◎ CHIYOKO (千代田光学精工) SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
千代田光学精工社製標準レンズ・・・・、
『CHIYOKO SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
《事後談》
ご落札頂いたオールドレンズをご落札者様にお送りしたところ、LM変換リングを装着された上でLMマウントアダプタにセットされると「指標値が真逆の位置に来てしまう」との不都合が発生し、先ほどヤフオク! の取引メッセージにてご連絡頂きました。大変申し訳御座いません・・!!!
さっそくこちらの手持ち品で検証してみましたので、当ページ一番最後のほうに掲載しているオーバーホール後の各絞り値による実写確認がありますが、
その直前に詳細を掲載致します。
ご確認下さいませ・・申し訳御座いません!!!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で当時の千代田光学精工製標準レンズ「5cm/f2」の括りで捉えると累計で1本目にあたりますが、今回扱った個体「後期型」で捉えても初めての扱いです。
今回はちょっと趣向を変えて、直接今回の扱い個体とは関係がないお話というか考察から始めてみたいと思います。
・・と言うのも、たまたまタイミング的に最近頻繁にニュース記事を見る機会が増えている為「どうなのョ?!」と思っているところもあり、この話からスタートしたいと考えました。
オールドレンズとは直接関係がない話も一部含まれるので興味関心がない方はどうか読み飛ばして進んで下さいませ。
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《戦後賠償に於けるドイツと日本の違い》
・・と標題だけ見ると何の話かと言う事になりますが(笑)、たまたまタイミング的に昨今お隣の某国で「徴用工問題」に端を発する・・日本の戦後賠償問題を蒸し返すが如く勢力による「賠償と謝罪請求」について思うところがあり語りたいと思います。
ここで言う処の「戦後賠償」とは先の大戦・・第二次世界大戦含む特に日本では当時「大東亜戦争 (大東亜共栄圏)」とも呼称されていた頃の戦時賠償問題に絡む話です。
特に今ドキは「太平洋戦争」と呼ばれる事が多いように感じていますが、少なくとも叔父から聞いた話や当時の先生の話を思い出すと「東亜/アジア圏の欧米植民地化からの開放」をその使命として語られていたハズなので、少なくとも「太平洋の島々だけの話ではない」と記憶していたりします (その意味でも太平洋戦争との捉え方は好ましくない)。
お隣さん某国では「千年の恨み」とも言うらしいので端からまともに面と向かって話す気力すらとっくに失せていますが(笑)、はたして千年も恨みを思い続けている民族と言うのは精神的に疲れないのか、ポジティブになれるのかと・・むしろ心配になったりします(笑)
当方の叔父が当時の大日本帝国陸軍に入隊しビルマ戦線 (今のミャンマー) に出征し重症を負い帰国していたのでいろいろと戦後に話を聞く機会がありました (と言っても叔父は先ず話したがりませんでしたが)。そもそも所属部隊が全滅していて自分だけ復員してしまったという念が大きいのもあり、なかなか語れなかったのだと思います。
そう言えば当方がまだ小学生の頃 (もちろん戦後10年以上経った頃の話) には地下道や通路で軍帽を被った障害者 (カラダの一部を失った傷病兵) が軍歌を歌ったりタダタダ座ったまま施しを待っていたりなど、そのような人達が数多く居てその姿が未だに目に焼きついています。
手前味噌な話で申し訳ありませんが(汗)、神奈川県は藤沢駅にある「さいか屋」と言うデパートがあり (今も元気に頑張ってくれています!)(涙)、月に
一度母が連れて行ってくれて、最上階の遊具で遊ぶのが楽しみでした (その後のスイーツも)(笑) いわゆる「戦後昭和の高度経済成長期を示す、まるで典型的な国民生活のワンシ~ン」みたいな話です(汗) もちろんアームストロング船長の「That’s one small step for (a) man, one giant leap for mankind.」名言セリフも、英語が分からないので「???」のまま、ただただひたすらに「ピ〜!ピ〜!」と言うNASA管制センターとの無線切替音と白黒映像だけを観ていたような???(笑)
前述の「地下道」は藤沢駅のその「さいか屋」にいく際に必ず通る「国鉄の線路をくぐる地下道で、藤沢駅の北口と南口の連絡通路」なのです (左上はさいか屋のロゴ)(笑) そこに傷病兵がゴザを敷いて施しを受けていたワケですが、どこまで信用できるのか疑わしく思っていたのは覚えています (その頃から既に天邪鬼な性格だったことの証)(汗) 確か当時はまだボンネットバスが走っていた頃で、小学生は「5円玉」だけで何処までもバスに乗れていた時代です (車掌がまだ居た)(笑)
自宅は寝室も隣の居間も和室だけで、寝室のタンスの上に小さな白黒TVが置かれていて口を開けて観ていたのをよく母親に閉じさせられていたのを覚えていたりします(笑)
さて「戦後賠償」ですが、先ず日本は敗戦後連合国軍に占領統治されたとしても実質的に米国だけが占領統治 (GHQ) していたハズです。1945年9月2日に東京湾上ミズリー号艦上で行われた日本の降伏文章調印により事実上「ボツダム宣言受諾が固定」され、連合国軍代表として米軍が日本本土の占領統治をスタートしたと受け取れます。
その際米国トルーマン大統領はポツダム宣言の一部を反故にし行政/立法/司法の三権を剥奪した米軍による軍政統治を企んでいたようですが (9月3日時点)、1945年8月17日発足の東久邇宮内閣外務大臣重光葵氏によりポツダム宣言で明記されていた「日本の主権」を大きく逸脱する布告は一切認められないとの徹底的な抗議が大きくその後の日本の将来を決めていったと考えます。その根本は「ドイツは敗戦時に政府が破綻していたが日本には政府が存在する事」さらに「日本軍に対する武装解除のみをその対象とし、日本国とその国民に対する一切の権利剥奪はその根拠を有さない」であり、そこに日本の敗戦後の主権在民を連合国軍代表たる占領軍に対し確実にした点に於いて、とても大きな意味を持つと考えます。
この点をお隣さん某国の民族も先ずはシッカリ押さえる必要があります。お隣さん某国の民族は「ドイツでさえ謝罪しているのに日本は未だに謝罪すらしない」と戦後賠償問題よりも先に謝罪を持ち出しますが(笑)、その謝罪と戦後賠償問題のさらに前段として「ポツダム宣言受諾」の存在を忘れてはイケマセン(笑)
特に日本は今の世の中になってさらに「ボツダム宣言受諾とその固定」と言う捉え方/概念こそがより重きを置いて見えるように感じられます。戦後70年以上経ちながらもいまだに日本の戦争責任について「戦後賠償とその謝罪」が再び熱を帯びる状況に、いったいいつになれば真の戦後を迎えられるのかといまだに暗い想いに苛まれます(涙)
さらに言うなら、その流れを受けた占領統治後に1951年9月8日の「サンフランシスコ平和条約締結」調印により日本は正式に国家としての主権を回復し国際的にも対外的にもそれを告知/宣言しています。
つまり敗戦=主権放棄ではなく、もっと言えばそもそも朝鮮半島には一切侵略していない事を認識しない限りお隣さん某国民族との意思疎通は適いません(笑)
この「サンフランシスコ平和条約締結」の講和会議に招待されつつも出席しなかった国「インド/ビルマ/ユーゴスラビア」或いは出席したが調印しなかった国「ソビエト連邦/ポーランド/チェコスロバキア」さらに招待されなかった国「中国/満州国」であり・・日本以外に英国まで反対したが為に講和会議にそもそも参加できなかった国が存在し、それが「韓国 (北朝鮮含む)」だった事を今一度再認識すべきですね(笑)
何故なら中国の一部 (香港) に権益を有する英国にとり、その権益を覆す材料にもなり兼ねない「日本が一切侵略していない国の講和会議への参加は決して認めない」との意志の表れでもあります。日本が侵略した中国/満州国が講和会議に招待されなかったのに、どうして侵略していない朝鮮の国が出席できるのでしょうか?(笑)
そして何をおいても「サンフランシスコ平和条約締結」は日本と占領統治した連合国軍との戦争終結/平和条約締結だからです。そもそもお隣さん某国民族とは戦争状態にもなっていません(笑) ここに旧ソ連軍の南下政策に対峙する目的で欧米諸国が日本の朝鮮半島統治を促した点の認識がいまだにお隣さん某国民族に理解されていない「証」が隠されています。
そしてもう一つ、お隣さん某国民族の大きな誤解が「ドイツはいまだに戦後賠償も謝罪も一切行っていない点」です。ドイツ政府が対外的にも国際的にも正式に「戦後賠償と謝罪」した対象の基は「ドイツナチス政府と軍の行い」であり、その矛先は当時迫害したユダヤ人に向けた内容である事を理解するべきですね(笑)
逆に言うなら日本は戦後54もの条約締結を行い「戦後賠償と謝罪」を既に行っており、さらにいまだに政府ODAによる支援を続けています。はたしてドイツと日本とを比較する事自体がそもそも理に適っていない点について、どうしてお隣さん某国民族は言及しないのでしょうか?(笑) 侵略も戦争状態にも陥っていなかった国とその民族に対して本来「戦後賠償と謝罪」は存在しておらず、もっと言えば旧ソ連軍の南下を防ぎつつも経済発展と文化温存に努めたのはむしろ当時の日本だった事すら理解しません(笑) まさにここに当時英国が韓国の講和会議参加を頑なに反対した根拠が隠されていて、それを踏まえてもなお「賠償」してきた背景こそが「サンフランシスコ平和条約締結」第4条に基づく朝鮮の請求権問題に帰結する「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約 (日韓基本条約)」が1965年にソウルで批准され発効した内容ではなかったのでしょぅか?(笑) ある意味英国も香港に於いて当時の日本同様に権益だけではなくその後の経済発展と文化温存に取り組んだからこそ、戦後も戦前の植民地政策の一環となる政策を執り続けたとの認識に抗うのだと考えます。
もしも仮にこの条約締結そのモノを現在のお隣さん某国民族が無効と唱えるなら、それは時の世界ひいてはドイツ及び日本敗戦当時の連合軍各国に対してもその戦争終結と平和条約締結に抗う話となり、だからこそ今もなお世界中がそれを認めない道理が通るのではありませんか?
従ってドイツ云々は一切関係なく(笑)、さらに全てが「サンフランシスコ平和条約締結」を基にしている事をちゃんと法治国家とその民族として理解すべきと「徴用工問題」は捉えるべきですね(笑) 特に今ドキの世界各国から観ても「恥ずかしい捉え方を頑なに続けている国とその民族」なのを知るべきです・・いったい何年経っているのでしょうか?(笑)
せっかくなので最後にちょこっとだけ今回のオールドレンズに対する話を述べるなら、まさにこの敗戦時の経緯とその後の状況の違いこそが当時のドイツと日本の相違であって「戦前戦中のドイツ特許だけが剥奪/無効化」されたのも旧東西ドイツに分断化された流れの中から特許権移譲が進める事ができずに行政/司法/立法の三権剥奪を基としその後1989年11月の「ベルリンの壁崩壊事件勃発」まで国の分断状況が継続したとの捉え方に集束します。
何故ならこのブログでも何度も解説していますが、旧東西ドイツ分断期は国際法上、或いは国際貿易法上それぞれの取引や輸出入に対し国権の存在を保たせただけの話であって、実質的に旧東西ドイツは「国として認証されていないままだった」事は明確になっています。
合わせて今も当時も「ベルリンの壁崩壊事件勃発」後に旧東ドイツが旧西ドイツに併合されたと言う表現に対しドイツ人が徹底的に抗議するその根拠は「基は一つの国=ドイツだったから」なのであって、それに異議申し立てる国は一つも存在しません・・正しく表現するなら「ドイツ再統一」なのだと今現在もなおドイツ人が世界に向けてその歴史について申し立てを続けている次第です。
逆に言うなら今現在もなおドイツは「戦後賠償と謝罪」を国vs国の条約締結 (戦争状態終結と平和条約締結) として日本と同じ敗戦国ながら実行していない国である事を、特にお隣さん某国民族はシッカリと頭に今一度叩き込むべきですね(笑)・・いったい何処からドイツが謝罪し戦後賠償したと発言してきたのか、その国名をちゃんと世に知らしめるべきです(笑) 戦後のドイツが執った賠償と謝罪はあくまでもドイツ政府と企業が用意した基金を基にしており、その対象は「ユダヤ人」であった事をちゃんと勉強するべきです。今現在もなお当の本人たるドイツ人達がそのように捉えろと言っているのであって、その意味でドイツは決して「戦後賠償と謝罪をしていない」との指摘もドイツ人にすれば道理が通っている話と言えるのです。
そしてこれら経緯の結果の一部がまさにライカのバルナック型レンジファインダーカメラに対する権利とその附随オールドレンズ達の特許が登記抹消された現実であって「まさに敗戦時に無政府状態だったドイツの三権剥奪」に帰する処である点もこれらの事柄からその流れを知る事が適います。
コピーライカやバルナック型ライカ、及び附随するオールドレンズ達の特に光学設計が当時様々な国で模倣されまくったのも国自体が占領統治で分断され続けてしまった旧東西ドイツの背景と合わせて、日本の戦後との大きな相違点でもあると考えられるので「日本の戦後賠償問題」は結果的にオールドレンズの世界にも影をちゃんと落としていたのだと言えそうですョね?(笑)
・・時の外務大臣重光葵氏に今さらながらに本当に感謝の念でいっぱいです!(涙)
今のニッポンの主権回復を確実たるものにしたのは、まさに外務大臣重光葵氏と時の日本政府だったのではないでしょぅか。同じ敗戦国でも政府が顕在し国民主権を貫ける状況をとにかく維持し、さらにその中で天皇家の存続すら守り抜いた先達ニッポン人の偉業には・・本当に舌を巻く以外ありません!(涙)・・ありがとう!!!
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↑左端が今回扱った個体の光学系に大きく関与する『Ernst Leitz GmbH Wetzlar Summicron 5cm/f2 collapsible chrome 1st《沈胴式》(L39)』です。また中央は今回扱うモデルの「前期型」にあたりフィルター枠サイズが⌀ 40.5mmとコンパクトです。右端は今回の個体と同じ「後期型」でフィルター枠サイズが⌀ 43mmに大きくなっています。
↑上の図は左側が前述『Ernst Leitz GmbH Wetzlar Summicron 5cm/f2 collapsible chrome 1st《沈胴式》(L39)』の光学系構成図で、一方右側が今回扱った個体をオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時に逐一各群の光学硝子レンズを当方の手でデジタルノギスを使って計測したトレース図です。
いずれも6群7枚のズミクロン型光学系構成図と言えますが、左側Ernst Leitz製の場合 着色部分の光学硝子は「酸化トリウム含有」です。さらに附随するグリーンの矢印の箇所には第1群 (前玉) と第2群との間に「薄いシム環」を挟んでいますが、一方赤色矢印の箇所にはシム環が介在せず単に重ねて第3群がセットされているだけと言う状況です (曲率が違うので隙間の空き具合が異なる)。
しかし今回扱ったモデル『CHIYOKO SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)』では光学硝子材に「酸化トリウム」を含有していませんがグリーンの矢印で指し示したように第1群と第2群の間、及び第3群と第4群の間の2箇所に「薄いシム環」が介在し/挟んでおり、それぞれの厚みが「0.29mmと0.05mm」です。特に第3群と第4群との間が非常に薄く設計されているのが分かります (但し右図は第3群と第4群との間の隙間をワザと故意に広げて作図しています/そうしないと貼り合わせレンズに見えてしまうから)。
また第2群はErnst Leitz製が凹メニスカスに対しCHIYOKO製は凹平レンズなのが分かりますし、最後の第6群に至っては直前の第5群貼り合わせレンズの外径よりも小さく設計しているのが分かります。この辺りの設計思想の相違が結果的にその描写性の違いとして製品に現れているのかも知れません (案外CHIYOKOは空気感を漂わせる事に主眼を置いていたのかも知れません)。
なおこのモデルも含めた当時の千代田光学精工の解説などは『SUPER ROKKOR 5cm/f1.8 (L39)』や『SUPER ROKKOR 45mm/f2.8 ©《初期型》(L39)』のページをご参照下さいませ。
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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
◉ 一段目
先ずこの光学系の大きな特徴として一つ抑えるべきは「被写界深度の表現性」です。開放f値「f2.0」なので特に被写界深度が薄く/狭い話ではありませんが、問題なのはその薄さ/狭さよりもそのすぐ後に来るアウトフォーカス部の滲み方です。このボケ具合に大きな特徴が現れので光学系構成図の設計の影響大と言えそうです。それは例えば3枚目で背景にグルグルボケのような乱れが視認できるものの、実はその乱れ方に法則性がなく一貫性がありません。ところが一番右端のような「フツ〜なピント面の写真」もちゃんと残せるのです(笑)
◉ 二段目
この段では一般的なグルグルボケからは相当乖離しているあまりにも乱れた背景のグルグルボケ・・収差ボケ・・の一方で、その直前に写る「明確なピント面」との対比を心してご覧下さいませ。実はここにこれら6群7枚のズミクロン型構成に見られる「空気まで写す」要素が隠されているように感じるのです。この時、やはり一段目同様に被写界深度の関わり方が収差ボケの乱れと大きく関係しています。
◉ 三段目
次はこの段でダイナミックレンジをチェックしています。左端は紅色の発色性も合わせて確認できますが、それにも増して特に床材の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さに相まり、ちゃんとグラデーション表現できているのがたいしたモノです。
一方2枚目もピント面の電球のフィラメントとその直前のソケットのグラデーション、合わせて背景ボケとの関係性も一筋縄に語れないのが理解できます (乱れ方に一貫性が無い)。3枚目の白黒写真では意外にもちゃんと階調表現が整っていてグラデーションを残しているのが十分分かりますが、それでいて一番右端の錆びついた金属材の質感表現能力に「???」になったりします(笑)
◉ 四段目
そしていよいよこの段で「まさに空気が写っている瞬間」をピックアップしました。それぞれでちゃんとピント面の質感表現能力を残しつつもビミョ〜に然し一貫性のない乱れ方の中に「空気の存在感」を感じる要素が在るように見えます。そして同時に「画の中に何処となく柔らかさ/優しさまで漂う」のが個人的にはとても好みな写り具合です。
特に今ドキなデジタルの画を観ていても、或いはいつもながらコシナ製CARL ZEISSやVOIGTLÄNDERのブランドモデルの表現性を観ていても、いずれも確かに緻密で情報量の多さがすぐに伝わるのですが、心の中に響くのはむしろそれだけで、このような「中途半端な空気感の感触」をその写真に見出すまでにはいきません。
現在のデジタルな技術よりも、当方にはむしろこの当時のこう言う「人の五感に訴えられる表現性の存在」のほうが、もっともっと大切で魅力的にさえ感じられるのです!
詰まるところ酷すぎると受け取られがちな収差の影響が顕在するにもかかわらず、ピント面の鋭さとそのすぐ直後のアウトフォーカス部の滲み方にある種の柔らかさを維持させつつ空間表現に何とか繋げようとしていたようにも見えてきますね・・素晴らしい!(涙)
・・ダイナミックレンジの広さと共に空間表現と優しさのバランス性が卓逸!!!(涙)
その意味で巷での評価は全く芳しくないオールドレンズの一つでもありますが
どう考えても当方にはこのアンバランス性にCHIYOKOの意地を観てしまい、ついついホロッと来てしまいます・・(涙)
その意味でも確かに当時からしてCHIYOKOは世界中から「何だ、ズミクロンをバクリやがって偉そうに言うな!」的に罵られたのでしょうが(泣)、ここまでの解説からもそのような経緯が仮にあったのだとしても「単に真似てパクっただけではなくて、ちゃんと空気感の表現性と合わせて優しさまでその画に体現させたのは・・まさに日本の技術力の賜物」との荒い鼻息が聞こえてきそうです(笑)
・・CHIYOKO、よくぞニッポン人の心意気を魅せつけてくれた!(涙)
当方はとても誇らしく思えて心の中でボソッとそんなふうに褒め称えてあげたいですね(涙)
↑上の写真はオーバーホールの為に完全解体した後に洗浄だけ済ませた時の各パーツの状況です。金属材は黄銅製ですがご覧のように経年による酸化/腐食/錆びで茶褐色化や一部には緑青なども出ています。
当初バラした直後は既に過去メンテナンスが施されていて「白色系グリース」がこれらの上から塗布されていました。「白色系グリース」なので近年おそらく10年以内くらいのレベルでメンテナンスされていると推測でき、且つ「揮発油成分」の影響から酸化/腐食/錆びが進行してしまいます。
これら経年の酸化/腐食/錆びを除去せずに単に「白色系グリース」を塗布するので、その界面原理から余計に空気中の水分を引き寄せて留めてしまいサビの進行が早まります。
↑当方の手で「磨き研磨」を各パーツに施し、再び洗浄した後に撮影しました。ピッカピカに光り輝かせるのが目的ではなく(笑)、黄銅製パーツの表層面の経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びを除去し「パーツ本来の平滑性を取り戻す」のがその目的であり、結果的に各パーツを「限りなく製産時点/組み立て時点の状況に近づける」のが最終目的です。
従って「黄褐色系グリース」の塗布でも十分な平滑性が保持できるように戻り「滑らかで軽い操作性を担保できる」のがその狙いです。
逆に言うなら「グリースの平滑性だけに頼らない」製産時点/組み立て時点の状況に戻す事で設計時の各パーツ駆動状況にまで回帰するのが目的でもあります。
・・最低1mm幅から磨き研磨を施し表層面の平滑性を担保する。
すると結果として最大でも今までに7年前までに当方がオーバーホールした個体の状況を把握できています。5〜6年前までは「黄褐色系グリース」の塗布なら経年に伴う揮発油成分の滲み出しが最大限防げており、且つ7年経過後でもその揮発油成分の滲み量が最低限にイジできているのを確認済です。
逆に指摘するなら「白色系グリースは早ければ1年、せいぜい保っても数年で液化した揮発油成分の滲み出しが増大してくる」とも言え、どうしてオールドレンズに「白色系グリース」を塗布するのが流行ってしまったのか本当に首を傾げるしかありません。
・・何故なら、これらオールドレンズ製産時点当時に白色系グリースはまだ存在していない。
実際今回の個体をバラす前の事前チェックで「白色系グリース塗布の独特なツルツルした無機質な操作性に違和感しか覚えられない」状況だったのを敢えて付け加えておきます(笑)
さらにオーバーホールで完全解体した後に「磨き研磨」工程後組み立て作業に入り「空転ヘリコイド封入」の工程で、まだ距離計連動ヘリコイドをセットする前時点で既に「極僅かな回転ムラ」が起きています。
おそらく過去メンテナンス時から塗布されていた「白色系グリース」と経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びを残したままの状況だった点も合わせて考えると「既に空転ヘリコイドの一部の真円度が摩耗している」と推測でき、今回のオーバーホール工程でさらに研磨を進めてしまうと摩耗箇所を特定する方法が無いために (真円度測定の電子検査設備が必要) 摩耗度合いがさらに悪化する為、これ以上の「磨き研磨」処置を執っていません (今までの経験上黄銅製空転ヘリコイドで改善できた例しがないから/どんなに研磨を続けても悪化が酷くなるだけで一切改善できないから)。
もちろんオーバーホールが終わった現在は「ヌメヌメッとしたシットリ感のある独特な操作性に変化」しているので、とても軽いチカラだけでスムーズで心地良いピント合わせが叶います(笑)
・・白色系グリースと黄褐色系グリースの違いはそう言う部分に確実に現れます。
従って特に黄銅製ヘリコイドで「空転ヘリコイド」を装備している設計のこの当時のオールドレンズに対して「白色系グリース」を使い続けるのはトラブルの元であると、設計当時/製産当時に「白色系グリースが存在していない」以上、それら黄銅材に悪影響なのを敢えてここで申し上げておきます。
ちなみに「空転ヘリコイドの空転接触面は平滑仕上げに近い状態」になり単なる平滑仕上げではありません。そこに当時の「黄褐色系グリース」を封入する必要性からちゃんと「封入環」を備えていますから、ここに「白色系グリース」を使うのは、さらに指摘するなら全く平滑性を取り戻さないまま塗布するのは「製品寿命を短くしているだけの話」である事を、合わせて指摘しておきます!
だからこそ単にピッカピカに仕上げているだけではないとこのブログで何度も何度も執拗に解説し続けています。重要なのは経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びを可能な限り除去して、且つ製産時点に使われていたであろう最低限「黄褐色系グリース」を塗布するのが「材と設計を護る唯一残されている術」だと当方は捉えています。
その意味でも是非とも日本の高い技術開発力を以て「界面原理が働き空気中の水分を一切引き寄せない新たな別次元の潤滑剤開発」を未来には是非とも実現して頂きたく切望しています (但しその頃には当方はもぅ居ませんが)(笑)
何度でも指摘しますが、もしも仮に疑うのならいくらでも低価格で市場に「白色系グリース」が出回っているので、それを手に入れ一番最初に開封した時点で「ヒタヒタと液化した揮発油成分が存在しない事を確認」して頂きたいです(笑)
少なくとも当方ではそのような揮発油成分が分離しない「白色系グリース」を今までに見た記憶がまだありません (単に調べる為だけで手に入れた使っていない白色系グリースが手元にゴロゴロしている/封入されていただけなのに既に揮発油成分が生じている)(笑)
そんな「白色系グリース」をオールドレンズ内部に塗りまくって、はたして1年〜数年後に揮発油成分が生じていないとどうして明言できるのか教えて頂きたいです!
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。光学系は6群7枚ですが、上の写真では10枚の絞り羽根のさらにその前に「2本のシム環」をちゃんと目立つように並べて写しています。これらシム環がそれぞれ第1群と第2群の間、及び第3群と第4群の間に挟まれます。
逆に言うならこのシム環の幅の分だけ「入射光が遮られる」ので第1群〜第4群までの実際に入射光が透過していくサイズは光学硝子の外径よりももっと小さい設計なのが分かります。
そしてこれらを考察する時「どうして貼り合わせレンズにせずにシム環をワザワザ挟んで隙間を備えたのか?」との疑問は、コーティング層が介在する面を増やす事で入射光の透過率を上げられるとの答えに至りますから、どう考えても写り具合にこの6群7枚の光学系構成が大きく影響しているとしか考えられない次第です。
◉ 貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す
◉ バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態
◉ ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態
◉ フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーやパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く
◉ コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。アルミ合金材削り出しで設計されていますが、正直な感想であまり切削精度が高いと感じられないものの、実はこの当時の栗林写真工業や東京光学などと比べると遙かに切削レベルが高く、同レベル帯として考えればCanonやNikonのオールドレンズと同格な切削精度とも言えますから、その意味では当時の日本の工業技術として捉えても高いレベルだったのかも知れません (が然しこの後の時代の切削レベルと比較すると今一つ感が残っています)。
・・どちらかと言うと日本の高度成長真っ盛りの頃の切削レベルとでも言いましょうか(笑)
↑他の光学メーカーがまだ真鍮 (黄銅) 製で筐体の多くのパーツを備えていた頃に、一足早く積極的にアルミ合金材を多用する設計へと技術革新を進めていたのが当時のCanonやNikonにこのCHIYOKOでもあると受け取っています。後にはMINOLTAへと変遷していくので他のOLYMPUSや旭光学工業などと同様、まさに高度経済成長真っ直中の頃だったのでしょう・・日本に活力がまだまだ漲っていた活況な時代です。
上の写真で「位置決め環」側がアルミ合金材に対して「開閉環」が黄銅製です。この間に10枚の絞り羽根を挟んで開閉動作しますから「敢えて材の異なる金属材で絞り羽根を挟む」と言う駆動面優先の設計を採っています。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑「位置決め環」に絞り羽根を組み込んでから「開閉環」を被せてご覧のように「絞りユニット」が完成します。その後グリーンの矢印のように鏡筒内部に落とし込まれます。
↑こんな感じで絞りユニットが鏡筒最深部にセットされますが、実はこの一つ前の工程で既に「どうして絞りユニットを分離して設計してきたのか?」との設計者の狙いと言うか意図を汲み取っていなければこのモデルの絞り羽根開閉動作に対する「適切な微調整が適わない」と言うほどに意味のある「微調整機能を装備している」事を過去メンテナンス時の整備者は気づいておらず、今回オーバーホールの為に完全解体したところ過去メンテナンス時に絞りユニットを分離させていなかった事が判明してしまいます(笑)
↑多少なりともこの当時のオールドレンズを整備した経験がある人には特に珍しく感じませんが、ご覧のようにグリーンの矢印で指し示した「イモネジ」を3箇所から均等配置で締め付け固定する方式で内部の絞りユニットを固定しています。
絞りユニットが分離していた以上このように「イモネジ」で締め付け固定するのは特に珍しい話ではありませんが、実はこの3本のイモネジをチェックすると「お?」と気づくべき要素があるのです。
従って今回のオーバーホールで完全解体したが為に明白になってしまいましたが過去メンテナンス時の整備者がこの絞りユニットを外さずにそのまま絞り羽根を組み込んでいた事が判明します。
どうしてワザワザ絞りユニットを分離させて設計していたのか、或いはどうしてそれを外す必要性があったのかなどの根拠は「観察と考察」を進めれば自ずと納得できます。
先ず最初に指摘するべきは「この当時の絞り羽根にはまだカーボン仕上げが施されていた」点が大きなポイントになります。過去メンテナンス時に絞り羽根は取り外して清掃したものの絞りユニットを外していないので経年の酸化/腐食/錆びの下が残ったままになり、せっかく過去メンテナンス時の清掃でキレイになった絞り羽根が再び容易に酸化/腐食/錆びが進んでしまい、今回のオーバーホールでも取り外した絞り羽根は「真っ赤に赤サビが出ていた状況」でした。
今回のオーバーホールで絞りユニットを完全解体し、さらに「位置決め環側アルミ合金材の磨き研磨」と合わせて「黄銅製の開閉環側まで磨き研磨」を施したので、経年の酸化/腐食/錆びの要素は極力排除が済んでいます。
すると「今回の整備で清掃した絞り羽根が再び真っ赤に錆びる年数は過去メンテナンス時よりもさらに長くなる」事からこの個体の「製品寿命をさらに延長できる」のが完全解体する最大の目的です。
↑別の角度から同じ鏡筒側面に締め付け固定される「イモネジ」を撮影していますが、実は
3本あるイモネジのうち2本の仕様が異なります。
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っているネジ種
左写真のようにネジ頭が存在しないので「締め付ける/ネジ込むチカラだけでパーツを締め付け固定する方法」とも指摘でき、必然的にネジ穴自体にネジ山が備わるハズです。
そうしないと締め付けるべきパーツが存在しなくなってしまうのでイモネジを使う事が適いません。ところがご覧のように「先が尖っているイモネジ」の他に「先が尖っていないイモネジが2本」あり合計で3本として均等配置していた設計なのが過去メンテナンス時の整備者は知りません。
つまり「このモデルの絞りユニットは1本のイモネジだけで固定位置を確定させる方式を採った設計」で他の2本は単に絞りユニットを締め付けているだけと指摘でき「絞りユニット固定位置の微調整機能が備わっていた」点に気づかなければイケナイのです。
これがいったい何を意味するのかと言えば「絞り羽根の開閉幅の微調整機能」と明言でき、開放f値〜最小絞り値までの絞り羽根の開口部の面積をキッチリ仕様諸元に適合させる微調整機能とも言い替えられるのです。
従って当初締め付け固定されていた位置が「最小絞り値f22にしては開きすぎの位置」だったので、おそらく製産後に2回整備されていると過去メンテナンス時の経緯を推測できてしまいますし、もっと言えば生産後1回目の整備時にミスったまま絞り羽根の閉じ具合が広がってしまい、そのまま2回目も見過ごされたので今回判明したとも指摘できます(笑)
今回のオーバーホールではちゃんと製産時点の固定位置でイモネジ締め付けが適い、且つ過去メンテナンス時の整備時のミスった位置での締付痕まで明確に確認できてしまった次第です(笑)
従って本来の製品の仕様諸元にピタリと適合した絞り羽根の閉じ具合に戻ったと言いきれるワケですね (つまりちゃんと根拠があると言う意味)(笑)
・・たかがイモネジの話ですがこんな背景が隠されていたりします(笑)
↑イモネジの話で組み立て工程が中断してしまいましたが(笑)、ここからは本来の工程で鏡筒にフィルター枠や絞り環などをセットしていき「鏡胴前部」を完成させます。
《鏡胴前部の構成パーツ》
❶ フィルター枠 (アルミ合金材ブライトメッキ加工)
❷ 鏡筒 (アルミ合金材梨地仕上げメッキ加工)
❸ 絞り環 (アルミ合金材ブライトメッキ加工)
❹ 絞り環用ベース環 (黄銅製)
❺ 鏡胴前部固定位置確定環 (黄銅製)
❻ 光学系前群 (第1群〜第2群格納環:黄銅製平滑仕上げ)
❼ 光学系前群 (第3群〜第4群格納環:黄銅製平滑仕上げ)
・・とこんな感じです。上記を読めば理解できますが、このモデルは当時にしては珍しく「筐体外装の多くのパーツがアルミ合金材を使ってワザワザブライトメッキ加工を施して仕上げていた」と指摘できます。一世代前の時代なら「真鍮 (黄銅) 材に光沢メッキ加工」が一般的でしたから、下手すればワザワザアルミ合金材にブライトメッキ加工を施すのはむしろコスト高だった懸念が高いです (黄銅材とアルミ合金材の金属材のコスト相違はたいして期待できないから)。
その意味で当時のCHIYOKOは「敢えてアルミ合金材にブライトメッキ加工を施したかった」事が伺えますし、その理由としては何よりも製品重量を重くしたくなかった事が想定できます。
↑さていよいよこのモデルの設計の真髄に差し掛かっていきます。ハッキリ言って完全解体してみなければ全く予想もできなかつた「CHIYOKOこだわりの設計」が隠されていました・・!(驚)
上の写真は鏡筒内にセットされるべき光学系前群側の「黄銅製格納環」を第1群〜第2群用 (左側) と第3群〜第4群用 (右) と並べています。両方共に写真上側が前玉側方向の向きで並べました。
↑今度はひっくり返して位置的に互いに同じものの「写真上方向が今度は後玉側方向」になるよう、つまり裏側から撮影しています。
すると黄銅製なのですがグリーンの矢印で指し示している箇所にはそれぞれ光学硝子レンズの第1群〜第2群、及び第3群〜第4群が格納されます。また第1群と第2群の間にはアルミ合金材の「薄いシム環 (その厚み:0.29mm)」が挟まり、合わせて第3群と第4群の間にも同じようにアルミ合金材の「薄いシム環 (その厚み:0.05mm)」が挟まります (それぞれのシム環は一番最初の解体パーツ全景写真の中で絞り羽根の手前に2つ並べています)。
問題になるのは上の写真ブルーの矢印で指し示している箇所の仕上げです。この2つの格納環の「側面側だけがほぼ平滑仕上げに近い状態まで平滑性を保持した仕上げ」であり、このモデルの「ピント面の鋭さを担保しているのはこのブルーの矢印で指し示した箇所の仕上げ方で決まっている」と明言できるのです。
当然ながら過去メンテナンス時にはそのような処置は一切執られず経年に伴う酸化/腐食/錆びが残ったまま「おそらく潤滑油を垂らして組み込んだ」と思しき痕跡が経年の酸化/腐食/錆びで残っていました (ごまかしてもそうやってちゃんと長い時間でバレバレになる)(笑)
グリーンの矢印で指し示した箇所には光学硝子レンズが格納されるだけなので平滑仕上げほどの平滑性は必要ありません。しかしブルーの矢印の箇所だけは「格納環が自重だけでストンと落とし込まれるほどの平滑性担保が必須」と指摘できるのです。
↑実際にこれら2つの格納環を重ねて撮影してみましたが、側面はブルーの矢印で指し示した箇所だけが平滑仕上げに近いレベルまで平滑性を取り戻した処置が済んでいます (当方で磨き研磨した)。
上の写真を撮る際に「このモデルの設計上のカラクリをワザと故意に明示したのがオレンジ色矢印の箇所」です。ワザと故意に2つの格納環をズラして重ねて上の写真を撮りました。
つまりご覧のようにピタリと重なるものの「互いの格納環には重なり時にマチ幅が用意されていて僅かにズレる余裕を持たせている」事がこれで明白になってしまいました。
もちろんちゃんとピタリと重ね合わせてブルーの矢印で指し示している側面の箇所がツライチに重なるようにできます。普通一般的に設計者が考えるなら「ピタリと面一 (つらいち) で重なるように仕向けるのが当たり前の話」なのに、このモデルはそうしなかったのです。
上の写真オレンジ色矢印の箇所のズレ幅はデジタルノギスで計測してみると「凡そ0.2mm程度」でした。
↑上の写真は前出の工程で鏡胴「前部」の構成パーツを番号を付番して解説した時の番号を改めて附しています。すると光学系の格納環❻〜❼が落とし込みでストンと入るべき場所がブルーの矢印で指し示している箇所と言う話です。
この場所は鏡筒ですからアルミ合金材なので同じ平滑仕上げに近い平滑性としても黄銅製に比べると平滑度が落ちます。実はそれがポイントで「一方が黄銅製でもう一方はアルミ合金材」と言う金属材の相違が重要な話になります。
↑実際に2つの格納環を鏡筒にストンと落とし込んで上から撮影しました。❻〜❼の格納環が既に入っています。そして❼の格納環には下側でアルミ合金材の鏡筒内部に入るのでズレる余裕が無くまさにピタリと/ストンと落とし込みで入りますが、一方❻の格納環はオレンジ色矢印で指し示したようにマチのズレ幅がそのまま残されているのが工程を進めると分かるのです。
・・これがこのモデルのピント面の鋭さを担保する隠された設計だったのです。
↑上の写真は前出の2つの格納環をひっくり返して撮った写真を再び掲載しました。実は右側の格納環に「1つだけ穴が開いている」のが手前に少々ピンボケになってしまいましたがちゃんと写っています。
この穴は裏表で貫通していて内側に特にネジ山などもなく「単なる貫通穴」です。ところが左側のもう1つの格納環にはこのような「穴」がありません。
そして重要なのはこの「貫通穴」の場所で左側格納環が重なって塞がる場所に開いているのがポイントになります。
つまりこのモデルの扱いが今回初めてなので「フィルター枠が⌀ 40.5mmの前期型」の構造がどうなのか不明なままですが「何か不都合があってこれら光学系前群側の格納方法/設計を変更した」のが結果的に「フィルター枠径⌀ 43mmの後期型」に変異したそもそもの理由なのではないかとの憶測に及びます。
↑実際にさらにレンズ銘板を締め付けたところを撮りましたが、これで初めて格納環の前側「第1群〜第2群格納環が固定される」手法で設計されていました。
・・何を言いたいのか???
つまりこの「後期型」は第1群〜第2群の格納位置にマチ幅がワザと備わり、且つその次にピタリと格納されている第3群〜第4群格納環にあえて用意された「貫通穴」と共に「レンズ銘板の締め付けで初めて格納位置が固定されるものの日本の季節性で気圧の変化が起きた時に対処できるよう設計を工夫した」結果こそが最終的な「フィルター枠⌀ 43mmの後期型」に落ち着いた本当の理由だったのではないかとの憶測の範囲をまだ超えていませんが気づけた次第です。
逆に言うならフィルター枠のサイズがたかが「⌀ 40.5mm → ⌀ 43mm」に変更しただけで最終的に製品重量にそう大きな違いは生じません。或いはもしかしたら「フィルター枠径 ⌀ 40.5mmの前期型」には真鍮 (黄銅) 材が多用されているのかも知れませんが、少なくとも光学系の設計が変化したとの情報が何処にも出ていない以上、僅かな製造番号の更新の中で光学設計をやり直すべき問題が起きていたとも受け取れそうもありません・・光学系のズミクロンコピーモデルとはそのくらいの重きを保っていると考えたいですね(笑)
・・事の詳細は前期型をバラさない限り不明なまま。
ですが、取り敢えず「CHIYOKO・・恐るべし!」との印象を抱いた、まさに「さすが後のMINOLTAだ!」と今回改めて感銘を受けたのも事実でした。
このような話はネット上の何処を探しても一切述べられていないので、まさに今回のオーバーホールで「観察と考察」の賜物のような話ですが、これはこれで当方にとり相当オモシロイ経緯/いきさつだった次第です。
・・オールドレンズ、やはり堪りませんねぇ〜!(笑)
↑同じく完成した鏡胴「前部」の今度は後玉側方向からの撮影です。この後玉側も第5群と第6群含め共に内部に落とし込みの設計なので側面の「磨き研磨は平滑仕上げレベルを担保」が必須でした (但し貫通穴は無し)。
おそらく憶測するに・・光学系前群側の特に第1群〜第2群の間の「アルミ合金材の薄いシム環:厚み0.29mm」合わせて第3群〜第4群の間の「アルミ合金材のシム環:厚み005mm」の2つのシム環による「問題の根源はその生じる隙間の維持が日本の季節性の中での気圧差発生で大きく影響を来した」のが結果的に撮影する季節の違い、或いは気温差の変化に伴い生じる気圧の変化から「描写性の偏りを防ぎたい思惑」として当時のCHIYOKOが頭を絞った次第と受け取りました(笑)
・・だからこそCHIYOKO恐るべし!なのです(笑)
こんなのもまたそれ相応にロマンに繋がって今回のオーバーホール工程はなかなか楽しめた次第です(笑) 「ウン? 穴が貫通している?(驚)」とか「何でマチ幅があるの? ガタガタじゃん!(驚)」或いは「そうか!・・もしかしてだからフィルター枠サイズが大きく変わったの???」と楽しかったです(笑)
ちなみによくオーバーホール/修理のご依頼などで皆さんからご質問を頂きますが、光学系内の光学硝子レンズは高温/低温と言う気温差に弱いのではないのか・・との憶測です。ここで言う処の「高温/低温」とはせいぜい日本国土内に於ける地域性と、それに合わせて季節性から来る気温差の話を想定される方が多いワケですが、その場合の高温とは例えば真夏日の日中に駐車した車の中に置かれていた場合の「高温の環境」などが想定できそうです。或いは当然ながら真冬の登山などそのような地域での「低温時」も考えられます。合わせて特に冬の室外/室内に於ける気温差から生ずる「光学系内の結露」などの話も皆さんの関心が強かった内容だったりします。
するとこのような「高温/低温/そして結露」で言うなら前述の環境下でササッと調べると一般的には「80°C (真夏日炎天下駐車内ダッシュボード上)/マイナス41°C (気象庁観測統計上の1902年旭川計測値)/湿度80%気温差3°Cで結露発生 (日本に於ける屋外湿度を基にした屋内気温差)」らしいので、この数値だけを単純に見て考えてしまうとオールドレンズの光学系内の光学硝子が耐えられるのか心配になってしまう人達が多いのも納得できそうです。
が然し、実際には現実的に当時からしてオールドレンズ内に実装される光学硝子レンズは先ず以て光学硝子材精製段階から既に熱伝導率などをちゃんと勘案して設計しているらしいですし (つまり高温/低温時の外気温からの影響を受けにくい)、或いはそれら外気温や気温差から影響を受けた結果起きる「光学硝子材破壊に対する耐性」もちゃんと対処済である事などを以前伺った工業用光学硝子製造会社の取材時に聞き知っています。
さらにもっと言うなら例えば貼り合わせレンズで接着されている光学硝子レンズを剥がして再接着したい時にネット上で紹介されている「温度差を利用したバルサム剤剥離方法」に於いてその作業時にミスると光学硝子レンズを割ってしまう/破壊してしまう事例がある事も同時に紹介されています。この手法が言う処の環境とは冷凍庫の冷凍温度帯と煮沸した時の温度差を利用した「凡そ120度の温度差」によるバルサム剤の剥離を指します。これは一般的な冷凍庫内温度がマイナス20°C〜水の煮沸時100°Cを指しますが、実はたかが120度の温度差くらいで「光学系内に実装されている光学硝子材は破壊しない」ことをここに明示しておきます (これは当方の経験値に合わせて以前の取材時にご教授頂いた内容からの現在の結論です)。
具体的な光学硝子レンズの破壊温度などは精製時の成分/資料 (ここで言う資料とは配合する光学硝子材の成分などを指す) などの配合により異なるので実数値をご紹介できませんが、少なくともここまでにご案内した気温の温度帯や気温差、或いは前述作業時の温度差程度では全く破壊環境に至りません(笑)
それではどうしてバルサム剤剥離作業時にたかが120度の温度差だけで光学硝子レンズが破壊する事例が起きるのか???・・それは至極真っ当で自然な疑問だと思いますが着眼点がそもそも間違っています。
・・オールドレンズ内実装光学硝子レンズ破壊環境の要素の一つは「気圧」です。
ここに「温度」をあてがいたくなるのが人情なので理解できなくもありませんが、前述のように真夏日のダッシュボード上で80°C、或いは真冬のマイナス41°C計測値とすればそのような環境下で室内に入った時の温度差はせいぜい80°C→20°C (エアコンで冷却時の室温目安)、或いはマイナス41°C→15°C (真冬の全国平均室温/暖房時) にしてもその温度差は56°C〜100°Cであり (但しあくまでも単純計算) バルサム剤剥離作業時の120°Cとそれほど大きな差がありません。
つまりバルサム剤剥離作業時に一部で光学硝子レンズの破壊事例が起きるのは「温度」ではない事を理解するべきです (ヤッている作業自体が温度差を利用しているので温度だと思いがちなのは理解できる)。冷凍庫から煮沸へとその120度の温度差が起きる時に煮沸で急激に温度上昇している事を当てはめる人も居ますが、残念ながらオールドレンズ内に実装されている光学硝子レンズの硝子材の熱伝導率などの想定温度の伝導条件はもっとさらに高い温度帯/温度差です。
そうではなくて煮沸により急激に温度上昇した時に「バルサム剤の剥離は一定値で全域に起きない」事をちゃんと勘案すべきです。何故なら今まで解説してきたようにオールドレンズ内実装光学硝子レンズ自体の熱伝導率が低いので (熱による影響を受ける温度帯はもっとさらに高温)、バルサム剤は中心に向かうほど、或いは光学硝子レンズに厚みがあるほどこの時バルサム剤と光学硝子レンズとの境界面には界面原理も生じているので必然的に引張力も発生し変化しています。するとその一方で2枚の光学硝子レンズはそれら温度の影響を受けても光学硝子材自体の熱伝導条件がもっと高温時の話なのでそれで破壊しないワケです(笑)
・・ではどうして光学硝子レンズが割れたのか???
詰まるところバルサム剤の成分や種類がバラバラなので一概に想定できませんが (そもそも光学硝子レンズ面の接着剤として適していないレジン液なども現在は多用されているから)、例えそうだとしてもそれらバルサム剤の引張力で発生する「境界面の急激な気圧差」に光学硝子レンズの一部分が耐えられないのは容易に考えられます (前述の過去取材時の知見を具体的な実数値を挙げて述べられないので推測で想定できないよう故意にコトバを濁して解説しています)。むしろバルサム剤のほうが気温や温度、或いは温度差に弱いのは十分理解できる話です。例えば昔/当時によく使われていたカナダバルサム剤などはモノにも拠りますが保管時の引火点:38°C〜50°C辺りなので取り扱いに注意を要します。融点は凡そ95°C前後なので前述の120度の温度差で十分剥離が適うハズです (但し別の薬剤だとまた話が違う)。
つまり光学硝子レンズの光学硝子材組成時の耐性/耐用年数などまで勘案するなら、当然ながら経年劣化進行と共にそれら気圧変化に対応できる能力も変化している事が十分考えられるので「気圧」が影響しているとご案内しているのです。
取材時の約束事で具体的な数値や環境などの説明ができませんが、いずれにしても今までに現実的な温度や温度差などが全く影響していない環境下で「オールドレンズ実装光学硝子レンズが破壊した事例」を見て知っているので、ご教授頂いた「気圧」の問題が大きく影響しているのは十分当方には納得できているのです。
解説が長くなりましたが「ここでようやくこのモデルの光学系前群内第3群〜第4群格納環に顕在した貫通穴の意味が納得できた」と思います。逆に指摘するなら必要ない/意味のない貫通穴をワザワザ製産時に (敢えて) 工程を使って手間を掛けて作業する意味が理解できませんョね?(笑) しかも具体的にその貫通穴が備わる場所が場所で、ワザワザ一つ前の第1群〜第2群格納環が上から被さって塞がれるべき場所に用意されているとなれば、それは日本国土内に於ける気温の変化による金属材の伸縮で起きる「光学系前群内の気圧差調整用の貫通穴」とも考えられそうです。
・・伸縮しているのは金属材 (アルミ合金材/黄銅材で全く異なる) のほうなのだと言う話。
光学硝子レンズ自体がそれら黄銅製の格納環にモールド加工で組み込まれている以上、それら黄銅材の伸縮で気圧変化が起きるのが怖いワケですョ (温度の問題ではないのです)(笑)
↑そんな感じで鏡胴「前部」だけであ〜だこ〜だ騒ぎまくりでしたがオーバーホール工程を進めます(笑) このモデルのマウント規格が「L39」なので「距離計連動ヘリコイドを内包」した設計です。筐体外装がコンパクトなので必然的に「ダブルヘリコイドにできず然し空転ヘリコイドで維持できている設計」なのが道理に適います。
同様上の写真でもブルーの矢印の箇所で「平滑仕上げに近い平滑性の担保が必須」です。
↑実際に組み上げるとこんな感じに落ち着きますが「空転ヘリコイドが封入環でセットされる」ので、この空転部分は360度グルグルと回し続けられる設計です。
しかし残念な事に過去メンテナンス時に経年劣化の酸化/腐食/錆びを除去せずに「白色系グリース」を塗りまくりでごまかしのだて「空転ヘリコイドの一部が真円度を維持できていない/摩耗が起きている」と思しき結果で、極僅かなトルクムラが起きています。
この「空転ヘリコイド」だけを回した状態で何処からも抵抗/負荷/摩擦を受けていないのにトルクムラが起きるのは、まさに経年摩耗による真円度意地が適っていない話に尽きます(涙)
・・非常に残念です!(涙)
↑さらに指標値環や距離環ローな度迄組み込んだところを撮りました。「空転ヘリコイド」にたいして「直進キー」が介在する事で繰り出し/収納動作が実現される一石二鳥のダブルヘリコイド概念を実現してしまった設計です。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
↑赤色矢印で無限遠位置「∞」でツマミがロックされて停止状態なのを撮影しています。グリーンの矢印のとおり直進キーは一番下まで降りてきて、それ意地用格納しないところまで来ています (つまりだからこその無限遠位置)。
↑一方今度は距離環を回して最短撮影距離「1m」位置でカツンと突き当て停止したところを撮影しました。同様赤色矢印で最短撮影距離「1m」がピタリと合致して突き当て停止していますが、その時グリーンの矢印のとおり直進キーもガイドギリギリのところで停止します。
実際にK&F CONCEPT性マウントアダプタに組み込んで出品前に無限遠位置を実写チェックすると、オーバーホールする為に完全解体する前の時点と全く同一ですが「距離指標値の2目盛分手前で無限遠合焦する」ので相当なオーバーインフ量ですが、これ以上どうにもヘリコイドの位置を変更できません (単なるヘリコイドのネジ込み位置の問題ではなく現実はマウント部セットの微調整機能がちゃんと用意されている)。
その微調整機能を駆使してオーバーインフ量を減らそうと試しましたが、直進キーの両端で突き当て停止位置は決まってしまうので (そうしないと直進キーがガイドから外れてしまうから) どうにもなりません。
・・つまり当初バラす前の位置のままですが2目盛分のオーバーインフ量で少々多めです。
この後は完成している鏡胴「前部」をセットしてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。実は正直な話、今回扱った個体の「フィルター枠径 ⌀ 43mmの後期型」は5本目になります。今までの4本の中には1本だけオーバーホール/修理ご依頼分の個体が含まれますがこのブログに載せきれていません。
そして何と今までにオーバーホール済でヤフオク! する為に3本もその「後期型」個体を手に入れましたが、1本はバルサム切れでアウト(泣)、次の1本は内部の摩耗が激しくてトルクムラ改善が適わず諦めました。そして3本目の再びバルサム切れと前群側のコーティング層経年劣化に伴うクモリの発生で完璧にアウトと・・都合3本をムダにしています(涙)
・・それだけに今回の5本目の個体は相当な意気込みで手に入れた次第です。
それに見合う完成度に落ち着いたのでホッと一安心ですが、願わくば距離環を回す時の極僅かなトルクムラさえ起きていなければ最高だったのです(涙)
・・ただただひたすらに残念です (過去メンテナンス時の整備者を恨みます)!!!(涙)
↑今まで手に入れた3本の個体でいずれもあれだけ光学系の状態が悪かったのが「まるでウソのようにスカッとクリア!」なのが信じられないレベルです(笑)
ご覧のように日本製ながらも光学系の光学硝子には「微細な気泡」が含まれるので、パッと見で「微細な塵/埃」に視認できますが拡大撮影すれば「気泡」なのが一目瞭然です。
◉ 気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「証」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
特に前玉の中心部辺りにシャワシャワとしたパッと見で繊維のようにも見える引っ掻きキズらしき痕が視認できますが当然ながら写真には全く影響しません (円形ボケにも写り込みません)。
↑後群側も「スカッとクリア!」で何しろ第5群が貼り合わせレンズなのでバルサム切れの進行も全く進んでおらず珍しい個体です。
「微細な気泡」はむしろこちらの後群側のほうが多めでパッと見で「微細な塵/埃」に見えますが気泡です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
この後群側も落とし込み格納方式で設計されていますが、前群側同様に「締め付け環などを過去メンテナンス時に反射防止黒色塗料で塗りまくっていた」ので全て溶剤で除去して本当に必要な箇所のみ着色しています (製産時点のメッキや焼付塗装なら溶剤で溶けて落ちないからそれだけでも判明する)。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:11点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな菌糸状カビ除去痕が数点あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大7mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に菌糸状カビ除去痕数点残っています)
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
・距離計連動ヘリコイドの位置は当初解体する前の位置で仕上げていますが凡そ2目盛分のオーバーインフ量です。
※神経質な人を考慮して瑕疵内容は少々誇張的にワザと表現しています(以下同様)。
※光学系内の点キズなどのカウント数はオーバーホール工程の中で個別に各群の光学硝子レンズ清掃時にカウントしている為、鏡筒に組み込み後の見え方はまた変わります/光学系構成により多少が変化します。
↑10枚の絞り羽根も真っ赤に赤サビが生じていましたがキレイに除去できています。本来の製産時点「カーボン仕上げ」は既にほとんど経年で除去されています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十角形の円形絞りを維持」しながら閉じていきます。当然ながら前述のとおり「本来の適切な仕様諸元に合致した絞り羽根開閉幅に微調整済」です。
なお絞り環はクリック感を伴いますが各絞り羽根が互いに重なり始める「f8〜f22」辺りの回転が僅かに重めに変化しますが、これも絞りユニットの固定位置が製産時点で既に決まっているのが判明したので改善不可能です。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
(一部に極僅かな抵抗を感じる箇所がありますが真円度を検査する機械設備が無くこれ以上改善はできません)
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『CHIYOKO SUPER ROKKOR 5cm/f2 C《後期型》(L39)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
❹ 純正金属製フード (中古品)
❺ 純正金属製ステップアップリング (f2用:中古品)
❻ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
❻のスナップ式前キャップは上の写真では中古品ですが、時間が間に合わず新品が届く前でしたので代用で撮影しています。ご落札時のお届け品は別の新品前キャップが附属します。
これだけの附属品が揃うのも珍しいですが、そもそも光学系が「スカッとクリア!」なのも当方にとり大変貴重でした (今までに3本の個体で痛い目を見ている)(涙)
その意味でも「空転ヘリコイド」の極僅かなトルクムラが何とも許せませんね・・!(怒) それさえ無ければ本当に完璧な個体だったのです。
↑手元のK&F CONCEPT製L39 → SONY Eマウントアダプタにネジ込むとこんな感じで装着できます。グリーンの矢印で指し示している箇所がマウントアダプタの真上位置になりますが、この個体をネジ込むと赤色矢印の位置が中心です。
極僅かに真上からズレていますがこれを改善はできませんし、そもそも無限遠位置のオーバーインフ量も2目盛分あるのでなかなか厳しいところです (オーバーインフ量は当初バラす前の状況と何ら変わりありませんし改善不可能です)。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
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冒頭に《事後談》を掲載しましたが、その検証についてここから解説していきます。ご迷惑をお掛けし大変申し訳御座いません!!!
↑今現在ご落札頂きましたオールドレンズは既にご落札者様の手元に届いている為、不都合が発生した検証を行うにしても「同じモデルのオールドレンズが当方に存在しない」と言う状況です・・申し訳御座いません!
しかしマウント規格が「L39マウント規格」なので、同じマウント規格品のオールドレンズが手元にあればそれを使って代用になりますが検証が適います。
慌てて探したところ何とジャンク品のロシアンレンズ「LZOS製JUPITER-9 85mm/f2 (L39)」の鏡胴「後部」しかありませんでした!(汗)
・・申し訳御座いません!!!
しかし「L39マウント規格の検証」として代用するにはこれで十分だと考えられますので、これを使ってここから検証していきたいと思います。
↑上の写真は代用品を寝かせて「実際のL39マウント面」が見えるように撮影しました。ご覧のようなライカ判ネジ込み式スクリューマウントになります。一応このジャンク品も「L39マウント規格」の個体なので、これで代用が適うハズです。
↑検証するのは上の写真に並べた❶〜❹までのマウントアダプタと変換リングです。
❶ K&F CONCEPT製LM→SONY Eマウントアダプタ
❷ RAYQUAL製LM→SONY Eマウントアダプタ
❸ NEWYi製LM変換リング「35-135用」(中国製)
❹ NEWYi製LM変換リング「50-75用」(中国製)
・・これら4点について順次セットアップして検証致します。
↑中国製のLM変換リングは真正面から見るとこんな感じです。それぞれ装着するライカ判L39マウントのオールドレンズで焦点距離別に装着するよう用意されています。❸ が焦点距離:35mm〜135mm用で、❹ が焦点距離:50mm〜75mm用なのが分かります。また合わせて赤色矢印で指し示した箇所が半円状に切削されていて「そこがオールドレンズ側マウント直近の指標値基準「▲」マーカーに合致する」事を意味しています。
ご存知ない方の為にご案内すると、この変換リングは「ライカ判ネジ込み式スクリューマウント」たる「L39マウント規格」を「ライカ判バヨネットマウント規格」の「LMマウント規格」にそれぞれの焦点距離別で変換する為の「変換リング」と言う話になります。
↑まずは代用品「L39マウント規格」に❸ LM変換リング (35-135用) をネジ込んだところです。ネジ込みの際に赤色矢印の切り欠き箇所を合わせてネジ込んでいくと最後までネジ込まれて停止した時「同じようにオールドレンズ側マウント直前の指標値基準「▲」マーカーに合致する」のが分かります (実際はテキト〜にネジ込んでも必ず上の写真の位置でネジ込みが停止するようになっている設計です/L39マウント規格のネジ山ネジ込み位置 (スタート位置) が1箇所しか存在しない設計なので、どのようにネジ込んでも必ず同じ位置からネジ込む事になり最後まで必ずネジ込めるから)。
またその「LMマウント側には斜め状の切り欠きがある」のをオレンジ色矢印で指し示していますが、ここにカメラマウント側の「距離計連動機構 (のコロ/転輪) が入って当たる」仕組みです。一方グリーンの矢印で指し示した箇所に着色されている赤色リリースマーカーが「LMマウントを装着する際の位置決めを合わせる目的のリリースマーカー」で「LMマウントアダプタのツマミ位置にある同じ赤色着色 (リリースマーカー) を合わせて装着する」イメージの装着手順になります。
↑同様に今度は❹ 変換リング (50-75用) をネジ込んだところです。同じように赤色矢印の切り欠きがちゃんとオールドレンズ側マウント直前の指標値真上に合致しており、且つオレンジ色矢印の「距離計連動切り欠き部分」も合致しています。当然ながらグリーンの矢印のリリースマーカーも同じ位置です。
↑❸ 変換リング (35-135用) に❶ K&F CONCEPT製LM→SONY Eマウントアダプタを装着したところを撮影しました。それぞれの赤色矢印とグリーンの矢印が合致しており、且つ「LMマウントアダプタを装着する時に反時計方向に締め込んでカチンと言う音が聞こえてマウントアダプタが装着完了する」その噛み合う位置が「ブルーの矢印で指し示したツマミの赤色リリースマーカー」と言う話です。
↑今度は❸ 変換リング (35-135用) はそのままに❷ RAYQUAL製LM→SONY Eマウントアダプタを装着したところです。それぞれの赤色矢印とグリーンの矢印が合致し、且つ「LMマウントアダプタを装着する時に反時計方向に締め込んでカチンと言う音が聞こえてマウントアダプタが装着完了する」その噛み合う位置が「ブルーの矢印で指し示したツマミの赤色リリースマーカー」と言う話まで全く同じです。
↑同じ要領で今度は❹ 変換リング (50-75用) に装着したところです。❶ K&F CONCEPT製マウントアダプタがちゃんとセットできています。
↑こちらも正常に装着完了なのが分かりますが❹ 変換リング (50-75用) に今度は❷ RAYQUAL製マウントアダプタをセットしたところです。
どの検証状態でも「基準「▲」マーカーとの合致 (赤色矢印)」に「距離計連動切り欠きの合致 (オレンジ色矢印)」合わせて「リリースマーカー位置 (グリーンの矢印)」と「LMマウントアダプタのツマミとの合致 (ブルーの矢印)」などなど・・凡そ想定しうる検証が適ったと考えられます。
つまり「本当にライカ判ネジ込み式マウント規格たるL39マウント規格なら結果的にLM変換リング (と焦点距離別) を合致させて装着すればちゃんとLMマウントアダプタにセットアップできる/当然ながら指標値が互いに真上位置で合致している」のが当たり前の話であり、どうにもこうにも変わり得ない「正常な状態」と考えられます。
特に「距離計連動の転輪 (コロ)」がライカ判カメラボディのマウント側真上位置に存在する以上、この合致する位置がズレてしまったり今回の不都合のように「真逆に位置してしまう」など起きて良いハズがあり得ません!!!
・・本当に申し訳御座いません!!!!!
↑ちなみにこちらの写真は試しに代用品たる「L39マウント規格」が当方手持ちの「L39→SONY Eマウントアダプタ (K&F CONCEPT製)」に装着できる事の「証拠」として撮影した写真です。赤色矢印でそれぞれ指し示しているように、今回お届けしたオールドレンズ同様「互いの指標値位置が凡そ2目盛分ほどズレている」のが分かります。
これらの検証から「L39マウントアダプタ規格なら変換リング経由LMマウントアダプタにすんなり装着できるのが当然!!!」の話であり、どうにも曲がらない事実なのだと思います。
・・ではどうして指標値位置が真逆になってしまうのか???
なのですが、大変申し訳御座いません。どうしてなのか当方にも分かりません。
とにかく・・そのままご落札頂きましたオールドレンズを当方宛「クロネコヤマト宅急便送料着払い」にてお送り下さいませ。今一度解体して調べさせて頂き、必ずや正常状態に改善させたいと思います。
ご面倒お掛けする事になってしまい本当に申し訳御座いません!!! お詫び申し上げます。
なお、一般的には「L39マウント規格に変換リング経由でLMマウントアダプタ装着」は至極当然に適う話なので、このブログを今ご覧頂いている皆様も『当方の技術スキルレベルとはこんなにも低いのか?!』と重々ご承知おき下さいませ。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
・・もはや恥ずかしさのあまり逃げ込むべき先の「穴」すらありません!(恥)
と言うか、そもそもオーバーホール済でヤフオク! 出品する際に「LM→SONY Eマウントアダプタ」に装着して確認しておけば良いと「まさに安直に考えてちゃんとLMマウントアダプタでも検証しチェックしていないのが悪い!!!」と言う話なのです。
『技術スキルがあまりにも低すぎる!!!』にプラスして「普段言いたい放題で偉そうな事を言っていて実の処ご落札者様の事をちゃんと真摯な気持ちで考えていないのが顕わになった」
・・という始末です(恥)
↑上の写真はさっそくご落札者様よりご落札頂いた個体を返送頂き (大変お手数お掛けし本当に申し訳御座いませんでした!) マウント部/L39スクリューマウント環のセット位置をミスっていたのを正してから組み上げてから、確認の意味でご落札者様所有「LM変換リング (50-75用)」をネジ込んだ状態を撮影しました。
このようになるのが正しいのです・・恥ずかしい(恥)
↑念のため当方所有RAYQUAL製LM→SONY Eマウントアダプタに一つ前の状態で装着した写真です。ちゃんと指標値が真上位置に来るようになり、且つマウントアダプタ側のロックツマミも適切な位置に来ました・・これが正常なのです。
要はちゃんと「LM変換リング」の取付確認と共にマウントアダプタへの装着テストまで実施しなかった当方のミスであり、落ち度なのです。申し訳御座いませんでした・・(涙)
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↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。また附属のフードを装着して撮影しています。
↑絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」で撮影していますが、ご覧のように突然ピント面の鋭さが別モノレベルに向上します。
↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。驚異的なピント面に上がっています(驚)
↑f値「f8」です。意外にもこのモデルでは「回折現象」の影響がここで現れ始めているのがピント面の鋭さを観ただけでも分かってしまいます(驚)
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
↑f値「f11」での撮影です。本格的に「回折現象」の影響が現れ始めて解像度低下が起きています。
↑f値「f16」での撮影です。ピント面が甘い印象に変わってきましたし「焦点移動」も起きていますが画全体的な印象はまだまだ向上し続けている印象です。