◎ VALDAI (ジュピター・オプティクス / バルダイ) MC HELIOS-44M-7 58mm/f2(M42)

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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方の記録データが無かったので (以前のハードディスククラッシュで消失) 無料で掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。

今回オーバーホール/修理を承ったのは、VALDAI (ジュピター・オプティクス/バルダイ) 製標準レンズ『MC HELIOS-44M-7 58mm/f2 (M42)』です。シシカバブ調のロゴを使っていることでも有名ですが、本来シシカバブは中東地域で食べられている肉をぶつ切りにして串焼きにした食べ物ですから、ロシアでは「シャシリク」と呼ばれる食べ物が該当するのではないでしょうか・・従って、シシカバブのロゴマークと言うのも正しくは当てはまらないのかも知れませんね。

当方ではロシアンレンズの、特に「HELIOS」や「INDUSTAR」シリーズなどのモデルは、ほとんどヤフオク! に出品していません。理由は、市場価格が安すぎるのでオーバーホールを施しても赤字になってしまうからですが、さすがにオーバーホール/修理のご依頼でも承ることは希です。今回はとても良い機会を与えて頂いたので掲載していきたいと思います・・。

ところで、今回のモデル「HELIOS-44」のシリーズに関しては、ネット上で「古い時代のモデルのほうが描写性能が良い」と言う俗説が真しやかに語られ続けており、実際に市場でも古いモデルのほうが人気があるようですが本当にそうなのでしょうか・・? せっかくなので調べてみたところ以下のような一覧ができました (旧ソ連時代の光学研究所の光学仕様書から引用したほんの一例です)。

初期の頃の「HELIOS-44」から始まり、最後の「MC HELIOS-44M-7」までを一覧にしています。こうやって調べてみると、やはり最後のモデルのほうが絶対的な解像度と透過率の良さが分かります・・せいぜい俗説に倣うと「HELIOS-44-2」が僅かに目立ちますが、そうは言ってもマルチコーティング化されてからのモデルに比べると並の上程度でしょう。特に「HELIOS-44M-6/7」は、やはりシリーズ最終モデルとしての描写性能の良さを備えていると結論できるのではないでしょうか・・。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

BTK:1951年 (KMZ製) ※プロトタイプ
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:55cm
絞り値:f2.0〜f22 / 絞り羽根枚数:13枚
絞り機構:プリセット絞り方式 (無段階手動絞り/実絞り)
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:クロームメッキ仕上げ / 指標値:黒

HELIOS-44:1958年 (VALDAI製) ※量産型
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:13枚 / 8枚
絞り機構:プリセット絞り方式 (無段階手動絞り/実絞り)
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:クロームメッキ仕上げ / 指標値:黒

HELIOS-44 zebra:1960年 (VALDAI製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:プリセット絞り方式 (無段階手動絞り/実絞り)
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック & ゼブラ柄 / 指標値:白色

HELIOS-44-2:1960年代 (KMZ/VALDAI/MMZ製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:プリセット絞り方式 (無段階手動絞り/実絞り)
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

HELIOS-44M:1970年代 (KMZ/VALDAI/MMZ製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:クリック式自動絞り装備
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

HELIOS-44-3 / MC HELIOS-44-3:1970年代 (MMZ製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:プリセット絞り方式 (無段階手動絞り/実絞り)
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:白色

MC HELIOS-44M-4:1980年代 (KMZ/VALDAI製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:クリック式自動絞り装備
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

MC HELIOS-44M-5:1980年代〜 (VALDAI製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:クリック式自動絞り装備
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

MC HELIOS-44M-6:1980年代〜 (VALDAI製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:クリック式自動絞り装備
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

MC HELIOS-44M-7:1980年代〜 (VALDAI製)
光学系:4群6枚ダブルガウス型
最短撮影距離:50cm
絞り値:f2.0〜f16 / 絞り羽根枚数:8枚
絞り機構:クリック式自動絞り装備
フィルター径:⌀ 49mm
筐体:ブラック / 指標値:カラー

実際には、この他にもバリエーションがあるので生産工場やマウント種別まで含めると相当な種類が存在しています (とてもまとめる気持ちになりません)。

さらに、最近の変わり種としては・・、

←左の写真のモデルは、MC HELIOS-44M-4以降あたりのモデルを使った創作品のようです。
「Carl Zeiss Jena」銘を刻印し「Biotar」と銘打っています。




←こちらのモデルも、HELIOS-44-2を使った創作品でしょうか。
同様「Carl Zeiss Jena」銘の「Biotar」をあしらっています。




←KMZ製のレンズ銘板まで登場しています。しかも「zeissのT*」刻印付です(笑) もちろん「T*」コーティングではありませんが・・。





←ゼブラ柄になるようアルミ材を削ってしまい、さらにクロームメッキを掛けているので大変キレイです。もちろん創作品ですね・・。





←こうなると何でもアリなのでしょう・・(笑)
真っ赤な筐体のモデルもあったりしますから、ここまで徹底してくると、それはそれで楽しいです。
すべてレンズ銘板を新規に作成して筐体に新たな文字も刻印し、さらに焼付塗装までしている徹底的な創作品です。 



光学系は、すべてのモデルバリエーションを通じて、4群6枚のダブルガウス型構成を採っており、左の光学系構成図は「HELIOS-44」から始まる初期の頃の光学系になります。

ところが、途中の「HELIOS-44M」の辺りで一度再設計されており、極僅かに曲率をイジっているようです・・その後最終モデル「HELIOS-44M-7」まで同じ光学系の設計を引き継いでいたようです。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。「HELIOS-44M-x」のシリーズでは、内部構造は合理化が進み簡素化されパーツ点数が減じられています。ネット上でもメンテナンスする上で初心者向けと案内されていることが多くなりましたが、落とし穴が全く無いワケでもありません・・「原理原則」が理解できていないと、ちょっとしたトラップにハマるハメに陥ります。

↑いっちょ前に鏡筒や絞りユニット関連のパーツはマット塗装仕上げが施されており、経年の揮発油成分が廻りにくいよう配慮されています。鏡筒関連のメッキ塗膜はすべて「濃紺」なのに対して、他のアルミ材削り出しパーツは、そのままの色合いなので、如何にもロシアンレンズ的な配色です。

↑まず最初のトラップですね・・鏡筒内には絞りユニットが配置されますが、1980年代の設計ながらも、いまだに「鋼球ボール (6個)」によるダイレクトな絞り羽根の回転機構を採っています。しかも、その機構部が絞りユニット内部に仕込まれるのですが、絞りユニットが鋼球ボールによって中空に浮いているようなイメージなので、鋼球ボールが均等配置されなければ絞りユニットは滑らかにスルスルと回ってくれません。
上の写真は撮影のためにワザと鋼球ボール (6個) を落とし込んでありますが、内壁の銀色部分が不均一に見えていますから、もうこの時点でダメです(笑)・・その証拠に、絞り羽根の顔出しが均一になっていません。

↑そのような面倒で厄介な絞りユニットならば、バラさずに組み進んでしまえば良いと考えるのですが、実はロシアンレンズはまず間違いなく絞り羽根に油染みが生じていますから、絞りユニット内部に鋼球ボールを含む回転機後部が備わっているのだとすれば、バラさないワケにはいきません。実際、今回の個体も回転機後部まで油染みが侵入していた次第です (放置すれば鋼球ボールが錆びついて絞り羽根の駆動が適正ではなくなります)。

鋼球ボールユニットの内側に絞りユニットが位置しているので (鋼球ボールで中空に浮いている状態)、絞り羽根の位置決め環も必然的に鋼球ボールユニットの内側になります・・ここでピ〜ンと来なければ、自分でバラすのはやめたほうが良いですね。鋼球ボールユニットの内側に絞りユニットが配置されているので絞り羽根の角度調整ができない設計です。つまり、このモデルは鏡筒の位置調整で絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) を微調整することに、この時点で気がついていなければダメです。

↑距離環やマウント部が組み付けられる基台にヘリコイド (オス側) を一緒に写していますが、実は基台側のほうもバラした当初はグリーンの矢印で指し示しているように、メッキ塗膜が既に経年劣化から酸化してしまい薄い緑色に変色しています。基台側は、接触する箇所があるので当方による「磨き研磨」を施し生産時点の本来のメッキ状態まで戻しています (つまり表層面の平滑性が戻っています)。

↑真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

基本的にロシアンレンズはアルミ材削り出しの切削レベルが大雑把です(笑) 結果オーライの世界なので、多少雑な切削でも諸元値さえキープしていれば文句も言われず (そのまま) 正常品として出荷されてしまいます。日本人のような見えない箇所まで拘る気概も気骨もありませんから、関係ない箇所の切削は、それこそ指を切るほどに鋭利です (つまり面取り加工していない)。同様に、距離環を回す際のトルク感に大きく影響する「直進キー」と言うパーツも非常に簡素な設計で用意されており、フツ〜のオールドレンズ並の心構えで取り掛かるとハマることになります。

ロシアは国土に極寒地帯を含む国なので、特殊なヘリコイド・グリースを使っており氷点下マイナス40度でも凍結しないグリースの成分になっています (当方で用意しているヘリコイド・グリースは氷点下マイナス20度までの耐性)。従って、ヘリコイドのネジ山も純正のヘリコイド・グリースを塗布することを前提とした切削が成されているので、いわゆる「グリースに頼った設計」と言わざるを得ません。しかし、その結果、極寒地帯でも平気で使える (凍結しない) オールドレンズが作られていたワケであり、直進キーもそれを見越して簡素な設計で済ませているワケですね。

何を言いたいのか・・オリジナルな純正グリースを使わない以上、直進キーの調整に神経を遣わなければ、滑らかで均質なトルク感の距離環駆動は期待できないと言うお話です。今回の個体は、既に過去のメンテナンス時に純正グリースがキレイに除去されており、代わりに白色系グリースが塗られていました。その白色系グリースも劣化 (液化) が進行し、僅かにグリース切れ状態に陥っていましたから、バラす前のチェックでは距離環にスリップ現象が出ておりピント合わせが少々操作しにくい印象でした (微同時にククッと動く感じ)。従って、何度も直進キーを外しては調整を施して組み直し、距離環を回してトルク感の確認を行う作業を数回繰り返して仕上げていきます。

↑指標値環になりますが、内部にはマウント面の絞り連動ピンから連動する機構部をセットしなければイケマセン。

↑絞り環との連係動作をする「絞り環連係環」と、さらにマウント面の絞り連動ピンの押し込み動作で連動して動く「絞り連動ピン連係アーム」の2つを指標値環の内側にセットします。絞り環で設定した絞り値に見合う位置まで「制限キー」が移動するので、マウント面の絞り連動ピンが押し込まれると、同時に「絞り連動ピン連係アーム」も勢いよく反応して制限キーの位置まで飛び出します。すると先端部の「爪」も一緒に動いているので、結果的に鏡筒から飛び出ている「絞り羽根開閉アーム」を爪が動かして、絞り羽根が設定した絞り値まで角度を変える仕組みです。

単純に組み込むのではなく、重ね合わせになっており、且つ位置が決まっているので、やはり「原理原則」が理解できていないと、意外とこの工程でもハマると思います・・バラす際に位置をチェックしていてもダメで(笑) 「重ね合わせ」の理由が理解できていないと正しく組み込みできないでしょう。しかも、各パーツは非常に柔らかいので、下手にチカラを入れて重ねるとアッと言う間に変形してしまい、特に絞り連動ピンとの連係動作で正しく絞り羽根が開閉しなくなる不具合に陥ってしまいますから注意が必要です。その意味では、このモデルは決して初心者向けとは言えません (もちろん、この部位をバラしていなければ問題ありませんが)。

↑当初バラした際には、前述の機構部にもビッチリとグリースが塗られていましたが、今回のオーバーホールでは一切グリースを塗らずに、それでも大変滑らかに確実に駆動しています (各連動系・連係系パーツは「磨き研磨」を施してあるのでグリースは敢えて塗りません)。完成した指標値環を基台にセットします。

↑距離環を仮止めしてからひっくり返し、鋼球ボールをセットしてから絞り環を組み付けます。

↑マウント部をセットして絞り連動ピンの押し込み動作で「絞り連動ピン連係アーム」が適正な動きをしているのかチェックしておきます。

↑さて、この後は光学系前後群を鏡筒に組み付けていきます。実は、このモデルは上の写真の解説のとおり、前群と後群に1つずつ配置されている貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) に、塗膜が塗られていない箇所があります。硝子レンズのコバ部分は反射防止塗膜が塗られているのですが、どう言うワケかレンズ切削端はそのままです・・。

↑角度を変えて写してみました・・赤色矢印で指し示している部分です。

↑これが (切削端を着色していないと) 前玉側から見た時に (或いは、後群ならば後玉側から見た時に) 上の写真の赤色矢印で指し示したように白くなった輪っかがレンズの外周に附随してきます。これは、個体差にも拠りますが、場合によってはレンズ内反射を招きコントラストの低下に繋がる懸念にもなります・・実際、過去のメンテナンスでは絞り値を絞っていくと極端にコントラストが低下する個体があったので、貼り合わせレンズの切削端をシッカリ着色したところ改善したことがありました。

↑今回のご依頼では特にそのようなご指示は無いのですが、心の健康面にも良いことなので(笑) 今回は着色することにしました (元々、バラす前のチェック時にコントラストの低下が確認できていたワケではありません)。赤色矢印で指し示した部分を黒色着色しています。

↑着色した後に、同じように前玉側から覗くと・・こんな感じです。如何ですか? 白色に輝く輪っかが硝子レンズ外周部分に附随していません。このほうが心の健康面には優しいですョね?(笑) ちなみに、設計上の仕様なので、すべての「HELIOS-44-x」モデルで貼り合わせレンズの切削端は着色されていません。

↑光学系前後群を鏡筒に組み付けてから鏡筒をヘリコイド (オス側) に組み付けて、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすればいよいよ完成です。

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DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑当方でロシアンレンズの、特に「HELIOS-44M-x」モデルをオーバーホールするのことは滅多にありませんから、今回はオーバーホール/修理のご依頼を承ったので特別ですね。良い機会に恵まれて、ご依頼者様にお礼申し上げます。ありがとう御座います!

↑光学系内の透明度はピカイチレベルです。前玉裏面に1点カビ除去痕が残っていますが固定環の裏側なので一切関係ありません。上の写真のように、前述の切削端の着色により光学系内は真っ黒に統一できています。

↑光学系後群も大変キレイな状態を維持しています。光学系内は極僅かに塵やホコリが残っているように見えてしまいますが、清掃でも除去できなかった極微細な点キズですので塵やホコリの類ではありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。当然ながら油染みも完全に除去しており鋼球ボールの回転機後部もキレイですから (グリースは塗っていません)、安心してお使い下さいませ (当分油染みは発生しません)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、当方による「磨きいれ」を施したので、とても落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑塗布したヘリコイド・グリースは「粘性:軽め」を使っていますが、当初バラす前のチェック時から確認できていた、ヘリコイドのネジ山切削レベルに伴う僅かに擦れる感触は残ったままです (オリジナルの純正グリースを使わない限り擦れる感触は解消しないと思います)。距離環を回すトルク感は全域に渡り「ほぼ均一」でとても滑らかに駆動しています。ピント合わせ時には極軽いチカラで微動できるので操作性は良いです。

↑このモデルのメンテナンスに於けるポイント (ハードル) は・・「絞りユニット」と「直進キー」そして「光学系」になるでしょうか。どうして初心者向けと言えるのか甚だ不思議ですが、当方の技術スキルが低い故、そのように感じるのかも知れません(笑)

ちなみに、先日オーバーホールした「富岡光学製:AUTO REVUENON 55mm/f1.2 TOMIOKA (M42)」も、当方の技術スキルの問題からキッチリとメンテナンスできなかったワケですが、最終的に「ハヤタカメララボ」様に再整備に出されることになりました当方の技術スキルは、まさしくその程度ですので、どうか買い被らぬようくれぐれもお願い申し上げます。この場を借りて、ご依頼者様には大変なご迷惑をお掛けしてしまい、改めてお詫び申し上げます・・スミマセン。

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」にセットして撮影しています。

↑さらに絞り環を回してF値「f4」で撮影しました。

↑F値「f5.6」で撮っています。

↑F値「f8」になりました。

↑F値「f11」になります。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。