〓 Carl Zeiss (カールツァイス) Planar 50mm/f1.4 T*《AEJ》(C/Y)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、日本製ですが
Carl ZeissのCONTAX版標準レンズ・・・・、
『CONTAX Planar 50mm/f1.4 T*《AEJ》(C/Y)』です。
このモデルの当方での扱い数は累計で25本目にあたりますが「AEJ」タイプは累計で14本目です。この「AEJ/MMJ」のタイプについて、及びそのタイプ別による光学系の相違についても解説しているので、興味がある方は「CONTAX Planar 50mm/f1.4 T*《MMJ》(C/Y)」をご参照さいませ。
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するにあたり、普段はオーバーホール作業対価分を載せた「即決価格」でいつも出品しているのですが、今回は理由があってオークション形式で出品することにしました。
その理由はオーバーホールがちゃんと完了していますが、一つは距離環を回す時のトルク感が自分の期待値に到達していない点。もう一つの理由は光学系内の第5群裏面側がコーティング層経年劣化に伴う非常に薄いクモリを伴う点、特にこの2点について最終的に納得できず仕方なくオークション形式で出品することにしました。
逆に言うとオーバーホール自体は完璧に完了しているので、あくまでもその仕上がりが自分で納得できないだけでオークションにするだけですから、決して不具合や問題を抱えている状況ではなく「ジャンク扱い」での出品でもありません。
まッ。納得できないと言ってもその比較対象は「今ドキのデジタルなレンズ (新品) と比べて オーバーホール後の仕上がりがどうなのか?」なので(笑)、ハッキリ言って少々厳しすぎるとは思いますが、人間欲が出てきて何度もご落札頂いていると重箱の隅を突くような些細な点も 気になるようになってきます(笑)
そういう人情を鑑みて厳しく判定しているので、気にしない人は全く気にならないまま (何も告知されなければ下手したら知らないまま) 使っていたりします(笑)
従っていつもどおり「出品ページ掲載内容との相違」があれば、それを理由にキャンセル/返品/返金が可能です。
なおこのページはヤフオク! の出品が終わった時点で削除する予定ですので、保存したい方は早めに処置をお願い申し上げます (一度削除したら復元はできません)。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「CONTAX Planar 50mm/f1.4《AEJ》(C/Y)」のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりましたが、冒頭解説のとおり自分で納得できないので今回はオークション形式で出品します。ご検討頂ける方は是非お好きな価格でご落札下さいませ。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。但しそれは6群全てを前後格納筒にセットした状態での話であって、個別に各群をチェックしていくと冒頭の解説のとおり第5群のグリーン色に光彩を放つ裏面側のみコーティング層の経年劣化進行に伴う非常に薄いクモリが生じています。これはまさに「単独でLED光照射でチェックすると分かるレベル」なので上の写真のとおり光学系内にセットされてしまうとLED光照射してもなかなか視認できないと思います (必ず薄いクモリがあると考えて執拗にチェックすれば視認できるような印象)。またそのクモリは裏面側全体に広がる状況なので余計に発見しにくくなっています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑問題の後群側ですが (第5群が含まれている)、ご覧のとおり全く問題なく見えてしまいますし、順光目視しても非常に薄いクモリなどは全く視認できません。LED光照射で覗いてみて何とか確認できるレベルです。それよりもどちらかと言うと前群よりも後群側のほうが「微細な点キズ」が多めなので、パッと見で「微細な塵/埃」に見えますが、既に3回清掃しても一切除去できなかった微細な点キズです。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(後群内に極微細な薄い14mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
但し光学系内第5群の裏面側グリーン色のコーティング層が経年劣化進みLED光照射時に非常に薄いクモリを伴って見えます(写真への影響には至らないレベル)。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」したまま閉じていきます。
当初バラす前の状態では絞り羽根の開閉動作が緩慢で、且つ絞り環絞り値との整合性が無い状態 (f16なのにf11で止まっている) になったり正常駆動したりと非常に不安定な印象でした。
バラしてみたところその原因は過去メンテナンス時に塗布されていた「白色系グリース」の揮発油成分により絞り羽根に油染みが附着して絞り羽根開閉動作に影響を来していた点と、もう一つ最も厄介な「マウント部内部の捻りバネの経年劣化」の2点が大きく影響していました。
絞り羽根の油染みは洗浄でキレイになったので完全に除去できていますが、問題はマウント部内部で使われている「2本捻りバネ」です。おそらく絞り羽根の油染みが粘性を帯びて固着していた時期があったのだと推察しますが、そのチカラが常時働いていた為に「捻りバネが経年で弱っている」状況です。
その問題改善の為に微調整を施しましたが、絞り環操作時のクリック感は「開放f値:f1.4の時に詰まった感じで停止する」状況です。これを改善しようとすると今度は絞り羽根の開閉異常に陥るので改善できません (事前告知済なのでクレーム対象としません)。
なお、絞り羽根が閉じる際は極僅かに歪なカタチで閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・直進キーの経年劣化による摩耗により希に極僅かなトルクムラが発生しククッと微動するような操作性になる事がありますが微動させているうちに解消する事もあります(事前告知済なのでクレーム対象としません)。
・絞り環操作時適度なクリック感を伴いますが開放f値「f1.4」の箇所のみ少々詰まった印象で停止します。これは絞りユニット内の絞り羽根開閉制御が経年で摩耗している分の影響を受けているため改善できません(クレーム対象とせず)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① 純正MCレンズガード「1A MC」(中古品)
② 本体『CONTAX Planar 50mm/f1.4 T*《AEJ》(C/Y)』
③ 汎用樹脂製バヨネット式後キャップ (新品)
④ 純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)
上記附属品のうち中古フィルターには経年並みのヘアラインキズや拭きキズが残っていますが、一応ちゃんと清掃済です。
距離環を回すとトルク感に極僅かなトルクムラ (ククッと微動する問題) が起きなければピント合わせ時にも違和感を抱く事には至らないので、オークション形式にする気持ちにもなりませんでしたが、おそらく神経質な方には気になるレベルだと考えられますから、ご留意下さいませ (一応再現性が低いので必ず同じ箇所でムラが起きません)。
ちなみにこの極僅かなトルクムラ (ククッと微動する問題) の因果関係は「直進キーとそのガイド部分の経年劣化に伴う摩耗」なので、おそらく過去メンテナンス時に塗布されていた「白色系グリース」の揮発油成分が飛んでしまい重くなっていた時期が相応にありながら、それでもムリヤリ使われていたのではないかと推測しています。逆に言えば単に保管していただけなら摩耗して削れないのでトルクムラの原因に繋がりません。
従って何でもかんでも重いトルク感のまま使い続けたらダメだと断言しませんが「あくまでも内部構造と構成パーツから重くなったトルクのまま使い続けると製品寿命を早める結果に繋がる場合もある/モデルもある」とご認識頂くべきですね(笑)
そしてもちろん前述の第5群裏面側の非常に薄いクモリです。まずよほど明るいシ〜ンで光源を写し込まない限りフレアっぽく写ることにはならないと考えるので問題ないレベルと判定しています。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているので極僅かに「回折現象」の影響が現れ始めています (解像度の低下)。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。