◎ LEITZ WETZLAR (ライカ) SUMMILUX 50mm/f1.4《前期型》(LM)

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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方での扱いが初めてのモデルでしたので、当方の記録としての意味合いもあり無料で掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。

LEICA/LEITZ製オールドレンズに関しては「お問い合わせフォーム」告知のとおり基本的に取り扱いを見合わせていますが「オーバーホール/修理承りの注意事項」をご納得頂ける場合のみお受けすることがあります・・今回は当方に対して一切を免責頂けるとの条件でオーバーホール/修理をお受けしました。その意味では隠れ整備をしている状況です(笑)

この3日間ず〜ッとライカのオールドレンズをオーバーホールしていますが、基本的に当方は (個人レベルで) 資金が無いのでライカのオールドレンズなどは高額すぎて高嶺の花です。その中にあって、このようにオーバーホール/修理をご依頼頂くのは誠に光栄であり、同時に希有なまたとないチャンスでもあり本当に感謝しております・・ありがとう御座います!

たまたま、昨日別の方から問い合わせを頂きました・・過去にオーバーホール/修理の実績がない初めてのオールドレンズも解体して組み立てているのは何処からサービスマニュアルを入手しているのですか?・・というような内容のお問い合わせでした。基本的に「教えてください」「知ってますか」などのお問い合わせは御遠慮頂いているのですが、せっかくなのでここで話ます。

確かにサービスマニュアル (内部構造と構成パーツを逐一明示して組み立て手順を解説している製造メーカーのマニュアル) があれば本当に楽にメンテナンスができるのですが当方はオーバーホールを始めて、まだ駆けだし7年足らずの修行中の身の上です。たいていのプロのカメラ店様や修理専門会社様にいらっしゃる職人の方々 (匠) は、おそらくフィルムカメラやレンズなどの業界に長く在籍していた方々ばかりだと思いますが、当方は全くの畑違いからのスタートです(笑) 当然ながらそれら「匠」の足元には及ばず、近づくことさえ憚られる思いです・・まさしく参勤交代の大名行列に平伏している一介の町人の気持ちでしょうか(笑)

初めてのオールドレンズだろうが何だろうが、すべては「原理原則」に則り「観察と考察」の責め苦の中でのたうち回っている次第ですが、基本的に「人間の手で組み立てられた製品である以上、バラしても再び組み上げられる」をモットーに「どうしてこのカタチのパーツなのか?」「どうしてここに配置しているのか?」等々構成パーツのひとつひとつからネジ1本に至るまで、納得ずくでバラしていくことが肝要です・・それは同時に「組み立て手順」を頭の中で思い描いているワケであり、残念ながらサービスマニュアルは存在せず、すべては「己の頭の中」と言うのが唯一の答えです (スミマセン)。

話が反れましたが、今回オーバーホール/修理を承ったモデルは1959年にLEITZから発売された『SUMMILUX 50mm/f1.4《前期型》(LM)』になります。ライカ製オールドレンズについては当方はシロウトレベル以下の無知なので、専門のサイトに解説は譲りますが相当なモデルバリエーションが存在しているようです。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

初期型:1959年発売
光学系:5群7枚初期型構成
ローレット (滑り止め) :山部分の「逆ローレット」
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

前期型:1959年〜1961年
光学系:5群7枚初期型構成
ローレット (滑り止め) :谷部分
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

中期型-Ⅰ:1961年〜1968年
光学系:5群7枚再設計仕様
ローレット (滑り止め) :谷部分
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

中期型-Ⅱ:1969年〜1991年
光学系:5群7枚再設計仕様
ローレット (滑り止め) :リブ
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー / ブラック

後期型-Ⅰ:1992年〜2004年
光学系:5群7枚再設計仕様
ローレット (滑り止め) :リブ
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー / ブラック

後期型-Ⅱ:2004年〜現在
光学系:5群8枚再設計ASPH
ローレット (滑り止め) :リブ
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー / ブラック

 

・・こんな感じですが、勉強も兼ねてまとめてみました(笑) 何しろ詳しく知りません・・この中で「初期型」の「逆ローレット」とは次の写真になります。

今回オーバーホール/修理の個体は「前期型」ですが、光学系は5群7枚の拡張ダブルガウス型で「初期型」と同じ構成を採っています。僅か2年足らずで光学系が見直されてしまいました。

その後登場した「中期型-Ⅰ」以降は1961年から2004年までの43年間と言う長い期間、同じ光学系を採用し続けています (左図)。現在生産されているモデルは非球面硝子レンズを採り入れて光学系後群にフローティング機構を採用した新設計で「Aspherical (ASPH)」タイプなので、また異なる光学系の構成に変わっています。

↑上の写真 (2枚) は、1枚目が当初バラした直後の清掃をする前に撮った写真で、2枚目は当方による「磨き研磨」が終わった状態を撮って比較しています。

当初バラす前のチェックでは距離環を回す際のトルク感に経年のグリース切れの症状を確認しました (スカスカの状態が進行していました)。バラしたところヘリコイドには「白色系グリース」が過去のメンテナンス時に塗られていましたが、その後にスプレー式潤滑油 (国内で有名処の呉工業 CRC5-56ではありません) が数年内に注入されていました。どうして「スプレー式潤滑油」だと分かるのかと言うと、上の写真1枚目の向かって右側のマウント部内部 (内壁) の状態で判断できるのです。上の写真では少々分かりにくいですが、この個体が横向きの方向で長い期間置かれたままになっていたことが分かります・・ある領域に液体状にタプタプと溜まっていた痕 (波打っている) が残っているからです。しかも、その領域にはサビが発生しているワケですからグリースなどの経年に拠る揮発油成分などと言う生易しいレベルではなく「完全な液体」だったハズです。逆に言うと液体だったが為にサビが生じてしまったと言えます。マウント部は真鍮製ですからサビには僅かな緑色が混じっており「緑青」であることが見て取れます。

逆に写真左側は鏡筒 (絞り環用ベース環を含む) なのですが、材質はアルミ材削り出しのパーツです。従って、アルミ材なので白サビが発生しています (濃い白色はグリースの固着したモノで薄い白色がサビ部分)。

このような内部の状況は、なかなかオールドレンズを手に取って操作しただけでは想像ができませんが、潤滑油を注入してしまったのだとすると後1〜2年でヘリコイドが固着してしまいヘタすれば製品寿命を迎えるところだったと推測できます。

2枚目の写真は当方による「磨き研磨」が終わっている状態を撮っていますが、通常の「磨き研磨」工程ではサビが充分に落ちず、2倍の時間をかけて処置した次第です。

↑上の写真 (2枚) は、鏡筒をさらにバラした状態を撮っており、前出の写真同様1枚目がバラした直後の清掃前で、2枚目が「磨き研磨」後になります。結局、過去のメンテナンスではサビを除去していないのでグリースを塗ったくって絞り環の操作性を確保していたようです (その結果、さらにサビが増えています)・・いわゆる当方が「グリースに頼った整備」と呼んでいる所為ですね。

ライカ製オールドレンズに装備している絞り羽根は、とても肉厚のあるシッカリした造りなので、そう簡単にはキー (絞り羽根の表裏に1本ずつ打ち込まれている金属製の突起棒) が脱落して絞り羽根がバラけてしまうことには至りませんが、そうは言ってもワザワザ絞りユニットを円形ばねを使って押さえつける拘りをもった設計ですから、絞り環 (或いは絞り環用のベース環) に必要以上の抵抗 (負荷) が掛かり過ぎるのは絞り羽根の破損に繋がります。実際、今回の個体の絞り羽根は既に過去に生じていた油染みが乾いていて「まるで貼って剥がせる付箋紙」の粘着剤のようなベタベタ感が1枚1枚にありました・・こう言うのは、ちょっと怖い状況ですね。

最近、ヤフオク! などを見ていても「オーバーホール済」「OH済」「整備済」による出品が増えてきている傾向で良いことだと思います。が、しかし、出品ページの写真や内容を読んでみると「オーバーホール」とは名ばかりで完全解体していない整備を指して「オーバーホール」と明示していることが多いように思います・・その意味では「整備」レベルに留まり、いわゆる高値落札を狙った宣伝文句の類にしか見えません。当方の考えではネジやベアリングに至るまでの「最小単位まで解体」をしていない整備はオーバーホールとは考えていません (当方のオーバーホールの定義から)。当然ながらオーバーホールすれば様々な箇所の調整が必要になるワケで、相応なスキルを有する作業になります (従って当方は、まだまだ修行中の身の上なのです)。

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ここからはオーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。このモデルは鏡胴が「前部」と「後部」の二分割になる設計で作られていますから内部の構成パーツ数自体は、それほど多くはありません。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルのヘリコイド (オスメス) は鏡胴「後部」側に配置されています。上の写真を見ると分かりますが、絞り羽根のキー (金属製の突起棒) が入る穴の近くに、やはり経年のサビ痕がポツポツと複数残っており (特定の領域に集中している) 長い期間に液体状のモノが溜まっていたことが推測できます。結果的にサビが生じてしまったと言えるでしょう・・想像してみてください。絞り羽根がヒタヒタと液化した油 (おそらく潤滑油) の中に浸っている状況です。これが経年の油染み程度なのだったとすれば、多くのオールドレンズで絞りユニット内部にサビが発生していることになりますが、現実はそこまで酷い状況のオールドレンズはそれほど多くはありません。従って「潤滑油」の可能性が捨てきれないと言わざるを得ません。

↑12枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。上の写真で楊子を両サイドから刺しているのは、絞りユニットの固定は絞り環の組付けではなく、光学系第2群の格納筒が締め付けられて初めて固定される仕組みなので仮止めしているのです。その際に (光学系第2群の格納筒で締め付ける際に) 円形ばねを間に挟んで絞りユニットを常時押さえ込むチカラが及ぶように考えられています。ライカ製オールドレンズでは、例えば光学硝子レンズを締め付け固定する「固定環」さえも、間に「紙環 (厚紙の輪っか)」をワザワザ挟んで締め付け固定しているくらいですから、過去のメンテナンスなどで必要以上のグリースが塗られている個体の場合には、経年に拠る揮発油成分の影響で光学硝子レンズが固着してしまっている場合もあります。必要以上のグリースを塗布することは将来的なデメリットの懸念があっても処置したその時点での改善程度しかメリットは存在しません。

↑このモデルの絞り環操作はクリック感を伴うので、絞り環用ベース環にベアリングを入れ込んでから絞り環を被せます。ベアリングのクッション性を実現しているのはコイルばねではなく「板バネ」を使っています。上の写真では分かりませんが、絞り環を被せた後に下側から固定環で締め付け固定しています。当初バラす際に、この絞り環用の固定環が固着していてなかなか外せませんでした・・バラした後に固定環を確認すると、やはりサビが出ており完全固着していたようです。潤滑油のせいだとしたら本当に頭に来ます・・何故ならば、固着した固定環を回して外すには溶剤を何度も何度も時間をかけて流し込みチカラ任せで回すしか方法がありません (当方は個人なので機械設備が無い)。既に肩を痛めているので肩の痛みが起きたら仕事にならず恐怖感が憑き纏います・・。

↑ようやく光学系前後群を組み付けられます。前述のとおり光学系第2群の格納筒 (に円形ばねを挟んで) 組み付けることで絞りユニットがやっと固定されます・・固定する前の状態で逆さにすると絞り羽根が浮いてバラけそうになります。これで鏡胴「前部」が完成したので次は鏡胴「後部」の組み立てに入ります。

↑こちらの写真は距離環やマウント部を組み付けるための基台になります。上の写真で上部の細かいネジ山の下に「焦茶色」の箇所が写っていますが、当初バラした直後は真鍮製なので経年劣化で酸化が進行して、この基台すべてが変色 (焦茶色) していました。変色していること自体は気にしなくても良いのですが、問題なのは酸化によってパーツ表層面に「必要以上の摩擦」が発生していることが問題です。この基台は下部にはヘリコイド (オス側) がありますが、内部に「空転ヘリコイド」を格納する場所があり、その部分は抵抗 (負荷) が溜まらない状態になっていなければ最終的な距離環のトルク感に大きく影響してきます。よく実施されているメンテナンスが冒頭で説明した「潤滑油を注入する」行為になりますが、潤滑油が揮発した後に真鍮製の金属同士が (摩擦で) 噛んでしまった場合、完全に固着してしまい外れなくなりますから数年後にはイキナシ製品寿命に至ります。

↑「空転ヘリコイド」を右横に置いて撮影しました。名前のとおりスルスルといつまでも回り続けるヘリコイドが「空転ヘリコイド」ですから摩擦などによる抵抗 (負荷) は可能な限り排除しなければイケマセン・・そのために当方では当方のオーバーホールの一環である「DOH」として「磨き研磨」を処置しているワケで、単にキラキラと輝かせるために磨いているワケではありません(笑) 空転ヘリコイドに1箇所「溝」が縦方向に用意されていますが、ここには「直進キー」と言うパーツが入って距離環の回転に伴いスライドしていく場所 (直進キーガイド) になっています。

オールドレンズをバラすと、この直進キーガイドには、ほぼ100%と言って良いほどに必ずグリースが過去のメンテナンス時に塗られていますが、ほとんど意味が無いままカラカラに乾ききった状態で残っています。つまりこの直進キーガイドにグリースを塗っても直進キーには一切効果が無いのです (そのことに気がつかないまま単なる思い込みだけで過去に処置している)。それどころか、塗られたグリースは経年ですべて揮発してしまいオールドレンズ内部に廻っていることになりますから最終的に光学系コーティング層の劣化を促している原因にもなり兼ねません。

その「証」がちゃんと上の写真には写っています。直進キーガイドの溝 (底部分) を見てください。空転ヘリコイドの金属質 (繊維状) が横方向なのであるのに対して直進キーガイドの平らな部分は「縦方向」に生産時に切削された痕が残っています・・ここがポイントです。つまりは直進キーガイドは生産時に於いてさえも「平滑性を追究していない」ことになります (実際、直進キーガイドの平坦部分を目視したり触ったりすると凹凸があるのが分かる)。

「直進キー」と言うパーツは距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目のパーツになりますから、距離環を回す際のトルク感に大きく影響してくるのは容易に想像できると思います。そこが「思い込み」の最たる部分なのですが、距離環を回してピント合わせをしている時の「チカラの伝達の原理」をキッチリ考察していないから (単なる思い込みだから) 間違っているのです。距離環を回した時のチカラの伝達は、確かに直進キーによってチカラの方向が変化しているワケですが、それは「単にチカラの方向が変わっただけ」と言うのが最も正しい表現になります。つまり直進キーはチカラの伝達方向を変えるために「きっかけを用意している」だけであり、チカラはそのまま向きを変えてすぐに伝達されてしまうのが正しい認識になります。従って、直進キーガイド部分の「平滑性」を極める必用が一切無いことになりますから、実際に構成パーツを見てチェックしても平坦になってはいないワケですね・・「観察と考察」なかなか奥が深いです。結果、当方でのオーバーホール作業では直進キーや直進キーガイドには一切グリースを塗りません (今回の作業でも塗っていません)。それでも距離環のトルクが改善されていることが重要なのであり、必要外のグリース塗布を排除しつつ実用面で最善の状態まで仕上げていく・・が当方のポリシーです。

↑基台の中に「空転ヘリコイド」を実装してから固定環で締め付け固定します。その後に右横にある「直進キー」を組み込みます。当初バラした直後は、これら3つのパーツ (基台・空転ヘリコイド・直進キー) は「焦茶色」になっており、特に空転ヘリコイドを固定している固定環が、やはり固着していて外れませんでした。相当なサビが生じていたのでヤバい状況だったと思います・・当初バラす前の時点では、距離環を回すトルク感は決して重くなく、トルクムラが多いものの実用的な範疇だと一般的には考えてしまうと思います。しかし、内部はこんな状況になっていたワケですね。しょっちゅう使っているオールドレンズならば、まだ安心ですが半年〜1年間も防湿庫に保管されると次に使う時は距離環が回らなくなっていると思います。「潤滑油」はキケンですね・・と言っても過去のメンテナンスで注入されていることは一般的に距離環のトルクだけでは判断できません (当方はある程度分かります)。

↑直進キーを組み付けた状態で撮影しました。このような感じで直進キーが基台から飛び出てきます・・2個あるネジ穴を見て気がつかれたでしょうか? マウント部の直前に大きなネジが2本刺さっていたと思います・・直進キーを固定するネジだったワケです。従って、解体しようとして何も分からないままに2本のネジを外してしまうと距離環を回した途端に直進キーが何処かへ行ってしまいますから (直進キーは上下位置でも内部でスライドしているから) 筐体が一切外れないことに気がついて2本のネジを戻そうとしても・・受けのネジ穴が見つからずにパニクると思います(笑)

↑マウント部を組み付けますが、この時マウント部のヘリコイド (メス側) に基台の縁 (オス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑この状態で反対側を撮影しました・・2本のネジが写っていますね。オールドレンズに使われているネジは (特に外見上見えているネジは)、いったい何の目的で使っているネジなのかを考えて外さないと飛んでもないことに陥り後悔します。

↑距離環を固定して鏡胴「後部」の完成です。この後は鏡胴「前部」をネジ込んで無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行えば完成です。

 

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが完了した貴重な『SUMMILUX 50mm/f1.4《前期型》(LM)』です。レンズ銘板は清掃時に白文字が褪色してしまい銀色になってしまったので当方にて着色 (白色) しています・・元々過去のメンテナンス時に着色していたようです。

↑今回の個体はご依頼者様のお話ではヘアラインキズやクモリなどが多かったようで、当方が神様と崇めている『山崎光学写真レンズ研究所』様に硝子研磨のため依頼されたようです。大変キレイになっているのですが、光学系内にはカビや塵 (微細な木くずのようなモノ)、或いはコーティング層のヘアラインキズなどが残っている状態でしたので、結局バラして清掃しています。特に前玉 (表裏) の外周部には菌糸状に伸びているカビが全周に渡って発生していたので除去しています (カビ除去痕が残っていますが前玉の固定環でもあるレンズ銘板の下に隠れています)。

↑光学系後群もキレイになりましたが過去のメンテナンス時に除去したのであろう、やはり菌糸状のカビ除去痕やコーティング層のヘアラインキズが数本、或いはコーティング層の経年劣化などは、そのまま残っています (写真には一切影響しません)。

↑12枚の絞り羽根もサビを除去したのでキレイになり確実に駆動しています (もちろん当初のベタつきも皆無です)。

ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感がほとんど感じられない大変キレイな個体ですが当方による「磨きいれ」を施したので梨地仕上げの筐体外装も落ち着いた美しい仕上がりになっていますし、もちろんローレット (滑り止め) もナイロンブラシで丁寧に清掃したので経年の手垢や汚れも除去できており清潔です。

↑塗布したヘリコイド・グリースはご指示により「粘性:重め」を塗布しました。そうは言っても、前述のように「空転ヘリコイド」部分も「磨き研磨」により可能な限り抵抗 (負荷) を軽減しているので当初よりは僅かに重いかなと言う程度です・・しかし、当初感じていたトルクムラは解消し距離環を回す際のトルク感は全域に渡って均一です。当方ではこれ以上重いトルク感には仕上げられないので (用意しているヘリコイド・グリースの粘性が対応しないので)、もしもご納得頂けない場合はご請求額より必要額分を減額下さいませ。申し訳御座いません。

↑今回のモデルの整備ポイントは「空転ヘリコイド」をどれだけ抵抗 (負荷) が無い状態まで極められるかが重要になってくるのがご理解頂けたかと思います。通常のメンテナンスではグリースに頼らざるを得ないと思いますが当方には「磨き研磨」と言う武器がありますから必要外のグリース塗布は極力控えており、それは将来的にも懸念材料 (最終的には光学系内コーティング層の経年劣化促進) が減るワケで心の安心材料にもなりますね。特に今回の個体は大変貴重な「前期型」モデルになりますから、どうか末長くご愛用頂ければと思います・・ちなみに、無限遠位置は当初の位置のまま組み上げています。

↑こちらは専用の純正金属製フードになりますが、当初届いた時点は上の写真赤色矢印の部分に全周に渡って「瞬間接着剤」が塗られていました。「瞬間接着剤」なのでそれほど昔に接着されたワケではありませんね・・前オーナーによる所為と思われます。前キャップも含めて瞬間接着剤を根気よくガチガチと削り取って写真のようにキレイな状態まで戻しました・・チカラ任せで削っても、そう簡単にはこのようなキレイな状態には戻りませんから、きッと作業中の姿を見られたら恥ずかしいですね(笑) 本当に根気よく数ミリずつ細かく時間をかけて削っていますから、いい歳のオッサンが目を点にしてチマチマと真剣に削っている様は病的だったりします・・たかがフードですが、このモデルは逆光耐性が悪いようなので必需品でもあり所有者の気持ちで考えればフードはありがたい存在です。そう言うオプションにまで拘りを持つのは所有する悦びにもなりますョね?・・と思います。

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2」にセットして撮影しています。

↑さらに絞り環を回してF値「f2.8」で撮りました。

↑絞り値はF値「f4」になっています。

↑F値「f5.6」になりました。

↑F値「f8」になっています。

↑F値「f11」で撮りました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。