)

従って、今回のオーバーホール/修理ご依頼者様お一人様だけが、この設計者の意図の通りに「クンクンと指に伝わる小気味良い感触を味わえる」よう、当方のオーバーホール工程でも
この箇所にグリースなど・・一切塗っていません(笑)

・・こういう要素こそがライカ製オールドレンズを所有する小さな小さな悦びの一つ一つ!

ではないかと、当方もこだわりたくなりますね(涙) そもそも「何でもかんでもグリースを塗ったくれば、スムーズに操作できて平滑性がキープできる」と思い込んでいるのが「整備者として失格の話」であり、当方ではそう言う概念を「グリースに頼った整備」と呼称して、当該の整備者を貶めています(笑)

・・「観察と考察」とは、こういう細かいところにも顕在するのです(笑)

だからこそ「本来在るべき姿」として、組み上げが適うのであり、自慢話の如く嘘偽りを捲し立てて喧伝に余念がない話では・・ありませんね(笑)

そしてそれは、今回のオーバーホール/修理ご依頼者様お一人様だけが「おぉ〜、本当に嘘偽りではない」とご納得頂けると・・述べているのです(笑)

従って、そういうたった一人の方の為だけに真心を込めて整備しているワケで、世間一般の
大多数の方々にどんなに罵られようとも・・構わないのです(笑)

逆に言うなら「本来在るべき姿」の追求とは、そういう隠れた厳しい世界の次元の中だけで、ひたすらにのたうち回ることを強いられるとも説明でき、本当に哀しくも厳しいリアルな現実でしかありません。

・・世知辛い世の中ですね(涙)

↑「絞り値用ベース環」を締付ネジで締め付け固定しました。

筐体外装パーツの多くが「ブライトクロームの微細な凹凸を伴う梨地メッキ加工」であるのに対し、いったいどうしてこの「絞り値用ベース環」は「半光沢メッキ加工」なのでしょうか(笑)

↑ヒックリ返して撮影していますが「プリセット絞り環」を組み込んだものの、グリーン色の
矢印
で指し示すように「薄いシム環」に守られているため、この部位には「グリースなど一切必要ナシ!」なのが前述の解説です(笑)

・・自慢話の如くウソを拡散しているのではなく、事実を示しているだけです!(笑)

そしてその操作性の素晴らしさは、まさに今回のオーバーホール/修理ご依頼者様お一人様だけが「おぉ〜、買った時はこう言う操作感だったんだ」と記憶に残る感触をお楽しみ頂けます(笑)・・そう言う悦びこそがライカ製オールドレンズの素晴らしさを体現している話の一つ一つとして、その描写性と一緒に蓄積されていくからこそ「素晴らしきかな我が人生」なのではないでしょうか???(涙)

↑さらに「プリセット絞り値環」をイモネジ3本 (グリーン色の矢印) で締め付け固定します。

↑ここからがさらにポイントの工程へと移ります(笑) 「絞り環用ベース環」をこれからセットしますが、その間に「2本の薄いシム環」を挟み込みます。

ところが、この「薄いシム環」は厚いほう () と、薄いほう () に2種類が用意されています・・どうして厚みが違うシム環をわざわざ2枚使うのでしょうか??? そしてその順番は???(笑)

・・プロの整備者の方、答えて下さい!(笑)

ちなみに「絞り環用ベース環」には、その両サイドに切り欠き/スリット/溝が備わり、そこで鏡筒内部の「開閉環と連結する」から、絞り環操作で絞り羽根が開閉角度を変えていきますね (ブルー色の矢印)(笑)

↑同様、今度は「絞り環」を一つ前の「絞り環用ベース環」の直上にセットしますが、やはりこの時も「薄いシム環」2枚を挟み込み、且つの厚みの違いがあります(笑)

そして前述のとおり「鏡筒内部の開閉環と絞り環用ベース環が連結した」のを、ブルー色の矢印で指し示しています (反対側にもあり)。

前の解説の通り「ここでも当方のオーバーホール工程ではグリースなどを一切塗布しません」し、然しそれでも抜群の操作性が戻っています(笑)

如何に「何でもかんでもグリースに頼った整備ばかりが横行している」始末・・なのかご理解頂けるのではないでしょうか???(笑)

・・まさに「観察と考察」ができない整備者ばかりだから、必然的な結末です!(笑)

↑ようやくレンズヘッドが組み上がりました。この後は光学系前後群を清掃して組み込めば完成です(涙)

↑ここからは延伸ヘリコイドのほうの組立工程に移ります。

ヘリコイドメス側 (黄銅材)
マウント部 (真鍮製/ブラス製)
直進キー環 (黄銅材)
ヘリコイドオス側 (アルミ合金材削り出しアルマイト仕上げ)

冒頭解説のとおり、ヘリコイドネジ山の谷底に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進行した箇所は、ムリに「磨き研磨」せず、そのまま酸化/腐食/サビを残したまま活用します。これわ金属研磨してしまうと、再び今後近い将来に向かって酸化/腐食/サビが進行していくワケで、金属材への微細なクラックをどんどん促してしまいます(怖)

例えばもしも酸化被膜がグリースによって保護されるなら、アルミ合金材削り出しのヘリコイドオスメスで「ネジ山の谷底に白っぽい白サビ (菌糸状も含む) が残る」道理を説明できません(汗)

逆に言うなら、どうしてこのモデルのヘリコイドオス側は「アルマイト仕上げ」なのでしょうか???(笑)

↑「直進キー」を並べて撮影していますが、過去メンテナンス時の整備者の手によるマーキングを赤色矢印で明示しています。黄銅材で造られている「直進キー環」も当方の手による「磨き研磨」によって表層面の平滑性が戻り、合わせて「エイジング処理済」なので、すぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません (単に金属研磨して洗浄しただけではない/近い将来的な酸化/腐食
/サビに備えている
)(笑)

↑「直進キー」はこんな感じでズズゥ~ッと伸びていきますが(笑)、確かにヘリコイドオス側の繰り出し量/収納量に一致するものの、リアルな現実は「必ずしも飛び出てこない」原理で設計したので、こういう「二重のスライド方式」として敢えて用意してきたのであって、これこそがこの延伸ヘリコイド方式での「トルクを軽く仕上げられるライカ設計陣の創意工夫の一つ」とも言いかえられ、ここにグリースを塗ったくるからトルクが重く変わりますし、もっと言えば、今回の個体のように当初バラした直後には「白色系グリース」が塗られていたのも確認済ですから、全く以て「グリースに頼った整備」が設計者の意図を台無しにしていることを・・思い知るべきですね!(笑)

まさに今回の個体では、オーバーホール工程の中でいつもよりも長く「3時間もゴシゴシゴシゴシと、ひたすらに磨き研磨をヤリ続けた」理由こそが、ここに「在ります」と申し上げさせて頂きます(笑)

↑「蛇腹」の押さえ環がレンズ側には用意されます (ヘリコイドオス側の内側)。グリーン色の
矢印
で指し示している切込みがあるから「螺旋状の蛇腹がセットできる」次第です(笑)

↑当初バラした直後には過去メンテナンス時に塗布されていた固着剤が溶けて互いにくっついてしまった為、バラす前の延伸ヘリコイド操作時は「蛇腹が伸びる時にその抵抗/負荷/摩擦の
増大を招き、とても重いトルク感に堕ちていた
」次第です(汗)

それら「補強のつもりで塗った固着剤を全て完全除去」したものの、赤色矢印のように一部は既にボロボロです(涙) だいたい本質的に繊維製品なのに、そこに固着剤を塗ると言う考え方が「例え補強としても」全く違う思考回路としか考えられません(笑)・・こうやって製品寿命
の短命化
が進んでいきます(涙)

ブルー色の矢印で指し示している箇所は、避けて剥がれてボロボロに劣化してしまったので、まとめて接着しています (補強してムリに伸ばそうとしない)。

ヘリコイドオス側」と「直進キー環」をセットしましたが、互いにグリースなどを一切塗っていません (それでも非常に軽いトルク感に仕上がっています)(笑)、また上の写真の状態で既に互いは外れなくなっていて、一体駆動で直進動する仕組みなのが分かります (それこそが二重スライド方式で直進キーを用意してきた狙い)。

逆に言うなら、ライカ設計陣は「蛇腹を引っ提げて (一緒に) 駆動させる時の抵抗/負荷/摩擦まで計算済」だからこその創意工夫とも指摘できます(涙)

・・本当に素晴らしい!!!(涙)

むしろそれを台無しにしていたのが過去メンテナンス時の整備者の所為だったと、いったい
どれだけの人達が気づくでしょうか???(笑)

↑延伸ヘリコイドのローレット (滑り止め) 内側にセットされる、赤色矢印で指し示した環/リング/輪っかの役目とその意味、目的すら過去メンテナンス時の整備者は全く理解してません。

総じて、このようなライカ製オールドレンズを整備できる技術スキルを有するプロのカメラ店様や修理専門会社様に在籍する整備者としても「ごまかしの整備」或いは「グリースに頼った整備」ばかり固執していながら、プロを名乗るのだから、もぉ〜恐れ入るしかありません。

当方などは「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話ですから(笑)、とても足元に平伏す資格すらありませんが、少なくとも可能な限り正直に、真正面から果敢に挑み、挫けず諦めず楽せずに、実直に臨むだけしか「脳がない」ので、何時間かかろうとも、ただただひたすらにコツコツと仕上げていくだけしかできません。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています(涙)・・素晴らしい仕上がりです!(涙)

前玉裏面側に薄っすらとインク成分の付着を視認したので、鏡筒内部に過去メンテナンス時に着色されていた「反射防止黒色塗料」を完全除去した為、赤色矢印で指し示している箇所が
キラキラ光っています。もしも「迷光迷光」と大騒ぎするなら、ではどうしてライカ設計陣はここにメッキ加工を施さなかったのでしょうか???(笑)

↑ご覧のとおり、キラキラ光っている箇所は光路長の中で大きく影響していないようにみえます。光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑光学系後群側もスカッとクリアです!・・極僅かに微細なヘアラインキズが蒸着コーティング層に数本残っているようですが、光学系内を見ても直視できません (蒸着コーティング層の微細な線状ハガレなので視認できない/斜めに光に翳すとヘアラインキズ状に視認できる)。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり、プリセット絞り環や絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑筐体外装の微細な凹凸を伴うブライトクロームな梨地メッキ加工も「磨き入れ」により素晴らしく垢抜けしました(涙)

↑付属の純正金属製被せ式前キャップも、ご覧のとおりピッカピカに磨いたので(笑)、被せる時の気持ちの良さがまた増幅すると思います (どうでも良いですが)(笑)

↑無限遠位置は当初バラす前よりも、ほんの僅かにオーバーインフ量を減らしていますが、構造上/設計上で他モデルにも対応することからこの仕様のまま組み上げています。

↑まさしくヘリコイドオスメスだけにしか「黄褐色系グリース」を塗布していませんが(笑)、ご覧のとおり美しく、そして滑らかに、とても軽い操作性で「当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルク」に仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

・・マクロレンズとして十分撮影に没頭でき、当方の整備など微塵も思い出さないでしょう。

整備する」とは・・そういうモノだと信じています (悲しい現実です)(涙)

↑前述のとおり、延伸ヘリコイドの内側「蛇腹」は、螺旋状を一部まとめて接着し、裂けて
いくのを止めて/防いでいます (赤色矢印)。

またこれらの処置のおかげで、延伸ヘリコイドの操作性は限りなく軽く仕上がり(笑)、
ピント合わせする時も「マクロレンズらしい前後微動」と言う操作性にまで復元できて
います (当たり前の話ですが)(笑)

当初バラす前の「蛇腹」に引っ張られる印象の抵抗感は、微塵も残っていません。

↑ここからは「プリセット絞り機構の使い方」を解説します。面倒くさいでしょうが、この使用方法にご留意頂き、再び刻印絞り値がズレたり、操作性が悪化するのを防いで頂きたくお願い申し上げます(涙)

先ず「プリセット絞り環は上側」になり「絞り環が下側」です。これを見誤ると使い方が雑に変わるので要注意です (少なくとも設計者は逆の使用方法を想定していません)。

グリーン色の矢印で指し示しているのが「プリセット絞り環側の基準マーカー」であり、プリセット絞り値を表します。またこの時に「絞り環側の基準●マーカー」は「現在の絞り羽根の開閉状況を示す」ので、いちいち光学系内を覗き込まなくても、これを見ただけで状況を掴めます。

すると上の写真では「絞り羽根が完全開放状態」なのをブルー色の矢印が指し示しており分かります。

説明では「プリセット絞り値をF8にセットして撮影に臨む」ことを解説していきます。先ずはプリセット絞り値を「F8」に設定するので、プリセット絞り環側を指で掴んで、カチカチとクリック感を伴いながら回します (ブルー色の矢印❶)。

グリーン色の矢印のとおり、プリセット絞り側の基準「」マーカーが「F8」に合致しました。

然しこの時、直下の「絞り環側」の基準「●」マーカーは「F3.5」を指しているままなので (ブルー色の矢印)、現状絞り羽根は完全開放したままを維持し続けています(笑)

・・ピント合わせをしましょう!(笑) 次にブルー色の矢印❷方向に回します。

↑「絞り環」を回して絞り羽根が設定絞り値 (グリーン色の矢印)「F8」に閉じたので (ブルー色の矢印)、ピントが合っているならそのままシャッターボタンを押し下げます。

撮影が終わったら、ここからが今後の操作性を損なわない為に「留意するべきストーリー」に入ります(泣)

今までは面倒くさいので、プリセット絞り環側絞り環の両方一緒に掴んで操作していた (と言うか、プリセット絞り環側だけを回して戻していた) と推測しますが、ちゃんと正規の操作方法に立ち戻り「先に絞り環側を開放f値に戻す」操作を行います。ブルー色の矢印❸方向に回しブルー色の矢印「●」を開放f値に合致させます。

この操作により「内部でプリセット絞り環側のストッパーが解除方向にマチができる」ので
プリセット絞り環側にムリがかかりません(涙)

これを一緒に回す操作をしていたから、冒頭解説のとおり「イモネジの先端が削れていった」話に到達します(汗)

ブルー色の矢印のとおり絞り環側「●」刻印が開放f値に合致したので、これで初めて絞り羽根が完全開放状態に戻りました。

この時「プリセット絞り環側が完璧にフリー状態に回復する」ので、グリーン色の矢印の「」をカチカチとクリック感を伴いつつブルー色の矢印❹方向に回します。

↑結局、何のことはなく(笑)、一番最初の状態に戻っただけのストーリーですが、この操作をする前提でしか設計していません(汗)

今までプリセット絞り感や絞り環操作で、なんとなく重くて違和感いっぱいだった原因が、その操作方法と過去メンテナンス時の整備者によるイモネジの転用だったので、今回のオーバーホール/修理完成後は、正規の操作手法を執る限り「二度と違和感は現れません!」と明言できます(笑)

まぁ〜、面倒であれば、最小絞り値f22にセットしたまま絞り環側操作だけ」使えば、面倒がないかも知れませんね(笑)

なお、両方の基準「●」マーカー位置がズレているように見えますが、直視すればピタリと合致しています(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から僅かに改善/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離65㎜開放F値f3.5被写体までの距離47m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度23m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離33cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

この最短撮影距離33cmを実測すると「32cm」であるものの、そもそも撮像素子面からレンズ銘板端までの、オールドレンズ繰り出し時の全長が
「22cm」なので、凡そ「10cm」くらいの被写体との距離しかありません (倍率計算では1/2.4倍)!(驚)

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」になりました。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影ですが、まだまだ「回折現象」の影響を微塵にも感じず、バシバシ撮影行けそうです!(驚)・・素晴らしいモデルです!(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。過日の「HEXANON 57mm/f.4 EE《中期型−II》(AR)共々、本日キッチリ厳重梱包し、大和にては送料込申し上げます。また発送後に問い合わせ番号などご連絡します。どうぞよろしくお願い申し上げます。