♦ KONICA (コニカ) HEXANON 57mm/f1.2 (silver) EE《前期型》(AR)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
コニカ製標準レンズ・・・・、
HEXANON 57mm/f1.2 (silver) EE《前期型》(AR)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のKONICA製標準レンズ「57㎜/F1.2」だけで捉えると6本目にあたりますが、今回扱った「前期型」だけでカウントすると初めての扱いです。

ヤフオク!などオールドレンズ流通市場には、いくらでもKONICA製オールドレンズが流れていますが(笑)、ちょうど先月に「57㎜/F1.4」を扱い、その際のオーバーホール/修理工程で「初めて一番古い時代の固着剤について、製産時点ではなかった根拠」を掴みました(汗)

これは数十年前に市場流通していた固着剤が「朱色の固着剤」中心だった点を基に、過去メンテナンス時の使用固着剤で一番古い時代は「朱色の固着剤を使った整備」なのだと当方自身がずっと捉えていました (ちなみに現在市場流通が一番多いのは、青緑色の固着剤)(汗)

しかし先月の扱い時に「もっと古い時代の固着剤は褐色」である根拠を発見
してしまい(汗)、
当方の認識を覆しました!(驚)

そもそも当方の持論では「メーカーに拠る製産時点の固着剤の使い方はネジ部に注入する」との捉え方なので、それに則るなら「ネジ頭の上を覆うように被せて塗布する褐色の固着剤」は製産時点を示さないと、すぐに気づく必要がありましたが、思い込んでいたのです (まだまだ未熟です)(汗)

7月に扱った「57㎜/F1.4」の個体では「光路長を逸脱する褐色固着剤の塗布」が根拠となり、KONICAの製産時点ではないとの判定に至りました(汗)・・では今回扱った個体の判定の根拠は何かと言えば「絞りユニット内部の構成パーツに塗布した褐色固着剤による絞り羽根開閉制御の不安定化」であり、合わせて絞り羽根の開閉角度を決める「制御キーの固定にも
褐色固着剤が使われており、その固定位置が拙かった
」点が最大の根拠となりました(汗)

・・絞り環操作の開放時に「2枚の絞り羽根が顔出しする」位置で固着させていた(驚)

然し、当方同様とても多くの過去メンテナンス時整備者が「褐色固着剤は製産時点の塗布」と捉え続け「塗られている固着剤を剥がさずにそのまま使い回す」から悪循環なのです(汗)

他の部位や構成パーツを強制的に曲げたり変形させつつ「ごまかしの整備」を執るものの、それは経年劣化進行に伴い仕方ないことと「自ら辻褄合わせに納得して」組み上げるから堪らないのです (当方も同じ穴の狢でした)(笑)

今回のオーバーホール/修理でそれら「褐色の固着剤」を全て溶剤を使い溶かしつつ剥がすものの「実は樹脂 (ラバー) 系成分の固着剤」なので、多少溶剤の使用で溶解しても、完全に溶けて剥離せず「ビニョ〜っと伸びながら、それでも頑張って付着し続けようとする」から、面倒くさいったらありゃしません(笑)

・・そう言えば、昔に住友スリーエム製ボンドが一世風靡した時代があります(笑)

なお、今回オーバーホール/修理ご依頼を賜った個体も「ご親族の姿を思い浮かべる道具」として、とても大切に、そして深い思い出がたくさん詰まっているかも知れないと受け取り、大切に大事に丁寧に扱いつつオーバーホール/修理工程を進めました(涙)

当方がこのブログでいつも執拗に持論展開していますが(笑)、ネット上ではオールドレンズの
描写性能に対して「決定的に良し悪しの評価を下してしまうサイトが在る」ものの(涙)、実はそのモデルに「父親の背中を追っていたりする」ことだってあるワケで(涙)、そういう「人の
想いにまでちゃんと配慮した記述を心がけるべき
」との強い信条があったりします(泣)

・・そう言う自分は整備者を徹底的に貶めているじゃないか?!

と言われますが(笑)、それはそれ「あくまでも同業者に対する攻撃」なので、今ドキの防衛戦みたいな話の一つです(笑) 当方がオールドレンズを『絶滅危惧種』と捉えているが為に、その『製品寿命の延命化処置』の観点から、酷い整備や「ごまかしの整備」に明け暮れている低俗な整備者に対し、徹底抗戦しているに過ぎません(笑)・・どうせ放っておいても50年後には
巷のオールドレンズは半減以下まで激減しますから (コーティング層の経年劣化進行に伴い
光学系内のクモリが酷くなり、霧中撮影で使わなくなる
)、いずれ消滅して消えて無くなる運命しか待っていません(涙)

おそらく近い将来、全波長を一括記録して、自由自在に好きな場所にピント面をセットして、ボケ具合や収差までプログラムで構成し、それこそ100年前の光学設計まで自由にダウンロードできて (有料でしょ)、様々な描写性能を楽しめる「平面レンズ」が開発/商品化されます。

詰まる処「光学ガラスの必要性自体が消滅する」時代の幕開けになり、まるで「鯨油に頼った街灯電球蛍光灯LED照明」との歴史すら顧みれば(笑)、悲しい運命であるものの、技術革新の一環に過ぎない話とも言えます(汗)

・・その頃、オールドレンズは今のクラシックレンズ分類に格下げされているのでしょう(笑)

どうせその頃には、当方はもぅ居ませんから(笑)、単なるニッチで生活費を稼いでいただけの
マニアにすらなれなかった記憶から消えていく雑多の中の一人でしかありません (このサイトも支払いが滞れば消滅します)(笑)

  ●               

1965年12月にKONICAは、外光式のCdS式露出計を内蔵した
EE方式を実実現した一眼 (レフ) フィルムカメラ「AUTO-REFLEX」(右写真) を発売します。

右写真はファインダーに外付け式のアクセサリーシューを装着していますが、以前当方がネット上を漁ってゲットした「AUTOREFLEX」刻印のフィルムカメラは「白抜き刻印だった」ものの、今回同型の
フィルムカメラは発見できませんでした (左写真はその時にネットから拾ってきた写真)(汗)

この軍艦部のモデルシリーズ銘刻印について「AUTO-REFLEXなのか
AUTOREFLEXなのか?」どちらが先に登場したのか「???」と、まるで目に入ったゴミ状態で不快極まりない話です (何方かご存じの方が居たら、是非ご教授下さいませ)(笑)

←しかしこの時の取扱説明書をチェックすると、左の一覧のように「今回扱った開放f値F1.2モデルが居ない」のが分かります(汗)

するとこれがヒントになり、光学設計が間に合わず、肝心なフィルムカメラ側「ARマウント初号機」には、そのオプション交換レンズ群に仲間入れできなかったことが分かります(涙)

さらに取扱説明書を調べていくと、1970年に輸出専用機として
登場した一眼 (レフ) フィルムカメラ「AUTOREFLEX A/T」のオプ
ション交換レンズ群一覧に、今回のモデルが居ました!(涙)

このフィルムカメラ「の違い」もよく分かりません(汗)
(共に輸出専用機ながら、どっちが先だったのかもやはり不明)(涙)

←「AUTOREFLEX T」の取扱説明書掲載のオプション交換レンズ群一覧の中に、今回扱った「57㎜/F1.2」が居ました (一覧のH)(涙)

このフィルムカメラは輸出専用機なので、その一方で国内発売モデルは1968年と先行して登場しており「KONICA FTA」だったらしいです。ところがその取扱説明書をチェックした際、さらに「???」に陥りました(汗)

←「KONICA FTA」からの抜粋ですが、左写真のように「それぞれに装着している標準レンズのレンズ銘板には、明白にAR刻印が付随
するのです。

どうして国内発売取扱説明書に「AR付随レンズ銘板モデル」を使い
その一方で2年後の輸出専用機で「AR刻印が無いモデルをセット
して輸出していたのか???
」全く分かりません(笑)

ちなみに、今回扱ったモデルHEXANON 57mm/f1.2 (silver) EE《前期型》(AR)』について、当時の特許出願申請書の状況を調査すると、まるでピタリと適合しました(笑)

↑上に挙げた図は、左から順に特開昭49-053419 (左)(1972-09-22出願) になり特開昭50-138823 (2つめ)(1974-04-06出願) 及び特開昭51-141625 (3つめ)(1975-06-02出願) と続きます。

すると左端の1972年時点で「5群6枚の拡張ガウス型光学系の設計」に挑戦していたのが分かります。その後2年後にようやく「6群7枚の拡張ガウス型光学設計」に到達し、おそらくこの時点で後群側を1枚増やし「開放f値F1.2」製品化が見通せたと受け取りました(汗)

3つめを見ると1枚増やした後群側とは代わって「前群側の第2群貼り合わせレンズを単独にしたり接着したりで収差とピント面の鋭さ」について発明しているようです(汗)・・もちろんこれらの内容が「F1.4」なのか「F1.2」を対象にした話なのかはよく分かりません(笑)

そもそもどうも未だにしっかり理解できていませんが(汗)、これら特許出願申請書の出願日と「既にリアルな現実として製品が出回っているタイムラグの問題」についても、当方はよく
分かっていません(笑)

パッと考えると、製品が出回る前時点に「競合他社に真似されないよう」事前申請するのだとばかり捉えていましたが、今回「小西六」で調べようが「コニカ」で調べようが、どちらも
同じ検索結果で「既に製品が流通している状況の中の出願」と受け取らざるを得ません(汗)

ちなみに上の図で一番右端がフィルムカメラ「AUTOREFLEX A/T」発売時点たる1970年のレンズカタログから拾ってきた抜粋です。

一方、右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子
レンズを計測したトレース図です。

細かくチェックしていくと「光学系第1群前玉が凸平レンズなのは同一 (細かい計測値は別として)」なのが明白です。しかしその次の第2群と第3群の「隙間に在る空気レンズの厚みが
違う
」のが分かります (つまり第2群と第3群の曲がり率が違うから)。不思議と厚みはほぼ
ピタリと合致していたので (カタログトレース図から逆算して実物と比較)、オドロキです(笑)

さらに後群側で第5群が実物は「平凸レンズ」だったのに対し、カタログは「凸メニスカス」でした。一方後玉第6群はカタログも現物も同じ「両凸レンズ」で、後玉露出面側がほぼ平らです。

←なお、上の右構成図で 色付光学系第1群前玉第5群第6群後玉は、光学硝子材に「酸化トリウム」を含有した、いわゆるアトムレンズ (放射線レンズ) です(汗)

左写真は以前扱った「後期型」モデルバリエーションブログ掲載写真から転用してきた写真で、バラした際に取り出した光学硝子レンズで「ブラウニング現象」による「赤褐色化」を撮影しています。

ネット上ではよく「黄変化」と記述されることが非常に多いですが(笑)、その「黄変化」の中には「いわゆる蒸着コーティングの経年劣化進行に伴う焼け」に拠る変質/変色も含まれる為
本当にオールドレンズに実装している光学ガラス材自体が変質したのかは分かりません(汗)

もちろん「ブラウニング現象黄変化」の為、本来は化学的に同一扱いできないと思います。

一応バラす前時点で放射線量を計測すると「前玉直上9.99≧µSv/h」に対し「後玉直上6.81µSv/h」との平均計測値でした。いずれも年間被曝量から推定すると、人体に影響を
及ぼすべき計測値をとっていません。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はHEXANON 57mm/f1.2 (silver) EE《後期型》(AR)』のページをご参照下さいませ。

そもそも筐体サイズが大きい点もありますが、基本的にこの頃のKONICA製オールドレンズの内部構造は「極端に神経質に細部までこだわる設計」があるものの、まるでそれとは正反対のようなアバウトな設計が織り交ぜてあります(驚)

然しその「アバウトな設計」の多くは、実は当時の技術革新から来る因果があって「要はアルミ合金材の切削技術、と言うか工場設備の更新が進んでいなかった」が為に、結果としてその粗削り的なアルミ合金材パーツを補うべく「他の部位のパーツに神経質な要素を強要させて
いた
」と言うのが、今現在の当方の考察です(汗)

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑先ずは先に当初バラした直後の問題点や課題について明示していきます(汗) 上の写真はマウント部の爪の裏側で「ARマウント規格」の裏側とでも言いましょうか(笑)

バラした直後に溶剤で洗浄しただけの状態で撮影している為、ご覧のように経年劣化進行に
伴う酸化/腐食/錆びが残っています。

上の写真でグリーン色の矢印で指し示している箇所の穴は「マウント部を締め付け固定する為のネジ穴」であるものの、実はその周りに「褐色の固着剤」が塗られていたので製産時点ではないのがバレる(笑)

そもそもマウント部の爪の寸法が、外側方向に増えたら/飛び出したら、フランジバックを考慮しても「良くない」のは自明の理で(笑)、メーカーは「ネジ部にしか固着剤を入れない」のが当たり前です。

また上の写真で、互いに正反対の位置関係になる両サイドの赤色矢印の場所は「絞り環操作時にガチガチしたクリック感を感じる」鋼球
ボール+スプリングの反発に伴い、それらを押し込んでいる「円筒形パーツ (左写真の右端)」が経年で当たって擦れていた場所です。
(経年摩耗で擦れている場所)(汗)

その一方で上の写真右下隅の赤色矢印の場所には何一つ当たるモノが存在しないものの、実は「EEのロック用ツマミが居る場所」の真裏であり、絞り環が当たって擦れていた証拠になります・・するとここから見えてくるのは「EEのロック用ツマミのクッション性をトーションバネ (捻りバネ) を曲げて調整していた」所為から、その抵抗/負荷/摩擦分でこのように長年に渡り擦れていたことが判明します(汗)

・・このように金属材は正直なので、総ての所為がモロバレになる(笑)

↑同じマウント部の写真ですが(笑)、既に当方の手による『磨き研磨』が終わり撮影しています。擦れていた痕跡は、既に摩耗して擦り減っている箇所なので「研磨して戻そうとしても、さらに物理的に擦り減る話にしかならない」ので限界があります(汗)

↑上の写真も当初バラした直後に溶剤で洗浄したばかりの写真です。鏡筒最深部に組み込まれている「絞りユニット」をヒックリ返して、後玉側方向からの撮影になります (上の写真の裏面側が前玉側方向を意味する)。

するとシルバーな環/リング/輪っかの「開閉環」に、その上から被さって3本の黄銅材締付
ネジで締め付け固定している「制限環」があります。

実は、今回の個体はこのグリーン色の矢印で指し示した締付ネジ3本が「何と最後まで締め
付け固定せずに浮かせた状態のまま褐色固着剤で固めてあった
」と言う、今までにさすがに
見た記憶がないくらい酷い「ごまかしの整備」です(汗)

つまり3本の黄銅材締付ネジを、最後までキッチリ締め付けてしまうと「絞り羽根開閉異常が発生する」のを避ける目的で、浮かせた位置で「褐色固着剤」で固めていた次第です(笑)

それはこの「制限環」が「開閉環の駆動域を決めている役目で締め付け固定されている」が為に、被さって締め付け固定されるのですが、強く締め付けると「絞り羽根が完全開放まで開ききらない」と言う不具合が起きるので、それを防いでいるワケです(汗)

・・つまり総ての動きを熟知しているプロの整備者の仕業なのが判明!(笑)

しかも、それが「褐色固着剤」で固めていたので「KONICAの製産時点ではない証拠」と断定できるワケです!(汗)

それ故「褐色固着剤」は一番古い時代の過去メンテナンス時の整備者による
塗布であると、判定を下せる次第です(汗)

さらに実は、この個体はもう1回、別のタイミングで過去メンテナンスが施されていて、上の写真右上の「カム」に付随する、オレンジ色の矢印で指し示しているトーションバネ (捻りバネ) が強制的に曲げられていました(汗)・・しかもその「カム」周囲には「白色系グリース」が塗られていたので、いったいいつのタイミングで2回目に整備されたのかが「???」です。

この「カム」が操作されると (ブルー色の矢印❶) その動きに連動して「開閉環」が動くので (ブルー色の矢印❷) 絞り羽根が開閉する原理です。

↑その強制的に曲げられていたトーションバネ (捻りバネ) を取り外して撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所を工具を使い曲げているのが分かります。

↑上の写真は同じトーションバネ (捻りバネ) を撮影していますが、既に当方の手により「本来の正しいカタチに戻した」状態での撮影です(汗)・・このようにトーションバネ (捻りバネ) は「ハの字型に左右に広がる捻りバネ」が最も多い仕様です。

特にこの当時のKONICA製オールドレンズの多くのモデルで「必ず絞りユニットに使われていたトーションバネ (捻りバネ) で、その線径は僅か0.5㎜しかない」と言う、とても細いパーツです。

そのトーションバネ (捻りバネ) をワザワザ曲げて調整しているワケですが、はたしてこの細い線径たるトーションバネ (捻りバネ) の目的/役目は何なのでしょうか???(笑)

・・この点について、過去メンテナンス時の整備者は全く理解していなかった!(笑)

こんなことまで分かってしまいます(笑) このトーションバネ (捻りバネ) を曲げた真犯人は「白色系グリース」を塗ったくった整備者なので、直近10年以内くらいのスパンではないかとみていますが、よく分かりません(汗)

過去メンテナンス時の整備者は、このトーションバネ (捻りバネ) の目的/役目を「絞り羽根を完全開放まで開かせる役目」と目論んでいたので、このように強制的に曲げていますが、正しくは「絞り羽根の開閉制御のチカラの方向を反転させる役目しか持っていない」のが正しい
設計者の意図です(笑)

・・つまりプロの整備者なのに、全く違う意味合いで理解していたことが分かってしまう(笑)

これが「観察と考察」であり「原理原則」に則って照らし合わせれば、総てが白日の下に晒されてしまうので「ごまかしの整備」がモロバレします(笑)

このような考察に至った根拠がこの後の工程で現れますから、ウソや自慢話でここで明記しているのではありません(笑)

↑上の写真も当方の手による『磨き研磨』が終わった状態で撮影した、黄銅材のヘリコイド
メス側です。すると赤色矢印で指し示している箇所に「2つの下穴が並んでいる」ものの、実はよ〜く観察すると「微妙に水平がズレている」のが分かります(笑)

さらにその左隣りに「今度は2つの微細な点が並んでいる」のをグリーン色の矢印で指し示しています(汗)

赤色矢印で指し示している箇所の下穴は「そのうちの1つだけが製産時点」であり、もう1つは電気ドリルで切削して空けています(汗) またグリーン色の矢印で指し示している箇所の2つの微細な痕跡は「イモネジを締め付けた時の跡であり、この痕跡は白色系グリースを塗った時の整備者による所為」なのが明白で、且つミスッて2回試しているのがバレバレです(笑)

つまりこの当時のKONICA製オールドレンズは「無限遠位置の微調整を想定していない設計」なので、このように下穴が1つしか備わりません・・それで無限遠位置が適合しない為、過去メンテナンス時の整備者が電気ドリルで下穴をすぐ隣の位置に空けた次第です(汗)

・・全部バレてしまいます!(笑)

↑一度最後まで組み上げたのですが、絞り羽根の動き方を確認していると「ほんの一瞬だけ、絞り羽根が戸惑うような動き方をしているのが見える (感じる)」のか納得できず、再びバラ
しているところです(笑)

今度は完全にバラし「絞りユニット開閉環制限環」の3つの塊に分離しました(汗)・・実はこのようにバラせない設計にしているのが、この当時のKONICA製オールドレンズなので(汗)、数多くKONICA製オールドレンズを整備してきた整備者がこの写真を見ると「どうやってバラしたんだ???」になります(笑)

右上に「三角形のカタチをしたカム」が居て、その左横に「開閉環をひっくり返しているので
絞り羽根が刺さる開閉キーの金属棒が飛び出ているのが分かる
」貴重な写真です(笑) さらにその真下に「制限環」を重ねて撮っています。

このように「絞りユニット」に対し2つのパーツで構成している設計ですが「開閉環ブルー色の矢印の箇所と絞りユニットオレンジ色の矢印の箇所が互いに接触する」つまり円の内外周で接触するワケです(笑)

この時左下「制限環グリーン色の矢印の2つの爪が開閉環の駆動域を決めている」ために、実は「開閉環に制限環も接触している」話になるのを、ちゃんと整備者が理解していないと、今回の個体のような不具合が起きます(汗)

従って、前のほうで説明してきた「黄銅材の3本の締付ネジを褐色固着剤で浮かしたまま固めていた」結果「制限環の接触が不安定化して絞り羽根の完全開放を邪魔していた」と言うのが
当方の最終的な調査結果です(笑)

・・如何ですか??? これだけ総てが明白になるのが当方のオーバーホールです(笑)

もっと言うなら「制限環の2つの爪がその位置に集中している理由までちゃんと在る」と言う
設計者の意図がちゃんと汲み取れる次第です(涙)

↑再度バラした後にいろいろあ~だこ~だ処置してから、もう一度組み上げた絞りユニットで「完璧に製産時点の動き方に戻った」状態を撮っています。

開閉環」に「制限環」がほんの僅かに覆い被さっているのが分かると思いますが、このように「ほんの微かに覆い被さる」のがKONICA設計陣の苦心した創意工夫であり、これを実現させた、その気概根性忍耐力に「真に敬意を表します」と言いたいです(涙)

このようなとても薄い厚みの「絞りユニット」の中で、絞り羽根が開閉する範囲を限定する動き方を工夫して実現しているのです(涙)・・そして「どうしてこんなに薄い絞りユニットに設計してきたのか???」は・・僅か1㎜たりとも「光学設計の為の空間としてその容積を確保したかった」のが最終的な設計者の狙いです(涙)

このような光学設計第一主義を一貫して貫き通していたのが、この当時のKONICAの勇ましさなのではないでしょうか???・・当方はそう信じたいです(涙)

図体がデカかろうが(笑)、かさばろうが、クリック感がガチガチと違和感でしかなかろうが、何一つ気にしません!(笑) 総ては光学設計の為に、どこの部署もみ〜んな討ち死に覚悟だったのではないでしょうか(涙)・・素晴らしい会社です!(涙)

・・そういう想いが、ヒシヒシとこれら設計から伝わってきます!(涙)

上の写真目の前に居る「三角形のカム」がブルー色の矢印❶の範囲で動くと、それに連携して「開閉環からの突起棒が、カムの溝の中でアッチコッチ動き回り (ブルー色の矢印❷)」結果「開閉環が移動して、絞り羽根が開閉運動を繰り広げる (ブルー色の矢印❸)」システムです。

このようにパッと見ただけでも明白なのに、過去メンテナンス時の整備者は「誰一人この真髄をちゃんと真摯に向き合い把握しようと努めなかった」のが、そもそもそれら整備者の罪なのです(怒)

上の写真でブルー色の矢印❶〜❸までの矢印の長さを見て下さいませ! カムの溝の中で金属棒がアッチコッチしている長さだけ「半分の長さ/移動量になっている」のが、この当時のKONICA設計陣の最大の工夫であり、努力であり、きっと寝ている夢の中でも考えまくっていた機構/仕組み/原理なのです!(涙)

↑そしていよいよクライマックスです(涙) 右横に居る「制御キー」が鏡筒周りをぐるりと廻る「操作環」から突出する、棚上の穴にグリーン色の矢印のように締め付け固定されます。

この「制御キーのへの字型の切り欠き/スリット/溝」こそが、設計者が垣間観た夢の中で閃いた発案だった、のかどうかは知りませんが(笑)、ブルー色の矢印❶の位置が「開放側」を意味し、反対側の緩やかなカーブに従いブルー色の矢印❷位置で「最小絞り値側」に到達します。

↑こんな感じで「制御キー」が、グリーン色の矢印て指し示している締付ネジで締め付け固定されます。

詰まる処「カムに付随していたトーションバネ (捻りバネ) の線径が異常に細かった理由」が
ここに隠れていて、への字型の切り欠き/スリット/溝の中で、その移動量に対して「三角形のカムの動く範囲は半分以下まで限定されてしまう」点を以て、トーションバネ (捻りバネ) の
役目は「への字型で動く向きを反転させる必要性から、カムに備わる短い溝の中で開閉環から突出した金属棒がアッチコッチ動き回っていた」のが、前の工程で述べた「ウソや自慢話ではない証拠」なのです(笑)

逆に言うなら、もしも「三角形のカムの大きさを倍増させたら、絞りユニットはさらに巨大化する」のは自明の理で(笑)、たかが絞り羽根の開閉角度を伝達させるが為だけに巨大化させるのは「KONICA設計陣にとって許されない考え方」であり、総ては光学設計の為に討ち死に覚悟なのが、見えてきます(涙)

そのような当時のKONICA製オールドレンズのほぼ全てのモデルに統一して組み入れられていた設計概念なのが、この「制御キーのへの字型のカタチとカムとトーションバネ (捻りバネ)」だったのに、過去メンテナンス時の整備者はそれを台無しにしてしまい(涙)、グリーン色の矢印で指し示す「平頭ネジ」の締め付け固定位置をミスってしまい、その微調整すら何ら施さずに「ただ単に締め付け固定して、しかも褐色固着剤で固めてしまった」と言うのが真相であり、且つ「低俗な整備のレベル止まり」だったのが判明してしまいました(笑)

・・KONICA設計陣の敵を討ちましたからね!(涙)

↑当初バラす前のチェック時点で「2枚の絞り羽根が完全開放位置まで開ききらず顔出ししていた」問題点を、どうにか解消しました(汗)・・カムトーションバネ (捻りバネ) と開閉環制限環、そして制御キーと、本当に長い道のりでした(涙)

この上からメクラを被せて締め付け固定すれば、鏡筒最深部への絞りユニット組み込みが終わります(涙)

↑絞りユニットの組み込みが終わると、やっとのことで「赤色矢印で指し示している、長大でしかも大きなチカラを持つ引張式スプリング」をセットできます。これを最後にセットしないと、ご覧のように「絞り羽根を常時閉じるチカラが働く」ので拙いワケです(汗)

もっと言うなら、今まで解説してきた「非常に細い線径のトーションバネ (捻りバネ) による、
絞り羽根を常に開くチカラ」が、どんだけ「か弱い」のかが理解できると思います(涙)

しかもグリーン色矢印で指し示した位置に「樹脂製のストッパーまで用意した気の配りよう」です(笑) そのくらい強く「スパンッ!」とこのような位置に絞り羽根が瞬時に閉じます(怖)

そしてブルー色の矢印で指し示している「操作キー」により、マウント面からフィルムカメラ側からのレバー操作で伝わってきたチカラにより、ブルー色の矢印❶方向に操作されると、それに合わせて「やっとカムが動き (ブルー色の矢印❷) 」例の「アッチコッチの動きで開放側に行ったり、反転して最小絞り値側に動いたりと忙しい」ワケです(笑)

このように「絞り羽根を常に最小絞り値まで強いチカラで閉じさせてしまう」と言う概念こそが出発点であり、ゴール手前位置で足を振り上げて決勝点をキックするその時「前述した絞りユニットの幾つものパーツとその動き/原理」はまさにゴールシュートの軌道であり「最終的にボールがゴールポストに入った瞬間が光学設計そのモノ」と、総ては光学設計を体現させる為だけの構造だったのです(涙)

・・どんだけ素晴らしく、そしてどんだけ苦心したのか???(涙)

きっとKONICA設計陣の一人ひとりがみ〜んな肩を組んで、ゲラゲラと笑っていることでしょう!(涙)

↑こんな感じで完成した鏡筒 (右横) は、今度は奥に居る基台の内側に「操作環がセット」され
そのガイド (グリーン色の矢印) に前述の操作キーが刺さり、上下動するので「フィルムカメラ側からの操作レバーのチカラが絞り羽根まで伝達される」と言う、本当に長大なチカラの伝達仕様なのです(涙)

上の写真は「操作 (レバー) 」の動き/回転に僅かな違和感を感じたので(汗)、大変なのですがバラして6個の鋼球ボールを❶のC型環の穴に組み込み、ブルー色の矢印で指し示した「操作環の溝部分」にセットする一大イベントに取り組まんとしているところです(汗)

何しろこれらがグリーン色の矢印のように入るものの「操作環C型環❶基台の内径」と言う、外形サイズの相違からストンと貫通落下してしまう状況の中「純粋に鋼球ボールの半径だけで互いが保持されまくる」と言う構造であり、これを仕上げるのに凡そ1時間〜2時間は必要です (せっかく6個の鋼球ボールを入れ込んでも、最後封入環をネジ込む時にバラバラと転がって落下するから、同じ作業を延々と繰り返す)(汗)

どうやら過去メンテナンス時はバラしたら大変なのを知ってか知らぬか「潤滑油」を注入して滑らかに動くよう処置したものの、経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進み「なんとなく
抵抗/負荷/摩擦を感じる動き方
」だったのが気に入らず(笑)、バラしたが為に2時間とんでもないハメに陥ります (気になったんだから仕方ない)(笑)

・・どうぞ失笑下さいませ!(笑) 何しろ自分の目で見ないと信じられない性分なので(汗)

抵抗/負荷/摩擦が消えてクルクルとどこまでも回り続けるかと思うくらい(笑)、滑らかに戻り
ました。

↑ようやく光学系を組み込む工程まで到達しました (長かったぁ〜)(汗) 既に鏡筒の真下には光学系後群がセットしてあり (もちろん清掃済み) 恥ずかしいのか、黒色ゴムのリムーバーの中に隠れています(笑)

左側の光学系前群鏡筒にネジ込みますが (グリーン色の矢印)、こんなシルバーにピッカピカであるのも意外ではありませんか???(笑) しかもご覧のとおり、絞りユニットのメクラが光って反射しているくらいです(笑)

・・しかしちゃんと全てのパーツにメッキ加工が施してあるので、これが製産時点です。

↑いよいよ最後のオーバーホール工程に入っています(汗) 当初バラす前時点は「距離環を回すとスカスカなトルク感」でしたが、バラすと中に塗布されていたのは、いつもの如く「白色系グリース」でした(汗) 10年前後のタイミングで一度整備しているのでしょうか???(汗)

そこで問題だったのが「黄銅材のヘリコイドメス側ネジ込み位置の違い」と合わせて「制限環の固定位置の違い」そして「制限壁への突き当て停止位置の相違」です(汗)

基台に対しヘリコイドオス側は、直進動でズズーッと繰り出し/収納したりするだけですね。

その時、距離環はこの「制限環の下穴に3本のイモネジにより締め付け固定」され、ブルー色の矢印の方向に回していくと、最後ほぼ一周してオレンジ色の矢印のところで「制限壁の反対側に突き当て停止」して最短撮影距離位置に合致します。

↑この「制限環」を拡大撮影しました(汗) この下穴に距離環がイモネジで締め付け固定され
ますが、いろんな箇所で固定していたのがバレます(笑)

赤色矢印で指し示している箇所は「制限環を黄銅材のヘリコイドメス側に締め付け固定する、イモネジが入るネジ穴」であるものの、例によって「褐色固着剤」で執拗に距離環共々接着して固められていたので、当方による「磨き研磨」でもアルミ合金材の変質が除去できません(汗)

一方ブルー色の矢印で指し示している箇所の下穴は、他のネジ山が備わるネジ穴とは違います。またグリーン色の矢印で指し示しているイモネジの尖った先端が突き刺さっていた痕跡は「白色系グリースを塗ったくった過去メンテナンス時の整備者の仕業」なのが明白です(笑)

・・そして問題なのがオレンジ色の矢印の下穴です(汗)

←すると距離環を締め付け固定している「3本のイモネジ」が刺さるべき下穴の位置は、いったいどれが正しく、製産時点を示すのでしょうか???(笑)

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。

大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。

少なくともグリーン色の矢印で指し示しているイモネジの痕は違います(笑)

すると残りはブルー色の矢印か、オレンジ色の矢印か???

結局、この2つのどちらが製産時点なのかを調査するため、再びバラしてヘリコイドオスメスをネジ込むだけではなく「このモデルは鏡筒まで外す必要がある設計」なので、どんだけ大変なのかと言う話です(汗)

詰まる処、今回扱った個体がこの当時の「57㎜/F1.2」では6本目ですが、今までにまともにちゃんと製産時点で締め付け固定されていた個体が「あ・り・ま・せ・ん」(涙)

それがこのモデルの宿命では決してありません。まともに真摯に向き合う整備者は・・どう
して一人も現れないのでしょうか???(涙)

・・少しはKONICA設計陣に敬意を示したらどうなのかと、本当にマジッで思います(涙)

このように様々な箇所に下穴を空けたり、下手すればそのままイモネジを締め付けたり(笑)、要はこの当時のKONICA製オールドレンズの多くが「無限遠位置の微調整を想定していない」為、それゆえ電気ドリルで穴あけなど平気で施しますが、そもそもちゃんと整備してあげれば、極僅かなオーバーインフ量だけでちゃんと組み上げられるのです(笑)

・・それをいの一番に「ごまかしの整備」を思いつくから低俗だと言っているのです(笑)

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。

当初のスカスカなトルク感を改善し、もちろん絞り羽根を完全開放させて(笑)、絞り環のガチガチ感も適正に戻し、一番は「光路長をキッチリ担保したので、当初F2.8でピーキング反応していた無限遠合焦が、一段戻りF2でピーキング反応に改善し、しかも鋭く変わった (バラす前F2で甘かった為、ピーキングは極々僅かだった)」(当たり前の話でしかありませんが)(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無です。

ご依頼内容に従い「光学系のUV光照射 (24H)」終わっていますが、ブラウニング現象に拠る「赤褐色化」は、無色に対して半減程度まで止まりです(汗)

↑後群側のスカッとクリア極薄いクモリが皆無です。ご要望に従い「遮光環」は取り外しています (同梱して
います
)。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

もちろんさんざん今まで解説してきた「製産時点の絞り羽根開閉制御に戻った」ことはご報告済みです (逐一当たり前でしかありません)(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使いつつ、ご依頼内容に従い「トルクを与えた仕上がり」なるも、何しろ開放撮影時にはピント面が非常に薄く狭い (つまり被写界深度が薄いく狭い) ものの、実はこのモデルのピントのピーク/山は「ゆっくりまだかまだかと上がっていくのに、山を超えた途端、アッと言う間にボケ始める」性格なので(笑)、それを勘案して少々軽めながら、いつものとおり「当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけで、ピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています」(笑)

↑当方所有K&F CONCEPT製「AR→SINY Eマウントアダプタ」で装着しα7IIで無限遠位置確認すると「∞刻印の左丸」で合致するものの、上の組み合わせでは「10.2m辺り」的な印象の合致です (それでも当初バラす前のからすればオーバーインフ量が僅かに減っています)。

なお上の写真の付属マウントアダプタ「haoGe製」に装着すると、極僅かなガタつきが生じますが、これの因果は「マウントアダプタ側の爪の設計仕様の問題」であるのを、当方所有K&F CONCEPT製マウントアダプタで確認しています (ガタつきません/装着/着脱も普通です)(汗)

他、ご報告すべき瑕疵内容は一つもありません(涙)

・・まさに素晴らしい、KONICA渾身の逸品が復活です!(涙)

然し、このモデルは徹底的にヤッてしまうと、とんでもなく大変なのが判り、ちょっと今後は扱いを考えることにします(涙)・・なまじいくらでも市場流通しているのを勘案すれば、とても納得できるオーバーホール/修理のご請求金額では収まりません (スミマセン!)(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離57㎜開放F値f1.2被写体までの距離105m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度52m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、60m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の120m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮っています。

↑f値は「f4」に上がりました。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値は「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。凡そ「f8」過ぎ辺りから少しずつ変化しているのでしょうが、よく分かりません・・凄い写りです!(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。既にクロネコヤマト宅急便で発送済みです。どうぞよろしくお願い申し上げます。