◎ Revue (レビュ) AUTO REVUENON 55mm/f1.4《富岡光学製:後期型−I》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Revue製標準レンズ・・・・、
AUTO REVUENON 55mm/f1.4《富岡光学製:後期型−I》(M42)』
です。


このモデルの扱い数は今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で19本目にあたりますが、今回出品個体はモノコーティングのタイプです。前回直近で出品した個体はマルチコーティングのタイプ「AUTO REVUENON MULTI-COATED 55mm/f1.4《富岡光学製:後期型》(M42)」なのでまだ半年も経っていません。

一方モノコーティングで調べると前回の扱いは2017年なので、4年も経ってしまいました。

正直なところ『富岡光学製オールドレンズ』を出品すると、それに連動してこのブログにも 必ずアップするので、実は嫌がらせや誹謗中傷メールが着信し精神面であまり良い気持ちに なりません(涙)

要は「何でもかんでも富岡光学製にしてしまう」と言う言い分での嫌がらせなのでしょうが、当方がそのように判定している根拠は実は扱ったオールドレンズの外見や描写性からではなく「内部構造や使っているパーツの特徴」そして最も重要な要素は「光学系の設計/構成の特徴」から判定しているので,決して何でもかんでも『富岡光学製』と判定しているワケではありません。

然し、何が気に入らないのかたいていの場合でイヤなメールが届くので、あんまり最近は
関わりたくなくなってしまいました・・(涙)

そんな背景もあって暫く敬遠していたモデルの中の一つが今回扱うオールドレンズです。

昔なら手紙でやり取りするしか方法がなかったのが、現代はサクッと簡単にSNSやメールなどで誹謗中傷できるので、特に何某かの事件で被害に遭われた方々に対する誹謗中傷は相当な レベルに達し、少なくとも手紙でやり取りしていた時代とはあまりにもかけ離れている状況になっていると当方個人的には相当危惧しています (あまりにもリアルタイムすぎる)。

どうして被害に遭われた方々や親族の方々が二次的な被害に再び遭わなければならないのか、そのような背景があるからこそ当方は最近の日本を「思い遣り大国ニッポン」とはもぅ表現 しなくなりました(涙)

かつて様々な他人に対して思い遣り労り合い暮らしていたハズのニッポン人は・・何処へ行ってしまったのか?! 何とも嘆かわしい時代になってしまいました(涙)

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戦前ドイツのバイエルン州フュルトに1927年に創設された写真機材を扱う 商社「Quelle (クウェレ)」は、戦後旧西ドイツ側に属するニュルンベルクで写真機材を専門に扱う通信販売会社「Foto-Quelle」としてスタートし、 100ページ以上に及ぶカタログを最盛期には旧東西ドイツ国内のみならずオランダやフランス、オーストリア、ベルギー、イタリアにアメリカやスイスにまで勢力を広げ年に2度の写真機材専門カタログを発刊していました。

その中で扱う自社製品は「Revue (レビュ)」ブランド銘を冠し、自社開発を極力避けて当時のソ連や日本の光学メーカーが供給するOEM製品に頼る戦略で拡大していきました。ソ連製品ではKMZの他FedやZOMZ製品など、或いは旧東ドイツ側のPENTACON製品まで扱って商品の 拡充に努めました。また日本の光学製品ではチノン製を筆頭にヤシカやコシナ製品、或いは 終盤期にはペトリカメラまで「Revueブランド」で扱っていたようです。

今回扱うモデルは1976年に当時のチノン製一眼レフ (フィルム) カメラ「CEII MEMOTRON」や「CXII」を原型のモデルとした輸出用OEM製品で「REVUEFLEX」シリーズとして供給を受けたカメラボディ用のセットレンズの一つであり、当時の富岡光学からOEM供給を受けた標準レンズになります。

右のカタログページは「1976年版秋冬号」の一部で中腹に「REVUEFLEX 4004」のバッテリー電池供給の都合から1976年10月より販売がスタートする旨記載しています (つまり1976年春夏期の発刊雑誌になる/旧西ドイツDIN規格認可遅れの影響)。

ちなみにこの一眼レフ (フィルム) カメラを見ると通の人はすぐにピ〜ンと来ますが、アメリカは同じく通販専門商社で扱っていた「argus (アーガス)」ブランド銘にも,同一モデルがOEM供給されており「argus CR-3E」だったりします (但しセット用レンズの標準レンズはf1.7のモデルのみ同型品がargus製品としてOEM供給)(笑)

従ってこの独特な円形エンボスを施したラバー製ローレット (滑り止め) の標準レンズは開放f値「f1.7」モデルだけが旧西ドイツ中心にアメリカと二大陸で流通しましたが、開放f値「f1.4」の上位格付品はヨーロッパだけだった事になりますね。

こんなOEMモデルの供給先を当時発刊されていたカタログから追ってみるのも、また供給網が垣間見え意外な背景を探る事が叶います(笑) ちなみに右カタログページ掲載の標準レンズは「f1.4」モデルが「3003と最上位機5005の2モデルでセットレンズ化」という戦略だった事も判明しますね(笑)

ネットで何でも注文できてしまう現代だからこそ、最近再ブームが訪れているレコード市場と同様に「敢えて紙を使った印刷カタログ通販」も捨てたモノではないかも知れませんョ?(笑)

当方などは100ページもあるカタログをめくるだけで楽しめてしまいそうで、それだけでもウキウキしてしまうので、きっとそのカタログも大事にします!(笑)

《モデル・バリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型−I1972年発売
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印なし
距離環ローレット:金属製
銀枠飾り環:有 (フィルター枠)
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

前期型−II1972年発売
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印あり
距離環ローレット:合皮製
銀枠飾り環:有 (距離環)
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

前期型−III1973年発売 (?)
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印なし
距離環ローレット:合皮加工
銀枠飾り環:有 (距離環)
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

後期型−I1976年発売
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印なし
距離環ローレット:ラバー製円形エンボス加工
銀枠飾り環:有 (フィルター枠)
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

後期型−II1977年発売 (?)
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印なし
距離環ローレット:ラバー製ストライプ加工
銀枠飾り環:
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

後期型−III1978年発売 コーティング表記あり
レンズ銘板:TOMIOKA銘刻印なし
距離環ローレット:ラバー製幾何学模様加工
銀枠飾り環:有 (フィルター枠/距離環)
コーティング:マルチコーティング
コーティング層光彩:エメラルドグリーン

上に列挙したモデル・バリエーションを見ていくと、筐体の意匠がガラッと変わるタイプ (特に絞り環のデザインが違うのタイプ) で大きく2種類に分かれているのが確認できます。具体的に挙げると絞り環の一部がカットされているデザインのタイプとそうではないタイプです。

本来なら筐体外見だけでモデル・バリエーションを判定するなら一つのバリエーションタイプとして括りたくなりますが、実は一番最初の「前期型−I前期型−II」のこの2モデルだけは別格で「マウント部がシルバー環のタイプ」です。それで敢えて鏡胴のマウント部が視認できる写真まで一緒に掲載しています。

既に全てバラしているので内部構造の違いや使っている構成パーツの相違まで100%掴んでいるからこそ断言できるのですが(笑)、このシルバー環のマウント部を使っている場合は「複雑で構成パーツも多い富岡光学製オールドレンズの中で初期の設計タイプ」と判定できるために括り方を「外見上の特徴ではなく内部構造と構成パーツから捉えている」ワケです。

逆に言うならこのような分け方にしない限り後の時代にワザワザ構成パーツを増やして工程数まで増加させてムダに複雑な設計に戻している事になり、当時の富岡光学の経営状況、或いは既にヤシカ傘下に吸収されてしまった1968年以降として考察すると、全く以て理に適わない 話になり辻褄が合いません。

同じように例えば当時OEM生産していたCHINON製モデルなどにもこのシルバー環を配した「初期の頃の設計とパーツ」のタイプが顕在し、やはりバラしているので内部状況も100%同一である事を掴んでいます。

するとそのような判定に至る「特に富岡光学製の判定根拠」を開示しないと皆様から様々なメールが届くようになってしまうので、以下のように当方では分類しています。

レンズ銘板に刻印されている発売メーカー刻印以外に「TOMIOKA」銘を刻んでいるいわゆる「ダブルネーム」のオールドレンズが存在 します。

AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」の特異的な構造要素から判定しています (右写真は過去オーバーホールした際の写真)。前述のモデル・バリエーションで言えば「前期型−I前期型−II」の2種類がまさにこのチノン製モデルと瓜二つの内部構造と使用している構成パーツであり、ひいて言うなら「前期型−IIとはレンズ銘板をすげ替えただけ」レベルの話なのです (同じようにマウント部にシルバー環が配されている点まで全く同一)。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

上記3点は今までに3,000本以上のオールドレンズを扱ってきて、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。

今回の個体AUTO REVUENON 55mm/f1.4《富岡光学製:後期型−I》(M42)』は、上記 「判定の」のみ適合しており、当時のM42マウント規格の他社製オールドレンズの中で同一設計の仕様品は存在しません (外観だけではなくバラした上での内部構造面から判定)。

ちなみに前述のモデル・バリエーションに載せた全てのモデルは、上記「判定の」が共通仕様として設計されているワケで、要は全てのモデル・バリエーションが『富岡光学製』である事を意味します (前期型−IIIまでは判定のも適合)。

しかしだからと言ってこの後すぐの時代に登場する「50mm/f1.4」モデルや他の「Revue ブランド」製品まで富岡光学製なのかと言うと,それは違いますね (つまり何でもかんでも 富岡光学製とは言っていない)(笑)

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
もう多くの富岡光学製OEM製品で何度もこのブログで取りあげてきているので重複しますが、今回初めてこのブログをご覧頂く方もいらっしゃるので、敢えて説明していきます。

左端からシャボン玉ボケが破綻して乱れた円形ボケへと変わっていく様をピックアップしています。ギリギリのところで真円を維持できるかどうかと言うレベルのシャボン玉ボケ表出ですが (真円を維持するシ〜ンのほうが少ない)、どちらかと言うと収差の影響や口径食から楕円のラグビーボール状のカタチで表出する事が多くなります (要は光学設計の問題)。

ピント面の鋭さのインパクトが強いので余計に背景の円形ボケが気になる場合もあったりします。

二段目
それがこの二段目の収差ボケになります。二線ボケの傾向まであるのでそれらが介在して非常に乱れた背景へと変化していきますが、これをとても上手く「背景ボケ」として活用してしまっている写真も撮れるワケで、ここが撮影者の腕の見せ所といった感じです。

三段目
やがて乱れた収差ボケは次第にトロトロに溶け始めて設定絞り値との関係も手伝い被写界深度の狭さから (それを上手く活用する事で) まるでマクロレンズのような写りまで期待できます (おそらく延長ヘリコイドを使って撮っている)。特に富岡光学製モデルの場合、被写界深度が相当狭いので開放f値「f1.4」でもこれだけ狭く浅い為、最上位機種の「f1.2」モデルになるとピント合わせ自体まで大変になってきます(笑)

四段目
左側2枚に動物毛をピックアップしましたが、このように軟らかくフワフワッと写せるのも富岡光学製オールドレンズの描写性としてよく見かける要素です (柔らかささの比較には動物毛が一番分かり易い)。また人物写真やポートレート撮影にも十分対応できる実力を持ちますが、画角が標準レンズ域なだけに撮影スキルも必須になってきます。

五段目
そしてまさに富岡光学製モデルの素晴らしさはこのダイナミックレンジの広さで伝えられるでしょうか(笑) 黒潰れにギリギリまで耐えようとして頑張っている様子や,やはり白潰せずにギリギリまでグラデーションの階調を残そうとしている要素に何とも健気さを感じてしまいますね(笑)

光学系は5群7枚のビオター/クセノン型構成でムリヤリ光学系後群の最後のほうで収束させようとしているある意味強烈なやり方です(笑) 特に製品の設計年代が1970年代と言う事で1950年代から流行っていた「酸化トリウム」や「ランタン材」を光学硝子材に含有して屈折率を稼ぐ荒手を使わない手法へと切り替えざるを得ず、相当苦心したのではないでしょうか。

↑上の写真は光学系第2群の貼り合わせレンズのバルサム剤を一旦剥がして、光学系の2枚目と3枚目を分離させた状態で撮影しています。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は、実は当初バラす前の実写チェック時点で「光学系第2群の一部にバルサム切れ」が生じており、仕方なく一旦剥がして再貼り合わせしています。

せっかくなのでその際、当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測した次第です (滅多に訪れないチャンス!)。従って今回トレースした光学系構成図 (上の右図) はより正確な曲率に仕上がっています。

左写真も第3群貼り合わせレンズの表裏面を撮影しましたが、ネット上で頻繁に掲載されている光学系構成図とは異なり「第3群貼り合わせレンズのカタチが違う」点を示す「証拠写真」として載せました (そうしないとSNSなどで当方がウソを載せていると言われるので)(笑)

何でもかんでも富岡光学製にしてしまう」とか「光学系構成図を勝手に捏造している」とかある事ない事オンパレードなので、面倒くさいですがいちいち「証拠写真」が必要です(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造と使われている各構成パーツは100%チノン製同型モデルと同一です (但しシルバー環がマウント部にある前期型とは一部異なる)。要は同じように距離環にラバー製ローレット (滑り止め) を配しているタイプなら同じと外観からも判定できます。

そして今回のこの個体に限定して述べると、つい最近 (おそらく数年内) に日本国内の整備会社で完全解体によるオーバーホールが行われ、且つその際光学系第2群のバルサム切れを対処して「一旦剥離後に再貼付実施」しています。

どうしてそんなに細かい内容まで断言できるのかと言えば、一つは光学系後群側の硝子レンズ格納筒の側面に (金属筒) 鉛筆書きで「◉◉トビ」と書かれていた事実から国内整備の推測が 成り立ちます。

さらに締付箇所やネジ類など稼動する懸念がある箇所はありとあらゆる場所に「青色固着剤」で塗り固められていました。もちろん光学系内の硝子レンズコバ端は例によって「反射防止 黒色塗料」で厚塗りされており、且つヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置から各構成パーツの締め付け固定に至るまで「完璧な作業を熟した」整備が成されており、これは個人による シロウト整備のレベルではありません。

ヘリコイド (オスメス) にはこれもあまりにも多くて当たり前の話ですが「白色系グリース」がビッチリ塗られており「直進キー」やマウント部内部にまでタップリ塗られていました。

この直近で行われた整備が「数年内」と推定した理由があり、当初バラす前のチェック時点で「絞り羽根が完全開放のまま一切閉じない絞り羽根開閉異常を来した個体」だったのです。

もちろんそんな症状を抱えたオールドレンズなどいくらでも市場流通していますが(笑)、この 個体の距離環を回して実写チェックしてみると「明らかに白色系グリースが塗られているツルツルしたトルク感」であり、特に無限遠位置に限定して言うなら「ピタリと言うより本当に極僅かながらアンダーインフ状態」でセットされている、いわゆる一眼レフ (フィルム) カメラに合わせて無限遠位置をピッタリ微調整してある事が伺われる状況だったのです (これは当方がマウントアダプタを介している為に誤差が出ているからの話)。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

このような状況 (証拠) を積み上げていったところ,見えてくるのは数年内に整備会社のプロの手によって作業された、光学系貼り合わせレンズの再接着を含めたオーバーホールだった事が浮かび上がります。

ではその中でいったい何が問題なのかと言えば、以下のような内容になります。

《バラす前のチェック時点での問題点》
白色系グリースを塗布しまくっている点
経年の酸化/腐食/錆びが残ったまま組み上げられている点
絞り羽根の開閉異常 (完全開放のまま)
光学系第2群貼り合わせレンズのバルサム切れ

・・とこんな感じです。

あたかも市場に数多く流通しているごく普通のオールドレンズに起きているような状況ですがもう一度よ〜く考えてみて下さいませ。

ごく最近の数年内に一度オーバーホールされている個体である点を勘案する必要があります!

いったい何の為にオーバーホールしたのでしょうか???
どうしてたかが数年で絞り羽根開閉異常に堕ちなければイケナイのですか???

・・少なくとも、もしも仮に当方が所有しているなら (数年内にお金を払って整備依頼したのなら) いくら製造が何十年も前の製品だとしても納得できません!(怒)

金銭の多い少ないの話ではなく,これから先もず〜ッと気持ち良く使いたいからこそ整備依頼したのに、どうして絞り羽根が完全開放のままなのですか (絞り環操作で絞り羽根が一切開閉しない)???

ましてや光学系内のバルサム切れの問題で整備したのに、どうして再び剥離が始まっているのですか???

・・どう考えても納得できません!!!(怒)

・・と怒り心頭ですが(笑)、列挙した前述の問題点は、その因果関係が今回のオーバーホールで完全解体してバラしてしまうと白日の下に曝され「全てバレてしまう」ワケです(笑)

白色系グリース」を塗りまくったのでおそらく1年も経たずに揮発油成分がオールドレンズ内部に廻り始め、2年も使えば絞り羽根に油じみが起きてしまい「界面原理が働き各絞り羽根が癒着して完全開放したままになる」のが当たり前です。

これを放置プレイすると「さらに数年後に粘りが出始めてムリに絞り環操作したチカラのせいで絞り羽根のキーが垂直を保たず変形」するのも見えてきます (つまり再整備しても絞り羽根がキレイなカタチで閉じなくなる)(笑)

またオールドレンズ内部の各構成パーツを「磨き研磨」していないので、最終的に必要のない箇所にまで「白色系グリース」を塗って滑らかにする「ごまかしの整備」が横行する温床にもなっています。

極めつけは「バルサム切れ対処の作業概念の相違」が基で再びバルサム切れが起きてしまうと言う、ハッキリ言って「原理原則」に則った考え方のクセが付いていないからこういう結果に結びつきます。

要はプロと言いながらその風上にも置けないどうしようもない輩による作業です!(怒)

そしてここまで説明してきた内容から「このようなごまかし整備をいまだにヤリ続けている 整備会社が何処なのかだいたい目星がつく」ワケです(笑)・・そうです、いまだにこのような整備を平気で続けている整備会社が顕在するのです!

小さい会社ではありません (当方と同じ個人事業主ではない)。数人のプロの整備者を抱えた ワリと大手の有名処です(笑)

もっと言うなら当方が頻繁に扱っている富士フイルムが当時造っていた「FUJINONシリーズ」のオールドレンズ各モデルも、この同じ会社で整備しており、しかもマウント部内部のパーツの使い方をやはり間違えています (それに気づかずごまかしの整備で捻りバネをムリヤリ変形させて強くして組み上げている)(笑)

それもどうしてそんな細かい内容が断言できるのかと言えば、当方がオーバーホールの為に 完全解体してその「ごまかしの整備」で曲げられてしまった捻りバネを「本来の工場出荷状態に戻して」整備しているからです(笑)

何だか分かんないですョねぇ〜?! 何で当方が尻拭いしなければイケナイのか?!(怒)

《当方の覚悟》
現在市場流通しているオールドレンズは、近い将来50年後にはそのほとんどが使用に耐えられず寿命を迎える、ある意味『絶滅危惧種』と認識すべし

・・怒り心頭ながらも(笑)、このような想いが強いが為に1本でも多くの個体を残していく 活動を続けたいと願うばかりですが、如何せん当方の技術スキルからすれば「決してプロの 範疇に入らず!」我流止まりなので・・せいぜい10年プラスできるかどうかと言う情けないだけの話です!(涙)

・・いったい何をやっているのか?!・・まさに焼け石に水状態です(笑)

文句ばかり垂れてしまい申し訳御座いません! 絞りユニットや光学系前後群を格納する 鏡筒です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞りユニットが鏡筒最深部にセットされます (上の写真は絞り羽根を最小絞り値まで閉じた状態)。

↑完成した鏡筒を今度は立てて撮影しました (写真上部が前玉側方向)。すねと解説のとおりですが、このモデルは「後期型」のモデル・バリエーションに属するので (冒頭解説参照) 絞り羽根を微調整すね機能が限定されてしまい「最小絞り値側の開閉幅しか微調整できない構造」に設計が変わっています。

具体的に言うと上写真の「最小絞り値微調整キー」の停止板の固定位置 (プラス丸頭ネジ2個) に従い「開閉環がカチンと突き当て停止する場所を限定している」仕組みです。

従ってどんなにマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を押し込んでも、マウント部 内部の捻りバネのチカラが反応して「この停止板よりもっと先の位置まで開閉環を回そうと チカラが及んでもそうしない処置が講じられている」設計です。

どうしてそんな対処を設計段階で採ったのか???

それは装着される一眼レフ (フィルム) カメラが必ずしも自社製品とは限らないので「マウント面から飛び出ている絞り連動ピンがどの程度押しまくられるかが不明」だからです。ひいて 言うなら、もしかしたら「絞り込み測光ボタンを押されて絞り連動ピンが押し込まれたままになる」事も容易に想定できます。

その対策としてこのように必要以上に絞り羽根を閉じすぎない設計が施されているのが「原理原則」であって「設計者の意図」でありそのとおりに組み上げる必要があるワケです。

この過去メンテナンスした整備者 (と言っても数年内) は、一度この停止板 (キー) も緩めて再度微調整したのが分かっており (その痕跡が残っているから)、且つここのプラスネジもビッチリ「青色固着剤」が塗られていました (当方はご覧のとおり固着剤はネジ部内部に塗ります!)。

この固着剤の種類と言うか色合いも整備の年数を判定できる一つの要素であり「赤色固着剤」なら近年ではなく、おそらく10年レベル前の話です。逆にこの「青色固着剤」はこの数年で流通している固着剤なので,整備した過去メンテナンス時期の判定にもなり得るのです。

さて,上の写真を見ると絞りユニットを締め付け固定する「締付ネジ」が鏡筒外壁に均等配置で3箇所あり締め付けられています (赤色矢印)。ところがこの締付ネジの穴は「丸穴」でありマチがないので (つまり楕円の穴ではない) 単に決まった位置で締め付け固定する役目です。

これがいったい何を意味するのか・・???(笑)

答は簡単で、絞り羽根が完全開放した時の開き方を微調整できない設計なのです。逆に言うならもしも仮に「開放設定時に絞り羽根が僅かに顔出ししている」個体の場合には、残念ながら普通一般的には改善できません (当方はヤリようがある)。

するとそのような「開放時に絞り羽根が顔出ししてしまう因果関係」は何かと言えば・・まさに今回の個体の状況と一緒で「油染みの放置プレイ」による粘性を帯びた状況で「界面原理に伴う絞り羽根の癒着から膨らむ現象」が起きて、絞り羽根に打ち込まれている「キーの変形 (垂直を維持できない)」に至ってしまうワケです。

結果、整備したとしても絞り羽根が閉じる際に「キレイな正角形にならない」閉じ方で歪に 閉じていきますね(泣) 絞り羽根を6枚実装しているなら「正六角形で閉じる」が正しい駆動状況ですね。

たかが絞り羽根が閉じる時の開口部のカタチ (当方ではこれを開閉幅と呼んでいる) の話なので気にしない人が多いのですが、実はこのカタチが歪になると「円形ボケから角ボケへと変化する際にその歪なカタチでボケが表出する」場合がある為 (必ずしも表出する話ではない)、全く写り方に関係ないとも断言できません。

もちろんそのボケ具合を気にするか否かは個人の主観に拠る処なのですが、はたしてキレイなボケが楽しめる状況と言えば、特に近年のデジカメ一眼/ミラーレス一眼でのオールドレンズ 使用こそがまさに活躍の場を広げている話ですから、おいそれと無視できません。

要はどんだけ「使用者の立場に立ち事細かく撮影シ〜ンを想定してその対処をオーバーホール作業に繋げていくか」が問われているのだと、常日頃自ら言い聞かせつつ作業していますが、如何せん技術スキルが伴わないので上手く行きません(笑)

・・詰まるところ当方の技術スキルはそんなレベルです(笑)

なお昔の時代には富岡光学製オールドレンズの多くのモデルで (前期型時代) 絞り羽根の開閉幅微調整機能を「鏡筒の固定位置で微調整させていた」設計を採っていた為、上の写真で言う処の「鏡筒格納キー」も実は設計変更してしまい「微調整できなくなってしまった」次第です (赤色矢印)。

それだけにこの「後期型」のモデル・バリエーションでは「完全開放せずに絞り羽根が顔出し している」個体の場合は、残念ながらボケ具合にもその歪なカタチが現れる結果に繋がり易い覚悟が必要になります。

↑鏡筒は前の工程で残りあとは光学系前後群をセットするだけなので、ここからは鏡胴の他の部位の工程に移ります。距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。

↑真鍮 (黄銅) 製で切削されているヘリコイド (メス側) を無限遠位置の当たりを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

するとこのヘリコイド (メス側) には距離環を締め付け固定するネジ穴が均等配置で4箇所に
備わっているのが分かります。つまり距離環はこのヘリコイド (メス側) に固定されるワケです (グリーンの矢印)。

この解説が意味するところがすぐにピ〜ンと来た人は整備者の素質が在りますね(笑)

そうです。距離環を回して鏡筒が繰り出されたり/収納されたりする動きは「このメス側ヘリコイドからチカラが伝わっていく話」なのであって、トルクが重いだ何だ騒いでいる話は「ヘリコイドメス側が発端」と言う話です (あくまでもこのモデルでの設計上の仕様)。

左写真は「直進キー」と言うパーツで基台の両サイドに2個ずつの 締付ネジを伴い締め付け固定される設計です。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

すると何やら赤色矢印グリーンの矢印で指し示していますが、実は過去メンテナンス時の 整備者が「直進キー」の平面 (板状) 部分に尖った治具を使って打ち込みしているのがバレます (赤色矢印)(笑)

おそらく千枚通しのような道具を叩き込んでポチッと丸い痕 (凹み) を付けています。

一方グリーンの矢印で指し示した箇所には片方の直進キーだけですが、扇状に「くさび形叩き込み」を施しているのが分かります。実はこれは「製産時点」の話で,設計段階で折り込み済みなのです。

いったい何の為にこのような処置が必要なのでしょうか???(笑)

↑一旦オーバーホール作業工程の解説に戻ります。上の写真はヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置の当たりを付けた正しいポジションでネジ込んだ状態で、ひっくり返して裏側 (つまり後玉側方向) から撮影しています。

すると基台にヘリコイド (オスメス) がこれでネジ込まれたワケですが、ヘリコイド (オス側) には両サイドに「直進キーガイド」なる溝が備わっています (赤色矢印)。

↑実際に基台に「直進キー」を締付ネジで締め付け固定したところを撮影しました (片側の直進キー)。

するとグリーンの矢印で指し示した箇所には前述の製産時点で叩き込まれた「くさび形叩き 込み」の凹みが見えていますが、合わせてブルーの矢印で指し示している過去メンテナンス時の整備者の手による叩き込み (丸い凹み) もあります。

何を言いたいのかと言えば、どうして製産時点では「一方の直進キーにだけ本格的な凹みを 入れたのか」と言う「原理原則を過去メンテナンス時の整備者は全く理解していない」事を 説明しています。

逆に言うならこんな「小っちゃな丸い凹み程度では全く意味を成していない」にもかかわらずしかしこの叩き込みの理由をある程度理解しているからこそ処置している作業だったワケで、要は「観察と考察」が全くできていない整備者で,合わせて「原理原則」すら掴んでいない「プロと言えども中途半端な技術スキル」と断言できてしまう要素であり「まさに証拠」なのです!(笑)

オールドレンズをバラしているとよくこのような例で真鍮 (黄銅) 製のパーツに打ち込みで何某かのカタチの凹みが顕在するのですが、その理由と目的と必要性すら全く理解できていない事がバレバレなのです!(笑)

逆に指摘するなら、シロウト整備でワザワザこの処置をする人は相当少ないと考えられるので「プロの整備だった」と言う根拠の一つとも言い替えられますね(笑)

・・完全解体してバラしてしまうと隠し通せません!(笑)

ちなみにこの製産時点での処置のヒントを言うなら「直進キー」の露出面側であろが裏側の 接触面側であろうがちゃんと 平滑処置が済んでいるならどちらでも構いません。

逆に言うなら過去メンテナンス時のこの整備者は自ら尖った治具で打ち込んでいながら、平滑面にする処置を怠ったまま組み上げていたので、これらの意図を全く理解していないまま単に真似てヤッているにすぎないと言う本当に恥ずかしい「プロの整備者」です。

そもそも両方の直進キーに打ち込んでしまった時点で意味を成さなくなってしまうのに(笑)

↑マウント部内部の写真ですが、当方の手により「磨き研磨」が終わった状態で撮っています。当初バラした直後はこのマウント部内部にまで「白色系グリース」が塗られており,一部には揮発油成分が廻っていましたが「その量が非常に少ないので1年〜3年内の話」と推定できる次第です。

逆に言うなら「1年〜3年で絞り羽根が油染みしてしまう整備っていったい何なの???」と声を大にして申し上げたいですね!(怒)

↑取り外していた各構成パーツも総て「磨き研磨」を施し組み込みました。マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) そのチカラがアームに伝達して「f値キー」が移動します (ブルーの矢印②)。さらに合わせて/同時に「開閉アーム」が必要量だけ移動して (ブルーの矢印③) 鏡筒内部の絞りユニットに組み込まれている「開閉環を動かして設定絞り値まで絞り羽根が閉じる」原理ですね。

一方「A/M切替スイッチ連動キー」もマウント面から飛び出ている「絞り連動ピンの操作」と同じ機能をするよう備わっています (ブルーの矢印①)。つまり「A/M切替スイッチ」の操作によっては設定絞り値まで瞬時にシャコンと絞り羽根が閉じる「手動操作 ()」と言うワケですね(笑)

するとこのマウント部内部の各構成パーツをジックリ見ていくと、実は「捻りバネ1個 (左右に飛び出るタイプ)」と「スプリング1本」がセットされている設計なのが分かります。互いに「常時絞り羽根を閉じるチカラ」と「常に開こうとするチカラ」の互いのバランスの中で絞り環なりA/M切替スイッチなりと連動して制御されるべき仕組みです。

・・何を言いたいのか???

絞り羽根に生じた油染みを放置プレイし続けると「これら捻りバネやスプリングが経年劣化で弱る」と言いたいのです!!!

当方が何度も何度もこのブログでいろんなオールドレンズの解説時に「絞り羽根の油染み放置プレイはダメ!」と腐るほど言っていますが、その根本的な理由がまさにこれら「捻りバネとスプリングの弱り」であって絞り羽根開閉駆動の大きな支障に至るからなのです。

撮影していて本来の決まった絞り値まで絞り羽根が閉じていないと知った時「あなたならどんな気持ちになりますか?」と言いたいですね(泣)

・・その時に慌てて整備依頼してきてももう遅いのです!(涙)

何故なら、単にそれら捻りバネやスプリングのチカラを強くすれば良いだけの話ではなく、そもそも設計段階からして異なる種別のバネ類を介在させているワケで「それらのチカラバランス」を適合化させようと試みるなら、各構成パーツとの連係を微調整する必要性が生じ「必ずしも絞り羽根開閉異常が改善するとは限らない」と言いたいのです!!!

・・本当に多くのオールドレンズで「絞り羽根開閉異常」を正してほしいと言われますが,勘弁して下さいョ!(涙)

↑ここからは過去メンテナンス時の整備者の「自己満足大会」の解説をしていきます。マウント部をひっくり返して後玉側方向から撮影していますが、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) それに反応して「f値キー」も必要量分だけ移動します (ブルーの矢印②)。

左写真はその「f値キー」部分をさらに拡大撮影していますが、過去 メンテナンス時の整備者は「このf値キーの付け根にまで青色固着剤を塗りまくった」ワケです (グリーンの矢印で指し示している箇所)。

一見すると確かにマイナス切り込みが入る「シリンダーネジ」と言う円筒形金属筒にネジ部が備わるネジ種のように見えますが、実はこの裏側をチェックすると叩き込みプレッシングなのが分かります。

別にそんな難しい話しをしているワケではありません。純粋にパーツの裏側を見ればすぐに 分かる話ですが、過去メンテナンス時の整備者はこの付け根にビッチリと多量の「青色固着剤」を固めてくれたワケで(笑)、その影響が絞り羽根の開閉動作にまで現れます。

要は何でもかんでもネジ類の箇所には「固着剤で固める」と言う、な〜んにも思考しないアホな「整備者の自己満足大会」でしかありません(笑)

そういうヤツ (整備者) が本当に多いのです!(笑) こいつらは本当にバカです!

↑ようやく工程が進みますが、ヘリコイド (オス側) の内側にグリーンの矢印で指し示したように鏡筒がセットされ、且つ「締付環」で今度は締め付け固定されます (グリーンの矢印)。

↑こんな感じで鏡筒がヘリコイド (オス側) 内部にセットされて「締付環」で締め付け固定されます。

↑この状態で再びひっくり返して後玉側方向から撮影しています。後から組み込めないのでここで先に「指標値環」を入れておきます。

↑さらに完成しているマウント部をセットしたところです (写真下部側が前玉方向)。すると完成したマウント部は均等配置で備わる締め付け用ネジ穴 (グリーンの矢印) に「皿頭ネジ4本」で締め付け固定される設計です (赤色矢印)。反対側にもネジ穴が2箇所あります。

こんなカタチの「皿頭ネジ」なワケですが、どうしてこのマウント部を締め付け固定する際にこのネジ種を使うのですか???

どうしてワザワザ「4箇所の均等配置で締め付け固定」するのですか??? 何故3箇所の均等配置ではダメなんですか?

・・何だかだいぶ前に似たようなフレーズで大声でわめいていた (何故二位ではダメなんですか?) 何処ぞの党のアホな政治家が居たような記憶がありますが(笑)、いったいどうしてなのでしょうか???(笑)

そもそも予算を減らされても挫けずに、頑張って血と汗の滲む努力を重ねたからこそ今世界で一位を連覇し続けながらスーパーコンピューター「富岳」が様々な検証を予測してくれているワケで、実際に今回の新型コロナウイルスの想定に何度も大きく役立って助けられている次第で、いったいこの何処に大声でわめく問題が隠されているのかと言いたいですね!!!

こういうアホな政治家が居るから「技術大国ニッポン」はどんどん過去の栄光に堕ちていきます!(怒)

そりゃあ予算なければ、限られた中でヤルしかないですからね、できる事もできなくなっていきます。研究なんて言う話は「その成果/果実を期待した時点でアウト!」と言う概念すら理解できないバカな政治家ですョ!!!(怒)

またこう言うヤツを政治家として投票する輩が居るからどうしようもないワケで(笑)、悪循環の繰り返しの中で国勢はどんどん衰退していくばかりです・・(涙)

・・とまた文句ばかりですが(笑)、今回の個体について言えば、相応な技術スキルを有しながらも過去メンテナンス時の整備者は詰まるところ何も分かっていないですねぇ〜(笑)

↑やっとの事で絞り環を組み込む工程まで辿り着きました(笑) ちょっともぅだいぶ疲れてきています・・(涙)

↑A/M切替スイッチの「スイッチ環」を鋼球ボールをセットしてから組み込みます。

↑この後、上の写真の距離環をセットすれば「らしく」なります(笑)

実はこの距離環の内側には「1箇所に金属製のキーがプレッシング されている」のを赤色矢印で指し示しています。

この「制限キー」と言うキーがカチンと突き当たるから「無限遠位置と最短撮影距離の位置でちゃんと停止する」仕組みですね。

前の工程で出てきた写真ですが、再び解説用に転載しています。

グリーンの矢印で指し示した箇所に「制限壁」と言う突出部分が備わり (赤色矢印)、そこに前述の「制限キー」がカチンカチンと突き当たるので、無限遠位置と最短撮影距離位置の両端で距離環が気持ち良く停止します。

するとこの個体を整備した過去メンテナンス時の整備者も勘違いを起こしていますが「距離環がネジ止め固定なので∞刻印は自由に位置を微調整できる」と考える「無限遠位置微調整機能を装備」と思い込んでいますが、確かに∞刻印の位置は自在に微調整できるので、ピタリと 指標値環の基準「」マーカーに合わせられますが「ではその時ちゃんとカチンと音が聞こえて突き当て停止しているのか?」とは同義になりません!

この点を思い違いしている整備者が本当に多いです!

↑もう面倒くさいですが、最後になってようやく冒頭解説の「富岡光学製判定基準の」に あたるマウント部を特異な締め付け固定手法で設計している部分です。「A/M刻印がある飾り環」を締め付け固定するのは「イモネジ3本」です (グリーンの矢印)。「前期型」の時代には絞り環のクリック感さえもズレが生じてしまう仕様を設計していましたが、この「後期型」の時代に入るとそのような微調整を伴わない「単なるお飾りの環/リング/輪っか」として、然し尚もイモネジ固定にこだわり続けている有様です(笑)

従って他社光学メーカーならこの「飾り環自体をネジ込み式」で設計したり、或いはプラスの締付ネジでマウント面から締め付け固定したりと全て異なる設計であり、このようなイモネジの締め付け固定に拘っていたのは「富岡光学」だけです (3,000本以上オーバーホールしてきて他に同じ設計のメーカーを見た記憶がまだないから)。

従って「M42マウント規格」でマウント面直前の環/リング/輪っかをこのように「イモネジで締付固定」しているなら=自動的に「富岡 光学製」と判定できる次第です。外観から判定できる唯一の要素とも言い替えられますね。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っているネジ種 (上左写真)

この後は距離環をセットしてから光学系前後群を組み込んで無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。そもそも当初バラす前の実写チェック時点で「このモデルにしてはピシッとピントが来ない」印象だったので、完全解体でバラしていけば何の事はなく「光学硝子レンズコバ端に塗られていた反射防止黒色塗料の厚塗りの影響」で特に光学系第2群の貼り合わせレンズが適正な光路長を確保していないのが因果関係でした(笑)

ワザワザ過去メンテナンス時にバルサム切れの対応処置を講じたのに「余計な自己満足大会にこだわる」からこんな事になります(笑)

つまり光学系第2群貼り合わせレンズのバルサム切れ対処として一旦剥がしてから再接着したのは正しいとしても「その再接着のヤリ方が酷すぎる」からこそ、本来の鋭いピント面に到達していません!

貼り合わせレンズの再接着はどのように作業を進めれば良いのかちゃんと幾つかのポイント 要素があるのですが、それをごまかして作業するからこんな事になります。

おかげで今回のこの個体はまだ数年しか経過していないのに再びバルサム切れが生じてしまい光学系第2群の貼り合わせレンズには角度を変えつつ眺めると「斑点模様の浮き部分が光って影になってバレる」状況であり、パッと見てすぐに当方には「また浮いてるョ!」と分かってしまいますが、おそらく一般の方々がジックリ眺めても分からないでしょう(笑)

・・要はそんだけ厳しくチェックしているワケです!(笑)

ちなみに光学系内の第2群貼り合わせレンズのコバ端が白くなっているのは製産時点で塗布 されている反射防止塗膜の浮きなので仕方ありません。

↑今度はバッチリ光学系第2群の貼り合わせレンズも再接着できました (本当は当たり前の話で何一つ自慢話にもなりません)!(笑)

LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無と言うスカッとクリアな状況です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。第2群貼り合わせレンズのコバ端に浮きが残っていますが改善できません。

↑光学系後群もスカッとクリアでLED光照射で極薄いクモリが皆無ですが、本当にジックリこれでもかと言わんばかりに凝視すると(笑)、実は点キズが多めの印象です。パッと見で「微細な塵/」に見えますが、3回の清掃でも除去できない極微細な点キズです。また4mm長のヘアラインキズも数本残っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:19点、目立つ点キズ:15点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内に複数あり)
(後玉に極微細で薄い点キズ複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(但しLED光照射で視認可能な前玉表面側に経年相応な微細で非常に薄い拭きキズなどが多数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。

絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきますが、ご覧のように 絞り羽根の先っぽに「過去メンテナンス時に組み立て手順をミスってセットしたことに起因 する絞り羽根の閉じきり」が起きてしまい (整備者のミス) 絞り羽根同士が互いに噛んでしまった痕跡が残っているのが視認できますが、これは何をしても改善できません (叩き込んだところで消す事ができないし当然ながら光学系が直前の位置なので着色したくない)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「重め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『AUTO REVUENON 55mm/f1.4《富岡光学製:後期型−I》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

今回のオーバーホールで本当に各部位、操作箇所全てに渡りバッチリ組み上がりました!(笑)

ある意味これが本来のオーバーホール後の姿カタチではないかと言いたいくらいです・・(笑)

また光学系も第2群貼り合わせレンズを再び剥がしてから再接着したので、スカッとクリアになり当然ながらバルサム切れも起きていません。ちゃんと「カナダバルサム」に準じた高屈折率タイプのバルサム剤を使っているので,実際に撮影でピント合わせすればすぐに一目瞭然ですがこのモデル本来の「スパッと鋭いピント合焦が気持ちいい!」感触を味わって頂けます(笑)

これが本当の姿であり、極僅かに甘い印象のピント面などと言うのはとんでもないです!(笑)

但しマウントアダプタを介在しての微調整なので一眼レフ (フィルム) カメラの無限遠位置にピタリと合わせているワケではありません。一眼レフ (フィルム) カメラでお使いの方はちゃんとしたプロのカメラ店様や修理専門会社様の扱い品を是非ともお選び下さいませ。

当方の技術スキルは何度も言いますが低すぎるのでガッカリされるハズです!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑党による最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に変わっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているのですが、ご覧のとおりの描写性でまだまだ「回折現象」の影響を感じません。

素晴らしい写りです・・!(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。