◎ PETRI CAMERA CO., INC. (ペトリカメラ) C.C Auto Petri 55mm/f2 black(Petriマウント)

 

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、ペトリカメラ(株) 製標準レンズ『C.C Auto Petri 55mm/f2 black (Petriマウント)』です。

このオールドレンズは、マウントがスピゴット式マウントである「Petriマウント」方式 (ペトリではブリーチロックマウントと呼称している) なので、現状デジカメ一眼やミラーレス一眼に装着するためのマウントアダプタが用意されておらず、ペトリ製フィルムカメラでしか使用できません。ある事情から、今回マウントアダプタを用意することに至り、オーバーホールが完了した個体と共にマウントアダプタをセットにてヤフオク! に出品することにしました。

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当方は、今までにPetriマウントのオールドレンズをオーバーホールしたことが無かったのですが、たまたま「C.C Auto Petri 55mm/f1.8」と言うモデルをSONY Eマウントにマウント改造した商品をヤフオク! で落札しました。そのまま当方所有のミラーレス一眼「SONY製α7II」に装着して使えるようマウントが改造されており、しかも、ヘリコイド式マウントになっていて近接撮影にも対応した優れモノの商品です。

届いて喜び勇んで実写すると、ピント面がどうも甘いように感じます・・いえ、正確に言うと色ズレしているような、していないような? さらに、マウントのヘリコイド部は突き当たりが詰まった感じで停止するので、少々違和感もありました。オールドレンズを見ると無性にバラしたくなる性分から、どのようにマウント部を改造しているのかと言う興味もあり、ついにバラしてしまった次第です (当初は直すつもりで)。ちなみに、このお話は今回出品する個体とは直接関係ありません。あくまでもマウントアダプタを自作する背景のお話です。

実際にバラし始めると、オールドレンズの筐体、及び内部の構成パーツは、ほぼそのままオリジナルの状態で使われていましたが、やはりマウント部に何かしら手が加えられているように見えました。

ヘリコイド方式のマウント部を取り外し、レンズだけの状態にしましたがマウント部がどうしても外れません。初めて解体したワケですから「観察と考察」を繰り返し構造検討した次第ですが、どう考えてもマウント部が外れないワケがありません。

1時間ほど考えた挙げ句、ようやく判明しました。左の写真のようにマウント部の縁に「瞬間接着剤」を全周に渡り塗って接着していたのです (ほんの僅かに瞬間接着剤がはみ出ている箇所を発見して判明)。
そもそも「SONY Eマウント用」にマウント部が改造されていた商品ですから、純正のマウントの爪自体は既に取り外されていてありません。しかし、本来の爪がセットされていたマウント面を確認すると、爪を固定するネジ穴「3箇所」の位置が0.7mmほどズレているではありませんか・・! それでおかしいと気がついたワケです。

さらに調べると、爪を外した後に「ヘリコイド式SONY Eマウント」のパーツを、やはり「瞬間接着剤」を全周に渡り相当な量で塗りつけて接着していたことも判明しました。後玉の周囲をグルッと囲っている壁の外側に「瞬間接着剤」を多量に塗りつけ強制的に「ヘリコイド式SONY Eマウント」部を接着する方法で改造していたワケです。

届いた商品は光軸確認すると、やはり僅かに光軸のズレが生じていましたが、それもそのハズで、後玉周囲の「壁」と「ヘリコイド式SONY Eマウント」との間に極僅かな隙間が「0.3mm」ほどあり、そこを瞬間接着剤の量を多くすることで埋めてEマウント部を固定させていたワケです・・つまり、その0.3mmの隙間の影響から「芯だし」ができておらずに光軸ズレを生じていた次第です (なお、絞り連動ピンも動作しないように瞬間接着剤で内壁部分にベットリ固定してありました)。

実は、どうやって各構成パーツを組み合わせてマウント部を変えているのか、以前からマウント部を改造したオールドレンズに興味を抱いていましたが、さすがに「瞬間接着剤による固定」は頂けません・・ハッキリ言って禁じ手です。どうしてかと言うと、接着剤である以上「剥離する懸念」が残されているワケで、最低でもネジ止めするか固定環で固定するかしなければ、経年の使用に際してなかなか安心できません。

中には、ドリルでネジ穴を開けて用意し、キッチリ固定している改造オールドレンズもあるのでしょうが・・はたして「芯だし」も問題無くキッチリできているのかの心配もあります。しかし、少なくともドリルを使ってネジ穴を開けて固定しているならば「剥離の恐怖感」からは開放されるワケで、瞬間接着剤を使った改造オールドレンズは、ルール違反だと思いますね。それは、今回バラしている最中にマイナスドライバを隙間に差し込んだだけで「ヘリコイド式SONY Eマウント」部が簡単に外れましたから・・(笑) 瞬間接着剤は万能ではありません (接着面の横方向には耐性があっても縦方向には弱い)。

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そんなワケで、今回ちゃんとマウントアダプタを用意できないものかトライする気持ちに至った次第です。Petriマウントのフランジバックを調べると、当時のMINOLTA製オールドレンズ「SR/MDマウント」と同一で互いに「43.5mm」であることが分かりました。と言うことは、SONY Eマウント用の「MD→SONYEマウントアダプタ」を参考にすればフランジバックはピタリと合わせられると考えた次第です。

そこで、ペトリのオリジナルなフィルムカメラからマウント部だけを取り外し、着脱環を僅かに加工した上で代用するマウントアダプタにネジ止め固定しました。本来、オリジナルのマウント部は着脱固定環が90度分回ってオールドレンズを固定するのですが、今回用意したマウントアダプタは、着脱環が「1時」の位置で締め付け停止します (固くなって停止する位置)。一応、スピゴット式マウントなので、それでもしっかりとロックされるのですがご留意下さいませ。

実際に、今回オーバーホールが完了したオールドレンズをセットした状態が右の写真です。「MD→SONY Eマウントアダプタ」と同じフランジバックであることを実測して確認していますが、あくまでも自作品ですから、その点もご承知置き下さいませ (つまりマウントアダプタに関してはクレーム対象としません)。附属品としてのセット販売ですから、単品売りもする気持ちも御座いませんし、返品/キャンセルなどをお受けすることもできません。

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この代用したマウントアダプタは、ミラーレス一眼側マウントとして『SONY Eマウント用』と『富士フイルム FXマウント用』さらに『マイクロフォーサーズ用』の3種類が用意されています。従って、ご落札頂いた場合は、一番最初のメッセージにて必要とされるマウント種別を必ずご指定下さいませ。該当するマウントアダプタに「Petriマウント部」を付け替えて同梱させて頂きます (作業のため1日〜2日発送が遅延します)。

今回出品するモデルは、4群6枚の典型的なダブルガウス型光学系です。少々枚数が少ないですが、Flickriverにてこのモデルの実写を検索しましたので、興味がある方はご覧下さいませ。なかなか鮮やかな発色性ですが実力は相当あるのではないでしょうか・・。今回このモデルをチョイスした理由は、実はたまたま手元にあったからなのですが、バラしてみると相当神経質な調整が必要であることが判明しましたので、次回のオーバーホールする予定は今のところありません (ちょっと懲りたかも)(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。いつも出品している「C.C Petri Orikkor 50mm/f2 (M42)」と比べると、設計生産時期がだいぶ後の時代ですから僅かに複雑な設計になっていますが、基本的なペトリの設計方針は変わっておらず、いつものコツそのままで作業することができました (作業時に注意しなければイケナイ重要なコツがあるのです)。それをミスると致命傷になり下手すればジャンク品に堕ちてしまいます(怖)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。鏡筒内部の絞りユニットを格納する箇所には「梨地仕上げ」が施されていますが、如何にも栗林写真工業らしい加工です (つまりワリと大雑把な仕上げ方です)(笑)

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。上の写真の解説のとおり、このモデルは本来開放F値「f1.8」である光学系を強制的に開放F値「f2.0」に適合させるため、絞りユニットのメクラ環の内周をワザと狭く設計しています。今回初めてオーバーホールするので、まだ試していませんが、メクラ環を開放F値「f1.8」の個体から入れ替えれば、そのまま使えてしまうのではないかと推測します。但し、あくまでも絞り羽根のカタチと絞り羽根の開閉幅制御環の設計が同一と言う前提になりますが・・ (メクラ環だけの問題ではない)。

↑鏡筒の裏側に「絞り羽根開閉幅制御環」を仮に組み付けてみた写真です。用意されている「カム」が開閉幅制御環に用意されている「なだらかなカーブ」部分に突き当たることで、絞り羽根の角度が決定し設定絞り値まで絞り羽根が閉じる仕組みです。真鍮製の肉厚で豪華な「絞り羽根開閉幅制御環」ですが、もう少し簡素に設計しても良かったのではないかと思います・・目的は2つ (絞り環との連係と絞り羽根の角度制御) しか役目がないパーツですから。

↑真鍮製の立派なヘリコイド (オス側) を鏡筒にセットします。

↑この状態でひっくり返して撮影しました。鏡筒はこんな感じでヘリコイド (オス側) の内部にセットされます。

↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられる基台 (基準マーカー指標値環を兼ねる) です。いつも出品している「C.C Petri Orikkor 50mm/f2 (M42)」同様にベアリングの穴が複数用意されているのですが、このモデルには全部で5箇所もの穴があります。上の写真赤色矢印の3箇所が絞り環用のベアリングが入る穴で、グリーンの矢印が自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) 用のベアリングが入る穴として用意されています。

絞り環も自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) も、共にベアリングによって「中空に浮いている状態」で組み付けられる設計です。複雑な設計にしないでベアリングを使うことで固定してしまう賢い発想ですね。

↑実際に「ベアリング+板バネ」をそれぞれセットした状態を撮っています。

↑上の写真の赤色矢印で指し示しているのが「絞り環用」の「ベアリング+板バネ」ですが、板バネは「鋼 (はがね)」を使っています。一方、自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) 用の「ベアリング+板バネ」のほうは「銅板」の板バネなので少々軟らかめです。ベアリングの径は同じモノを全部で5個使うのですが、板バネのクッション性をワザと変えている理由は、それぞれのパーツの役目が影響しています。自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) 側のほうは、純粋に絞り連動ピンの動きを停止させているだけなので、クリック感を強くしてしまうと絞り連動ピン自体を痛め兼ねません (垂直方向に伸びている金属棒に横方向に停止させるチカラが及ぶので)。従って、板バネを銅板にしてクリック感を故意に和らげている次第です。ところが絞り環側は、全部で3箇所に均等配置させたベアリングで保持しており、且つ頻繁に絞り値が変わる操作が行われるワケで、そのチカラに耐えられる反発力を有する材質が必要です。従って「鋼 (はがね)」と言うことになりますね・・オールドレンズの内部構成パーツは、必ず何かしらの役目や目的を以て備わっているので、それを「観察と考察」でシッカリと理解しつつ組み立て工程を進めなければイケマセン (つまり板バネの反発力調整のことです)。

↑絞り環を組み付けます。

↑さらに自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) をセットします。

↑アルミ材削り出しで用意されているヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。この後、肉厚のある真鍮製のヘリコイド (オス側) を組み込むのですが、写真撮影を忘れてしまいました。

いつもの「C.C Petri Orikkor 50mm/f2 (M42)」と同様、今回のモデルもヘリコイド (メス側) がアルミ材削り出しパーツで、且つ肉厚が大変薄い設計なので、真鍮製のヘリコイド (オス側) との関係から、距離環を急いで回そうとしたり、強く保持すると距離環を回すトルクが「重く」なります。これは設計上の問題なのでクレーム対象としません。フツ〜に距離環を保持して回せば、とても滑らかで軽い操作性で回すことができます。

↑マウント部の写真ですが、既に当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。よ〜く観察すると、このマウント部内部は「梨地仕上げ」のメッキ加工が施されていることに気がつきます・・ということは、この場所に経年の揮発油成分が廻ることを嫌っている設計であることになります。当初バラした際は、この場所にはグリースが塗られており一部の構成パーツは既にサビが出ていました。問題なのは、、その構成パーツの中で必ず使われている「捻りバネ」です。やはりサビが出ていましたが、このバネが弱ってしまうと絞り連動ピンの動きが緩慢になり、結果的に絞り羽根が正しく駆動しない症状に至ります。

なんでもかんでもグリースで滑らかに動くようにすれば良いと言う、浅はかな思い込みで過去のメンテナンス時にグリースが塗りつけられてしまったワケですが、せっかく「梨地仕上げ」で設計した配慮も無駄に終わっていました・・悲しい現実です。弱ってしまった捻りバネを調整して本来のチカラを及ぼすようにしましたが、次回サビが出たらもうダメでしょう (つまり製品寿命です)。

↑外していた構成パーツも個別に「磨き研磨」を施し、サビなども除去してグリースなどは一切塗らずに組み付けます・・もちろん大変滑らかに確実な駆動をしています。単純明快でシンプルな設計ですが、唯一「1個だけある捻りバネ」がポイントになることは、過去のメンテナンス時には蔑ろにされてしまいました。たかがバネ一つのことですが、それが原因で絞り羽根の駆動に支障を来すとなれば、問題は大きくなります。当方が呼んでいる「グリースに頼った整備」との闘いは、いつまで経っても終わらずに、永遠に続くのでしょうか・・(泣)

↑マウントの「爪」をネジ止め固定して、この後は光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い (それぞれ「解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認について」で解説しています)、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすればいよいよ完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが完了した『C.C Auto Petri 55mm/f2 black (Petriマウント)』です。上の写真のとおり、自作マウントアダプタが1個だけ附属しています・・「SONY E」「富士フイルム FX」「マイクロフォーサーズ」のいずれか1種類をご落札後の一番最初のメッセージでご指定下さいませ。

今月も長らくヤフオク! への出品を続けて参りましたが、明日からはオーバーホール/修理ご依頼分の作業に移ります (今月のヤフオク! 出品は本日が最後です)。ご依頼者様には、長きに渡りお待たせしており本当に申し訳御座いません・・お詫び申し上げます。順次、整備完了次第ご連絡させて頂きますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

↑光学系内の透明度が非常に高い個体です。残念ながら前玉の表面には経年の極微細な薄い拭きキズ (ヘアラインキズ) が無数にありますが、光に反射させて確認しないと目視できないレベルです。

↑上の写真 (4枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。4枚すべて極微細な点キズを撮っていますが、前玉表面の極微細な薄い経年の拭きキズは、微細すぎて写りませんでした。

↑光学系後群も大変キレイな状態をキープしています。知らなかった (ネット上で解説されていない) のですが、第4群の後玉だけが「黄変化」していました。「赤茶色」の黄変化なので、光学硝子材に「酸化トリウム」を含有しているのかも知れません。試しにUV光の照射をしたところ黄変化が半減程度まで改善したので「酸化トリウム」を含有していると考えます・・何故ならば、コーティング層が経年劣化で変質する、いわゆる「コーティング焼け」はUV光の照射でも一切改善しないからです。「酸化トリウム」は屈折率を20%ほど向上させる目的で当時光学硝子材に含有して生産していましたが、経年に拠る「黄変化 (ブラウニング現象)」から1970年代に入ると使用を止めて、一部は「ランタン素材」などの含有に変更しています。ランタン素材の屈折率改善度合いは10%程度なのですが「酸化トリウム」のような放射線を放出しないので黄変化にも至りません。

↑上の写真 (4枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っています。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
前群内:9点、目立つ点キズ:5点
後群内:10点、目立つ点キズ:7点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
・前玉は極微細な薄いヘアラインキズが多めです。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。当初バラした際に、絞り羽根を清掃していて真っ黒になりました・・(驚) さらに、光学系を清掃していても黒くなります?! フツ〜は黒くなりませんから、どうしてなのでしょう??? 答えは、過去のメンテナンス時に「鉛筆の芯を削って塗 (まぶ) した」ことになりますね(笑) いまだにネット上の解説でも時々見かけますが、絞り羽根に「鉛筆の芯を削って塗すと良い」と案内されていたりします。これは、1950年代辺りまで絞り羽根が「カーボン仕上げ」で備わっていた頃に、同じカーボン素材だからと言うことで絞り羽根の動きを改善させる (油染みを解消させる) 目的で鉛筆の芯を細かく削って塗していたのでしょうが、そもそも光学系の前後群に絞りユニットが挟まれているワケですから、鉛筆の削りカスは光学系内にまで廻ってしまいます。今回バラして清掃した際に黒色になったのは、きっとそのようなことだったのではないかと推察しています。ちなみに、このモデルの絞り羽根は「フッ素加工仕上げ」ですから、そもそもカーボンを塗す意味が分かりません(笑) 絞り羽根の端部分は、一部に経年の染みが残っています (鉛筆の削りカスの影響か?)。

ここからは、鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられる筐体です。当方による「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽め」を塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・ヘリコイド (メス側) の設計上の仕様から距離環を急いで回そうとしたり強く保持するとトルクが重くなります (クレーム対象としません)。
・なお附属のマウントアダプタに関しては自作した附属品なので、如何なる理由でもクレーム対象としません。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑内部の構造化は至って理に適っており、それほど複雑でもなく簡単なレベルに入るのですが、如何せん「各部の調整」に関してはハイレベルのモデルでした。意外とシンプルなほど調整が面倒だったりします(笑) 特に、絞りユニットの調整は厄介なので、正直「Petriマウント」のオールドレンズに関しては懲りてしまいましたね・・(笑) 今回、たまたま手元にあったモデルでしたのでオーバーホールしましたが、次回同じモデルの出品は気が進みません・・マウントアダプタ込みで手に入れられるチャンスですので (とは言っても、マウントアダプタは自作品ですから)、是非ご検討下さいませ。

↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」にセットして撮影しています。

↑さらに絞り環を回してF値「f4」で撮影しました。

↑絞り値はF値「f5.6」になっています。

↑F値「f8」での撮影です。

↑F値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f22」です。