〓 KONICA (コニカ) HEXANON AR 40mm/f1.8 AE(AR)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
KONICA製標準レンズ・・・・、
HEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

当方でのこのモデルの総扱い数は今回オーバーホール済でヤフオク! する個体が累計で25本目にあたりその中で光学系内にクモリなどの経年劣化が進行し写真に影響を来しにくい個体数のカウントだけで当方データベースを調べると僅か7本目です。もっと正確にご案内するなら 前玉に2箇所コーティング層経年劣化に伴う極々薄いクモリが残っていますがLED光照射で ようやく視認できる状況です(笑)

・・そんなレベルなので当然ながら撮影写真に影響を与える事はありません。

前回の扱いが2020年でしたので2年経ってしまいました。なかなか光学系の状態が良い 個体を調達しにくく、且つ特に巷での評価が高いワケでもなくいまだに市場流通価格帯は底値を続けています (そもそもコニカ製オールドレンズの多くのモデルが底値状態)(笑)

当方などはKONICA製オールドレンズの多くのモデルでその描写特徴に「不思議な画全体に 漂う繊細感/柔らかさ」を感じるので自分の琴線からすれば好きな光学メーカーの一つです。
写真を観た時の第一印象は「画全体の繊細感」であり合わせて「柔らかさ/優しさ」さえも伴うという他の国産オールドレンズの中にあってある意味少々異端児的なインパクトをその描写性に持つ光学メーカーと受け取っています。

さらにその中にあって今回扱うHEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)』はKONICAの中でもさらに異端児的な描写性を持つモデルで、開放f値「f1.8」から一段絞った「f2.8」に至った 途端にガラッと写りの趣が変化し絞り値を上げるに従いグイグイと変わっていくなかなかオモシロイ描写性のオールドレンズです。

そもそも焦点距離が「40mm」なので今でもネット上で「準標準レンズ」みたいな感覚で 捉えられている場合がありますが、当時のKONICAの一眼レフ (フィルム) カメラの取扱説明書やカタログなどをちゃんとチェックすると「標準レンズ」の枠組みの中にちゃんと含まれて います。

確かにライカ版標準レンズ域の焦点距離が「50mm」なのでそれがまるで世界標準の如く 認識されるようになりましたが、もともと戦前までは人間の目の感覚で観た意識的な要素を 優先して「40mm45mm」を標準レンズ域と認識していたようですし、実際その当時に世界規模で主流だった一眼 (フィルム) カメラがレンジファインダーカメラだったのでバック フォーカスが短くて済む環境から標準レンズ域の光学設計のままそれら焦点距離の製品が用意されていたとも言えそうです。

バックフォーカス
光学レンズの後玉端から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス 一眼ならば撮像素子面) までの距離

フランジバック
レンズマウント面から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば撮像素子面) までの距離

従って特に当方の個人的な感覚の問題で標準レンズ域と捉える焦点距離はむしろ昔の「40mm45mm」のほうが自然に感じられ自分の目で観たがままの画角なのが一番抵抗感少なくス〜ッと入っていけます(笑)

・・つまり当方自身の感覚自体が異端的なのでその評価は信憑性がとても低いと指摘できる。

そんなワケで今回扱うモデルは当方にはKONICA製オールドレンズの中でも特別廉価版モデルとのレッテルを貼らずにむしろまるで銘玉の如く受け入れているくらいのスタンスで毎回臨んでいます(笑)

なおネット上で騒がれるこのモデルの逸話として光学系の設計者が「下倉敏子氏」と女性設計者である点をピックアップしている人が多いですが、実は当方はこのような話に抵抗感が強く「別に女性が設計したっていいじゃないか?!」「どうして女性が設計しただけで取り立てて騒ぐのか?」とのある意味ジェンダーから捉える考え方/概念、もっと言うならジェンダーバイアスに違和感を覚える為にそのような角度から騒ぐ気持ちになりません。

この話はだいぶ前に当方の家族、妻や娘達2人などと話合った事があり女性側の言い分や考えなり受け取り方など様々な要素で2時間熱く語った事を覚えています。家族には長男も居るので女性陣3人vs男性陣2人みたいな感じになってしまいましたが結局我が家族の中ではそのようなジェンダーバイアスの感覚自体が存在しない事が分かりそれ以降話題になりません(笑)

但しこの話題で盛り上がっていた時に感じた与件があり「男のプライド」的な考え方/概念は 当方自身も含め長男まで反省するべき点があったので、いわゆる男尊女卑的な感覚と言うか 慣例みたいなモノが時代と共にその趣を変えながら今もなおニッポンの文化や生活習慣の中に色濃く残っているのだとみんなであ〜だこ〜だ納得したのを覚えています (はい、とても楽しいひとときでした)(笑)

この話は実はそれ以前に伏線があって巷で「カメラ女子」と言うコトバがチラホラ現れ始めた頃に既に違和感に至っていました (その一方でカメラ男子とは言わないから)(笑) つまりは
カメラは男の道具」的な感覚が戦前のみならず戦後にも根強く残り続けていたからこそ、 そこから派生したかのようなまるでジェンダーバイアスの感覚にある意味もぅ嫌気を覚えて いる次第です。

従って如何にも女性設計者が設計したオールドレンズだからの如く「女性らしさ」みたいな 感じでまるで印象づけ操作してネット上で語られている事に何ともやるせない思いです(笑)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「HEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。この当時のKONICA製オールドレンズの多くのモデルで一つだけ「マイナス要素」があり「絞り環操作のクリック感がガチガチした印象で軽い操作感ではない設計」と言う内部構造の仕様が挙げられますが、今回のこのモデルはありがたい事に「絞り環がエンジニアリング・プラスチック製」なのでフツ〜の他社製オールドレンズに近い感覚で使えるのがとても嬉しいです(笑)

・・そもそも各絞り値が一段繰り上がりなので他のモデルと比べて楽なのも大きいです。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。残念ながら前玉外周附近に2箇所コーティング層の経年劣化に伴う極々薄いクモリが小さい範囲で残っていますがLED光照射でようやく視認できるレベルなので撮影写真に影響を来しません。

何しろ構造上鏡筒が金属ながら「絞りユニットはエンジニアリング・プラスチック製」なので どうしても経年の揮発油成分の影響を受け易い宿命が残っています。さらに光学系の締付環 までがエンジニアリング・プラスチック製なのでその影響も加味する必要があります。

これは特にこのモデルに関し夏場の高温度に至る場所に保管したり長時間置いたままにするのは留意したほうが良いと思います。それらエンジニアリング・プラスチック製パーツが溶ける とかそういう話ではなく「エンジニアリング・プラスチック製の光学硝子レンズ用締付環が緩むから」です。

確かに固着剤など塗布し対策を講じる方策もありますがこのモデルに関しては光学硝子レンズ格納筒自体がエンジニアリング・プラスチック製なので固着剤を塗ったら溶けていく為に次の 整備時には先ず以て光学硝子レンズの光路長確保が危うい話に至ります(怖)

実際今回の個体もおそらく数年内 (10年経過していない) と推測できますがメンテナンス実施されており「青緑色の固着剤」がそこかしこ塗られていました。もちろんヘリコイドグリースはいつもの通り「白色系グリース」です(笑) 結果光学系の特に曲率が高い群のコーティング層に劣化を促す要因に至り本当に困った話です(涙)

・・オールドレンズの延命処置として整備せず単に高額で売りたいが為(笑)

と言う意識でメンテナンスしているので何度もこのブログで警告し続けていますが「これから先50年後には光学系にクモリが無い個体という要素だけで高額流通する時代が到来する」と間違いなく指摘できます。

・・だからこそ当方の方針はDOHによる「延命処置」が全てです!

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も「スカッとクリア」でLED光照射で極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
後群内:18点、目立つ点キズ:13点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かなカビ除去痕が計8箇所あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(前玉表面にコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが2箇所あります)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・絞り環に2箇所前オーナーによる切り欠きがあります(操作に支障なし)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『HEXANON AR 40mm/f1.8 AE (AR)』
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)
純正樹脂製バヨネット式後キャップ (中古品)

↑今回の個体に限定しますが「絞り環の途中に2箇所切り欠きがある (赤色矢印)」のでご留意下さいませ。おそらく前オーナーの手により何某かの理由でカットしたのでしょうが詳細は 不明です。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。ご覧のように開放実写の印象からするとガラッと写り方が変化するのがこのモデルの特徴です。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。変化の印象はさらに強くなっていきます。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。もぅだいぶ絞り羽根が閉じてきているのでそろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。