◆ Kuribayashi (栗林写真工業) C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
栗林写真工業製標準レンズ・・・・、
C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

《年内の発送について》
12月18日に転居を控えている為、16日 (木) 当日午前中までにご落札頂き、すぐにお届け先をご案内頂いた場合のみ当日午後に発送可能です。16日午後以降にご落札頂いても年明け1月上旬での発送しかできません(ネット接続環境にない為)。

従って12月17日以降はヤフオク! での出品を一時的に停止する予定です。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で38本目にあたります。

正直なところ、このモデルC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』の操作性はハッキリ言ってそれほど良い印象を持てないオールドレンズです。筐体サイズの全幅は「僅か52.4mm」しかないので意外にもコンパクトで小さい標準レンズです。

さらに「M42マウント規格」としても「プリセット絞り環/絞り環」がそのマウント直前に配置されていながら「それぞれの環が薄くて指で掴み辛い」ためにプリセット絞り環だけ、或いは絞り環操作だけといった個別の操作が大変し辛い点に於いてとても操作性の良いオールドレンズとは言えません。

↑上の写真は過去に扱った個体からの転載写真ですが、写真で見ると相応の大きさを持つような印象を抱きますが、全幅が僅か52.4mm」なのでコンパクトな筐体です。そして一番下の「M42マウント規格」のマウント面から計測しても「プリセット絞り環/絞り環両方の高さは合計で僅か14mmしかない」ので、大人の男性の手の指の大きさからしても個別に掴んで操作するにはあまりにも薄すぎます。

↑同様過去扱い個体からの転載写真で解説していますが、黄銅製のヘリコイド (オス側) の厚みに対してアルミ合金材のヘリコイド (メス側) の肉厚が極端に薄い設計なのが問題なのです。

グリーンのラインでそれぞれの肉厚イメージを現していますが、極端に薄い肉厚のアルミ合金材ヘリコイド (メス側) を回す時「必要以上に圧が加わると容易に撓ってしまう」にも関わらずブルーの矢印で指し示した箇所に均等配置で3つの「距離環固定用ネジ穴がある」のがその因果関係になります。

つまり距離環を強く保持していたり、或いは距離環を早く回そうとした時「たったそれだけでアルミ合金材のヘリコイド (メス側) が撓ってしまい突然重いトルクに変化する」のがご理解頂けると思います。

このような「回転するチカラに対する配慮が無い設計」は、例えば歴然たる光学メーカーのNikonやCanon、MINOLTA、OLYMPUSなどのオールドレンズをバラしてみれば明確な相違点として違和感に成り得ます。

もちろん当時は同じようにヘリコイド (オスメス) の一方が黄銅製で他方がアルミ合金材という「金属材が異なるヘリコイド同士」で鏡筒の繰り出し/収納を実現させていた設計が一般的でした。

しかし栗林写真工業のように「極端に肉厚が薄いヘリコイドに距離環を固定する設計概念」の光学メーカーは皆無です。

ネット上の解説を読んでもこの点について指摘している整備者が誰一人居ませんが、正直なところ光学メーカーで同じ設計概念でオールドレンズを製造していない以上「栗林写真工業はカメラメーカー」との印象に結論するしかありません。

↑例えば同じように筐体サイズがコンパクトな点にこだわった光学メーカーにOLYMPUSがありますが、上の写真も同様過去扱い品からの転載写真で解説しています。同じ標準レンズですがグリーンのラインで示したようにヘリコイド (オスメス) の金属材肉厚がほぼ互角です (アルミ合金材だけで作られている/もちろんOLYMPUSもさらに古い時代は黄銅製とアルミ合金材を使ってヘリコイド (オスメス) を設計)。

そしてもっと言うなら距離環が締付固定される先のヘリコイド (メス側) 所定位置はブルーの矢印のとおり「さらに肉厚を増した配慮が成された設計」を採っているのがよ〜く分かります。

つまり距離環を回す時指で掴んでチカラを加えるので、その時のアルミ合金材の撓りを可能な限り対応できるよう敢えて肉厚を増しているワケです (何故ならここに距離環の締付用イモネジが刺さってくるから)。

光学メーカーなら操作性を良くする配慮としてちゃんとこのように設計していますが、残念ながら栗林写真工業はその後の「ペトリカメラ」に社名変更してもなお同じ設計概念のまま造り続けました (この設計概念はとても多くの栗林写真工業製オールドレンズに於いて同一なのを確認済)。

・・これら相違点に対する考察から栗林写真工業はカメラメーカーとの認識に至る次第です。

このようにせっかくオールドレンズをバラしてオーバーホールするなら「観察と考察」により他社製品との設計概念レベルでの違いを掴むヒントがみえてくるワケで、同じメーカーの数多くのオールドレンズのモデルで「同じ設計概念で造られていた」となれば、それこそまさにその製造メーカーの立ち位置が明確になると指摘して良いのではないでしょうか?

鏡筒の繰り出し/収納時に於ける操作性への配慮をしっかり執っている製造メーカーは、その配慮が無いメーカーと比して「より光学メーカーとしての本質に則している」との印象に辿り着くのにどうして抵抗を/違和感を抱くでしょうか。

・・何故なら鏡筒の繰り出し/収納でピント合わせしているからです!

それが古くから普遍的に (今現在もなお) 合焦させる唯一の手法として確立されている設計概念であって、その操作を人間が指で掴んでアナログに行うのか、或いはオートでピピッと瞬時に合焦させるデジタルな世界なのかの違いでしかなく「ヤッている本質はピント合わせの動き」との受け取りにならざるを得ません。

そのようにバラした際に「観察と考察」するなら、ピント合わせに配慮しない製造メーカーを同じような印象を抱いて認識する事に少々抵抗感があるのが人情ではないでしょうかね(笑)

要はカメラメーカーだから悪いとか光学メーカーではないから格下なのだとかの話ではなく「だから距離環を強く保持したり早く回すとトルクが激変して重くなってしまう因果関係なのだ」との道理に繋げている次第です。

そのような立場に立ってたかがオールドレンズの整備者と言えども「せっかくバラしているならせめてそのくらいに客観的な認識に立ち解説したらどうなんだ?」と述べているのです。

もしもどうしてもこれらの話をその内容からして批判していると言いたいなら、敢えて批判対象は「製造メーカーではなくて整備者」なのだと言っているのです。当時栗林写真工業の該当する設計者がいったいどのような腹づもりで自社オールドレンズの製品を同じ設計概念で開発していたのかは当然本人に尋ねない限り判明しません。そんなのは当たり前の話なのでそこを突いている内容ではなくて「そのヒントを掴める唯一の立場なのはバラしている整備者なのではないのか?」と指摘しているのです。

整備者だからと言ってオーバーホール作業の自慢話に終始せず、少しは整備できない人達のためにもっと有意義な内容の話をしたらどうなのか?・・と言っているのですョ(笑)

すると結果的にそのように操作時に配慮するのを忘れると重いトルクに至るのも、実はそもそもの設計概念からして違うのだから「それをデメリットとして違和感と受け取らずにもっと慈しむべき」と言いたいのです(笑) ちょっとした配慮を肯定してあげるだけで「そのオールドレンズに対する慈しみの想いもまたその趣が変わってくるから愉しいのだ」と勧めているのですョ (決して栗林写真工業を卑下して解説している話ではありません)。

・・こういう話に人情を介在できない人達にはきっと納得できず理解できないでしょうが(笑)

光学系は右構成図のとおり4群7枚と言う変則的な光学設計を採っており、当方ではこれを以て「変形ダブルガウス型構成」と受け取っています。右図は過去の扱い時に完全解体した際、取り出した光学硝子レンズ清掃時に当方の手により逐一デジタルノギスで計測してトレースした構成図です。

するとこの後群側第3群の「とても珍しい3枚貼り合わせレンズ」が大きくその吐き出す写真の写りに影響しているのか否か当方は光学知識が疎いので分かりませんが、この後に解説するこのオールドレンズで撮影した実写の表現性について考察を進めていきたいと思います。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

フレア
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す

フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す

  ●               

よくお問い合わせを頂戴しますが「オールドレンズと今ドキなデジタルなレンズとの描写性に於ける相違点とは何か?」の命題を考察する時、内部構造や光学設計など凡そ難しくて面倒な話をぜ〜んぶスッ飛ばして「当方は明確に一言・・収差が魅力だから」と説明しています(笑)

従って当方は等倍鑑賞で逐一オールドレンズの中心部から周辺域に至るまで事細かく検査したり比較する気持ちがそもそもありません(笑) 確かにそれら等倍鑑賞することにより初めて明確になって見えてくる要素が多数あるのは事実ですが、だからといって当方の目は節穴なのでそれらの相違点たる要素を撮影した写真の印象と直結して捉えることができませんし、そもそもそのような大それた捉え方をオールドレンズで撮影した写真に対して抱いていません(笑)

・・当方にとり所詮オールドレンズなどはそのくらいの心積もりで受け取っている。

程度の知見しかなく、もっと言うなら頭が悪いのであ〜だこ〜だ解説されてもその話を具体的に撮影した写真から感じ得た印象に連係させて捉えていく賢さが端からありません(笑)

・・サクッと観て「おっ!」と唸ったその瞬間の一番最初の第一印象のほうがむしろ大切!

と言う全く以て低いレベルであり恥ずかしい限りです(笑)

今年一年間を通してもそのような立場からしかオールドレンズを捉えていなかったので(笑)、年の瀬にちなんで今一度扱いたくなったその想いがピークに達したモデルとなれば「やはり当方にとりオールドレンズ魅力の原点を新鮮な感覚で知らしめてくれたこのモデル」的な感覚で、まさに初期の栗林写真工業時代のC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』を今回ピックアップした次第です。

つまり当時このモデルが登場した翌年1960年に「スピゴットマウント規格」に突如変更してしまってから改めて登場した「C.C Auto Petri 55mm/f2 (silver) (petri)」の4群6枚で典型的なダブルガウス型光学系構成から来る写真とはその表現性に明らかな違いがあると、当方では受け取っているのです。

Petriマウント規格」になってから登場したそれらモデルと同じ表現性の写りを「M42マウント規格の今回のモデル」に期待は叶いますが、他方今回のモデルで表現できた独特な写りは後の時代のモデルでは写せないとの想いが強いとも言えそうです。だからこそ後群側に位置する「3枚の貼り合わせレンズ」に何某かの望みを託したくなるのも人情との立場なのです (逆に言えばその程度のレベルのお話しなのでスミマセン!)(汗)









↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
グダグダとあ〜だこ〜だ並べまくって遠回りで今回このオールドレンズをピックアップした理由を説明してきましたが (いつも話が超長文で申し訳御座いません!)(笑)、要はオモシロイ写り方をするモデルだからです。

おそらくはどうあがいても「4群6枚の典型的なダブルガウス型光学系構成の範疇に留まる」設計なのでしょうが、その影響からなのか「真円のシャボン玉ボケ表出が難しい」のがちょっと残念なところです。しかしそうは言っても意外に細目で繊細感すら感じ得るエッジを伴う歪なカタチのシャボン玉ボケやリングボケに玉ボケなど凡そ円形ボケの表出が得意なので、それはそれで期待を膨らます要素の一つではないかと受け取っています。

左端からシャボン玉ボケ (っぽく) 写る写真から次第に滲んで円形ボケへと溶けていく様をピックアップしています。例えば左から2枚目の一応真円っぽく写っているシャボン玉ボケを含み、且つリングボケや玉ボケなどまで視認できる写りとは正反対にトッロトロボケに円形ボケが溶けていく一番右端のような写り具合にも全く違和感を覚えない「素直さが何だか安心」みたいな感覚です(笑)

逆に言うならトッロトロボケに溶けていってくれないとザワザワとただひたすらに煩いだけの背景にしか成らず、ピント面のインパクトも打ち消し効果に至りかねず厄介に感じますから、そういう意味での安心感です(笑)

一方一番左端の写真などは、もう少しシャボン玉ボケの制御が適えば「まるで液体にしか見えない」くらいのシャボン玉ボケで、当方が「液体ボケ」と呼称している写り方に後もう一歩感が強いです(笑) 水面上に物が落ちた時の波紋の如く見えるシャボン玉ボケの表現性があったりしますが、このモデルではそれを狙って写すことも叶いそうです。

二段目
この段から徐々にこのモデルの大きな魅力的な要素に踏み込んでいきます。単なる円形ボケがさらに滲み始めて、合わせて今度は収差の影響を受けまくる過程の「その経過途中」みたいなところです。

一番左端の写真などはおそらくは前述の「素直な円形ボケの表現性」からさらに進んだ滲み具合なのかも知れませんが、そのエッジの破綻が極端ではなく、合わせて繊細で細い輪郭なのが功を奏して「緩やかに自然な印象で溶けていってくれる」からありがたいのです。

実はこの素直さの要素が次の段へ効果的に反映してくるのでこのモデルに於ける大きな魅力の一つと受け取っています。

2枚目の写真では敢えて収差の影響を大きく受け始めている過程での円形ボケの表現性のように受け取れそうで、これを単に乱れたつまらない写真と片付けてしまうよりも「むしろ敢えてそれを狙ってみるとまた撮影が楽しく感じられる」点を指摘したいと思います(笑)

3枚目の写真などは当方にとりまるで「芸術作品」の如く映ってしまいますが(笑)、ピント面の被写体がそれほどインパクトに至っていないながらも「背景の素直な自然に滲んでしまった円形ボケを背景効果としている」ようにも見えてしまいます (惚れ込むとトコトン良さげに捉えたくなる)(笑)

最後の4枚目右端はさすがに円形ボケも消えてしまい主査の影響ばかり受けまくっているかのように見えますが、実はピント面は「薄いブル〜のお花」ではなくてその横の「ススキの穂」だったりしますから、まるで寒色と暖色にグリ〜ンを背景にとてもインパクトがあるオモシロイ印象的な写真に仕上げていて素晴らしいです (詰まるところ主人公はビミョ〜にピントが甘めのブル〜のお花)。

三段目
いよいよこの段がこのモデルに於ける「収差ボケ」のメインイベントたる魅力の一つです。ピックアップした4枚の写真は全て乱れまくりの、一般的にオールドレンズの多くのモデルで煩い写真にしかならないシ〜ンを「アートにしてしまっている」から溜息モノなのです(笑)

収差ボケには二線ボケや流れなど含めて、どんだけでも来いみたいな感じで写しながらも「実はカラーコントールしている」ところがこれらピックアップした写真の感激どころです。当然ながらピント面の被写体はそれぞれが明確ながらも、その一方で「寒色を効果にしているのか暖色なのか、或いはその両方か?」と言うまるでハイレベルな写りです (相当撮影スキルが高い)。最後の右端などは「被写体ってどれ???」みたいな写真ですが右手前にちゃんと鋭くて然し繊細感まで感じ取れる葉っぱが居てくれます (素晴らしい!)。

四段目
この段では敢えて暗がりの写真をピックアップしていますが、それぞれの実写を観ていくとある共通項が存在するのに気づきます。「ダイナミックレンジが広めなので黒潰れがイキナシ来る」のを逆手に取ってピント面のお話を際立たせてしまった素晴らしい写真です。つまり影になって暗がりになっている領域が下手すると撮影者の腕の見せ所の如くピント面の明るさをそれとなく強調しているのが感激モノなのです!(驚)

その意味で暗がりだからと明るさを探してしまうと全く別の意図でしか鑑賞できずに異なった趣で終わりかねません (と言っても撮影者に聞いて知っているワケではありませんが)(笑)

五段目
この段では左側2枚が「発色性」で、これもこのモデルのダイナミックレンジの広さをまさに物語っていると言えそうですが「色飽和せずに階調の変化や立体感をちゃんと残してくれている写り方」が逆の意味で感動モノです。

その一方で右側2枚は被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さについてピックアップしました。いずれも平面的な印象を残さないのでとてもリアルで立体的な写りです。

六段目
この段のビミョ〜な色付き方やグラデーションの表現性がある意味このモデルの特異な描写性の一つだと当方は受け取っています。例えば旧西ドイツのVOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) 製オールドレンズの多くのモデルで得意な「ビミョ〜にアンダーながらも鮮やかさを感じるブル〜の表現」と言う、まさにヨーロピアン感覚な青色表現はどんなオールドレンズでもできるとは限りません。そのように指摘できそうなくらいに素晴らしいグラデーションとその階調を残しているのが左端の実写です。

七段目
この段では左側2枚の写真で白黒写真ですがその時のグレースケールの表現性としてその陰影の階調表現としてピックアップしています。なかなかリアルにその場の雰囲気を残してくれています。その一方右側2枚の写真はコントラストの対比として明暗部の乖離から来る「違和感の無さ」を素晴らしいと感じてピックアップしました。同じ標準レンズとしてもこのような極端な明暗部の性存在するシ〜ンでは、意外にも煩いしつこい写真に堕ちてしまう事が多いように考えますが、まさにこのモデルのダイナミックレンジの広さと共にやはりエッジを強調しない素直さ、合わせて繊細感から来る表現性によってこんな受け入れられるスナップ写真に至るのかと感激モノです。

八段目
この段では敢えてポートレート撮影が苦手な領域たる「人物写真」だけをピックアップしてみました。ポートレートレンズと言えば中望遠レンズ域なので多くは「焦点距離85mmクラス」からせいぜい100mm辺りまでが得意でしょうが、このモデルはそれでも (標準レンズのクセに) イッパシにポートレート撮影を仕上げてしまっているのが拍手モノです(笑) 撮り方によっては右端の男性のように生々しい人肌感覚まで残せてしまっているのでなかなか恐ろしいオールドレンズです(笑)

九段目
さすがにオールドレンズの描写性としての実写紹介でも九段目まで来るのは本当に希です(笑) 普通ならせいぜい五段目〜六段目辺りでそのモデルの表現性に限界が来るのですが、今回のモデルは本当に愉しいオールドレンズです!

左側2枚は被写界深度を示す写真としてピックアップしましたが「開放f値f2」としてもビミョ〜に被写界深度が狭いような、それでいてイヤむしろ普通並?・・とも言えそうな何とも狭いのか広めなのか何だか分からない被写界深度を持つモデルです (要は当方がよく分かっていない)(笑) また右側2枚は逆光耐性としてピックアップしましたが、やはり耐えてくれているような気がします。きっと陽射しの強さや (撮影の時間がもう少し昼間寄りのほうが) 時間帯からしてゴーストも狙えそうな感じですが、それでも何だか頑張ってくれているように受け取ってしまうから「恋は盲目」なのです(笑)

以上、今回は少々多めに実写のピックアップを集めてこのモデルの魅力として「収差が凄いけど凄くないからとっても魅力」みたいな何とも歯切れの悪い印象しか述べられませんが(笑)、質感表現能力も高くてダイナミックレンジも広くて、それでいて繊細感まで併せ持ち、一方で明確なインパクトとしてピント面を強調できる素直さが自然に感じられる要素ではないかとみています。

・・当方の中では銘玉の範疇に十分含まれているオールドレンズの一つです。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑今年の8月に1本オーバーホール済でヤフオク! 出品しましたが、その前は昨年ですから出品サイクルとしては年間1〜2本ペースです。特にそのような本数でしか市場に出回らないワケではなく、冒頭で解説したように調達時に最も確認が必要なのは「ヘリコイドのトルクが既に重いのかどうか」です。

仮に調達時に現状としてヘリコイドのトルクが重いとしても、バラして新しいグリースに入れ替えれば軽くできるとの認識は「残念ながら栗林写真工業製オールドレンズには全く該当しない」と言うのが結論です。

一度でも撓って極僅かに変形してしまった薄い肉厚のアルミ合金材を切削したヘリコイド (メス側) は「二度と真円に戻すことが適わない」と指摘でき、だからこそ現状で既にトルクムラが起きていたり思い個体を手に入れてもその改善は相当低い確率と言わざるを得ません。

その意味ではある意味「距離環の裏側がそっくりメス側のネジ山」と言う設計概念で作られ続けてしまった旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製オールドレンズ達の境遇にとても近似しています。何故ならそれら旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製オールドレンズ達は経年で落下や衝撃などにより極僅かでも距離環が変形すると「ヘリコイド駆動時のトルクムラや重い操作性は100%改善不可能」だからです。

つまりヘリコイドの片方の真円度に影響を及ぼした場合、例えもう一方が真円を維持し続けていても「その変形による応力が必ず影響してくるのでどんなにグリースの粘性をイジッても操作性の改善は全く期待できない」のが真円が前提として造られているこのような道具の場合の確認ポイントになります。

従っていくら頻繁に市場流通しているのだとしても「トルクムラ/重いトルクの個体」は残念ながら全てが問答無用で排除扱いになります。それほどこの栗林写真工業製オールドレンズ達の「特にメス側ヘリコイドの肉厚の薄さは致命的」なのだと執拗に申し上げている次第です。

もっと言うなら今までに当方ではジャンク品に堕ちてしまった今回のモデルの個体を使って「メス側ヘリコイドが極僅かに変形してもトルク改善ができるかどうか」という検証作業を既に実施しており、当然ながら個人レベルの整備者なので「真円度を検査する機械設備が無い」事から紙に同じサイズの真円を描いて、そこにメス側のヘリコイドをあてがい目視レベルで確認していくしかできません(笑)

そんなあまりにもアナログすぎるようなアホな作業で少しずつ真円に戻していっても「詰まるところ極僅かな変形で歪になってしまった飯側ネジ山の谷と山の抵抗/負荷/摩擦はどうにも改善できない」のが120%の勢いで確認できました(笑)

以前にそんなクダラナイ検証作業で丸一日を費やしましたが(笑)、その結果から見えてくるのは「グリースに頼った駆動を前提にしている設計概念」なのか、或いは有名処の大手光学メーカーのように「グリースに頼らずネジ山の駆動に真摯な技術革新を追求した」のかどうかがまるで明確な差となって表れるのを思い知らされた次第です。

逆に言うなら大手光学メーカー品のヘリコイド (オスメス) はちゃんと経年劣化の元凶たる酸化/腐食/錆びをキレイに除去してあげれば「グリース無しでもとてもスムーズにスルスルと駆動してしまう」のを目の当たりにして・・さすがだと唸ってしまった次第です(笑)

・・そのような検証作業に頼らなければ学習できないのがまさに技術スキルが低い証拠!(笑)

と言うことで、どんだけ当方の技術スキルが低いのかの証明にも至ってしまったような検証作業でしたが(笑)、それがリアルな現実なので仕方ありません(涙) だからこそ「栗林写真工業は決して光学メーカーではないカメラメーカー」と断言してしまうところの根拠でもあったりします。ちなみに残念ながら戦時中に大日本帝国陸軍に軍需供与し続けていた東京光学でさえも実はその内部の造りからしてまるで今回のモデルと同じで「切削に対する配慮の無さや各部位との連係に一貫性を保たないカメラメーカーの最たる設計思想」とも言い切れます (今まで数多くの東京光学製オールドレンズ達をバラしてきた経験値からの当方の認識)。

詰まるところそれ故に「REマウントの限界値」を予見してexaktaとの共用マウント規格から撤退し、ついには民生向けカメラ (写真) 業界からも退いてしまったのだと推察しています。あ〜だこ〜だ騒いでも所詮「計測機械メーカー」の範疇から飛び出すことができなかったのでしょう(涙)

特にオールドレンズに於いてこのような話は何処の製造メーカーでもヘリコイド (オスメス) の切削レベルや仕上げ方をチェックすれば確実にあからさまに認識できます。何故なら「鏡筒をどんだけ滑らかに駆動量の多少に関わらず繰り出し/収納できるのかが合焦時点の精緻性に繋がるから」と言うのが手動で人の手を使ってピント合わせする撮影機材の宿命だからです。どんだけ距離環を素早く回転できても肝心なピント合わせの前後微動時に「ククッと一瞬移動/スリップしてしまう使い辛さ」などが起きていたら、誰一人そのモデルを次の撮影にも使いたいと思いません。早く回す時は相応に軽いトルク感で回すことが適い、合わせてピントの山を掴む際はネチネチと極僅かな前後動さえもトルクを意識せずに操作できるのが「オールドレンズとしての撮影時の使い易さの第一歩」なのではないでしょうか。

・・当方のトルク感に対するこだわりの根底はそんな話だったりします(笑)

するとそこには決して塗布するヘリコイドグリースの粘性や成分配合に添加物の問題だけが問われている話ではなく、そもそもの金属材の違いやネジ山の設計にその勾配との関係性など、凡そチェックするべき内容は山と残っているのが現実のリアルです。

それを皆さんは「ヘリコイドグリースの粘性ばかり気にする」から、ここでどんだけ執拗に述べ続けても当方の解説などはまるで信憑性の無い話として片付けられている始末です(笑)

・・結局それが信用/信頼が皆無な『転売屋/転売ヤー』の宿命でもありますね(笑)

↑久しぶりにこのモデルで光学系内の透明度が高い個体を手に入れられました。ッて言うか、最近どう言うワケかこのモデルの市場流通品に光学系の状態が悪い個体ばかりが多くなってきていて、さすがに今年に入ってからは少々マジッに探していたほどです(笑)

残念ながら今回扱った個体も光学系第1群 (前玉) の外周附近には「菌糸状に極薄いクモリを附随する小さなカビ除去痕」がポチポチと数箇所LED光照射で視認できてしまいます(汗)

それらカビ除去痕を無視して「スカッとクリアです!」とは言えない性分なので(笑)、オーバーホール後の判定シートでは「カビ除去痕に附随のクモリ」をちゃんと正直に示しています。

しかし例えどんなシ〜ンの撮影でもこれら菌糸状に薄いクモリを附随するカビ除去痕達が撮影される写真に影響を来すのかと問われれば・・全く影響しませんと明言できるレベルなので、あくまでも判定シートで明示するだけで特に大騒ぎしていません(笑)

だからこそ光学系構成図を知る事が必須なのであって、合わせてそれを自ら整備しているのだとすれば「光学系内のどの群のどの光学硝子レンズでいったいどのような写真への影響が現実的に現れるのか?」などはまるで当然の如く考察を進めて、もしもオーバーホール後にその個体をヤフオク! 出品するなら「知り得ている情報がある以上それを落札者に明示するのは当然の義務」との立場です。

・・こんな話はまるで当たり前なので敢えて指摘するような内容ではありませんねぇ〜(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑最近ではちょっとだけ珍しい「初期型」たる「ブル〜のコーティング層蒸着」が眩しい個体です。前玉のほうで「アンバー主体で次にパープルのコーティング層蒸着」であるものの後群側では「ブル〜のコーティング層蒸着」なので、どんだけ入射光の中で一番先に減衰してしまう波長を生き存えさせる作戦だったのかがこんなのを観ても理解できるから愉しいです!(笑)

確かにオールドレンズにはその当時の時代背景が必ず纏わり付きますが、愉しいのはそれだけではなくてこう言う内容もロマンを補強してくれるし、さんざん前述で解説してきたヘリコイドの肉厚の問題もその設計概念から捉えればあからさまな光学メーカーとの違いを認識できて「外面から楽しめ中味も愉しめる本当に素晴らしい撮影道具なのがオールドレンズ」とも言えそうです。

・・皆さんもそう思いませんか???(笑)

そして今回のこのモデルに観るような「収差もオールドレンズの大きな魅力の一部」的な捉え方も、できる限り意地を張らずにフリ〜な心持ちで受け取って頂ければ、決して期待を裏切らないほどにステキな写真を残してくれる一助になると当方は信じてやみません!

・・だってパキパキの収差が実は背景効果なんて、ちょっと撮影スキル気分に浸れません?(笑)

そう言う意味でも是非ともオールドレンズ沼に膝まで浸かりそうになっている皆様には、心して収差に対峙して頂きたく切にお願い申し上げます。「収差はオールドレンズの敵」とご認識無きよう本当に祈る想いです。そしてもっと言うなら英語辞書にまで近年登録されてしまった「bokeh (ボケ)」の英製和語の如く (和製英語の真逆だから)、今一度「ニッポン人の侘び寂の感性」に立ち却って頂きたくも強く願うところであります。

遙か昔の万葉集の時代からして「ニッポン人の侘び寂の概念」はまるで世界に冠するニッポンだけに唯一許されている無形文化財なので、是非ともその素晴らしさを写真に具現化させるべく皆様の限りないオールドレンズに対する慈しみに将来への期待を覚えます。

・・せっかくだから様々な角度から目一杯オールドレンズを愉しみましょう!(笑)

何を隠そう、当方が精魂込めてオーバーホールした希少なオールドレンズを使って「日常のひとときにこそ感動が隠れている」の如く素晴らしい着目の目線でステキな写真ライフを満喫しているご落札者様も居るので、是非とも参考にして頂きたい限りです (こちらのInstagramです)。

今回扱ったモデルとはまた違う趣旨の描写性ですが、然しそれでも撮影者の「オールドレンズに対峙する姿勢」には頑なに真摯な想いで接している姿勢が垣間見え、まさに当方にとり師匠の如く感じ入る素晴らしい感性の持ち主でもいらっしゃいます。

・・こんなふうにご活用頂いたら、もぉ〜嬉しすぎて涙出るしかありません!(涙)

奥様が創られる芸術品のワンシ〜ンを残した写真も然ることながら、何よりもご自身の普段の生活に対する頑なに実直な姿勢に観てるだけで心が洗われてしまう本当に素晴らしい写真達が散りばめられています・・(涙) 写真に残すとはこういう事なのですねぇ〜。写真スキルが皆無な当方にはまるで真似できない世界観ですが、だからこそこのInstagramのおかげでどんだけ助けられているか/癒やされているのか語り尽くせないくらいです。

・・それら写真を残す一つの道具に関与できた誉れは、ここにコトバで現せられません!(涙)

だからこそのオールドレンズなのだと、むしろご落札者様の皆様方に教えられている次第で、皆様のおかげで今年一年も無事に生活してこられたにもかかわらず、さらにこのように当方を励まして頂けるなど、まさに精神面でどんだけ救われているのか語り尽くせません・・(涙)

・・ありがとう御座います。ありがとう御座います。 ありがとう・・(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:13点、目立つ点キズ:9点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大6mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
後群貼り合わせレンズにバルサム剤はみ出しありますが、これはオリジナルの仕様です。
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
但し前玉にカビ除去痕に附随する極微細な薄いクモリが数点あります(写真に影響一切なし)。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環/絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十角形を維持」したまま閉じていきます。

このモデルは開放f値「f2」の時絞り羽根が極僅かに顔出しする設計なので、絞り羽根は完全開放しません。逆に言うなら各絞り値を基に簡易検査具を使って微調整した上で仕上げてあるので、現状が適正な状態とも明言できます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・絞り環操作は無段階式(実絞り)です(クリック感はありません)。逆に直上のプリセット絞り環側はクリック感があります。
・ヘリコイド(オスメス)の肉厚が全く異なる特異な設計なので(ペトリカメラの多くのモデルで同一の設計概念)距離環を強く保持したり急いで回したりすると肉厚が薄いほうのヘリコイドが撓るために回すトルクが重くなります/感じます。ところが強く保持せず、或いはゆっくり回すと同一箇所でもトルクが軽く変わります。これはアルミ合金材で切削されているメス側のヘリコイド肉厚が薄いことから影響が現れる現象なので改善できません(設計上の仕様です)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正金属製被せ式前キャップ (中古品)

距離環を回すトルク感は正直なところ「軽め」よりも「普通」程度の重さなのが適切ではないかとの印象を抱きますが、要はそれほどギリギリの感覚で鬩ぎ合っている話なので、イザットルク改善したいと考えてどんだけ「磨き研磨」を丁寧に行っても限界があるのがリアルな現実世界です。従って「軽い」との認識に立つ程まで軽いトルク感ではないのでご留意下さいませ (人の感覚に対する表現なのでなかなか難しいです)。

その意味では当方自身が前述のように敢えてこのブログで指摘しているので、それを以て「返品/キャンセル!」と言うならそれに従うしかありません(涙) 基本、当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品するオールドレンズでは、何某かのクレームを付ければ必ず「返品/キャンセルで全額返金」ができますから何でも文句言ったが勝ちみたいな話です (要はそんだけ小心者という話)(笑)

今まで最高金額だった振込手数料は「540円」だったので (振込手数料はご落札者様の自己申告に従い加算してご返金しています)、はたしてそのような高額の銀行振込手数料が存在するのか知りませんが(笑)、ちゃんとご落札者様が一切の損をしないよう配慮して「当初支払時の手数料込みでの全額返金」ですから、もちろん当然ながら「送料800円」も加算してご返金しています (返送商品の返送料もクロネコヤマト宅急便着払い)。

・・その意味では嫌がらせで返品/キャンセルするのも一つの手ですね(涙)

附属している純正の金属製前キャップは被せ式ですが、少々カパカパな印象です。

世知辛い世の中で現実にそのように言ってくる人が年間で1〜2人居ますから (オーバーホール/修理ご依頼でもそういう人が同じくらい居る)、はたして残り僅か3週間でどのような結末になるでしょうか・・。

今回のこのオールドレンズのオーバーホール済でのヤフオク! 出品が今年最後の出品になります。本日以降次の出品はありません。

今年も本当に皆様のおかげで不自由なく生活してくることができました・・ありがとう御座います!!!(涙) 本当に当方のような者に対しても何の分け隔ても無く接して頂けるお心優しい方々がいらっしゃり、どんだけこの一年も皆様方のお心尽くしで精神的に助けられてきたのか・・本当に一人一人の皆様に感謝の気持ちで一杯です!!!!!(涙)

普段の生活でも少々息が上がるので、もしかしたらまた肺に血栓が至っているのかも知れませんが(怖)、引越後は子供達に助けられながら (3人居ます) 妻も含めてみんなで仲良く暮らし、また皆様に誠心誠意想いを寄せたオールドレンズをご提供していきたいと思っています。

借金まみれで辛かった想い出しか残っていないこの工房も (普通のアパートですが)(笑)、いよいよ残すところ僅か数日ですが、過去のパワハラ含めそれら耐えてきた街並や通勤していた道に電車も何もかも全てを後にします・・人生生きていると何かしら良い事が訪れるのですね(涙)

どうか皆様も良いお年をお迎え下さいませ。
訪れる来年こそは皆様の願いが叶う一年でありますように・・

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」ど撮影しました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。絞り羽根がほぼ閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。