◆ Steinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) Culminar 8.5cm/f2.8 VL《初期型》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Steinheil München製中望遠レンズ・・・・、
Culminar 8.5cm/f2.8 VL《初期型》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはSteinheil München製の中望遠レンズ「85mm/f2.8」の括りで捉えると7本目にあたりますが、今回扱った個体「初期型」だけでカウントすると初めての扱いです。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!

当初オーバーホール/修理ご依頼を賜った際は、ただ単に普通に「今までに扱ってきた中望遠
レンズCulminarの一つ
」程度にしか受け取っていなかったのですが、届いた個体を完全解体したら「!!!」(驚)・・何と今までに一度も扱った事がない初めての「初期型」なのを発見しました!(驚)

当方にとり、このような機会に恵まれたことが本当に嬉しく、大変光栄に思っています。
・・ありがとう御座います!(涙)

↑上の一覧表は、今回扱ったこの旧西ドイツはSteinheil München製中望遠レンズCulminar 8.5cm/f2.8 VL (L39)』について、ネット上で確認できるサンプル50本を調査して仕上げたモデルバリエーションを表す一覧表です。

今までこのモデルにはモデルバリエーションが存在せず「一種類だけ」と思い込んでいましたが、それが自分の思い込みで、誤りだった事を発見したワケです(驚)

そのような経緯だった因果は、今まで扱ってきた個体が上の一覧で言う処の「後期型ばかり」だった点も否めませんが、今回完全解体した際に「あれ??? 内部構造が違っている」との壁にブチ当たり (つまりバラせない!)、さらに究極的には「しかも光学設計まで違うじゃないか!!!」(驚)とのリアルな現実でした!(驚)

・・もぉ〜、バラせない恥ずかしさを通り越して焦りまくりです (歓喜状態)!(笑)

上の一覧表を解説すると、今回扱ったモデルCulminar 8.5cm/f2.8 VL (L39)』については「初期型は製造番号:594xxxのみに限定」なのが、現在ネット上で確認できるサンプル数50本の調査の中で「集中的に6本だけ顕在していた」事実を以て判定を下しました。

これは絞り環に刻印の絞り値が「1箇所にしかない」点で覆しようのない事実です。

また「前期型と後期型は絞り環に刻印絞り値が2箇所ある」ものの「前期型のレンズ銘板表記は8.5cmを初期型から継承」している点を以てモデルバリエーションの相違と捉えました。

逆に言うなら「85㎜表記は全体50本の凡そ66%に匹敵していた」と言い替えられます。なお摘要のとおり「初期型」の内部構造がそれ以降と比較して全く異なる設計概念を採り「前部/後部の二分割方式で設計していない」点も合わせて判定の根拠に大きく貢献しています。

また「前期型」の一部にのみ限定して鏡胴に「US ZONE」との刻印を有し、米軍占領統治時期に生産された個体であった事が明白です・・但し製造番号の刻印桁数が1桁分超過していた「5973584」の「最後の4は一部が未刻印」なので、本当のミスタイプかも知れませんが不明です (数字の4の縦線のみ刻印されていない)(汗)

基本、当方は「光学設計が違うと絶頂状態/歓喜状態に陥る」ワケで(笑)、オールドレンズを
バラしていて何が一番楽しいか、期待感いっぱいなのかと言えば「どんな光学系を実装して
いるのか
???
」に、そもそも光学知識が皆無なのに、興味関心だけは人一倍みたいな
ところがあるのです(笑)

そもそもオールドレンズの数多くのモデルを観ていて、何を感じ取っているのかと言えば、
様々な描写性能・・ここで言うところの描写性能とは、決して性能面で優れている点だけを
指しておらず、当方自身がオールドレンズの写りに対して端正で精緻な描写性能だけを求めていない
・・に、どんな収差や乱れ、至らなさが感じられるのかと、大きな期待感を膨らませて
観ているのです(笑)

詰まる処、今ドキなデジタルなレンズに比較して・・どんだけ大きく劣っている点を抱え込んでいるのか・・を期待して求めつつ眺めているワケです(笑)

その意味で、時流に乗って流行りの最先端に位置する今ドキなプロの写真家が好んで撮る、フレアライクな「ハイキーな写り」に、これこそがオールドレンズの写りだ・・みたいな感動を一切覚えないのです(笑) 何故なら、そのような写りがどうして実装している光学系から吐き出されるのか、その解説が全く無いままに紹介ばかりされている点に於いて「観れば見るほど
消化不良で気持ち悪くなる/キモイ
」しか残らず、到底受け入れられないのです(笑)

逆に指摘するなら、そんな「ハイキーな写りしかしないハズのオールドレンズ」が、リアルな現実の世界では、数多くの高いコントラストや明確なエッジを伴うピント面など、明らかに対極に位置する実写で写真がネット上に氾濫しているからです(笑)

だからこそ「ハイキーだけが魅力ではない」との結論に到達し、そのモデルにどのような魅力を抱くのかは「個人それぞれの嗜好に拠るところが大きいハズ」との基本に立ち返り、今一度そのオールドレンズを眺めたいからこそ「どうしても実装している光学設計を知りたくなる」次第で・・知識もないクセに、いつも大騒ぎばかりしている・・と批判の嵐の中でも、メゲないのです!(笑)

後で実写を挙げて (当方は) ちゃんと解説していますが(笑)、特にこの当時の旧西ドイツはSteinheil München製オールドレンズの多くのモデルに「何かしらの一貫した描写に対する姿勢を感じる」からこそ、その「ポリシ〜ライクな光学設計」に相当なレベルで惹かれ続けており、いまだに当方はSteinheil München製モデルが大好きなのです!(笑)

・・残念ながら日本ではほとんど人気がありませんが(涙)

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Steinheil München  (シュタインハイル・ミュンヘン) は、1939年創業の旧ドイツでは老舗の光学メーカーですが、実は戦後すぐの1948年に2つのフォーカルプレーンシャッターを実装した一眼フィルムカメラを発売していました。

右写真はその1つ目の1948年発売「CASCA I型」で、目測に拠るビューファインダー方式を採り、Bと1/2秒〜1/1000秒のシャッタースピードを装備したスピゴット式バヨネットマウントを採り、セット用標準レンズとして右写真の第一世代機では「Culminar 5cm/f2.8 VL」が装着されています。

翌年の1949年になると他のオプション交換レンズ群まで揃い「Quinon 5cm/f2 VL」や「Culminal 8.5cm/f2.8 VL」に「Culminar 13.5cm/f4.5 VL」なども用意され、これらオプション交換レンズ群が揃ったタイミングで発売された第二世代機が右写真のレンジファインダーカメラ「CASCA II型」になります。

この後にはフィルムカメラの設計開発よりもオールドレンズのほうに主体性を舵切りしたようですが、当時の特許出願申請書などをチェックすると、意外にもフィルムカメラの機構部に
関する数多くの申請が出されていた事実にオドロキます(笑)

今回のモデルに関する光学系を語る時に、必ず紹介されるのがスロバキア出身の有名な数学者「Jozef Maximilián Petzval (ジョセフ・マクシミリアン・ペッツヴァル)」により1840年に設計開発され、後にVOIGTLÄNDER社によって世に送り出されたペッツヴァルレンズがあります。

この時に実装していた光学系の内容が右構成図になりますが、そもそもが室内撮影にも耐え得る明るい高速ポートレートレンズ向け設計として開発/計算されていたようです・・当時のポートレートレンズと言えば、開放f値も「f37」辺りが主体で屋外でしか使えず、さらに露光時間も30分と相当長かったようです(汗)

そこにペッツヴァルが開発したポートレートレンズが登場し、前後群のコンパーチブルモデルとして用意されていたようです・・2つ用意されていたコンポーネントはいずれも「f5」を実現した対物レンズを備えていたものの実用には至らず、後にこの先見性に気づいたVOIGTLÄNDER社が2つ目のシステムの採用に踏み切り製品化されたようです。

右構成図はこの時の内容から当方がトレースした構成図になります。これにより開放f値「f15」よりもさらに明るいポートレートレンズが可能になり、室内撮影まで含め使えるようになったものの光路長の
長さは未だ否めません。十数年間ポートレートレンズの主流を成したものの、ダゲレオタイプとともに徐々に廃れてしまい消えていきました。
(右記事は1955年1月のJourna l or Photograph y or th e George Eastma n Hous eVol. IV, No. 1より)

↑上の図は旧西ドイツはSteinheil Münchenより出願された特許出願申請書の抜粋になり、左側2枚が1881年に申請された創業者たる「Carl August von Steinheil (カール・アウグスト・フォン・シュタインハイル)」氏による特許出願申請書で、右側がさらにその息子「Rudolf Steinheil (ルドルフ・シュタインハイル)」氏による特許出願申請書で1907年になります。

それぞれ左側から順に「US241437A」に「US241438A」及び「GB190717624A」です。

ところがこれらを遡るとさらに深い背景を伴い、1866年に当のA. Steinheil氏による「US180957A」の「Aplanat (アプラナート) 型光学系」さらに全く同時期に (盗用とかではなく) 開発していた英国のDallmeyer社による「Rapid-Rectilinear (ラピッド型レクチリニア) 型光学系」とが近似してしまうと言う事件が起き、互いに盗用されたとの裁判沙汰まで進むものの、旧ドイツと英国とで互いの特許権を棲み分けていたようです。

これら「Aplanat型光学系」と「Rapid-Rectilinera型光学系」を礎として研究が発展していったのがA. Steinheil氏による開発「Antiplanet型光学系」との推測に至ります。

↑それぞれを当方にてトレースした構成図が上の図になります。

いずれも光路長を見越して焦点距離に見合う光学設計を採ってきているのだと考えますが、右端の息子たる「Rudolf Steinheil (ルドルフ・シュタインハイル)」氏による特許出願申請書を見ても、父子親子の二世代に渡り「Gurppen Antiplanet (グルペン・アンチプラネット) 型光学系」にこだわり続けていたのが分かり、むしろこれを知ってより深い感銘を受けたような印象が残っています(涙)

而してそのこだわりとは・・当方が特にSteinheil München製モデルに強く感じ入る写りの性質が「ピント面の鋭さが高いのに留まらず画全体的な繊細感をより誇張的にイメージし印象付けする描写性と、それに同時に付随的に備わる優しさ感のバランス性」と言う、まるで相反する嗜好を併せ持つような一種変わり種的な描画にとても惹かれまくるのです!(涙)

もっと簡単に述べてしまえば「決してカリカリ感だけに収めず、むしろ画全体で目一杯アピールしているのは繊細な優しさの表現性」とでも言いましょうか、パッと見で受け取ってしまう印象は「ソフト的な優しさ感」なのに、然しピント面は実に誇張的に「カリッカリ!」みたいな写り具合なのです(笑)

同じ旧西ドイツでもSchneider-KreuznachやISCO-GÖTTINGEN製モデルとは全く対極的な印象付けを濃く感じます。そこにこれら前述の光学設計が大きく介在しているのだとすれば、本当にヨダレ状態で見入ってしまいます・・(笑)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケの表出レベルを確認したくて実写をピックアップしています。焦点距離が確かに85㎜なので中望遠レンズ域に入っていますが、ご覧のように真円を維持できなくて歪なカタチに変形していきます・・然し、非常に明確なエッジを伴い、且つそれが違和感を感じるまで誇張的に残っていないのが「繊細感のおかげ」ではないかと、ひとり勝手に思い込んでいます(笑)

やがてエッジが破綻して滲んで溶けていきますが、それでも「明確なエッジを細く細く残したくて仕方ない」みたいな(笑)、シャボン玉ボケの要素を漂わせつつ滲むので、実は二線ボケの傾向すら通り越してトロットロに溶けてしまう「不思議なシャボン玉ボケの崩れ方」をします・・これは或る意味シャボン玉ボケで非常に有名になってしまった旧東ドイツのMeyer-Optik Görlitz製モデルが吐き出すシャボン玉ボケ表現とは真逆の性格ではないかと受け取っています(汗)

二段目
ハッキリ言って「この二段目と次の三段目の2つこそが、まさにSteinheil München製オールドレンズのこだわりとしての描写性」と当方では持論に至るほどに、こだわりを以て確信しています!(泣)

一番左端のとおり、どう言うワケかこのモデルCulminar 8.5cm/f2.8 VL《初期型》(L39)』では、明確な二線ボケの傾向を残さずに溶け切ってしまいます(驚)・・その結果として紡ぎ出される画が2枚目〜4枚目までの「まるで灯りを浴びているが如く映し出される優しいイメージなのに、その芯はカリッカリに鋭いピント面をちゃんと残したまま」なのがウットリと惹かれまくりなのです!(涙)

この描写性の嗜好は、前述の旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製モデルには決して残っていない匂いですし、当然ながら当時の何処の旧西ドイツ製オールドレンズにも近似した要素を
見い出せていません (ライカレンズですら違う)(泣)

何と言えば伝えられるのかボキャブラリーが薄くて申し訳ありませんが(汗)、ライカレンズだと現場の緊迫感のほうが先に伝わってしまうので「繊細感と優しさの両立」でチャンチャンと終わらないのです(笑)

・・或る意味被写体との間に介在する空気の層の厚みの違いが映り込んでいる(驚)

その空気層の厚み/リアル感の相違分で、ライカレンズとの区分けに至っているようにも受け取っています・・ライカレンズはまさにその場に居合わせるが如く写りますが、Culminarはそこまでガチガチな緊迫感を画には一切留めておらず、然しでも「漂っている」程度な印象がどうしても残ってしまうのです (要は両方とも空気の層を感じないままには終われない写りみたいな)(笑)

三段目
この段では反対にカリッカリのピント面を強調する目的で実写をピックアップしています・・しかしよ〜く観察すると、ちゃんと一つ前の二段目と同じレベルでしかピント面の鋭さ感は
残されていないのが分かります。つまり下手に誇張していない写りだと言いたいのです(笑)

そして・・ちゃんと感じ取れているでしょうか???・・何とそれぞれの実写で「花弁の厚みや質感がちゃんと感じられる写りを残している素晴らしさ」なのです!(驚)

もっと言うなら、一番右端の写真はパッと見で「白黒写真」に見えているでしょぅが(笑)、実はちゃんと枝部分に色合いが残っていて「カラー写真」なのが明白です・・つまり単なる質感だけに終わらず、空気の厚みを感じさせる為に枝のグリーン成分が残されているが如く感じ
入ってしまうのです(笑)

四段目
この段ではまさに焦点距離からくるポートレートレンズとしての性格をチェックしています。それほど人肌感を留めているようにも見えませんが、しかしやはり何処か空気の厚みを感じてしまいます(笑)

五段目
ここでは金属質の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さを確認しています。近接だろうが遠景だろうが関係なく、シッカリと被写体としての金属質表現を残してしまうところがさすがです。

六段目
この段では「敢えて空気の映り込みを感じる実写」としてピックアップしてみました(笑)・・特にそう言われればそのようにも見える程度にしか感じ取れないかも知れませんが、当方は「画全体」で把握するクセが強いので(汗)、どうしてもそれで捉えた時に「距離感/空気感/ざわつき感」と、それこそ写真に映り込んでいる「」まで聞こえているような錯覚を覚える時に「空気の層の厚みを写真の中に感じ取っている」ようなイメージです(笑)

いわゆる「人の五感 (視覚/聴覚/触覚/味覚/嗅覚)」に反応を受けて感じ取っているような印象を以て写真を捉えてしまうクセが当方にはあるので、例えば視覚からその場の「」を喧騒やザワツキ感まで聞こえているように受け取りますし、金属質やガラス質、木肌や葉脈などの質感表現能力の高さからそれらの触覚さえイメージが瞬時に連結します(笑) さらに嗅覚さえも、その現場の臭い感や「風の匂い」までも感じ取っているような錯覚に溺れるので、それこそ味覚だけを減じてもなお「人の五感」で反応しているような話として写真を見てしまいます(汗)

例えば当方が以前住んでいた香港など写真で、街中スナップの実写を観ると途端に「あの一種独特なキツイ街中の臭い」が意識せずに脳裏に蘇り、まるで現場に佇むかのように「臭さ」を感じ取っているので、路面の湿った感じやどんよりした水分をいっぱい含んだ雲などを観るにつけ、どうしても「嗅覚」まで反応せざるを得ません(笑)・・同じ湿った路面や雲が映り込んでいる実写でも、同じように以前住まっていたカリフォルニアでの体験から浮かび上がる「湿度感や湿気感」とは、香港のイメージは決して一致しないのです(笑)

詰まる処、それらは決してその写真が撮影された現場にリアルに佇んでいる物理的な話とは
一致しませんが、而して「人には必ず在る体験感」がそれぞれの人別に思い浮かぶので「写真を見て人の五感で反応してしまう嗜好を持つ人」は、必ず居るのだと信じてやみません(汗)

従ってこれら4枚の実写を観た時に (当然ながら鳥肌立っていますが)(笑)、その場の「」まで聞こえているような錯覚が瞬時に五感で感じ取ってしまうので、どうしても「空気層」が見えてしまいます(汗)

七段目
最後は光の射し具合と言うか、光の表現性についてピックアップしてみました。逆光耐性はそれほど強くなく、どちらかと言うとそもそも光学設計からシてフレアに弱いように受け取れます・・逆に言うなら逆光時の撮影に全くこだわっていない光学設計とでも言いましょうか(笑)

これらの実写を観るにつけ、やはりSteinheil München製モデルの多くには「光に反応する何かしらの偏向を敢えて企図したかのような光学設計が実装されている」との受け取りに至り、だからこそ当方自身がSteinheilの写りが大好きなのだと認識している次第です(汗)・・それはもちろんライカレンズの「空気まで写す」内容とは同じにはなり得ませんが、それでもそれにとても似通った写真を残す性格が強いように感じますね(笑)

・・もう少しニッポン人もSteinheilの写りに反応してほしいと強く思うところです(涙)

ここまで解説してきて、肝心な内容をすっかり失念していた事に気づきこれから掲載します(汗)

右構成図が今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを
計測したトレース図で「初期型」の構成図になります。

一般的にネット上で数多く掲載されている構成図にほぼ近いものと
思われますが、各群の曲り率や厚みなどは微妙に差があります。

一方こちらの右構成図は、前回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図で「前期型後期型」で実装している構成図です。

特に光学系第2群が鏡筒下部にモールド一体成型による格納に変わったので、絞りユニットの絞り羽根に非常に近い位置まで延びており、合わせて構成1枚目にあたる前玉の厚みと曲り率も違います。

これら「前期型後期型」での光学系設計の変更は、その根拠の一つにヘリコイド筒の駆動方法/設計が「初期型」から大きく変更された点からも影響を受けています。何かしら「初期型」のダブルヘリコイド方式に課題を抱えていたのではないかとの憶測が生まれ、それがまたロマンを深める謎にも至りますが(汗)、内部構造面での大きな設計変更だった事は間違いありません (ほぼ全ての設計を変更してきているから)。

逆に指摘するなら、最短撮影距離も開放f値も変わらず光学系の仕様諸元値をそのまま継承し
つつ内部構造をガラッと変更してきた点からも、大きく影響を及ぼしたのは光学系の性能面ではなく「内部構造の問題」だったとの推測に到達せざるを得ませんが、詳細はどこにも記録がありません(泣)

内部構造の違いは以前扱った「後期型」たるCulminar 8.5cm/f2.8 VL(L39)』のオーバーホール工程でご確認下さいませ。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

今回のオーバーホール/修理ご依頼者様は上の全景写真を見てすぐに気づくと思いますが(笑)「そうなのです! 何とレンズ銘板が現れたのです!」当初ご依頼時に「製造番号不明」になっていたのですが、その理由が分かりました・・フィルター枠環がレンズ銘板の上にネジ込まれていたのです(驚)

確かにパッと見で「前玉側方向から見てレンズ銘板が視認できない???」と、まるでレンズ銘板が欠品しているかのような印象を受けましたが、それもそのハズで「フィルター枠環とLeitz製フィルター含め完全固着」していたから、そのように受け取らざるを得ません(汗)

・・ちゃんと専用治具を使ったら外れてレンズ銘板が出現!(驚)

と、まるでゴジラが出現する際のテーマ音楽が背後で流れていたかのような感じで、ソロソロと外していった次第です(笑)

しかもですョ!(驚)・・冒頭のとおり「レンズ銘板の刻印文字にパープルの色がメッキ加工されている」ワケで、こんなCulminarを見たのも、手にしたのもまるで初めてで思わず「おぉ〜」と唸ってしまいました (当然ながら溶剤で一切除去できず/メッキ塗色なのが確実)(笑)

同じ旧西ドイツ製オールドレンズで、例えばCarl Zeissや一部ALPA向けモデルなんかにもレンズ銘板の刻印にワザワザ加工が施されていたりします(驚)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。当時としては同じ旧西ドイツ国内で捉えても光学メーカーの中で戦後すぐに「アルミ合金材の鏡筒にこだわって外装筐体パーツを設計」していたのは、おそらくSteinheil München社だけだったのではないでしょうか???・・
そんくらいに戦後すぐの時点では「真鍮製/ブラス製の筐体外装パーツ」が当たり前の時期で、
重量がズッシリと重みがありました。

当方のような『転売屋/転売ヤーなどは、その重さを以て「ガラスの塊が入っている優れた初期の設計」などと如何にも的に謳ったりしている輩が居ますが(笑)、全く以て恥ずかしい限りです(汗)

しかも筐体の大きさ自体がコンパクトな設計なので、中望遠レンズながらも意外に持ち運びに苦慮せずサクッと撮影に使える利便性の良さも憑き纏います(笑)

これは特に当時の日本国内の光学メーカーにも該当する話ですが、1950年代と言うのは「まだまだアルミ合金材の切削旋盤に粗さが残っていた時期」であり (日本国内でさえ大手の機械メーカーでNC旋盤機が開発されたのはその頃の話)、旧西ドイツの光学メーカーの多くが1960年に入るとNC旋盤機械の開発に乗り出し、特にアルミ合金材の加工面で工夫を採り入れ始めているようです。

一方「ロシアンレンズ」がまともにアルミ合金材を扱えるように切削レベルが向上したのは、さらにプラス10年必要でしたから、如何にアルミ合金材の切削レベルが重要で大変だったのかが理解できます (もちろん金属材の成分や配合の差にも拠るが)。

そんな中でいち早くアルミ合金材の将来性と先見性に目をつけたSteinheil München社はたいしたものだと思いますね。

左写真は、以前2021年に扱った「後期型」の時のオーバーホール工程写真から転載していますが、同じ「鏡筒」を同じ前玉側方向からの撮影角度で撮っています。

するとよ〜く見ると気づきますが、絞り羽根の「位置決めキーが刺さる穴の位置が違っている」点が明白です。

まぁ〜これら2つの写真を見てもピンと来ないかも知れませんが(笑)、上の今回扱った「初期型」のほうが位置決めキー用の穴の位置が「外側」なのです (極僅かに鏡筒内壁のギリギリまで寄っている)(驚)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

同じように左写真は2021年に扱った「後期型」の絞り羽根写真の転載です。

するとご覧のように、一つ前の今回扱った「初期型」の絞り羽根とは「そもそもカタチが異なる」のに合わせて、位置決めキーの位置が
内側寄りなのです・・「初期型」のほうが外側寄りとの意味合い。

もっと言えば、実は「キーの金属棒の径も違う」ので、太さが異なる分「絞り羽根が閉じる際の限界が違う設計なのが一目瞭然」なのです (軸が太い分、前期型後期型のほうが閉じる時の移動量が少なくなると言う意味合い/つまり設定絞り値に対する絞り羽根が傾く角度が設計面で変わってくる原理を指して述べている)!(驚)

するとこれら設計面から来る「絞り羽根の制御仕様の違い」は、その結果導き出される「光学系を透過する際の設定絞り値に対する入射光の変化を意味している」話に直結する為・・光学設計が異なるのは自明の理・・なのだと言っているのです。

逆に言うなら「初期型 vs 前期型後期型」で同一の光学設計を採っているのに、その反面、それでもなお「絞り羽根の制御仕様はあからさまに違う」道理が通るハズがない・・と申し
上げている次第です。

従って「光学系の設計が違う=当然ながら絞り羽根の制御仕様も設計上変化するのは当然」と当方自身は納得感でいっはいなのだと述べているワケです(笑)

このようにちゃんと「観察と考察」を進めると、ではいったいどのような内容が組み立てていく時の工程でポインになるのか???・・或いはどのような微調整の必要性が高くなるのかの判定材料にも加味される次第です。

従ってそのような内容こそが「本来在るべき姿」を実現する重要な要素になっていくワケですね(笑)

↑16枚の絞り羽根を組み込んで絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところです。もうこの時点で最小絞り値まで絞り羽根を閉じた時の閉じきり具合が「後期型の閉じ具合とは違う」のが歴然ですが、ウソだと思う人はCulminar 85mm/f2.8 (L39)』をご参照下さいませ (この時はまだモデルバリエーションが顕在する事に気づいておらず後期型と表記していない)(笑)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しています。写真上方向が前玉側方向にあたります。すると鏡筒最深部にちゃんと「絞りユニットの構成パーツたる開閉環が居る」のを赤色矢印で指し示しています(笑)・・そしてその「開閉環」の側面には「絞り環と連結する役目の開閉キーがネジ込まれるネジ穴が用意されている」のもグリーン色の矢印で解説しています。

要は大変シンプルな構造設計ですが、絞り環とシリンダーネジ1本で繋がっているだけなので、絞り環を回して操作すれば、その回した量の分だけ「絞り羽根が開いたり閉じたりする」原理ですョね???(笑)

↑一応解説の為に先に光学系前群 (つまり前玉です) を実際に鏡筒にネジ込んでどんなふうにセットされるのかを示しました。鏡筒縁付近に「当初バラし始めた時に刻んだVマーキング」を残してあるので、前玉の外側に刻印されている「絞り環用の基準●マーカー」が来るのかを示しています。

上の写真では解説用にネジ込んだだけなので、光路長など関係がない為に最後までネジ込んでおらず、基準「●」マーカー位置とVマーキングが合致していません(笑)

逆に言えば、こう言うマーキングを最初に施しておく事で「どうしてズレているのか???」或いは「どうしてちゃんと正しくチカラが伝達されないのか???」や「どうして正常に連携しないのか???」などの凡そ不具合が発生した際の「因果関係を追求する一つの材料として使える」役目も兼ねていますから、例えば「ごまかしの整備」ばかり施している巷の整備者などは「その位置で何も考えずにどんどん組み上げていく」ので、いわゆるバラした時の逆手順だけでしか組み上げできない技術スキルにしか到達し得ません(笑)

当方はどんな場合も常に観察と考察原理原則から導き出される本来在るべき姿の追求により組み上げていく手法しかあり得ませんから、その際に過去メンテナンス時に施された「ごまかしの整備」などが、逐一白日の下に晒される話になります(笑)

実は今回の個体も後で出てきますが、上の写真の当方が刻んだマーキングの位置が重要性を帯びてきます (そこに根拠としての性格を保つのか否かの判定材料に至ったから)(笑)・・いったい何がどう影響して判定材料に到達するのかは、最後まで判明しません(泣)

↑上の写真はこの後の工程でセットする「絞り環の構成パーツ」です。絞り環操作は「単に回して絞り羽根を開いたり閉じたりするだけ」なので、この後の時代に登場するプリセット絞り機構や自動絞り方式などに比べて至極シンプルな設計概念です。

当然ながら「ネジ山が切られていて単に絞り環が回るだけ」ですね(笑)・・ところがその回る場所の「ベース環」には両サイドにグリーン色の矢印で指し示した「」が切られています。

シリンダーネジ
円柱の反対側にネジ部が備わり、ネジ部が締め付け固定される事で円柱部分が他のパーツと連携させる能力を持ち、互いにチカラの伝達が実現できる役目として使う特殊ネジ

このネジが前述した鏡筒内「開閉環のネジ穴」に刺さって、且つ上の写真の「グリーン色の矢印で指し示している溝/切り欠き/スリット」に入るので、絞り環を回す動作が伝えられる原理です。

すると前述の「開閉環のネジ穴は1箇所だけ」なのに、刺さるべき絞り環用「ベース環の溝/切り欠き/スリットが2箇所用意されている」のが問題になります。

もしも上の写真を見てすぐに「あッ!」と気づけなかった整備者が居たら、ハッキリ言って
整備者としての資格すらありませんね(笑)

絞り羽根を閉じる角度を微調整する意味合いがある、事前にちゃんと設計時点で用意されて
いると受け取ったのなら「それも整備者としての資格なし」です(笑)

どうして絞り羽根を最小絞り値まで閉じるだけの要素なのに「径の反対側/両サイドに位置
する必要があるのか???
」を見誤っています(笑)

そんな役目や意味の為に両サイドに「開閉環との連結用の溝/切り欠き/スリットを用意したのではない」ワケで、全く別の理由で両サイドに備わります(笑)

こう言う話や内容こそが「原理原則」から導き出されるので、そこから自然に自ずと「どのように組み立てれば適切なのか/正しいのか???」が明確になり必然的に「本来在るべき姿」として、限りなく製産時点に近似した仕上がりに到達できます (別に当方が好き勝手に組み
上げているワケではありませんね
)(笑)

もっと言えば「自動的に組み立て手順まで明白に至る」からこそ、内部のチカラの伝達レベルや微調整の範囲やコツなどが逐一明白になるのです(笑)・・従って「原理原則」を理解できている整備者はサービスマニュアルなど手元になくても、完全解体してから最後の仕上げ前の
微調整まで含め、全て100%判っています(笑)

・・だからこそ経年劣化進行に伴いう摩耗なのか否かの判定が適う!(笑)

と言うワケで、何から何まで上手く整備できなかった理由付けに使っている話ではありませんし、そもそもそんな事柄は内容を知れば/聞けばちゃんと納得できるか否か明確になる為「今までオーバーホールしてきた13年間で請求額から減額した人はたったの3人しか居ない」と明言できている次第です (特にオーバーホール/修理では828本仕上げているので、その中の三人様だけです)(笑)

他には日本語を口語としてちゃんと話せない、おそらく某国人がこの時とばかりに「無償扱い」してきたのは数人居ますが(笑)、それ以外に日本人で減額してきた人は3人だけです (仕上がりに納得できなかったのだから仕方ない/当方の責任であり問題である)(笑)

↑喧伝ばかりしていても仕方ないので(笑)、ちゃんと今回の話の根拠を解説していきます (ウソで解説しているのではないから)(笑)

上の写真は絞り環にセットされる「絞り値環」で、このモデルは「初期型」なので「1箇所にしか絞り値が刻印されていない (前期型以降は2箇所刻印されている)」のですが、グリーン色の矢印で指し示しているとおり今までの過去メンテナンス時にイモネジで締め付け固定されていた痕跡が「全部で4箇所残っている」のが分かります・・これら4箇所の中で「製産時点の締め付け痕は1箇所だけ」であり、全周に渡り3本のイモネジで均等配置で締め付け固定されています。

つまり上の写真でグリーン色の矢印で指し示したイモネジの締め付け痕は全周で12箇所残っています(笑)

・・するとこれら締め付け痕のうち3箇所が過去メンテナンス時の仕業と断定が適います(笑)

何故なら、今回扱った個体は「ライカスクリューマウント規格のL39」なので「距離計連動ヘリコイドを実装している」からです。距離計連動ヘリコイドで、もしもズレが生じていたら「ファインダーの二重像でちゃんと合致しているのに撮られた写真のピントはズレている」では大問題ですョね???(笑)

従って過去メンテナンス時にもちゃんと製産時点のイモネジ締め付け痕に合致していたハズなのです・・上の写真のどれか3つがデタラメなのです(笑)

ヒントを示すなら、例えば右端の締め付け痕は位置が極僅かに下方向にズレているので、他の3個と違います。また左から2つ目の締め付け痕は何回か締め付け固定されたような印象が
見えます(笑)

さて、どれが正しいのでしょうか???・・答えは一番左端か右から2番目かのどちらかです (前述の2箇所はデタラメです)!(笑)

どうしてそのように明言できるのかと言えば、何度も指摘しますが「距離計連動ヘリコイドを実装している」からで、プラスして各部位のパーツの締め付け痕との整合性までちゃんと執っていけば、自ずと行き着く先は決まってきますョねぇ〜(笑)

距離計連動ヘリコイドが居るのに、アッチコッチ様々な場所で締め付け固定されているハズがないのです・・物理的に不可能だからです(笑)

・・それほどファインダーの二重像での合焦は決定的です!(怖)

もちろん過去メンテナンス時の締め付け痕が多すぎたり、雑すぎたりして削れていて確認できない個体の場合は論外です (そう言う個体は最後に距離計連動で合致確認して微調整するしか手がない)(涙)

↑こんな感じで絞り環までセットされ、最後前玉を組み込んだら絞り値環までイモネジで締め付け固定します。

ここでは今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の一つ「距離環でピント合わせした後に絞り環操作するとピント位置がズレる」との内容について微調整しているところです。

このモデルは「全てのモデルバリエーションで同一」ですが、実絞り方式なので無段階絞りになり (クリック感がない)、且つ距離環を回していくと「一緒に絞り環まで回っていく回転式鏡筒繰り出し/収納方式」なので、ピント合わせしていて距離環を回していると「絞り環がアッチの場所に回ってしまい真ン前に居なくなる」自分本意な性格です(笑)

従っていちいち絞り環を探すのも確かに億劫なので、距離環を回す時のトルクが「重い」なら、絞り環を回してもピント位置がズレたりしません。

が然し、その分「距離環のトルクが重ければピント合わせも大変になる」との使い辛さに直結なので、そこはオーバーホールの醍醐味として「ちゃんと距離環側のトルクも相応維持しつつも絞り環を軽く仕上げる」のがベストと言う話になります(汗)

・・しかしそのような微調整は相当大変な技術レベルです!(怖)

何故なら、後ででてきますが、このモデルのヘリコイドオスメスは長大な長さのネジ山を持つので、且つプラスして何度も指摘しているように「距離計連動ヘリコイドを実装している」からなおさらに大変です!(怖)

距離環を回した時、合わせて「距離計連動ヘリコイド側も回している事になるから」であり、ダブルヘリコイド方式の設計概念なので、一般のオールドレンズでトルク調整するのとは話が別次元です!(怖)

↑光学系前後群を組み込みました・・ちゃんと前玉側面に刻印されている絞り環用の基準「●」マーカーが当方がマーキングしたVマークと合致しました (もちろん光路長を微調整/確認済)。

・・つまり当初の固定位置が適切であった事を示している根拠とも言い替えられます。

すると、ではどうして「絞り値環の締め付け固定位置が3箇所分ズレていたのか???」との話に辿り着き、すぐにその疑念が湧かないとダメダメですね(笑)

・・つまり敢えてワザと故意にズラしていた対象が全く別の話なのがこれらから判明!(笑)

対象としている先が絞り環ではなくて、全く別の鏡胴側指標値たる基準「●」マーカーとの関係性だとしたらどうでしょうか???(笑)・・少なくともここまで解説してきたとおり「3箇所もズレて締め付け固定していた対象先は絞り環相手の話でズラしていたのではなかった」点は間違いなさそうです(笑)

逆に指摘するなら、ここまでの工程解説で調べていたのは「そう言う内容の仮説をちゃんと (既に) 組み立てていてそれを調べていた」ワケで、闇雲に行き当たりばったりで工程を進めていたワケでも、それらの解説を続けていたワケでも・・ありませんね (全て判っていて進めている)(笑)

ハッキリ言って(笑)、ここまでの解説で「???」に陥っているようなレベルの整備者なら、即座にオールドレンズの整備をやめたほうがマシです (何故なら、オールドレンズの延命どころか短命化を促してしまう整備しかできないレベルと指摘できるから)(汗)

・・原理原則」とはそういう次元の話で決して当方の自慢話をしているワケではない!(笑)

↑前玉を撮影しました。この当時のモノコーティング (ネット上でシングルコーティングと案内されている場合がありますがプルシアンブル〜パープル色なので複層膜蒸着)です(笑)

そもそも「VL (erhinderung von ichtreflexion:光反射防止)」はドイツ語ですから、コーティング層を表すのが分かりますし、光に反射させて角度を変えれば2色に光彩を放つ
以上「複層膜なのは歴然」ですね(笑)

↑組み込んでしまうとなかなかこの後玉も光に翳して見られませんから、目に焼き付けておくべき美しい写真です!(涙)

↑ここからは鏡胴「後部」がわの組立工程に入りますが、実は今回扱った「初期型」だけは「鏡胴が前部/後部の二分割方式の設計ではない」ので、当初バラす際に「???」になり、ど〜しよぉ〜!(汗)と大変だったのです(笑)

距離環刻印指標値環
マウント部
指標値環 (基準●マーカー)
距離計連動ヘリコイド筒
ヘリコイドオス側
距離計連動ヘリコイドオス側
無限遠位置制限環
直進キーガイド環
繰り出し用停止環
テンション環

↑「距離計連動ヘリコイドを実装している」のでダブルヘリコイド方式を採りますが、その際に必要となる「制限環」や「直進キーガイド環」或いは「停止環」などが必須です。

グリーン色の矢印で指し示している箇所が「直進キーが上下にスライドして通過していく場所」なので、ここの経年劣化進行に伴う状況次第で距離環を回した時のトルクムラ発生に至ります (まさしく今回の個体の問題点の一つ)(泣)

↑この「テンション環」は本来対象となる環/リング/輪っか2つに対して「互いに反発力を及ぼしてチカラを加える役目」なので、ご覧のように上下方向に歪曲している「いわゆるバネ材の一種」です。

これが内部に入っていましたが、実は設計上「???」の存在なのです(笑)・・必要ありません。何故なら、この「テンション環」が入る場所は対象となる2つの部位が「互いにそれぞれが締付ネジで1箇所に締め付け固定される設計だから」であり、テンションを与える必要が存在しないのです。

逆に言うなら「締付ネジがちゃんと在る箇所にネジ込んでいく方向への反発するチカラが必要になるのか???」と言う問いに至ります。

締付ネジで締め付けているのだから、反発するチカラを加え続ける意味がありませんし、少なくとも当方には「???」です(笑)

さらにもっと重要な根拠は「このテンション環の外形サイズが絞り環の内径を極僅かに超えている」点で(汗)、ハッキリ言ってバネ材で上下に歪曲していたから絞り環用ベース環の内側に
一部が入り込んで干渉を低減していましたが、もしも平坦なカタチの環/リング/輪っかだったら完璧に実装できません (それこそ斜め状に入れれば何とか入るかと言う話)(汗)

↑こんな感じで絞り環用ベース感の内側に入り込みますが、ちょうど赤色矢印で指し示している箇所辺りから「実は外径が大きすぎて極僅かに飛び出ている」始末です(笑)

おそらく当初バラす前時点ではバネ材なのを良い事に内部に入っていたのでしょうが「不必要なテンションが絞り環操作に加わり続けていた」のが明白だと思いますが・・如何でしょうか???(汗)

↑さらにヘリコイドオスメス群と距離計連動ヘリコイド筒を並べましたが、右端のヘリコイドオス側の筒が内側に「距離計連動ヘリコイド用のメス側ネジ山が切られている」のでダブルヘリコイド方式です。

上の写真を観れば一目瞭然ですがダブルヘリコイド方式ながら「互いの繰り出し/収納量が違う」ので、詰まる切削されている処ネジ山の勾配が互いに違う設計概念です。

従って距離環を回した時に同時にこの「距離計連動ヘリコイド」まで引っ張って一緒に回している話になるので「トルク制御が大変」なのです(汗)

それは確かに距離環でピント面合わせした後にボケ味をイジッたりしたいでしょうから、絞り環操作が最後のほうになり、撮影直前で絞り環が回るのでしょうが、ことこのモデルの (この当時の)「回転式鏡筒繰り出し/収納方式」の設計概念には「酷な要求」です(笑)

・・それでも依頼されるとイヤと言えない性格なので受けてしまうワケです(汗)

後で、実際に現実にリアルにオーバーホール工程に臨むと「後悔の一字しか頭に浮かばない」のに、相変わらず受けている始末で全く以て学習能力がないアホなやつです(笑)

今回も正規の3回組み直し回数を超えて、プラスであ~だこ~だ7回の組み直しをしましたが、諦めました・・(涙)

どうしても前出の「直進キーガイド環の切り欠き/スリット/溝部分を直進キーが通過する際にトルクムラが発生する」ので、組み上がった状態で距離環刻印距離指標値の「13ft20ft辺り」でカクンと急にトルクが重く変わります・・ちょうどその場所辺りで例の「直進キーガイド環の切り欠き/スリット/溝部分を通過している」ので、その際の抵抗/負荷/摩擦をトルクムラとして指が感じます(泣)

↑こんな感じでグリーン色のラインで指し示している領域と、赤色矢印の領域とではヘリコイドのオスメスと距離計連動ヘリコイドのネジ山とで切削されている勾配が異なるので「繰り出し/収納量が違う」次第です(泣)

すると前述のトルクムラの発生の際に「これら切削されているネジ山の勾配の相違から来る影響鏡筒の重さ光学系前後群の重さ」を繰り出し方向で持ち上げている時のトルクなのか、或いは無限遠位置方向に向けて収納している時の回転方向なのかで「トルクの違いがリアルに現れる」からこそ、トルクムラとして掴んでいる指が感じ取ります(泣)

ご覧のようにヘリコイドネジ山の一部が既に経年で摩耗して削れているようなので、もしかしたら前出の「テンション環の反発力も影響していたのかも???」との憶測に至りますが、駆動時の内部をチェックする方法がないので不明のままです(汗)

何かしらの因果が介在してネジ山が擦れてしまったのだと思いますが、それを改善できるほどの短い長さではないですし、そもそも鏡筒が相応に重いのでこれ以上改善できません(泣)

↑こちらの写真は今回扱った「初期型」のマウント部ですが、唯一筐体外装の中で真鍮製/ブラス製で造られています・・すると赤色矢印で指し示した箇所に距離計連動ヘリコイド用のネジ山が備わらないので、そもそも距離計連動ヘリコイドの重さまで距離環一つで繰り出し/収納をする設計原理なのが歴然です。

↑一方上の写真は2021年に扱った「後期型」の同じマウント部写真で、同様真鍮製/ブラス製で造られているものの、個別に距離計連動ヘリコイド向けのネジ山を備えるので「例え勾配が違っても別にトルク制御できる」メリットが備わっているのが分かります。

逆に言うなら、当時のSteinheil München社内設計陣も「初期型の設計ではトルク管理が大変だ」との製産時点クレームがあったのかも知れませんが(笑)、その実は不明です(笑)

こんな部分の違いだけでも距離環を回す時の「重い/軽い/普通」と言うトルク制御面は大きく影響を受けるので、特に大変な場合が在る次第です(泣)

この後は完成した部位を全て組み上げて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。ご依頼者様は上の写真をご覧になって感激しているでしょうが(笑)、ようやく現れたレンズ銘板です (やはりレンズ銘板が在るのと無いのでは美しさまで違うように見えてしまうから不思議)(涙)

ご覧のようにとても美しいプルシアンブル〜パープルに輝くモノコーティングVLコーティング」の光彩を放っています。

↑この当時のオールドレンズには光学系内に「気泡」が複数含まれます。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

当然ながら、例えば玉ボケなど表出写真を撮るとその内側にポツポツとこれら気泡の跡が一緒に写り込むのは仕方ありません(汗)・・それ以外の普通の写真では写り込む事はありません。

光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑もちろん後群側もスカッとクリアになり極薄いクモリすら皆無です。

↑16枚もある絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

絞り環を回した時のトルク感は「全域に渡り均質」になるよう改善を施し、且つ「スカスカ感に至らない適度なトルク感を敢えて与えている」仕上がりです。

これにはちゃんと理由があって「スカスカ感のまま組み上げると内部にアルミ合金材の摩耗粉が蓄積されて次第に擦れ感が増大する」或いは「光学系内にキラキラとアルミ合金材の摩耗粉が吸い付く」のを可能な限り防御する目的で「敢えてトルクを与えて仕上げている」次第です。

その意味では今回のご依頼内容から逸脱した微調整を執っているので、この点に関しご納得頂けない場合は仕方ありませんからご請求額よりご納得頂ける分を減額下さいませ・・申し訳ございません!(涙)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使いましたが、当初バラした直後は過去メンテナンス時に塗られていたのは「白色系グリース」だったので、当然ながら経年劣化進行に伴い「濃いグレー状」に変質していました。

その分もあり当初バラす前のトルクは「軽め」だったと思いますが、当方にて「重め」に微調整して仕上げています。

当方個人的な印象では「もっと軽めのほうが使い易い」だろうと感じますが、如何せんその状態で絞り環操作すると「確実にピント面がズレる」のは否めません。

確かに7回余計に組み直してましたが、その工程で調べていたのは「実際にピント合わせ後の絞り環操作で設定絞り値を何にセットしたら、その時に距離環が動いてしまうのか???」について個別にトルクを変更しながら (軽くしたり重くしたり変更しながら) 調査していき、最終的に「重く感じてもピント合わせにそれほど苦にならない程度の粘り/重さ」然し「絞り環操作は一切気にせずいくらでも回して構わない」トルク制御で妥当性を見出しました。

・・従って最終的に距離環を回すトルクを重く仕上げ、絞り環側もトルクを与えています。

絞り環操作時にはスカスカ感を一切感じず、合わせて距離環でのピント合わせ時も「確かに重い (決してこれでも軽いほうとは言えない重さ)」トルクながらも、ピント合わせはできる/違和感にならないレベルに留めています。

これ以上「軽め」に仕上げると、絞り環操作で「特にf8以降」で16枚の絞り羽根の重なり具合が増大していくので、先ず間違いなく距離環が微動してしまいます(泣)・・従って軽くは仕上げられません(泣)

これは設計概念からそのような仕上がりでしか組み上げできませんが、それでも納得できないなら仕方ありません(涙)・・ご請求額から減額下さいませ・・申し訳ございません!(涙)

↑ご覧のように「 純正フィルター枠環」がレンズ銘板の上に被さるようにネジ込まれていたので「前玉側方向から見て一切レンズ銘板が視認できない状態だった」次第です・・レンズ銘板はこのオプション環/リング/輪っかが入ると絶対に見えません(笑)

さらに「 Ernst Leitz製フィルター」がその上からネジ込まれていましたが、両方とも外したので現状は「注意しながらネジ込めば個別に着脱可能な状態」に仕上がっていると同時に、もちろんLeitz製フィルターのほうもちゃんとカビ取りまで行い清掃済です(笑)

一つだけご留意頂くのは「光学系第1群の前玉はネジ込み式」なので、下手に純正のフィルター枠環やLeitz製フィルターを硬締めして外れなくすると、外す為にチカラを加えた時に「前玉側が一緒に回ってしまう」懸念があるのでご留意下さいませ。

・・現状当初バラす前よりもさらに鋭いピント面まで光路長確保してあります!(涙)

それが狂ってしまうのでご注意下さいませ。今回のオーバーホールで仕様上敢えて固着剤をネジ山に入れていません (絞り環用ベース環が擦れるので)・・そう言う様々な要素にまでちゃんと気配りして、考えて、結論を導き出して組み上げているので、ご納得頂けない要素については逐一100%説明できますが、それでも納得できないなら減額しか手がありません (スミマセン!)(涙)

なお、今回の個体は内部の全ての下穴と締付ネジたるイモネジとの位置合わせを100%合致させて組み上げていますから、少なくともその点を以て「製産時点の組み上げ状況に限りなく近似した仕上がりのハズ」との指摘が叶いそうですから、それは誇らしく思うべき要素では
ないかとも受け取っています (トルクの問題を別にして)(涙)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

オーバーホール/修理ご依頼者様向けにご依頼者様と当方の立場が「50 vs 50」になるよう配慮しての事ですが、とても多くの方々が良心的に受け取って頂ける中、今までの13年間で数人ですが日本語が口語として普通に語れない、おそらく某国人に限ってここぞとばかりに「無償扱い」される方もいらっしゃいます (漢字三文字、或いは漢字とカタカナ表記を合わせて含むお名前様だけで確定判断はできませんが)(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。

一応代用品のフード「フード長18㎜」をセットして撮影している関係で四隅に周辺減光が起きていますが、元来は当然ながら生じない光学設計です (但しフード未装着だとf8辺りからはフレアの影響が盛大に現れる/光学設計の問題)。

当初バラす前の実写確認時点より極僅かですがピント面の鋭さ感が増したような気がします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」て撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮影しています。

↑f値は「f8」に上がりました。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。

↑f値「f22」ですが、もうほとんど絞り羽根が閉じてきているものの、まだまだ「回折現象」の影響を感じ取れずイケるレベルだと思いますが如何でしょうか???(驚)・・素晴らしいモデルです (Steinheil München大好きです)!(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f32」の撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き次の2本目の作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。