◎ Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) Lydith 30mm/f3.5 zebra(exakta)

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オーバーホール/修理ご依頼分ですが、当方の記録用として掲載しており
ヤフオク! 出品商品ではありません (当方の判断で無料掲載しています)。
(オーバーホール/修理ご依頼分の当ブログ掲載は有料です)


このモデルの累計扱い本数は今回が13本目ですが、2016年以来の4年ぶりです。4年前にオーバーホール/修理を承った際の記録をハードディスクのクラッシュで喪失してしまい、今回はそれを補う意味からオーバーホール工程を載せます。

焦点距離が30mmと今になっては少々違和感を抱くのと開放f値「f3.5」から巷ではあまり人気が高いモデルではありませんが、歴とした旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製広角レンズの一つであり、特に今回の個体はちょっと珍しいタイプなのでMeyer-Optik Görlitzファンの方には手放せないかも知れませんね (オーバーホール工程の中で解説しています)(笑)

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Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) は、戦前の旧ドイツで1896年創業の Hugo Meyer & Co., (フーゴ・マイヤー) が前身にあたる老舗の光学メーカーです。戦前には大判サイズの光学製品で、当時のCarl Zeiss Jenaに肩を並べるポジションまで登りつめますが敗戦後に旧東ドイツに含まれ悲劇の運命を辿ることになります。

ドイツは敗戦時に旧ソ連軍と連合国軍によって占領され、国が二つに分断されました。ソ連軍が占領統治したのがドイツ民主共和国 (旧東ドイツ) であり (左図ピンク色)、連合国側であるアメリカ・イギリス・フランスが分割占領統治した国がドイツ連邦共和国 (旧西ドイツ) になります (ブルー色)。

ところがベルリンは旧東ドイツ側に位置しており (左図の緑色の矢印) 旧東ドイツの首都になりました。一方旧西ドイツの首都はボンになるので旧西ドイツ側なのですが、ベルリン自体も連合国側と旧ソ連によって分割統治することが決まりました。

そして後の1961年には「ベルリンの壁」が登場します。意外と「ベルリンの壁」がぐるりとベルリン全体を覆っていたかのように認識している人が多いのではないでしょうか・・。

実際にはベルリンも2つに分断されており、連合国側の管轄地であった「西ベルリン」側が「有刺鉄線」によってグルリと囲まれていたのです。それもそのハズでベルリンが旧東ドイツの中に位置していたことから囲まれていたのは実は「西ベルリン」だったワケですね(笑)

そもそも「ベルリンの壁」が建設されたのは戦後すぐではなく1961年であり、東西ドイツの経済格差がより顕著になってきたことから旧東ドイツから旧西ドイツ側への逃亡者が多くなり敷設された壁だったようです (初期の頃は有刺鉄線のみ)。ちなみに、西ベルリンもアメリカ・
イギリス・フランスの3カ国による分割統治になります。

旧東ドイツは共産主義体制ですから「私企業」の概念が存在せず、すべての企業は国に従属した企業体でした。この企業体を指して様々なサイトで「人民公社」と解説されますが、どちらかと言うと「人民公社」は中国のほうが当てはまります。

旧東ドイツでは、敗戦後の初期に於いては「人民所有経営 (Volkseigene Betriebe:VB)」と呼ばれ後に「人民所有企業 (Volkseigener Betrieb:VEB)」に変わります (以降、最小単位の企業体として使われ続けた呼称)。ちなみに旧ソ連も社会主義国家ですが企業体を指して「国営企業」と呼称しています (専門に研究している方の論文を読んで勉強しました)。

要は同じ共産主義体制の国家だとしても、それぞれの国によってその体制や体型の概念などが異なるので、何もかも一緒くたに「人民公社」で括ってしまうにはムリがあると言う専門に 研究している先生の論文でした。

上の一覧は、旧東ドイツが敗戦時からスタートした国の共産主義体制確立と同時に様々な産業工業再建のために策定された「計画経済」であり、その中で特にCarl Zeiss Jenaを中心にまとめたのが上の表です。

敗戦時からすぐに様々な企業体が分野別にVEBの集合体として国に接収されますが、その中でオールドレンズが関わっていたのは「光学精密機械VVB (局)」です。
(人民所有企業連合:Vereinigung volkseigener Betriebe)

当初は国の直轄管理で分野別に各局隷下で各VEBがバラバラに集められ連合化していましたが共産主義体制の確立に手間取り経済格差が拡大し、1967年にようやく国の産業工業体系図に局から独立した「光学機械製造コンビナート (VVB)」が登場し、そこにとりまとめ役として 初めてCarl Zeiss Jenaの名前が登場します (1966年までの5カ年計画では各局に特定のVEBが指揮権を与えられていなかった/名前を連ねていなかった)。この時点でCarl Zeiss Jenaは既に17企業体 (VEB) を手中に収めており、従業員数は44,000人に上っていましたから、それまでに多くの光学メーカーを吸収合併していたことになります

また翌年の1968年には州/県を跨いで統括指揮できる「コンビナート令」が公布され、光学機械製造コンビナートVVBではCarl Zeiss Jenaの絶大なる権威が名実共に確立しています。ここで注目すべきは実はCarl Zeiss Jenaではなく「PENTACONのポジショニング」です。この時PENTACONはCarl Zeiss Jenaのすぐ直下に位置付けされているいわゆる大番頭的なポジションにまで登りつめていました。しかしフィルムカメラなどの製産に特化した工場の体制と開発 技術しか醸成されておらず、特にオールドレンズの開発/生産に苦慮していました。

長々と当時の時代背景を解説しましたが、ここからが哀しい「Meyer-Optik Görlitzの悲劇の運命」のご案内です。

ドイツ敗戦時に数多くの生き残り光学メーカーが「光学精密機械VVB (局)」に編入されすぐに製産活動を始めますが、運の悪い事にMeyer-Optik Görlitzは「軍用機械工業VEB」に編入されてしまいました (この悲運こそがそもそもの悲劇の始まりになります)。軍用光学製品を開発/製産する傍ら民生用光学製品の開発にも拘りますが、自由が効かず限界を感じついに自社工場をCarl Zeiss Jenaに売却してしまう事で念願の「光学精密機械VVB」編入を実現しました。

まさに水を得た魚の如く光学製品の開発/発売に勢いがつきますが、この時Carl Zeiss Jenaの直下に配属されていたPENTACONが発売するフィルムカメラのセットレンズ供給が義務づけられてしまい (シルバー鏡胴の1950年代)、戦前のようにCarl Zeiss Jenaと対等な扱いを受ける状況はついにMeyer-Optik Görlitzには二度と巡ってきませんでした。1964年からCarl Zeiss Jenaによる強いPENTACONへの編入 (つまり吸収合併) 要求を受けながらも拒み続けますが、ついに経営難から1968年にPENTACONに吸収されその長い歴史の幕を閉じます。

従ってこの1968年がMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズとPENTACON製オールドレンズの境界にあたり、この年を境にしてMeyer-Optik Görlitzが刻印されたレンズ銘板のオールドレンズが市場から姿を消していくワケです。つまりゼブラ柄モデルを発売し始めた時期には既にMeyer-Optik Görlitzは工場の稼働権限すら失っており、Carl Zeiss Jena配下のPENTACONとの協業だけの為に生き存えていたようにも見えます。そしてとうとうオールドレンズの流れが世界規模で大きく黒色鏡胴へと変遷する最中に、Meyer-Optik Görlitzは消えていくことになります (だから市場にはシルバー鏡胴モデルとゼブラ柄しかMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズは存在していない)。

この「1968年PENTACONがMeyer-Optik Görlitz吸収合併 (消滅)」と言うオールドレンズ沼にドップリ首まで浸かっている人達にとっては衝撃的な事件について(笑)、その「境界」を実際に検証してみます。

左は1969年にPENTACONから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「PRAKTICA L」の取扱説明書の抜粋ですが、オプション交換レンズ群はMeyer-Optik Görlitz製とCarl Zeiss Jena製モデルだけで占められています。

さらに同じ1969年の後期に追加で発売された「PRAKTICA LLC」取扱説明書から、同じように交換レンズ群一覧を抜粋しました。Meyer-Optik Görlitz製のモデル銘が消滅してPENTACON製とCarl Zeiss Jena製モデルのみに変わっています。

Meyer-Optik GörlitzがPENTACONに吸収合併したタイミングが1968年なので、その時点で既に製産していた個体がそのままMeyer-Optik Görlitz銘でフィルムカメラにセットされ、吸収合併後の新たな製造出荷分よりPENTACON銘にモデル銘がチェンジしたという逸話もこれで検証できましたね (事実だった事が判明)。

すると今回扱うモデルとは直接関係ありませんが、例えばこの当時の標準レンズ「開放f値
f1.8」モデルについて検証してみると、前述の時代背景が納得できます (逆に言えばモデルの変遷が時代背景から納得できる)。以下のモデルについて考えてみましょう・・。

Carl Zeiss Jena製標準レンズ:MC PANCOLAR auto 50mm/f1.8
PENTACON製標準レンズ:PENTACON auto 50mm/f1.8 MULTI OCATING

はまさにCarl Zeiss Jenaの内部で開発が進み製品化された「正統進化形標準レンズ」と言えますが、一方のPENTACON製標準レンズは、そもそもMeyer-Optik Görlitz製標準レンズの「Oreston 50mm/f1.8 zebra」が原型モデルであり、そこから派生していった「亜種」で ある事が分かります (光学設計が別モノ)。

この時もしも仮にMeyer-Optik Görlitz製標準レンズのほうに着目する (狙っている) のだと すると、市場流通品の中でレンズ銘板の刻印が例え「PENTACON」になっていたとしても「ゼブラ柄なら貴重な1968年〜1969年辺りの個体」なのだと確信が持てますね(笑)

逆に言えばMeyer-Optik Görlitz銘を冠した個体は値が張りますが(笑)、逆狙いでPENTACON製ゼブラ柄の個体を手に入れても「光学系は全くの同一品 (要はレンズ銘板をすげ替えただけだから)」だと断言できるワケです。

このようにオールドレンズと言うのは、この当時の時代背景や歴史に興味が無いのだとしてもある程度の背景を簡単に知っておくことで意外と得をする事にも繋がったりします(笑)

まぁ〜それだけロマンが詰まっていると言えるのがオールドレンズの世界ですョね?(笑)

最後にここで「悲劇の光学メーカーMeyer-Optik Görlitz」の締めくくりをご案内します。1968年に長い歴史の幕を降ろして消滅していった戦前から脈々と続いたMeyer-Optik Görlitzは、たった一人の生き残り技師のおかげで2014年に「再生」します。

高齢の技師を伴い「新生Meyer-Optik Görlitz」が誕生し (スポンサーが付き) 新たな歴史を刻み始めましたが、何と2018年末にCEO (経営責任者) が交通事故で亡くなり、再び破産申請の悲劇を繰り返しました (2019年春に裁判所が認め管財人を附託)。

奇跡がさらに起きました! 2020年三度「新々生Meyer-Optik Görlitz」が再起して (新たなスポンサー企業が付く)、いよいよ元気良く新型モデル「各シリーズのII型」を開発/発売をスタートしています (メーカー名をクリックすると別ページで開きます)。

スポンサー企業銘がドイツ企業「OPC OPTICS」になっていますが、例えば日本国内で言えばちょうど「液晶ディスプレイ」の状況が近似しています。長年液晶ディスプレイの開発/製産を牽引してきた日本の各電気メーカーが苦渋を嘗める経緯がありましたが、まさにそれと同じようにドイツの様々な破綻光学メーカーを吸収合併しているスポンサー企業のようです (日本で言えばジャパンディスプレーが似ている存在か)。

今度は大丈夫でしょう・・! 頑張れMeyer-Optik Görlitz!!!

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巷でこれらPENTACON製オールドレンズの評価記事、或いはサイトでの評価を見ていると特にPENTACON製オールドレンズの評価が極端に低い点が特徴としてピックアップできます(笑) 前述のとおりMeyer-Optik GörlitzからPENTACONへと受け継がれていったハズなのに(笑)、ブランド銘が「PENTACON」になっただけで (レンズ銘板が替わっただけで) 評価ガタ落ちという、まさに日本人独特のブランド志向ですね (情けない)(笑) 確かにMeyer-Optik Görlitzの刻印に憧れるのでしょうが、だからと言って「描写性能」まで酷評するのは違うのではないかと考えます(笑)

よく言われる話ですが「PENTACONの写りはまさに東ドイツの匂い」と、何だか褒めてるのか貶しているのか分かんない謳い文句ですが(笑)、特に旧東ドイツ製オールドレンズに対して「造りが粗い/粗雑」なのを謳い文句に、クレーム回避しているヤフオク! 出品者が多い点に 笑ってしまいます(笑)

もしも仮に「製産時点の工業技術」として材の切削や加工レベルを問うなら、最も適しているのは1970年代までのロシアンレンズがまさに当てはまります(笑) 1970年代を境にしている理由は「東芝産業機械ココム違反事件」です。第三国への輸出を禁じていたANC旋盤機の大量闇輸出が事件となりましたが、この時日本製ANC旋盤機がもの凄い量でソ連に輸出されたようです (事件で引っ掛かったのは潜水艦のパーツを対象にしたANC旋盤機のようですが)。必然的に1980年代に入るとロシアンレンズの切削レベルがガラッと向上し(笑)、切削加工レベルが激変しています。しかしそうは言ってもお国柄なのか(笑)、いまだに1960年代の設計のまま再製産しているのが何ともおロシア的な印象ですが(笑)、それはそれでちゃんとロシアンレンズとしての「画の味」を確立できたからなのだとも言い替えられます。

もっと言うなら、オールドレンズの世界に於いて本家 (戦前ドイツの) Carl Zeiss Jenaからの 源流を汲む「別の進化系統樹」を確立してしまったロシアンレンズは、まさに大成功だったと言えるのではないでしょうか (他に存在しないから)。さすが戦勝国の特権なのでしょうが(泣)同じように模倣し続けた日本製オールドレンズは系統樹など確率さえできずに全く以て足元にも及びません。

しかし民生レベルでの光学製品に関してはまさに世界を牽引する立場にまで独占できた (成長できた) のが日本の光学メーカーですが、その強みも今や風前の灯火の如くオリンパスのように事業譲渡して切り離していく状況に追い込まれています。

願わくばどうか後50年は頑張って世界を牽引していく立場を守ってほしいものです (その頃には当方はもう居ないので後の世代の時代ですね)(笑)





上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻してアウトフォーカスから滲んで背景の円形ボケへと変わっていく様をピックアップしています。後で解説しますがMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズである以上、ちゃんと真円の美しいシャボン玉ボケが表出できますが、如何せん光学系の大きさがモノを言うのか、だいぶこぢんまりしたシャボン玉ボケの印象です。

実は先に説明した「新々生Meyer-Optik Görlitz」の各モデル (新型のII型) の描写性を見ると分かりますが、日本で言えばMINOLTAやKONICAを吸収していった流れを持つSONY製レンズなどの描写との大きな違いを感じ取れます。もっと言うならまやかしモノで名を馳せた(笑)、某光学メーカーのようにブランド銘だけ冠していながらその写りは全く別モノと言う流れとは一線を引くのが、これら「新々生Meyer-Optik Görlitz」のモデル達です。

まさに当時のような大変美しい (デジタルでやったらこうなるのかと言うレベルの) シャボン玉ボケが現れる様は「あぁ〜ヤッバしMeyerなんだ!」とちょっとウルッと来てしまいますね(笑) いくら当時の設計技師を伴っているとは言え、既にもうだいぶご高齢のご様子なので、要は新生したMeyer-Optik Görlitzの主だった主要人物がシッカリとブランド志向の概念を 確立しているからこそ、その趣旨が光学設計に反映できているのだと受け取っています。

要はマニュアルモデルを発売するなら、ちゃんとその当時の光学設計の狙いを受け継ぐべきであり (匂いを漂わすべきであり)、今ドキの (自前の) デジタルなレンズの光学設計にブランド銘だけが乗っかっているという紛いモノの (要は内製レンズなのに平気だという) 感覚は、是非とも日本の光学メーカーは捨て去ってほしいですね。そんなようではこれからのコロナ後の世界で生き残っていけませんョ?(笑)

その点、これら「新々生Meyer-Optik Görlitz」のモデル達には当時のオールドレンズに見られる「匂い」がちゃんと残されており、それはまさにMeyer-Optik Görlitzの設計者しか知らないポイントを突いた設計なのであって (おそらく当時はシャボン玉ボケ自体は収差の範疇を超えていなかった概念) だからこそのブランド銘なのではないかと考えますね。

その意味で、戦前ドイツのブランド銘だけを冠しているだけの今ドキデジタルなレンズには、当方はな〜んにも興味関心が沸きません (高いばっかりでお金を捨てているだけ)(笑)

二段目
さらに背景の円形ボケが滲んでいきますが決してトロトロまで至りません。悪く言うならボケが硬いだけなのですが(笑)、実はピント面のエッジが骨太であるにもかかわらず「マイルド (繊細) 」を漂わす写り方に仕上がっているのがさすがです。またこの当時のフィルム印画紙のレベルで考えると、まだまだメインは白黒フィルムだったはずなので、これだけビビットに魅惑的に「赤色」を表現できている部分に何だか気概を感じてしまいます(涙)

三段目
ここからがこのモデル、ひいては当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズ全般的に共通する欠点部分です。左端の海原か湖の写真を見ると普通に写っていますが、次の2枚目森と川の写真を見ると明らかに輝度コントロールが変です。リアル感を通り越して「違和感」にしかなっていません。このグリーンの発色性は人の目から見れば違和感です。

ところが同じグリーンが白黒写真になるとガラッと変わってしまい、何とも緻密でリアルな解像度の仕上がりに至っています。つまりはカラー情報のグレースケール化がコントロールできていないワケですが、それもそのハズで主流が白黒フィルムだからでしょう。要は輝度コントロールができていない光学設計なのだと言えます。

四段目
さらに部屋ン中に極端な明暗部を持つ写真を見ても、白黒とカラーでは別世界ですからカラーコントロールが主眼ではないことが伺えます。特に3枚目のカラー写真は街中のワンシ〜ンですが「違和感」以外の何物でもありません (フィルタ処理されているかも知れませんが)(笑) これほどまでに白黒写真とでガラッと変わってしまうオールドレンズと言うのも、またそれはそれで評価に価するのではないかと考えますね。

五段目
極めつけがこれです。右から2枚目のピ〜カンで撮った砂漠か砂浜の写真で、逆光でありながらも完璧な露出オーバー気味のピ〜カンでこれだけ撮れるのは凄いなと感じてしまいました。
ちょっとこのモデルをバカにしていたのが反省大です!(笑)

今回のモデルが発売されていた当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズのレンズカタログ (1961年印刷) を見ると、シルバー鏡胴とゼブラ柄が混在しているのが分かります。

オモシロイ事に有名処のTrioplan 50mm/f2.9とPrimoplan 58mm/
f1.9が居ません(笑)

1961年のカタログなのでCarl Zeiss JenaからPENTACONへの編入を執拗に打診される直前のラインナップと言えますが、海外ではこの当時から望遠側にも人気が高かったのでしょうか (よく分からない)?

そもそもこの当時のMeyer-Optik Görlitzは、同じ旧東ドイツのDresdenでフィルムカメラを製産していたIhagee Dresden製一眼レフ (フィルム) カメラ「EXAKTA Varexシリーズ」用セットレンズがメインだったハズです。

このIhagee製フィルムカメラは戦時中でさえもドイツ海軍御用達の カメラメーカーでしたから、当時のMeyer-Optik Görlitzにすれば 十分にセットレンズ様々だったと思います (重要な稼ぎ頭だったハズ)(笑)

当時のやはりレンズカタログ (1954年印刷) を参考にすると、何と 一段分暗いPrimagonが掲載されているのに今回のLydithが居ません。

今で言う処のパワハラではありませんが(笑)、明らかにCarl Zeiss Jena製モデルを売らんが為の「廉価版の格付」でしたかMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズは使われていなかった事が、これらのカタログを見ただけでも伺えます。本人はヤル気満々だったハズなのに出るクギを打たれてしまいましたか(涙)

実際のところ、おそらく経営難でどうにも改善できない頃の状況だと考えられるので、もはや廉価版の格付にすがるしか手は残されていなかったのが実情なのかも知れませんね(涙)

左写真は標準レンズ「Trioplan 50mm/f2.9 V (exakta)」ですが、光学系は今でこそ有名な「3群3枚のトリプレット型構成」です。

開放f値を「f2.9」に採ってきており、且つモノコーティング「V」も施されていますが、当時のカタログにはそもそもこのモデルの記載 すらありません(涙)

この時の構成図が右図になります。右図は以前オーバーホールで完全 解体した時に当方の手でデジタルノギスで計測したトレース図になります。

この当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの基本的な光学系 設計概念の中心をいくトリプレット型です。

左写真は前述のカタログ (両方) にも掲載がある、一段分暗い開放f値の「Primagon 35mm/f4.5 V (M42)」です。

もちろん全てのモデルを網羅したレンズカタログが何処の光学メーカー品でも必ず用意していたワケではないのでしょうが、ここまであからさまに外されまくると、何とも哀しい気持ちになります (胃が痛くなってくる)。

このPrimagonの構成図が右図です。同様過去にオーバーホールした際完全解体した時の光学系清掃時にトレースしました。

すると 部分で示していますが3群3枚トリプレット型構成の真ン前に「バックフォーカスを稼ぐ目的だけで1枚凸メニスカスを配置」した、いわゆる即席の (この当時の) 典型的な「レトロフォーカス型」です。

基本成分がトリプレット型なので、例え即席のレトロフォーカス型だとしても相応に鋭いピント面をちゃんと構成してくれます。

そして今回扱う「Lydith 30mm/f3.5 zebra (exakta)」ですが、 ちゃんとCarl Zeiss Jenaのf値「f3.5」モデルとかち合わないよう(笑)このLydithもカタログから外されたままです(涙)

と言うか、おそらく「自動絞り方式」を最優先してカタログ掲載していたようにも考えられます。

光学系は5群5枚のレトロフォーカス型構成で、やはり 部分の3群3枚のトリプレット型構成を基本成分として、第1群 (前玉) で強制的にバックフォーカスを稼ぎつつも第2群で収差改善と解像度の追求を採り入れているように見えます (レトロフォーカス型の欠点を補っている)。

するとヤフオク! の出品者の中にはPrimagonを勧めている人が居ますが(笑)、当方はむしろ今回のオーバーホール/修理「ご依頼者様の達観の妙あり」と申し上げたいですね。先のピックアップ写真でピント面に「マイルド (繊細) 」を漂わす要素がまさに3枚玉トリプレット型の成せる技なので、この光学系を見ていくと吐き出される写真にも納得と 言うものです。

ちなみに現在の市場流通数自体が少なめですが、左写真の「Orestegon 29mm/f2.8 zebra (M42)」が後のPENTACON auto 29mm/f2.8の原型モデルですから、ちゃんとMeyer-Optik Görlitz にも受け継ぐべき高い技術レベルがあった事の査証とも言えますが、やはりカタログの記載は希ですね(笑)

光学系は相当こだわっており7群7枚の本格的なレトロフォーカス型 構成です。

同様過去にオーバーホールで完全解体した際にデジタルノギスで計測 したトレース図です。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はワリと簡素なので初心者向けとも言えますが、実は「光学系後群を外さないのであれば」と言う前提条件が付きます(笑) が然し、光学系前群側を外してしまったのなら (例え清掃だとしても一度でも外したのなら) 後群側を外さない道理が成り立ちません (何故なら光学系は必ず前後群で成り立っているから)。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルは鏡胴が「前部/後部」の二分割なので、ヘリコイド (オス側) は鏡胴「後部」に包括されます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑10枚の絞り羽根も経年の油染みが清掃できてキレイになりました。本来ちゃんとフッ素加工が施してあるので錆びにくいのですが、それでもさすがに赤サビが出てきます。すると特に表裏面にプレッシングしている「キー (金属製突起棒)」が脱落したら最後「製品寿命」なので、意外と絞り羽根の清掃は重要な話です (絞り羽根の油染み放置プレイは非常に危険な行為)。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しましたが、意外とコンパクトな筐体です。このまま第1群 (前玉) は延長筒など無くそのままこの鏡筒にセットされるので、よくもここまで小さな鏡筒サイズにまとめたなと感心してしまいます。

↑まずは当初バラす前のチェック時点で、既にガシガシ感のある(笑)、重めのトルク感でしか回らないプリセット絞り環ですが、このように「螺旋バネ」を内包しています。プリセット絞り環の下部にある刻み込み (溝) が各絞り値の「プリセット絞り値キー」であり、ここに絞り環が刺さることでプリセット絞り値が決まる仕組みです。

↑こんな感じで「プリセット絞り環」がセットされます (既に螺旋バネ内包済)。するとこの「プリセット絞り環」の内部に過去メンテナンス時に「白色系グリース」が相当多めに塗られていたのですが(笑)、その結果螺旋バネに赤サビが出てしまったので、今回のオーバーホールでキレイに磨いています (赤サビ除去済)。

もちろん当方のオーバーホールではこの螺旋バネなどにグリースは一切塗りません(笑)

↑さて、ここからの解説が冒頭でご案内した「今回の個体が大変珍しいタイプである理由」です。当初バラして「観察と考察」している時は「もしかしてニコイチ品?」とも考えましたがそれでは「原理原則」の説明ができないので「マジッに製産時点の出荷個体」と断言します。

グリーンの矢印の部分をご覧下さいませ。右側に「絞り環」が並んでいますが、その内側の
グリーンの矢印箇所に「ネジ山 (4列)」が用意されています。

通常いくらこの当時のオールドレンズだとしても「必要ない箇所に必要ない切削は施さない」のが原則ですが、このネジ山は一切使われていません。それもそのハズで右側のグリーンの 矢印プリセット絞り環の側部分」には当然ながらネジ切りがありませんね(笑)

さらにそのネジ切り部分 (グリーンの矢印) を拡大撮影しましたが、 ちゃんと「プリセットキー (金属製突起棒)」が入っているのです。 且つさらにその「キー」の箇所に丸穴まで開いています。

このネジ山にはグリースが一切塗られていませんでした。この当時の製産時点で塗布していたグリースは「黄褐色系グリース」のハズです (まだ白色系グリースが出回っていない時代だから)。

ところが代わりに「白色系グリース」が塗られていました。しかし問題のヘリコイド (オスメス) 側のネジ山には「黄褐色系グリース」が最初に塗られ、次に「白色系グリース」がさらにその上から塗り足されていました。

今ドキの整備会社ではこのように古いグリースの上から新たに「白色系グリース」を塗布してしまう手法を「グリースの補充」と呼んでおり、そこいら中で処置されているようです(笑)

つまりヘリコイド側のネジ山 (オスメス) には古い時代に塗布されていた「黄褐色系グリース」が残っていながら、こちらのネジ山には存在しない理由は「製産時点に塗らなかったから」と考えられます (いわゆるグリースの経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びの痕跡が存在しないから断言できる話)。

これらの事柄 (事実) から、今回のこの個体は「他のモデルと共通的に使う絞り環を用意していた」ことが伺えますが、ネジ山が存在するモデルをまだ知りません。逆に言うと「プリセットキー」の下に用意されている丸穴は、別モデルの場合に「下からキーをネジ込んでいた」ので丸穴が用意されていると考えられます。

要は今回の個体だからネジ山を使わずに「プリセット絞り環側絞り値キー」を使っているが、別モデルではネジ山が存在して下穴からキーをネジ込む「共通仕様」と考えられるのです。

このLydith 30mm/f3.5 zebraでこのような仕様になっている個体は今回が初めてですから、ちょっと珍しい個体だと考えます。製造番号から推測すると「1965年春」の製産出荷品と考えられるので、まさにPENTACON編入直前の時期であり、相当苦しい状況下での製産品と考えられます。また鏡胴に「Made in Germany」刻印も無いので、国内流通向けか東欧圏向けとして用意されて闇輸出で西欧圏に流れた個体なのかも知れません。

ロマンが膨らみます・・(笑)

↑こんな感じで「プリセット絞り環/絞り環」がそれぞれセットされ、これで鏡胴「前部」の完成になります。

↑さて、ここが冒頭で解説したシロウト整備がムリだと明言している理由です(笑) 光学系後群は単なる後玉だけなのですが、ご覧のように「イモネジ (3本)」で締め付け固定する格納方法を採っている設計です。

すると単純にイモネジを3本順番に締め付けていっても鋭いピント面に至りません(笑) これらこの当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの多くのモデルに採用されている独特な後群側の格納方法なのですが、このイモネジの締付にはコツがあるので「鋭いピント面」に仕上げるにはちゃんと「原理原則」を理解している整備者でない限りコツが掴めません(笑)

当方はもう熟知しているので一発で光軸ズレなく (偏心無し) 格納できます(笑)

↑鏡胴「前部」が完成したので、ここからは鏡胴「後部」の組み立て工程です。上の写真は距離環やマウント部が組み付けられる基台です。

↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。内側に「M W ///」のようなマーキングが刻まれているのは当方がマーキングしたのではなく、製産時点からのマーキングです(笑) この意味がちゃんとあるので「原理原則」に適うか否かも掴めると言う話ですね(笑)

↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑ここからがこの当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズに多く採用されている厄介な要素になります。「直進キー」と言う金属製の「尖頭筒」のパーツを、ヘリコイド (オス側) の両サイドに用意されている「丸穴」に差し込んで、且つスプリングで押し込むことで「適度な抵抗/負荷/摩擦が掛かって滑らかにヘリコイド (オスメス) が駆動する」設計を踏襲しています。

この「直進キー」の中に刺さるスプリングが問題で、とても指でチカラを目一杯入れても潰せるような柔らかさ (クッション性) ではありません。まず以て収縮しませんね(笑)

過去メンテナンス時に距離環を回すトルク感が重すぎると、このスプリングを片側外してしまう「常套手段」が相当頻繁に使われていますが、残念ながら今回の個体も片側のスプリングがありません。

さすがに線径や径はともかくも、この硬さの (潰れない) スプリングは手に入れることが100%不可能ですからどうにもなりません。従ってそれを見越した「磨き研磨」を施しつつトルク調整を施した次第です。

上の写真グリーンの矢印の順番で「直進キー」がセットされます。

↑「直進キー」は「尖頭筒」で先が尖っているので、ここがポイントになります。またスプリング (グリーンの矢印) のほうは一切潰れないので、このスプリングが刺さった状態でどうやってマウント部を組み付けるのか (被せるのか) もポイントになますね(笑) フツ〜にやれば当然ながらトルクムラにしかなりません(笑)

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑距離環側のトルク調整を施し鏡胴「後部」が完成したので、この後は完成している鏡胴「前部」をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初の過去メンテナンス時に塗られていた「白色系グリース」の重いトルク感と比較すれば天と地の差の如くとても滑らかに距離環を微動できますから、ピント合わせだって楽しくなります!(笑)

↑前述のとおり過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗られていたので、その経年の揮発油成分のせいでだいぶ光学系内コーティング層の例年劣化が進行しています。

当初バラす前のチェック時点で視認できていた光学系内部のクモリはほぼ除去できましたが一部はコーティング層の劣化で剥がれています。しかしLED光照射でも極薄いクモリが皆無なのでまだまだ現役です!(笑)

↑もちろん光学系後群側も光軸ズレ無く (偏心無し) 鋭いピント面に至っています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑古い時代の「黄褐色系グリース」が残ったまま、その上から「白色系グリース」を塗り足す「グリースの補充」が施されていた為、一部のネジ山に酸化/腐食/錆びが生じており、且つ前述の「直進キーガイド」にも酸化/腐食/錆びがあり擦っていたので、そこを「磨き研磨」した分、とても滑らかにトルクに仕上がりましたが「極僅かなガタつき」が残っています (言われなければ気がつかないレベル)。

↑光学系のクモリが消えて、距離環のトルクも軽く滑らかに仕上がり、絞り羽根の開閉動作も「プリセット絞り環の操作性向上」に伴い絞り環操作が楽です。

↑ここからはこれらこの当時のMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズにみられる「プリセット絞り機構」の解説をします。よくこれを間違えて逆に説明しているサイトが意外にも多いので (前述の自ら整備してヤフオク! 出品している出品者も間違えている)(笑)、ご確認下さいませ。

上の環 (リング/輪っか) が「プリセット絞り環」になり下側が「絞り環」です。これを逆に認識すると操作の説明ができません (だから変な解説で説明しているサイトがあったりする)(笑)

また両方の環 (リング/輪っか) には必ず基準「/」マーカーが刻印されているので、その位置をチェックしておきます。上の写真ではプリセット絞り値が「開放f値f3.5」にセットされているので、絞り環は回りません (固定状態)。ちょっと上側の「プリセット絞り環」がわの基準「」マーカーが小さすぎて見えにくいですが、ちゃんと刻印されています。

↑この解説では仮に設定するプリセット絞り値を「f8」とします。上の「プリセット絞り環」側を指で掴みブルーの矢印の順番で上に引き上げてから (ブルーの矢印①)、設定絞り値「f8」まで回して ()、指を離すと価値と音がして「プリセット絞り環がf8に刺さる」ので () セットが完了します。

するとこの時各基準「/」マーカーがそれぞれグリーンの矢印の位置に居ます。だからセットしたプリセット絞り値が判別できるワケです。従って「プリセット絞り環/絞り環」の別を間違えるとプリセット絞り値を読むことができません(笑)

↑撮影する為に距離環を回してピント合わせを行い (絞り羽根が完全開放しているから)、シャッターボタンを押し込む寸前に「絞り環を回して設定絞り値まで絞り羽根を閉じる」操作 (ブルーの矢印④) を行い、希望のボケ具合で撮影しますね(笑)

この時グリーンの矢印のように各基準「/」マーカーの位置が重なっているハズです。

ここでのポイントは「プリセット絞り環は絞り環のローレット (滑り止め) も兼任している」点です。だからこそ「プリセット絞り環/絞り環」の別を間違えると操作の説明ができなくなります(笑)

プリセット絞り値を設定する時は設定絞り値にカチッと刺す為にローレット (滑り止め) を掴み、撮影時には絞り羽根を設定絞り値まで閉じる目的で「やはり同じローレット (滑り止め) を掴む」ワケです。

何も特別な話ではなく、至極撮影する時の自分の動きに適っていますね(笑)

↑撮影が終わったのでプリセット絞り値を完全開放状態に戻します。上側「プリセット絞り環」のほうを指で掴んで引き上げ (ブルーの矢印⑤) そのまま開放f値まで回して () 指を離すとカチッと音がして開放f値「f3.5」に刺さります ()。

この時、前述同様各基準「/」マーカーの位置が目安になっており、最後完全開放にプリセット絞り値が設定されたことが互いの位置が重なるので確認できますね (グリーンの矢印)(笑)

↑最初の状態と同じですが、ご覧のように互いの基準「/」マーカー位置が合致しています (グリーンの矢印) 。この時上側「プリセット絞り環」を掴んでブルーの矢印⑧方向に回しているので、撮影する時は絞り羽根が閉じていたのに今度はどうして開放になっている「???」と言う話です(笑)

なので「プリセット絞り環/絞り環」の別を間違えて認識すると説明ができなくなりますョと言っています(笑) 要はプリセット絞り値を設定しているのか、或いは単に絞り羽根操作しているのかの違いでしかありません。何故なら「プリセット絞り環が絞り環のローレット (滑り止め) を兼務しているから」ですね(笑)

ご理解頂けたでしょうか・・(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離33cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮っています。

↑さらに絞り環を回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に変わっています。

↑f値「f11」まで上がりました。

↑f値「f16」です。わずかに「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

【当方のオールドレンズ出品について】
当方によるオーバーホール済でオールドレンズを出品していますが、無限遠位置など含め0.1mm単位や10倍の精度による電子的で厳密/厳格な検査を行い微調整していません (簡易 検査具による目視検査による微調整のみ)。デジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着しお使い頂く事を前提にしている為、マウントアダプタとの相性問題が顕在する以上無限遠位置なども僅かにオーバーインフの設定で仕上げています。

それら0.1mm単位や10倍の精度の厳密/厳格な検査を期待される方は当方出品オールドレンズをご落札頂かぬようお願い申し上げます

またお届けした商品に対するクレームはヤフオク! 取引ナビのメッセージ欄でご申告頂ければどのような理由でも必ず「返品/キャンセル」をすぐにお受けしています。

商品の返送:クロネコヤマト宅急便をご利用頂き「送料着払い」で返送可能
※ご返金代金:ご指定の銀行お口座宛「商品代金+当初の送料+手数料/迷惑料」合計額を返金

ご迷惑をお掛けした、或いは返送に掛かる面倒を強いてしまったお詫びとして、ご落札者様がご納得頂ける「手数料/迷惑料」をご掲示頂き、その代金を加算した金額ですぐに返金させて頂きます。

【 お 願 い 】
フィルムカメラでの使用をクレーム対象としません (フィルムカメラで使う つもりで整備していません)。また当方に対する攻撃的な内容のクレームも
ご勘弁下さいませ (当方の性格上、すぐに立ち直れません)。
ご落札者様のご指摘内容に反論する事はありません。全てご落札者様がご納得頂けるようご指示に100%従います。