〓 CHIYOKO (千代田光学精工) SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
千代田光学精工正標準レンズ・・・・、
SUPER ROKKOR 5cm/f2 《後期型》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

Chiyoko・・ちょっと予想外にあまり人気がないですね(涙)・・残念です。
扱い数は今までどおり年間1~2本ペースがちょうど良いのかも知れません。
・・反省です。

相変わらず人気がありません(涙)・・光学系の良し悪しに対する懸念が非常に高いモデルなので、市場流通品の中からせっかく選んで手に入れ整備しても、
その作業代すら回収できないとなれば全く意味がありません。
(光学系内がスカッとクリアなのを探すのがどんなに大変なのか)

残念ですが今後の扱いをやめます (ここまでの6本で終了)。
少しずつ下げていくので、良さげな処でご落札願えれば幸いです(涙)

ご落札頂きました!・・ありがとう御座います!(涙)
とても助かります・・。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時の千代田光学精工製標準レンズ「5cm/f2」の括りで
捉えると6本目にあたります。

1953年に発売された「Minolta−35 MODEL II」向けに用意された標準レンズに、従来セットレンズ化されていたSUPER ROKKOR 45mm/f2.8 ©《初期型》(L39)』が用意されていましたが、それに
続き『SUPER ROKKOR 5cm/f2 《前期型》(L39)』が新たに追加発売されました。
(右写真は45mm/f2.8装着のMinolta-35 Model II)

今回扱う標準レンズSUPER ROKKOR 5cm/f2 《後期型》(L39)』には「前期型/後期型」のモデルバリエーションが存在し、大凡のその区分けはレンズ銘板の「刻印」有無で判定できます。

但し今回の個体同様、レンズ銘板に「刻印」があるもののバラしてみると「後期型」の内部設計に既に変わっている場合もあるので、正確な「前期型/後期型」判定は解体してみなければ分かりません。

↑上の写真は「前期型」から取り出した絞りユニットの構成パーツを並べて撮影しており、左から順に「開閉環/位置決め環/メクラ」です (赤色文字)。

絞りユニットは鏡筒最深部にセットされて「開閉環と位置決め環の間に絞り羽根を挟み、絞り環と連結することで絞り羽根開閉動作を実現する」仕組みです。上の写真で言うと中央の黄銅製「位置決め環」が鏡筒最深部にイモネジで締め付け固定され、その内部に左側の「開閉環」が入り、その時絞り羽根を挟みます。

そしてこの「開閉環」が絞り環と縦方向に切削されている溝部分で連結するので、絞り環を回すとこの「開閉環が回って絞り羽根が角度を変える」原理です。

ここでのポイントは「開閉環側に開いている絞り羽根を刺す穴が丸形」であり、一方「位置決め環側に絞り羽根の角度を変える目的で斜め状に溝を切削している」点です・・つまり絞り羽根が角度を変えるのは「位置決め環側の役目」です。

↑一方上の写真は今回完全解体した「後期型」から取り出した絞りユニット構成パーツで、左から「開閉環/位置決め環」になり (赤色文字) ますが「前期型」に用意されていた「メクラ」が消えています。

これは上の写真「位置決め環」側でメクラ板の役目も兼ねて塞ぐよう設計変更したので「メクラ板で隠す必要がなくなった」為に構成パーツが2つで済むようになりました。

ここでのポイントは「後期型では開閉環側で絞り羽根の角度を変更させる設計に変化した」点です。上の写真を見れば一目瞭然ですが(笑)「開閉環側に絞り羽根が角度を変えるために必要な斜め状の溝が切削されて用意されている」のが分かります。

従ってこの「開閉環側に絞り環との連結用の縦方向溝が用意された」のをグリーン色の矢印で指し示しています。

↑するとここまでの解説でオールドレンズの整備者ならすぐにピ~ンと来ますが(笑)、上の写真で説明しているとおり「絞り羽根が反転する必要が起きる」点です・・もしもすぐにこの与件について気づけなかったのなら、はたして整備者として「観察と考察」能力が如何なものか、今一度反省するべきですね(笑)

何故なら絞りユニットを構成するパーツ「開閉環と位置決め環の格納位置は変化していない」ワケで(笑)、あくまでも「開閉環側が位置決め環の内側に入って絞り環との連結は開閉環側 (の縦方向の溝)」です。

逆に言うなら「絞り羽根の角度を変更させる目的の斜め状の溝切削の対象が変化している」点をポイントとしても構いません。

もっと言うなら基本中の基本ですが、もしも仮に絞り羽根の表裏にプレッシングされている
金属棒の突起「キー」が刺さる先の「両方が穴だったらどうなるのか???」と言う仮説でも構いません(笑)

この時、絞り環操作で絞り羽根が閉じる角度を変更したいなら「自ずと絞り羽根の表裏にプレッシングされるキーの一方だけは必ず斜め状の切削にしないと絞り羽根は角度を一切変えられない」話に到達しますョね???(笑)・・両方共単なる穴だったら、例え絞り環を回そうと試みても「絞り羽根は角度を変えられずに固まったまま」にしかなりません(笑)

何かを回転させる時、その軸足が1本なのか、2本存在するのかで回転する対象物が変わるのは当然の話しです(笑) もしも仮に両方共に丸穴なのに絞り羽根が角度を変えられるとすれば、それは「位置決め環か開閉環のいずれか一方が大きく回転を描く必要が起きる」ので、必然的に絞りユニットは巨大化してしまいます(笑)

そもそもこの当時の千代田光学精工社では「一般的なオールドレンズの絞りユニットとは逆の制御方法で絞り羽根を動かしていた」設計だったのまで掴めます(笑) 多くの場合で絞り羽根の軸足となるキーは「丸い穴に刺さる」設計が多く、どう考えても「角度変更時に軸足は回転運動だけに絞る」制御方法のほうが構成パーツに対するムリが抑えられます・・軸足としての役目たる回転運動にプラスして、角度まで変更する為にその位置までスライドさせたら「1本のキーに2つの能力を持たせている設計」に至りますが、それぞれの役目を特化させれば「経年摩耗をより低減できる」話になります。

こういう部分に「設計者の意図を汲み取れるか否か」が現れ「観察と考察」が適う話に至ります・・すると例えば絞り羽根が閉じる際「歪なカタチの開口部になってしまう」不具合を抱えている時、その因果関係を及ぼしているのが「開閉キーなのか位置決めキーなのか」を追求する、一つの目安にもなりますね(笑)

それが判明すれば、自ずとそのトラブルを改善させるのに何をどう処置すれば良いのかが掴めます。

ここまでツラツラと解説してきましたが「どうして途中で開閉環と位置決め環をひっくり返して設計変更したのか???」との、当時の千代田光学精工社設計陣の反省と言うか、改善点がモデルバリエーション上の「前期型/後期型」の相違に至った点までが見えてきた次第です。

確かに長いモデルバリエーションの変遷の中で、いったいどのタイミングでバリエーションが変化していったのか、それを外見上の相違点から擦るのも一つの手法ですが、せっかくバラして内部の状況を把握できる立場に居るのなら、こんなふうにモデルバリエーションの相違に繋がる「観察と考察」を述べてみるのも良いのではないでしょうか・・。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。前回扱った際は光学系の状態に瑕疵が残っている個体でしたが、今回出品する個体はまだキレイなレベルを維持しています (とは言っても前玉の露出面側だけは経年並みですが)。

↑上の写真は今回扱った個体を当初バラし始めた時に撮影しています。完全解体して「溶剤で洗浄した直後」に並べて撮影しています。左端から順に黄銅材の「距離計連動ヘリコイド/直進キー/絞り環用ベース環/空転ヘリコイド/封入環」ですが、いずれも赤色矢印で指し示しているとおり、至る箇所に「ウレアグリース」の成分が溶剤で溶けずに残ったままです(涙)

元々が「白色系グリース」だったので、ウレアグリースとしてもその白色成分が黄銅材に既に浸透してしまっていて「溶剤で洗浄しても除去できない」状況です(泣)

↑前出の鏡筒最深部にセットされるべき絞りユニットの構成パーツ「開閉環と位置決め環」のうち「黄銅材の開閉環にまでグリースを塗っていた」のがバレてしまいました(笑)・・グリーン色の矢印で指し示している箇所にウレアグリースの痕跡が残っています。

普通一般的に「絞り羽根の油染み」はそのオールドレンズの耐用年数を短縮させる因果にもなり得るので、特に「絞りユニット内部にグリースは塗らない」のが好ましい整備です(笑)・・せいぜい平気でグリースを塗っていたとしても、それは当時のロシアンレンズが国土内にマイナス40℃以下の厳寒地を有するが為に、金属凍結を防ぐ目的から油成分の強いグリースを塗っていたので「今現在も市場流通している多くのロシアンレンズで絞り羽根の油染みが当たり前」だったりします。

そのような実情まで勘案すれば、一般的に民生向けで販売されるオールドレンズの絞りユニットにグリースを塗る必要性は相当低いハズです(笑)

↑こちらは「空転ヘリコイド」ですが、グリーン色の矢印で指し示した箇所のウレアグリースは既に固形化していて「こじいてようやく半分ほど剥がせる状況」です(泣)・・ここから先は当方の手による「磨き研磨」でこれら黄銅材に浸透してしまったウレアグリースの成分を除去しない限り「本来の生産時点の平滑性を取り戻せない」話になり、結局再びグリースに頼った整備しか処置できなくなります。

↑当方の手による「磨き研磨」を終わらせて、同じように並べた写真です。空転ヘリコイド含め当初の生産時点に備わっていたであろう「平滑性」を取り戻しました・・つまり今回のオーバーホール工程の中でグリースに頼った整備を執る必要がありません(笑)

↑特に空転ヘリコイドも、そもそも距離環を回してピント合わせする際の「ピントのピーク/山付近で軽い前後微動を実現する」には必須条件たる「平滑性」が、最終的なオールドレンズの操作性の良さに繋がります。

↑合わせて、このモデルの場合「空気まで撮れてしまう」と当時から評価されてきた「6群7枚のズミクロン型光学系構成」まで思い馳せれば、ご覧のように各光学硝子レンズ格納筒まで「平滑性」を取り戻す必要があります (グリーン色の矢印)・・なぜなら、鏡筒内部に「落とし込み方式で格納されるから」です(泣)

これらグリーン色の矢印で指し示している箇所が平滑でなければ光路長不足が起きて本来の鋭いピント面を構成しなくなります(怖)・・従って光学硝子レンズが入るべき内壁部分と、合わせて格納筒の外周部分の両方を「磨き研磨」した次第です。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。光学系内には「気泡」が数点残っています。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

特に前玉の外周にコーティング剥がれが残っており、合わせて中央付近にもヘアラインキズ状のコーティング剥がれがあります (物理的に光学硝子レンズ面が削れたヘアラインキズではないので、LED光照射を透過させても視認できない事から剥がれと指摘できる)。

↑光学系後群側も前群同様にスカッとクリアです。LED光照射で極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:14点、目立つ点キズ:10点
後群内:17点、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大13mm長数本あり)
※但し実際はコーティング面の微細な線状ハガレの為物理的に光学ガラス面のキズは光に翳して透過させも視認できません(反射で視認できるレベル)。
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(光学系内に微細な気泡が複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑10枚ある絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十角形を維持」したまま閉じていきます。このモデルの絞り環操作にはクリック感を伴います。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

筐体外装の多くはアルミ合金材の削り出しパーツですが、それら筐体外装はさらに「ブライトフィニッシュ」のクロームメッキ加工が施されており、とても光沢感が強いです・・逆に言うと、いわゆる「シルバー鏡胴」のようなアルミ合金材のアルマイト仕上げではないので「磨き入れ」でゴシゴシ磨くワケにはいきません(泣) アルマイト仕上げなら経年劣化進行に伴いくすんでしまった表層面も「磨き入れ」で再び光沢感を取り戻すことが適いますが、残念です。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

この後に実際にオーバーホールが完了した出品個体で撮影した各絞り値での実写を掲載しますが、ハッキリ言って「6群7枚のズミクロン型光学系構成」が吐き出すその写りは、特に開放f値「f2」は被写体にピントを合わせるのが困難なほどに収差の影響が凄いです(笑)

ネット上の実写などを観ていて、どうしてみんな開放で撮影しないのか (開放側はf2.8での撮影が多い) 不思議に感じていたのですが、納得です(笑)・・せいぜい撮影できても「f2.8f4」辺りが開放側は主体的になってしまうのでしょう (従って開放f値~f4辺りまでの写りに関する点はクレーム対象としません)(泣)

距離計連動ヘリコイド」の設定は、当初バラす前の位置のまま組み上げているので当時のライカカメラやレンジファインダーカメラなどを使って確認できていません (当方にはライカカメラが無いので確認環境がありません/当時のレンジファインダーカメラなどを使っても視認できないので確認できません)。あくまでも今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラ向けにマウントアダプタ経由装着してご使用頂くことを前提としています (距離計連動ヘリコイドに纏わる無限遠位置の問題などクレームとして対応できません)。

また距離環を回すトルクは「軽め」に仕上がっているのて、ピントのピーク/山前後の微動は、掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで適います。前述の「空転ヘリコイド」含め「平滑性を徹底的に担保できた」が為にむしろ軽くなりすぎるくらいなので、トルクを与えて重く微調整している始末です(笑)

その意味でも内部パーツの (経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを除去して) 平滑性を取り戻す概念は、現実にこのようなオーバーホールに於いて微妙なトルク調整などにも十分に功を奏していると指摘できそうです(笑)

整備作業が終わりご返却したオールドレンズをご確認頂き、個別の操作性について「トルクが気持ち良い」或いは「ピント合わせにちょうど良い」または「絶妙なトルク感で触るのが楽しい」などなど、様々なご感想を頂戴しますが(笑)、皆様お気に召して頂けるようで整備した
甲斐があったというものです(涙)・・ありがとう御座います!

なお今まで整備してきた12年間で、ご返却したオールドレンズの瑕疵内容にご納得頂けず、最終的に減額された方は3,000本を超す個体数の中で「たったお一人」様だけです(笑)・・その他に実は日本語がちゃんと語れない方々 (お名前様が漢字3文字やカタカナを含む場合
など
) おそらくは某国人と思しき数人が「無償扱い」されました (しかも3本全てなので残念
極まりない現実ですね
)(泣)

また逆に当方自信が整備後の仕上がり状況に納得できず、その瑕疵内容の因果関係が掴めているにも関わらず「無償扱い」を申し出て、ご依頼者様からのお支払いをご辞退申し上げた事も数本ありました(汗)・・技術スキルの低さ故、本当にお恥ずかしい現実です(恥)

・・オーバーホール/修理受付に伴う整備結果は、こんなところです。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」になりました。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。絞り羽根がほぼ閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。