◎ A.Schacht Ulm (シャハト・ウルム) M-Travenar 50mm/f2.8 R zebra(M42)
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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方での扱いが初めてのモデルでしたので、当方の記録としての意味合いもあり掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。オールドレンズの製造番号部分は画像加工ソフトで編集し消しています。
旧西ドイツのミュンヘン (Ulm-Donau) で創業した光学メーカーA.Schacht Ulm社から1963年に発売されたヘリコイドユニット・システムのマクロレンズです。鏡胴はレンズヘッドの鏡胴「前部」とヘリコイドユニットと言う鏡胴「後部」の二分割になっておりレンズヘッド部分を入れ替えて使うことができるシステムレンズです。
旧東ドイツ側陣営の光学メーカーがコッテリした色乗りの発色性と誇張的なコントラストで暖色系に振れる描写性なのに対し旧西ドイツ側の光学メーカーが発売していたオールドレンズはシアン (色) が強調される寒色系に振れた色合いが特徴でスッキリ感のあるニュートラルな印象を受ける描写性です。それを指して「◯◯◯のブルー」(◯◯◯は光学メーカー名) などと呼ばれることが多いようですが決してブルー系だけが鮮やかな表現なのではなく色の要素としてのシアンが強調されるのでブルーが画の中に含まれていなくても画全体の色味が寒色寄りに収まります。同じ葉っぱのグリーン (色) でも旧東ドイツ側のオールドレンズでは渋い色合いで写るのに対して旧西ドイツ側のオールドレンズではスッキリした新鮮なイメージの仕上がりになります。また総じて旧西ドイツ側のオールドレンズはピント面のエッジが細目 (繊細) に出ることが多くそのことも影響してよりアッサリした印象を受けるのかも知れません。
光学系は3群4枚の典型的なテッサー型ですが最短撮影距離を8cmに採ってきているので光学硝子レンズの曲率もテッサー型の中では多めです。前玉は鏡筒の最深部に位置しており光線の遮蔽環に囲まれているのでフードが必要ありません。最大倍率は1:1の等倍撮影まで対応しています。
今回のオーバーホール/修理ご依頼は・・、
- ヘリコイドのトルクムラ
- 二段目の鏡筒繰り出し時のガタつき
- プリセット絞り環のクリックが重い
- 光学系内の清掃
- 筐体外装面の磨きいれ
・・と言う内容です。以下オーバーホールを進めながら解説していきます。
上の写真 (2枚) は、当方で行った「磨き研磨」の処置前後を撮影しています。1枚目がバラした直後に清掃だけをした状態で撮影しました。普通のメンテナンスではこの状態から組み上げに入っていきます。2枚目はその後に当方で「磨き研磨」を施し2回目の清掃をした後で撮りました。当方では必ずこの「磨き研磨」が終わってから組み立て工程に入っていきます。
今回の個体は当初バラした時点で過去のメンテナンス歴があり (マーキングもある) 且つ使われていたグリースは「白色系グリース」でした。既に経年劣化に拠る液化が進行しさらに最後のメンテナンス時に (1〜2年前か?) 液体式の潤滑油を入れられています。当初の黄褐色系グリース (メーカー純正) は既に存在せずキレイに拭き取られており、その後のメンテナンスでは「白色系グリース」が塗布されました (白色系グリースなのでそれほど昔ではありません)。従ってヘリコイドや内外筒或いは絞り環などが経年の摩耗粉で濃いグレー状になっているのは理解できるのですが全くグリースを必要としない箇所まで濃いグレー状が浸透していました。試しに臭いを嗅いでみると「呉工業CR-C556」ではないミシン油のような臭いでした。しかし液体の潤滑油であることには変わりなく経年の揮発油成分が濃いグレー状の摩耗粉と相まって真鍮材やその他の金属製パーツの腐食を促してしまい且つ表層面にまで浸透していました・・波のようにうねった状態で隙間に揮発油成分が侵入し摩耗粉によりその痕跡が残っていたので判明した次第です。
当初届いた時のヘリコイドのトルク感は経年劣化に拠るグリース切れの状態でスカスカ感がありましたが、実際には前述のような原因で既にグリースの役目を成していない状態でした。「磨き研磨」により各構成パーツが滑らかに動くことを想定して作業を進めます。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。
絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。光学系が3群4枚のテッサー型構成なので鏡筒は大変小っちゃなサイズです。
フッ素加工が施された12枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。過去の油染みで付いてしまった油染み痕 (長期間絞り羽根が動かされなかった位置の痕跡) が残っています。普通絞り羽根の開閉幅 (絞り羽根が閉じていく際の開口部/入射光量の大きさ/面積) を調整する機能が用意されているハズなのですが、このモデルにはその機能が全くありません。従って決まった大きさでの開口部にしかなりません。
光学系前後群が最深部に配置されるので後からでは組み付けが大変になるためここで先に組み付けてしまいます。
レンズユニットの前玉側にはプリセット絞り機構部と絞り環が配置されますが、それら機構部がまだ組み付けられる前の状態を撮っています。プリセット絞り機構はクリック感を伴う操作性なのですが意外と何も無くてシンプルです。
プリセット絞り機構部を組み付けてから絞り環をセットして最後に鏡筒カバー (フィルター枠) を組み付けます。これでレンズヘッドが完成です。
このモデルではフィルター枠自体がプリセット絞り環の役目を担っているのでフィルター枠を回すとプリセット絞り値がクリック感を伴って設定できます。オーバーホール/修理ご依頼内容の (3) クリックが重い・・は当初届いた時点に確認しています。クリック機構は鋼球ボールと板バネによる方式でしたが、その板バネが鋼 (ハガネ) ではなくカタチを付けた金属板だったために反発力の調整が一切できませんでした。恐らくこのクリック感の強さはオリジナルの状態のままなのだと思いますが少々非実用的な硬さです。板バネのほうでは調整ができないので今回は鋼球ボールの径をひとつ小さめのモノに替えてクリック感の調整をしました。現状程良い強さでクリックできるようになっています。
鏡胴「前部」=レンズヘッドが完成したのでこの次は鏡胴「後部」=ヘリコイドユニットの組み立てに入ります。
距離環やマウント部を組み付けるための基台で真鍮製です。冒頭の写真の通り当初バラした直後はこの真鍮材の筒は濃いグレー状のモノが金属材に浸透してしまったまま経年劣化で変色していました。従って通常の「磨き研磨」では濃いグレー状のモノが除去できずプラスもう1回磨き研磨工程を行いようやく上の写真のような状態になりました。
このモデルはダブルヘリコイドのシステムを採っているので二段目の鏡筒が繰り出される仕組みが必要です。上の写真は一段目の鏡筒繰り出しを行う仕組みで二段目はさらに黒色のレンズヘッド「受け部」が使われます。右端に幅広の「溝 (直進キーガイド)」が用意されており (反対側にももうひとつあります) 直進キーと言う出っ張りが噛み合っています。レンズヘッド用の「受け部」にも溝が用意されていてやはり二段目用の直進キーが噛み合います。この仕組みによって距離環を回していくと最初に一段目が繰り出され最後に二段目が繰り出されて最短撮影距離になる方式です・・入れ子のようになっているワケですね。
当初バラした直後ではこの内筒と外筒、或いはレンズヘッド用「受け部」の直進動は経年劣化に拠る腐食で摩擦が非常に多かったのですが「磨き研磨」によりその摩擦が除去できスムーズに動くようになりました。
しかし残念ながら組み上げ後の繰り出し時には相応の「重み」をトルクに感じます。これは経年の摩擦の影響もありましたが実はこの内外筒と「受け部」の設計に原因がありました。直進キーの爪部分をもう少し内側に飛び出させて内外筒と「受け部」それぞれに「隙間」を用意していれば摩擦が無くなっただけで大変スムーズな動作をするようになったと思いますが、内外筒も「受け部」も共に筒自体の径がビッチリと接したサイズで設計されているのが影響しています。逆に言うと直進キー部分を単純な「爪」だけで二段ある筒を繰り出させる方式を採ってしまったことが結果としてトルクを重くする原因になっています。
従って「磨き研磨」でせっかく摩擦を排除したにも拘わらずトルクの改善には至りませんでした。申し訳御座いません。また二段目が繰り出されるとガタつきを感じると言うオーバーホール/修理ご依頼内容の (2) に関しても、この爪が影響しています。爪だけで繰り出した筒を保持しているので二段目が繰り出されると「受け部」の筒自体はグラグラした状態になっています。例えば次に三段目の筒が存在していたとして、その筒が「受け部」にピッチリと接していればグラグラ感が無いシッカリしたホールディングになるのでしょうが、実際は「受け部」を固定している固定ネジと上の写真の外筒を固定している固定ネジ (マウント固定用ネジ) の2箇所でしか固定されていないので、中間の内筒部分がフリーになっておりグラつきの原因になっています。つまり3つの筒が最初と最後の2箇所だけでしか固定されていないのがグラつく原因なのです。従って「爪」だけで筒を保持する考え方自体がそもそもムリがあったと言わざるを得ません。他の同型個体を知りませんが恐らく同じようにガタつきが生じていると思われます。このモデルの仕様として諦めて頂くしかないと思います・・申し訳御座いません。
結果、距離環を回す際にはこれらの筒のグラつきから来る負荷が加わるばかりか、そもそもヘリコイドのネジ山自体の距離も大変長いので相当なトルクの重みが生じてきます。
真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置までネジ込みますが、実はこのモデルでは無限遠位置はこのヘリコイド (メス側) が最後までネジ込まれて底面に当たる場所になっています。従って全部で13箇所のネジ込み位置があるのですが、それは無限遠位置の調整の役目を兼ねているのではなくあくまでも距離環の固定位置を変えるだけの話にしかなりません。普通のオールドレンズとは少々異なる仕組みです。
実際には距離環の固定位置を変えることで距離環と指標値環との無限遠位置のズレが生じるのですが、片やヘリコイド (メス側) が止まる位置 (つまり底面) は一つしか無いワケで、13箇所のどの位置でネジ込んでも当たる場所は一緒です。従って距離環の固定位置を底面に当たって停止する場所で無限遠位置として合致させなければ指標値環との∞刻印位置がズレてしまうと言う結果になります。
なかなか厄介な仕組みですね・・ここの仕組みを調べるだけで数時間かかってしまいました。と言うのも、当初マウント部をバラした際に内筒と外筒が一緒に外れてしまい無限遠位置のアタリを確認する余裕がありませんでした。従って今回の整備では自ら無限遠位置を確定していく作業が必要になってしまったワケで後悔先に立たずです・・(笑)
最終的にこのモデルでの無限遠位置は一つしか存在しないことが判明していますし、距離環を固定する位置も上の写真の通りヘリコイド (メス側) に用意された「下穴」の場所と決まっているワケですから位置調整等どうにもなりません。
ヘリコイド (オス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルには全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
一段目のヘリコイド部分が完成したので、この後は二段目の延長筒を繰り出す部分を組み付けてあげれば鏡胴「後部」=ヘリコイドユニットも完成します。ご覧の通り延長筒にも直進キーのための溝 (直進キーガイド) が用意されていますね・・この延長筒の溝に填った直進キー (爪) がすぐに抜ける構造なのでマウント部を外した途端に直進筒がスッポ抜けてしまったのです(笑) シッカリと爪を保持する設計になっていればガタつきも生じなくなりますし、さらに各筒との間に隙間を用意していてくれれば繰り出しのトルク感も重くならずに済んだと思います・・シャハトの設計技師さん、もう少し配慮が欲しかったですね。
上の写真では延長筒をヘリコイド筒の前玉側から差し入れ、同時にマウント側から直進筒を差し込んで直進キーの爪を噛み合わせてから延長筒と直進筒をそれぞれ指定箇所にネジ止め固定すればヘリコイドユニットが完成しますが、実際にはここでも数時間を要してしまいなかなか爪の位置とネジ穴の位置が適合せずにあ〜だこ〜だといろいろと試すハメに陥りました(笑) まさしく当方の技術スキルの低さを目の当たりにしたワケで本当にお恥ずかしい限りです。もっと修練を積まなければイケマセン・・。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
発売が1963年ですから、まだこの当時流行っていたゼブラ柄の意匠です。デザイン的にもなかなか品格のある意匠です。
光学系内の清掃をしましたがコーティング層の経年劣化が進んでいたのでガラス研磨を行いました。LED光照射で僅かに浮き上がっていた薄いクモリは除去できましたが経年の拭きキズや当てキズ、或いはヘアラインキズなどはそのまま残っています。
コーティング層の劣化に拠るコーティングスポットもあるのでガラス研磨は軽く行っただけです (コーティング層が剥がれそうなので)。
絞り羽根にもサビが出ていたので除去しています。相当な揮発油成分がレンズ内に廻っていたのだと推測できます。
ここからは鏡胴の写真です。
筐体はすべてに「磨き」をいれたのでキレイになっているのですが、上の写真の延長筒と指標値環の2つはアルミ材の材質成分が他とは異なっているようで焼付塗装の塗膜が違っていました。従って「磨き」をこれ以上いれると塗膜を剥がしてしまうのでやめています。結果、距離環や他の部分と比較すると光沢が鈍いままになっていますのでご留意下さいませ。申し訳御座いません。
また距離環や絞り環、或いはプリセット絞り環などのローレットで黒色部分の磨き込みはできませんので行っていません。
なお、一部のヤフオク! 出品者 (ドイツから出品している出品者) の指摘で、最短撮影距離位置まで鏡筒を繰り出した時、距離環と延長筒との間に「ヘリコイドネジ山が露出しないのがオリジナルの状態」と謳って出品している人が居ますが、それは逆です(笑)
(ちなみに今回の個体もバラす前の時点でネジ山が見えていた)
実は、延伸筒 (内外) とヘリコイド (オスメス) の構造から明白なのですが、無限遠位置「∞」を変更した場合 (ズラした場合) 最短撮影距離位置まで鏡筒を繰り出した時にヘリコイドのネジ山が露出するかどうかが変わってきます (ヘリコイドユニット側の問題)。
つまり、フィルムカメラに装着して僅かなオーバーインフ状態の範疇 (∞位置のズレ誤差が前後で1mm以内) に収めようとすると、必然的にネジ山露出します。逆にネジ山が露出しないよう整備すれば自ずと「∞」位置で距離環が突き当て停止した時、鏡筒の繰り出し量が足りない状況になる (逆に言えば鏡筒が必要以上に格納されてしまう話) のでオーバーインフ量が増大してしまいます (つまり∞位置のだいぶ手前で無限遠合焦してしまう)。
従って、フィルムカメラ時代に作られていたオールドレンズである以上、市場に出回っている個体の多くで最短撮影距離位置の時、延伸筒と距離環との間にヘリコイドネジ山が露出する部分があるのは納得できますから、これをムリに今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼などにマウントアダプタ経由装着するからと調整してしまえばネジ山は露出しなくなります (つまり装着するマウントアダプタとの相性問題の影響度が増大する話)。
要は、ネジ山露出が問題なのではなく「あくまでも無限遠位置∞で突き当て停止した時のピント合焦状態を優先するかどうか」の話であり、それは同時に倍率指標値「x4」との位置整合性の問題でもなく、鏡筒の直進動に関わる話である点をその指摘している出品者は (自分で整備したことが無いので) 知らないだけの話です(笑)
もっと言えば、ヘリコイドユニットの内筒突きだし状況が変わってしまうので、装着するレンズユニット (特に広角レンズ系) によっては相当なオーバーインフ状況に追い込まれる為、単にヘリコイドネジ山の露出問題だけの話ではありませんね(笑) 広角域のレンズユニットをセットした場合、無限遠合焦するのは刻印されている距離指標値の「2m過ぎ」になってしまいますから、はたしてそのオーバーインフ量で使う人が納得できるか否かです。
と言うのも、ヘリコイドユニットの側は距離環ですから距離指標値が刻印されています。無限遠位置「∞」の一つ手前がもう「5m」刻印ですから、それが仮に「2m」過ぎでいきなり無限遠合焦してしまったら (∞位置から2目盛分手前ですが)、実際の実距離で捉えても2〜3m辺りから無限遠合焦してしまう話になり、特にパンフォーカスで撮影するのが好きな方でない限りは (一般的なボケ味を楽しむ撮影方法なら) 使いにくくて仕方ありません。
整備する当方の気持ちとしては、アンダーインフ状態になってしまったらアウトですが (無限遠合焦しない話なので)、そうは言っても「∞」の僅か手前位置でちゃんと無限遠合焦してくれたほうが格段に扱い易く感じるハズです (当方の感覚が狂っていなければ)。それがいくらオーバーインフ状態だと言っても、さすがに「2目盛分」もズレていれば、やはり広角レンズのヘッドと入れ替えた時に、ちょっと被写体から離れるとパンフォーカス撮影しか撮れなくなってしまいつまらないと感じるハズです。
確かに見た目でも使い勝手で考えてもヘリコイドのネジ山が露出しているというのは精神衛生上どうかと思います。それは分かりますが、はたしてネジ山の露出量「2mm」だから微調整が拙いなどと言って露出しないよう整備してしまった場合、ヘリコイドのネジ山で言うところの「2mm」の差は、相当なオーバーインフ状態を招く原因になる点を、たいていの整備者はよく知っているハズですから(笑)、それをヨシと考えないと思いますね。
そもそも見た目でしか考えていないと言う「観点の相違」なのでお話になりませんが・・(笑) もっと言えばネット上や市場に流れている個体をチェックしてみればすぐに分かります (圧倒的に多い個体はどちらなのか?)。結局、自分が調達した個体の調整がミスっているのに売りたいが為に無理強いしている「転売屋/転売ヤー」のサガでもあり、当方同様何とも始末の悪い輩です(笑) 当方も「転売屋/転売ヤー」なので煮ても焼いても食えません!(笑)
当初塗布したヘリコイド・グリースは「黄褐色系グリース」でしたが組み上げたところトルクムラが生じてしまい調整で制御できませんでした。従って仕方なく「白色系グリース」に入れ替えています。塗ったのは「粘性:軽め」ですのでこれ以上軽くはできません・・現状トルク感としてはやはり「重い」印象のままです。黄褐色系グリースを塗っていればもう少しピント合わせ時には軽くできたのですが白色系グリースでは均一なトルク感なので重めのままです。オーバーホール/修理依頼の内容「(1) トルクムラ」に関しては白色系グリースで均一なのですが、前述の解説の通り一段目と二段目の繰り出しの方法が影響しており従来の段数が切り替わる際の抵抗感はそのままです。これもこのモデルの設計上の仕様なのでどうにもできません・・申し訳御座いません。
知らない方のために解説していますが、上の写真のように各ユニットのネジ山は「M42」規格なので普通のM42マウントのオールドレンズを装着することができるワケです。現在のデジカメ一眼やミラーレス一眼にはマウントアダプタがあり、且つ繰り出し用のヘリコイドを装備したマウントアダプタもありますから楽なのですが、この当時にすれば画期的な製品だったのではないでしょうか・・。
当レンズによる開放実写です。最短撮影距離は8cmなのでこの写真はむしろ後に下がった位置で撮っています。
最短撮影距離の8cmで撮影するとこんな感じです・・やはり開放での撮影になります。色の要素としてやはりシアンに振れているので写真ではシルバー部分の表現が他のオールドレンズに比べると大変美しく出ています。オーバーホール/修理のご依頼誠にありがとう御座いました。