〓 Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) Biotar 5.8cm/f2 T silver《前期型−II》(exakta)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
Biotar 5.8cm/f2 T silver《前期型−II》(exakta)』です。


当方でのこのモデルの扱い本数は、今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で 63本目にあたり、その中でモデル・バリエーションで言う所の「前期型」は17本目と少々 少なめです。

10年前からオーバーホールを始めてほとんどの期間をこの後に登場する「中期型−I〜II」に集中していた為、逆にこの「前期型−I〜III」は敬遠していたと言うよりも、むしろ二番手のポジショニングだったのであまり扱う機会がありませんでした。

では逆にどうして「中期型→前期型へと変わったのか」と言うと、実はマウント部の特異な仕様に拠ったりします。

左写真は以前該当モデルを扱った時に撮影したマウント部の写真ですが「M42マウント規格」のネジ部からさらにそれ以降突出した部位が存在し「4.4㍉」も飛び出ています。

実はこの突出部分が今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する際マウントアダプタ内部にある「ピン押し底面」にこの突出が当たってしまい (干渉してしまい)  最後までちゃんとネジ込めないと言う不具合が生じるからです。

そしてその時現在と同じくオーバーホール済でヤフオク! に出品した際、ご落札頂く方の為に 気を利かせたつもりで「ピン押し底面が存在しないマウントアダプタも用意して/附属させて 出品した」のが仇となり(泣)、いつまでも落札されずに何ヶ月も残っていたと言う悲惨な結末だったワケです (むしろそんなマウントアダプタを附属しない出品が落札されていた)(涙)

どうしてご落札頂く方の為にワザワザ気を遣って困らないように附属品のマウントアダプタを (ちゃんと対応済みの加工を施した上で) 出品したのに落札されなかったのかと言えば・・・・まさに当方の信用/信頼が皆無だったが故に「胡散臭いヤツ!」と思われ誰も手を出さなかったようですが、現実は厳しく「いまだにその傾向が続いている始末!」なのが,何とも情け なくも恥ずかしい限りです!(涙)

従って、それ以来ご落札者様のことを第一に考え困らないよう配慮したところで・・まず以て伝わらない・・と肝に銘じ、他の大多数のヤフオク! 出品者の如くいい加減な出品をし続けています (むしろそのほうが落札率が上がったりすると言う説明できない矛盾!)(笑)

要は何か特異なことをヤルと「コイツ危ねぇ〜ぞ!」と疑われるのだと学習し、それ以降は「中期型」モデルを扱わなくなりました(笑)

もちろん今でもちょうど同じタイミングで出品している「Auto-Cassaron 50mm/f2.8 zebra《前期型》(M42)」は同じように対処を施したマウントアダプタ (SONY Eマウント規格用) を附属品にしていますが・・何とやはり人気がなくて落札されません!(笑)

どんだけ疑いの眼差しで見られているのかと言う話です!(笑)

まぁ〜、圧倒的に「ノークレーム・ノーリターン」が当然という世界の中で普通に「返品可」にセットして出品しているだけで疑われると言う、ある意味本末転倒な話ですが、自ら蒔いた種となれば致し方ありません(涙)

いったいどんだけ尽くせば皆様に信じてもらえるのか・・信用/信頼を勝ち得るのはいつになるか・・おそらく引退するまでこのままなのでしょうねぇ〜(笑)

・・と言うことで最近特に文句を垂れる機会が多いですが、今回出品する「前期型シリーズ」の扱いに変更した経緯とは・・そんな背景があった次第です(笑)

しかし問題なのは扱うモデル・バリエーションではなくて「そろそろ製産時期のタイミングと して光学系が限界に到達している」のがこの「前期型シリーズ」での大きな課題になって
います!(泣)

残念ながら今回出品個体もどんたけ調達時に細かくチェックしたかと言うレベルだったのですが、届いた個体はバルサム切れの影響で曇りまくっていた状況でした。従ってこの個体もバルサム切れの対処を行い、一旦剥がした後に再接着しています (芯出しするので相当な時間を要します!)(涙)

本来なら当方ではバルサム切れの再接着は施さないと謳っているのですが、現下のコロナ禍では少しでも稼がないと生活できません・・(涙)

ことは生活逼迫にまで至っており、何としてでも収入に繋げなければこんな作業を延々と続けていても意味がありません!(泣)

そんな背景でこのモデルのオーバーホールを頑張った次第です・・(涙)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「Biotar 5.8cm/f2 T《前期型−II》(M42)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。距離環を回すトルクもとても軽くて絞り環操作も確実で僅かにトルクを与えているくらいなのでシッカリしています。

・・しかし,即決価格の設定は当方にしてみれば普段の価格帯よりも▲10,000円です(涙)

バルサム切れまで再接着したにもかかわらず、残念ながら光学系後群側の貼り合わせレンズ 1枚にコーティング層経年劣化に伴う極々薄いクモリが残っている為,撮影すると出てしまうからです(泣)

なかなか調達の際に光学系を逐一画像処理してまで調べても、さすがにこのような極めて薄いクモリは掴みようがありません! そして合わせて言及するなら、立て続けにBiotarはどの 個体にも何某かの (非常に薄い) クモリが残ったりしているので、そろそろコーティング層の 蒸着に限界が訪れているのかも知れません。

それこそ誰か「サクッと蒸着できる商品発明してくれ!」と願うばかりですが、需要が需要なだけに誰も開発しませんね(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体なのですが,残念ながら前述のとおり 後群側の貼り合わせレンズ1枚に非常に薄いクモリが残っており (コーティング層劣化に拠るクモリなので反射させるとその領域が視認できる)、写る写真は少々コントラスト低下を招いています(涙)

またご覧のとおり「気泡」の大小が僅かに多めの印象で残っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

特に2枚目の写真ではコーティング層をワザと反射させて撮影したので、パッと見で曇りまくっているように見えますが「光学系前群にはクモリは一切なし」なだけに本当に残念です(泣)

なお、1枚目の写真のように前玉には経年並みの「拭きキズ」が相応に残っていますが、これはむしろフレアやコントラスト低下などの因果関係に至る理由ではないとみています。

↑ご覧のとおり光学系後群側も本当にスカッとクリアに見えるのですが,LED光照射でジックリ (必ず存在すると信じて) 凝視すると確かに薄〜く曇っているような領域が視認できます。むしろ光に反射させるとこの後の2枚目の写真で分かるように、コーティング層の劣化部分/領域が視認できます。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前玉に複数あり)
(どちらかと言うと経年並みの拭きキズです)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前玉に経年相応な拭キズが相当多くあります)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(第3群裏面に相応な領域でコーティング層劣化によるクモリが残っています/清掃で除去不可)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり3回清掃しても除去できない為、拡大撮影で「気泡」との判定をしています。
一部は一見すると極微細な「塵/埃」に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷をしていた為クレーム対象としません)。また「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。

↑一応今度は後群側から光学系内の「気泡」にピントを合わせて撮影してみました。写真には影響しませんが「円形ボケ」の内側にはこの気泡の影が写り込みます。但し標準レンズ域なので、たいして大きな円形ボケに至らないので、それほど気にする必要はありません。

↑17枚もある絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
・フィルター枠に打痕修復痕が残っており装着に際しコツが必要で,できればフィルターを外さずにお使い頂くのが良いと思います。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Biotar 5.8cm/f2 T silver《前期型−II》(exakta)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

出品ページで解説していますが、この個体のフィルター枠は過去メンテナンス時に修復されていてフィルターのネジ込みに少々コツが必要です。ちゃんとネジ山が噛んだことを確認して からネジ込んでいきますが、そのネジ込みの途中でも堅くなる箇所があるので、それに挫けずにネジ込む必要があり大変です(泣)

できればこのままフィルターを外さずにご使用頂くのがベストと考えます。

距離環を回すトルク感はこのモデルのピントの山が少々掴み辛いので敢えて「軽め」に設定 して組み上げています。逆に絞り環側は僅かですがトルクを与えてスカスカ感に堕ちないよう配慮しています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離90cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。一つ前の完全開放同様、やはり光学系の状況から少々コントラスト低下気味の写り方になります。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。ピント面の鋭さだけはご覧のようにバルサム切れを対処して再接着した分、鋭く戻りました (当初バラす前の実写チェック時点ではピンポケみたいな写り方だった)。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」なので、もうだいぶ「回折現象」の影響が現れています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。