◆ CHIYODA-KOGAKU (千代田光学精工) SUPER ROKKOR 45mm/f2.8 ©《後期型》(L39)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
千代田光学精工製標準レンズ・・・・、
『SUPER ROKKOR ©《後期型》(L39)』です。
当方に於けるこの「Chiyoko SUPER ROKKOR © 45mm/f2.8 (L39)」シリーズの扱いは今回のオーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で17本目にあたりますが、今回扱った個体の『後期型』は当方がオーバーホール作業を始めた10年間で11本目です。
さらに前回の扱いが2017年だったので5年が経ってしまいました。完全解体した場合に 組み立て工程での微調整に苦労することから普段敬遠していたオールドレンズの一つでもあります。
このモデルに関する詳しい解説などは先日ヤフオク! 出品した『SUPER ROKKOR ©《初期型》(L39)』をご参照下さいませ。
↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『SUPER ROKKOR ©《初期型》(L39)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。「後期型」タイプなので距離環に操作レバーを備えますがレンズ銘板にあった設定絞り値を視認できる丸窓は消えています。その結果再設計されて内部構造が変わっていて当然ながらオーバーホール工程での組み立て手順も「初期型〜前期型」とは全く別モノです。当然ながらそれらのモデルバリエーションを越えた「ニコイチ」などは不可能です。
また上の写真を見ると分かりますが光学系前後群に蒸着されているコーティング層の成分や種類もおそらく変わっていて、もちろん今回完全解体して光学系を逐一チェックしたところ全てに於いて「初期型〜前期型」とは違う事を確認しました。
つまりこのモデル「Chiyoko SUPER ROKKOR © 45mm/f2.8 (L39)」シリーズにはその光学系に2つのタイプが存在すると考えられますが「中期型」だけはまだ一度も触った事がないので不明なままです。
↑光学系内の透明度が非常に高くLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も透明度が高くLED光照射で極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:14点、目立つ点キズ:9点
後群内:17点、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(後玉中央にカビ除去痕残っています)
・ヘアラインキズ:あり(前群内僅か)
(前後群内極微細な薄い3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑9枚の絞り羽根もキレイになり無段階式 (実絞り) の絞りユニット感想も確実に機能しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」しながら閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・一般的な撮影手順として距離環を回してピントを合わせてから絞り環操作してボケ具合を調整する事が多いと思いますがその場合距離環を回す時のトルクが軽すぎるとその後の絞り環操作でピント位置がズレてしまうためその点を考慮して敢えて距離環のトルクを僅かに重く設定しています。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・筐体の材質が真鍮(黄銅)なのでメッキ加工が薄い分経年で一部にハガレがあります。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① marumi製UVフィルター (新品)
② 本体『SUPER ROKKOR ©《後期型》(L39)』
③ 汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
④ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
距離環を回すトルクは絞り環が距離環の回転に伴い一緒に廻っていく仕様なので敢えて「重め」に設定してあります。そうしないと距離環を回してピント合わせした後に絞り環操作して「ボケ具合を微調整した時一緒に動いてしまいピント位置がズレる」のを防ぐ意味合いです。
但しそうは言ってもピント合わせする際に違和感を抱くようなトルクの重さには調整しておらず大抵の方は「普通」程度に感じられると思います。
また距離計連動ヘリコイドの設定も当初バラす前の位置のまま同じ設定で組み上げています。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
ちょっとミスってしまいピンボケで撮れてしまいました・・申し訳御座いません。
↑最小絞り値絞り値「f16」での撮影です。既に「回折現象」の影響が現れ解像度とコントラストの低下が起きています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。