〓 P. ANGENIEUX PARIS (アンジェニュー・パリ) TYPE P3 75mm/f2.5(C)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。


今回のご案内はオーバーホール/修理を承ったフランスは、
P. ANGENIEUX PARIS製シネレンズ・・・・、
TYPE P3 75mm/f2.5 (C)』ですが、ご報告として掲載しています。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール/修理を承りましたが、結果として完全解体できず、且つ光学系は後玉しか外せなかったので清掃できていません。

また構造上の問題、及び経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びから適切に仕上げられなかったので、そのご報告として掲載しています。

なお、今回初めてシネレンズをバラしましたが、やはりオールドレンズの「原理原則」が一切通用せず、映像業界の望むがままに独自設計されているとの憶測が現実になった為(汗)、今後「シネレンズは扱わない」こととし、今回が最初で最後になります。

今後シネレンズのオーバーホール/修理ご依頼を受けても、大変申し訳ございませんがご辞退
致します (当方の技術スキルでは全く以て対処できません)(汗)

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↑上の写真は、当初バラし始めた時に撮影した写真ですが、距離環とマウント部を取り外して「これから鏡筒を取り出す時」の状態を撮っています。

距離環とマウント部を既に取り外しているので、上の写真に写っているのは「鏡筒と絞り環にフィルター枠の部位」になり、いわゆる鏡胴「前部」にあたります。

指標値環には基準「」マーカーが刻印されており、絞り環の刻印絞り値と距離環の∞~最近接撮影距離:1mまでを示す基準値としての役目があります。

すると、ちょう度基準「」マーカーの位置に「指標値環を締め付け固定する締付ネジ」があり、それをグリーン色の矢印で指し示しています・・この締付ネジが斜め状に締め付けられているので指標値環が固定される設計です。

↑その箇所を拡大撮影していますが、グリーン色の矢印で指し示している締付ネジの「ネジ頭が既にサビて潰れている状態」です(汗)・・本来マイナスの切込みが入る締付ネジですが、マイナスの切込み部分は潰れていて、且つ赤サビが出ており全く機能していません(汗)

どのように対処しようともネジ頭が利かないので、ドリルを使い切削して今回のオーバーホール/修理工程では取り外しています。

↑こちらの写真は前玉側方向から撮影していますが、光学系第1群前玉の外枠に備わる両サイドの「カニ目溝」をグリーン色の矢印で指し示しているものの、やはり既に潰れていてカニ目溝としての機能を果たしていません(汗)・・つまりここにカニメレンチを使いあてがっても、すぐにズレてしまい回すことができません (既に削れてしまい物理的に溝になっていない)。

↑何とか指標値環を取り外して (電気ドリルを使い締付ネジを切削しました) 鏡筒を取り出し、フィルター枠を締め付け固定しているイモネジ3本を外して鏡筒だけの状態にしたところです (ここまでに至るのに既に4時間経過)。

グリーン色の矢印で指し示しているのが前述したカニ目溝で、既に潰れています。

また赤色矢印で指し示しているのは光学系第1群前玉のモールド環 (光学硝子レンズをモールド封入している環) を、おそらく過去メンテナンス時に何かの工具で掴んで、無理やり回して外そうと試みた時の「キズ/凹み/痕」が複数残っていました・・この事実から推察するに、カニ目溝が潰れて効かなくなったので、工具で掴んで外そうと試みたのではないかと推察できます(汗)

ブルー色の矢印で指し示している箇所の大きな穴には「鋼球ボールスプリング」が入り、絞り環操作した際にカチカチとクリック感を与える役目ですが、鋼球ボールが真っ赤に錆びてしまい既にこの穴に「ハマっている状態」で、スプリングのクッション性が全く機能していない状況でした (現状鋼球ボールの赤サビを可能な限り擦って除去して組み込んだのでクリック感が復活しています)(汗)・・但し、スプリングのほうも真っ赤に赤サビ状態なので、これは元に戻せず、クッション性が低下している分、クリック感は軽めの印象です(汗)

オレンジ色の矢印で指し示している痕はフィルター枠を締め付け固定しているイモネジ3本の締め付け痕です。

これらの痕跡から、おそらく過去に数回メンテナンスされていると推測されますが、結局光学系第1群前玉と第2群を取り外せておらず、合わせてその結果絞りユニットもバラせていないと思います。

↑すると、では製産時点にどうやって組み立てたのかと言う話になるので(汗)、上の写真は「ネジ込み式で回して外せる箇所を逐一探している時の写真」です(汗)

赤色矢印で指し示しているのは前述したとおり、何かの工具を使い前玉のモールド環を掴んで回そうと試みた時の痕跡で、全周に渡り複数残っています。

このような所為を試した根拠があり、両サイドに用意されていたカニ目溝を回そうとしても上の写真グリーン色の矢印で指し示している位置から前玉方向 (上の写真左方向) に向かって「一切ネジ込んでいる形跡が確認できない」つまりフィルター枠を締め付けるネジ山含め、これらが一体切削されているのが確認できた為に、おそらく過去メンテナンス時の整備者は「前玉のモールド環が回るかも知れないと試した」のだと推察します。

しかし前玉のモールド環 (上の写真で前玉の周りのシルバーな金属環) も間違いなくモールド成形されていて、回して外れる構造になっていません(汗)

さらにグリーン色の矢印の箇所を確認すると、薄い枠上に見えるものの (上のほうのグリーン色の矢印で指し示している箇所)、下の方のグリーン色の矢印で指し示している箇所はチェックすれば一目瞭然ですが薄い枠のようになっていません (一体の切削なのが分かる)(汗)・・つまりこの箇所も外れない一体切削なのが確定します。

そしてブルー色の矢印で囲んでいる領域は、鏡筒内部の絞りユニットとの連結する領域で絞り環が入る箇所なので、この間も回して外せないのが構造上一目瞭然です(汗)

残る箇所はオレンジ色の矢印で指し示している位置ですが、パッと見で隙間のようにも見えるものの、カッターの刃でなぞって調べてみても溝ではないのが確認でき、この部分も一体切削なのが確定しました(汗)

つまりこの鏡筒をいったいどこから外せば良いのか、バラせるのかが「???」なのです(汗)
・・こんなことは初めてです(汗)

ちなみに黒色矢印で指し示している位置にあるイモネジ3本は、緩めて取り外した処、内部に絞りユニットの「位置決め環」が見えて確認でき、絞りユニットを締め付け固定している点が確実です(汗)

・・いったいどうやって解体すれば良いのでしょうか???(汗)

↑この角度から撮影しても前玉のモールド環が回らないのが確実ですし、そもそもカニ目溝が備わる箇所が仮に回せたとしても、その先がフィルター枠のネジ山なので外れるワケがありません(汗)・・カニ目溝の部分が薄い枠なのだとしても、僅か1㎜にも満たない厚みしかないので、そこで外れるとは考えられません (すぐにフィルター枠用のネジ切が始まっている)(汗)

↑今度は後玉側方向からの撮影で調べていますが、やはりどこも外れるように見えません(汗) それぞれの角部分を何回もチェックしましたが一体切削にしか見えないのです(汗)

・・いったいどうやってバラすのか???(汗)

おそらく過去メンテナンス時の整備者もさんざんいろいろ試してみて諦めたのだと思います。

ちなみに専用治具を使い時計方向にも反時計方向にも、全ての箇所で回してハズせるか/回るか試しましたがビクともしません(汗)・・まるっきりの一体切削で外れそうな箇所が発見できません(汗)

もちろん「加熱処置」により300℃耐熱手袋で保持しても火傷しそうなほどに加熱して、治具を使い時計方向/反時計方向と回してみるのを試しましたが全くダメです(汗) 溶剤を数滴
垂らしても、何処の部位も流れ込む様子がありません(汗)・・残念ながら当方の思考回路では対応できません(涙)

↑鏡筒をバラせないと判定して諦めました(涙)・・バラせなければ光学系も清掃できません(汗)

上の写真は経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びが酷い状況なのを並べて撮影しています。グリーン色の矢印で指し示している箇所に相当なサビが出ていて、一部はメッキ加工の浮きまで生じさせています(汗)

絞り環
指標値環
距離環用締付固定環

これらの環の裏側も同じようにサビが出ているので、全て両面でマイナスドライバーでコジイたり引っ掻いたりしながら、サビを可能な限り落としてから「磨き研磨」して、できるだけ平滑性を取り戻した次第です(汗)

おそらく製産後1度くらいしかバラせていないのではないのでしょうか???(汗) ほぼ何十年間もこのままだった為に酸化/腐食/錆びが進行してしまったように見えます(汗)

↑鏡筒内部の絞りユニットと絞り環を連結する役目のシリンダーネジもこんな感じで赤サビ状態です(汗) 見れば分かりますが、ネジ山が2周半しかないので、赤サビで潰れたら機能しなくなり「絞り環操作できなくなる」ところです(怖)

そもそも冒頭解説のとおり、鋼球ボールが穴にハマっていたくらいなので、潰れて機能しなくなるのも時間の問題だったように思います (従って当初バラし始める前の時点では絞り環操作時のクリック感はガチガチしていた)(怖)

↑バラせる部位だけをバラして解体した後に「磨き研磨」した全景写真です。赤色矢印で指し示している「円形バネ」は、左側の大きいほうが「距離環を押し込む役目の円形バネ」で、右側の小さいほうが「Cマウント規格のネジ部を押し込む役目」です。

つまり「円形バネ」のチカラにより、距離環とマウント部の「Cマウント規格ネジ部」を押し付けてピタリと密着させる原理の設計なのが判明しました(汗)・・「円形バネ」のこのカタチの高低差の分だけ「反発力となって対象の環/リング/輪っかを押さえつける原理」なので、特に距離環を押さえつけているチカラは、相当なレベルです(汗)

試しにこの大きい方の「円形バネ」を組み込まずに距離環をセットしてみましたが、指標値環との間に凡そ1.5㎜ほどの隙間ができてしまい、スカスカ状態でガタついてしまいます(汗)

そして何よりもこの「円形バネ」による距離環の指標値環方向への強い押し込みが必要な理由が判明し「マウント部の無限遠位置の関係から、マウント部を適切な位置まで格納させる為に距離環を指標値感にピタリと密着させる必要がある」設計なのが判り、この反発力の強さの意味と「円形バネ」の必要性を理解した感じです(汗)

逆に言うなら、距離環の抑え込みを緩く仕上げると (僅かに隙間が空くように仕上げると)、その分の距離でマウント部が格納できなくなり、おそらく無限遠位置がアンダーインフ状態に陥ると推測できます(汗)

そこで映画撮影時に3種類の焦点距離でシネレンズを装着している際に、使う焦点距離のシネレンズに切り替える時「距離環が不意に回ってしまわないようにする必要がある点から敢えてトルクを与えている原理」としているのが何となく理解できました (映画撮影で使った事がないので分かりませんが)(汗)

それが「円形バネ」を介在させてまで、距離環をピタリと指標値環側に密着させる必要性なのではないかと考察しましたが、あくまでも無知な当方の憶測です(汗)・・ちなみにマウント部方向に強いクッション性を「円形バネ」の原理で持つので、リアルな現実にマウント部方向に距離環を押し込みつつ回転させると「指標値環との間に僅かに隙間が空いて回せる」仕組みのようです(汗)

・・さすがにオールドレンズの世界ではこのような原理の設計は、未経験です(汗)

↑上の写真はマウント部の構造を示しています。

マウント部 (ヘリコイドオス側のネジ山を外側に備える)
Cマウント規格のネジ部
Cマウントのネジ部を押し付ける役目の円形バネ
円形バネを押し込んで固定する役目の締付環

マウント部内部に、が順にこの順番のままセットされます。

マウント部内部にストンとCマウント規格ネジ部を落とし込んだところです。このの上にが落とし込まれ、さらにで締め付け固定します (締め付けるのでカニ目溝が両サイドに用意されている)。

↑こんな感じでマウント部内部に落とし込まれて最後に締付環を締め付けると、円形バネCマウント規格ネジ部を押し付けて抑え込む設計です。

ここでのポイントと言うか「何でこんな設計なの???」と言うのは、Cマウント規格ネジ部が一切固定されない点です(汗)

当初バラす前に当方所有「SONY Eマウントアダプタ」に装着した時、グルグルといつまでも回るので「???」だった次第ですが、その理由が判明しました。

そもそもCマウント規格ネジ部は一切固定されない設計だからです(汗) 例えばイモネジなどを使い回転しないよう固定する設計であれば、このように回ってしまう懸念もありませんが
そのような配慮を一切していない設計なのが歴然で「おそらくP. ANGENIEUX PARISのCマウント規格品はこういう設計だった」のではないかと考えています (固定する方法が一つも用意されていないから)。

従って今回のオーバーホール工程でも同様「円形バネのチカラだけで押し付けているだけ」なので、マウントアダプタに装着時、強く回し過ぎると空転が始まってしまいますから、ご留意下さいませ(汗)

マウントアダプタにネジ込む際に、抵抗を指が感じた時にネジ込むのをやめないと、また空転するようになってしまいます(汗)

↑同様「距離環」にも大きいほうの「円形バネ」が挟んである設計なので、構造上「距離環グリーン色の矢印で指し示している方向に、内部の円形バネがチカラを及ぼし押し付けている設計」です(汗) 前出の解体写真で左側に指し示した赤色矢印大きい方の円形バネです。

この「円形バネの撓みのチカラだけで押し付けているだけ」ですが、距離環はそのチカラの影響からグリーン色の矢印方向に密着している為、回すと非常に重いトルク感です(汗)

従ってブルー色の矢印のように、マウント部方向に掴んだ指でチカラを与えて距離環を回すと「僅かに軽いトルク感で回せる (つまり円形バネの撓みの分だけチカラを加えれば指標値環との間に隙間が空く)」次第です(汗)

↑何故なら、上の写真でブルー色の矢印で囲った領域は「空転ヘリコイド」の設計なので、距離環を回しても隙間が生じない設計で、無限遠位置から最近接撮影距離:1m方向に回した時、ズズ〜ッと伸びてくるのは赤色矢印で指し示したマウント部だけなのです(汗)

従って距離環が常に「円形バネでチカラが加わっている状況」から、指標値環と常時密着状態なので「重いトルクにしか仕上がらない」次第です(汗)

おそらく製産時点の当初は軽いトルクだったのでしょうが、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びの分だけ重いトルクに至ってしまったようにも思います (完璧にサビを除去して平滑に戻せないから)(汗) 前出の 距離環用締付固定環でお見せしたように、距離環用の大きい方の円形バネを締め付けている環/リング/輪っかもサビている為、どうにもなりません(汗)

なお、当初バラす前の実写確認時点で「大幅なアンダーインフ状態」だったのは、おそらく過去メンテナンス時の整備者がこのモデルの構造 (特にヘリコイド駆動の方法) が分からず、適当に組み込んだ為と推測しますが、今回のオーバーホール/修理では「僅かなオーバーインフ状態」に仕上げています (ほぼピタリの状態)。使用したマウントアダプタはK&F CONCEPT製C→SONY Eマウントアダプタ」です。

また、現状指標値環の基準「」マーカーも真上に来るよう位置合わせてして「Cマウントネジ部」の固定をしてありますが、前述のとおりネジ込み時に回し過ぎるとグルグルと空転してしまいます (ご留意下さい)(汗)

おそらく製品として複数の焦点距離でシネレンズを装着し、撮影シ~ンによって切り替えて映画撮影用に使っていたと考えられるので、撮影カメラへの装着時に個別に操作する位置を調整する目的で「空転する設計」にマウント部を仕上げているのだと受け取っています (よく分かりませんが)。

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以上ご報告として掲載しました。今回のオーバーホール/修理ご請求に関し「管理費 (着手料):2,000円送料940円ご請求額2,940円」とさせて頂きます・・申し訳ございません。オーバーホールが全くできておらず、7時間に及ぶ作業を行いましたが作業代金を頂くワケにはいきません(涙)

巷では「自分のブログだから不利になる内容は載せない」と言われていますが(笑)、今回のように自らの技術スキルの低さゆえに全く対応できなかった時でも、ご依頼者様にできるだけ
その経緯を分かり易く伝える為に「不利な内容の解説でも試みる」次第です(笑)・・今ご覧頂いている皆さまが、どのように嘲笑されようとも「それがリアルな現実なのだから仕方ない」との覚悟です (情けないですが)。

常に実直に正直にあからさまに明示する事で、どんなオールドレンズのオーバーホール/修理の依頼なら大丈夫そうなのかをしっかり皆様に把握して頂く一つの手立てになれば、まさにこのブログの目的を半分でも達成できるとの思惑です(汗)・・結果「コイツにはこのモデルの整備は期待できないな」との皆様の判定もより明確になり、プロのカメラ店様や修理専門会社様宛ご依頼頂く機会になるのではないかと考えています(笑)

・・それが当方のファンの方々からご依頼く際の根底に在るのではないかとみています(汗)

どうぞよろしくお願い申し上げます。