♦ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
FUJICA製標準レンズ・・・・、
FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

そろそろ一巡してしまったようで「一部金属製」ながら人気がありません(涙)
さすがに80本も整備し続けるとマンネリ化したのでしょか・・???
毎週60台に近づく勢いで流通している為、仕方ありませんがこのモデルも
出品頻度を下げます。
最短撮影距離まで短縮化したので、きっと喜んで頂けると意気揚々で出品した
のですが、こちらも本当に残念です(涙)

・・世知辛い世の中です、本当に。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のFUJICA製標準レンズ「55㎜/F2.2」だけの括りで捉えると80本目にあたりますが、今回扱った「一部金属製」だけでカウントすると21本目です。

その内訳をみると (データベースにオーバーホール状況含め逐一記録している/後にいくらでも詳細の問い合わせに返答できる)、累計本数80本前期型:57本、一部金属製:21本目 (さらにその中で総金属製:13本)、初期型:2本、レンズ銘板金属製:2本目、レンズ銘板まで含めた全ての筐体パーツが総金属製たる、完全体総金属製が1本のカウント状況です。

今回はその中で「一部金属製」として21本のオーバーホール済ヤフオク!出品です。今回の個体は「以下のタイプ」になり年に2〜3本レベルの頻度でしか出回りません(汗)

そしてさらにプラスして「光学系内がスカッとクリア」で、LED光照射でも
極薄いクモリすら皆無という、まさにお勧めの個体です!

このモデルの筐体外装は、本来フィルター枠とマウント部だけが金属製ですが、一部の製造
番号帯に限定して以下のような仕様を変更した個体が顕在します。
(が標準仕様、が一部に顕在する筐体外装の仕様変更)

金属製パーツ:フィルター枠・マウント、樹脂製パーツ:距離環・指標値環・絞り環

金属製パーツ:フィルター枠・距離環・マウント、樹脂製パーツ:指標値環・絞り環
金属製パーツ:フィルター枠・指標値環・マウント、樹脂製パーツ:距離環・絞り環
金属製パーツ:フィルター枠・距離環指標値環・マウント、樹脂製パーツ:絞り環
金属製パーツ
レンズ銘板・フィルター枠・距離環指標値環・マウント、樹脂製パーツ:絞り環
金属製パーツ
フィルター枠・距離環指標値環絞り環・マウント、樹脂製パーツ:レンズ銘板のみ

・・とまぁ〜、当時1976年に発売された廉価版一眼 (レフ) フィルムカメラ「ST605」向けセットレンズとの性格付けで登場した標準レンズだったにもかかわらず、その後1979年にバヨネットマウント「AXマウントマント規格」へと舵切りしてもなお市場動向を補えず、ついに1985年を以て一眼 (レフ) フィルムカメラ事業から撤退しています。

するとその期間、はたして上のの製産は、1976年からどのくらい続いた中での仕様変更だったのかが興味津々です(汗)

ちなみに上の一覧でグリーン色の文字で記した「レンズ銘板が金属製の製造番号」及び「絞り環が金属製の製造番号」のこの2つの製造番号は単独であり、イキナシ製産したかと思いきや
その1回限りの造りきりでやめてしまいます(汗)

まるで総当たりの如く、取っ替え引っ替えアッチコッチ筐体外装パーツの仕様変更に及んでいますが、そんな事をするなら同じ標準レンズ域モデル「EBC FUJINON 55mm/f1.8 (M42)」と同じように、最初から総金属製で造っていればムダなコストを掛けずに済んだように考えるのですが、どうでしょうか・・(汗)

よくこういうコスト面の話になると、材料費の問題として捉えたがる人達が居ますが、それは違うと思います。樹脂材と金属材の違いに拠る材料費の変化など、たかが知れてます。むしろそこに係る「改めて用意する各構成パーツを再設計する労力と、その製産ラインの確保」に合わせて、必然的生ずる「人件費/工程数の問題」のほうが圧倒的に大きいと考えますね(笑)

そもそも上に挙げたの仕様が異なる個体はとても数が少なく、1年に2〜3本出回れば良いレベルであり、特には2〜3年に1本レベルです (当方の記録データベースから)(驚)

今現在のヤフオク!に流れている同型モデルの個体数は、ほぼ毎週50本台で60本を滅多に超えません。その状況は数年前までは週あたり40本台でなかなか50本を超えなかった状況から察するに、間違いなく増える傾向にあるように見えますが、その理由は「安く手に入れて高く売れる美味しいモデルと、目をつけられた」と言うのがクソな『転売屋/転売ヤー』辺りの考えそうなところです (当方含めての話/自分で言うのだから本当の話です)(笑)

さらにさらに、今回お楽しみを付加させて「最短撮影距離53cm」に短縮する工夫で仕上げた、まさに唯一無二の世界に1本しか存在しない個体です!

・・と言うワケで、さすが累計で21本目になるとマンネリ化してくる為(汗)、ここは一つせっかくの「金属製の距離環」なので、工夫を凝らして仕様上の最短撮影距離60cm53cmへと短縮化した次第です(笑)

何だョたったの7cm縮んだだけか・・と言われれば返す言葉がありませんが(汗)、しかしその僅か7cmの短縮だけで「最短撮影距離近くでの入射光量が増大する」点を活かすことに主眼を置いて、今回オーバーホールした次第です(笑)

そもそもこのモデルの大きな魅力たる「真円で本当に細いエッジ表現のシャボン玉ボケ」表出や、トロットロボケまで溶けていく収差ボケまで含めれば、どんだけ入射光量が増える方向に向かっても「嫌われる材料には成り得ない」との悪巧みが働いています(笑)

賢い皆さんはすぐに思いつくでしょうが、確かにエクステンションなどを介在させたり、同じM42マウントでも「ヘリコイド式マウントアダプタ」などを使えば、いくらでも近接撮影の距離を縮められます(汗)・・はたしてその時、無限遠の位置は「ちゃんと∞刻印位置でピタリに合焦しているのか???」と言う、至極当然な、当たり前な話を言うと実は多くの場合で無限遠は対応できていないハズです (無限遠合焦させるためにいちいちヘリコイド駆動させる必要が生ずるから/或いはエクステンションを外す必要が生ずる)(笑)

・・オールドレンズ単体の距離環操作だけで、∞〜53cmまで撮影できる利便性の良さ。

狙ったのは、そういうワケです(笑)

本当はこのモデルで、鏡筒の脱落寸前まで繰り出すつもりで組み立てるなら「最短撮影距離は49cmまで短縮化できる」ものの、実はそんな簡単な話ではなく、関わる構成パーツの制限があまりにも多いのです(泣)・・ウソだと思うなら、試しに上のマークたる樹脂製筐体モデルでサクッとヤッてみれば分かります(笑)

逆に述べるなら、当方で再び同じ仕様の個体を組み立てられるのかと問われれば・・はたして何年先になるか分からない・・と言う次元の整備内容なのです(笑) 確かにたかが7cm短縮しただけで大騒ぎするなと言うでしょうが(笑)、ヤッている本人はマジッに真剣に1日がかりで作業していた次第です (技術スキルが低いから、そんだけ時間を要する)(笑)

そんなワケで、この仕様に魅力を感じられる方 (近接撮影時のボケ具合に魅力を感じられる方) は、是非ご検討下さいませ。そういう方の手に渡って欲しいと願いながら、オーバーホールの工程を進めました(涙)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はFUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。ご報告する瑕疵内容が (後で写真掲載しますが) 前玉中央に残る菌糸状のカビ除去痕1点だけと言うレベルです(驚)・・これは今まで81本も扱ってきた当方にすれば「驚異的な光学系に入る部類」です (ジャンク箱に転がっている37本を足せば、総数118本中の話)(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です・・まさにスカッとクリアです。

・・唯一残る瑕疵内容たる前玉中央菌糸状のカビ除去痕は、以下の写真でご確認下さいませ

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。スカッとクリアで、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

・・告知すべき瑕疵内容は一つもありません(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:8点、目立つ点キズ:5点
後群内:7点、目立つ点キズ:4点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前玉に微細菌糸上カビ除去痕1点あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後玉極微細な薄い拭きキズ2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
(但し前玉に1点だけ極薄いクモリを伴う菌糸状のカビ除去痕が残っています)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。

もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります

申し訳御座いませんが切削はご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。

またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。

↑5枚の絞り羽根もきれいになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感です。距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・装着するマウントアダプタによってはピン押し底面の深さの影響で絞り羽根の開閉動作に問題が現れる懸念があります。出品商品側はK&F CONCEPT製及び日本製Rayqual製マウントアダプタに装着して絞り羽根の開閉動作に異常なく正常である事を確認済みです。マウントアダプタ装着時の絞り羽根開閉動作に係る問題はクレーム対象としません。
・マウント部内部の捻りバネの経年劣化進行に伴い僅かに弱っている為鏡筒から飛び出ているアームを掴んでいる爪が擦れて「カリカリ音」が聞こえてくる事があります(特にマウントアダプタに装着すると聞こえてきます)。捻りバネの経年劣化が原因なのでこれ以上改善できません。また当問題で将来的に不具合を起こす因果関係に至ることはありません。
(神経質な人向けに誇張的表現で記載しています)
絞り羽根の開閉幅(開口部面積/カタチ/入射光量)と光路長の適正化やピント面解像度の向上含め簡易検査具でキッチリ検査しつつ微調整を施し本来在るべき姿として組み上げ終わっています

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回の個体は、特に距離環を回す際に「回してる感の印象を強める意味合いで
敢えてトルクを与えて調整して組み上げている」
為、操作性としては「普通」人により「軽め」程度ですから、絶妙な擦れ感と共にヌメヌメ感とシットリ感の調和をお楽しみ頂けます。

神経質な人向けに「擦れ感多め」と記載していますが、当方が狙う距離環を回す時のトルク感とは「ピント合わせしている時の操作性の良さを確実に脳に伝える目的から、ツルツルに仕上げずにワザと故意に極々僅かな擦れ感を加味している」仕上げです(笑)

いわゆる「白色系グリース」などの塗布による無機質的なツーツーした印象、ツルツルした
操作感とは異なるトルク感ですから、マニュアルフォーカスのオールドレンズが好きな方には絶妙な操作性に感じられると思います。

当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑) 「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処のコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです(笑)
(上の写真左側が標準の仕様、最短撮影距離:60cmの個体で、右側が短縮化した個体です)

仕方ないので、冒頭解説の『証拠写真』として掲載しました(笑)・・一般的な仕様上の最短撮影距離は左写真の如く「60cmの位置で距離環が突き当て停止」ですが、今回の出品個体は冒頭解説のとおり「53cmまで繰り出し量を増やした」為、上の写真右側のように「0.6」の先まで回ってからカチンと突き当て停止します (右側が今回の出品個体です)(笑)

単にヘリコイドオス側 (鏡筒) のネジ込み位置を変更しただけでは、無限遠位置の合致を維持し続けるなら繰り出し量も変わらないのが道理です(笑) 従って「繰り出し量そのものを増やす工夫が必要になる」ワケですが、その点で他の構成パーツとの関係性が求められます。

前述した試しにサクッとマークの樹脂製筐体モデルで同じことをやるとどうなるのか???(笑) 左側のように「フィルター枠の深さが浅いので、右側の繰り出しまで鏡筒が出てくると
距離環との間に2㎜以上の隙間が空いてしまう
」のがリアルな現実です。

もっと言えば、マークの標準仕様タイプは「距離環の内側に駆動域を決めている凹みが用意されていて、その範囲でしか回らないから必ず60cmの位置で突き当て停止する」ため、それよりも先まで回転域を広げるには「その凹みを更に削って広げなければならない」話になりますが、その他の要素も同時に改善させなければ上の写真のようには仕上がりません(笑)

鏡筒繰り出し時の例として説明しましたが、逆に無限遠位置まで距離環が戻った時に「今度はフィルター枠の深さがありすぎると、その縁が先に当たってしまい、無限遠位置まで到達しないうちに距離環が詰まって停止する」と言う別の問題が起きます。要はたかがフィルター枠にも、ちゃんと必要とされる深さ/長さが決まっているのです (適当に同じFUJICA製モデルから
⌀49㎜のフィルター枠を転用してきてネジ込めば良い話にはならない
)(笑)

他にも内部構成パーツに係る制約がありますが、外見上も操作面でも大きな障害になるのが、フィルター枠と距離環の間の隙間になり、もっと言えば「隙間により砂が侵入してヘリコイドに付着する確率が非常に高くなる」懸念まで思い至れば、おそらく誰もヤル気持ちにはなら
ないでしょう(笑)

こういう内容が「僅か7cmの短縮」との指摘の背景に隠れる課題だったりするので、言うは
易し行うは難しでしょうね(笑)

するとここまでの解説で勘が鋭い整備者なら、すぐにピ~ンと来ているハズですが(笑)、転用してきたフィルター枠は「同じFUJINON 55mm/f2.2シリーズの中からの転用」になるものの、はたしてどうしてフィルター枠の深さが異なる仕様の同型モデルが存在していたのかまで既に知っていないとダメですね (他のパーツが関与するから)(笑)

要は冒頭で解説してきたのバリエーションの中で、変化していたのは金属製に変更したパーツだけでなく、他の構成パーツにも細かい影響があり「ほぼ8割方の筐体構成パーツに設計変更が起きていた」とも指摘でき (それこそ絞りユニットに使っている締付ネジまで変わっている始末)、どうしてそこまでこだわって仕様変更し続けたのかについて、未だに理解に苦しむところです (廉価版の位置づけだったモデルなのに)(汗)

なお、仕上がってからの最短撮影距離は実測して調べているものの、単にミニスタジオで計測しているだけなので、実際は凡そ1cm前後の誤差分はお含みおき下さいませ。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
クリーニング用ファイバークロス (新品)

外装の距離環 (と指標値環) が金属製に変わっただけで、単に眺めているだけでもなんとなく外観の質感が変化し、高級感さえ醸し出す印象に変わるから堪りません(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離55㎜開放F値f2.2被写体までの距離53m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度26m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の60m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「平面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

ちなみに「ピン押し底面」は両面使いできますが「平面側/凹面側」どちらでも絞り環操作、或いは絞り羽根の開閉角度など「凡そ当方が気になって確認するべき事柄は全て逐一チェックし微調整が終了している状態」での、オーバーホール済ヤフオク!出品になっています (当たり前の話ですが)(笑)

この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明して
いるので、気になる方はご参照下さいませ (別に中国のK&F CONCEPT社からお金を貰って
いるワケではありませんが/皆様の利便性追求を以て解説すると、今度はそのような意味不明
な批判を言ってくる人が居るからウケます
)(笑)。

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる
)。

 

↑当レンズによる最短撮影距離53cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

なお、2枚めに掲載している写真はつい先日8月末にオーバーホール済みでヤフオク!出品した際に掲載していたオーバーホール後の実写からの転載です。特に被写体として写している
ミニカーの背後「模型のお城の階段辺りのボケ具合」などを参考にすると、ボケ量が極々僅かですが増えているのが分かります (1枚めの写真が今回の出品個体での撮影です)。

簡易検査具でチェックしてみても明確に分かる範囲でボケ量の違いを把握できませんが、感覚的には凡そ「f2.0f2.1辺り」程度の印象です (そもそも仕様たるf2.2の確認チャートがありませんから)(汗)

単に当方自身の解説で「最短撮影距離を短縮すると入射光の光量が増してボケ味まで変わる」と述べても、どうせ信じてもらえないので実例を示しましたが、きっと今度は「撮影時の環境が変わっているから一切参考にならない」と指摘されるのがオチです(笑)・・信用/信頼が皆無と言うのは、本当に寂しいリアルな現実です(涙)

今回このように工夫して最短撮影距離を縮めてみて初めて判明しましたが「僅か7cmの短縮でも、明確にピント面の合焦する被写界深度が、さらに薄くなり浅くなったのを経験できた」と言うのが、実は自分なりの体験として掴むことが適い、まさに単にそれだけの実益だったような (今となっては) 印象しか残っていません・・何故なら、認められずに即決価格を最低ラインまで下げたので (当初即決価格は49,500円)(笑)

・・これが当方の「今」を明示した/評価した、リアルな現実とも指摘できるのでしょう(笑)

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影していますが、絞り環の刻印は単なるドット「●」です。

同様2枚めの実写が8月末の別個体写真での仕様たる「f2.2」での写り具合です。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。2枚めは別個体 (8月末の出品時個体) での実写なので、仕様上の「f4」の写り具合が明確に違ってきているのが分かります (つまり光量が増えてボケ具合が増していると言う意味)。

プラスして、撮影時はピ~ンと来ていませんでしたが(汗)、被写体のミニカーが近接した分で、極僅かに大きく写っているのも当方には「ほぉ~」と頷けたりしました (当然の話ではありますが、そんなレベルの内容でしかありません)(笑)

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほぼ絞り羽根が閉じきっていますが、最短撮影距離を短縮化した為「回折現象」の影響を微塵も感じません(汗)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。