◎ mamiya (マミヤ光機) AUTO mamiya/sekor 28mm/f2.8 (black)《後期型》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、マミヤ光機製
広角レンズ・・・・、
AUTO mamiya/sekor 28mm/f2.8 (black)《後期型》(M42)』です。


今回初めての扱いになりますが、この当時のマミヤ光機製135㍉判一眼レフ (フィルム) カメラ用オールドレンズの中には、富岡光学製OEMモデルが数多く存在します。しかし今回のモデルはネット上を調べてみても製造元を確定させる情報がありません。

1966年にマミヤ光機から初めて発売された「M42マウント」の一眼レフ (フィルム) カメラが「1000TL/500TL」になり、交換レンズ群として「AUTO MAMIYA-SEKORシリーズ」が用意されました (左写真は1000TL)。

パッと見で見落としがちですが、実はレンズ銘板のモデル銘が一般的に現在市場で流通しているタイプとは異なります。つまり「MAMIYA-SEKOR」表記であり「mamiya/sekor」ではありません。これがこの当時のマミヤ製オプション交換レンズ群の中で「初期型/後期型」の最も見分けやすい特徴です。「後期型」が「mamiya/
sekor
」ですね。

この時の取扱説明書をチェックすると、用意されていた交換レンズ群の中で広角レンズは焦点距離:28mmから用意されており、モデルのバリエーションとしては初期型」にあたります。

今回扱うモデルの発売時期はこの後に登場する「後期型」になりますが、筐体をチェックすると製造元が変わったことが判明しました。

つまり「初期型」と「後期型」では筐体意匠が非常に近似しているので、同一メーカーによるOEM製産品と受け取られがちですが、決定的な相違があるのでそこから解説していきます。

なお、当方が「富岡光学製」と判定している基準の内部構造と構成パーツの要素が3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

今回扱う『AUTO mamiya/sekor 28mm/f2.8 (black)《後期型》(M42)』では、これら判定基準が当てはまります。

↑上の写真は1966年に登場した「初期型 (左側)」と、その後の1968年に発売された「後期型 (右側)」を並べて撮影しています (縮尺をほぼ合わせています)。「初期型」は敢えて今回扱うモデルと同じ色の「ブラックバージョン」を比較していますが、ご覧のようにそもそも筐体のサイズが全く違います。

↑上の写真は同じように「初期型 (左側2枚)」と「後期型 (右側2枚)」を並べていますが、筐体サイズの相違以外に決定的な製造元メーカーの違いを表す部分を解説しています。

初期型」はマウント面を締付ネジ3本で締め付け固定していますが「後期型」は横方向から「イモネジ (3本)」で締め付け固定しています。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っているネジ種

このイモネジで横方向から締め付け固定する方式を採っていたのが前述の富岡光学製「判定基準の」にあたるので、富岡光学製OEMモデルだと言えますが「初期型」は設計が違うので、富岡光学製ではありません。

また実は仕様諸元値をよ〜く見ると分かりますが、そもそも実装している光学系の枚数が互いに違います。「初期型」は6群7枚に対して、今回扱う「後期型」は7群7枚です。

↑上の一覧は、マミヤ光機からさらに後の1975年に登場するM42マウント規格の一眼レフ
(フィルム) カメラ「MSX1000/MSX500」取扱説明書からオプション交換レンズ群の一覧を
抜粋しました。

この時に用意されていたオプション交換レンズ群は「SXシリーズ」と言うM42マウント規格のオールドレンズでしたが、実はこの「SXシリーズ」はネジ込みした時に停止位置が確定するよう「専用のロックピン (棒状ピン)」がマウント面に用意されたマミヤ光機の「独自方式M42
マウント
」なのです。

左写真はその「SXシリーズ」の同じ焦点距離
:28mmですが、解説のとおりマウント面に
棒状ピン」が突出しているので、一般的な
当時のM42マウント方式フィルムカメラと
互換性がありません (ネジ込んでいくと突出している棒状ピンが突き当たってしまい最後までネジ込めないから)。

もちろん、今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼などにマウントアダプタ経由装着する際もこの突出した「棒状ピン」が突き当たるので最後までネジ込めませんし、もっと言えば解説のとおり絞り環の枠まで飛び出ている」ので、マウントアダプタやカメラボディ側マウント部の仕様によってはこの枠部分も擦ってしまい、やはり最後までネジ込めません

従って、フィルムカメラではなくマウントアダプタ経由でデジカメ一眼/ミラーレス一眼などに装着するなら、一部のマウントアダプタ (K&F CONCEPT製/Rayqual製) に関しては、M42マウントのネジ部自体が約1mmほど突出しているので、そのまま「SXシリーズ」を最後まで
ネジ込んで使えます (それ以外の場合は棒状ピン/絞り環の枠部分のいずれかで突き当たり最後までネジ込めない懸念が高い)。

つまりネット上では英語圏の情報を調べても一切案内されていませんが、そもそも「初期型/後期型」は互いにOEM生産した製造元メーカーが異なることが分かりました (なおSXシリーズは内部構造と構成パーツから富岡光学製になります/過去にオーバーホール済)。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端から円形ボケが滲んで溶けていく様をピックアップしていますが、そもそも円形ボケ自体の表出が苦手なようです。輪郭のエッジがすぐに滲んで時計ってしまうので、明確な円形ボケになりません。

二段目
発色性はやはり富岡光学製になると特に「紅色」が鮮やかに出てきます。明暗部がギリギリまで堪え凌ぐのでダイナミックレンジが相当広く、しかし画全体の印象として、富岡光学製オールドレンズの中では珍しく「骨太なエッジを伴うピント面」なので、高めのコントラストと相まり相当インパクト感の強い写真を残せます。またディストーション (歪み) もよく改善されています。

三段目
人物写真はそれほど得意と言うレベルでもなさそうです (一般的な写り)。開放f値「f2.8」なので被写界深度もそれほど浅く (狭く) なく、全体的にオールラウンダーな扱いやすいモデルです。

光学系は当初の「初期型」が6群7枚のレトロフォーカス型構成でした。右の構成図は取扱説明書の図からトレースしています。

レトロフォーカス型光学系と言うと古めかしい「甘い写り/コントラストが低い写り」として、如何にもオールドレンズ的な描写に受け取られがちですが、実際は「RETRO (後退する)」と「FOCUS (焦点)」が繋がった造語ですから、古めかしい印象を表す「レトロな」と言うコトバとは一致しません。

そもそも戦前〜戦後に於いて当時主流だったフィルムカメラはレンジファインダーカメラでしたから、バックフォーカス (後玉端〜撮像面までの距離)が短くて済む為に、当時人の目で見た自然な画角として流行っていた焦点距離「40mm45mm」あたりの標準レンズ域を基に、その光学設計を広角域まで延伸させて対応することができました。

つまり当時はクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラ用の広角レンズ専用光学設計がまだ存在しなかったのです。そこに1950年フランスのP.Angenieux Paris社
より「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」と言う世界初の広角レンズ専用光学設計を採り入れたモデルが発売され一世風靡しました。

当初「RETROFOCUS」は商標権登録されていましたが、後には世界規模で広く使われたコトバとして黙認されていますし、同じようにレトロフォーカス型光学系を設計して実装してくる 広角レンズが後を絶たなくなりました。

そして右図が今回扱うモデル「後期型」の構成図で7群7枚のレトロフォーカス型に変わっています。右図は今回バラして清掃時にデジタルノギスで計測しほぼ正確にトレースした構成図です。

すると筐体サイズがコンパクト化された為に使える範囲内でギリギリの設計を採ってきた、拘った光学系の設計だったこと分かります。特に第7群 (後玉) の大きさが大口径でまとめているので、相当自信があったのではないでしょうか。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。バラしてみれば一目瞭然ですが、冒頭の富岡光学製OEMモデルたる「判定基準の」からも分かるとおり、内部構造/構成パーツ共にこの当時の富岡光学製オールドレンズの要素を網羅しています。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒ですが、今回のモデルは焦点距離:28mmの広角レンズなので、この鏡筒だけでは光学系前群側が収まらない為に「延伸筒 (格納筒)」が用意されている設計です。なおヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑5枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

↑完成した鏡筒をひっくり返して後玉側方向から撮影しました。すると「開閉アーム」が1本だけ飛び出ている非常にシンプルな設計です。

↑距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。

↑真鍮 (黄銅) 製のヘリコイド (メス側) を、無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑同様ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。

↑取り外していた各構成パーツも個別に「磨き研磨」を施してセットしますが、必要以上のグリース塗布を避けています (必要外なグリースの塗布は再び経年劣化に拠る酸化/腐食/錆びを招くだけだから)。

マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その押し込まれたチカラの分だけカムが反応してチカラを伝達し () 先端部に用意されている「操作爪」を動かします ()。すると「操作爪」がガシッと掴んで離さないのが、前述の鏡筒から飛び出ているたった1本の「開閉アーム」ですね。

つまりマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれたそのタイミングで瞬時に「操作爪」が「開閉アーム」を操作して設定絞り値まで勢い良く絞り羽根を閉じてくれる仕組みです。

この時重要なのは「マウント目から飛び出ている絞り連動ピンが押し込まれたチカラの分だけしか伝わらない」点です。このことをちゃんと認識していないオールドレンズ使いの方々が非常に多いですね。つまりフィルムカメラに装着するならトラブルに見舞われることも少ないですが (カメラのモデルの相違があるので皆無ではない)、特に今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する際に「マウントアダプタとの相性問題」が必ず憑き纏います

具体的には「絞り連動ピン」を押し込む為にマウントアダプタ側に用意されている「ピン押し底面の深さ」が製品によってバラバラだからです (M42マウント自体の規格ではないから/マウントアダプタは近年出てきた製品だから/M42マウント規格策定時に存在しなかった概念だから)。

この「マウントアダプタとの相性問題」を理由にすると、オーバーホール/修理ご依頼者様の中には「整備の不具合の言い訳を言っている」と受け取る方が多いのも現実です (もう最近は面倒くさいので無償扱いにしてひたすらに謝ってしまいますが)(笑)

一体どれ程の方々がこれらマウントアダプタ側の問題点を、ちゃんと認識して使っているのでしょうか?(笑) フィルムカメラ全盛時代、つまりはオールドレンズが製産されていた当時には「マウントアダプタは存在せず絞り連動ピンを最後まで押し切ってしまう事は想定されていなかった」点に誰も頷こうとしません(笑)

まッ、当方の逃げ口上との認識で構いません・・(笑)

なお、グリーンの矢印で指し示した箇所にカムが突き当たってしまうと動かなくなり「絞り羽根開閉異常」を来しますが、フィルムカメラへの装着時は問題なくてもやはりマウントアダプタ経由の時にたまに発生している現象です (つまり絞り連動ピンが最後まで押し切られることを想定していない設計だから突き当たって動かなくなることがある)。

↑完成したマウント部を基台にセットします。

↑絞り環をセットしたところです。絞り環には裏側に「絞り値キー」と言う「」が用意されていて、そこに鋼球ボールがカチカチと填ることでクリック感を実現しています。ところがこの当時の富岡光学製OEMモデルではその鋼球ボールを「スイッチ環側」に用意してしまった為に、この「スイッチ環の固定位置」をミスると、途端に「絞り環のクリック感と絞り値がチグハグでどの絞り値に閉じているのか分からない」などと言う不具合に見舞われます。

例えば絞り環を設定絞り値「f8」にセットしたいと回した時、もしも「スイッチ環」の固定位置をミスっていれば「f8のクリック感なのかf11のクリック感なのかが分からない」と言う現象にブチ当たります(笑)いちいち絞り羽根の閉じ具合をチェックして「f8/f11」を判断したりしている始末です。

従って、この方式の設計を採った場合「スイッチ環」側の固定位置に神経を遣う必要が発生します。鋼球ボールとスプリングは「スイッチ環」のグリーンの矢印の麓箇所にセットされますが製産時の工程として考えれば非常にムダな人件費を食っているだけの富岡光学らしい「意味不明な設計」の一つですね(笑)

実際この当時の他社光学メーカーでは既に簡素なクリック方式を採っており、鋼球ボール (或いはスプリング) は上の写真オレンジ色矢印の位置に組み込んでしまい、鋼球ボールの位置とクリック感の位置がズレないように考慮されていました。要は「富岡光学の意味不明な設計」の一つであり(笑) 冒頭「判定基準の」になります。

↑このように「スイッチ環」がマウント面にセットされますが、その際「横方向からイモネジ3本による均等締め付け固定」なのが富岡光学製である「」であり (グリーンの矢印)、同時に唯一外部から判定できる基準でもあり、冒頭の「判定基準の」になります (但し一部のM42マウントモデルは別の設計を採っている)。

↑指標値環をやはりイモネジ (3本) で締め付け固定します。

↑距離環を仮止めしてから光学系前後群を格納して無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今回初めての扱いでしたが、バラしてみれば何のことはなく他の富岡光学製オールドレンズと同じ設計概念が随所に見られました。

なお、ご落札者様お一人様だけが分かりますが、今回の個体はおそらくこの「後期型」発売時点の第1ロットではないかと推測しています (富岡光学製オールドレンズの製造番号は1桁目が暗号化されているのでシリアル値ではない)。上の写真では製造番号部分を画像ソフトを使って消しています。

↑光学系内は非常に透明度が高い状態を維持した個体で、LED光照射でもコーティング層の経年劣化による極薄いクモリすら皆無な「スカッ!とクリア」です。経年のCO2溶解に伴う「極微細な点キズ」が特に後玉側に少々多めですが、写真には一切関係ありません。

このCO2溶解に伴う「極微細な点キズ」は、光学系の光学硝子レンズを清掃していると何度拭いても一切除去できない微細な点状が「まるで微細な塵/」のように残ってしまうのですが、以前光学硝子精製会社にお話を聞きに伺った際「経年によるCO2溶解」から光学硝子面が浸食されている事を知りました (従って何回清掃しても一切除去できません)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑コンパクトな筐体サイズに反し意外にも特大な「後玉」ですが、光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリすら皆無です (微細な点キズは少々多め)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:9点、目立つ点キズ:4点
後群内:16点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内のコーティング層には一部に拭き残しのように見えてしまうコーティング層経年劣化が見る角度により光に反射させると視認できます。3回清掃しましたが除去できません (クレーム対象としません)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・A/M切替スイッチの操作が僅かに硬めです。強めに操作しても問題ありません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑このモデルはピントの山がとても掴み辛いので、今回のオーバーホールでは敢えて「軽めのトルク感」に仕上げました。当初は過去メンテナンス時に使われた「潤滑油」のせいでとてもピント合わせできる状況にありませんでしたが、だいぶ使い易く変わりました。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に変わっています。

↑f値「f11」になりました。ここまで絞り羽根が閉じても「回折現象」の影響が極僅かなので、光学系のポテンシャルは相当なレベルと考えています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。