〓 Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 (silver)(CRX)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製中望遠レンズ・・・・、
『CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 (silver) (CRX)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはCarl Zeiss製オールドレンズの括りだけで捉えると43本目にあたりますが、その中で今回扱った「CONTAREX版Sonnar 85mm/f2」
モデルに限定してカウントすると僅か4本目です。
今回のオーバーホール/修理ご依頼内容は「ヘリコイドの固着で全く動かない」との内容です。実はこのCONTAREX版Sonnar以外、他のオールドレンズも含めて近年特に多い傾向なのが、
この「ヘリコイド固着」です(泣)
このブログでも執拗に本当に何度も何度も取り上げて解説を続けていますが、その傾向は減るどころか、むしろ増え続けているのが現実です(涙)・・その最大の因果関係は「オールドレンズの経年劣化進行」ではなく、過去メンテナンス時の整備者の「不始末/認識不足/ごまかしの整備」です。
逆に指摘するなら「ヘリコイドが固着した個体でこれらの因果関係ではなかった個体が存在しない」と言い切ってしまっても良いくらいに頻繁に起きている実情です。悪いのは経年劣化の進行と言う時間の問題ではなく「整備者の身勝手な考え方/所為/仕業」により、ヘリコイドが固着していく方向へと進んでいるのがリアルな現実です。
・・今まで13年間整備し続けてきたリアルな事実なので結論は変わりません!
「白色系グリース+潤滑油」の組み合わせでヘリコイドのネジ山が処置されると、早ければ
1年、長くても数年でヘリコイドの粘性が増していき、重いトルクへと変わりつつも、最後は「ネジ山融着による固着」で「製品寿命」を迎えます(怖)
もっと正しく正確に述べるなら「過去メンテナンス時に白色系グリースを塗布するから拙い」ワケで、そこに当方とご同業者たる『転売屋/転売ヤー』が平気で「潤滑油を注入」するから環境が整ってしまいます(涙)
基本的に『転売屋/転売ヤー』は自分が出品した個体が落札者の手に渡った時だけ、数日間
スムーズに動いていれば良いので、平気で「潤滑油を注入」します!
従って過去メンテナンス時に「本来の生産時点と同質な黄褐色系グリースを使って整備していればまだ耐性が高くなる」のに「軽いトルク感で操作できる事/均質なトルク感で距離環が
全域に渡り操作できる事」だけを優先するが故に「平気で白色系グリースを使い続けている」から堪ったものではありません(涙)
もっと言うなら、オーバーホール/修理を依頼する際に「白色系グリースを使っているかどうか」を一切確認せずに整備会社に修理依頼するユーザーがあまりにも多いので、このような結末を迎える個体がなかなか減りません(涙)
ユーザーが「白色系グリースを嫌えば塗布される絶対数を減らす傾向に改善できる」かも知れないのに、今どきの地球温暖化問題同様に、自分は関係ないからと確かめもせずに依頼するから、いつまで経っても同じです(涙)
このまま50年が経てば市場流通しているオールドレンズの中で、適切な整備が施されて良い状態を維持してきた個体数は半分以下まで激減し、その時初めて『絶滅危惧種だったのだ!』と気づくのでしょう(涙)・・放っておいても、どうせ光学系の蒸着コーティング層の経年劣化進行は、歯止めが効かないので「白色系グリースの塗布により揮発油成分の影響を受けてさらに悪化」し、いずれ消滅する運命しか待っていません。
・・どうせ当方はその頃もぅ居ないので、どうでも良いですが(笑)
↑上の写真は、今回のオーバーホール/修理ご依頼を賜った個体を「4時間がかりでバラして
取り出したヘリコイド群」です(涙)
当初箱から取り出した時は「無限遠位置で完璧に完全固着していて全く動かない状態」でした(泣) 仕方ないので「加熱処置」を施します・・通常「加熱処置」すればたいていのオールドレンズはヘリコイドが僅かでも動き始めますが、今回の個体は全くダメです!(驚)
もちろん素手で触れば大火傷なので「専用の耐火手袋」を使い、同時に耐熱性の専用治具まで使ってヘリコイドを回そうと試みるものの、それでもダメだったほどに本格的に固着していました(驚)
上の写真を撮った時は一度溶剤で洗浄していますが、それでもご覧のとおり「グリーン色の矢印で指し示しているヘリコイドオス側のネジ山 (左端) の潤滑油は、半分しか除去できていない状態」です!(驚)
これだけ執拗にアルミ合金材に浸透しきってしまっている「潤滑油」と言うのも、実は珍しいです(泣)・・しかし、臭いを嗅いでみると (毎回必ず臭いをチェックしています) おそらく2種類の潤滑油が注入されていて、古いほうは一般的な潤滑油だったものの、その後に「呉工業製 CRC5-56」をプシュッとやったのが分かる「キツイ異臭」を放っていました(涙)
この潤滑油は金属材への浸透力がハンパないので、溶剤で1度洗浄した程度では完全除去できません (それで半光沢みたいな感じでヌメヌメっと残っている状態で写っている)(泣)
一方ヘリコイドメス側のネジ山を確認すると (赤色矢印:中央) 残っていたのは「黄褐色系グリース」なのが分かります (ブルー色の矢印で指し示している箇所を見ると分かる)・・つまり、
今回の個体は「白色系グリースが塗られていなかった」のです!(驚)
過去メンテナンス時に、おそらくひたすらに「潤滑油」だけが注入されてきたのだと思いますが、最後が「呉工業製 CRC5-56」だったので最悪でした(涙)
いえ、もっと正しく正確に説明するなら、塗布されていた「黄褐色系グリース」は完璧にスカスカ状態だったので、相当長い年数平滑性を失っていた状態の中で「潤滑油」だけが注入され続けてきたのだと思います。
しかも悪い事に「ヘリコイドのオスもメスも互いに同質のアルミ合金材+メッキ加工」だったので、ネジ山の固着には最も適した環境でした(泣)
このように「潤滑油だけに限定した環境下でも長い年月の中で粘性が増大していく」事が少なからず判明しました・・研究を続けている当方にとっては、今回のご依頼はとてもありがたい現象でした・・ありがとう御座います!
そして今回の内容から、合わせて「補強された考察」は「黄褐色系グリース+潤滑油」の条件のほうが、やはりより耐性が維持できて、より長い期間に渡ってヘリコイドの粘性を防いでいた点です。実際、今までの13年間で数多くの「黄褐色系グリースだけが使われていた個体の実情」を確認してきているので、大凡推測は適っていましたが、現実に「潤滑油」が頻繁に注入され続けていた環境下での耐性について、或いは粘性の増大について確認できたのは、本当に良い機会を得られました!(涙)
↑さらに取り出した光学系の鏡筒を撮影しました。今回のオーバーホール/修理ご依頼では「光学系はイジるな!」とのご指示があったので、単に取り出すだけのつもりでしたが、実は光学系第2群の「3枚貼り合わせレンズの表層面にカビ菌糸を確認 (グリーン色の矢印)」したので、仕方なく取り出して外しています(汗)
この点、ご指示に従っていない所為を執っているのでご納得頂けない場合は「ご請求金額よりご納得頂ける分の金額を減額」下さいませ・・申し訳ございません!
・・但し、ご請求金額には光学系の清掃代金はサービスにして請求していません!
手を出すなとのご指示だったので、当然ながらご請求するワケにはいきませんが、目視できたカビ菌糸を知らん顔もできませんでした・・スミマセン。
また鏡筒や光学系の格納筒は「全て黄銅材」で造られているので、ご覧のように経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んで真っ黒に見えるくらいです(汗)
これら黄銅材を当方が『DOH』するとピッカピカに黄金色に仕上がりますが(笑)、本当はバラした直後はこんな色合いに酸化/腐食/サビが進んでいます(笑)
赤色矢印で指し示している箇所には、おそらく過去メンテナンス時に掴んだのであろう指の指紋痕が残っており、その箇所でさらに酸化/腐食/サビが酷くなっています (上の写真ではさらに黒く濃く写っている)。
また前のほうに綿棒を置きましたが、溶剤で拭って除去した「緑青」です(汗)・・こんな感じに黄銅材は凡そ経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んでいるのがリアルな現実のバラした直後の状態です(笑)
今回イジるなとのご指示で、ちょうど良かったので、バラした直後の説明用として写真撮影に使いました(笑)
↑こちらの写真はバラした後に溶剤で洗浄した直後の「基台」です・・最初の写真で一番右端に並んでいる「基台」ですね。
内側を確認すると「やはり」と思いましたが(笑)、過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」で厚塗しています(笑)
凡そ数多くのオールドレンズがバラすとだいたいこのように「反射防止黒色塗料」で内壁を塗っている事が多いです(笑)・・これは光学系に対して「迷光を防ぐ」意味合いからこのように着色します(笑)
しかし、現実には、物理的にも「光学系の格納筒はこれら内壁からの反射に影響を受けない独立した設計」なので、そもそもこれら筐体の内側を着色する意味がありません(笑)
そういう理由もあり当方ではこのような所為を「整備者の自己満足大会」と呼んでいます(笑)
↑さらに拡大撮影していますが「直進キーと言う板状パーツが固定される箇所」の接触面にまで「反射防止黒色塗料」を厚塗しています (赤色矢印)。
実はこの締付ネジ1本で締め付け固定される「直進キー」は、必要以上に厚みが増大すると「距離環を回すトルクに影響が現れる」のが「原理原則」なので、今回バラした際に気になって撮影した次第です(笑)
・・要は過去メンテナンス時の整備者は「原理原則」を全く理解していない整備者だった(笑)
↑バラした後に溶剤で「数回洗浄」してキレイにしてから(笑)、今度は『DOH』を施してピッカピカに仕上げたところです(笑)・・そしてもっと言うなら「これこそが生産時点の状態」であり、Carl Zeissの工場で、ちゃんとメッキ加工せずに「アルミ合金材の横方向の微細なヘアライン仕上げ (アルマイト仕上げ)」で切削しているのが判明します。
もしもこの内側の内壁面からの反射が光学系の格納筒に対して「拙い」なら、ちゃんとメーカーはメッキ加工して「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」でも施して、経年で揮発油成分が流れないよう処置していた/設計していたハズです(笑)
・・それをしていないのが何よりも証拠です! 黒く塗る必要がないのです(笑)
だから当方は過去メンテナンス時の整備者による「自己満足大会」と呼んでいます(笑)
↑同じ「基台」を撮影していますが、今度はひっくり返してマウント面側の方向から撮っています。
実は赤色矢印で指し示している環/リング/輪っかの場所に「鋼球ボールの大:24個と鋼球ボールの小:48個」の合計72個の鋼球ボールがバラバラと入って「絞り羽根開閉制御環」をクルクルと回す役目をします。
さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所の締付ネジ用下穴は「マウント部の爪」を締め付け固定する下穴ですが、そこに過去メンテナンス時に数回に渡って「固着剤」が何回も塗られていたようで、そのまま剥がさずに過去メンテナンスを続けていったので「盛り上がっていた」為に、今回のオーバーホール工程で全てガリガリと削り取っています。
これも非常に多い「整備者の勝手な思い込み」の一つですが、マウント部の爪を締め付けている締付ネジを固着剤でガッチガチに固定したほうが良いと思い込んでいます(笑)
しかし、実はワンオーナー品のCarl Zeiss製《Oberkochenモデル》をバラすと、マウント部の爪は固着剤がありませんでした(笑)・・もちろん「直進キー」にも固着剤などは一切付着していません(笑)
・・ちゃんと調べた上で述べているのです(笑)
購入した本人が「数十年間一度も整備に出していないから是非貴方に整備してもらいたい」とワザワザ海外から送ってきているので、間違いありません(笑)・・本当にありがたい事です。
日本国内ならともかく、ワザワザ国際宅急便を使って海外から送ってくるのですから、これがありがたいと感じないワケがありません(涙)・・米国からも (米国は東部と西部の3箇所から
届きます)、英国からも、オランダからも届きます(涙) 今年はそれにシンガポールからの荷物も届くようになりました(笑)
↑何度も出てくる「直進キー」は、上の写真のような板状のパーツです (赤色矢印)。
↑ヘリコイドオス側 (赤色矢印) に備わる「直進キーガイド」と言う溝を「直進キー」がブルー色の矢印のように行ったり来たりします。この時、距離環が回されているので「回転するチカラが即座に直進動のチカラに変換されて、ヘリコイドオス側の繰り出し/収納が始まる」と言う原理ですね(笑)
当然ながらこのヘリコイドオス側の筒の内部に「鏡筒が格納されている」からこそ、無限遠位置~最短撮影距離位置の間で繰り出し/収納の動きをしている次第です(笑)
従って、この時に「直進キーに厚みが加わるとガイドの溝に接触する応力が働いてしまう」ので、トルクを重くする原因に至ります(涙)・・それで前の工程のほうで「反射防止黒色塗料を剥がして生産時点に戻した」ワケですね(笑)
・・それぞれヤッている内容にはちゃんと理由と根拠があります(笑)
特に今回の個体は「ヘリコイドネジ山の固着」だったので、黙っていても「ネジ山の状態は良くない」想定が必要ですから、それにプラスするような/影響を増大するような「マイナス要素は徹底的に排除」に努め、可能な限り距離環を回す時のトルクを軽い方向に仕上げるのが本筋ではないでしょうか???
・・と、当方は思いますね(笑)
ちなみに、上の写真はヘリコイドオス側を数回に渡り溶剤で洗浄しているので、ようやく本来の「潤滑油:呉工業製 CRC5-56が浸透していない状態」に戻せました (アルミ合金材への潤滑剤の成分浸透が酷かった分、わずかに白っぽく見えている)(泣)・・おそらく別の古い潤滑油が既に注入されていたのも何かしら浸透力を高めていた因果関係があるのかも知れませんが
当方にはよく分かりません。
このように「直進キーと直進キーガイド (溝) との関係性」は至極明白であり、この部位に距離環を回した時に「伝わってきたトルクのチカラが一瞬たりとも留まれば、その時点で重いトルクに堕ちる」のが原理であり、逆に言うなら「距離環を回す時に加えた指からのチカラは、そっくりそのまま全てがこの部位を介して直進動のチカラとして変換され伝達されていってしまう (一切残らない)」と断言できます。
・・これこそマニュアルフォーカスに於ける螺旋状ネジ山を介した普遍的なチカラ変換概念。
当方が施す『DOH』によって、この部位「直進キーと直進キーガイド」には一切グリースを塗布する必要性が存在せず、むしろ下手にグリースを塗ると「チカラ伝達の妨げになりかねない」のが「原理原則」です(笑)
そしてもっと言うなら、当方が施す『DOH』は、決して薬剤や研磨剤を使う処置ではなく、或いは車の整備会社が平気で実施している「化学反応を活用した経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビの除去」も当然ながら実施しません!(怖)
そもそも当方が実施する『DOH』の最大の目的が「経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビの除去」であり、それはイコール「可能な限り生産時点の状態に戻す」ことが狙いであり最終的なゴールです。
従って「薬剤や研磨剤を使った時点で金属材の表層面は加工されてしまう事になる」点をよ~く認識するべきです。ましてや車の整備会社で公然と平気で執り行われ続けている「化学反応の活用」などは、そもそも被対象物のパーツを溶かして痩せさせてしまう結末に至るので、全く以て本末転倒で「絶対にヤッてはイケナイ所為」です!
当方がどうして昔家具専門店に勤務していた頃に職人から伝播されたのかを考えれば歴然とした話です(笑)・・そのような金属加工をしては拙いからこそ「磨く技術」として直伝された次第です (当方では一切の薬剤使用/研磨剤使用/化学処置を執っていません)・・ひたすらに、本当にひたすらにどんなに時間がかかっても、ただただ磨くだけです (凡そオールドレンズ1本で『DOH』だけで2~3時間はゴシゴシ、ゴシゴシやっている)(笑)
だからこそ当方が今までの13年間で3,000本以上の個体数に施してきたオーバーホール作業が、現実にピント合わせの際のピントの山/ピーク前後で微動する際の、とても滑らかで気持ちの良いトルク感として微動できているワケです(笑)
・・今までに何千人もの人達が既にその感触を味わっているからのリアルな現実の話です(笑)
なお、最近のヤフオク!を見ていると「分解整備済」を謳ってヤフオク!出品する『転売屋/転売ヤー』が増えてきていますが(笑)、はたしてその「分解整備」する理由とはいったい何なのでしょうか???(笑)
逆に指摘するなら「完全解体しない理由」を明示しない限り、その謳っている「分解整備」に対する視点の角度が異なってきます。単にヘリコイドグリースを入れ替えて操作性を良くしているだけなら、ちゃんとそれを明示するべきです。
何故なら、完全解体していない残っている他の部位「絞りユニットや絞り羽根/マウント部内部
/絞り環制御系」などの経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビをどうして見逃すべきなのか「説得力が欠如している」からで、単に操作性を良くしただけなので「製品寿命の延命ではない」点をちゃんと明示するべきと思います。
これは特にオールドレンズを使うユーザー側が「整備してあれば延命になっている」と信じ
込んでいる/思い込んでいるから堪ったものではありません(泣)・・いいですか、何度も執拗に言いますが「何をどう整備したのかが重要」なのであって、整備自体に延命処置との関係性は担保できません!(笑)
ましてやその「分解整備」時に何度も指摘するように「白色系グリース」が使われていれば、本末転倒な話です(泣)・・はたしてその時の「分解整備済」に、落札されるユーザーは一体何を期待しているのでしょうかね(笑)
実際に「白色系グリース」が使われていれば、品物が届いた時すぐには判明せずとも、早ければ1年で、遅くとも5年程でツルツルしたトルク感に変化してくるので、その感触だけで分かります。特にピント合わせの際に、ピントの山/ピークの前後で微動する時の感触でバッチリ
分かります(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 (silver) (CRX)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。取り敢えず、ヘリコイド固着は改善できて無限遠位置~最短撮影距離位置まで繰り出し/収納ができるように戻っています。
「取り敢えず」と申し上げたのには理由があって、今回の個体はとんでもない状態だったからです(涙)
↑上の写真は、一つ前の一度完成して組み上げた時の写真を撮影してから「再びバラして取り出した距離環のローレット (滑り止め)」です(泣)この距離環のギザギザのローレット (滑り止め) 内側に「ヘリコイドメス側 (赤色矢印)」がグリーン色の矢印で指し示している「締付固定環」によってローレット (滑り止め) に締め付け固定される生産時の工程です。
そして今回本当に大変だったのですが、ブルー色の矢印で指し示している箇所に「両方共にカニメ溝が備わる」設計です。
・・何を言いたいのか???
つまり一度組み上げて (もちろんちゃんと無限遠位置~最短撮影距離位置まで繰り出し/収納ができる状態で) 仕上げたものの、無限遠合焦を調べると「極僅かにピントが合わないアンダーインフ状態」だったのです!(驚)
実は、1度最初に組み上げて完成した時に無限遠位置でピントが合わなかったので、再びバラしてヘリコイドオスメスのネジ込み位置を変更しつつ「3時間がかりで確認してみた」のです。
ところがどの位置でヘリコイドをネジ込んでも全く無限遠合焦しません・・アンダーインフ状態で全く合焦しなかったり、オーバーインフ量が多すぎて、逆に最短撮影距離:80cmの所でヘリコイドが脱落してしまったり(汗)・・とにかくどの位置でヘリコイドをネジ込んでも適切に鋭いピント面で無限遠合焦しないのです!(涙)
・・それでピ~ンと来ました!!!(涙)
再び・・と言うか、実は8回目にバラして上の写真を撮っています。本来Carl Zeissの工場ではこのギザギザが備わる距離環のローレット (滑り止め) に対して「濃い茶色のヘリコイドメス側 (赤色矢印)」を組み込んでから、グリーン色の矢印で指し示している「締付固定環」をネジ込んで「ヘリコイドメス側を締め付け固定する」ワケですが、その際「締付固定環はローレット (滑り止め) と全く同質のアルミ合金材」でワザと/故意に設計して造っています。
これにはちゃんと理由があって「おそらく治具を使い機械締めで硬締め」しています・・とても後から人の手のチカラでは回せない程にガッチリと硬締めしています。
逆に言うなら、今までにオーバーホールした43本のCONTAREX版モデルで (冒頭で数を明記しています) 2本しかこのヘリコイドメス側を外せていないので、とても人のチカラでカニメ溝を回せるレベルの話ではありません(泣)
それで仕方なく過去メンテナンス時の整備者は禁じ手をヤッてしまいました(涙)・・何と「ヘリコイドメス側のカニ目溝を使って回してしまった」のです(涙)・・おそらく完全固着していたヘリコイドを外すつもりでメス側を回したのでしょうが、最悪の結末です(涙)
ちゃんと「観察と考察」をじっくり行い「原理原則」に則れば、どうして同質のアルミ合金材で締付固定環を用意したのか思い至るのですが、過去メンテナンス時の整備者は全く考えが及ばなかったのです(涙)
調べてみると「ヘリコイドメス側の位置が凡そ2cm弱ほど先まで周ってしまっている」のが判明しました・・無限遠位置の合焦点から割り出したズレ幅です(涙)
それで「あッ!過去のメンテナンス時にヘリコイドメス側を回してしまったんだ!」と分かった次第です・・これらCONTAREX版モデルで「ヘリコイドメス側を強くチカラを入れて回す」のは「禁じ手」であり、ヤッてはイケマセン!(涙)
今回のようにヘリコイドメス側をズラしてしまったら最後、無限遠位置までズレてしまい合焦しなくなります(涙)
ならば「回してしまった逆に回せば良いではないか?!」と考えるのでしょうが、実は相手が「同質のアルミ合金材で造られている締付固定環」なので、前述のとおり人のチカラではとても回せません(笑)・・ましてや、外す方向の反対に回すのは「締め付ける方向」なので、回る
ハズがないのも当然な話です(泣)
従って「ヘリコイドメス側がズレたら最後、無限遠合焦しない個体に堕ちてしまう」からこそ
ヤッてはイケナイのです(怖)
ちゃんとよ~く見れば分かるのですが、濃い茶色にメッキ加工してあるヘリコイドメス側は「締付固定環で締め付け固定されている」ワケで、触ってはイケナイのです(涙)
・・これが原因です。今回の個体は無限遠合焦しません!(涙)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無でスカッとクリアです。
光学系第2群の3枚貼り合わせレンズに生じていたカビの菌糸も専用薬剤を使い完全除去してあります (カビ除去痕は残っていません)。
光学系をイジるなとのご指示でしたが・・申し訳ございません。今回のご請求には光学系の一部清掃代金は含んでいませんが (サービズで無料で処置しました)、それでもなお納得できない場合は「ご納得頂ける分の金額を減額」下さいませ。
・・当方の性格上、知らん顔できないのでスミマセン!(涙)
↑光学系後群側もスカッとクリアで極薄いクモリが皆無です。後群側はご指示に従い触っていません・・後玉の露出面側だけを念の為に清掃しただけです。
なお、赤色矢印で指し示している「マウントの爪」を締め付け固定している「締付ネジ」が全てネジ山が既に潰れていて、且つ固着剤まで流し込まれており、当初バラす際に「加熱処置」でようやく外せています・・この分の作業だけで1時間半かかっているので作業代金をご請求します。グリーン色の矢印で指し示している「絞り環用の開閉環」まで締付ネジ3本が外れなかったので、同様「加熱処置」でようやく外れました。
おそらく過去メンテナンス時に「充電ドリルで硬締めしている」と思います・・ロクな事をしません!(怒)
↑鏡筒内部、及び絞りユニットはご指示に従いイジッていないのでそのままです (絞り羽根も清掃していません)。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑前述の「ヘリコイドメス側を回してしまったのが判明した」ので、仕方なく再びバラして「別の方法で仕上げた」ので「現状ちゃんと無限遠合焦するように改善できています」が然し、ヘリコイドメス側の位置が「約2cm弱回ってしまっている」分は戻せませんから (前述のとおり人のチカラで回せない)、その分がそのまま「オーバーインフとして凡そ3目盛りほど∞刻印の位置から手前で無限遠合焦する」状況です。
これは物理的にヘリコイドメス側が約2cm弱ズレているので、距離環刻印指標値の「∞」の位置でピタリと合わせる事は不可能です・・結局、ヘリコイドメス側を外さない限りズレたのを戻せないからです。
それでも納得できない・・というのであれば「ご納得頂ける分の金額を減額」下さいませ・・申し訳ございません!
↑「黄褐色系グリース」を塗布し、距離環を回すトルクは人により「普通」或いは「軽め」に感じられるものの、ヘリコイドのネジ山で固着してしまっていた箇所が歪んでいるので、その分で僅かにトルクムラが起きます。
例えば「∞~10m」の間で突然ククッと動きが早まったりします。また最短撮影距離方向で時々重くなる事がありますが、ピント合わせできないほどの重さではありません・・指に抵抗を感じる程度です。
これらトルクムラもヘリコイドが固着していた影響なので、ネジ山のどの部分なのかはさんざん凝視しましたが分かりませんでした・・従って改善できていないので、この点も納得できなければ「減額」下さいませ。
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
オーバーホール/修理ご依頼者様向けにご依頼者様と当方の立場が「50 vs 50」になるよう配慮しての事ですが、とても多くの方々が良心的に受け取って頂ける中、今までの12年間で数人ですが日本語が口語として普通に語れない、おそらく某国人に限ってここぞとばかりに「無償扱い」される方もいらっしゃいます (漢字三文字、或いは漢字とカタカナ表記を合わせて含むお名前様だけで確定判断はできませんが)(笑)
なお、2020年からの3年間で数多くオーバーホールしてきた経験値から
「来年2024年度よりオーバーホール/修理の内容と金額を改定」します。
本当に引退するまで、後どのくらい体調が保ち続けられるのか分かりません
が、その間を見据えて価格改定します。また内容としては、個別の部位でのオーバーホール/修理をやめて「全て完全
解体によるオーバーホール/修理のみに限定」します。従って「光学系の清掃だけ」や今回のような「ヘリコイドの部位だけ」と言う
オーバーホール/修理は今後行いません。詳細は年明けに告知したいと思います・・申し訳ございません。
↑当レンズによる最短撮影距離80cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f22」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況ですが、それでもこれだけの描写を残し「回折現象」の影響が感じられない素晴らしい写りです!(驚)
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
↑最小絞り値「f32」近くでの撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。