♦ Ernst Leitz GmbH Wetzlar (エルンスト・ライツ・ヴェッツラー) Summicron 5cm/f2《collapsible》(2nd)(LM)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Ernst Leitz GmbH Wetzlar製標準レンズ・・・・、
Summicron 5cm/f2《collapsible》(2nd) (LM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の同型モデルの括りで捉えると17本目にあたりますが、今回扱った「2ndモデル」だけでのカウントでは16本目です。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りま
した事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います

前回2022年に扱った個体が「1stモデル」で初めての扱いでしたが、今回の「2ndモデル」も内部構造は基本的に同一設計です。

然し、今回のオーバーホール/修理に際し完全解体したところ「光学系の設計に違いが在る点を発見」してしまい、このブログ掲載に至った次第です。

↑外見上の違いとして述べるなら、もちろん「LMマウント規格」と異なるものの、さらに筐体外装の「特に距離環を含む鏡胴マウント部側が、微細な凹凸伴うマットな梨地メッキ加工仕上げに変わった」点で、見分けが付きます (1stモデルはブライトクロームメッキ加工だから)。

上の写真は「L39マウント規格の1stモデル (左)」と「LMマウント規格の2ndモデル (右)」です。

2022年に「1stモデル」を扱った際はネット上の事前情報探索が甘く、適切に解説できていませんでしたが、今回はもう一度探りを入れて「特許出願申請書と光学系の発案者の確定」に着目して調べてみました。

最初からネット上の情報を検索すれば良かったのですが、何しろ当方は『極度のカメラ音痴』で (フィルムカメラの事を、その歴史も踏まえて何も知らない)、しかも「光学知識が皆無」なのに合わせて「写真スキルまで皆無」なので、あ~だこ~だ語れる資格すらありませんが(汗)
それでもこのブログを掲載するのにいろいろネット上を漁って勉強していくと、少なからず
見えてくるモノもあったりします(笑)

そこで今回は先ず、Ernst Leitz Wetzlarの特許出願申請書について1988年まで遡り、今回扱った「沈胴式 Summicron 5cm/f2」が落ち着く1958年までについて、凡そ1,600件の特許出願申請書を片っ端に漁ってみました(笑)


↑上に挙げた8枚の特許出願申請書は、全て「Ernst Leitz GmbH Wetzlar」による出願申請の図面ばかりを並べましたが、上段左端の「1940年」から順に昇順で「1957年」までを時系列的に並べています (クリック/タップすると拡大表示する)。

DE8890771940年5月7日申請
発案者:Dr. Max Berek、Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE9367741944年4月27日申請
発案者:Dr. Max Berek、Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE16473491950年1月9日申請「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」
GB6836591950年1月9日申請「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」
US26224781950年1月9日申請「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
FR10613471952年8月8日申請
DE9399561954年8月31日申請
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE10444391957年8月24日申請
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg、Rudolf Ruehl

順を追って調べていくと、先ずDE889077では「Elmax 5cm/f3.5」の3群5枚エルマックス型光学系生みの親たる「Max Berek (マックス・べレック)」博士が関わり、合わせて「Otto Zimermann (オットー・ツィマーマン)」氏と「Gustav Kleineberg (グスタフ・クライネベルグ)」氏の3人による共同作業だった事が特許出願申請書に記されています (名前はいずれも現在のドイツ語発音を参考にしています)。

ちなみにLeitzに在籍していた「Otto Zimermann (オットー・ツィマーマン)」氏はネット検索で最上行にヒットする「Otto Zimmermann」とは綴が違います (mが1文字多い別人です)。

このの光学系は「Summitar 5cm/f2」の発案案件と考えられますが、Leitzの出荷を調べると「1938年:487001 〜 490000 (3,000台)」からスタートしているものの、上に掲示した特許出願申請書の申請日は「1940年」です???(汗)・・このへんの辻褄が合わない部分については、当方での「Summitar 5cm/f2」扱いがまだ深まっておらず、今までに扱った個体が「歪曲絞り羽根装備のモデル」だけなので「???」なままです(汗)

さらにパッと見でで同じ光学系発案を申請していると捉えられてしまうところ、実は掲載の光学系構成図を細かくトレースしていくと微妙に各群の曲がり率とカタチが違う事を発見しました・・例えば一番大きな相違点は、光学系第2群の2枚貼り合わせレンズで構成3枚めにあたるでは両凸レンズだったのが、では凸平レンズへと変異しています。合わせての第4群後玉は厚みも曲がり率も違いますから、当初申請の4年後に何某かの改善を狙い発案してきたことが窺えます。

これらは共にドイツ特許出願申請書ですが、発案内容が「Summitar 5cm/f2」光学系との推測が適うものの、今回扱った「Summicron 5cm/f2《collapsible》1st2nd」の光学系発想は、ここから発展していった光学系発案ではないかとみています。

それはの光学系で第1群と第2群の共に貼り合わせレンズについて、互いに分離させてきた発想として受け取れる点と、合わせて当時の「Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ)」博士が、やはり1951年時点で特許出願申請書を申請してきた「US2662447」でも「やはり張り合わせたり分離させたりして発案している」点に於いて、何某かの当時の流行り廃りではありませんが、背景を感じたりします (あくまでもドシロウト感覚に堕ちますが)(汗)

までは共に「ドイツ向け/英国向け/米国向け」で同一の光学系発案に対する各国での特許出願申請状況を示しているものの、申請日が同一なるもその受理と認可/登録日はそれぞれでタイミングが違います。

一方フランス向け特許出願申請書の記載構成図と記述を読むと、実は光学系第1群〜第4群までの「特に空気レンズ層の曲がり率が異なる発案」なのが分かり、それは実際に掲載図面からトレースすると一目瞭然です。するとこれが「1952年時点」の特許出願申請書なのですが「実は今回の個体をバラして取り出した光学系の実測値にとても近似した結果に繋がってしまった」点に於いて、近似した発案案件だったのではないかとの憶測が湧いてしまったので御座います (ドシロウト丸出し状態です!)(汗)

それは実は までが共に「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」としての発案であることを「大前提」としており、それは「屈折率1.65n以上を執る光学硝子レンズである必要がある」との前提条件のもとで発案したことを記述しているからです。

逆に言うなら、このフランス向け特許出願申請書には「新種硝子レンズとして屈折率1.65n以上を執れる」ことを記述しており、前出の「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」である点を一切記述していない時点で、 までととの整合性が全くとれない「別モノの光学系発案」と判定したからなのです (つまり単なるフランス向けの同一案件特許出願申請ではないとの考察)(汗)

なおその後のに於いては、ちゃんと調べきっていませんが (何しろ情報量が膨大すぎて時間が無い)「Summicron 5cm/f2のモデルバリエーション上の変遷」として辿れるのでは
ないかと、これも今のところそのように捉えています (今後の課題として残ります)(汗)

これらの考察はあくまでも、光学知識皆無な「プロにもなれず、マニアすら
なれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」
たる当方の憶測でしか
ないので、その点をどうがお含みおき下さいませ。


↑上に列挙した光学系構成図は、上記時系列での特許出願申請書に掲載されている構成図を
それぞれ当方の手でトレースした構成図を載せています(クリック/タップすると拡大表示)。

DE8890771940年5月7日申請 ※Summitar 5cm/f2
発案者:Dr. Max Berek、Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE9367741944年4月27日申請 ※Summitar 5cm/f2
発案者:Dr. Max Berek、Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE16473491950年1月9日申請「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
FR10613471952年8月8日申請
DE9399561954年8月31日申請
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg
DE10444391957年8月24日申請
発案者:Otto Zimermann、Gustav Kleineberg、Rudolf Ruehl

Summicron 5cm/f2《collapsible》(1st)酸化トリウム含有レンズ (放射線レンズ)」
完全解体時に取り出した光学系各群のデジタルノギス実測値に基づくトレース図
Summicron 5cm/f2《collapsible》(2nd) ※今回扱った個体
完全解体時に取り出した光学系各群のデジタルノギス実測値に基づくトレース図

すると上の構成図で 色付した光学系の群が「酸化トリウム含有」である事を特許出願申請書の記述で記してあり、実際にで以前扱った個体から取り出した光学系各群の放射線量を実測すると高い数値を示したのを確認しています。

ところが今回扱った個体から取り出した光学系各群の放射線量を計測しても一般的な数値しか示さず「酸化トリウムを含有していない硝子材」である事をとして掲載しています。

またに明示したグリーン色の矢印の位置には「薄い厚みのシム環/リング/輪っか」が挟まり、その厚み分の「空気レンズ層」が実際に空間として空いているのを確認しました。

その一方で赤色矢印で指し示している箇所には「シム環が存在しない/介在しない」事を表し、これらの位置の光学硝子レンズは「互いが純粋に接触し合って積み重なっているだけの格納方法」なのを確認済です。

これら特許出願申請書の記述や「酸化トリウム含有に関する記述」或いは掲載構成図や実際にデジタルノギスを使い計測した実測値からトレースした構成図などを照らし合わせた時、そこから見えてきた内容が冒頭で述べた話になります(汗)

つまり までの特許出願申請書の発案ではの構成図のように 色付した「酸化トリウム含有」である事を示し、それは実際にの個体から取り出した光学硝子ンズの調査で判明しています。

この時の❶の放射線量は「第1群前玉8.88µSv/h、第2群0.26µSv/h、第3群4.10µSv/h、第4群0.30µSv/h、第5群1.85µSv/h、第6群後玉1.78µSv/h」との高い線量値を示し、特に第1群前玉と第3群は光学硝子材が黄変化するブラウニング現象
確認しています。

一方今回扱った個体❷の放射線量は「第1群前玉0.08µSv/h、第2群007µSv/h、第3群0.05µSv/h以下、第4群005µSv/h以下、第5群0.09µSv/h、第6群後玉0.06µSv/h」といずれも一般的なオールドレンズの計測値の範疇にしか捉えられません。
(つまり酸化トリウム材を含有していない/ランタン材さえも含有していない)(汗)

すると、まるでフランス向け特許出願申請書に記されている内容をそのまま体現したかの如くの構成図で確認できます。

さらに今回の個体の発見は「グリーン色の矢印で指し示しているシム環の厚みの相違」であり
それはイコール「空気レンズ層の空間の狭さの違い」を表し、まさにフランス向け特許
出願申請書に記載されていた内容そのままにも光学系各群の曲がり率やカタチの相違をデジタルノギスで計測して把握した次第です(汗)

具体的に明示するなら、以前扱ったで計測した厚みは「シム環0.27㎜」に対し (その時のブログ記載は0.3㎜弱と明記)、今回扱った個体の計測値は「シム環0.18㎜」だったのです!(驚)

結局、この「シム環の厚み/薄さの違いが判明」した時点で「別の発案特許出願申請書が存在
するハズ???
」との憶測が湧き上がり、ついに1,600件もの申請書を片っ端に漁りまくるハメに陥った次第です(笑)

当然ながら「第一世代のSummicron 5cm/f2とは酸化トリウム含有の違いが在るので光学系は再設計されている新種硝子による屈折率1.65nの担保」との特許出願申請書の記載事項が、まるッきし該当してしまったと受け取っています (あくまでもドシロウトの当方の憶測の範疇に留まる話でしかない)(汗)

単に辻褄合わせしているにすぎず、何ら信憑性を担保している内容には至っていない・・との批判が聞こえてきそうですが(笑)『転売屋/転売ヤー』たる当方の身の上である以上、いた仕方なしとの覚悟です(笑)

ちなみにの前回扱い品「1st」と今回の扱い品「2nd」では、光学系第1群前玉の外径サイズは「⌀ 32.48㎜」と全く同一の計測値でした(笑)・・ところが第2群の外形サイズになると相違が現れ(驚)「⌀ 32.44㎜⌀ 31.98㎜」と僅かに小径でした(汗) さらにオドロキだったのは、光学系第5群貼り合わせレンズの外形サイズも異なり「⌀ 24.81㎜⌀ 19.79㎜」なので、どんだけ屈折率が向上した新種硝子に技術革新したのかを
まるで見せつけられたような気持ちになり、とても新鮮な思いで御座いまする(汗)

後のオーバーホール工程の中でちゃんと『証拠写真』を掲示しますが(笑)、この光学系第5群貼り合わせレンズの切削のカタチが違う点も明らかになります (上の構成図でもトレース)。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSummicron 5cm/f2《collapsible》(1st) (L39)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑先ずはオーバーホール/修理の工程を進めていく中で起きた/露わになった、今回扱った個体の問題点を指摘していきます。

上の写真は、光学系第4群の裏面側を写真上の方向に向けて撮影していますが、ご覧のとおり光学硝子レンズのコバ端には、「凡そ3種類の反射防止黒色塗料着色に拠る塗膜層」が残っていました(汗)

上の写真を撮影したタイミングは、実際に溶剤を使い溶かして剥がしていく作業を執っている中で写真撮影しています (写っている左側のコバ端一部がすでに溶けて除去できているのが分かる)。

すると溶剤で溶かしている時に「インク成分の色味が綿棒に残る」のを以て「3種類の反射
防止黒色塗料が使われている
」と判定しています。一つは「薄紫色」に付着し、もう一つは「焦げ茶色」或いは3つめは「黒色」だったりしました(汗)・・これらは溶剤で拭っていく
途中で、塗料のインク成分 (基本色) の色味が勝手に変化していく事は起きない/有り得ない為
最終的に「3種類の反射防止黒色塗料が塗られていた」との判定に到達せざるを得ません。

それは例えば、一般的なオールドレンズを例に挙げるなら、筐体外装の金属製パーツなども製産時点にメッキ加工が施されていますが、パッと見で黒色の筐体に見えるものの「溶剤で拭うとメッキ塗色の基本成分の色味が明白になる/溶剤が揮発する直前に顕わになる」と指摘できるからです。

最終的に製品として仕上がっている時に「黒色鏡胴」に見えたとしても、溶剤で拭った瞬間に「濃い青色」の基本色を塗り重ねて黒色に見えているのか、或いは「濃い緑色」だったり、別のシ~ンでは「濃い赤色」だったりと、金属材に被せるメッキ加工塗色でさえその「基本成分の色味には黒色は存在し得ない」のが塗装業界、ひいては「物質を着色した時の色味の成分の基本概念」なので、それを覆すことは物理的にも原理的にも不可能です(笑)

それこそ特殊な「漆黒の黒色塗料」を特別にメッキ加工しない限り真の黒色には到達しませんが、そこまでこだわっているメッキ加工を施したオールドレンズを手にした事がありません(笑)

別の言い方をするなら、光が波長であって今ドキのデジタルな環境下では「」との3色を「色の三原色」と捉えて、その組み合わせの中から総天然色を表現する概念なのと
同じであり、それら光の波長で言う処の3つの色味は印刷する時/着色する時「()」とシアン/マゼンタ/イエロー (ブラック) に置き換わる点からも、その原理は明白です (だから
プリンターのインクはそのように呼称し、且つ現実にそのような色味になっている
)(笑)

そして光/波長で言う処の3色の混色は「ホワイト (真っ白)」であるものの、物質を着色する際には3つの色味の混色は「ブラック (漆黒)」として異なる原理なのも自明の理です (絵の具を全て混ぜ合わせると黒色になる)(笑)・・光/波長と物質との違いですね(笑)

話がそれましたが、上の写真の光学系第4群で言えば、この裏面側のコバ端は「格納筒に収納された後に締付環で締め付けられる場所」であり、これら執拗に過去メンテナンス時に何回も着色されてしまった「反射防止黒色塗料」の厚み分は「そのまま光路長を狂わせる因果に繋がっていく」ことを、このブログでも何回も何回も執拗に述べています(汗)

だからこそ当方のオーバーホール/修理工程では「必ず一旦すべての反射防止黒色塗料を溶剤で溶かして剥がす」処置を執り、最低限必要な箇所のみ、当方の手により再び着色して仕上げています。

↑上の写真も同じ光学系第4群の裏面側コバ端の撮影ですが、赤色矢印で指し示している箇所に鉛筆書きで「26 レ−」が現れました(汗)・・これは3種類で塗られていた「反射防止黒色塗料」を剥がしたら現れた次第です。

この鉛筆書きの線の太さが一定なので「1本1本削って使う本物の鉛筆ではなく、いわゆる
シャーペンの類
」との推測が適い、近年に記された内容であるのが明白です(汗)

↑こちらは光学系第6群の後玉を、一体モールド成形している黄銅製の格納筒の裏面方向から
撮影していますが、グリーン色の矢印で指し示しした箇所に、やはり執拗に「反射防止黒色塗料」が塗られており、当方にて溶剤を使い溶かして剥がしているところを撮っています。

一方赤色矢印で指し示しているとおり、当方の手による「磨き研磨」が終わり、製産時点にはメッキ加工されていなかったことが判明しています。赤色矢印で指し示している横方向の位置は光学系の光路長には直接影響しないものの、この格納筒のフチ部分はものの見事に光路長を狂わせる一因に繋がっていくのでブルー色の矢印で指し示している箇所すら「磨き研磨で剥がしている」次第です (着色した塗膜の厚み分で、後玉の固定位置が露出方向にズレて光路長が狂っていくから)(汗)

逆に指摘するならこのブルー色の矢印で指し示している格納筒のフチ部分は、鏡筒の絞りユニット背面側にダイレクトに接触して格納される設計なので、ここに着色されている「反射防止黒色塗料」の塗膜の厚み分がソックリそのまま「光路長の延伸に追加されていく要素の一つ」とも言い替えられます(汗)

・・はたしてこの処置が本当に必要なのか??? (少なくとも製産時点は処置されていない)

どうして製産時点に施されていなかったであろう処置を、過去のメンテナンス時に敢えて施す必要性が、そんなに在るのでしょうか???・・高卒で頭が悪い当方には未だに理解できま
せん(汗)

↑今度は上の写真は光学系第2群の裏面側を撮っていますが、同じようにコバ端の「反射防止黒色塗料」を溶剤を使い全て剥がしている最中で、今度は「−2」の鉛筆書きが現れました(笑)

↑全周の「反射防止黒色塗料」を剥がしてみると、反対側には「26」とやはり鉛筆書きされていました(汗)

↑ヒックリ返して前玉側方向から撮影するとこんな感じですが、赤色矢印で指し示している箇所に「逆転した26の鉛筆書きが視認できる」次第です(汗)

実は当初溶剤を使い「反射防止黒色塗料」を溶かして剥がす前段階 (バラした直後) 時点で
この箇所に菌糸状のカビが居るのか???」と不思議だったので、覚えていたワケですが、まさか鉛筆書きの数字だとは想像もしませんでした(笑)

・・いくら何でも裏側から視認できる痕跡を残すのは、如何なものでしょうか???(笑)

実は、日本国内の一部の整備会社で執り行われる整備時に、このように光学硝子レンズに直接鉛筆書きで「何某かの暗号か数値を記している整備者が居る」のを、今まで13年間に扱ってきた3,000本を超える個体のオーバーホール工程の中で経験して知っているのです(笑)

中には、格納筒の外側に白色マジックで丸印やレ点などを書き込む整備者も居るのを知って
います(笑)

↑こちらの写真は前の工程で解説した、光学系第4群のコバ端に3種類の「反射防止黒色塗料」を使い執拗に厚塗されていた塗料の一部がゴソッと、そのまま剥がれ落ちたのを撮って
います・・相当な塗膜の厚みが在るのがお分かりでしょうか???(汗)

↑上の写真は鏡筒内部の絞りユニットで使う構成パーツの一つですが「開閉環」と言う、絞り羽根の上に被さり、絞り環操作時に連携して回転することで絞り羽根の開閉駆動を実現させている構成パーツを、ヒックリ返して裏面側方向で撮っています。

すると赤色矢印で指し示していますが、今まで同型モデルを15本扱ってきたものの、今回の個体で初めてこの位置に「アクリル製の環/リング/輪っか」が挟まっていたのです(驚)

上の写真撮影時には、このアクリル環を置く場所を間違えて撮ってしまいましたが(汗)、正しくはこの反対側の「光学系前群格納筒側の場所」に挟まっていました。

←なお、この「開閉環」も本来完全解体してバラした直後には、左写真の如く「経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進行した焦げ茶色」だったりします(笑)

左写真は以前扱った「1stモデル」からの転載で載せています。

実は当初バラす前段階の確認時点で「絞り環操作した時の絞り値の位置が微妙にズレて違和感が残る」のが分かっていたので、オーバーホール/修理工程の中で特に注意して作業しているところです。

後で組み上げが完成したオールドレンズの写真を見れば一目瞭然ですが、こんだけピッカピカに「磨き研磨」しても、決して光学系内にこれら反射が視認できず「迷光迷光」と騒ぎ
立てる必要性がないことが歴然です(笑)

この「開閉環」は、特に側面方向で真鍮製/ブラス製の鏡筒内壁にダイレクトに接触したまま、絞り環操作時に回転する箇所と原理なので、上の左写真の如く経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びが残ったまま組み込むと、その抵抗/負荷/摩擦がそのまま絞り環操作時に「明確に指に伝わってくる」のを知っているからこそ、このようにピッカピカに「磨き研磨」している次第で
決して内部構成パーツを光り輝かせたいが為に処置している話ではありませんね(笑)

それよりも当方が問題視していたのは「絞り環操作時の違和感 (クリック感の違和感) と刻印絞り値がズレる因果関係」のほうが重要な瑕疵であり、それらの改善策として意識的に作業していた次第です(汗)

ちなみに、これら当方の手による「磨き研磨」作業には、決して化学薬品の類や金属専用の研磨剤、或いは化学反応などを活用していないことを申し添えておきます。特に最近のヤフオク出品者の中には「金属材専用研磨剤で磨いているアホ」も現れている始末で(泣)、本当に製品寿命を短命化させる処置を平気で施していて、呆れてしまいます(笑)

それらを使うなら、ちゃんと金属加工の詳細を研究してから「研磨剤使用に拠る金属材表層面の影響」を知り、且つそれに対する経年劣化進行に伴う耐性を担保すべく「エイジング処理」を施した上で「下地処理として研磨剤を使う工程」とし、最後にしっかりメッキ加工などを
その上から施すのが金属加工業界の掟でもあります (ちゃんと酸化/腐食/錆び防止対策を施して仕上げる)(笑)・・詰まる処、メッキを被せる前作業として金属用研磨剤を使うのは理に適っていますが、素の地のままに研磨剤を処置した表層面丸出しのまま、経年劣化進行に伴う酸化
/腐食/錆び放題に仕上げてしまうのは、ハッキリ言ってとても信じられない思いです(汗)

それをちゃんと施さずに、まるで模倣しただけで研磨剤を使ってしまい、エイジング処理すら処置せずに仕上げてしまった、それらオールドレンズ達は「単に製品寿命が短くなってしまっただけの結末」としか指摘のしようがありません(涙)

・・それを平気で、自ら好んで落札している人達が居るのもオドロキですが(笑)

近年当方も特に感じるのですが、確かにYouTubeの動画サイトで、それら専門職の人達が普段の仕事内容を撮影してアップしているものの、例えば車の板金加工屋さんも「目的と役目を知って、その工程の一環で処置を施して動画をアップしている」にもかかわらず、それら特定の一部の処置だけを参照して「真似て模倣して処置しているバカが多い」のを、とても強く感じます(汗)

当方も確かに昔、家具専門店で職人から直接「磨き研磨術」を伝授されましたが(笑)、それは単に磨いてキレイに仕上げる事を目的とせず、実は「何の為に磨く必要があるのか/起きるのか???」との大前提の中で、その対象となる家具に対して最も適切な処置を講じます。それは経年劣化進行に伴う家具表面上の酸化/腐食/錆び状況だったり、内部にまで浸透していく酸化/腐食/錆びの状況だったりと、様々な与件が複雑に絡み合いながら「磨き研磨術」を駆使して「最終的にそれら対象の家具の延命を促す」ことが担保されるべきで、結果や結末がとても重要です(汗)

まさに今ドキのYouTubeの単なる模倣は、その意味でも懸念や危険 (対人ではなく対象物に
対する将来的な影響や懸念の話
) を残すだけにしか至っていないのを、特に懸念材料として
強く感じています(怖)

前述のヤフオク!の出品者の例で言うなら、ヘリコイドのネジ山を研磨剤で磨いてしまって、その後のエイジング処理を施さないままに仕上げてしまうのは、例えば近年「白色系グリース」を使う頻度が極度に増してしまい「アルミ合金材削り出しのヘリコイドネジ山に、白く菌糸状に酸化/腐食/錆びの浸透が促進されている現状」である点と、まるで同じ話です(汗)・・結果的に、それら金属材の経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びをより促してしまうだけの結末に至り「ヤッていることが違う」と警鐘を鳴らし続けているのです(怖)

・・本当に世知辛い世の中になってしまいました(涙)

↑ここからは冒頭の解説で明記した『証拠写真』の掲載です。

公然と平気でウソを拡散し続けている」とネット上の某有名処コメント欄やSNSで誹謗中傷されているので(笑)、このように逐一『証拠写真』を撮影して明示した上で、説明を進めないとイケナイみたいです(笑)

光学系第1群前玉から順に第6群後玉の格納筒 (黄銅材に一体モールド成形) までを並べて撮影しています。「光学系前群側」を赤色文字で記載し、一方「光学系後群側」をブルー色の文字で表記しています。またグリーン色の矢印で指し示している方向は「前玉の露出面側の方向」を表し、光学系後群側は絞りユニットを挟んで反転する為、グリーン色の矢印の向きも反転しています(笑)

つまり上の写真1枚めで表面側を並べて撮影し、2枚めでひっくり返した裏面側と言う意味
合いです(笑)

↑すると冒頭で掲載した今回扱った個体の光学系構成図で、ネット上に数多く載せられている構成図との相違点を表す『証拠写真』が、上の写真右側のグリーン色の矢印で指し示している箇所で、コバ端の厚み/幅がだいぶ広いのが分かります (決してウソを拡散させているのでは
ありません
)(笑)

また左側に並べて赤色矢印で指し示しているのは前述の鉛筆書きの要素です(笑)

↑さらに冒頭の光学系構成図でもちゃんと正しく正確にトレースして明示しているのですが(笑)
赤色矢印で指し示している光学系第1群前玉と、グリーン色の矢印で指し示している第2群を互いに重ね合わせると、ご覧のように外径サイズが異なる為に前玉のフチが一部現れるのを
明示しています。

実際の格納時には、これら第1群と第2群の間に「厚さ0.18㎜のシム環/リング/輪っか」が挟まるので、これら2つの光学硝子レンズは「中間に極僅かな空気レンズ層を介在する光学設計」なのが分かります。

↑こちらの写真は、沈胴筒の最後にネジ込まれる黄銅製の「光学系後群用締付環」を横方向から撮影しており、実は当初赤色矢印で指し示した箇所にイモネジで締め付け固定されていましたが、本来の製産時点はグリーン色の矢印で指し示した「ちゃんとネジ山にかぶらない位置にイモネジで締め付け固定される設計」なのが判明すると同時に、実はこの締付環のネジ山切削方向は「時計回り方向に回して締め付け」なので、赤色矢印の位置でイモネジ固定されると「凡そ3/4周の位置で沈胴筒が固定されてしまう」と言う「本来の光学設計時点の光路長から1/4周分足りない状態で組み上がる」との瑕疵が一目瞭然です(汗)

赤色矢印の位置からさらに締め付けられてグリーン色の矢印の位置まで来ないと沈胴筒を固定する「」が正しい位置に来ないのが分かるので、そのような表現方法に至ります(汗)

もっと簡単に述べるなら「1/4周分飛び出したままの位置で沈胴筒がセットされてしまう」瑕疵内容について解説しているのです(笑)

確かにライカ製オールドレンズを整備するほどの技術スキルを有するのでプロのカメラ店様や修理専門会社様に在籍する整備者の手により「正しく適切に整備された」のでしょうが(汗)、リアルな現実はこんな為体だったりします(笑)

ではどうしてこのグリーン色の矢印の位置まで締付環を回して締め付け固定できなかったのかと言えば (沈胴筒もこの締付環も沈胴爪も互いが真鍮製/ブラス製と黄銅材との咬み合わせなので、ムリに締め付けようとしても人力では任意の位置までで止まってしまう/どんなにチカラを入れてもそれ以上先に回らない) その全ての要因が「光学硝子レンズのコバ端に執拗に厚塗されてきた反射防止黒色塗料の塗膜の厚み」であり、まさにその最終的な結果が「この締付環の固定位置のズレとして具体的に物理的な瑕疵として現れた」と述べているのです(汗)

・・いったいこれら処置の何処に道理が通る説得力が在るのでしょうか???(笑)

当方が執拗に、本当に執拗に過去メンテナンス時の「反射防止黒色塗料」を忌み嫌う理由がここにあります(笑)・・いったいどうして光学設計者が自らの人生を賭して、自分の命を擦り減らして設計してきた光学系の性能を担保しない方向に仕上げていくのか「頭が悪い当方には到底理解できません」(涙)

ちなみにブルー色の矢印で指し示している位置の両サイドに「カニ目溝」が備わるので、光学系後群用の締付環であり、同時にここに「沈胴筒のロック/解除用の爪」まで合わせて締め
付けられるので「2つのネジ山が切削されて用意される」設計概念なのまでご理解頂けるで
しょうか???(笑)

↑上の写真は鏡胴「前部」を組み上げている途中の撮影です。鏡筒内部には既に「開閉環」が組み込まれ、合わせて絞り環もセットしたので赤色矢印で指し示した位置の内部に鋼球ボールが1個入っています・・ご覧のように「反発式のスプリングではなく板バネ」で鋼球ボールを抑え込む絞り環操作時のクリック感なので「絞り環を回して設定絞り値に合致する際に板バネの反発の感触が伝わるべき」なのが「適正なクリック感の証」なのがこのモデルの場合であり、それがこの上の写真を見れば一目瞭然です(笑)

もッと言うなら、この板バネを避けるが為に「ワザワザ開閉環のカタチを設計してある」のが判り、こう言う大変小さな細かい部分だけを知っても、当方などは「設計者のありがたみを
感じずには居られない
」ワケで、何だかとても新鮮でホッコリする気持ちになったりします。
(そう感じるのは当方だけなのですが)(笑)

・・きっと数多く居るプロの整備者には、どうでも良い話なのでしょう(涙)

なお前述した透明なアクリル環が入る場所は上の写真グリーン色の矢印の位置になりますが、ちょうどまさに指し示しているこの場所に透明アクリル環が来るので、当初バラした際には「どうしてこのような斜め状の位置に不安定に挟まるアクリル環が必要なのか???」凡そ
1時間も考えてしまいました(笑)

判定を下した今となっては、我ながら本当に頭が悪い (低能) と恥ずかしい気持ちでいっぱいですが(恥)、おそらく過去メンテナンス時に光学硝子レンズのコバ端を厚塗り着色し続けたので「光学系前群の光学硝子レンズ格納位置が微妙にズレて/増大して左側の格納筒を締め付けた時に応力が働いていた」結果、このまま光学系前群格納筒 (左横に並べている筒) をネジ込むと「絞り環操作が異常に重くなる」のを改善する目的で、テキト〜な透明アクリル環を挟んだのではないかとみています (だから16本目の扱いになる今回の個体で初めて出てきた)(笑)

いつも偉そうに「観察と考察」とか「原理原則」とか、さんざん言いまくっていて、1時間も気づけずにあ~だこ~だ考えまくっていたのか???・・と皆様には失笑しか残らないので
しょうが、それこそがリアルな現実なので仕方ありません(笑)

前出の「ごそッと剥がれ落ちた塗膜とこの透明アクリル環」はビニル袋に入れて同梱しご返送しますので、手にとって見てみて下さいませ(汗)

↑結局、最後になれば今まで扱ってきた累計15本の個体同様、本来使うべきは「紙製前玉押え環 (左)」と「シム環 (右)」で、この右側のシム環が光学系第1群と第2群の間の「空気レンズ層」に入るので、その厚み分の隙間が空きます。

すると以前扱った個体のシム環の厚みが「0.27㎜」だったので、相応な厚みでちゃんと完全解体した全景写真に写っていますが、今回の個体から取り出したシム環は「0.18㎜」の厚みしかなく、とても薄いです・・このシム環は前回も今までの15本も全て同じですが「アルミ合金材削り出しの環/リング/輪っか」です (紙製でも樹脂製でもありません)。他の材質で挟まっていたことは一度も/1本もありません(汗)

もッと言うなら、このシム環の表面側はご覧のようにメタリックグレーの色味ですが、その内側と側面は「例え薄い厚みでもアルミ合金材の切削時シルバー剥き出しのまま使われている」点を以て、ライカでさえ製産時点はもちろんのこと、設計時点ですら「迷光、迷光と入射光の一部が反射する事を一切問題視していなかった」ことを物語っています(笑)

・・それを執拗に反射防止黒色塗料を塗りまくっている整備とは、一体なんぞや???(笑)

↑ようやく組み上げが完成したオールドレンズの写真掲載に戻れます(汗) 完璧なオーバーホール/修理が終わっています。

↑本来のオーバーホール/修理ご依頼内容であった「光学系内のクモリ除去」については完璧に除去が終わっており、特に光学系後群側第5群の2枚貼り合わせレンズ (表裏面) と第6群後玉 (裏面側のみ) に本格的なクモリが生じていました。

そしてそれらクモリの因果は「過去メンテナンス時に着色され続けてきた反射防止黒色塗料のインク成分との化学反応」であり溶剤で除去した際インク成分の色味が確認できています(汗)

組み上がった現状、光学系内は非常に透明度が高い状態を維持した個体で、スカッとクリアに戻りLED光照射でも極薄いクモリすら皆無です(汗)

このブログページの一番最後に組み上がった今回の個体で実写したミニスタジオ撮影を各絞り値で撮って載せていますが、特に当初バラす前の実写確認時点では「設定絞り値f11で低コントラストに陥っていた」のを調べているので、劇的に改善したと言うか、そもそも現状クモリが皆無なので適切に戻ったと判定しています(汗)

↑日向矩形後群側もスカッとクリア極薄いクモリすら皆無です。沈胴筒の爪のロック/解除も確実で、沈胴筒スライド時のスムーズさと言うか「独特な感触のスライド感」もちゃんと残っています (当たり前の話ですが)(笑)

↑10枚の絞り羽根もキレイになり、当初バラした直後に帯びていた「赤サビ」も完全除去が終わっています (整備したのだから当たり前ですが)(汗)

また当初違和感を感じていた絞り環操作やクリック感の感触は「間違いなく板バネの反発に拠るクンクンと指に細かく伝わる独特なクリック感」であり、いわゆる鋼球ボール+スプリングによるカチカチ感とは全く異なりますから、こういう事柄が「当方にはとても気になってしまう性格」なので、皆様には「そんなのはどうでも良い話で単なる自慢話でしかない」と嘲笑に賦されてしまいますが、正直な気持ちなので仕方ありません(恥)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使ったものの、他使用軽めに改善できたかと言う程度で、当方の判定では「重め」のトルク感です。

但し、当初バラす前の実写確認時点で特に無限遠位置で「ピント合わせできないほどククッと移動する重さ」だったのに比べれば、現在はピント合わせし易くなったと受け取っています(汗)

グリーン色のラインのとおり基準「●と▲」マーカーが互いに一直線上に来ており、それが示すのは「沈胴筒のスライド位置が適正だから」と指摘できます。また当初バラす前の実写確認時点では赤色矢印の位置で無限遠合焦していたので相当なオーバーインフ状態でしたが、前述の「締付環の締め付け位置を適合させた」ところ (つまり足りない1/4周分をさらに締め付けられた)、現在はピタリと無限遠位置で停止位置が合致しています。

↑沈胴式なので沈胴状態にすると、こんな感じです(笑) 他、特にご報告すべき瑕疵内容は御座いません(汗)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

無限遠位置 (正確に合致、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f2.0被写体までの距離49m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度24m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭です(笑)

↑当レンズによる最近接撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

なおちゃんと最近接撮影距離の距離を計測すると「被写体までの実測値はピタリと1mだった」ことも、光路長の適性を担保する一つの要素ではないかと捉えていますが、何しろ当方は「光学系知識皆無」なので当てにはなりません(汗)

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」での撮影です。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので、そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。本日梱包の上、クロネコヤマト宅急便で返送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。