◆ ZOMZ (ザゴルスキ光学機械工場) ЮПИТЕР-3 (JUPITER-3) 50mm/f1.5(L39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、ソ連製
標準レンズ・・・・、
ZOMZ製ЮПИТЕР-3 (JUPITER-3) 50mm/f1.5 (L39)』です。


ロシアンレンズ「JUPITER-3シリーズ」の括りとして捉えた場合累計扱い本数は今回の個体が23本目にあたりますが、その中でこのZOMZ製 (ザゴルスキ光学機械工場製) モデルの扱い数だけでカウントすると僅か6本目です。先月に1955年製のKMZ品を1本オーバーホール済で ヤフオク! 出品しましたが (即決価格39,500円)、その後オーバーホール/修理ご依頼分として1本仕上げた後のオーバーホール済ヤフオク! 出品にあたります。従ってこのモデルの当時の 時代背景やオーバーホール工程の詳細など興味がある方は、以下リンクより先月の出品個体のページをご参照下さいませ。

当方では『ロシアンレンズ』と呼称していますが、戦後当時のソ連 (ソビエト連邦) で造られていたオールドレンズの総称として呼んでいます。

この『JUPITER-3シリーズ』自体はもともとソ連で独自に開発設計 されたオールドレンズではなく、戦前ドイツのZeiss Ikonが1932年に発売したレンジファインダーカメラ「CONTAX I型」合わせて同時に 用意されたオプション交換レンズ群の中に存在していた標準レンズ「Sonnar 5cm/f1.5 T」を戦後に模倣した「まんまコピー」のプロトタイプから発展した系列の名称になります。

その「まんまコピー」した原型モデルの標準レンズは戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaから供給されていたのでカメラボディのZeiss Ikon製ではありません (左写真はCarl Zeiss Jena製Sonnar 5cm/f1.5)。

さらにそのマウント規格は、現在よく目にするようになったライカ判ネジ込み式マウント「L39マウント規格」とも違い「CONTAX初期型マウント」と呼ばれる独自バヨネットマウント方式の規格です。

第二次世界大戦終結時に連合国軍に参画していたソ連軍は、ドイツ敗戦時にCarl Zeiss Jenaの技術者や工場機械設備など、ありとあらゆるモノ (//図面) を接収し本国ソ連に引き揚げてしまいました。その経緯から、戦後の旧東西ドイツでそれぞれが独自に継承し発展を遂げた、戦前Carl Zeiss Jenaからの系統とは全く別に「第三国で独自進化していった戦前ドイツからの潮流」たるオールドレンズが『ロシアンレンズ』なのだと言う認識です。

つまり旧東ドイツで戦後建て直しを図り製産を再開した戦前ドイツから継承するCarl Zeiss Jenaと、さらにアメリカ軍によって接収された中心的な技術者や設計図面により旧西ドイツのOberkochen (オーバーコッヘン) で立ち上げたCarl Zeissの創設、そして当時のソ連で模倣からスタートした戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaを出発点とした独自進化を遂げた系統という・・「実に3つの系統樹で枝分かれしてその後の発展に進んだ」非常に奇異な背景を持つのが『JUPITER-3シリーズ』とも言えます (他のモデルにも多数顕在)。

従って本家戦前ドイツのCarl Zeiss Jena製品の他、戦後旧東西ドイツでそれぞれ独自に進化していったモデル、プラスして旧ソ連で発展を遂げた全く別名称のモデルと「基となる光学系は一つでもその発展系の光学系は似て非なるモノ」と言う認識で捉えて、その描写性についても考察する必要があるから相当ややっこしい話なのです(笑)

さらにもっと言うなら、旧ソ連製のロシアンレンズは当然ながらロシア語であるキリル文字で命名されレンズ銘板に刻印されていったので「ラテン語圏/英語圏」での呼称とは別にその呼び名が広まったりしているので相当複雑な状況に至っています。

例えば今回のオーバーホール済でヤフオク! 出品する個体のレンズ銘板には「ЮПИТЕР-3」とロシア語キリル文字で刻印されています。これをそのまま直訳するとモデル銘の呼称は「ユピテル-3」と発音されるので『JUPITER-3シリーズ』と「ユピテル-3シリーズ」は同一品である事が分かります。

さらにここに当時の時代背景として製産国の自国内で流通する個体以外に海外向け輸出品として「西欧圏に輸出したのか東欧圏に輸出したのか」が関わってきます。つまり輸出品オールドレンズはレンズ銘板の刻印が西欧圏と東欧圏で違うワケです(笑)

これは当時の国際貿易管理法が「ラテン語/英語表記の義務づけ」を採っていた為、輸出指向先の国が西欧圏なのか東欧圏なのかが輸出入時の通関処理で問題になったワケです。すると前述のラテン語/英語表記なのか、相変わらずのロシア語/キリル文字なのかの違いがレンズ銘板に顕在してしまったワケですね(笑) もちろんさらにマウント規格の相違も加味して考えないとおいそれと手に入れられませんから (カメラボディに装着できない)、その辺がオールドレンズをより難しくしている一因とも言えます。

これだけでも相当難解で複雑な系統に陥っているのに、さらに悪いことに旧ソ連も現在のロシアも社会主義体制国家なので、企業に私企業の概念がなくソ連/ロシアでは全ての企業や組織が「国営企業/国営組織」とみなされます。一方戦後に占領統治していた旧東ドイツも当時のソ連方式の国家体制を採ったので、必然的に社会主義体制の国家で全ての企業と組織が「人民所有企業 (VEB)」として管理されました。同じ社会主義体制国家でも中国は共産党一党による独裁体制で同じく全ての企業と組織が「人民公社」の認識です。

ところが旧ソ連と旧東ドイツは産業工業を「5カ年計画で国が直接に管理しつつも各組織体に権限移譲」する体制を採った為に、何から何まで共産党が逐一管理する中国の「人民公社」とはそもそも概念が全く別モノです (但し現在とは異なる)。

従ってネット上で氾濫している何もかも「人民公社」と記載して、旧ソ連や旧東ドイツの企業/組織体を指した説明には、当方は自分で各専門分野の先生 (研究者) の論文を読み漁ったので、同一とはみなしていません。つまり解説する国に従い「国営企業/人民所有企業/人民公社」と3種類のこの当時の解説には使い分けるべきと考えています

するとロシアンレンズに関し「様々な工場で並行製産により増産コントロールしていた」のがそもそもの「産業工業5カ年計画」の基本的概念なので、必然的に当時旧東ドイツでも様々な産業分野で採り入れられていた概念です。つまり旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaは戦前ドイツの企業名称と同じながら「合併吸収していった企業体の工場に並行製産させていた」と言う事実も論文を読んで把握しました。

例えばシルバー鏡胴〜ゼブラ柄鏡胴時代の様々なオールドレンズのモデルをバラしていくと、製造番号の若い/古いのシリアル値にそぐわない「別設計の個体が同一モデル内に顕在している
/混在している」のを確認できています。この事象をもしも仮に一つの工場で製産していたと言い張るなら「1カ月間に何度も製産ラインを入れ替えて別設計/別のカタチをした構成パーツで同一モデルを製産出荷していた」事になります。

つまり外見上はパッと見で大きな相違が分からない同一モデルながら「バラして完全解体すると全く異なるカタチの構成パーツと構造が顕在する」ワケであり、内部構造が違うと言う事は「必然的に各部位の動き方まで異なる」のに外面は同じに見える (現実はビミョ〜に外見上にも相違点がある) のです。

製造番号をシリアル値で捉えた時 (並べた時)、そのような相違点が任意の製造番号の前後で頻繁に現れるとなると、どう考えても非効率的です。従ってそれら先生 (研究者) 方の論文に記載されている内容 (別工場に並行製産させていた) は至極説得力を持っていました。

話が長くなりましたが、当時旧ソ連ではオールドレンズに於いて製産工場を表すロゴマークをレンズ銘板に刻印管理していたので、当初の州立GOI光学研究所で設計された「まんまコピー」の「Sonnar 5cm/f1.5モドキ (Zorki ZKモデルと呼称)」は、その後の量産化でKMZ向け光学系の開発が行われて製産され続けました。

この時点でモデル名称は「JUPITER-3」に変わっているので「まんまコピー」とは別モノなのが分かります (実際過去の検証でZKモデルとの光学系の相違を確認済)。

そして敗戦時に接収した戦前ドイツのCarl Zeiss Jena時代から使い続けられていた光学硝子資材が潰えてしまうと「ロシア産の硝子材での光学設計」の必要性に迫られ、ついに1956年にはKMZでの製産を打ち切り「ZOMZ (ザゴルスキ光学機械工場)」に製産の全てを移譲してしまいます。さらに1975年にはVALDAI工場でも製産がスタートしています。

このように捉えていくと、3群7枚の特異なゾナー型光学系の構成は同一でも、製産工場の別で個別にビミョ〜に光学系の設計が異なるのも納得できてしまいますね(笑)

右構成図は今回の個体をバラして完全解体した後に、光学系の清掃時に各群を当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした構成図になります。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「ЮПИТЕР-3 (JUPITER-3) 5cm/f1.5 《1955年製》(L39)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今回オーバーホール済でヤフオク! に出品する個体は、確かに冒頭解説のとおり当時の旧ソ連ZOMZ (ザゴルスキ光学機械工場) 製なのですが、レンズ銘板がロシア語/キリル文字「ЮПИТЕР-3」です。さらに製造番号から1967年製産個体なのですが、年明けのいの一番の製産ラインに載って出荷された個体なのが分かっています (同一モデルでも後には製造番号シリア値が右側方向に1桁ずつ増えていく独特な付番方式)。

つまり僅か100本以内の製造番号シリアル値なので1967年年明け早々に製産出荷された個体と推定できます。そしてもう一つ今回の個体に独特な痕跡がありました。

当初バラす前の実写時点でピント面の鋭さに足りなさを感じましたがほんの僅かです。ところがバラしていくと案の定「反射防止塗料の着色」が光学系の硝子レンズ「締付環」或いは格納筒の内側などに過去何回かのメンテナンス時で「厚塗り状態」でした。

その何度も塗られてしまった反射防止塗料 (黒色) の厚み分が結果的に本来あるべき適正な光路長を逸脱してしまい「極僅かに甘いピント面」の因果関係となっていたようです。

そのような症状はオールドレンズをバラしていくと頻繁に出てくるので特に珍しい話でもありません。そこで溶剤を使って反射防止塗料を溶かして剥がしていくと、下から製産時点のアルミ合金材にメッキを被せた色合いが現れます。

ところが今回の個体は何と「オリーブ色」の下地が出てきたのです!(驚)

実は過去に一度だけ同じ色を目にしたことがありました。その時のモデルは「JUPITER-9 85mm/f2」と言う中望遠レンズでしたが、やはり鏡胴全体が「オリーブ色」でした。そしてその時の個体は「旧ソ連軍で使っていた弾着測距スコープ」に転用されていた個体だったのです (軍用備品に民生品の中望遠レンズをネジ込んで転用する方法)。

そして今回の個体の鏡筒を全て磨いていくと「艶消しブラックの下からオリーブ色が現れた」ワケですが、そのオリーブ色も着色で最終的に現れた下地は「濃いグリーン色のブラック」だったのです。

そこで考えたのは、今回の個体はもともと民生向けだった個体を軍用に転用し (オリーブ色に着色)、さらに旧ソ連崩壊後に今度は再び民生品市場に「ミリタリー製品」として流れて取引された後、再び艶消しブラックに着色されて流通していた個体なのが窺えます(笑)

おそらく製産時点では民生向け商品の国内流通品として出荷した (なのでモデル銘がロシア語キリル文字の刻印) ものの早い時期に軍用品に転用されその段階で着色されたとみています。それからさんざん軍で使った後に旧ソ連崩壊後に当時も今も流行っている払い下げ品の軍用品がミリタリー品として市場に流れていたのを『転売屋/転売ヤー』が今度は艶消しブラックに 着色したという変遷です。

従って締付環の黒色塗料の厚みが相当になっていた分、光路長に影響が出てしまい「甘いピント面に堕ちていた」のが分かりますし、他にも鏡筒やベース環などが着色されていた分厚みが増してグリースによる平滑性で何とか保たしていた為、当方の手元に届いた時点では例によって「呉工業製潤滑油CRC5-56」がプシュッとやられており(泣)、またもや鼻に憑く異臭状態でした(涙)

素既に揮発油成分が飛んでいる状態だったので「内部の白色系グリースと反応してしまい重いトルク感に堕ちていた」ワケです。

↑光学系内にも極薄いクモリが各群の表裏面に附着していましたが、やはり予測したとおり「黒色塗料のインキ成分の癒着」だったので、光に反射させると極薄いクモリが視認できるモノの、コーティング層に癒着してしまったので清掃で除去できず、光学硝子の研磨剤で何とか除去できた次第です。

光学系内の透明度が非常に高い状態を維持しており、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。但し前後玉表面側には経年相応の拭きキズや擦りキズ/当てキズなどが極微細ながら残っています。特に前玉中央の擦りキズは順光でも視認できます (写真には影響しないレベル)。

なお当方で写真に影響しないレベルと言うのは、ちゃんと実写確認して写真への影響度をチャートも使い確認済なので、ヤフオク! でも当方と同業の『転売屋/転売ヤー』が決まり文句のように謳っていますが(笑)、何でもかんでも写真に影響を来さないワケではありません。

どの程度のキズやクモリならどのようなシ〜ン撮影時に影響が現れるのかを
ちゃんと確認しているのか否かは「商品の現物写真」を見ればすぐにバレる

・・ので、何でもかんでも「写真に影響ありません」と謳っている『転売屋/転売ヤー』の出品商品は胡散臭いと受け取ったほうが無難ですね(笑)

酷い場合にはマウント規格の種別が出品ページに記載されていないのに、ちゃんと実写確認しましたがとてもキレイな写真が撮れましたなどと謳っている本当にバカなご同業の『転売屋/転売ヤー』も最近は多く見かけます(笑) そもそもマウント規格が不明なのにどうやって実写したのかと考えてしまいますね(笑)

要はちゃんとイチイチ個体別に実写確認していないからそう言う整合性のない出品ページを平気で載せていてバレバレという話です(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も透明度が非常に高くLED光照射で極薄いクモリが皆無です。前玉ほど本格的なキズは残っていません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:17点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い16mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前後玉に微細な拭きキズ/擦りキズ/点キズ複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・特に前玉中央に目立つ擦りキズがありますが写真には影響しません。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑13枚ある絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・絞り環は設計無段階式(実絞り)でスカスカですが今回のオーバーホールで極僅かにトルクを与えてスカスカ感が低減するよう微調整済です。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・フィルター枠と鏡胴にそれぞれ1箇所ずつ打痕が残っており修復済ですが痕跡は視認できます。フィルター着脱に影響なく鏡胴の操作時も違和感など一切ありません。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『ZOMZ製ЮПИТЕР-3 (JUPITER-3) 50mm/f1.5 (L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式L39後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

赤色矢印で指し示した開放f値「f1.5」とその絞り値の目安になる基準「」マーカー、そしてマウント側の基準「」マーカーの全てがグリーンのラインのとおり一直線上にちゃんと並んでいる仕上がりに達しています。

これは単に位置がキレイに一直線上なのではなく、このモデルが「鏡胴前部/後部」二分割方式の設計なので、必然的に鏡筒「前部」の特に鏡筒固定位置のズレによって適切な鋭いピント面に至らなくなったりします。

ヤフオク! を観ていると例えば自分で整備してオールドレンズを出品している「プロの写真家」も居るワケですが「JUPITER-8 50mm/f2 (L39)」などの個体で上の写真のように一直線上に並んでいない仕上がりに至っている個体をそのまま出品しています (開放f値のf2の位置がズレていたりすると鏡胴前部のネジ込みと停止位置が適正ではない証拠/最小絞り値の位置が適切なのかどうかも問題になる)(笑)

要は鏡胴「前部」がネジ込み式で鏡胴「後部」に固定される方式なので、無限遠位置の微調整はヘリコイド (オスメス) ネジ込み位置を変更するか、或いは「シム環」と言う薄い環 (リング/輪っか) を前後の鏡胴の間に挟むことで、厚みが増せばその分鏡胴「前部」の固定位置が遠ざかる話になりますし、逆に薄い「シム環」を挟んだのならカメラボディ側に (フィルム印画紙 側に) 近い位置での固定になります。

すると確かに無限遠位置の微調整が叶うワケですが、オールドレンズに於いて鏡胴の固定位置で無限遠位置を微調整する概念は「無限遠位置微調整機能が備わっている」とは呼びません/
判定しません。ちゃんと無限遠位置を微調整できる機能として装備しているなら、ヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置とは関係なく「鏡筒を前後に微動させて位置調整できる設計が成されている」ワケで、その辺の概念が設計に反映しているのか否かが問題になってきます。

どうして鏡筒の固定位置、ひいては今回のモデルのように「鏡胴二分割方式」で鏡胴「前部」の固定位置が問題になるのかと言えば、確かにどこで固定していても無限遠の合焦位置が多少「∞」刻印の前でピントが合うのか、さらにもっと手前で合うのかの「無限遠合焦する位置が変化するだけ」ですが、それと合わせて「光学硝子のどの位置の入射光で結像させているのかの問題が蔑ろになっている」点が重要なのです (つまりピント面の鋭さ)。

すると本来ならピタリと「∞」刻印位置で無限遠合焦しているのが最も適切なのですが、昨今のデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する事を考えればマウントアダプタの厚みがバラバラ」なので、要はフランジバックに影響してしまい無限遠合焦しない場合が出てきます

このような「∞」刻印位置でもまだ無限遠合焦が足りない (つまり無限遠合焦していない状態) 何となく甘い描写の状態を「アンダーインフ」と呼びますが、それを回避する為に (使うマウントアダプタが特定できないから) ワザと故意に無限遠位置を「オーバーインフ」状態に設定 して「∞」刻印の僅か (1〜2目盛分) 手前で先に無限遠合焦する状態に組み上げます (すると多少マウントアダプタの厚みが多すぎても相殺され無限遠合焦する状況に近づけられるから)。

本来ならば「マウント規格のフランジバックは1つの数値」なので、何処の会社どの国の製品/マウントアダプタを使っても全てで同一の厚み/製品全高に製産されるべきなのですが「それがバラバラなのが現実の話」です。そして無限遠位置/無限遠合焦時の鋭さを計測機械で調べると「僅か0.1mm3.0mm」くらいの範囲で光路長が超過している状況 (例:フランジバックが28.0mmなのに計測すると28.3mmになっている場合など) になるので、その超過してしまった距離/数値の分だけ (前述の例で言えば超過分0.3mm) 距離環が止まらずにもう少し回らないとピタリと鋭く無限遠合焦しないのですが「∞刻印位置で止まってしまうので甘いピント面のままで無限遠になる」のを指して「アンダーインフ」と呼びます。

この「0.3mm分足りない」と言う例の話では、足りていない距離は距離環を回す回転の方向 (つまり横方向の移動距離) の話ではなく「前玉から後玉までの直進方向で足りない距離」なので、実際に距離環を回す移動距離で換算すると5〜6目盛分くらいの誤差になったりします。従ってヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置が適切ではないと判定するワケですね(笑)↑上の図はオーバーインフ/アンダーインフの概念を解説用に図式化したモノです。ピタリと無限遠合焦している位置がグリーンのライン部分だとした時のオーバー/アンダーの捉え方を図にしています。あくまでも基準なのは無限遠合焦した位置ですが、それに対して距離環の「」刻印が何処に居るのかがこれらコトバの概念を表します。ここで言う「インフ」と言うコトバは日本人の造語である分「インフィニティ」を指し「」刻印を意味します。つまり無限遠位置に対して∞刻印オーバーしたのか足りないのかと言う概念ですね。

アンダーインフ
無限遠合焦する位置に∞刻印が届かないのでアンダーな状態と呼ぶ (∞刻印のさらに先で無限遠合焦するべきなのに∞位置で止まってしまうから/∞刻印位置でも僅かに甘いピント面)
オーバーインフ
∞刻印よりも前の位置で先に無限遠合焦し、その後∞刻印に向かって再びボケ始める状態
(一度ちゃんと無限遠合焦している状況/無限遠合焦した位置より先に越えて∞が居るからオーバーの状態と言う認識)

従って仕方なくオールドレンズなど整備する際は昔から「故意にオーバーインフに仕上げる」手法が執られ続けている次第です。このアンダーインフ/オーバーインフの概念認識は「英語的な思考」で捉えないとなかなか誤解されることが多いです。

またどうしてマウント規格 (フランジバックは一つの数値しか存在しない) に対して無限遠位置 (上の図のグリーンのライン) を基準にしていろいろ考えるのかと言えば、それはそもそもマウント規格がある程度カメラメーカー側に規格の細かい部分が握られていたからです。

例えば皆さんがよく知っている「M42マウント」と言うネジ込み式マウント規格があります。正式名称「プラクチカスクリューマウント」ですが、そのフランジバックは初期の時代には「45.76mm」でしたが近年は「45.46mm」と定義されています。

そもそもこの段階で規格定義の数値自体に新旧の相違が顕在しているワケですが (▲0.3ミリ分誤差)、さらにバツが悪いことにフィルムカメラを開発/生産していた光学メーカーによって、独自規格として解釈され開発/管理されてしまいました。

例えば当時のコシナでは自社製フィルムカメラ取扱説明書に「フランジバック45.45mm」と印刷しています (誤差値:▲0.01mm)。また現在日本製マウントアダプタに於いて「フランジバック45.5mm」と小数点以下を1桁に丸められてしまいました (誤差値:+0.04mm)。

どうして日本製なら設計も製産時点/商品の仕上がりも精度が高く信用/信頼が高いのに「たかが小数点以下の1桁にこだわるのか?!」と、まさに中国製マウントアダプタの精度の低さを指摘しているが如く貶して指摘する人が居ますが(笑)、ではお伺いします!

そう仰るなら、ではどうして当時の光学メーカーの多くが設計時点/製産時点 (検査) で「小数点以下2桁まで誤差値を採っていたのですか?」と質問したいです。実際光学メーカーの諸元書をチェックすれば一目瞭然ですが「±0.02mm」と誤差値を設計時点で採っている会社が多かったワケです、それなのにどうして今ドキのマウントアダプタで「小数点以下1桁に丸められた」事を指摘して悪いのでしょうか???

答えてもらいたいですね・・!!!

この「±0.02mm」と言う誤差許容値は当時の旧ソ連製ロシアンレンズの州立GOI光学研究所の諸元書でさえ、許される範囲として小数点以下2桁をみています。別にロシアンレンズを貶して蔑視しているワケではありませんが、日本製と旧ソ連製とで本末転倒していませんか?(笑)

このようにそもそも「M42マウント規格」定義の中で現実として実際に定義の目安に定められているのは「マウント部ネジの規格内径⌀42mm x ピッチ 1mm」だけにすぎないのです。肝心なフランジバック数値が光学メーカーでバラバラと言うのが「フィルムカメラ時代の当時から顕在して現実」なのです。

従って任意のオールドレンズをそれぞれのフィルムカメラに装着すると前述のアンダーインフ/オーバーインフ問題が起きてしまうので、仕方なく当時から整備者は「オーバーインフに設定していた」のが実際の話であって、それは誤差値を相殺させる目的だったのです。

ちなみにこのアンダーインフ/オーバーインフと言うコトバは和製英語と言うか、日本人が造ったコトバなので「インフインフィニティ (infinity)」なのですが、無限遠合焦する位置を基準としながら「∞」刻印位置との関係性を表したコトバなので誤解されやすいのです (従ってオーバーインフと言っても外国人には一切通用しない/伝わらない)。

前述の「JUPITER-8」などはこのモデルと同じように鏡胴が二分割方式なので、鏡胴「前部」の固定位置がポイントになりますが「ズレていてもお構いなし!」なので、さすが「プロ」になると信用/信頼性が高いのでクレームが付きません(笑)

信用/信頼が皆無な当方が同じ事をやると途端にクレームになるので、まさに渡る世間は鬼ばかりみたいな話です (特に日本人は規格やプロ/日本製などという表記に滅法弱い民族)(笑)

今回出品個体はワザと故意に「絞り環にトルクを与えてスカスカ感に到らないよう微調整済」ですし、逆に距離環を回す時のトルク感は「全域に渡って軽い操作性でチョ〜気持ちいい」と、このモデルのピントの山が掴みにくいので「そういう時は少し軽めのほうが合わせ易い」など、モデル別の、或いは個体別のピント面の状況に従ってトルク感を微調整しているというのが「細かい微調整ができるオーバーホールのメリット」とも言えますし、その根本はまさに 当方自慢の『DOH』であり、その結果がちゃんと最後の仕上がりに現れるのだと言い替える ことも可能ですね(笑)

こういう話の内容こそがまさに「原理原則」なのであって、上の解説図で言うなら「現実的にピタリと合焦している無限遠位置を示すグリーンのライン」こそが原理であって、それに纏わる様々な時代背景や過去の整備者から続く創意工夫などなどが原則と言えないでしょうか?

従って「原理原則」を無視すればそれは相応の仕上がりにしか到達しませんし、もっと言うなら「本来あるべき姿は原理原則を知らなければ捉えようがない」のであって、任意のオールドレンズの仕上がりは必ずしも「完全解体する前の状態とは一致しない/バラす前が正しいとは 限らない」のが道理なのです。

中には頑なにフィルムカメラ時代の設定/微調整にこだわって、今ドキのマウントアダプタ経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着する前提での微調整を「完全否定!」する人もいらっしゃいます。決してそれが悪いワケではありませんが、どのような方が使うのか分からない中ではある程度許容値として相殺できる微調整で仕上げるのが「使う人に対する思いやり」なのではありませんか?

それが「いや絶対に違う!おかしい!」と仰るなら当方のような『転売屋/転売ヤー』が オーバーホールしているようなオールドレンズを手に入れなければ良いのです!(笑) そのような方々は是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けるオールドレンズだけを、ひたすらにお買い求め下さいませ (それがお互いの幸せです)。

オールドレンズとは、まさにそのようにクリティカルな存在であり、専門性が高く個々の認識/知識がその操作性と描写性に大きく影響を来す「工業製品」なのだと言えないでしょうか?

然し何だかんだ言っても当方は総てが独学オンリーなので(笑)、プロに師事して正しい知識と技術が伝承された「プロ」こそが本当の意味での「」だと言う認識です従って当方は一度もプロに師事したことがないので、今までも今後も決してプロには到達し得ません!(笑)

哀しいかな、それこそがまさに『転売屋/転売ヤー』たる由縁ですね・・情けない!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値「f4」になりました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているので、そろそろ「回折現象」の影響が極僅かですが現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。