〓 CARL ZEISS JENA DDR (カールツァイス・イエナ) electric MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−II》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
CARL ZEISS JENA DDR製準広角レンズ・・・・、
electric MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−II》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

《扱いを最後にします》
何故なのか分からないのですが、当方が出品するフレクトゴンはいつも
人気がありません(笑)
何しろハイリスクなオールドレンズなので、扱うにも相応に覚悟を決めて

臨んできたのですが、見向きもされずに誠に残念です。
身から出たサビなのかも知れませんが(笑)、来年の引退までに後数本扱う
つもりでいたものの、あまりの人気の無さにさすがに閉口し、今回で扱い
をやめる事にしました。

Flektogonシリーズをご検討の方は、是非宜しくお願い申し上げます。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のCARL ZEISS JENA DDR製準広角レンズ「FLEKTOGON 35mm/f2.4」の括りで捉えると累計で229本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると91本目です。

おそらく当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計カウントの中で、最もこなした個体数が多いオールドレンズの一つだと思います。

特にこのモデルはネット上解説を見ていても「持病持ち」と評価されるほど不具合が多いモデルで、最終的には当時のCARL ZEISS JENA DDR製オールドレンズの中でこの「黒色鏡胴タイプ」の多くの焦点距離で「同じ設計概念で製産されていた」事からどれもコレも似たような不具合が起きています。

その最たる不具合が「絞り羽根の開閉異常」で、完全開放せずに絞り羽根が顔出ししていたり、或いは最小絞り値まで閉じずに途中「f8〜f11」辺りで閉じるのをやめてしまったり、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作に連係する絞り羽根の動きが緩慢だったり、A/M切替スイッチで上手く反応しなかったり、距離環の回転で鏡筒を繰り出すと無限遠位置側と最短撮影距離位置側とで絞り羽根の開閉動作が同じにならなかったりと・・もぉ〜挙げるときりがないくらい多くのトラブルが起きています。

しかも前述した不具合が全て「絞り羽根開閉動作」に纏わるトラブルの話なので、さすがに一つのモデルシリーズでどの焦点距離でも似たような不具合が起きているとなれば「それは設計の欠陥」とも指摘できます (但し前述のように後期型たる黒色鏡胴モデルのお話です)。

↑上の写真は以前このモデルを扱った際にこのブログで解説用に掲載した写真からの転載です。絞りユニット (絞り羽根を開閉する機構部のユニット/集合体の部位) と光学系前後群 (光学系の前玉から始まる一つの集合体と後玉を含む集合体) をネジ込んで格納する鏡筒を横方向から撮影しています (上の写真では写真の下側が前玉が組み込まれる方向)。

6枚の絞り羽根が組み込まれている「絞りユニット」が既に鏡筒内部の最深部にセットされていて、その組み込まれた6枚の絞り羽根を開いたいり閉じたりする動きを伝達している機構部が「制御カム」になります (赤色矢印)。

その「制御カム」は上下二つの構成パーツで1セットとして機能するよう設計され、それぞれにバネ類が附随していて互いが「絞り羽根を常に開こうとするチカラ」と「絞り羽根を常に閉じようとするチカラ」と言う相反するチカラをバネ類が附随している事で加えつつも「そのチカラバランスの中で絞り羽根が開いたり閉じたりする原理」が絞り羽根の開閉機構部です。

すると例えば絞り環を回してカチカチとクリック感を感じながら設定絞り値を「f5.6」にセットした時、その時の絞り値が最終的に上下二つに分かれているこの部位「制御カム」に伝達されてその設定絞り値に見合う「絞り羽根の角度が内部の絞りユニットで決定されて具体的な角度に瞬時に動くので絞り羽根が閉じる原理」です。

従って絞り環操作で設定絞り値を決められるものの、実はその設定絞り値 (詰まるところ絞り羽根の閉じる角度を決めている) を実現しているのは「絞りユニット内のパーツ」であり、このCARL ZEISS JENA DDR製オールドレンズの様々な焦点距離たる「黒色鏡胴モデル群」に於いて、全てのモデルで同じ設計概念を採っています。

もちろん焦点距離に従い多少各構成パーツのカタチや長さの相違はあっても、基本的な「制御カム」を経由する伝達方式、及びその時の絞り羽根の角度を決めているのが鏡筒内部の絞りユニット内のパーツである点に於いて全ての「後期型黒色鏡胴モデルで同じ設計概念」です。

この点については皆さんも「黒色鏡胴モデルの外見上から容易に判断できる」事を認知するべきです。「黒色鏡胴モデル」はどの焦点距離に於いても必ず同じ配置と集合体の構成で「鏡胴は大きく前後に二分割の設計」を採っているからです。

↑同様に過去に掲載した写真からの転載です。上の写真はまさに今回扱ったモデルと同一のMC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)」ですが、鏡胴は大きくゴロッと2つの集合体として分解が適い「鏡胴前部」と「鏡胴後部」に分割できます (赤色矢印)。

これはマウント面に備わる3本の締付固定ネジを外すだけで上の写真のようにゴロッと外れて分かれますが、互いに鏡胴前部と後部とで連携しているパーツが介在していて、その連係パーツが「チカラを伝達している」次第です (その連係パーツ介在の方法は少し複雑なので初心者の方が分解するともうこの時点で組み戻しできなくなるので安易に分解しないほうが良い)。

このような設計概念は当時の旧東ドイツに於いて、特に時代背景としても旧東西ドイツでの経済格差が深刻化していく過程の真っ最中だった点も実はこれらオールドレンズの設計に大きく影響を来していた事を皆さんは知るべきです。

簡単に申し上げるなら、オールドレンズ内部の様々な部位の細かい構成パーツ達は長き歴史の中でいつも全て金属製で設計されて製産されていたにもかかわらず「肝心な伝達する役目のパーツにエンジニアリング・プラスチック材を使ってしまった」事が欠陥設計の最大の問題点なのです。

長い歴史の中でず〜ッと絞り羽根が閉じる角度は「人の手の操作で手動式で決めてダイレクトにその場で伝達させてきた」にもかかわらず「自動絞り方式」が当たり前という時代に入った時点で「新たに自動絞りを実現するパーツの設計概念が必要に至った」のがたまたま旧東ドイツの特に経済格差で苦しい状況下だったワケで、そこに「後期型の黒色鏡胴モデルの登場した時の時代背景」を見出す必要があり、同時にだからこそ最も合理化が進んだ構造化として「焦点距離の相違に対し広く共通項的な設計概念を採り入れた」のが「上の写真の鏡胴二分割方式の基本」です。

もちろん同じ事柄が当時の旧西ドイツ側の多くの光学メーカーにも課題になりましたが、旧西ドイツ側の経済は最盛期ではないにしても一応それなりに上手く進んでいたので「各光学メーカーが独自に自動絞り方式に挑み続けられる余力がまだ顕在していた時代」とも指摘でき、だからこそSchneider-KreuznachにしてもSteinheil Münchenにしても、或いはA.Schacht UlmやISCO-GÖTTINGEN他、当然ながら今も王者たる君臨を続けているライツ/ライカでさえも特に多くの焦点距離で共通項的な設計概念など採用せずとも個別に設計が適っていた時代です。

つまりはそれら旧東西ドイツの経済格差が大きく影響してしまったのが旧東ドイツ側だったワケで、その中で最大規模を誇っていた当時のCARL ZEISS JENA DDRさえも「合理化によるコスト削減」はまさに背水の陣の如く時は「ベルリンの壁方向事件」と向かいつつある時代だったのです (彼のペンタコンでさえ既に1983年にはCARL ZEISS JENAに取り込まれて完全子会社化が済んでいます)。

・・たかがオールドレンズですが時代背景が大きく関わっている点を知りましょう。

一つ前の転載写真で言えば「上下カム」がエンジニアリング・プラスチック製ですし、上の転載写真でも絞り環からの設定絞り値を伝達するパーツ、或いはマウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込みのチカラを伝達する役目のパーツ、ひいては鏡胴前部の中の中心的な存在たる「鏡筒内部の絞りユニットにセットされている絞り羽根の角度を決めている部位のパーツ」までも、それら全てがエンジニアリング・プラスチック製なのです。

↑これらそれぞれの重要な部位からの伝達を介在させているエンジニアリング・プラスチック製のパーツの中で、最も分かり易いパーツが上の転載写真で示している「上下カム」です (赤色矢印)。「上カム」には特大の引張式スプリングが附随して常時引っぱっている「結果的に絞り羽根を常に開こうとするチカラ」を及ぼしているものの、一方で「下カム」は鏡筒内部絞りユニットに組み込まれている絞り羽根の閉じる時の角度を決めるパーツに附随する「非常に細い引張式スプリング」のチカラで常に引っぱられていて「下カムは絞り羽根を常時閉じるチカラを及ぼしている」設計概念です。

互いに絞り羽根を相反する方向にチカラを及ぼしているにもかかわらず「どうしてスプリングの大きさや線径が異なるのか?」と言う点について、実はとても多くの皆さんが思い込みで思い違いして捉えている「最もオールドレンズで多い認識違い」の一つです。

仮に全く何処の部位も連携せず単純に互いに相反するチカラバランスの中で動き方を決めるなら「互いに使うスプリングはほぼ近似したチカラを及ぼす線径なり強さなり長さに至る」とも考えられますが、現実的にオールドレンズ内部は絞り環操作で設定絞り値が決まり、或いはマウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作で (特に当時のフィルムカメラ時代は) 瞬時に絞り羽根を閉じる動きを行う必要があり、且つ距離環の繰り出し/収納により「ピント合わせ」を経てから初めて伝達されるチカラなのがオールドレンズなので、様々な部位からの影響を受けている限り「同一/近似したチカラを及ぼすスプリングで互いが対向しても機能しない/機能できない」事を知るべきです。

すると「ではいったいどのような経緯で絞り羽根が正しく閉じなくなるのか?」との疑問が湧きます。それは各部位で決まって伝達されてきたチカラが最終的に鏡筒内部の絞りユニットに組み込まれている「絞り羽根の閉じる角度を決めているパーツとそれに附随する非常に細い線径の小さなスプリング」に伝わる際に「上の写真の上カムのスプリングとのチカラのバランスが既に崩れているから」と明確に指摘できます。

・・120%以上明確に指摘できます!(笑)

互いがエンジニアリング・プラスチック製で造られてしまった「上下カム」がそのチカラを伝達する瞬間は上の写真グリーンのラインで指し示した「僅か1mm少々しか互いに接触しない部分」だけなのです。

要は「上下カムが経年摩耗で水平を維持できなくなるとこの接触箇所の長さに変化が起きて正しく適切なチカラを伝達できなくなる」のが結果的に「絞り羽根開閉異常」の因果関係です。

もっと言うならこれら「エンジニアリング・プラスチック製の上下カムを締め付け固定しているのは金属製の締付ネジ」である点にも当時のCARL ZEISS JENA設計陣の経年摩耗に対する配慮の無さが伺えます。

上下カム」の接触面と合わせて金属製締付ネジで締め付け固定している「軸部分」の2箇所でエンジニアリング・プラスチック材の経年摩耗が進行し、或いはそもそも材の耐性からして (その成分や配合がどのように関わるの知りませんが) 経年に耐え得る設計を見越していなかったことは歴然です。

前述のようにこの「上下カム」だけに限らず、様々な重要な部位から伝わってくる非常に大切なチカラの伝達経路にエンジニアリング・プラスチック製パーツが介在してしまった事で、同じ状況が起きてしまい最終的な「絞り羽根開閉異常」を引き起こしているのが現実の話です。

10年間で今までに扱ってきた228本の同型モデル「MC FLEKTOGON 35mm/f2.4 (M42)」或いは「FLEKTOGON auto 35mm/f2.4 MC (M42) (いわゆる俗に呼ばれている白MC)」に於いて、それらトラブルを引き起こしている部位と構成パーツが別にしても、結果的に介在しているエンジニアリング・プラスチック製パーツのせいで不具合に至っているのが、まるで共通項的な因果関係であり、それこそ「共通項的に使える設計概念は半世紀以上に及ぶ経年を経て、まさに共通項的なトラブルの原因を引き起こす所在に到達した」と言う皮肉な結末を向かえているのです(笑)

・・はたして半世紀後にデジカメ一眼/ミラーレス一眼で使われると誰が予測したでしょう。

おそらくは当時のCARL ZEISS JENA設計陣は経年摩耗や耐性よりも「経営陣から厳命を受けている今年1年間のコスト削減目標をクリアできるか否か?!」のほうが圧倒的に頭の中を巡っていて(笑)、きっと日々それしか気にしていなかったのでしよう。

それがまさに旧東西ドイツの経済格差が深刻化して、合わせて競合光学メーカーや弱小光学製品製造会社を次から次へと吸収合併していった「総従業員数4万4千人規模を擁する旧東ドイツ最大の光学メーカー」だったCARL ZEISS JENAの終焉期たる断末魔の中で世に現れた「後期型黒色鏡胴モデル」と言えるのではないでしょうか。

・・おそらく当時の全デルに共通項的に採用した設計概念は何よりも誇りだったでしょう。

確かにそのような偉業を成してしまった光学メーカーは旧東西ドイツの中で唯一の存在とも言え、まさにCARL ZEISS JENAだけです。ここまで焦点距離にかかわらず「前後2分割方式の鏡胴」を採り入れられたのは先進的とも受け取られますが、如何せんエンジニアリング・プラスチック製パーツを重要パーツに設定してしまったのが仇となりました(涙)

当方のデータベース上では、今まで10年間に扱った個体数「229本の中で絞り羽根開閉異常/絞り連動ピン連係異常/設定絞り値伝達異常/ヘリコイドトルク異常などを既に抱えていた個体数は今回の個体を加えて168本と73%を占める勢い」になっています(涙)

↑上の写真も過去の転載写真ですが「距離環と基台」を並べています。ご覧のとおり「距離環の裏側はビッシリ上から下までヘリコイドのメス側ネジ山」ですし、基台も肉厚が薄いアルミ材削り出しながらもグリーンの矢印で指し示したように「短いネジ山」なので、結局当時のCARL ZEISS JENA製黒色鏡胴モデルの多くは「短いネジ山の回転だけで鏡筒をグリグリと急勾配で繰り出し/収納させる設計」を採っていたのがお分かり頂けると思います。

・・何を言いたいのか???(笑)

半世紀以上を経たオールドレンズなのだから「多少外観上の打痕や落下痕、或いはぶつけた痕が残っていても全然気にしない」ではなくて、目一杯気にするべきなのです!(笑)

例えば距離環裏側の「ヘリコイドメス側ネジ山の長さ/段数の多さ/量」を見ただけでも歴然ですが、これだけの長さの繰り出し量/収納量を誇るので「それだけ長い板状パーツ直進キー」が必須になる設計を平気でやっていたのが分かります。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑こちらも過去からの転載写真ですが、鏡筒を格納する筒状の両サイドに「直進キーガイドと言う溝」が削られて備わります (赤色矢印)。そこをご覧のとおり「直進キー」と言うL字型になっている板状パーツが行ったり来たりスライドしていくので (グリーンの矢印)、距離環を回すとその「回転するチカラ (グリーンの矢印)」が直進キーで「直進動するチカラに変換 (グリーンの矢印)」されるのでピント合わせができる原理ですね。

この鏡筒を格納する筒状のパーツには「ヘリコイドオス側」が組み付けられるので、この筒状がググ〜ッと距離環内側のヘリコイドメス側ネジ山を行ったり来たりしているのです。相当に長いネジ山をめぐって回っていきますョね?

・・するとどんな問題が想定できるのか???

詰まるところ「筐体外装の特に距離環と基台に打痕があればトルクムラの原因になる」のがご理解頂けませんか???

確かに半世紀以上を経ているのでオールドレンズにキズや擦れが無い個体を期待するのは難しい話ですが、しかし「打痕や落下痕にぶつけた痕」があからさまに残っている個体を手に入れる「その懸念の高さは別の角度からの話」である事を解説しているのです。

つまり外観の問題として捉えている限りそれら懸念する不具合を避ける手立てがありません。何故なら「あからさまに真円を維持できていない個体たるネジ山でどうやってトルクムラを防ぐのか?」と言う命題の答えを皆様に突きつけているのです・・(怖)

如何ですか??? 単なる外観の綺麗さや良し悪しの問題ではなくて、事は操作性の問題に至る話であって、それは「まさに写真撮影するたびにその都度イチイチ不快に感じる内容」である点を指摘しているのです。

・・だからこそ少しはオールドレンズの構造や原理を知るべきなのです。

このモデルで (CARL ZEISS JENA製黒色鏡胴モデルの多くで) 距離環の内側は「ヘリコイドのメス側ネジ切り」なので、或いはとても薄い肉厚の基台はそれらの経年状況によっては「トルクムラを引き起こし、且つ改善が期待できない大きな不具合の要素」なのだと執拗にこだわって申し上げているのです。

当方のこのブログが超長文で「読破するには必ず心痛を伴う」のは百も承知です(笑) しかしそれでもなお皆様には知っていて決して損しない「オールドレンズを手に入れる際の注意点やそのモデルの操作に関わるコツみたいなモノ」を少しでもお伝えできればとの思いだけで、これだけバカみたいに超長文のブログをアップし続けています (本人は本当に心苦しく感じているのです)(泣)

ちなみに最悪な結果を招くにもかかわらず意外と無意識的にそれこそ日常的にヤッてしまう操作を一つご案内します(笑)

このモデルで例えば距離環を回すトルクが「重すぎる」からと、或いは冬になるとトルクが重く変わるからとグリグリと回して繰り出したり収納したりを繰り返していると「トルクが重いのに繰り出し/収納をムリヤリ行い続けるのは直進キーのL字型のその根元にとってはどう言う事をしているのか分かってますか???」・・と言うお話です(笑)

当然ながら最短撮影距離位置まで鏡筒を繰り出している状態までグリグリやっているワケですから、その時の「直進キーはまさに先っぽだけでその貴方様がグリグリヤッているチカラに耐えている」のを・・これからは少しは頭の中に想い留めてあげて下さいませ(笑)

・・直進キーが少しでも斜め状に変形すれば筐体に打痕がなくてもトルクムラが発生します!

直進キーの根元が締付ネジ2本でガッチリ固定されている以上、別にここまで説明するまでもなく自然に誰でも理解できるお話だと考えるのですが、ところが事オールドレンズとなると重いトルクの時についついヤッてしまう操作ではありませんか???(笑)

・・このモデルではその操作が致命的だったりするのです(怖)

そんな事柄もこのように内部の構造を具体的に (あからさまに) 写真で見せられると、おそらくはきっと頭の片隅にでもその情景が残っていて「もしかしたらチカラを入れる瞬間にアッ!と思い出すかも知れない」との儚い期待と願いを込めてお伝えしています(笑)

・・オールドレンズの延命処置とは何も整備だけがその手立てではありませんね(笑)

このようにそのモデルだけに限定した話としても或る特定の操作について留意すべき内容があったりするのが、またオールドレンズの未熟な発展途上だった頃の「まるで証拠みたいな話」のように慈しんで接して頂きたくお願い申し上げます(笑)

当方などはそんな想いに接する時、毎晩酒の肴として実はグリグリヤッていたりするのが本当だったりします(笑) 酔っているから多少なりとも手に入っているチカラの強さは「直進キーにしてみればウゥ〜ッ!とちょっと辛くない?」的な強さかも知れませんが、良く耐えてくれています(笑)

やっぱり操作性を言うなら何はともあれ先ずは「距離環を回すトルク感」でしょう・・そぅ思いませんか? だとしたら目一杯繰り出してグリグリしたくなるのが人情でしょう?(笑) その時にシットリした感触で指に伝わるのが「前に鏡があったらニマニマとヤバい表情してる」的な悦に浸っている瞬間です (だってお酒入ってるし)(笑)

・・いえ、もちろん今回の出品個体は十分適うトルクに仕上がっているからへっちゃらです!

光学系はもう有名で言わずと知れた6群6枚のレトロフォーカス型構成です。右の構成図は今回の個体をオーバーホールする際に完全解体した時、光学系の清掃時に当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした構成図です。

あまりネット上に記されていませんが、このモデルの光学系を前玉側方向から覗き込んだ時に「光学系第2群の締付環がマットな黒色にガッチリ塗り固められている」のが誰でも視認できます。

実はこの光学系第2群は「整備だからと、光学系の清掃だからと締付環を外すとヤバい!」ことをここに明言しておきます。ちゃんと製産時点を維持し続けている個体なら (或いは注意深い過去メンテナンス時の整備者だったなら) この光学系第2群の締付環だけが「マットな反射防止黒色塗料でガッチガチに塗り固められているのを見て不思議に思う」ハズなのです。

何を隠そう、ちゃんと製産時点を維持している個体はこの光学系第2群だけを格納筒に残した状態のまま「振ると小さくカタカタ音が聞こえる」のをもぅだいぶ以前からこのブログで明記しています。

つまり光学系第3群の突き上げで光路長が個体別の適切な状態にセットされるよう処置されているようで、不思議と光学系第3群を組み込むと聞こえていた微かなカタカタ音は聞こえなくなります。

逆に言うなら「あくまでも個体別の光路長のビミョ〜な相違で決まる話」と推測できるので、個体によってはこの光学系第2群だけを格納筒に残したままでも音が聞こえない事があります。従って一概に振ってカタカタ音がするのが正しい/適切とは言い切れません。

さすがにこれだけは製産時点にその工程に於いて治具を使って決めていたであろう締付環の固定位置でしょうから「光学系第2群だけは取り出さないほうが無難」と言うお話です (格納筒に残したままで清掃するべき)。

このような話はもちろん当然ながらたった1本の個体だけでは推定が適わない内容ですが、せっかく今までの10年間で228本も処置してきたなら「せめてこのような内容の話くらい考察を進めて広く知らしめるべき」なのがある意味配慮ではないかと感じたりします。

詰まるところ「観察と考察」がとても重要であって、合わせてその時に判定を下すパワーとなるのが「原理原則」です。今回の個体で言えば6個もある光学硝子レンズを締め付け固定している「締付環」のうち、どうして光学系第2群の締付環だけがマットな反射防止黒色塗料で塗り固められているのか?

もっと言うなら過去メンテナンス時に塗布されてしまった「製産時点に処置されていない反射防止黒色塗料の着色」をちゃんと当方自らの手で溶剤を使っていちいち除去しているからこそ「その溶剤でも一切除去できない反射防止黒色塗料はまさに製産時点に焼き付け塗装された箇所」とも指摘でき、それが光学系内となれば「まさに個体別の光路長を治具で検査しつつ塗り固めた締付環」との推測が成り立つように考えます。

こんな内容の話はネット上の何処にもアナウンスされていないので、信用/信頼が皆無な当方の戯言とお笑い下さいませ(笑) 現実に溶剤で溶けないのは事実ですしさらに塗り固められているのもどんな個体でも前玉側から覗き込んですぐに視認できます。決してウソを述べているワケではなくて実際に締付環が固定されているワケで (見えるし) あながち何かしら理由があったと捉えても罪にはならないと考えています。

・・まぁ〜ウソだと誹謗中傷するならどうぞご勝手に!(笑)

なお、右構成図のとおり で色付けした部分の基本成分が3枚玉トリプレット構成なので、いくらレトロフォーカス型構成としてもピント面の鋭さは折紙付きです。然し重要なのはその折紙付きの鋭さではなくて「3枚玉トリプレットの誇張感が少ない先鋭感がステキ」との意味合いで今回 の色付けをして解説しています。

例えば同じ数世代前の旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製準広角レンズ「Flektogon 35mm/f2.8」などの光学系構成がありますが、同じレトロフォーカス型構成としても「基本成分は3群4枚のテッサー型」なので、その鋭さがやはり折紙付きです。しかし実は実写を観るとその誇張感が違っていて、何となくこちらの「MC FLEKTOGON 35mm/f2.4」のほうが落ち着いた大人向けの鋭さとでも言いましょうか(笑)、そんな安心できる/違和感を感じないピント面の鋭さがステキに感じます。

巷ではまるでマクロレンズの如く評価を加えているネット上の解説がとても多いですし、それこそ当方と同業者たる煮ても焼いても食えない『転売屋/転売ヤー』が挙って謳っていますが(笑)、そんな最短撮影距離20cmでのマクロレンズに匹敵する云々な話よりも当方は「ピント面の鋭さの落ち着いた到達感に魅力を感じる」からこそ 色付けして解説しているのです。

・・何故に最後のモデルで基本成分を3枚玉に採ってきたのか???

そして詰まるところ1950年にフランス屈指の光学メーカーP. ANGÈNIEUX PARISにしてやられた「世界初の準広角レンズRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」の開放f値に相当頭に来ていたのが伺えるからオモシロイのです(笑)

・・何でワザワザ半端な「f2.4」を採ってきたのか???

Angenieuxの「f2.5」を意識していたとしかどうしても考えられません(笑) 詰まるところAngenieuxのモノコーティングではなくてマルチコーティング化で出してきて、しかも開放f値を「f2.4」に採り、合わせて最短撮影距離20cmと自動絞り方式採用で「何でもあり!」的にまさにざまぁ〜みろ!の如く当時のCARL ZEISS JENA設計陣の怒号が聞こえてきそうです! このモデルの発売が1972年ですから、まるで22年越しの「ざまぁ〜みろ!」と相当な鼻息を感じますね(笑)

・・オールドレンズ、本当にロマンがいっぱいで楽しいです!!!(笑)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はMC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。気にされる方が居るので上の写真でレンズ銘板の製造番号の箇所を画像ソフトを使って消しています。製造番号がMAX値に到達してしまいリセットされる直前の出荷個体で1976年製造と推定できます。

前回今年の6月にこのモデルをオーバーホール済でヤフオク! 出品した際は (eelctricモデルではありませんが)「即決価格49,500円」でご落札頂きました。今回も同じ価格で出品させて頂きますが、念の為直近の海外オークションebayの流通価格帯を調べたら「何と5万円の大台に乗り始めている」事を知りビックリです(驚) 確か昨年まではさすがに5万円台の大台は目にしなかったと記憶していますが、オドロキです。

なおこの「electric」がモデル銘に附随するタイプは特に「前期型−I前期型−II」のモデルバリエーション時期に於いて突発的に製産されて出荷されていたようで「付番されている製造番号に連続性がない」点をネット上のサンプル写真から検証済です。

と言うのもこの「electric」が何かと言えば絞り値をフィルムカメラボディ側に伝達する「電気接点端子」の事なので、マウント面に備わる3つの黄銅製金属端子の突出でフィルムカメラ側に伝達しています。その対象となるフィルムカメラが当時のPENTACON製であった事からも (当時既にPENTACONはCARL ZEISS JENA直下の配下として国の産業工業5カ年計画の体制の中に組み込まれていた) 容易にそのオプション交換レンズ群の一つだった点が伺えます。

おそらくPENTACON製の「PRAKTICARシリーズ」が登場してくるタイミングの前後で設計が進んで発売されたのがこのモデルの当時の背景とも推測できるので (PRAKTICARにも3個の電気接点端子がマウント面に存在する)、その市場受け動向を見ながら需要に即して都度製産出荷していたとみています。

たかが製造番号ですがその連続性がスッカリ欠けているとなれば継続的に連続して製産していたとは考えられず、それは市場動向が大きく影響していたとの捉え方も「電気接点端子付」との付随的要素からして納得できそうです。

このように当時の旧東ドイツの経済状況なども専門研究者の論文を一時期読み漁って知識を得た次第です。

そもそもオールドレンズは一切関係がないハズのそれら専門研究者の論文にちゃんとCARL ZEISS JENA銘が現れていて、しかもその名前が表記されていた附表が「国家産業工業5カ年計画」の特に「精密光学機械VBE」一覧だった点に於いて当時既にCARL ZEISS JENAが旧東ドイツを代表する光学製品の筆頭光学メーカーだったことが明白です。

それら国の産業工業5カ年計画の附表に登場する光学メーカーがたったの2社か記されておらず、CARL ZEISS JENAと共にその配下の位置付けまで記された上で「VEB PENTACON」が明記されていたので、その並び順からして直上にCARL ZEISS JENAが位置している分「配下の立場」だったのがPENTACONであった事が分かります。

この「国家産業工業5カ年計画」はそもそもドイツが敗戦して連合国軍の一つだった旧ソ連邦が旧東ドイツを分割統治したが故に策定された「国家経済発展計画」の一つであり、その基と言えばまさに旧ソ連邦で当時試されていた経済システムそのモノでしたから、その附表に登場した筆頭光学メーカーとなればCARL ZEISS JENAがどんだけ大きな存在だったのかが理解できます。

しかもその直属配下にPENTACONを据えていてちゃんと記載されていた時点で、彼のMeyer-Optik Görlitzを1968年に吸収合併してついにPENTACONも光学レンズの開発生産に将来を繋げていったのが納得できます (PENTACONは長きに渡りフィルムカメラの製造メーカーだったから)。

するとそこにMeyer-Optik Görlitzの悲劇の光学メーカーたる所以が見え隠れし (当方ブログで解説済)、合わせてそのPENTACONさえも実の処、そもそも戦前ドイツで世界初の一眼レフ (フィルム) カメラを開発したドイツ系ユダヤ人の特許権利をユダヤ人迫害で手に入れたものの、敗戦で結果的に戦時賠償の一環として今度は旧東ドイツ時代に入って旧ソ連邦の政策手段の中に組み入れられてしまい、詰まるところ最終的に旧東ドイツ側光学メーカーの技術はその多くが旧ソ連邦側と共存するハメに陥り (戦時賠償の一環だから)、そこに技術の流出が常に背中合わせだったことが伺い知れます (当然ながら旧ソ連軍の軍用レベルでも活用されていった)。そして仕舞には旧東ドイツも旧ソ連邦さえも1989年の「ベルリンの壁崩壊事件」そして1991年の「旧ソ連邦崩壊」へと進み、気がつけばまるで時代の史実の中で弄ばれていった「不遇の光学メーカー達」とも受け取れそうに思います(涙)

・・たかがオールドレンズですが、このような史実との大きな関わりもまるでロマンです(涙)

↑話が反れました。光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

前玉の外周附近に多少とても微細な点状痕が集まっている箇所がありますが、実の処カビ除去痕です (言われて探して発見できるレベルなので写真に一切影響なし)。

ご覧のように前述した光学系第2群の締付固定環がマットな反射防止黒色塗料で加工処置されています。当然ながら光路長も適合しているのでこのブログの最後に掲載したように大変鋭いピント面をその実写でご確認頂けます。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も透明度が高くLED光照射で極薄いクモリが皆無です。極微細な点キズが僅かに残っていますが、それでもとにかくスカッとクリアです。非常に薄くて細い微細な拭きキズ/ヘアラインキズが最大で12mm程度で数本残っていますが、それらも言われて探して発見できるレベルです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大12mm長3本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(前後群内に微細な経年の拭きキズ数本あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・但し後玉表面はカビ除去痕が複数残っている箇所があります。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。また当然ながら絞り環のクリック操作も小気味良くとても軽い操作性で確実に駆動できます。A/M切替スイッチの操作もシッカリと切替時のクリック感が指に伝わり、且つシャコンと瞬時に切り替え動作が完結します。

絞り羽根が閉じた時の最小絞り値「f22」の閉じ具合もちゃんと簡易検査具で検査しつつ微調整済なので適正な閉じ具合に至っています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・マウント面から突出している「電気接点端子」を収納状態に引っ込めて仕上げています。もしも絞り値伝達機能を有するフィルムカメラに装着してご使用の場合にはこの処置をオリジナルの状態に戻します。ご落札後の一番最初のメッセージ欄でその旨ご指示下さい(一番最初のメッセージでご指示頂かなかった場合対応できません)。またオリジナルの状態に戻す(ツマリ電気接点端子がマウント面から飛び出ている状態デクッション式の状態に戻す場合は作業料として「別途1,000円を送料に加算してお支払い頂く必要があります」ご注意下さい(再びマウント部を解体するための作業料として有料です)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『electric MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−II》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

距離環を回すトルク感は一応念の為に神経質な方もいらっしゃるので「重め」と判定していますが、おそらくは多くの方が「普通程度」に感じられると思います。何しろ冒頭解説のとおりネジ山の距離が長いので、そこを繰り出し/収納するレベルとして捉えるなら十分使いやすい操作性に仕上がっていると考えます。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑ヤフオク! での出品ページにも記載しましたが上の写真のとおり赤色矢印で指し示している箇所の製産時点での焼付塗装が「マットでとても微細な凹凸がある梨地仕上げ」に処理されています。今まで10年間で扱ったこのモデルの累計個体数228本の中で「今回が累計で4本目」にあたりますが、おそらく被せ式かツマミ締め付け式のフードが外れにくいように処置されているのではないかと考えていますが、ネット上にもこの当時のメーカーカタログにも一切記載がなく不明です。ちなみにこのフィルター枠も含めた鏡筒カバーは裏側をチェックすると製産時点で焼き付け塗装した時の「治具の痕跡」が残っていて (つまりその箇所だけ焼き付け塗装されていない) シルバーなアルミ合金材が剥き出しなので、逆に言うなら赤色矢印箇所は明らかにマットでとても微細な凹凸がある梨地仕上げ」に処理されていて珍しいです。

もっと言うなら内部の例えば光学系前群の格納筒が入るベース部分などは同じ色合いのメッキ加工としてもマットで微細な凹凸梨地仕上げではなくてブライト処理が施された加工です。その一方で光学硝子レンズが格納される格納筒内側は当然ながら入射光の乱反射を防ぐ目的からマットで微細な凹凸がある梨地仕上げになっているので、部位によりちゃんとメッキ加工や焼付塗装の処理が異なっていることが分かります。

なおヤフオク! 出品ページで一つ書き忘れていますが、筐体外装のマウント部側面に「8㎜長の線状打痕」が1箇所あります。別にシルバーに削れてしまったりしていないのでキレイな打痕ですが、まるでマイナスドライバーで突き当てたような凹み方をしています。上の筐体外装を繰り出し状態で横方向から撮影した掲載写真の3枚目に、その下のほうに写っています。

↑こちらはマウント面を撮影していますが、冒頭解説のとおり赤色矢印で指し示している箇所に「絞り値伝達用の電気接点端子」が備わります。この「3個の突出している電気接点端子」が一部のマウントアダプタで引っかかってしまいオールドレンズを外せなくなると言うトラブルが起きています。

左写真はネット上から転載した同型モデルの写真ですが、マウント面に突出している電気接点端子の飛び出し具合が分かると思います。

特にこの黄銅製の端子の「先端の丸頭のアールの付け方が問題」で、いきなり黄銅製の円柱に鋭角的に丸頭を切削した為に、その鋭角な箇所とマウントアダプタのネジ穴とが干渉し合って引っかかる現象である事を突き止めています。

詰まるところ「電気接点端子の縁を研磨してしまえば問題なくなる」とは分かるのですが、基本的に当方は「なるべくオリジナルの状態を残したい」ので今回のオーバーホールでは「電気接点端子を収納した状態に工夫してある」ので、上の写真のとおり「端子は飛び出ていない状態 (3個全て)」に仕上げてあります。飛び出ていないので前述のマウントアダプタのネジ穴に引っかかることもありません (ウソではなくちゃんと検証しているので後で写真が出てきます)(笑)

↑上の写真はその該当するマウントアダプタですが、日本製のRAYQUAL製マウントアダプタで「M42−SαE」型番の製品です。ご覧のとおりネジ山部には「約1㎜弱の突出 (上の写真で赤色矢印で指し示している箇所)」が備わり、特に当時のFUJICA製オールドレンズの「開放測光用の爪」やマミヤ光機製「SXシリーズ」モデルなどの絞り環出っ張りについて、その干渉を回避できるよう設計されています。

またオールドレンズ側マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を強制的に最後まで押し込んでしまう「ピン押し底面」もグリーンの矢印で指し示しているとおり備わります。

このマウントアダプタのオールドレンズ側マウント面にある「ネジ穴 (5箇所)」が前述の「電気接点端子」と干渉して引っ掛かり、外す際に回らなくなるトラブルに見舞われます。「電気接点端子」側にはクッション性があるのですが、前述のとおり縁の鋭角な仕上がりが影響して引っかかります (クッション性が有効にならない)。

要はオールドレンズ側の問題となる「電気接点端子」の仕上げ方 (と言うかそもそもの設計) が拙くて、黄銅製の円柱にいきなり丸頭部分を切削してしまったので、日本の多くの工業製品では当たり前だった「面取り作業」までキッチリ設計段階で配慮していなかった事が因果関係にあたります。

従って円柱に突然曲面を切削したので「その境界が鋭角に残ったまま」なのが前述の左側に別途ネットからの転載写真をチェックすればちゃんと視認できています。たったそれだけの事ですが、事マウントアダプタのオールドレンズ側面にネジ穴などが残っている製品の場合はそこに「電気接点端子が引っかかる/干渉してしまう/外れない」と言うトラブルに見舞われるのは凡そ察しが付きますね(怖)

これ・・ハッキリ言って噛み合ってしまい外れなかった個体をオーバーホール/修理した事がありますが、ガチャガチャやってどうあがいても全く外れません。何をやってもダメです (例えば隙間から精密マイナスドライバー差し込んでもどうにもならない)。

従って当然ながら完全解体に進むしかなく、しかもその際外せるのは「鏡胴前部側からのみ」と言う話で、その鏡胴前部すら分割が適いませんからなかなかのハードさです(笑) 何故なら「電気接点端子」の基板を締め付け固定している締付ネジがマウント面側から締め付けられているからです。鏡胴前部から何とかしようにもそもそも電子接点基板すら取り外せないので厄介なのです(笑)

・・まぁ〜それでもヤリようはあるので、ちゃんと外してオーバーホールしましたが(笑)

もちろん削ったり割ったり切ったりと破壊する所為など一切施さずにちゃんとキレイな状態で取り外してから完全解体してオーバーホールを完了させ、その際今回同様「電気接点端子自体を収納状態にセットした」だけなので、まるでオリジナルの状態にいつでもご要望があれば戻せるのがポイントです(笑)

・・基本当方は改造するのに抵抗感が強いのであくまでもオリジナルを残す方針です。

↑従って引っかかるのが怖いので前述のとおり「電気接点端子の突出を収納状態に工夫して仕上げてある」ので、上の写真のとおり端子が飛び出ておらず (赤色矢印)、且つ引っかかることもなくちゃんと最後までネジ込めています (だから指標が真上にちゃんと来ている)。

↑この時に絞り環を回して設定絞り値を最小絞り値たる「f22」にセットした時の絞り羽根の閉じ具合を撮影しました。

実はこの状態を「絞り羽根が最小絞り値の時に閉じ切れていない」とクレームしてきた人が居ましたが(笑)、上の閉じ具合が最小絞り値「f22」の閉じ具合である事をちゃんと簡易検査具ですが調べてあるので「この閉じ具合がこのモデルでの最小絞り値f22の閉じ具合」である事を明記しておきます。

そもそも絞り羽根の役目は入射光を遮蔽して光量を制御する目的なので、その絞り羽根が閉じる時に完全開放状態から必ずどの絞り値でも「同じ移動量で開閉する/角度を変える」ワケがありません(笑) 何か思い違いしているようで、例として絞り環の絞り値がクリック感を伴いつつカチカチと変化する時に「半段のモデルなのか一段ずつのモデルなのかの違いしかない」と指摘していましたが、それは「あくまでも絞り環側の操作時の設計の問題」であって、その一方で絞り羽根の役目から捉えるなら「入射光制御は開閉時の開口部面積で決まる」ので開放状態から閉じる時が一番移動量が多く、徐々に最小絞り値に向かって絞り羽根開閉角度はその移動量が減じられる原理なのがちょっと考えれば分かるハズです (従って最小絞り値側では絞り環を回してもほとんど大きく絞り羽根が動かずに微動するだけになる)(笑)

一例として左写真にネット上から転載した同型モデルの最小絞り値「f22」の閉じ具合を掲載していますが「この閉じ具合は絞り羽根が閉じすぎているのでf22を優に超過している状態」と指摘できます (おそらく簡易検査具で実測すればf32さえも越えていると推測できる閉じ具合)(笑)

今度は逆にちゃんと最小絞り値「f22」まで絞り羽根がまさに閉じきれておらず、おそらく絞り値「f11」辺りで絞り羽根が閉じるのをやめてしまっている状況写真と推定できます (実際に今回の出品個体の絞り羽根を閉じていくとf11辺りがこんな感じの閉じ具合になるから)。

もちろん今回の出品個体は上の写真のとおりちゃんと適切な「f22」の絞り具合に絞り羽根が閉じています。

↑今度は中国製ですが当方が必ずオーバーホールの工程の中で使ってチェックしているマウントアダプタ「K&F CONCEPT製M42−NEX」に装着して検証しています。もちろんご覧のとおりちゃんと最後までネジ込めて指標も真上に来ています。

このマウントアダプタもオールドレンズ側マウント面に「約1㎜強の突出が備わる」ので、同様に当時のFUJICA製オールドレンズのマウント面に飛び出ている「開放測光用の爪」を回避してくれますし、やはりマミヤ光機製オールドレンズも問題なく干渉せずに装着が適います。

↑マウントアダプタの内側に「ピン押し底面」の迫り出しが備わるので、ご覧のとおりちゃんと最小絞り値「f22」まで絞り羽根が閉じきりますし、このマウントアダプタの「ピン押し底面は凹面と平面の両面使い」が可能ですが、その両面で問題なく絞り羽根が開閉する事を検証済です。

↑ここまで解説してもまだウソを拡散していると批判されるので(笑)、今度はちゃんと当時の旭光学工業製SPOTMATICと言う一眼レフ (フィルム) カメラに装着して最小絞り値「f22」に設定した状態でシャッターボタンを押し込みバルブ撮影状態で撮っています (レリーズケーブルを使いシャッターボタンを押し込んだ状態を維持したまま撮影しています/だから絞り羽根が最小絞り値f22の状態に閉じたまま写っている)。

これが何を意味するのかと言えば、日本製や中国製のマウントアダプタに装着しても、或いは当時の一眼レフ (フィルム) カメラに装着しても、いずれでもちゃんと正しく適切な「最小絞り値f22」に閉じきっていることを示しています。

これでも信用できない方は大変申し訳御座いませんが当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品するオールドレンズをご落札頂かないほうが良いと思います。

↑当レンズによる最短撮影距離20cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」まで上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めていて解像度の低下が確認できます。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。