◎ Steinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) Quinar 135mm/f2.8 VL(exakta)
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今回初めての扱いになりますが当時1950年代初頭に旧東ドイツのIhagee Dresdenから発売 されていた一眼レフ (フィルム) カメラ「Exakta Varexシリーズ」用に発売され供給されていたオプション 交換レンズ群の中の中望遠レンズです。
1953年の「Exakta Varex」カタログに今回のモデル『Quinar 135mm/f2.8 VL (exakta)』がNEWとして初めて印刷されたので、1951年〜1952年中に発売されたのではないかとみています。
当時は中望遠レンズ域の焦点距離135mmで捉えると開放f値「f3.5」が一般的だったので「f2.8」は相当明るい光学設計だったと考え
られます (左は当時のカタログから抜粋)。
その際カタログに掲載されていた光学系構成図をトレースしたのが右図になりますが、第1群 (前玉) が両凸レンズとして設計されており「表裏面でほぼ同一の曲率」に見えます (右図は上記カタログからトレース)。
ところが今回のオーバーホールで光学系を清掃した際に当方の手でデジタルノギスを使って計測したトレース図では右図になり、確かに第1群 (前玉) は両凸レンズながらも「裏面側の曲率がほとんど平坦に近い」 カタチの両凸レンズでした。
従って自ずと第2群以降の曲率や厚みなどもビミョ〜に相違がありま した (右図は計測した実数値を基にトレースした構成図)。
光学メーカーのカタログなどを見ているとやはり光学系構成図を載せている場合が多いですが当方の経験値で言えばその掲載図 (構成図) は量産型モデルに実装されている光学設計とは異なる場合が多いと捉えています。おそらくは特許取得時、或いは量産型へ移行する前の段階の 光学設計図をそのまま載せて、量産型モデルの光学設計は敢えて隠していたのではないかと 推察しています (今まで数多く調査してきていますがたいていの場合で掲載図とビミョ〜に 異なるから)。
確かに今回の例で見ても第1群 (前玉) の曲率が表裏面で同一と言うのは非現実的なようにも 受け取れます(笑)
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。
◉ 一段目
左端から背景の円形ボケが破綻して滲んで溶けていく様をピックアップしていますが、参考になる実写数自体が少ないのでもっとキレイな円形ボケやシャボン玉ボケが表出するのか否か よく分かりません。またこの後にモデルチェンジして登場するゼブラ柄モデルの同型品の実写と比較すると、今回のモデルのほうが特に収差の影響がより顕著に表れているようにも見えるので、大人しめなイメージを求めるならゼブラ柄をチョイスしたほうが良いかも知れません。逆にオールドレンズとしての醍醐味を味わうつもりなら、むしろこちらのモデルのほうが
ベストでしょうか。
◉ 二段目
焦点距離から中望遠レンズ域として捉えれば、背景に収差の影響を大きく受けた滲み方をする左端写真があると思えば、逆にトロトロにボケてしまった2枚目のような場合もあります。人物撮影についてはあまり特異ではなさそうな感じです(笑)
この当時のSteinheil MÜNCHEN製オールドレンズをみているとレンズ銘板に「VL」刻印を 伴う場合と伴わない場合がありますが、この「VL」刻印はドイツ語表記で言うところの「Verhinderung von Lichtreflexion」頭文字からとった略「光反射防止」である事が当時のカタログ解説から分かります (実際に赤色刻印されている個体はありません)。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。中望遠レンズ域のモデルなので巨大であり、撮影に使っている小道具の楢材のお盆に並びきりません(笑)
内部構造はこの当時の一般的な設計を踏襲しており特に異質に感じる要素や特殊な設計が無いある意味そつなくこなしたモデルです。
しかし解体しようとして例えばプリセット絞り環や絞り環が配置されている鏡胴「前部」を 手で掴んで/保持して、思いっきり反時計方向に回そうとチカラを掛けると下手すれば内部の「開閉キー」が破断してイキナシ「製品寿命」を迎える事になり兼ねません(怖)
他社光学メーカー、例えば旧東ドイツのMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズなどでも同じパターンですが、やはり中望遠レンズ域から上の焦点域モデルになると「鏡胴の二分割式」の設計が多く、たいていの場合で鏡胴「前部」はネジ込み式でヘリコイド (オスメス) を内包した鏡胴「後部」側にセットされています。
従って目一杯のチカラを掛けるとその掛けたチカラの全てが「絞りユニット内の開閉キーの軸部分」に一極集中する為、下手すれば経年劣化進行に伴い金属疲労の影響が現れていた場合「簡単に折れる」ワケで、一度折れてしまえばスルスルとプリセット絞り環/絞り環だけが空転するばかりで二度と鏡胴「前部」を外す事が適わなくなります (つまり製品寿命)。
たま〜にそういった個体のオーバーホール/修理ご依頼が来ますが、残念ながら何とも処置しようがありません(泣) その意味では将来的な整備などのサービスレベルまでキッチリと考慮した設計は、当時の旧東西ドイツのオールドレンズに限っては期待してもムリかも知れませんね(笑) ところが意外にも当時低価格路線をひた走りしていた日本製オールドレンズのほうが、むしろちゃんと考慮した設計が成されていたりしますから(笑)、当時から日本人技術者のこだわり/設計に臨む思想などがこのような問題一つとってもみてとれますから、なかなかオールドレンズと言うのはロマンがギッシリ詰まっていたりしますね(笑)
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルは鏡胴が二分割式なのでヘリコイド (オスメス) 側は鏡胴「後部」に配置されています。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑上の写真はワザと視認できるように露出オーバーで撮っていますが、光学系後群側の後玉を締め付け固定している「締付環」を指し示しています (赤色矢印)。するとどういうワケかグリーンの矢印で指し示したとおり「約2mm程の空間」が残っている/余っているので「???」 です(笑)
光学系後群と言ってもこの後玉自体は貼り合わせレンズなので一つだけ格納されているだけですから、どう考えても締付環に隙間が残っている点の解説ができません。何故なら、隙間が残っていると下手すれば後玉が動いてしまい/位置がズレてしまい光路長が適合せず描写性に悪影響だからです。
つまり「締付環」は最後までキッチリと締め付け固定する概念で設計するのがフツ〜だから です(笑)
今回の個体に限って言えば後玉の貼り合わせレンズは全く微動せず外せないくらいにガシッと格納されていたので問題が起きませんでした (この隙間についてはちょっと理由が不明です)。
↑鏡筒にプリセット絞り機構をセットしますが、まずは「絞り値キー環 (リング/輪っか)」をイモネジで固定します。各絞り値でカチカチとストップするよう「絞り値キーの溝」が切削されています。一方鋼球ボール+スプリングが入る環 (リング/輪っか) は別にそんざいします (左横)。従ってこの左横に並べた撮影した環 (リング/輪っか) が「プリセット絞り環のベース」でありカチカチとクリック感を伴って回せる原理です。なお鏡筒の一部に垂直方向にマーキングが入っているのは当方が刻んだのではないので、おそらく過去に一度メンテナンスされていると考えます。何故なら、鏡筒がさらに分離すると予測したからこそ垂線を刻んで位置合わせを残した事が明白なので、製産時点ではないマーキングだと断言できるからです (製産メーカーがマーキングする事はあり得ないから)。
↑こんな感じで「プリセット絞り環用ベース環」が組み込まれますが、ちょうど上下で挟んで締め付け固定しているイメージです。ところがこの上下の環 (リング/輪っか) のイモネジ締付固定位置をミスるとプリセット絞り環のクリック感と絞り環操作時の刻印絞り値とがズレてしまいチグハグになります。
↑先に絞り環をセットします。よく「プリセット絞り環」と「絞り環」の別を勘違いしている場合がありますが、それぞれのモデルで必ずしも絞り値が刻印されているほうが「絞り環」とは限りません。その点を思い違いしている人が時々居ますね(笑)
↑「プリセット絞り環」を組み込んで鏡胴「前部」が完成しました。
↑この後はヘリコイド (オスメス) を内包する鏡胴「後部」の工程に移ります。マウント部が組み付けられる基台です。
↑まずはヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリをつけた正しい場所までネジ込んでから上の写真のようにヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置のアタリをつけた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で15箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
ちょっと分かりにくいですがヘリコイド (オス側) には両サイドに幅広の溝が切削されており「直進キーガイド」の役目です。この溝部分を「直進キー」と言う四角いパーツが行ったり来たりとスライドするので、距離環を回すと結果的に「鏡筒が繰り出されたり/格納したり」仕組みというワケです。
↑上の写真を撮影するのに既に4時間が経過しています。実は当初バラす前の実写チェック時点で「無限遠が甘い印象」だったのです。おそらく無限遠合焦位置までヘリコイド (オスメス) が回らずにカツンと停止していたようで、無限遠位置での描写は「ピントが合う寸前の甘い写り」と僅かに鋭さを欠いた印象だったのです。
要は今回の個体はヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置を過去メンテナンス時にミスっています。
するとどのような事が言えるのか・・???
先ずは「正しい無限遠位置を探る」必要がありますが、その時「鏡胴前部のネジ込み停止位置」が問題になってきます。どのようなオールドレンズでも同じですが、基本的にプリセット絞り/絞り環の箇所には基準「▲▼」マーカーを附随させている設計のハズです。
するとその基準「▲▼」マーカーの位置がマウント側基準「▲」マーカー位置から垂直状に同じラインに来るのが普通です。ところが前述のとおり鏡胴「前部」はネジ込み式ですから、ヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置が変わると必然的に鏡胴「前部/後部」で直線状に基準「▲▼」マーカーが来ない話になります。
これはネジ込みが替わる以上、鏡胴「前部」のネジ込みが突き当たり停止する位置も変化してしまうのが道理だからです (つまり互いの基準「▲▼」マーカーが同じ直線状に来なくなる)。
過去メンテナンス時の整備者は組み上がった時に基準「▲▼」マーカー位置が互いにズレてしまったので、それを同一線上に来るようワザと/故意にヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置を替えたと言い替えられます。
従って今回のオーバーホールでは完全解体しましたが、必然的に「正しい無限遠位置を探る」必要性が発生してしまい、それはヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置を一つずつ確認していくしかないので、一度光学系前後群を組み込んで最後まで組み上げては実写確認して再びバラしてヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置を変更し、また組み上げて実写チェックするのを延々とひたすらに繰り返した次第です(笑)
何しろヘリコイド (オスメス) だけでネジ込み位置が15箇所もあるワケですし、それにプラスして基準「▲▼」マーカー位置が鏡胴「前部/後部」で互いにズレますから、それらを全て改善させた位置が本来の正しいヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置と言えます。
何故なら、この頃のオールドレンズには「無限遠位置微調整機能」が附加されていないからです (ヘリコイドのネジ込み位置で調整するしか手が無い)。つまりはいちいち都度バラしては組み上げて実写して確認しまたバラすを繰り返すと言うお話しです(笑)
この後は光学系前後群を組み付けてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑何しろ重量が700gを越える重さですから、ピント合わせするにもブレブレ状態で(笑)、とても三脚無しでは使う気持ちにならないほどです。もっと言うならこの当時はバカ重いexaktaの「Varex」フィルムカメラを使っていたハズですから、飛んでもない重量の中で撮影に臨んでいた事が容易に察しつくワケで、昔の人は本当に力持ちだったんだと感心しきりです!(笑)
完璧なオーバーホールが終わったので「これでもか!」と言わんばかりにとても軽い操作性でピント合わせできるよう、距離環のトルク調整を施しています。
↑光学系内にはご指摘のとおりカビが数箇所発生していましたが全て除去しました。正し一部はコーティング層を侵食していた為、コースポットとしてポチッと点状に剥がれている箇所があります。
↑例の後玉 (貼り合わせレンズ) も隙間が残ったままの締付環ですが何の問題も無く微動だにしないのでそのままにしています (って言うかそもそも外せなかったから)。
もちろん光学系内はコーティング層の経年劣化進行に伴うLED光照射時の極薄いクモリすら皆無ですから、まさにスカッとクリアな状態を維持しています。
↑10枚の特大な絞り羽根も一部に赤サビが生じていましたがキレイになりプリセット絞り環/絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞り」を維持したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
このモデルは筐体のほとんどがアルミ合金材のアルマイト仕上げなので、それに合う「磨き込み」を施したので、特に当初バラす前とほとんど変化が無いように見えますが、実は触るとスベスベなのが違いとして分かります (つまりアルマイト仕上げ表層面の手垢を除去したのでツルツル〜スベスベのお肌というワケ)(笑)
↑当初バラした時には過去メンテナンス時に「黄褐色系グリース」が塗られていたので、だいぶ古い時代に一度だけ整備されたように思います。今回の同様「黄褐色系グリース」を使い「全域に渡って完璧に均質」なトルク感に仕上げ、且つ極軽いチカラだけで微動するようピント合わせのし易さも追求してあるので触って操作頂ければきっとご納得頂けると考えます。
もちろん皆様が喜ばれる「ヌメヌメシットリした印象の操作性」として仕上げたので気に入って頂けると思います。
当初アンダーインフ状態だったのでヘリコイドのネジ込み位置を探して正しく組み直しています。もちろん基準「▲▼」マーカー位置もほぼまとめてあるので本来の状態に戻ったと考えます。
このモデルは合焦位置が「スパッと急に合焦する」と言うピントピークなので、必然的にピント面の鋭さが要求されます。その意味で当初バラす前の印象画僅かに甘い感じだったのでこれで本領発揮といったところでしょうか(笑)
↑なおプリセット絞り環/絞り環の操作性については、特に「絞り環」側がクリック感を伴わない無段階式 (実絞り) 方式なので、スカスカになるのを嫌って「故意にワザとトルクを与えて仕上げている」のでご留意下さいませ。逆に「プリセット絞り環」側のクリック感を伴う操作性は軽い印象に小気味良く動くよう調整してあるので、きっと気に入って頂けると思います。
本来遊びがあった「絞り環」は上下左右全てでキッチリ位置合わせしたので、オーバーホール後の状態は開放時でも一切遊びがありません (本来最小絞り値側が先まで動くのが正しい)。
要は「本来あるべき姿に戻した」のが今回のオーバーホールとも言い替えられます。
最近ヤフオク! を見ていると「整備済」で出回るオールドレンズが増えているので、それはとても良いことだと感心しています。がしかし、その内容を見ると「単にバラしてグリースを塗って組み立てただけ」と言う「グリースに頼った整備」ばかりであり、なかなか「本来のあるべき姿に戻した整備」というのはまだ少ないようですね(笑)
特に某ホビーツールの「白色系グリース」で#10番や#30番、或いは#3000番などを多用していると「早ければ1年長くても数年で揮発油成分でヒタヒタ状態」の内部に至りますから、別件で今も出品し続けていらっしゃるプロの写真家が整備しているロシアンレンズやCarl Zeiss Jena製Tessarなども同様相当な量のグリースが塗ったくられている事を当方で確認済です (詳細は解体新書コーナーで扱っています)。
当方ではこのような「多量のグリース塗布は特に光学系の経年劣化を促すだけで悪影響しか無い」とのポリシーなので、当方が行っている「DOH」などは、まさにその逆「グリースをできるだけ使わない整備」であり(笑)、真っ向から反対の概念とも言えます。
確かに当方は『転売屋/転売ヤー』ですが(笑)、然し当方がやっているオーバーホールはあくまでも「製品寿命の延命化処置」一環であり、転売する際の単なる価格アップ策ではありません(笑)
↑附属に同梱頂いた専用の金属製被せ式フードも一応「磨き込み」してツルツルにし、且つ刻印文字も明確に視認できるよう着色も行い化粧直し済です(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。
ちょっとシャッターボタン押し込み時の反動でブレているかも知れませんが、ピント面はまさに手前のヘッドライトの電球そのモノに合わせています (すぐにアウトフォーカス部が滲むのでピンボケに見えてしまう)。
↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影していますが、やはりブレてしまったかも知れません。
↑f値は「f22」に上がりましたが、そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑最小絞り値「f32」での撮影です。大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。