◎ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Rollei SL – Xenon 50mm/f1.8(QBM)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツのSchneider-Kreuznach製標準レンズ『Rollei SL-Xenon 50mm/f1.8 (QBM)』です。


距離環や絞り環に施されたシンプルながらも細かいジャギーを伴う ローレット (滑り止め) に艶めかしく眩い光彩を放つクロームメッキを施した銀枠飾り環を配した、この当時のRollei製フィルムカメラ「SL35」用交換レンズ群の意匠デザインが大好きです!(笑)

なので、状態が良さそうな個体を見つけると必ずゲットです!

然しその意に反して、内部構造や調整の難しさから修理を断られてしまうモデルの一つでもあり、当方では様々な整備会社で断られてしまった個体のオーバーホール/修理を頻繁に承っています。

同じ旧西ドイツのCarl Zeiss製やVoigtländer製、或いは後のRollei製など何本も扱っていますが、当方がオーバーホールを始めて7年間に実はこのSchneider-Kreuznach製のSLタイプだけまだ一度も扱ったことがありませんでした。なかなか光学系の状態が良さそうな個体にめぐり会えずにとうとう7年が経過してしまいましたが、今回ついに機会を得ました (初めてのバラし作業です)。

調べたかったのは (確認したかったのは)、筐体デザインが他モデルと同一ながらも内部構造にいったいどのような相違があるのか? どうして市場流通数がこのモデルだけ極端に少ないのか・・この2点について考察を進めていきたいと思います。

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そもそもこのモデルは1970年にRolleiから発売されたフィルムカメラ「SL35」用のセットレンズとして用意された標準レンズですが、本来発売当初にセットされていたのは同じ旧西ドイツのCarl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8 (QBM)」でしたから、モデルバリエーションを探る時そこからスタートしなければ見えてきません・・。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった要素を示しています。
※Rolleiflex SL35用Carl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8」からの展開として掲載しています。

PL5018SL初期前期型:1970年発売

レンズ銘板刻印:Carl Zeiss銘
生産工場:旧西ドイツCarl Zeissブラウンシュヴァイク工場
コーティング:パーブルアンバー

 

CU5018COLOR-ULTRON 50mm/f1.8

レンズ銘板刻印:Voigtländer
生産工場:Rolleiシンガポール工場
コーティング:パープルアンバー

PL5018中期中期型

レンズ銘板刻印:Made by Rollei
生産工場:Rolleiシンガポール工場
コーティング:アンバー

PL5018後期後期型

レンズ銘板刻印:Made by Rollei
生産工場:Rolleiシンガポール工場
コーティング:アンバーパープル

ところが、上のモデルバリエーションはすべて光学系の構成/設計が同一で6群7枚のウルトロン型です (右構成図)。


しかし、今回出品するモデルであるSchneider-Kreuznach製『Rollei SL-Xenon 50mm/f1.8 (QBM)』だけが4群6枚のダブルガウス型です。
従って、筐体の意匠デザインだけで捉えると上記モデルバリエーションの「前期型〜中期型」までと同じですが、今回のモデルだけバリエーションの中に組み入れられません。

しかも、不思議なのは1971年〜1974年辺りまで生産され続けたにも拘わらず上のようなバリエーションの変遷が一切存在しないことです (単発の設計/製産だけで終わっている)。

ここに何かヒントがあるように考えました・・。

そこで海外オークションebayやネット上でチェックできるサンプルを30本ほど調べたところ製造番号が集中していることに気がつきました。具体的には「118xxxxx〜126xxxxx」しか市場に流れている個体が存在しません。シュナイダーの製造番号表をもとに確認してみると、1971年後半から出荷が始まりますが「118xxxxx〜119xxxxx」が集中的に製産/出荷され、翌年1972年には「120xxxxx」番台まで進んでしまいました。その後「126xxxxx」に至る迄が逆に2年半近くを要しています。

ここにヒントがあると見ました。この1971年〜1972年のタイミングは、実は生産工場の一大変化が訪れた時期でありCarl Zeissのブラウンシュヴァイク工場が操業停止してしまった時期に重なります。その後Rolleiのシンガポール工場に製産が移管されますが、そもそもCarl Zeiss自身が1971年にはフィルムカメラの製産から撤退してしまったため、このタイミングである「1971年〜1972年」はオールドレンズ側の供給にも困窮した時期なのではないかと踏んでいます。

ちなみに、途中で出現したVoigtländer製「COLOR-ULTRON 50mm/f1.8」もVoigtländer 自体が経営難からCarl Zeissに吸収合併しているので最終的にすべてRolleiに引き継がれていった流れが見えてきます。

つまり当方の考察としては憶測でしかありませんが、Carl Zeissのブラウンシュヴァイク工場操業停止の打診を (おそらく半年〜1年前に) 受けて、Rolleiはシンガポール工場本格稼働までの間「急場を凌ぐモデル」として今回の出品モデルSchneider-Kreuznach製『Rollei SL-Xenon 50mm/f1.8 (QBM)』の製産/供給を契約したのではないでしょうか?

それが製造番号「118xxxxx〜119xxxxx」の集中製産に比して「123xxxxx〜126xxxxx」が極端に少ないことの理由のように考えます。逆に言うと市場に流れている個体の製造番号は圧倒的に「120xxxxx〜122xxxxx」に集中しているので1971年〜1972年後半までが出荷のピークだったようにも見えます。

このように捉えると実はレンズ銘板に刻印されている「Rollei」の一文字も納得できてしまいます。つまりRolleiからの依頼で委託生産したモデルが当レンズであり、ネット上では「廉価版モデルとして登場した」と案内されていますがその真相は短期間に集中的に供給する必要性から「仕方なく光学系の仕様を変更して単発で設計してもらったモデル」ではないかと結論しました。

その後モデルバリエーションが増えることなく1974年で生産が終了してしまい、且つ筐体の意匠を同一としながらも実は光学系そのものが別モノであるなど、製造番号の符番からも極短期間に集中的な供給だけを優先したモデルとして、そもそも出現したのではないかと言うのが当方の考察です (あくまでも憶測です)。つまりはRolleiにとってメインのセット用標準レンズは「あくまでもシンガポール工場製」であり、工場本格稼働までの急場凌ぎ的な性格付けだったので結果的に現在市場に出回る個体数が少ないように感じます (製産絶対数が少ない)。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「特徴・シュナイダーブル〜・背景ボケ・発色性」で、下段左端に移って
「人肌・動物毛・被写界深度・ゴースト」です。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)

このモデルの魅力が如実に表れている写真が上のピックアップ上段左端1枚目の写真です。

この柔らかな雰囲気、それでいてピント面の鋭さはちゃんと押さえており距離感まで詰め込んだ写真です。その隣の写真がシュナイダーブル〜としか言い表せないようなビミョ〜なブル〜を表現しきっています。人肌を非常にリアルに表現できる要素も実はシュナイダーの「シアンに振れる発色性」から来る結果であり、それは必ずしも「シュナイダーブル〜」だけではありませんね(笑)

このモデルの発色性に関する「素性の良さ」は、実は「赤色の表現性」に現れていると思います。下段左端1枚目の女性のジャケット赤色が違和感ギリギリまで誇張されていないのがその「」です。この自然な原色表現は決して何もかもナチュラルに偏るのではなく、然しながらリアルに忠実に被写体色を再現させる魅力的な表現性を持っていると評価しました。

もちろん「誇張的な赤色表現」がダメだと言っているワケではありません。それは例えば日本製オールドレンズならば「Topcorの赤色」あり、Nikonの赤色表現あり、様々な光学メーカーでこの当時のオールドレンズはライカに続く赤色表現を狙っていたのだと思いますが、その ように一緒くたにならず、ちゃんと自らのポリシーに拘り続けていたシュナイダーにも当方は一票を投じたいと強く思います。

決して侮るなかれ「4群6枚ダブルガウス型光学系」と言わんばかりですが(笑)、まさしくそのとおりで決して「廉価版モデルさ!」と一言で済まされない惹かれる要素を多分に含んでいるモデルと考えます (褒め過ぎ?)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

バラして見れば何のことはなく、筐体外装の意匠デザインが他SLタイプと同一ながらも内部 構造/設計は全く別モノでした。源流たるCarl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8」から受け継いでいるパーツはネジに至るまで何一つ存在しません。非常に合理的、且つ低コストに収めた設計が成されていますが、ちゃんとシュナイダーらしい「神経質な調整」を要する箇所もシッカリ備わっていますね(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。

設計ミスだとしか考えられないCarl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8」の絞りユニットに比べると、どんだけ楽な構造に見えることか(笑)

↑絞りユニットには6個のベアリングを使ってクルクルと回る「開閉環」を備えていました。ここを回した時いつまでも回転し続けるくらい滑らかでないと組み上げた時にマウント面の絞り連動ピン押し込み動作に伴う絞り羽根の開閉で「開閉異常」を来します。

かく言う今回の個体もバラす前のチェックではマウント面の絞り連動ピンを押し込むと、解除した時絞り羽根の戻りが緩慢な状態でした。光学系内を覗き込むと絞り羽根に経年の油染みが残っていたのでそれが原因かと考えがちですが、実は絞り羽根の油染みよりもこのベアリングによる回転機構のほうが重要です (従って解体してサビをチェック)。

たいていの整備では洗浄液に浸して回転がスムーズなのを確認したらそのままバラさずに組み上げてしまうでしょう(笑) 然し、もしもベアリングにサビが生じていれば、洗浄液が乾ききった時に回転にムラが出てくるのでマウント面の絞り連動ピン押し込み動作で再び「絞り羽根の開閉異常」或いはそれに近い状態に戻ってしまいます。そこが当方が拘る「DOH」との相違点です。今回の個体はラッキ〜なことにベアリングにサビは出ていませんでした。

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。非常に合理的な設計なので簡単です(笑) 絞りユニットにベアリングを使った理由などが後の工程で出てきます。

↑完成した鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を立てて撮影しました。ヘリコイド (オス側) のネジ山が切られていますが、ネジ山の勾配が急で大きいことから僅か2段しか切削していません。この考え方はCarl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8」とは真逆の発想です (非常に細かいネジ山で数も多いから)。

↑距離感やマウント部を組み付けるための基台 (上の写真右側) に対してグリーンの矢印の箇所に左側の「空転ヘリコイド」が入ります。従って、ここに白色系グリースが塗られると「擦れる感触」を伴い将来的なグリース経年劣化に拠る重いトルク感もより早く進行することになります。何故なら、このモデルが設計された当時使われていたのは「黄褐色系グリース」だからです。

↑「空転ヘリコイド」を組み付けた後に鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑この状態でひっくり返して撮影したのが上の写真です。「直進キー」と言う距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒の前後動「直進するチカラ」に変換する役目のパーツが両サイドに1本ずつ合計2本鏡筒 (ヘリコイド:オス側) に刺さることで、距離環を回すと鏡筒が繰り出されたり格納されたりする「直進動」が行われる仕組みです。

この時、右側にある「開閉アーム」もグリーンの矢印のとおり鏡筒の直進動に連動して位置が変化することで絞り環で設定した絞り値に見合う角度で絞り羽根が開閉しています

実はこの仕組み/構造がこのモデルの使用に際してポイントになります。マウント面にある「絞り連動ピン」が押し込まれると、その押し込んだ量の分だけ「開閉アーム」が移動し具体的な絞り羽根の角度を変化させています。この認識が非常に重要で、オールドレンズ単体の時大変滑らかなトルク感を維持していてもマウントアダプタに装着すると、マウント面の「絞り連動ピンは常時最後まで押し込まれたまま」になり、その絞り連動ピンに架かっているチカラがそのまま伝達され「空転ヘリコイド」の回転に対する抵抗/負荷/摩擦へと変化します

つまりマウントアダプタに装着した途端に距離環を回すと「僅かなトルクムラ」と「トルク感が少し重く感じる」ことになります。この問題を解消しようとするならば、塗布するグリースを替えて結果的なトルク感を「重く」してしまえばマウントアダプタ装着時のトルクムラなども感じなくなりますが、その時の「重さ感覚」は相当重い印象になってしまいます。

従って現在に於いてほとんどの整備会社で「空転ヘリコイド」に白色系グリースを塗っている場合が多いのが現状と言うワケです。当方では敢えて「黄褐色系グリース」を塗っているのでマウントアダプタ装着時は残念ながら「極僅かなトルクムラ/擦れ感」と「トルクが少し重くなる」現象が発生します (擦れ感はグリースのせいではなく開閉アームが軸を行ったり来たりする時の擦れ感が伝わってくる意味です)。

↑自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) のツマミ環を組み込んでからマウント部 (爪) をセットします。この時、内部スイッチ機構部と開閉アームとの連係を行いつつ、同時にマウント面の絞り連動ピン咬み合わせも同時進行になります。

↑こんな感じで爪の内側には絞り連動ピン用の穴が用意されており、開閉アームと絞り連動 ピンとの噛み合わせが必要になります。

↑実際に絞り連動ピン機構部を咬み合わせてセットが完了するとこんな感じです。

実は一つ前の写真で写っていますが、このモデルにはカメラボディ側への「絞り値伝達機構」が備わっていません。しかし内部にはその機構部を組み込める設計が既に施されているので、マウント種別 (別のM42マウント) の場合には伝達機構を備えられるよう共通パーツ化が進んでいました。

結局、前述の絞りユニット内部でベアリング (6個) による大変滑らかな回転を伴う「開閉環」の構造にしてきた理由は、このマウント面にある絞り連動ピン押し込み動作に連動した「正確なチラカの伝達」を目的としているワケであり、当然ながら当時はマウントアダプタなど存在しませんから装着先はフィルムカメラだけです。するとフィルムカメラ側マウント部内部の オールドレンズ側絞り連動ピンを押し込む「絞り連動ピン押し込み板」には適度なクッション性を伴うにも拘わらずベアリングが必要だったワケですから、相当チカラの伝達に神経質になっていたことが窺えます

つまり「絞り羽根の油染み」はこのモデルには「致命的な不具合の発生」に至るとしか考えられません。オールドレンズは、単にバラしてメンテナンスを施し組み上げるだけではダメで、内部構造の「観察と考察」により設計者の意図を探り出すことで初めて「最終的に適正な整備状態に至る」と当方は考えますね(笑)

今回もそうですが、当方のオーバーホールでは当初バラした時に塗られていた「固着剤」全てを洗浄して除去してしまいます。ところがたいていの整備会社はその古い固着剤を残したまま組み上げています。その理由は「製産時の調整箇所のまま組み上げるから」なのですが、安直に受け取れば至極尤もな話のように思えがちですが、実は固着剤で固めている箇所の調整は既にバラした時点で変化しています。何故ならオールドレンズ内部の構成パーツは各部位が連係してチカラの伝達や機構の連係動作をしているワケであり、それらが変化した以上固着箇所の調整も必須であり (再度執り行う必要がある)、それを単純に製産時の固着箇所だからとそのままにするのは「今回の組み上げに係る調整はどうするのですか?」と言う疑問符が残ったままになります

要はオールドレンズで単焦点レンズの場合は内部構造が簡単だからなどと言っているヤフオク! 出品者も居ますが(笑)、そんな言い分は自らバラして組み上げたことが無いド素人の思い込み (決め台詞) であり「調整の難しさ」は内部構造の単純/複雑には一切左右されません。「チカラの伝達と連係動作の適正」は内部構造に関係無く、バラした以上その都度必ず再調整するべき必須作業であり、その際に検査設備を使って客観的な確認のもとに手による組み上げをしていくのが「結果的に製産時の状態に限りなく近い」ことに至ります。製産メーカーが残っていない以上、製産時と100%同一環境で組み上げることなど不可能であり、絵空事 (いわゆる難癖) としか言いようがありませんね(笑)

↑距離感を仮止めしてから光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

修理広告 DOHヘッダー 

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑Carl Zeiss製「Planar 50mm/f1.8」やVoigtländer製「COLOR-ULTRON 50mm/f1.8」等の同じSLタイプと比べると圧倒的に市場での出現率が低い極限られた期間だけ製産されていたSchneider-Kreuznach製標準レンズ『Rollei SL-Xenon 50mm/f1.8 (QBM)』です。

今回バラしたところ筐体意匠デザインは同一ながら内部構造は全くの別モノであることが判明しました (もちろん光学系は4群6枚のダブルガウス型)。しかしバラした際に距離環を確認すると他のSLタイプと全く同じ仕様で設計されていることが判りました (絞り環側は外装面は同一でも内側は一部仕様が異なる)。本来この当時「商売敵」だったハズのCarl Zeissブラウンシュヴァイク工場から引き継いだ設計仕様がシュナイダーに渡っていたことになり (シュナイダーで仕様書をもとに再設計した距離環と言う意味)、なかなかオモシロイですね(笑)

↑光学系内は驚異的な透明度を維持しています。LED光照射でもコーティング層の経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。前玉中心付近の表面に少々目立つカビ除去痕1点と極薄い約5mm長の引っ掻きキズが1本あります (写真には一切影響せず)。

↑光学系後群側も大変クリアな状態です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側は一見すると極微細な点キズが多いように見えますが拡大撮影すると「非常に微細な気泡」なのが判ります。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:18点、目立つ点キズ:13点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:無し
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には「極微細な気泡」が複数ありますがこの当時は正常品として出荷されていましたので写真にも影響ありません(一部塵/埃に見えます)。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。ご覧のように大変キレイな正五角形に仕上がっています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感を感じさせないとてもキレイな状態を維持した個体です。当方による「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。もちろん銀枠飾り環のクロームメッキ部分も「光沢研磨」したので当時のような艶めかしい眩い光彩を放っています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布しました。距離環や絞り環の操作性はとてもシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微動するので非常に楽な操作性に仕上がっています。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
・マウントアダプタ装着時は距離環を回すと一部にヘリコイドのネジ山が擦れる感触を感じる箇所や極僅かにトルクムラを感じる箇所がありますが、内部パーツ(開閉アーム機構部)の設計上の仕様のため改善できません(クレーム対象としません)。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑マウント種別が「QBM (Quick Bayonet Mount)」ですが、完璧な状態でオーバーホールが完了しています。

確かにネット上で案内されているとおり「廉価版モデル」なのかも知れませんが、その最大の特徴たる「4群6枚のダブルガウス型光学系」はむしろこのSLタイプの中にあって当方は「別の描写性を愉しめる唯一のモデル」として珍重するべきと考えています。

他のSLタイプと比べてより鋭く出てくるピント面のエッジ、それでいて中庸的なエッジの太さから来る鋭さの強調感、ダブルガウス型光学系から来る特有の収差などはグルグルボケとして具体的に味わうことができます。ところが画全体の「柔らかさ/優しさ感」も兼ね備えた絞り環設定絞り値によって変化に富んだ描写性を愉しめるモデルではないかと評価しています。

ある意味、6群7枚のウルトロン型光学系よりも面白みが多いように感じますし、そこにシュナイダーの発色性が加わるとなれば趣の異なる1枚を残すことが可能であり他のSLタイプに混じって1本所有しておきたいモデルではないでしょうか?

今回の個体は光学系の透明度が素晴らしく (極微細な点キズはある)、距離環を回すトルク感も当方にしては上出来な仕上がりで組み上がっています。もちろん無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かな オーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環の絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。銀枠飾り環部分クロームメッキの「光沢研磨」は研磨後に「エイジング」工程を経ていますから、数年で再び輝きが 失せたりポツポツと錆が浮き出たりすることもありません (昔家具屋に勤めていたので職人から磨きについて直伝されており多少なりとも詳しいです)。

フィルムカメラにセットした時のマウント面絞り連動ピン押し込み動作 (つまりシャッター ボタン押し下げ時) の確実な動きも復元済なので、当初バラす前の絞り羽根の緩慢な動きは 微塵も残っていません (シャコンシャコンと小気味良く動きます)。

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮っています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値は「f5.6」になっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。