〓 CARL ZEISS JENA DDR (カールツァイス・イエナ) MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なおオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
CARL ZEISS JENA DDR製準広角レンズ・・・・、
MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で、当時のCARL ZEISS JENA DDR製準広角レンズ「FLEKTOGON 35mm/f2.4」の括りで捉えると累計で230本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると92本目です。

これらの本数をみると今までに扱った数が多いワケですが、そのほとんどがオーバーホール/修理ご依頼分で、つい数年前まではほぼ毎月のように必ずこのモデルのオーバーホール/修理ご依頼分を作業してました。今現在は一般の方々からのオーバーホール/修理ご依頼の受付をやめてしまったのでこのモデルの作業は極端に減りましたね・・おかげさまで平和な日々を過ごせています(笑)

しかしそうは言っても市場流通品、特にヤフオク! などを観ていると相も変わらずトラブルを抱えた個体が数多く流通しているばかりか、下手すると如何にも問題が無いような謳い文句で流れていたりするので、このモデルのトラブルについて知識を得ていない方々はそのまま手に入れてしまう事があるようです。その関係で実の処いまだに当方宛直してもらえないかとの問い合わせメールが着信しますが、このモデルに関しては全てご辞退しています。

そもそも数年前まで普通にオーバーホール/修理を承っていたのに突然やめてしまった理由は「このモデルのトラブル修復の難度が高いのに、ご依頼者様の期待値まで一緒に高くなって依頼してくるので、ちゃんと問題点が全て改善されずに手元に戻ってくると、中にはクレームする人が居る」からです(涙)

当方の技術スキルが低すぎるとクレームされる方も居ますが、そもそも技術スキルレベルの話ではない問題を抱えている個体の場合は、おそらく誰がやっても改善できません。そのへんのお話を少しだけ解説してみたいと思いますが、決して本人は責任逃れで言い訳をまくし立てているつもりではないので、そのような誹謗中傷メールはご勘弁下さいませ・・と言ってもここぞとばかりに集中攻撃してくる人が毎回1〜2名いらっしゃるので覚悟の上ですが、皆さんが少しでもトラブルを抱えた個体を手に入れてガッカリしないよう解説をしてみます。

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このモデルの時代背景やウンチクなどは以前取りあげて解説したページMC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』などが参考になると思いますから、興味がある方はご参照下さいませ。

今回はそのような解説は省いて、ダイレクトにこのモデルが抱える幾つかの問題点/トラブルについてイキナシ説明していきます。

絞り羽根開閉異常がとても多い

↑上の写真は解説用に用意したこのモデルの絞り羽根が閉じている状態の写真です。最小絞り値「f22」まで閉じている状態を撮影していますが、左側2枚はネット上から引用したヤフオクに出ていた個体からの写真です。一方右側2枚は当方が出品した個体からの転載です。

左側2枚は同じ大きさで撮影しているようなので比較ができますが、右側2枚の当方の写真はその都度撮影する時の画角がバラバラなので単なる目安にしかなりません。

さて、この上の写真4枚で何を言いたいのかと言うと、最小絞り値「f22」の閉じ具合って、いったいどの大きさなのでしょうか?(笑)

ちなみに右側2枚の当方出品個体からの転載写真は、その都度撮影する時の画角/大きさがマチマチですが、そもそも簡易検査具を使って絞り値との整合性を執りつつオーバーホール工程を経ているので、ちゃんと「f22」の閉じ具合に微調整が終わっている閉じ具合です。

一方左側2枚はたまたま同じ画角/大きさで撮影されているので最小絞り値「f22」の時の絞り羽根の閉じ具合が異なるのが分かってしまいます。

実際のところ、市場流通品を観ていると左から2枚目の「閉じすぎているf22の状態」の個体が、そのタイミングで出品されている個体の中で凡そ半数ほどの割合で流通しているイメージが強いです (あくまでも当方の印象としてのイメージ)。

一番左端の閉じ具合は「ほぼ適正に近い閉じ具合」であり、当方の右側2枚とほぼ互角ではないかとみています。

では逆にどうして「閉じすぎていたり/広すぎたり」と同じ最小絞り値「f22」に絞り環がセットされているのに変わってしまうのでしょうか?

答えは・・ちゃんと微調整したのかしていないのかの違いだけです(笑)

逆に指摘するなら、これだけ数多くの同型モデル個体が国内でも流通しまくっているのに「どうして落札していく人達は最小絞り値の閉じ具合が個体別に違う事実を不思議に思わないのか」もっと言うならたった一つの個体を手に入れようとしている、或いは今までに手に入れた個体数が1〜2本程度の一般的なユーザー (普通はよほど気に入らない限り同じモデルを複数本所有しないから) はまだしも「数多くの個体を扱う当方と同業者たる転売屋/転売ヤーの類は、個体別の最小絞り値の閉じ具合が同じように集約できない状況について、どうして何処/誰も言及しないのか」と言いたいです。

例え「一言」だとしても(笑)、距離環や絞り環の操作性、或いは光学系やトルクの問題などは出品ページに記載するのに、どうして絞り羽根の最小絞り値の閉じ具合が「小さすぎる」とか「広すぎる」とか、少なくとも複数本の同型モデルを数多く扱ってきているハズなのに、どうしてそれを告知しないのか? どうしてそれを告知せずに「4万円以上の価格帯」で平然と出品し続けられるのか、その良心を疑います(笑) しかもそれでそのまま落札されていく始末で・・世の入札者と言うのはいったい何を見ているのかと問い正したくなります(笑)

では上の写真の左側2枚について指摘すると、実は同じ出品者が出していた個体の写真から転載しましたが、このようにバラバラの閉じ具合になるのだとすれば「それは微調整をいつもやっていない/たまたまその個体の閉じ具合がそうなっているだけ」と言う話になります。もしもちゃんと微調整をやっているなら、どう考えても左から2枚目の「閉じすぎたf22」の微調整はあり得ません。おそらくこの調整のままで写真撮影すると閉じすぎている為に入射光に「回折現象」が生じてしまい、ピント面の解像度やコントラストの低下が起きていると思います。「回折現象」についてはこのページ最後のオーバーホール完了後の実写確認の所で解説しています。

従って残念ながら左側2枚目の閉じすぎてしまっている個体の絞りユニット (の設定) は「各絞り値で絞り環絞り値との整合性が執れていない個体」と言う話に至り、特にf11〜f22では撮影する写真に影響が現れます (但し上の写真で一番左端はほぼ適正とみている)。

はたして4万円台のお金を払って手に入れた個体を使っていて、その絞り環を回して撮っている写真の絞り値との整合性が執れていない現実に疑念を抱かないのか (閉じすぎている個体はf11を越えると回折現象の影響が如実に現れているから)

それではそのような「閉じすぎている個体も微調整をやり直せば正しい絞り値に適合できるか?」と問われれば、それも残念ながら「個体別にバラして内部を確認しない限り一切確かな事は言えない」のがこのモデルのヤバい部分/要素です。

もっと言うなら、鏡胴マウント面直前のA/M切替スイッチを「」の手動絞りに切り替えて、絞り環を順に回していった時に「f8からf11そしてf16最後のf22」と「ちゃんと絞り羽根が動いて閉じていっているのか」確認したのかと問い正したいです。意外と最小絞り値までは確認していない人が多かったりします。するとチェックしてみたら「f16〜f22が動いていない」ので実は適正な閉じ具合なのではなく「単純にf16で停止していたから絞り環がf22に回っても閉じすぎていなかっただけ (f16から動かないからf22でも閉じすぎに見えていない)」なんて言う個体も数多く承ったオーバーホール/修理ご依頼分で見てきました(笑)

↑上の写真は当方が過去に出品した個体のオーバーホール工程からの抜粋した転載写真です。絞りユニットや光学系前後群が格納される「鏡筒」を下向きに置いて撮影しているので、前玉側方向が上の写真では下側になります。

すると鏡筒側面に「上カム/下カム」が写っています (赤色矢印)、これらの「上下カムは樹脂製パーツ」です。特に上カムのほうは相応に大きなスプリングで常に引っぱられている状況なのが一目瞭然です。このスプリングのチカラが常に及んでいるので「上カムは常に絞り羽根を閉じようとするチカラを与え続けている」意味合いで設計されています。

しかし「カム」なので開いたり閉じたりの動きをするパーツなのですが、外側に飛び出ている出っ張り部分が押されると/操作されるとこの「上カム」は広がるのでスプリングのチカラがあってもそれよりも「強いチカラで広がるから絞り羽根を閉じるのをやめる」と言う仕組みです。

一方この鏡筒の内部には既に「絞りユニット」が組み込まれている為 (グリーンの矢印)、6枚の絞り羽根も当然ながらセットされています。すると上の写真「下カム」にも内部に非常に細くて弱いチカラしか及ぼさないスプリングが附随していて「常に絞り羽根を開くチカラを及ぼしている」中で絞り羽根が開閉動作しています。

つまり「上下カム」に附随して「2つの別々のチカラを及ぼすスプリングが介在している」のがこのモデルの絞り羽根開閉動作を司る原理部分です。

↑さて、ここからいよいよ前述の「絞り羽根開閉異常が多い」要素についての解説の真髄に入ります。上の写真はその「上下カム」をさらに拡大撮影しました。すると互いのカムが連携しているものの「実は上下カムが互いに接触している箇所はグリーンの矢印の僅か1mm弱の部分」だけなのです。

しかも「下カムが動けるスペースも僅か1mm弱の隙間だけ (ブルーの矢印)」という状況の中でこれら上下カムが接触しつつ鏡筒内部の絞りユニットに組み込まれている6枚の絞り羽根の開閉角度を操作しています。

上カムに下カムが押されると絞り羽根は閉じていく」ワケですが、一方上の写真のように上カムが下カムを押していない時は「絞り羽根は開いている状態」ですから・・詰まるところこの上下カムの接触度合いが狂うと「最小絞り値は限りなく閉じすぎる状況に近づく」ので、必ずしも修理できるとは限らないのです。

何故なら、この上下カムは「樹脂製なので経年劣化の進行に伴い摩耗して削れている個体が多く、或いは変形している個体も多い」ので、一度削れてしまったパーツを元のカタチに再生する事は「不可能」ですョね?(笑)

するとどんなに技術スキルを有する整備者でも「摩耗した樹脂材を再生して直せる人は居ない」のでその個体の絞り羽根が閉じすぎてしまう不都合は改善不可能と言う話になります。

このようなパターンの時に、過去メンテナンス時の整備者が一番多く執る「ごまかしの整備」は「スプリングを短く切断して上カムの引っ張るチカラを強くする」と下カムを押すチカラが強まるので絞り羽根の閉じ具合が強く変わります・・この場合も下手すると最小絞り値「f22」が閉じすぎている個体の状況に繋がりませんか?(笑)

もしもそれが因果で閉じすぎているなら「上下カムは経年摩耗で削れていないのにスプリングが適正ではなくなっているからスプリングを交換するしか改善策がない」となります・・つまり代替スプリングを一生懸命探すしかありません(泣)

そんな事をやってせっかく用意した代替スプリングをセットしてみたら強すぎてしまったとか、まだまだ弱すぎるとか・・あ〜だこ〜だ時間をかけてやっている始末です(笑)

・・笑えますョね?(笑) 当方の姿なんですョ(笑)

でも、そのスプリングを短く切ってしまったのは当方ではありません。過去メンテナンス時の整備者の仕業です。それなのに代替スプリングを探しているのは当方であり、且つ下手すればちゃんと適合しないスプリングしか見つけられないかも知れません。すると改善できないままご依頼者様の手元に個体が戻ってクレームメールが着信すると言う話です(笑)・・気がつけば「無償扱い」になりタダ働きで終わってしまいます(笑)

・・如何ですか、笑えませんか?(笑)

このモデルも含め旧東ドイツののCARL ZEISS JENA DDR製オールドレンズの中で「黒色鏡胴モデル」に関してはたいていのモデルでこのような「樹脂製上下カムスプリングの組み合わせ」を多用しているので、似たようなトラブルは他の焦点距離でも数多く発生しています。

そんな事の為に気がつけばさんざんクレームメールが着信して「タダ働き」なんて言うのはもう飽き飽きなので、オーバーホール/修理ご依頼を受け付けなくなりました・・(笑)

鏡胴の前後で容易にニコイチできてしまう設計

↑上の写真も当方が過去にオーバーホール済でヤフオク! 出品した時の写真から転載しています。旧東ドイツのCARL ZEISS JENA DDR製黒色鏡胴モデルは多くのモデルでご覧のように「鏡胴が前後で二分割の設計」です。例えば「鏡胴前部」がまともに使えるのに「鏡胴後部」がトラブっているなら「鏡胴後部をニコイチ」すればトラブルを回避できるかも知れません。そういう整備をヤッている整備者がいるのも既に知っています (意外と大手の整備会社です)(笑)

鏡胴後部」には絞り環やマウント部が備わるので、例えば上の写真で絞り環の上から顔を覗かせている何かの出っ張りパーツも「やはり全て樹脂製」なので、経年で削れて摩耗してしまったり、下手すれば曲がっている場合もあります (樹脂材の経年劣化で変形する)。

特に前述の「上下カム」を操作する役目などはマウント面から飛び出ている「絞り連動ピンとの連係機構」なので、その連係パーツまで樹脂製ですから厄介極まりないです(笑)

他の焦点距離モデルでも基本的に全て「鏡胴は前後に分割方式」の設計ですから、やろうと思えばニコイチは簡単です(笑)

距離環も基台も少しでも変形していたらアウト

↑こちらの写真も過去の出品個体からの転載です。距離環やマウント部を組み付ける為の「基台」が右手前に並べられています。後には距離感を立てかけて内側が見えるように撮影しています。

距離感の縁部分と基台にグリーンの矢印で囲った領域が互いにネジ山でネジ込まれる先々です。それほど段数が多くない、どちらかと言うと短めのネジ山に基台と距離感がネジ込まれて合体します。

↑上の写真解説のようにブルーの矢印は基台のネジ山でネジ込まれる領域になり、一方グリーンの矢印の長いネジ山部分がヘリコイド (オス側) が行ったり来たりの「繰り出し/収納する範囲」です。

・・何を言いたいのか???

もしもこの個体が過去に「落下」でぶつけていたらどうなるでしょうか? 例えば基台をよ〜く観察したら「1箇所打痕があった」場合、その結果何が起きますか?

答えは・・距離環を回す時の「トルクムラ」です。何故なら基台の内側にネジ山が用意されていて、そのネジ山を距離環の縁のネジ山がネジ込まれて合体しているからです。そのネジ山の一部が過去の打痕で変形しているなら、当然ながらその箇所でトルクが重くなったりしませんか?

その一方で、例えば「過去に距離環が押されたりした事がある (圧が加えられたという意味)」或いは「落下させてぶつけてしまい打痕キズが残っている」場合はどうなりますか?

同じ話ですョね? やはり長い距離をヘリコイド (オス側) が行ったり来たり「鏡筒の繰り出し/収納をする」のがヘリコイドのオスメスですから、そのネジ山の場所が「過去の落下で真円を維持できていなかったらトルクムラが起きるのは至極当然な話」です。しかしその真円ではなくなってしまったこれら距離環や基台をどうやって元の真円状態に戻せば良いのですか?

皆さんは何十年も前のオールドレンズなのだから「多少のキズや打痕は仕方ないし気にしていない」と言いながらオーバーホール/修理をご依頼なさいますが、はたしてそれが理由でトルクムラが直せませんでしたと言われつつそこだけ改善されないまま戻ってきたら・・どう思いますか?(笑)

そんなキズだらけのオールドレンズなんてザラにゴロゴロしているのに、直せないの?!・・とクレームしてきます(笑)

どうして距離環の裏側にヘリコイドのメスのネジ山を備えた設計なのですか? 当然ながら少しでもぶつけたりして圧が加われば「真円を維持できなくなる」のは自明の理ではありませんか? そう言いたいところですが、それもどうせ「言い訳/責任逃れ」との返事が返ってくるのがオチですから(笑)、グッと我慢します(笑)

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以上このモデルで一番多い不具合/トラブルの因果関係を解説してきました。外からチェックして分かる/判明する「過去の打痕やキズ」に起因する場合もあれば、決して外からでは判明しない「絞り羽根の駆動機構の問題」もあったりします。

ヘリコイドはスムーズに動きます」とか「絞り羽根は正常です」とか・・それだけで良いのですか?(怖)

ヤフオク! を観ているとポンポンと3万円以上の価格帯で落札されていきますが、当方などは気が弱いので (小心者なので) とても怖くて手を出せません(笑)

直せる不都合やトラブルならどんだけあっても気になりませんが、樹脂製パーツなどは当然ながら摩耗して削れているのはどうにもなりませんし、真円を維持していない距離環もどうやってトルクムラを直せば良いのでしょうか・・と尋ねたところで誰も教えてくれませんから(笑)、仕方ないので樹脂製パーツにしても真円の問題にしても自分で編み出して改善できる算段を身につけました(泣)

そんな葛藤の中でオーバーホール/修理ご依頼分をヤッていると、こういう厄介なモデルには関わりたくない気持ちが大きくなり、ついにオーバーホール/修理の受け付けをやめてしまった次第です。

従って累計本数がこの数年1年間で微々たる数しか増えなくなりました・・幸せな時間を過ごしています(笑)

今回は久しぶりに覚悟を決めて調達し、覚悟を決めたものの真円を維持していなかったり下カムがあやふやだったりといろいろありましたが、編み出した改善策を講じて無事に正常駆動に戻しました。

従って距離環を回すトルク感は当方が仕上げる数多くのオールドレンズの範疇で触ると「ちょっとヌメヌメ感足りないかな?」と多少なりとも消化不良な感じですが、何しろ距離環の裏側がヘリコイドのメスなので仕方ありません(泣) その代わり絞り羽根の駆動は気持ち良く改善され、且つマウント面から飛び出ている絞り連動ピンとの連係動作も頗る「チョ〜気持ちいい!」です(笑)

・・前回扱いをやめると宣言しましたが失念して調達してしまったので出品します(笑)

どうかご検討下さいませ。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はMC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。前回当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品すると、どう言うわけかこのモデルだけは人気がないので扱いをやめると宣言してしまったのにもかかわらず、今回の調達でスッカリ失念していて手に入れてしまいました(笑) 仕方ないので仕上げて出品しますが、次回は調達しないようにしなければ・・(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。唯一指摘するとすれば「前玉外周に1点、目立つ気泡が残っている」くらいで、気泡はこの1点の他にとても微罪なモノが数点残っていますが、おそらくは「微細な塵/」にしか見えないと思います。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

この個体の製産時期としては製造番号から「当時1980年代に製造番号がMAX値に到達してしまい一旦リセットされる」直前の出荷個体ではないかとみています。もしもリセット後ならばレンズ銘板に刻印されている製造番号は再び4景の数値に戻っています。

↑光学系後群側もこのモデルにしては相当な勢いで「スカッとクリア」な部類に入り、おそらく今までに手掛けた個体の中でも上位格ではないかとみています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:9点、目立つ点キズ:5点
後群内:17点、目立つ点キズ:12点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大3mm長複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません。特に前玉外周の大きめの気泡が目立ちます。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。もちろん簡易検査具で各絞り値での「絞り幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量)」整合性を確認し微調整済です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。距離感を回していると時々僅かな抵抗/負荷を感じる事がありますが塗布したヘリコイドグリースの影響なので回しているうちに改善します。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

ヤフオク! での流通価格帯をチェックすると、当方と同じ同業者たる特定の『転売屋/転売ヤー』の出品個体だけが4万円超えで落札されています(驚) はたしてこのモデルにそんな価格を付けても流通し続けているのかとオドロキしかありませんが(笑)、当方での出品は全て「オーバーホール済」なので、その価格帯に対抗姿勢目一杯で今回出品します(笑)

もちろんその同業者たる『転売屋/転売ヤー』の4万円超え流通個体のように「閉じすぎている最小絞り値f22」ではないので (ちゃんと微調整済なので) そのくらいの価値はあるのかなとの判断ですが、如何せんいつものようにおそらくは人気薄でしょうから (どう言うワケか当方が出品するこのモデルは毎回人気が無い)、扱い自体は今回を最後にするつもりです (次回失念して調達しないようにしなければ)(笑)

・・もしもお探しの方がいらしたら是非ともご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離20cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。但し絞り環に「2.8」刻印が無いので、開放f値「f2.4f4」の間だけが「3段切替のクリック感」なので、最初のクリック感の位置が「f2.8」と言うことになります。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑もうだいぶ絞り羽根が閉じてきていますが「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。ピント面にはギリギリ「回折現象」の影響が現れていないかなと言った印象です。このモデルの圧倒的多数は最小絞り値「f22」でも「回折現象」の影響が現れにくいので、その個体の実測絞り値を調べると「f22前後」ですから適切なのだと分かります。もちろん今回の出品個体は事前にオーバーホール工程の中でちゃんと検査済/微調整済です。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。