〓Carl Zeiss (カールツァイス) 凹 Ultron 50mm/f1.8《Oberkochen》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
凹 Ultron 50mm/f1.8《Oberkochen》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはCarl Zeiss製の標準レンズ「50mm/f1.8」の括りで捉えると60本目にあたりますが、今回扱った個体「凹 Ultron 50mm/f1.8」だけでカウントすると僅か24本目です。

他に後にVOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) から発売された「COLOR-ULTRON 50mm/
f1.8
」もあるので、それらを含めると全体で60本目と言う話です。しかし、実はさらに深く掘り下げると、同じ「凹 Ultron」でも光学系の透明度が非常に高い状態を維持した個体だけでカウントするともっと少なくなってしまい、僅か7本目と言うのがリアルな現実です(泣)

つい先日問い合わせメールが着信して、このブログでもご案内した/アップした『◎ 補足解説
:Carl Zeiss
(カールツァイス) 製標準レンズ 凹 Ultron 50mm/f1.8(M42)購入時の確認必須事項!・・要注意です!』
のページでもご紹介しているように、現在市場に流通している個体には光学系内に瑕疵が残る個体が数多く流れている事が分かります。

その意味でも当方自身、毎年のように調達個体を探し続けていますが、実際の処、手放しで
光学系の状態に確信を持って入手できる個体がなかなか出回りません(泣)

ところが今回オーバーホール/修理ご依頼分で手元に届いた個体は「本当に久しぶりに気持ち
良いくらいにスカッとクリアな光学系
」を維持した個体で、素晴らしい限りです(涙)

やはり光学系の状態が良いと、同じオーバーホール/修理するにしても気持ちの上でも意気込みがまた違うと言うものです(笑)・・おそらく2年弱ぶりに扱う次第で、今回はとても楽しませて頂きました。ありがとう御座います!

 

  ●               

今回の個体はオーバーホール/修理のご依頼で承りましたが、実は2018年に「整備済品」としてヤフオク!で手に入れられた個体とのことです。然し距離環を回す時のトルクが少々重めなのでオーバーホール/修理してほしいとのご依頼内容です。

↑上の写真は、届いた個体を実際にバラし始めている最中に撮影した写真ですが、ヘリコイドのオスメスをバラして取り出したところです・・まだ溶剤で洗浄する前なので、ヘリコイドのネジ山に残っているグリースを確認しています。

すると今回の個体に塗布されていたのは「黄褐色系グリース」だったのが判明し、近年では年に1~2本レベルでしか確認できないほどにとても珍しい状況です (多くの場合で白色系グリースが塗られているから)。

この「白色系グリース」について、近年技術革新が進んで開発されたシリコン系グリースとの話ですが、当方が問題視しているのは「これら扱っているオールドレンズが設計/開発/生産されていた当時に塗布されていたであろうグリースが黄褐色系グリースだから」であり、それを前提として設計/開発/生産していたのが現在市場流通しているオールドレンズなのに、過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗られてしまい、現実にバラすと内部の揮発油成分の多さは尋常ではありません。もちろん必ずしも全ての「白色系グリース」がそうなのではなく、もっと言うなら「グリースの色合いは単に添加しているだけ」なので、正しく理解したければ「基剤や添加剤、増ちょう剤の成分や配合/組成」を掴むべきとの話に至ります。

然したいていの場合で、それらバラしたオールドレンズからそれらグリースの正確な情報を逆に手繰るのは、当方のようなドシロウトには難しい話で叶いません(涙)

そこで単に色合いを以て「白色系グリース/黄褐色系グリース」と分けて解説しているだけです。但しそうは言っても明らかに「白色系グリース」が塗布されていた場合の経年劣化進行に伴い「ヘリコイド金属材の摩耗粉が混ざって色合いが変質している状況」である点を、誰も
反論しようとしません(笑)・・「黄褐色系グリース」も金属材の摩耗粉が混ざりますから、本当に重要なのは、やはり基剤/増ちょう剤/添加剤などの成分や配合などなのでしょうが、然しそうは言っても明らかに「黄褐色系グリースのほうが変質する度合いが長い/耐性が高い」のは今までの13年間で3,000本以上をバラしてきた事実であり現実の話です(笑)

それでシリコーン系グリースの存在を知らないとか何とか云々批判していながら、それら摩耗粉 (ちゃんと無色透明な溶剤に漬けると非常に微細な金属粉が沈殿するのまで確認済) が混ざっている事実と、合わせて揮発油成分の多さは数多くの流通している「白色系グリース」の融点/滴点を調べているので、その反論もメール着信しません(笑)・・当然ながら他にも離油度や
ずり速度などなど、数多くの参照すべき項目がありますが、当方は専門ではないのでよく分かりません。

一方「黄褐色系グリース」の場合は、今回の個体も2018年の整備としながらも、バラしてみれば揮発油成分の存在は確認できず、仮に同じ年数5年経過後の「白色系グリース」が塗布されていたオールドレンズをバラせば「相当量の揮発油成分がヒタヒタと液化して廻っている状況」です (今までの経験値から明言できる事実)(笑)

この点についても散々批判しておきながら、何らメール着信せず、批判するだけしておいて
果たしてどうなのかと思ってしまいますね(笑)

そもそも如何にも万能の如く「シリコーン系グリース/白色系グリース」を褒め称えていますがそれならどうして金属加工会社の社長さんを取材した際に、これら当時のオールドレンズ達
(数十年前~半世紀以上経過した個体達) のヘリコイドに対して「できるだけ近い質のグリースを塗るのが好ましい」とのご助言を頂けたのか、解説してほしいものです(笑)

その最大の根拠が「当時はシリコーン系のグリース開発はそれほど進んでいなかったから」塗布されていたのは「黄褐色系グリースが世界規模で捉えても主体的だったハズ」とのお話でした。実際、今までに扱った本数は非常に少ないものの「いわゆるワンオーナー品」と言う、自らが購入してから一度も整備に出されていなかった個体を初めてバラしても、内部に「白色系グリース」が塗布されていた事実は1本もありませんから、それら社長さんのお話をさらに補強すべく事実ではないかと当方は受け取っています。

話が長くなりましたが、このような検証の上に述べているワケで、決して誹謗中傷を受ける謂れはありません(笑)

今回の個体は大変珍しく「黄褐色系グリース」が塗られていたものの、2018年以来5年経過も上の写真のとおり「現実にバラした個体のヘリコイドネジ山を顕に写している状況」からして(笑)、明白に金属粉が混入していないのが事実と受け取れます・・特に写真右側のヘリコイドメス側のネジ山を見るとちゃんと「黄褐色系グリース」なのがその色付き方で分かります。

なお右側の鏡筒外周に備わる「ヘリコイドオス側」が黒っぽく色着いている (赤色矢印) のは金属の摩耗粉とは違います・・ヘリコイドオス側の裏側が「反射防止黒色塗料」で着色されていたので、そのインク成分が混じっているように見えます (実際綿棒で拭うと黒く少し除去できる)。

↑鏡筒の外側には赤色矢印で指し示しているとおり「直進キーガイド (右側)」と「絞り環用連携爪 (左側)」が飛び出ていますが、右側の「直進キーガイド」はいつもの如くグリースが塗られています(笑)

このモデルは「直進キー」が1本だけなので、このガイドの溝部分を行ったり来たりする事で鏡筒が直進動しています (つまり無限遠位置と最短撮影距離位置とを行ったり来たりしている)。

↑2018年に整備したとの話でしたが、絞り羽根をバラして取り出し清掃すると、ご覧のとおり汚れが酷い状況です・・正直な感想ですが、とても5年でこれだけ汚れが酷くなる (油成分) とは考えられません。

おそらく絞り羽根を取り外しての清掃をしていなかったのではないかとみています・・絞りユニットに組み込んだまま、単に綿棒で拭っただけの整備なら、5年でこのくらいの汚れ状況には戻ると思います(笑)

結局、絞りユニットに組み込んだまま綿棒などで拭って清掃する整備が流行っていますが(笑)
個別に完全解体して清掃していない以上、絞り羽根の重なり具合などで「界面原理/張力原理
が働くので、数年でこのように再び油成分を引き寄せて汚れが酷くなる/促されると当方では
受け取っています (だから当方では完全解体するのが大前提)。

↑同様に取り出した「光学系前群格納筒」で黄鋼材で切削されています。するとご覧のとおり
光学系第1群前玉が格納される箇所の内壁は、相当な酸化/腐食/錆び進行により「黄鋼材の
侵食
」が始まっている状況でした (赤色矢印)(怖)

通常、整備後5年程度でここまで酷い黄鋼材の酸化/腐食/錆び進行には至りません(汗)・・。
おそらく2018年の整備時点も似たような状況で酸化/腐食/錆びが進んだ状態だったと思います。それを除去しないまま光学系を清掃したのだと推測しています。

またグリーン色の矢印で指し示している箇所には、いつもの事ですが「反射防止黒色塗料」が着色されていたので、今回のオーバーホールでバラした際に流し込んだ溶剤のせいで、一部は塗料が溶けています(笑)

↑同様光学系前群格納筒から取り出した光学硝子レンズで第1群の前玉です。凹面を上に向けて撮影しています (キズを避ける意味から)。

すると赤色矢印で指し示していますが、黄鋼材の酸化/腐食/錆びの一部が光学ガラスにまで
移っていました。実は今回の個体はこれら格納筒の固着が酷く、前群側後群側共に「加熱処置」ではビクトもせず外せませんでした(泣)

さらに溶剤を流し込んで後群側はようやく外せましたが、前群側はそれでも外れませんでした(汗)・・さらに高熱で「加熱処置」すると同時に専用の治具を使ってようやく外せましたが、高熱にすると光学硝子破壊の懸念まで高くなり、合わせて治具を使うのでそのチカラの応力で破壊するのも非常に怖い話ですから、本当はヤリたくない処置の一つです (ホラ~映画並みにコワイ)!(怖)

しかしこの前玉を外さない限り、その下の/次の第2群以降の光学硝子レンズに到達しませんから、仕方ありません(怖)

従って、2018年の整備時点でこれら黄鋼材側の酸化/腐食/錆びを除去しておいてくれれば
今回のオーバーホールでもすんなり前玉が外せたのだと思います (金属材のサビで固まって外れないとは光学ガラスなのに相当酷いレベルです/同じ金属材ではありませんから)(泣)

推察するに、おそらく2018年時点の光学系整備時は「加熱処置」して光学硝子レンズをムリに格納筒に収めたのだと思います・・逆に言えば、その分ガッチリと嵌まり込んでいた次第ですが、本当にコワイのは「金属材の膨張/収縮の応力で光学硝子材が破壊される懸念」であり、このように強制的に金属を膨張させて光学硝子材を格納して済ませてしまう整備は、下手すれば「製品寿命の短縮化」にも繋がり兼ねず、とても褒められる手法ではありませんね(怖)

特に今回の個体の前玉は「反対側にもサビが移っていた (上の写真の赤色矢印で指し示したのと同じ状況)」だったので、両側から金属材が収縮したら堪ったものではありません(怖)

当方がオーバーホール工程で確認しているのはこのような事柄であって「観察と考察」により「原理原則」に則り結論を導き出せば、自ずとこのような光学硝子レンズ清掃作業の工程でさえも「格納筒の磨き研磨により経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを可能な限り除去すべき」との「執るべき作業内容」が掲示されるので、それに従い「製品寿命の延命処置」に徹するだけの話です (つまり当たり前の事をしているだけの話で何一つ特別な内容ではない)(笑)

↑こちらはマウント部内部から取り外した「旗振り棒」のパーツです・・当方が勝手に「旗振り棒」と呼称しているだけで、本当の役目は「絞り羽根の開閉を司る棒」なので、勢い良く左右に振られて「シャコンシャコンと絞り羽根を瞬時に開閉させる」動き方をします(笑)

その時に、まるで旗を振っているように見える棒なので「旗振り棒」と呼んでいます(笑)・・グリーン色の矢印で指し示した箇所が故意にワザとペンチ等を使って曲げられていました。

どうしてこの棒を途中から曲げるのかと言えば、最小絞り値側まで絞り羽根がちゃんと閉じていなかったから、このように曲げる事で強制的に最小絞り値まで絞り羽根が閉じるように工夫したのがバレバレです(笑)

当方に見せると「どうしてそのような処置を講じたのかまでバレてしまう」ので冷や汗ものでしょう(笑)

逆に言えば「原理原則」を理解できている整備者なら、誰でもこれら写真を見ただけでもパッとすぐに分かりますから、別に当方だけの特技でもありません(笑)・・重要なのはちゃんとオールドレンズの「原理原則」を熟知しているか否かだけです (しかもそれはマニュアルフォーカスの話ですが)。

・・当方は技術スキルが低いのでオートフォーカスやズームレンズは全く分かっていません(笑)

↑問題の光学系前群格納筒を内外ともに「磨き研磨」してDOHを済ませています。ご覧のように黄鋼材で切削されているので磨けば黄金色にピッカピカに光り輝きます(笑)

よくこうすると「光学系内の迷光が堪ったものではない!」と批判されますが、そもそもこれらが影響して迷光の増大には及びません(笑)・・もっと言うなら、これらピッカピカの部分が反射するのは「光学系の外」なので、迷光の一部に至るハズがないのです(笑)

もっともっと言うなら(笑)、そもそも「絞り羽根がメタリックグレー」である事実のほうこそ
むしろ問題視するべきでしょう(笑)・・それを放置しておいて/批判せずに、当方に対してだけ迷光迷光と大騒ぎするから笑ってしまいます(笑)

・・誰かどうして絞り羽根が反射するメタリックグレーで良いのか解説して下さい(笑)

設計時点で、どうして上の写真のように光学系第2群の直前から黄鋼材には「メタリックグレーのメッキ加工」が施されているのでしょうか???・・今回のオーバーホール工程で、これらの箇所に2018年に着色されていた「反射防止黒色塗料」を全て溶剤で除去しました。

・・どうして微細な凹凸を伴うマットな梨地黒色メッキ加工ではないのでしょうか???

迷光迷光と大騒ぎするなら、ちゃんと解説してほしいです・・言うだけ言っておいて知らん顔ですョ(笑)

ちなみに過去メンテナンス時に着色される「反射防止黒色塗料」を溶剤で除去しまくっているのは「塗膜面にカビが繁殖する場合がある」からです。白っぽくポツポツと出ていたりするのはカビの菌糸だったりしますから、それら着色した「反射防止黒色塗料」は当方では完全除去しています。

反射防止黒色塗料」を除去してみれば、その下から現れたのは「メタリックグレーのメッキ加工」であり、黄金色の地の黄鋼材のままではありませんでした・・つまりは「これこそが
製産時点の状態
」と言えるのではありませんか???(笑)

・・と、当方は考えています。

逆に言うなら、製造メーカーは光学メーカーですから、今回のモデルのような海外の光学メーカーに限らず日本国内の光学メーカーですら「必要であれば設計時点でちゃんとメッキ加工を施している」のが世界共通の設計時の概念であり、とても溶剤で解けてしまうような処置を
製産時点に執っていたとは考えられません・・そのように考察するのは異常なのでしょうか?
おかしいのでしょうか??? 迷光迷光と大騒ぎしている人達は、是非その反論を解説してみてもらいたいですね(笑)

・・どうしてそのような箇所に溶剤で溶ける反射防止黒色塗料を着色するのですか???

↑「旗振り棒」の曲げられていた箇所も伸ばしました (グリーン色の矢印)(笑)・・本来の生産時点に戻った次第です。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は凹 Ultron 50mm/f1.8《Oberkochen》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。久しぶりにとても気持ち良いオーバーホール工程を楽しむ事ができ、感謝しています・・ありがとう御座います!(涙)

・・何よりも、光学系の状態がこれだけ良いと整備のし甲斐があると言うものです(笑)

なお、ご依頼内容に含まれていた「一般的なネジ込み式フィルターが装着できるように手を加えてほしい」とのお話で、⌀52㎜径のステップアップリングを装着させています。但し叩き込んであるのでマイナスドライバーか何かでこじ開けない限り外す事は不可能です (相当強くハマっています)。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリすら皆無です。

ご覧のとおり、レンズ銘板に付随する飾り環/リング/輪っか部分が光彩を放っているだけで、光学系内は決して迷光と大騒ぎするような状況に至っていません(笑)

↑後群側もスカッとクリア極薄いクモリすら皆無です。

むしろこの後群側のほうが一般的には問題で、現在市場流通している多くの個体で光学系第5群の貼り合わせレンズにバルサム切れが起きています (右構成図の 色着色した群)。

光学系第1群~第4群までの光学硝子面に蒸着してあるコーティング層の経年劣化進行に伴い剥がれていても、極薄いクモリに至っていなければ写真への影響度はとても低いですが、バルサム切れだけはどうにもなりません(泣)

何故なら、この光学系第5群貼り合わせレンズは黄鋼材の格納筒に一体モールド成形だからです。バルサム切れしても一旦剥がしての再接着ができません(汗)・・バルサム切れが起きたら最後、どうにも手を打てません(涙)

現在の市場流通品も、例えば「水が溜まっているように見える箇所」や「結露した時の水滴痕のようにポツポツと汚れが残っている状態」或いは「コーティングムラのように/汚れのように/拭き残しのように残っている箇所」などは「全てがバルサム切れ」なので、清掃でどうにか除去できるような生易しい話ではありません(泣)

だからこそ「必ず光学系内の確認」が必要なのであって、合わせて「その際に必ず光学系の構成から捉えていく/どの群に何が起きているのか???」それによって初めて、それら瑕疵内容がどれだけ撮影した写真に影響を及ぼすのか、その判定が適うと言うものなのです。

特にヤフオク!などの出品ページを見ていても、当方とご同業者の『転売屋/転売ヤーは必ず出品個体を売りたいが為に「今まで使っていた時は撮影した写真に影響を感じたことはありません」と述べますが、そんなのは「常套句」であって、現実にリアルにどの程度写真に影響を来すのかは「自ら判定を下すしかない」のが本当のところです。

従って、どの程度光学系内の状況を見て撮影した写真への影響度を判定できるのかは、自らの知識に掛かっているとも言えます。

光学系内は透明度は高いのですが、残念ながら光学系第2群と第3群の前玉側方向の面に点キズが数点残っています。もしかしたらカビ除去痕で2018年時点の光学系清掃時にカビ除去しているのかも知れませんが、見ただけでは判明しません(汗)

また光学系第6群の後玉露出面には、上の写真でも写っているので見えますが「点状のコーティングハガレ」が1箇所あります (極薄いクモリすら皆無などは生じていないので写真への影響は一切なし)。

・・総じて光学系内の透明度はピカイチレベルを保っています(涙)

↑実はこの10枚の絞り羽根の閉じ具合がちょっと大変な作業でした(汗)・・当初バラす前のチェック時点で判明していましたが「完全開放していない」状況で、開放f値:f1.8の時に絞り羽根が極僅かに顔出ししていて、そのクセ最小絞り値側は「開きすぎ」の状況でした(汗)

普通開放時に顔出ししていると「閉じすぎ」なので、最小絞り値側でさらに閉じきってしまうのが原理ですが、今回の個体は最小絞り値側で「f11止まり」に開いていました (ちゃんと閉じる動作をしていたが簡易検査具で調べるとf16には到達していなかった/つまり開きすぎの状況)。

上の写真はそれを改善させて、ちゃんと最小絞り値「f16まで閉じきる」ように戻したところの写真です(汗)・・大変でした!(涙)

その因果関係が複合的だったので大変になってしまいました(汗)・・前述の「旗振り棒を途中で曲げていた」のは最小絞り値まで閉じるように処置していたのですが、普通は逆の処置が必要です。

何故なら、黙っていても開放時に顔出ししているので最小絞り値側は「閉じすぎ」に至るからです。それでもプラスαで閉じるように仕向けていたのですから、他の要因が複合的に影響しています。

実際にいろいろ調べるハメに陥りましたが、調べると「絞り羽根の開閉幅/開口部の面積/カタチ/入射光量の微調整がデタラメ」だったのと、合わせて「直進キーと直進キーガイドの微調整もデタラメ」で、さらにさらにそれらの根本的な因果として「ヘリコイドのネジ込み位置のミス」が挙げられました。

そのような複合的な原因が重なって、最終的に「開放時に極僅かに絞り羽根が顔出ししてしまう」状況でしか組み立てられず、おそらくは「最小絞り値側もf11どころかf8で停止」していたのだと思います。それを強制的に閉じさせる目的で「旗振り棒を途中で曲げた」のが見えてきました(汗)

然しですョ、それらの根本はもっと簡単な話で「ヘリコイドのネジ込み位置ミス」だったのに、それに「原理原則」面から捉えようとしないから気づけなかったのです(笑)

その結果、ガチャガチャやったのだと思いますが(笑)、結局「直進キーと直進キーガイドの微調整ミス」に合わせて「絞り羽根開閉幅/開口部の面積/カタチ/入射光量の微調整ミス」の2つが影響しました(泣)

・・これらの2つは個別に微調整できるのに、それすら試していません(笑)

なお絞り環操作はこのモデルはクリック感を伴わない「実絞り方式のスカスカ状態」なのが仕様ですが、極僅かにトルクを与えてスカスカ感を低減させています(笑)・・あくまでも「せめてもの気持ち程度」ですが(汗)

絞り羽根は多少擦りキズが残っていますが、経年劣化進行に伴いの揮発油成分は完全除去済です (当方では当たり前の話ですが)。また絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」しながら閉じていきますし、もちろん簡易検査具ですが各シボ゛理知の整合性も検査済です(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当初の重めのトルク感よりだいぶ「軽め」に仕上げました・・いわゆる当方の「ヌメヌメっとしたシットリ感漂うトルク感」の感触で、全域に渡り均一に組み上がっています。ピント合わせの際は掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで、ピントの山のピーク前後で微動が適うので大変ピント合わせがし易く仕上がっています(笑)

また今回当初バラすまうの実写確認時に「もう少しピント面って鋭くなかったかしらん???」と思ったのですが、組み上げて実写してみたらやはり鋭かったようです(笑)

ピントのピークがスパッと一瞬に訪れる本来のピーク/山に戻ったので、本当に「チョ〜気持ちイイ!」と唸ってしまうくらいにスパン!と合焦します(笑)・・これがこのモデルのピントの合い方ですョねぇ~???(笑)

・・久しぶりに触って再び感激しました!(涙) 本当に素晴らしいモデルです!(涙)

↑不思議と市場を調べると、やはり「絞り連動ピンの先端が2種類顕在する」ので「相変わらず???」なのですが(汗)、今回の個体は赤色矢印で指し示しているとおり「絞り連動ピンの先端に傘が在るタイプ」です。

然しですョ! 今回よ~く考えて「???」と思いましたが (よ~く考えないと気付かなかったと言う為体な始末)、この先端部分の傘が存在しない個体だと「マウントアダプタの日本製に装着した時に最小絞り値f16まで閉じない」問題が起きる事の関係性に気づきました・・今頃かョ!と言う話です(笑)

後で紹介しますが、この傘の部分がそっくりそのまま欠落していると「その分の長さが短くなるのでRayqual製マウントアダプタでは深すぎて最小絞り値f16まで閉じなくなる」次第です(汗)

↑実際に検証しているところですが (いちいち検証して証拠写真を載せないと信じてもらえないから)(笑)、K&F CONCEPT製「M42 – SONY Eマウントアダプタ」に装着したところです (中国製)。赤色矢印で指し示しているのは、マウントアダプタの仕様としてオールドレンズ側マウント面に「1㎜弱の突出が備わる」ので、その分の隙間を指し示しています (つまり隙間があってもこれで正常/ちゃんと最後までネジ込めている状態)。

この時、実はマウントアダプタ内側の「ピン押し底面を凹面に入れ替えている」状況です・・その理由は前述のとおり「絞り連動ピンの先端に傘が在るから」で、その分の深さ分をちゃんと相殺しないと詰まった感じでネジ込まれる事になり、合わせて絞り羽根の開閉以上の因果にもなり兼ねません(怖)

この時の絞り羽根の閉じ具合をちゃんと「証拠写真」として撮りました(笑) 最小絞り値:f16まで閉じきっています (簡易検査具で検査済)。

当初バラす前の確認時点では、左写真よりも極僅かに広がっている状態で停止していたので、簡易検査具で調べると「f16未到達」と言う結果でした(汗)

↑今度は日本製のRayqual製「M42 – SαEマウントアダプタ」ですが、同様オールドレンズ側に「1㎜弱の突出」が備わるので隙間が空きますが、ちゃんと最後までネジ込めています。

この日本製マウントアダプタは「ピン押し底面の深さが5.9㎜」なので、今回の個体のように「絞り連動ピンの先端に傘が在る」分ちょうど良いワケです(笑)

従って、もしも別の場合・・「絞り連動ピンの先端に傘がないタイプ」の左写真のような個体だった時は、この日本製マウントアダプタにネジ込むと「絞り羽根は最小絞り値f16まで閉じない」と言う絞り羽根開閉異常が起きます。

逆にこの時K&F CONCEPT製マウントアダプタで「ピン押し底面を平面側にセット」すれば、問題なく装着が適います (絞り羽根もちゃんと最小絞り値:f16まで閉じきる)。

このようにご案内すると「工業製品として高精度な日本製を貶している」と誹謗中傷メールの嵐になりますが(笑)、別にへこたれません・・実際に事実なので仕方ないからです。

K&F CONCEPT製マウントアダプタは「ピン押し底面を凹面と平面で入れ替えができる仕様」なので、このような「絞り連動ピンの突出量の相違による不具合絞り羽根開閉異常」の際に「僅か0.49㎜の深さの違い」であるものの、その違いのおかげで絞り羽根がちゃんと最小絞り値まで閉じてくれるように改善する場合もあるからご案内しています。

このように言うと今度は「別にピン押し底面の底に薄い紙でも数枚入れれば良いだけの話なのに大げさだ!」と言ってきますが、当方にはそんな紙を数枚入れるよりも、サクッと「ピン押し底面の面を入れ替えるだけ」のほうが楽だとしか思えませんが(笑)

別に中国製をお勧めしているワケではなくて、たまたま中国製なだけであって、然し「ピン押し底面が両面使いできるのはこの製品だけ」なのは歴然たる事実ですから (ウソでも何でもない)(笑)、それを指して助かりますョ~と述べているだけの話です(笑)

・・心の器が狭い人達から誹謗中傷される謂れは、正直一切ありませんねぇ~(笑)

もちろんちゃんと最後までネジ込めているので、日本製のほうでも最小絞り値:f16まで確実に絞り羽根は閉じきっています。

一つ前のK&F CONCEPT製マウントアダプタと全く同じように絞り羽根が閉じていきますね(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から変更しました/ほぼピッタリ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

オーバーホール/修理ご依頼者様向けにご依頼者様と当方の立場が「50 vs 50」になるよう配慮しての事ですが、とても多くの方々が良心的に受け取って頂ける中、今までの13年間で数人ですが日本語が口語として普通に語れない、おそらく某国人に限ってここぞとばかりに「無償扱い」される方もいらっしゃいます (漢字三文字、或いは漢字とカタカナ表記を合わせて含むお名前様だけで確定判断はできませんが)(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっていますが「回折現象」の影響を感じません・・素晴らしい描写性能です!(涙) 今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。明日梱包して発送申し上げます。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。