◎ OLYMPUS (オリンパス光学工業) OM-SYSTEM ZUIKO MC AUTO-MACRO 35mm/f3.5(OM)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

オーバーホール/修理ご依頼分ですが、当方の記録用として掲載しており
ヤフオク! 出品商品ではありません (当方の判断で無料掲載しています)。
(オーバーホール/修理ご依頼分の当ブログ掲載は有料です)


今まで数多くこの当時のオリンパス製オールドレンズをオーバーホールしてきましたが、意外にも廉価版標準マクロレンズ『OM-SYSTEM ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm/f3.5 (OM)』は今回が初めてでした。

1973年にオリンパス光学工業から発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「OM-1」のオプション交換レンズ群として、1/2倍撮影が可能な廉価版標準マクロレンズの位置付けで発売されました。

後の1985年に上位格モデルの位置付けで「OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 50mm/f2 (OM)」が追加で登場します。

この廉価版たる標準マクロレンズは開放f値こそ「f3.5」と暗めですが、その描写性能に対する こだわりは相当なモノで光学系の第3群だけを「昇降式」にする事で最大限に狙う描写性能を 維持させるよう設計されたモデルであり、その コンパクトな筐体サイズと相まり決して手を抜かなかった当時のオリンパスの気概を感じられる ハーフマクロレンズと評価しています。



上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで溶けていき単なる円形ボケへと変わっていく様をピックアップしました。焦点距離が50mmと標準マクロレンズなのですが、意外にもシャボン玉ボケの表出はエッジがすぐに滲んで溶け始めてしまうので難しい/苦手なようです。かと言ってピント面から外れるに従いアウトフォーカス部の滲み方が柔らかく滑らかなのかと言えば、それもまた違うようで少々中途半端的な滲み方のボケ味であり、一般的に市場での評価は「硬めのボケ味」と認識されているようです。

とは言え、さすがに標準マクロレンズなので背景にさえ気を遣えば相応にトロトロボケの雰囲気を取り入れた写真にもなるワケで、決して悲観するばかりではありません(笑)

二段目
左端の2枚は収差の影響を受けて、且つアウトフォーカス部のエッジが残ってしまった写真を敢えてピックアップしました。特に2枚目の写真は背景の硬めのボケ味をむしろ「背景効果」として逆活用してしまうと「油絵風/絵画風」の印象に仕上げられるので、これはこれで「背景効果」として捉えれば決して硬めのボケ味だけで済まされない話になってきますから、要はどのようにそのオールドレンズ活用するのかと言う素性の話になってくるのではないかと考えます。

三段目
左側2枚は特にダイナミックレンジの状況を把握する目的でピックアップしてきました。明暗部で特に暗部の黒潰れがギリギリまで耐え凌ぎながらストンと突然落ち込んでしまうので、それを却って上手く活用すればピント面のインパクトが強いだけに違和感の無い写真として残せると考えられます。逆に言えば被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力に非常に長けているので、その解像感 (決して本当に緻密に情報量豊かに解像しているワケではないが解像しているかの如く雰囲気) と合わせてしまえば暗部の黒潰れが気にならなくなるのではないでしょうか。

廉価版の標準マクロレンズでこれだけインパクトの強い写真を残せれば、これはこれで使い 勝手の良いマクロレンズだと受け取っています。

光学系は1960年代後半からの流れとして各光学メーカーが挙って 利用していた3群4枚テッサー型構成に甘んずる事なく、逆に本格的な4群5枚のビオメター/クセノター型構成として設計してきています。

さらに右構成図 部分の赤色矢印のとおり、光学系第3群だけが「昇降筒」内部で直進動するというこだわりようなのが前述の解像感を感じる (雰囲気を醸し出す) インパクトの強さにも結びついているように感じます。

念の為に言っておくと、右構成図は今回のオーバーホールでバラして光学硝子レンズを清掃する際、当方の手でデジタルノギスを使って 逐一計測したトレース図になりますが、当時のカタログに掲載されている構成図のカタチ/サイズ/曲率とは異なっていました。

ウソを載せているとSNSで批判されるので証拠の解説をしていますが第2群の凹側が尖ったカタチをしています (グリーンの矢印)。

前出のカタログに掲載されている構成図と比べて頂くとだいぶカタチが違う点を確認できると思います。また今回バラしてみたところこの個体は1977年11月に伊那事業所にて製産出荷されたものである事が判明しています (7イYのデートコード印刷)。

なお今回のオーバーホール/修理のご依頼内容には含まれていませんが、当初 バラす前の実写確認でチェックしたところ「ピント面が甘すぎる/このモデル 本来の鋭さに至っていない」と判定したので、オーバーホール工程の中で特にその点について改善を執りました。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。標準マクロレンズなのでヘリコイド (オスメス) の繰り出し量が一般的な標準レンズと比較しても多めになります。もっと言うならこのモデルでは「ダブルヘリコイド方式」を採り入れた設計なので「繰り出し量が多く (ネジ山が多く/長く) ヘリコイドも内外2セット内包する」となれば必然的に距離環を回す時のトルクが重くなり易く仕上がってしまうので、今回のオーバーホールではその点にも留意しつつ組み上げています

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。前述のとおりこのモデルは「ダブルヘリコイド式」なので、この鏡筒の外壁に切削されているネジ山「ヘリコイドのオス側」は「内筒のほうのオス側」を意味します。逆に言うと「外筒のほうのオス側がまた別に存在する」とも言い替えられます。

↑上の写真は絞りユニットの「ベース環 (リング/輪っか)」を撮りました。ここに絞り羽根の他、様々な制御系パーツがビッシリと組み込まれます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根をセットしたところを撮影しましたが、右横に並べているのは「メクラカバー」です。つまりこの当時のOLYMPUS製オールドレンズのほとんどが同じように「カバーを被せて絞り羽根の脱落を防ぐ設計概念」を採っており、確かに例えば上の写真のようにメクラが被さる前の状態で絞り羽根が操作されると「バラバラと絞り羽根が外れて脱落する」事に至ります。

絞り羽根をちゃんと固定せずにカバーを被せるだけと言う何とも心許ない設計のように感じるかも知れませんが、これにはちゃんと理由があって「鏡筒内の限られたスペースを最大限光学硝子レンズの為に空間確保する」ことを主眼として考え出された設計概念であり、決して手を抜いた話ではなく、もちろん設計概念に問題がある話にもなり得ません。

すべては「光学系の設計は絶対に妥協しない!」と言うまさに企業ポリシーを具現化した設計とも当方は受け取っています (ちなみに上の写真は後玉側方向からの撮影になります)。

↑ひっくり返して今度は前玉側方向から絞りユニットを撮影しました。ご覧のとおり所狭しと「制御系パーツ」がビッシリと組み込まれています。

絞り羽根が閉じていく際の「絞り値との整合性」を執る為にその「微調整機能」を含有する設計であり、これがゴッソリ丸ごと鏡筒内に収まってしまうのでオドロキです(笑)

↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところです。すると右横に並べて撮影した「絞り値制御環」と言う筒状のパーツがグリーンの矢印のとおり「さらにこの絞りユニットの直上に格納される」設計です。

実は今回バラした当初には「鏡筒内部にヒタヒタと経年の液化した揮発油成分が附着」していました。さらにもっと言うなら「の箇所には過去メンテナンス時に何と白色系グリースを塗っていた」事まで判明しています (実際濃いグレー状に変質したグリースが残っている) 。

そこで上の写真は既に当方の手による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮っていますが、の鏡筒内壁部分をよ〜く観察すると「テカテカと鏡面仕上げになっている」のが分かります。一方その場所に格納される右側の「絞り値制御環」のの部分は「逆に艶消しの梨地仕上げメッキ加工」であり、抵抗/負荷/摩擦が生ずるようワザと加工されているのが分かります。

実は過去メンテナンス時の整備者、もっと言うならこのネット上を観ていてもたいていの整備者がこの点に気が付いていません (誰も指摘していない)(笑)

要はそんなレベルなのです・・(笑)

どう考えても光学系前後群が直前直下に格納される絞りユニット部分を挟んだ鏡筒内部には「グリースを塗らない」のが定説であり、敢えて鏡筒内部にグリースを塗っても良かったのは「当時のロシアンレンズだけ」とも言い替えられます。

ロシアンレンズ以外は鏡筒内部や絞りユニット直前直後に「絶対にグリースを塗らない」設計です。多少グリースが必要になるとしても、それは絞り羽根の駆動方式の関係から抵抗/負荷/摩擦を低減させる目的があったシルバー鏡胴時代のオールドレンズのみであり、旧東西ドイツや他の日本製オールドレンズでも鏡筒内部にグリースを塗るようなオールドレンズを当方は見た記憶がありません(笑)

しかし過去メンテナンス時の整備者はここにグリースを塗りました。もっと言うならこの当時のOLYMPUS製オールドレンズをバラすと、まず間違いなく過去メンテナンス時に鏡筒内部にグリースが塗られているとも断言できます。

それは「絞り環操作が重くなるのを防ぐ/或いは絞り羽根の開閉異常を防ぐ」目的で平気で鏡筒内部にグリースを塗ってしまいます(笑)

確かに組み上がってしまえば一切見えないのでバレませんが(笑)、しかし次の整備時にはこのようにモロバレになります(笑)

従って今回の当方のオーバーホールではこの鏡筒内部にはもちろん製産時点と同じように「グリースなんか絶対に塗らない」のであって、それでも大変スムーズに滑らかにちゃんと各部位が駆動しています。

の金属表面のメッキ加工が異なる点にちゃんと「観察と考察」で気づいたのかどうかがここで試されるワケですね(笑)

なおロシアンレンズが鏡筒内部にグリースを塗って製産している理由は、ロシアの国土に氷点下マイナス40度まで下がる極寒地帯が含まれているからです。そのような極寒の状況ではオールドレンズは「金属凍結」してしまいムリな操作を試みるとアッと言う間に「絞り羽根のキーが破断して脱落する」結果を招く為、それを防ぐ目的で特殊な成分のグリースを鏡筒内部に塗布して「金属凍結」を防いでいる次第です。

従ってロシアンレンズに「油染み」が多いのは必然であり宿命でもあり、逆に言えば想定内として設計しているので「製品寿命にこだわらなかった」とも指摘できます。つまり売り切りで使い捨ての如く初めから設計されているのがロシアンレンズであり、確かにお国柄もあり細かい事にはこだわらない国民性なのかも知れませんが(笑)、実際のところ簡素な切削や面取り処理の粗さ、或いは構造面での妥協などはそのような事情があればこその話だと当方は認識しています。

そうは言っても過去に起きた東芝ココム違反事件 (東芝からの一部の産業機械設備/輸出品がソ連原潜用の製産機械として使われていた事件) などからも分かるように「日本製NC旋盤機」を数多く闇輸入していたようなので(笑)、1970年代後半辺りからはロシアンレンズの切削レベル (面取り加工も含め) 相当丁寧な仕上がりに変わっています。すると残るのは設計概念だけですが、それは今現在でも相変わらず1960年代の設計を踏襲したまま敢えて製産をし続けているくらいですから、さすがにお国柄と言う事なのでしょう(笑)

↑「絞り値制御環」を組み込んだ状態で鏡筒内部を撮影しました。すると第1階層から第3階層まで制御系パーツが続き、最後の第4階層でここに後から光学系前群が入ってきます (グリーンの矢印)。

● 第1階層:絞り羽根とメクラカバー
● 第2階層:制御系パーツ
● 第3階層:絞り値制御環
● 第4階層:光学系前群

↑完成した鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を立てて撮影しました。写真上部が前玉側方向になります。するとヘリコイド (オス側) のネジ山には途中の両サイドに「直進キーガイド」という「」が用意されており、ここに「直進キー」と言う板状パーツが刺さってスライドする事で鏡筒を繰り出したり/格納したりをする原理ですね。連係アーム (グリーンの矢印) は絞り環との連係なので、この当時としては珍しくOLYMPUS製オールドレンズだけが前玉側に「絞り環を配置したままの従前設計」を採り続けています (他社光学メーカーは国内海外問わずマウント側に絞り環を配置していた)。

↑今度はひっくり返して後玉側方向を写真上にしています。すると「昇降式」の部位を解説しており、右横に並べて撮った「光学系第3群のガラスレンズ格納筒」が鏡筒の「昇降用スリットの中に入る」事で、この第3群だけが上下動している仕組みです (グリーンの矢印)。

その「昇降用スリット (切り欠き)」の落差は「僅か1mm程度」ですが、ここの設定を過去メンテナンス時の整備者がミスってしまったから「当初バラす前の実写確認で画が甘かった」と言えます。

例え廉価版の標準マクロレンズだとしても、一切の妥協をせずにこだわって描写性能を追求した「まさにその気概こそがこの昇降筒の採用」とも言い替えられ、ここの微調整をミスったら何の為に整備したのか分かりません(笑)

↑こんな感じで光学系後群側が組み込まれ、且つ「昇降キー」が飛び出てきて光学系第3群だけが別に「昇降筒内部で独自に直進動する」せっけいですね(笑)

↑鏡筒側がほぼ仕上がったのでここからはヘリコイド部分の工程に移ります。「内外のダブルヘリコイド式」なので上の写真のとおり内筒でヘリコイド (オスメス) と外筒でも同様ヘリコイド (オスメス) とに分かれて用意されています。

↑基台に外筒のヘリコイド (オスメス) をセットしてから、無限遠位置のアタリをつけた正しいポジションで内筒のヘリコイド (メス側) をネジ込みます。このモデルでは全部で15箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

もちろんそもそも基台側のヘリコイド外筒のセットが組付けをミスっていたら元も子もありません(笑)

↑いよいよ内筒のヘリコイド (オス側) にあたる鏡筒を、やはり無限遠位置のアタリをつけた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

要は「内外ダブルヘリコイド式」なので無限遠位置のアタリ付けは最低でも2回執ることになりますね(笑)

↑こんな感じで完成したヘリコイド部 (内外ダブルヘリコイド) をひっくり返して撮りました (後玉側方向)。

すると距離環を回すと「両サイドの直進キー」が刺さっている為に鏡筒だけが繰り出したり/格納したりの直進動を行い、それに合わせて「昇降キーが昇降ガイドを行ったり来たり」するので、その量と角度 (勾配/坂) に従い「光学系第3群だけが後群の格納筒の中でやはり行ったり来たりの直進動をしている」ワケであり、その時ブルーの矢印のように左右方向 (横方向) でも駆動するのでスリットが斜め状で切削されていた次第です。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に当方により「磨き研磨」を終わらせた状態で撮っています。当初バラした直後はこのマウント部内部にまで過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗られており、且つ経年劣化進行に伴い「濃いグレー状」に変質していました。一部にはサビも出ていたので除去してキレイに仕上げています。

↑取り外していた各構成パーツも同様「磨き研磨」を施し、本来製産時点の時のように滑らかな操作性で各部位が動くよう仕上げました。

↑完成したマウント部を基台にセットして「内外ダブルヘリコイド」と連係させつつ最終的に鏡筒へと接続します。

↑距離感を仮止めしてから光学系前群を組み込んで無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後に絞り環共々フィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。オーバーホール/修理ご依頼内容には入っていませんでしたが、当初バラす前よりもピント面の鋭さが改善されこのモデル本来の写り具合に戻りました。そしてもちろんマクロレンズですから撮影時のピント合わせでは「本当に軽く微動を繰り返す」操作なので、当然ながら「軽めのトルク感」に仕上げてあります。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体ですが、残念ながら第2群の凹側 (絞りユニット直前の側) のコーティング層が経年劣化進行に伴い極微かにクモリが生じています。おそらく過去メンテナンス時に鏡筒内部にグリースを塗布した影響と推定されます。

↑光学系後群側もカビ除去痕が数点ポツポツと残ってしまいました。「昇降筒」の光学系第3群の微調整も確実に施したので、このブログ最後のとおり大変鋭いピント面に至りました。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持したまま」閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い「粘性中程度軽め」を使い分けて塗布し距離環を回すトルク感は「完璧に全域に渡って均一」であり「軽め」の操作性として仕上げています。もちろん当方の特徴たる「ヌメヌメッとシットリ感のある感触」であり、本当に極僅かなチカラだけで微動できるのでマクロレンズ本来の操作性の良さをご堪能下さいませ。

↑絞り環操作は当初バラす前のチェック時点では極僅かにシッカリ目でしたが軽い操作性に変えています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離23cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f5.6」にセットして撮影しています。

↑さらに回してf値「f8」で撮りました。

↑f値は「f11」に上がっています。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。お詫び申し上げます・・。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。