◎ Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) CONTAX Tessar 5cm/f2.8《沈胴式》(CTX-RF)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、戦前ドイツは
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
 『CONTAX Tessar 5cm/f2.8《沈胴式》(CTX-RF)』です。


今回扱いが初めてになりますが、下位格の開放f値「f3.5」モデルのほうは以前オーバーホール
/修理で承り扱いました。オーバーホール工程など詳細は『CONTAX Tessar 5cm/f3.5
《Black & Nickel:沈胴式》
』で解説しているので、興味がある方はご覧下さいませ。

実はそのオーバーホール/修理を承った時に初めてこれら当時のレンジファインダーカメラ「CONTAX IIa/IIIa」などを代表とする、オプション交換レンズ群の存在を認識し特にTessarについてこんなにも描写性能が優れていたのかと改めて新鮮な感動を覚えた為、自分で調達して扱ってみる気持ちになりました。

実際、今回海外オークションebayで調達して届いた個体も、その製造番号から『1937年1月末』に製産出荷された個体と推測できますが、やはりオーバーホール後の実写を見ると相当な性能なのだと感心しました。

何故なら1937年と言う事は、まだ戦前の旧ドイツであり、さらには既に1932年時点で単層膜コーティング技術を開発し特許登録済みでしたが、量産品のオールドレンズにはまだコーティング層が蒸着されていない『ノンコーティング』でもあります (zeissのT複層膜コーティング技術の開発/特許登録はその後1939年)。

確かにたかがテッサー如きと仰る方も多いのでしょうが、そんな戦前のオールドレンズでありながらもこれだけリアルな、そしてピント面の鋭さを追求した描写性が既に完成の域に到達していたことに、当方は非常に新鮮なオドロキを感じた次第です。

何しろこの当時のフィルムカメラには全く以て疎く、しかもカメラ音痴でもあり、何も知識を有さないどうしようもないド素人ですからご容赦下さいませ(笑)

今回海外オークションebayから調達しましたが、残念ながら海外のユーザーに比べて日本人の興味関心がとても低いようで、むしろ国内の流通価格のほうがこれら「沈胴式Tessar」は安価に入手可能です(笑) それをワザワザebayから調達したのは「光学系の状況を相当厳密にチェックしたから」でもあります。

どうも日本のオークションと言うのは「ノークレームノーキャンセルノーリターン」などと言う、日本独自の「3N」みたいなルールが罷り通っており、たいして真剣にオークションに出品せずとも (テキト〜に写真掲載しても) 大事に至らないと言う、世界から考えたら全く以て理解に苦しむアホな風潮が続いているので(笑)、オモシロイ事に「海外オークションebayでの流通価格のほうが数万円高い」と言う逆転現象が起きたままです。

例えばフランス屈指の光学メーカーP. ANGÈNIEUX PARIS社の広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」などの流通価格も、日本国内は信じられない低さで流通していますがebyaでは10万円超は当たり前です(笑)

こういうところに日本人のブランド志向が隠れており、且つ日本独自の商習慣をいまだに踏襲し続けていると言う世界から見れば「まさにオークション鎖国時代」とも言えると思いますね (これは貶して言っているのです)。

単にブランドや過去の (フィルムカメラ時代に評価された) 著名な評論家の記事を下にした話がいまだにネット上でグルグルと回っている始末で(笑)、そのクセそれらオールドレンズを装着する先がフィルムカメラなのかと思いきや、マウントアダプタでミラーレス一眼にくっつけて撮っていると言うあべこべな状況でも、誰も何も言わずに疑問にも思わずそのまま「オーク ション鎖国」が続いています。

当方はそう言うのはおかしいと考えますね(笑) 良いモノは良いと一歩下がって評価できる客観性をそろそろ持ち合わせて、日本人も国際認識の中に入るべきだと思いますね。

ちなみに今回扱うこのモデルCONTAX Tessar 5cm/f2.8《沈胴式》(CTX-RF)』は、日本国内のネット上では下位格の開放f値「f3.5」のモデルが優れていると太鼓判が押されており(笑)、こちらの「f2.8」はボロクソですからご承知置き下さいませ。

その意味で、SNSなどで当方が批判されているとおり、フィルムカメラやオールドレンズの正しい知識を習得していないクセに、平気でウソを公然とブログに掲載し続けていると言う話はまさに仰る通りですから、そのつもりで受け取って頂ければ良いと思います (面倒くさいのでもう反論しませんから)(笑)

一生懸命オーバーホールしたそのオールドレンズに本当の魅力を感じて頂ける極々少数の方々の手にだけ渡れば、当方はそれで本望です。不特定多数の多くの方々には当方が出品するオールドレンズには何の魅力も感じないと思いますから、そのままスル〜して頂くのが一番良いと思いますね(笑)

当方は極々少数のファンの方々の為だけに、できるだけ様々なモデルを出品していきたいと 考えています (同じモデルを2本3本とは落札しないから)。

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戦前の1932年にZeiss Ikonから発売され世界規模で一世風靡した
レンジファインダーカメラ『CONTAX I』のオプション交換レンズ群の中から、今回扱うのは標準レンズCONTAX Tessar 5cm/f2.8
《沈胴式》
(CTX-RF)』
で、巷で「Black & Nickel Tessar」と呼ばれているタイプです (今回出品はニッケルのほう/他にブラック銘板の モデルが存在する)。

今回カメラボディ付で手に入れたので試しにファインダー越しに (フィルムを入れずに) 撮影してみましたが、ちゃんと小っちゃなファインダーでピント合わせできて楽でした。なにも知らない当方にとっては新鮮さ一杯と言う感じです(笑)

今までに調達したフィルムカメラがゴロゴロ転がったままなので(笑)、また8月に入ったらジャンク扱いで出品しますから、ご入り用の方は宜しくお願い申し上げます。今回の「CONTAX IIa」についてはバルブはokでしたが低速がダメで、25〜500まではシャッター速度が変化しています (一応速度別に差があるが正確性は不明)。

CONTAX IIa」の造りの良さにも感心してしまいましたね・・(笑)

この当時のフィルムカメラと言うのは、何と言うのか設計者や開発者の意地と言うか「こんなカメラができたんだぞ!どうだ凄いだろ?!」みたいな、自信や栄光、妥協のない技術の積み重ねに近い未来に対する発展/進化を自ら進んでトライする気概のようなパワーを、その商品自体に今さらながらに感じますね。

商品をイジっただけでそのような印象をいまだに持つと言うのは、これは相当凄いことなのではないかと当方は考えます。

まさにそれが今ドキの日本の光学メーカーには無い、どうひっくり返しても見られない要素なのではないでしょうか。このコロナのせいでさらに悪化の一途を辿り続けているデジカメ市場ですが、独壇場のSONYも含めそろそろ足元ばかり見ずに近い未来に向けてトライする要素を真剣に整えていかないと、デジカメ市場の先は衰退しかないと思いますね。

どうしてそのように感じたのかというと、今回この「CONTAX IIa」を初めて手にしてイジったワケですが(笑)、これをこのまんま今ドキのデジタルなレンジファインダーカメラにしてしまっても「えぇ〜ではないの!」と即座に感じたからです(笑) こんなギンギラギンの筐体の レンジファインダーデジカメがあったら、コロナでもちょっと近所の公園に出かけたくなると思いますョ・・!(笑) その「何かしたくなる!」と言う、それこそ小学生の頃にそんな気持ちで夢描いていた自分の過去を思い出してしまうほどに「これを持って行きたい!」と言う所有欲だけでもない、何ですかね、それを手に入れる事で「新たな楽しい世界が待っている」事に対する「自らのチャレンジ精神をくすぐる商品」と言うのが、これから特に必要になってくる製品なのではないでしょうか。

これだけ不可実性しか存在しない世の中になって、日々のストレスも最高潮に達している現代に於いて、ほんの僅かな「余暇のドキドキ感」は、意外とストレス発散にも繋がり日々の精神性キープには欠かせない要素なのかも知れません。

・・そんな事を考えながら今回はオーバーホール工程を進めましたね(笑)
・・「CONTAX IIa」・・これ、いぃ〜わ、ステキだわ!(笑)
・・こんな機会に恵まれたのは、一にも二にもあの時のオーバーホール/修理ご依頼者様の おかげです! ありがとう御座います!!!

1932年のレンジファインダーカメラ発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群が何本もありますが、その中で標準レンズの沈胴式Tessarと言う選択肢が、なかなか斬新です(笑)
(左は当時のCONTAXシリーズレンズ群のカタログから抜粋)

光学系の光学硝子には、今回バラして清掃時に逐一チェックしてみるとやはりコーティング層が蒸着されていない「ノンコーティング
なのが分かります。

たかが3群4枚のテッサー型構成だけで、これだけ様々な撮影シ〜ンに、それこそ万能に対応してしまおうと言う発想自体が、なかなか凄いなと感心してしまいます。

確かに当時の主流は開放f値「f3.5」までの標準レンズが当たり前の
感覚でしたから、そこに敢えて「f2.8」を持ってきた (用意した) その意図というのを探りたくなってしまいますね(笑)

こればかりはオールドレンズを完全解体してバラして内部構造や構成パーツを逐一チェックしたところで、皆目見当がつきません(笑)
どちらかと言うとその方面にお強い方々にご教授頂くほうが良いので
我こそはと言う方は是非宜しくお願い申し上げます。

光学系は言わずと知れた3群4枚のテッサー型構成ですが、開放f値が「f2.8」と明るくなった分、下位格の「f3.5」モデルに比して後玉の 貼り合わせレンズに相当無理難題を抱えたのだと思います。

よくぞここまでまとめ上げたと本当に感心しますね。
だって・・ノンコーティングですからね!(驚)

ちなみにネット上を見ていると「鷹の目テッサー」と案内されている事が多いですが、正しくは「鷲の目テッサー」であり鷹ではありませんね (鷲はイーグルで鷹はホークです)(笑)

ちゃんと当時の広告に「Das Adlerauge Ihrer Kamera」とドイツ語で印刷された「カメラの鷲の目」ですから間違いありません。



上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端から小さいながらも本格的にキレイで繊細な (明確な) エッジを伴うシャボン玉ボケが表出できて、やがて破綻して滲んで溶けていく様をピックアップしました。しかしこれが3群4枚テッサー型構成から吐き出されているとは本当にオドロキしかありません!(驚)

また背景の滲み方にクセがないので、同じテッサー型標準レンズでも後期に登場した黒色鏡胴モデルの写真と比較したら天と地の差です(笑) 単にギラギラでカリカリに鋭いピント面を期待するならまた別の話ですが、このような柔らかなピント面でありながらも、シッカリそれなりに鋭さを魅せ付けてくれる表現性に脱帽です(笑)

二段目
実はこの当時のレンジファインダーカメラにッ。川邸多オールドレンズですから、必然的に使っていたであろう白黒フィルムでの実写をチェックしたのですが、それは当然ながら本格的な写りに仕上がっており全く以て問題なく (違和感にも繋がらず) さすがだと感じたのですが、ところがイッパシにカラー画でも本格的に使えるではないかとビックリした次第です。

まずダイナミックレンジが意外にも広いので明暗部が潰れず/飛ばずにちゃんと改造しています。これ「ノンコート」ですからねぇ〜!(驚) しかも階調表現がなだらかでグラデーションもこれが3群4枚のテッサー型構成が残した写真だとズバリ当てられるかと言えば、当方には不可能です。強いて言えば確かにコントラストが低い分「ノンコート」の影響が否めませんが、それでも十分にカラーで使えるとは思いませんか?

三段目
一応念の為に白黒写真もピックアップしておきます。特に解説するほどのこともなく本格的な白黒写真をちゃんと残してくれますね。しかしこれを1932年の時点で既にやっていたのだと考えると、唸ってしまいます(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。一部を解体したパーツの全景写真です。

↑前回の下位格版開放f値「f3.5」モデルでもそうでしたが、やはり鏡筒を固定している締付環の固着が激しく、どうにも外れず一部解体に留まります。絞り羽根に油じみが生じていたので完全解体したかったのですが、仕方ないので「特殊な方法で絞りユニットを清掃」しました。

これは一般的に言うところの (よく整備者が行う)「溶剤漬け」ではなく、別の方法で清掃したのでキレイに油染みの油成分を除去できています (溶剤漬けではないので絞りユニット内部に油成分が残っていません)。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完全解体できませんでしたが、一応ちゃんと規定のオーバーホール工程分は仕上げられています。

↑今回の出品個体の最大の魅力『一切薄いクモリが存在しないスカッとクリアな光学系』つまりLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

ハッキリ言ってノンコーティングのモデルでこれだけ何も無い個体と言うのは、今までオーバーホール/修理を承った中で考えても (ノンコーティングの当時のモデルとしては) 初めてです。もちろん経年に拭きキズなどは残っていますが、そんなのも極微細でまず以てよくぞこれだけ素晴らしい状態を83年間も維持し続けたものだとオドロキしかありませんね!(驚)

その意味で、この当時のノンコーティングモデルたる「f2.8の鷲の目テッサー」を堪能したい人には、まさにこれ以上のブツは無いと言えますね。しかも白黒写真のみならずイッパシに (普通に) カラー画像にもちゃんと自らの個性を惹き出して写真を残してくれるとなれば、当方にとってはむしろ下位格版の (巷で高い評価を得ている)「f3.5」よりも使い出があると評価したいです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側ももちろんLED光照射で極薄いクモリが皆無です。まさに凄い状況です!(驚)

たいていの場合3群4枚のテッサー型構成でこの後群側と言うのは、たったの一つ第3群貼り合わせレンズしか存在しませんから、まず以て極薄いクモリが生じている場合がほとんどであり、それは特に戦後に製産された個体でも非常に多く見られる要素なので、1932年から考えたら下手な謳い文句ですが「脅威」にしか考えられませんね(笑)

何で経年劣化で硝子面に腐食など曇らなかったのか・・不思議です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は見る角度により拭き残しのように見えてしまう硝子面の経年劣化に伴う汚れ状などが残っていますが清掃しても除去できません。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑13枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧な円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
(操作性についてはマウントアダプタ側の評価です)
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。附属させているマクロヘリコイド付のマウントアダプタに関しては、海外オークションebayで自作している出品からの調達品なので、当方で不具合などの責任を被る謂われがありません。何かあれば可能な限り対応しますが、基本的に当方に対する責任所在がありませんのでご留意下さいませ。

またこのモデルは『沈胴式』ですが、届いた時の個体の状況は「爪が機能しておらずロックされない (つまりスカスカ状態)」だったので、ちゃんとシッカリ固定するよう処置を講じて改善させています (そうしないと撮影でピント合わせしている最中に沈胴してしまうから)。

またマクロヘリコイド付マウントアダプタ側のトルクは「ワザと重めに仕上げた」ので、こちらもご留意下さいませ。理由は、このモデルの「絞り環操作」が前玉の周囲であり、操作し辛いのと「操作が重め」なので、ピント合わせ後のボケ具合の微調整の時にピント面がズレないようにする目的です。

↑『沈胴式』なのでマウント部が鏡胴と独立しています (赤色矢印)。

↑ロックを外して『沈胴状態』にするとこんな感じで鏡胴がごっそりと丸ごと収納されます。

↑こちらはマウント部を後玉側方向から撮った写真です。鏡胴には「 (3つ)」があり、その爪がマウント部のロック用爪 (切り欠き) に固定されて動きにくくなるので「ロック状態」になります。

↑上の写真で言えば「反時計方向」に鏡胴を回すと「爪がマウント部の切り欠き内部にスライドして入りロックされる」仕組みです。

当初届いた時はこのロック状態が「スカスカ」だったので、ピント合わせしようとするとすぐにロック解除になって鏡胴が「沈胴を始める」為にカメラボディ側の撮像素子が怖かった状態でした。

現状バッチリロックされるよう調整済です (もちろんチカラを入れればロックは外れるので同じ状況になります)。

↑こちらが海外オークションebayで自ら自作している出品者のマクロヘリコイド付マウントアダプタです。マウント部自体はおそらく当時のソ連性「Keivカメラ」辺りから取り外しているのだと思います。

↑マウントアダプタの裏側にはちゃんとSONY Eマウントなので「リリースマーカー●」があるのですが、これが正常品ではなくて(笑)

↑そのまま型番の刻印を信じてマウントアダプタをカメラボディ側に装着しようとすると填りません(笑) それもそのハズでご覧のとおりズレた位置で設計/製産してしまったマウントアダプタだと思います (赤色矢印)。

↑するとマウントアダプタをカメラボディ側に装着する際にいちいちアッチコッチ傾けて適正な位置で装着するハメに陥るので (それでは面倒で仕方ないから) 正しい位置に当方の手で (ドリルを使って) リリースマーカー」を用意しました。マウントアダプタの着脱時はこのマーカーを目安に操作して頂ければ普通の使い方で大丈夫てす(笑)

なお、写真に写っているカメラボディ「α5000」はあくまでも説明用なので、ちゃんとオーバーホール工程時はフルサイズの「α7II」でチェックしながら作業しています。

↑鏡胴本体をマクロヘリコイド付マウントアダプタに装着する際は、上の写真解説のようにマウント部のリリースキー (グリーンの矢印) とマウントアダプタ側の切り欠き部分に合わせて (刻印箇所) 差し込むと入ります。

↑鏡胴をマウントアダプタに差し込んだ状態を撮りました。こんな感じで切り欠き部分にストンと鏡胴が填ります (グリーンの矢印)。「」がアッチコッチに刻印されているので分かりにくいですが、一度操作すればすぐに慣れます (簡単です)。

↑この状態で鏡胴をブルーの矢印①方向に回していくと (鏡胴を指で保持しながらでもロック解除になっても何でも構いません) ロック用ツマミの四角い切り欠き部分にカチッと鏡胴側のリリースキー (小さな板状突出) が填ります (グリーンの矢印)。

↑これで鏡胴がロックされたのでピント合わせの為に「時計の針方向に鏡胴を回していく」と、最短撮影距離:90cmのところで1周回った事になります (赤色矢印)。

↑本来製品としてのソ連性フィルムカメラ「Keiv」ならそこで停止してしまうのですが、このマウントアダプタは停止しません。そのままどんどん回していくと2周目が回りきって「再び90cmが来る」ワケです (赤色矢印)。この時グリーンの矢印のとおり「ヘリコイド (オス側)」が顔出ししていますし、もちろんグリースもそのまま附着しています。

↑さらに回していくとついに「3周目」に至り「三度90cmが来る」ワケですが (赤色矢印)、ここがこのマウントアダプタでの最終地点です。しかし何度も言いますが「勝手にカチンと突き当たって停止しません」から、このまま回していくとヘリコイドが脱落します (外れてしまう)。ご覧のようにだいぶヘリコイド (オス側) のネジ山が露出していますね (グリーンの矢印)。

↑何度も完全解体して調べたのですが、どうにも「停止させる工夫ができない」構造なので仕方ありません。とにかく「3周以上回さない」ようご留意下さいませ。仮にヘリコイドが脱落して外れても、またネジ込んで「∞」刻印の位置合わせをすれば良いだけですから大事にはなりません (グリースで指がベトベトになるかも?)。

前述のとおりグリーンの矢印のヘリコイド (オスメス) 部分には「粘性重め」のグリースを敢えて塗布しているのでご留意下さいませ。

↑鏡胴がロック状態にあり、ちゃんと飛び出ている状態の時マウントアダプタ側の内部から見た撮影です。ちゃんと「」が切り欠きの中にはいつロックされていますね。

↑この時鏡胴を回して「」を外すと『沈胴状態』になります。ご覧のようにマウントアダプタ内部に飛び出てきますね。

↑一応このように『沈胴状態』にしてしまっても、カメラボディ側の撮像素子面を傷つけたりしない位置までしか入りませんが、ミラーレス一眼ではない場合はミラーが干渉すると思うのでご留意下さいませ。

↑このモデルの絞り環は上の解説位置にあり、少々使い辛い印象ですが(笑)仕方ありません。鏡胴側と絞り環側と2箇所にギザギザのローレット (滑り止め) が用意されていますね。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離90cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

一応「1周目の90cm」で撮影した場合ですから、このモデルの本来の (スペック上の) 最短撮影距離位置での実写になりますね。

↑こちらの実写はマウントアダプタ側をさらにもう1週回して「2周目の90cm」にセットした時の実写です。同様手前側のヘッドライトにピントを合わせて撮っています。

↑さらにこちらは「3周目の90cm」に至った時の実写です。ピント位置は同じです。

するとこのモデルで附属のマウントアダプタ経由繰り出しながら撮影する時、以下のようになります。

【ヘリコイド繰り出し/収納時の最短撮影距離】
1周目の90cmまで:本来の仕様での90cmのまま
2周目の90cmの時:本来の90cmを逸脱して最短撮影距離60cm迄被写体に近接
3周目の90cmの時:さらに逸脱したまま最短撮影距離30cmまで被写体に近接

・・こんな感じです。

つまり被写体に対して90cm〜60cm〜30cmまでシームレスに好きな場所で近寄っての近接撮影が実現できると言う話です。但しそうは言っても仕様上の最短撮影距離は90cmですから、そこから先の繰り出しによる近接撮影時は「本来の描写性能から逸脱した画像」である事にご留意下さいませ。

よくヤフオク! などでこのようなヘリコイド繰り出しが可能なマクロヘリコイド付マウントアダプタをセットにして、純正のオリジナルの描写性のまま近接撮影ができるような事を謳っている場合がありますが、それは成り立ちませんね(笑)

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」

↑同様1枚目が「2周目の90cm」で3枚目が「3周目の90cm」の時の実写です。以下同じ順番でアップしていきます。

↑さらに回してf値「f5.6」でそれぞれ撮影しています。

↑f値「f8」での撮影です。一部で撮影時によく見えなくてピント位置が多少ズレて撮っている場合がありますので、ご容赦下さいませ (何しろ絞りユニット環が使い辛い)(笑)

↑f値は「f11」に上がっています。

↑f値「f16」での撮影です。「3周目の90cm」で撮った上の写真などはもぅ本格的に「回折現象」の影響を受けまくった写真ですね(笑)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。絞り環がもうほとんど微動しない位置が「f22」なので、一部ピント位置までズレてしまいました。

  ●               ● 

現在ヤフオク! に出品中ですが、お問い合わせ頂きましたのでこのページで追加掲載したいと思います。

お問い合わせ頂いた内容は「前ピンのように見えるのですが、ミニカーにピットが合ってる 画像アップできますでしょうか?」と言うご依頼でした。

当方の写真スキルが本当に下手クソなので、上手く確認用の実写を撮影する事ができず、誠に申し訳御座いません。お詫び申し上げます。

一応この実写コーナーの一番最初の1枚目に記載した通り、ピントはミニカーの「手前側ヘッドライトのさらにその電球」に合わせて撮っています。従って、決して前ピンのつもりでは なかったのですが、本当に下手クソでなってなくて申し訳御座いません。

ここからもう一度、今度は「ミニカーのフロントグリル辺りDATSUNにピントを合わせて」 続けて実写撮影を掲載していきたいと思います。掲載する順番は上記同様に「1枚目が本来の最短撮影距離:90cmでの各絞り値での実写」であり、次に「2枚目がさらに距離環を回して 2周目の最短撮影距離:90cm位置で実質被写体との距離:60cm」です。そして最後「3枚目もう1周距離環を回して3回目の最短撮影距離:90cmの処で、実質距離:30cmの近接撮影」です。

【ヘリコイド繰り出し/収納時の最短撮影距離】
1周目の90cmまで:本来の仕様上での90cmのまま
2周目の90cmの時:本来の90cmを逸脱して最短撮影距離60cm迄被写体に近接
3周目の90cmの時:さらに逸脱したまま最短撮影距離30cmまで被写体に近接

・・こんな感じです。

↑まず1枚目はマウントアダプタの距離環を1周回した仕様上の本来の最短撮影距離:90cm位置での開放実写です。ピントはフロントグリルの「DATSUN」辺りに合わせて撮っています。

↑同様今度は距離環をさらに回して2周目の最短撮影距離:90cm位置で、実質距離:60cmでの開放実写です。同様ピントはフロントグリルの「DATSUN」にしました。

↑最後の3枚目は距離環3周目回して最短撮影距離:90cmが来た位置で実質距離:30cmでの開放実写です。やはり「DATSUN」にピントを合わせて撮っています。この要領で、以下同じように各絞り値で3枚ずつ実質距離を短縮しながら撮影しました。

↑1枚目が本来の仕様上の最短撮影距離:90cmでの設定絞り値「f4」での撮影で「DATSUN」にピントを合わせて撮っています。2枚目が2周目最短撮影距離:90cm位置で実質距離:60cmでのf値「f4」です。最後3枚目が同様3周目の位置で実質距離:30cmでのf値「f4」撮影です。いずれも「DATSUN」辺りのフロントグリルにピントを合わせています。

↑さらに絞り環を回してf値「f5.6」で撮りました。1枚目仕様上の最短撮影距離:90cm、2枚目実質距離:60cm、3枚目:30cmです。

↑f値は「f8」に上がっています。1枚目:90cm、2枚目:60cm、そして3枚目:30cmです。

↑f値は「f11」になりました。1枚目:90cm、2枚目:60cm、3枚目:30cm。

↑f値「f16」での撮影です。1枚目:90cm、2枚目:60cm、3枚目:30cm。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。1枚目:90cm、2枚目:60cm、3枚目:30cmです。

気が利かずに本当に申し訳御座いませんでした。お詫び申し上げます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。