◎ Carl Zeiss (カールツァイス) Skoparex 35mm/f3.4(M42)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツの
Carl Zeiss製広角レンズ・・・・、
 『Skoparex 35mm/f3.4 (M42)』です。


VOIGTLÄNDERモデルのほうは3年前に一度扱いましたが、このCarl Zeiss製モデルは今回が 初めてです。モデルバリエーションを跨いで今回の焦点距離35mm/f3.4モデルをカウント すると、今回の扱いが累計で7本目になります。

他に標準レンズの「凹ウルトロン」でチョ〜有名な標準レンズもありますし、VOIGTLÄNDERモデルのほうは「COLOR-ULTRON」銘で数多くモデルバリエーションが存在します。製造 メーカー/ブランド銘で捉えるとCarl Zeiss製にVOIGTLÄNDER製、最後にはRolleiモデル まで登場してきます。

従ってこの当時の製造メーカーの背景を知らないと、これらモデルがいったいどのように繋がっているのかが分かりません。まさにオールドレンズと言うのは、そう言う「当時の背景」まで考察しながら捉えていくと言う愉しみもあったりしますね(笑)

そして、今回のモデルも含めこれら一連のオールドレンズは全てがほぼ近似した「設計概念」で作られており「高難易度モデル」なので、まず以てシロウト整備でどうにかできるシロモノではありません。ましてや例え整備者だとしても「原理原則」を熟知している整備者でない 限り「全ての微調整を完璧に仕上げて組み上げる事は不可能」と明言できる構造なので、ハッキリ言ってこれらのモデルを「完全解体してから組み上げられる技術スキル」を有する整備者となれば、そう多くは存在しません。

おかげで、当方宛オーバーホール/修理でも「他の整備者が組み上げた (不具合がある) 個体」のご依頼が頻繁に承るので、扱い本数だけは相当な数になっていたりします(笑) 従って「他人の尻ぬぐい」をさせられるハメに陥り、過去メンテナンス時のごまかし整備を正すオーバー ホールが意外に多かったりするモデルとも言い替えられます(笑)

困った事に、どんなに数をこなして内部構造や構成パーツ、或いはそれらの微調整について 知り尽くしたとしても、残念ながら微調整が必要な部位の数は減らず、且つその微調整の内容 (難易度) も変わらないのが現実であり、なかなか一筋縄で組み上げられるモデルとは言い切れません。

しかしそれだけに、組み上がってベストな状態に仕上がったオールドレンズで撮影する時の「何とも言えない高揚感」に、その吐き出された「写真に対する新鮮な感動」は、何物にも 代え難い歓びであり、まさに現代に於けるストレス発散にも効果的なのではないでしょうか

オールドレンズにはそのような愉しみ方があり、且つ撮影や写真のみならず、毎日の仕事で疲れて帰宅した宵の中で、当時の時代背景にロマンを追いかけるのもまた別次元の楽しみを提供してくれます (酔いすぎるとカラダに良くないですが)(笑) さらにピッカピカに磨き上げられたオールドレンズの佇まいを、タダタダ眺めるだけでも所有欲を充たすには十分だったりしますから(笑)、これだけの様々な愉しみ方ができる何十年も前の工業製品と言うのは、なかなか 感慨深い趣のある製品ではないかと思いますね・・(笑)

それだけに、完全解体して組み上げていくオーバーホールでは、必ずしも納得できる完璧な 状態に組み上げられない事もあります。気が付けばその夜に寝ながら「夢の中で続きの作業」などと言う事もしょっちゅうで(笑)、驚くなかれその夢の中で「まるでスローモーションの 如く問題箇所が鮮明に浮かび上がり」何と納得できない要素を改善する手立てをその夢の中でパッと思い付いたりします!(笑)

翌朝起きてから、即座に作業の続きをすれば、まさに「おぉ〜ッ!」と問題箇所がウソのようにキレイサッパリ改善できたりしますから、本当にオモシロイものです(笑)

夢の中で誰かの「お達し」で知るのではなく、起きて作業している最中に「ちゃんと改善できる技術スキルがあれば」何も文句は無いのですがね・・世の中なかなか上手くいきません(笑)
(従って当方にとっては寝るのも仕事のうち!/いまだに24H闘っています!)

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【旧西ドイツZeiss Ikonを取り巻く背景】
1756年:オーストリアのウィーンでVOIGTLÄNDERが創業
1849年:戦前ドイツのブラウンシュヴァイクに本社/工場を移転
1889年:戦前ドイツでCarl Zeissを傘下にしたカールツァイス財団発足
1926年:戦前ドイツのDresdenでZeiss Ikonが発足
1932年:Zeiss Ikonがレンジファインダーカメラ「CONTAX I型」発売

ドイツ敗戦時に旧東西ドイツに分断される

1945年:旧西ドイツのシュトゥットガルトを本拠地としてZeiss Ikonが活動開始
1945年:旧東ドイツのドレスデンを本拠地のままZeiss IkonがCarl Zeiss Jenaに吸収
1956年:旧西ドイツでVOIGTLÄNDERとZeiss Ikonがカルテル提携
1969年:旧西ドイツでZeiss IkonがVOIGTLÄNDERを完全合弁化 (吸収合併)
1971年:旧西ドイツのZeiss Ikonがフィルムカメラ市場から撤退
1972年:旧西ドイツでZeiss Ikonがカメラ事業とVOIGTLÄNDERをRolleiに譲渡
1974年:旧西ドイツのCarl Zeissが日本のヤシカと提携し「CONTAX RTS」発売
1974年:旧西ドイツのRolleiが工場をブラウンシュヴァイクからシンガポール工場に移管
1981年:旧西ドイツのRolleiが倒産
1989年:「ベルリンの壁崩壊」事件勃発
1990年:東西ドイツ再統一によりCarl Zeiss JenaがZeissに吸収される

・・このような感じの年表で捉えると分かり易いかも知れません (赤色年代部分は製産工場の遷移)。従ってCarl ZeissVOIGTLÄNDER、さらにはRolleiとの関係が明確になり、その 時代の遷移と共にモデルバリエーションも変遷していくのが分かります。

確かに細かい内部構造の変化や蒸着されているコーティング層の相違など様々な要素が入り 乱れていますが、もとを正せば戦前ドイツで開発/設計された時の「設計概念/設計思想」を 連綿と受け継ぎ踏襲され続けていたワケで、戦前戦後或いは現代に限らずどのタイミングの モデルバリエーションだとしても「当初の息づかいが感じられる」ハズですね。それは当時の設計者の苦心かも知れませんし、メーカーとしての意地なのかも知れません。いえ、台頭し 敗れ去った憎き日本光学メーカーに対する憎悪かも知れません。或いは自らの人生を賭して 闘ったその栄光をよすがとして余生を送ったのかも知れません。

今ドキのデジタルなレンズには無い、このような要素を是非とも当時の時代背景などからも 考察する愉しみとしてご存分に味わって頂きたいものですね。

世界第2位の某国による突き上げが厳しい中(笑)、日本の「職人気質/匠の技」はまだまだ衰える事がありませんが、決してそれは日本光学メーカーだけの特権ではなく、模倣し素を探ったそれら戦前ドイツのオールドレンズ達に対する誉れをいつまでもシッカリと抱きつつ、その技術の継承に (場所を変えカタチを変えながらも) 努めているのだと考えています。

つまりは単に真似ただけではなく、その「本質を見極めたからこその進化/発展だった」ワケであり、先達の苦労や情熱、そして愛情を是非とも皆様も手にしたオールドレンズと共に共感して頂ければ、まさにオーバーホールした甲斐があったと言うモノです。

戦前ドイツで複数の光学メーカーが寄り集まって発足したカールツァイス財団が、戦後旧西ドイツでVOIGTLÄNDERを傘下に従えた後の1970年に発売した新シリーズ「ICAREX (イカレックス)」は、先見性の高いバヨネットマウント (スピゴット式バヨネットマウント) を採り入れ、重厚な品質の高級感溢れるモデルとなりました。
(右写真はICAREX 35S)

当方はフィルムカメラの事は疎いので詳しく分かりませんが(笑)、今回扱う広角レンズSkoparex 35mm/f3.4 (M42)』は、その後に登場した「ICAREX 35TM」発売タイミングで追加で用意されたネジ込み式マウントですが、独自専用マウントたる「ICAREXマウント」よりも汎用性が高い事からこちらの「M42マウント」のほうが断然人気が高いと言えます。 しかし生産数少なく、且つ一度手にすると手放さないので市場の出現率が異常に少ないタイプとも言えます。

このモデルの名称たる「Skoparex (スコパレックス)」の由来について、ネット上で分かり易く解説しているサイトが少ないので、ここでご案内します。今回扱うオールドレンズは広角レンズですが、もとを正せば1952年にVOIGTLÄNDERが発売したレンジファインダーカメラ「Vitessa III型 (ヴィテッサ)」用交換レンズ「COLOR-SKOPAR 50mm/f3.5」が系譜のスタート地点になります。

光学レンズが収納されるスプリング式レンジファインダーカメラですが、この時に開発された「COLOR-SKOPAR 50mm/f3.5」は3群 4枚のテッサー型構成でした (レンズ交換不可)。
(左写真は1954年当時のVOIGTLÄNDER製レンズ群の解説カタログ)

この後1953年に発売した「Vitessa L」では追加で「COLOR-SKOPAR 50mm/f2.8」が、さらに1957年には「Vitessa T」で
ついに光学レンズの交換が実現しました。このタイミングで「COLOR-SKOPARET 35mm/
f3.4
」が登場し、初めてこの「SKOPARシリーズ」に広角レンズが加わっています。

するとこの「SKOPAR」の由来ですが、VOIGTLÄNDERに於ける標準レンズ「テッサー型 光学系のシリーズ」を指して命名されていたのが「SKOPAR」であり、決して最初から広角 レンズ専用のモデル銘だったワケではありませんね(笑)

これらレンジファインダーカメラは戦前〜戦中を通して一眼レフ (フィルム) カメラの主流であって、バックフォーカスが短くて済むので標準レンズ域の光学設計でも延伸させて広角レンズ域まで対応できていました。しかし戦後になってクィックリターン式ミラーを実装した一眼 レフ (フィルム) カメラの登場により、バックフォーカスを稼ぐ (増大させる) 必要が生じてしまい、新たな広角レンズ域の専用光学設計の必要性が高まっていました。
(ミラー分だけ前にオールドレンズが装着/位置するので焦点を後方にズラす必要が発生)

つまり当初スタート時点での標準レンズとしてのポジショニングから、バックフォーカスを 稼いだ新たな広角レンズ専用設計として引き継がれていったのが「SKOPAR」の変遷であり、それを見落とすとオールドレンズのバリエーションが見えてきません。

ちなみに前述のとおりバックフォーカスを稼いだ本格的な広角レンズ域専用の光学設計は、1950年にフランスのP.Angenieux Parisが世界で初めて広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」を発売してようやく登場しています。逆に言えば1950年まで純粋な広角 レンズ専用の光学設計が存在しなかったとも言い替えられます。従ってこの時開発した広角 レンズ域専用の光学設計が「RETROFOCUS (レトロフォーカス)」であり商標登録されましたが、後に世界中で模倣された為に商標権にこだわらず放置していたようです。

RETROFOCUS」の「retro (レトロ)」は「後退」を意味し「focus (フォーカス/焦点)」なので、前述のレンジファインダーカメラ全盛時代に於けるバックフォーカスの短い光学設計から「バックフォーカスを延伸させて/伸ばしてクィックリターンミラーを実装したフィルム カメラに対応した光学設計」だと言えます。

従って焦点位置をズラす為に「基本成分の前にバックフォーカスを稼ぐ目的で第1群 (前玉)〜第2群を追加配置させている光学設計」が概念だと言えますね。

つまりレトロフォーカスは古めかしいレトロの意ではなく、ピント面は決して甘くなくちゃんと鋭く解像するので認識を違えると好ましくない

当初「COLOR-SKOPAR 50mm/f3.5」が登場した時の光学系が3群 4枚のテッサー型で、右図は当時のカタログからトレースした構成図 です。

この時のマウントはスプリング式レンジファインダーカメラだったので「Deckelマウント (デッケル)」が主流です。

その後1953年に登場した「SKOPARON 35mm/f3.5」は基本成分である従前の3群4枚テッサー型構成 ( 部分) 前方にバックフォーカスを稼ぐ意味から、第1群 (前玉) を1枚追加で配置しただけのシンプルな レトロフォーカス型設計です。

基本成分がテッサーなのでピント面は決して甘くなく相応に鋭さを持ちます

そして今回扱う5群6枚のより本格的に諸収差の改善や解像度向上を 狙って再設計されたレトロフォーカス型構成が右図であり、1957年の登場です。収差改善の為にテッサー型成分直前に「凸メニスカス」を 1枚追加しています。

するとここまでの解説で伝えたかった事があります。それは3群4枚の テッサー型構成を基本成分としながらも、直前に1枚だけ大口径の前玉を配置しただけの設計である「Deckelマウント時代のスコパー」は、実写をチェックすると ピント面に強調があり、且つ発色性が鮮やかなほうに偏りすぎるので下手すると違和感を感じる写真に堕ちたりします。それもそのハズで当時は白黒写真しか存在しなかったので、カラー成分について対処し切れていなかった事が窺えます。

要は世界初の広角レンズを設計したフランスのP.Angenieux Parisが抱えていた諸問題がそのまま具現化したままの広角レンズだったのが、この頃のスコパーであり、今回扱うモデルと その描写性について一緒くたにすると何も見えてきません。

このように光学系の構成図の変遷もある程度踏まえて考察していくと、モデルバリエーションの中でのポジショニングがより具体的に把握できるのではないでしょうか。実際今回のモデルの実写を調べてみると、決してギラギラではなく、違和感を感じるまでに鮮やかすぎでもなく
どちらかと言うと「被写体を自然にナチュラルに」的な少々大人しめの発色性に見えますが、実際はこの当時の旧西ドイツ製オールドレンズにある程度共通項目としてみられる「シアンに振れるカラー成分の偏り」が顕著なので、このような写り方に落ち着くのだと考えています。




上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻してエッジが滲んで溶けていく様をピックアップしています。但しシャボン玉ボケと言ってもそれほど本格的にエッジが表出しているワケではなく、どちらかと言うと玉ボケに近い印象です。しかしピント面からアウトフォーカス部に移る際 (きわ) が違和感なく自然に溶けていくので、とても滑らかに感じる写真を残せます。

二段目
さらに背景ボケとして収差の影響がふんだんに残ってしまった実写を敢えてピックアップしました。これを「背景の効果」としてむしろ使ってしまい逆に被写体のインパクトを強調する手法もありですね。決して背景が煩くざわつかないので、やはりアウトフォーカス部の滲み方が素直なのではないでしょうか。また一番右端のカーネーションの赤色を見ると、決して鮮やかだけではないシックな表現性です。

三段目
一番左端のこのカラーリングがなかなか難しくて一般的なオールドレンズですぐに出せません。たいていの場合空の青さが鮮やかに写ってしまい「このビミョ〜にアンバーに振れた青色表現ができない」と言えます。それは前に広がる畑の「本当のアンバー色」の発色性との対比で空の青色を捉えてみると、これがどんだけ難しいのかが分かると思います。VOIGTLÄNDER製オールドレンズにある意味共通的に感じる発色性の特徴ではないでしょうか (これがDeckelマウントになると少々違和感に堕ちる場合があります)。

グリーンの発色性も決して鮮やか一辺倒ではなくちゃんと質感を持ち合わせた色合いで表現してくれます。また特に右側2枚の写真についてこのモデルの特筆に値する実写だと感じています

つまり『光りモノ』に対する表現性が素晴らしいレベルではないかと受け取っています。右から2枚目の路地写真は「石畳の雨で濡れている感じ」の何とも生々しい表現性。なかなかこのようにリアルで湿度まで (湿気まで) 感じてきそうな写真をちゃんと残せるオールドレンズと言うのは、そう多くないと思います。それは次の右端でもちゃんと現れており、一見するとパッと見で冷たい印象に固まりそうな実写ですが、然し真っ白なボートの「真っ白さ」が違和感なく表現できているだけでなく、何度も何度も重ね塗りされてきたペンキの具合まで見てとれます。さらに背景の「光で輝いている湖面」との対比が何とも素晴らしい印象の写真に仕上がっています。単なる冷たさだけではなく、このように「静寂感」まで写し込めると言うのに感心してしまいました(笑)

これは他の実写でも見てとれたので、このモデルは「光りモノ」得意なオールドレンズだと 考えました。ガラス越しの撮影や金属質な被写体、或いは特に誇張的に明部が入り込んでいる写真でコントラスト差が激しい場合など、シッカリ写し込めているように思います。雨の日 にはこの逸本ですね!(笑)

素晴らしい・・! これを開放f値「f3.4」でもちゃんと追求できているところがむしろ欲張 らずに設計した分メリットとして功を奏しているのでしょうか。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。一部構成パーツにアルミ合金材がありますが、ほぼ中心的に真鍮 (黄鋼) 製を多用した設計ですから、仕上がったオールドレンズはズッシリと重みを感じます。内部構造も使われている構成パーツも、共に他のモデル同様近似した同じ設計概念で作られています。

しかしハッキリ言って「高難易度モデル」である事は変わりないので、シロウト整備に手を出すと以前もいらっしゃいましたが、バラしたはいいが組み立てられなくなったと言う結末だったりします(笑)

今回の個体で言えば、当初バラす前のチェックで「光学系内に極薄いクモリ」が光に翳して何とか視認できる程度のレベルでした。然しバラしてみると何の事はなく、過去メンテナンス時に何度も重ね塗りされてしまった「締付環の黒色反射防止塗料」の成分がコーティング層に本当に薄く附着していたのです。

たいてい光に翳して光学系内を覗いた時に「本当に薄〜く極僅かに曇っているかな?」程度になっている事がけっこう多いのですが、その因果関係は「オールドレンズ内部の揮発油成分」だったり「黒色反射防止塗料の成分」或いは下手すれば「コーティング層の経年劣化」かも知れません。

コーティング層の経年劣化」だけは清掃ではどうにも改善しないので諦めるしかありません。今回の個体は「インク成分の附着」であり、もっと言えば光学系第3群の「締付環」が真っ黒に何度も塗られていた為に、最後まで締め付けられておらず (経年で固形化した塗料の厚みで) 光路長がズレていたので、当初バラす前の実写チェック時に「僅かに甘いピント面」でした。

この「黒色反射防止塗料」を塗ったくるのは、過去メンテナンス時の整備者の常ですが(笑)、あくまでも「自己満足大会」でしかなく、そもそも製産時点にメッキ塗装していない箇所に、どうしてそこまでこだわって「真っ黒」にしたいのでしょうか。

おそらく「光学系内の内面反射防止」のつもりなのでしょうが、そのせいでインク成分がコーティング層に付着して「コントラスト低下/解像度不足」に至っているほうが、当方はより 問題が大きいと考えるのですが間違っているでしょうかね(笑) 少なくとも製産時点で確保されていた描写性能が発揮できないほうが問題ではないでしょうか。

まぁ〜、信用/信頼が皆無な当方がこだわっている部分なので無視して下さいませ(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が別に存在し独立しています。この鏡筒はアルミ合金材ですが、ご覧のように「ギンギラギンのシルバ〜」です(笑) どうして過去メンテナンス者は「光学系の締付環はこだわって真っ黒にする」のにこの鏡筒内壁のギンギラギンは放置プレイだったのでしょうか?(笑) 何だかやっていることと言っている事 (考え) が一致していないようにも感じます(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑この「ICAREXシリーズ」のオールドレンズを持つと「中で音が聞こえる」のですが「ツルツル」みたいな音が聞こえてきます。それは上の写真ベアリングが移動している時の音なので、決して異常ではありません(笑)

このベアリングの使い方には「全周を隙間無く埋め尽くす」場合と「ある程度埋め尽くすだけで良い」場合の2つがあります。これはその2つを相互に違えてしまうとちゃんと動いてくれません。

つまり「隙間無くは隙間無く」であり「隙間OKならそれでも良い」なので、このモデルでベアリングが仮に欠品して減っていたとしても特に問題になりません (正しくは全部で32個セットされているのが製産時点)。

今回はベアリングを全てバラしてチェックし「赤サビが生じていないか」確認しました (赤サビ無し)。

実は後の工程で出てきますが、非常に線径の細いスプリングで絞り羽根の開閉制御が行われるので、このモデルで「絞りユニットに抵抗があったらアウト」だからです。無抵抗でいつまでもクルクルと回ってくれなければダメですね(笑)

↑完成した「開閉環」を使って鏡筒最深部に絞りユニットをセットします (ベアリングを使っているのが開閉環)。そのコトバのとおり「開閉環」なので「駆動している/回っている環 (リング/輪っか)」ですね。まずはこれを一つ覚えておいてください。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真下側が前玉方向です (つまり後玉側方向から撮影している)。すると鏡筒サイドに「開閉キー」と「制御爪」の2つのパーツが飛び出てきます (上の写真ではまた開閉キーが未セット)。

問題なのはその反対側にある「制御爪」です。これは絞りユニット内の「位置決め環」と言う絞り羽根が刺さる先の環 (リング/輪っか) から飛び出ている「」であり、まさにそのコトバどおり「絞り羽根の開閉角度を制御している爪」です。

するとここがこのモデルでの最初の難関なのですが「位置決め環も開閉環も両方とも動いてしまう」ので、いったいどの位置で絞り羽根を固定すれば良いのかの判定が必要になります。

普通一般的なオールドレンズでは「位置決め環側は固定」であり、絞り羽根が刺さる箇所は 1箇所と決まっています (たいていはキーが刺さる穴が空いているだけ)。ところがこのモデルは両方とも回るので、特にこの「制御爪」が何処に居る時に「開放」で、何処に来たら「最小絞り値」なのかのアタリ付けが必須です。

ここのアタリ付け (つまりは微調整) をミスると、最後組み上がってから絞り羽根を閉じていった時に「閉じすぎたり完全開放しなかったりする」不具合に至ります。

↑ズッシリと重みを感じる真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (オス側) を鏡筒にセットします。ここでようやく「開閉キー」の棒状パーツが刺さりました。

ここではヘリコイド (オス側) のネジ山数が意外にも少なめである点を覚えていてください。

↑距離環やマウント部が組み付けられる基台です。距離環用のネジ山として非常に細かなネジ山が用意されていますから、このモデルでトルクを軽く仕上げたければここを何とかクリア しなければダメですね(笑)

↑アルミ合金材のヘリコイド (メス側) を無限遠位置の当たりを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ませんし (合焦しません)、もっと言うならヘリコイド (メス側) をどんどん回していくと最後は基台を貫通して脱落してしまいます。

つまりは何処で停止させるのが「無限遠位置なのか」の判定が必須であり、これが多くの方々で組み上げられない最初の因果関係になっています。例えばヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置をミスると「距離環が∞まで回らない」などと言う話になりますね(笑)

↑こんな感じで鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で15箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑絞り環により前述の「制御爪」が連係して設定絞り値が伝達されるようになります (だから 連係アームが存在する)。また「直進キーガイド」が鏡筒側面に備わり、そこを「直進キー」がスライドするので「鏡筒が繰り出されたり収納したりする」仕組みですね。

と言う事は、この「直進キーガイド」が滑らかでないと距離環を回した時のトルクが重くなったりします。

逆に言えば、距離環を回してピント合わせしている時と言うのは「ヘリコイド (オスメス) のネジ山」だけではなく、もちろん塗布したヘリコイドグリースの種別や粘性も重要な要素の一つですが、それだけでトルク感が定まる話には決してなりません。他にも「絞り環と連係アームからの抵抗/負荷/摩擦」がそっくりそのまま距離環に伝達されますし、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピンからの機構部のチカラ」も距離環を回す際のトルク感に影響を与えています。

そして前述のとおりそもそも距離環が回る時のネジ山が細かいのだとすれば、自ずとそれだけでもトルク感がどんどん重くなっていきますから、いったい何処でどのようにトルクを軽くしていくのかの作戦が必要になってきます。

それが当方で言うところの「構造検討」だったりしますね(笑) 単純に内部構造を知るだけで済みません。必ず「組み立て工程の手順」考察が必要ですし、もっと言えばその際の「微調整の内容と程度」にも考えを及ばせる必要があります。

↑こちらはアルミ合金材でできたマウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。

↑取り外していた各構成パーツも個別に「磨き研磨」を施し組み付けます。ほとんどこのモデルのすべての操作性がこのマウント部内部の各構成パーツ微調整だけで決まってしまいます。

ここをスムーズに駆動するよう仕上げない限り、距離環を回すトルク感まで重くなってしまいます。

マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その押し込まれた量の分だけ「カム」が動きます (ブルーの矢印②)。その「カム」によって「伝達アーム」が動いて (ブルーの矢印③) 先端部に用意されている「操作棒」が勢い良く振られます
(ブルーの矢印④)。

この最後に動く「操作棒」に「三角板」と言うパーツが連結して、結果的に絞り羽根が瞬時に設定絞り値まで閉じる仕組みなのです。

要はマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれたそのチカラを最後の「操作棒」の駆動にまで伝達して、且つチカラを最大限に大きくする役目がこのマウント部内部の各構成パーツの任務です。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑同様、マウント部を横方向から撮影しました。マウント面から「絞り連動ピン」が飛び出ているのが分かります。「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) その押し込まれた時のチカラで「カムが押し上げられ ()」カムのカタチが「自動的にチカラを増大させるカタチ」になっていて「伝達アームを勢い良く動かす」ワケです (ブルーの矢印②)。するとその 先端部分に配置されている「操作棒」が勢い良く振られるので () 絞り羽根があたかも瞬時に閉じているように見えるのですね。

さらにこれら稼動部の微調整がちゃんと考えられており、マウント部の側面にはグリーンの矢印で指し示した「微調整用締付ネジ (4本)」が存在します。この締付ネジには微調整として「約7mm程度の隙間/マチ」が用意されており、締め付け位置を微動させる事で各構成パーツの動き方を細かく微調整できる設計です。

ところがその「締付ネジ」をほんの僅か動かしただけで、最終的に下手すれば距離環を回す時のトルク感まで重くなったり/軽くなったり変化します。せっかく距離環を回すトルクが「軽め」に微調整できたとしても、その代わりに絞り羽根が設定絞り値まで閉じない「絞り羽根の開閉異常」が発生しては、本末転倒ですね(笑)

従ってこの締付ネジをどのように微調整したら、どのように何処のパーツの動きが変化するのか、或いは最終的にどのような操作性の変化が起きるのか「原理原則」を熟知していなければ、そもそも4箇所もある締付ネジの微調整などできません(笑)

もっと端的に言うなら、締付ネジの微調整をミスっただけで上の写真のマウント部は基台にセットできません(笑)

↑実際にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると、上の写真のように「右側に垂直状に立っていた操作棒が勢い良く左方向に傾く/振られる (ブルーの矢印)」ので、絞り羽根が瞬時に設定絞り値までシャコッと閉じるワケです。

↑そしてその「操作棒」が掴んで決して離さないモノが「上の写真真鍮 (黄鋼) 製の三角板」なのです。ここの穴に「操作棒」が刺さってこの「真鍮 (黄鋼) 製三角板」を勢い良く引っぱると「開閉キーが操作されて絞り羽根が勢い良く瞬時に設定絞り値まで閉じる (ブルーの矢印)」仕組みです。さらにマウント面から飛び出ている「絞り連動ピンの押し込みが解除されると」今度はスプリングのチカラでこれまた瞬時にアッと言う間に「開閉キーが元の完全開放状態に復帰する」設計です。

如何ですか?(笑)

従ってこの「スプリングと三角板を介在させた絞り羽根の開閉制御概念」を実現する目的で、このオーバーホール冒頭でお話した「開閉環も制御環も両方とも一緒に動いてしまう構造」が必要だったワケで、必ず設計者の意図がそこに隠されているワケです

つまりは冒頭の工程で「ベアリングをバラしてまで無抵抗をチェックした開閉環の操作性」は、全てがこの「スプリングによって常に絞り羽根を開こうとするチカラ」が及んだままなのに対して、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」と共に「操作棒」の動きによって「絞り羽根を閉じるチカラ」とのバランスの中で制御が成り立っている仕組みです。

確かに信用/信頼が高いヤフオク! の出品者など数多くの方々が仰るとおり、この当時の単焦点のオールドレンズは簡素な構造なので容易に整備メンテナンスができるのでしょうが、はたしてこれだけの微調整を「簡単に仕上げられる整備者」と言うのは、いったいどれだけ存在するのでしょうか?

↑いつもこのモデルのシリーズのオーバーホール工程で明記していますが完成したマウント部を最後基台に被せる時、最大で8つの微調整が全て完結している事が前提条件になります。
マウント部の側面にある「締付ネジ」をグリーンの矢印の指し示していますが、反対側にも2本あります (合計4本)。

さらにこのマウント部を締め付け固定する締付ネジも4本あり、要はマウント部内部の各構成パーツの微調整が「締付ネジ4本」で必要ですが、一方その仕上がったマウント部を固定する「締付ネジ (4本)」は「微調整が一切できない」点が「高難易度」に至っている理由です。

考えればすぐに分かります・・(笑)

何故なら、マウント部がガチャガチャ動いたらダメですョね?(笑)

マウント部はしっかり完全に締め付け固定されなければイケマセン (たま〜に完全に締め付けられていなくてガタつきが発生している個体があるが)。

微調整が必要な締付ネジが4本もあるのに、一方固定する締付ネジは「微調整などあり得ない」ワケで、至極当然な話です(笑)だから8箇所全ての微調整が完璧に仕上がっていなければ「マウント部を基台に締め付け固定できない」と言っているのです。

この後はフィルムカメラにこのオールドレンズを装着した時に「カメラボディ側に設定絞り値を伝達する機構部」を組み込んでから、光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。そもそもこのモデル「ICAREXデザインのM42マウント仕様」のSkoparex 35mm/f3.4 (M42)』が市場に出回る率自体が極端に少ないです。さらにその個体を完璧なオーバーホールが終わっている状態で手に入れられるとなれば、このような機会はまず滅多に無いのではないでしょぅか・・是非ともご検討下さいませ。

少なくとも海外オークションebayで流通している固体の場合、問題となる光学系内のクモリの正体が不明なままなので、現在の流通価格帯を見ると凡そ2万円台〜3万円台で推移しているので、はたしてそれだけの冒険ができるか否か問われますね(笑)

↑当初バラす前のチェック時点で光に翳した時に「非常に薄いクモリ」が光学系内にあったのは「全て完璧に除去済」であり、もちろんLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。歯が浮くような言い回しですが(笑)、スカッとクリアとも言い替えられます。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑今までに扱った個体の中にはこの光学系後群側にクモリが発生していた個体が何本もあります。それもそのハズで光学系の基本成分が3群4枚のテッサー型構成となれば、光学系後群側は2枚の光学硝子を貼り合わせた「貼り合わせレンズ」ですョね?

すると必然的に「バルサム切れ」の懸念が高くなってくるので手に入れる際は十分チェックする必要があります。このように光学系の構成を知る事は、単なる知識だけの話ではなく、具体的に入手時の「チェック項目」をも反映できると言えるのではないでしょうか?

貼り合わせレンズ
1枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤/バルサムを使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

バルサム切れは光学系の清掃では一切改善できず、貼り合わせた光学硝子を一旦剥がしてから再接着しない限りスカッとクリアには戻りません。特に光学系後群側となれば、極僅かなクモリだけでもコントラスト低下を招き、当然ながら解像度不足も生じますから写真撮影には致命的ですね。

ヤフオク! の出品を見ているとよく「僅かな塵の購入と微かなクモリにバルサム切れだけで他には何もありません」と如何にも光学系なの状態が写真撮影に全く影響しないかのように表現している出品者が居ますが、こんなのはまやかしで「バルサム切れは致命的」ですから、その箇所が問題になってきます。バルサム切れが外周附近に少しだけ発生しているなら問題ありませんが、半分くらいの領域でバルサム切れしていたらアウトですね(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:8点
後群内:16点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
(絞り環はスカスカにならないようワザとトルクを与えています)

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑冒頭でご案内したとおり、このモデルをここまでキッチリと完璧な操作性に仕上げて組み上げられる整備者と言うのは、それほど多く居ません。既に当方がヤフオク! にオーバーホール済で出品したオールドレンズをご落札頂いた経験がある方々はよくご存知ですが、明言できてしまうほどに確かな仕上がりに至っています。

↑鏡胴の横に「プレビューレバー」が用意されていて、操作する事で撮影前に絞り具合をチェックできるようになっています。今ドキのデジタルな環境でデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着される場合は、K&F CONCEPT製マウントアダプタ (中国製) がお勧めです。

特にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を有するM42マウントの場合、その絞り連動ピンの押し込み状況によっては絞り羽根が正しく機能しない事があります。原因は「強制的に絞り連動ピンを押し込むピン押し底面の深さが適合していないから」なのですが、指示用で唯一このK&F CONCEPT製のみ「ピン押し底面の深さを変更できる」設計です。

サイドに用意してあるトルクスネジ (3本) を緩める事でマウント部のネジ部だけが外れますから、その下にセットされている「ピン押し底面の環/リング/輪っか」を表裏入れ替えるだけで「約0.5mm程度の絞り連動ピン押し込み量を増減できる」設計です。

従ってもしも最小絞り値まで絞り羽根が閉じない場合は「ピン押し底面の表裏入替」だけで適切に絞り羽根開閉が実現できます。一般的なマウントアダプタは「ピン押し底面の深さが固定」なので、絞り羽根開閉異常が発生した場合対処方法がありません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

なお最後になりましたが、このモデルのフィルター枠は一般的なネジ込み式ではないバヨネットタブなので、純正フィルター枠「B50-52」で⌀52mm径のネジ込み式に変換可能ですが、純正品なので滅多に手に入りません。

従って少々荒い対処方法ですが「⌀50→⌀52のステップアップリング」を手に入れて、ネジ部のネジ山を少しだけ研磨すれば (爪切りなどのヤスリ部分で研磨/ヤスリがあればベスト)、そのままフィルター枠のバヨネット部に填め込みできます。
(完全固定するワケではない/ネジ込んでも効いているワケではない)。

フィルターを装着したりフードを取り付ける程度なら十分代用できると思います。左写真はクリックすると別ページでアマゾンのページ (Pixco製品) が表出されます。

↑前述のマウントアダプタに関する問い合わせがすぐに来たので(笑)、ここで解説します。現在も市場流通しているK&F CONCEPT製「M42→SONY Eマウントアダプタ」です。

一部に旧型製品が流通しているので要注意です。オールドレンズ側のマウント面にご覧のような突出があるタイプが新型 (と言うか現行品) です。マウントアダプタのサイドに3箇所「六角ネジ」が入っている
ので、安いレンチセットでも良いので(笑)「六角レンチ (ビット) 1.5mm」を使います。

特にこだわる必要はありませんが(笑)、安いので十分です。同様左写真をクリックすると別 ページで表出します。

↑こんな感じで3本を緩めていきます。全部外してしまうとまたネジ込むのが面倒なので(笑)、ある程度ゆるめだけにします。

↑すると真鍮 (黄鋼) 製の「M42マウントのネジ部 (環/リング/輪っか)」とプラスティック製の「ピン押し底面」がさらにその下に挟まっています。

後でオールドレンズをネジ込んだ時にちゃんと真上に来るかどうかが不安なので(笑)、できたらマーキングなどして合わせられるようにしておくと安心です。

↑このプラスティック製の「ピン押し底面」は両面使いで「片面は平坦」ですが「片面は凹み」になっています。この凹み部分が「約0.5mm」程度の窪みになっているので、もしもそちらが当初の状態でセットされていれば「平坦な方に入れ替えるだけで0.5mm分深さが減る」話になり、たいていの場合それだけで「絞り羽根開閉異常」が改善できます。特に最小絞り値まで閉じずに途中で停止していた場合は、おそらく「ピン押し底面の深さが適合していない」問題だと思います。

また逆にM42マウントのオールドレンズをネジ込んでいく時にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が当たってネジ込みにくい場合は、逆に凹んでいる面に入れ替えれば良いですね。

これは確かにM42マウント規格なのですが、そうは言っても何を以てして「M42マウント規格」と捉えるのかが、特に昨今のマウントアダプタ製産会社の勝手だからです。さらに当時の「M42マウント規格」さえも自社のフィルムカメラに都合の良いように相応に変更していたりするので、なかなか一筋縄で済みません。

従って確かに最も汎用的なネジ込み式マウント規格なのですが、それだけに「相性問題が顕在するリスクの覚悟」も使うユーザーサイドには必須です。前述の話で言えば、マウント部内部で「絞り連動ピンが必要以上に押し込まれた時のチカラを逃がせない設計」の自動絞り方式を採用したオールドレンズが実際に数多く存在するので、このような「ピン押し底面の深さが浅すぎる」と言う逆パターンの不具合に巻き込まれるワケです。

要は「原理原則」と「観察と考察」との鬩ぎ合いですね・・(笑)

↑こんな感じでM42マウントのオールドレンズネジ込んだ時にちゃんと指標位置が真上に来るよう「マーキング」してしまえばマーキング同士を合致させるだけでいつでも「ピン押し底面の表裏を入れ替えできる最高のマウントアダプタが完成」します!(笑)

なお、当方は中国のK&F CONCEPTと何ら関わりありませんので変な冷やかしなどのメールを送信するのはご勘弁下さいませ。純粋に絞り羽根の開閉異常に対処する方法の一つとしてご案内しているに過ぎません。ちなみに当方でメインで使っているマウントアダプタは、このK&F CONCEPT製マウントアダプタになります (新旧両方所有)。もちろん日本製の超有名処のマウントアダプタもあります(笑)

何で当方がいちいちこのような「絞り羽根開閉異常の対処方法」まで掲示しなければイケナイのかよく分かりませんが(笑)、意外とこれで助かっている人が居たりするのでご案内しただけです(笑)

こうやってご落札者様の気持ちになって事前にいろいろご案内しているつもりですが、昨今は誹謗中傷メールが着信したりするので(涙)、早く政府の法案が施行しないか待ち遠しいですね(笑) 今回出品したこの個体も、当方が整備したオールドレンズを過去にご落札頂いた方の手に渡るのが安心です。新規の方は当方などよりももっともっと信用/信頼が高い出品者がヤフオク! には大勢いらっしゃいますから、そちらから手に入れられるのが安心かと思います (この 出品個体はスル〜して頂くのがよろしいかと思います)

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に変わっています。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。如何ですか? この最小絞り値でも「回折現象」の影響を微塵も感じませんから、相当な光学系のポテンシャルではないかと評価しています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。