◎ Meyer – Optik Gorlitz Telemegor V 150mm/f5.5(exakta)

meyer-optik-logo1-220x162Meyer – Optik Gorlitz (マイヤー・オプティック・ゲルリッツ) は旧東ドイツのGorlitzで前進となる光学メーカーHugo Meyer (フーゴ・マイヤー) 社として1863年の創業になります。

現在も採用され続けている標準レンズの元祖的なレンズ構成 (前後対象) のPlanar (プラナー) や後に考案され「鷲の目」の異名を持つTessar (テッサー) などが数学者の Dr. Paul Rudolph (パウル・ルドルフ博士) によってCarl Zeiss (カールツァイス) 在籍期間に考案開発されましたが、パウル・ルドルフ博士は1918年にZeissを退職するとHugo Meyer社に移ります。Plasmat (プラズマート) を開発するなど数々の功績を残しましたがMeyerが当時既にZeissやSchneider (シュナイダー) と並ぶ光学メーカーとして高い評価を得ていたことが伺い知れますね。

旧東ドイツでは戦後1959年から光学メーカーも人民公社統合が始まりMeyerも VEB Feinoptisches Werk Gorlitz (ゲルリッツ精密光学工場公社) への編入を経て1964年には VEB PENTACON Dresden (公社) への統合にて一段落しますが、その中で唯一Meyerだけはその後1968年に VEB PENTACON に完全吸収されるまで製品の銘板に「Meyer – Optik Gorlitz」を刻印し続けて自身の名称に拘ったようです。1990年ベルリンの壁崩壊と共に東西ドイツ再統一にて PENTACON は解体され現在は Schneider 傘下になっています。

当レンズの焦点距離は150mmとは別のモデルで「Trioplan 100mm/f2.8」と言うモデルが存在しますが、1960年に発売の後期型モデルのリングボケが真円で大変美しいと言う評判で、特に「V」刻印付きの個体は市場価格も上がり (5万円前後) 現在では入手困難な状況にまで陥っています。当レンズもそのリングボケがキレイに現れる特徴を持っており、また「V」刻印付きと相まってやはり市場に出回る数が最近は激減しています。

このリングボケ自体はボケ味のひとつの表現ですから、好き嫌いが別れると思いますが、オモシロイのはシーンによってはまるで油絵のようなタッチの「絵画風」写真が撮れる点です。最近ならばデジタルな環境でそのようなフィルター処理をソフト的にかけてしまえば済むような話ですが、どことなく完璧すぎる結果に違和感を感じたりします。その意味で実写の写真として残せると言う「レンズによる描写」ならば、様々な収差や色ズレも含んだ画として曖昧な描写の中に美術的な感覚を見出したりしてしまいます。そのような事柄も影響してなのかは分かりませんが当レンズも含めて「Trioplan」「Telemegor」が品薄なのは間違いなさそうですね。あなたも絵画風タッチの写真・・トライしてみませんか?


すべてのパーツを解体した全景写真です。

ここからは解体したパーツを実際に組み上げていく組立工程写真になります。

まずは絞りユニットと光学系前群を収納する鏡筒から。

実際に絞りユニットを組み込んだ状態です。

14枚絞り羽根のキレイな円形絞りになっていますね。

光学系前群と言っても2群2枚の構成ですからとてもシンプルです。

シングルコーティングが施された「証」の「V」刻印が誇らしげです。

残念ながら前玉表裏には拭きキズが相当ありますが写真への影響は少ないと思います。

シングルコーティングの薄紫色が美しく輝きます。

こちらは後玉です。鏡筒の反対側がすぐに後群でとてもシンプルです。

光学系前群と絞り環をセットして鏡胴とヘリコイド(オス)を組み付けました。

マウント側の基台です。

距離環のヘリコイド(メス)をネジ込みます。

マウントはexaktaですので指標値が正しい位置に来るよう調整して組み付けます。

この後は先のヘリコイド(オス)をネジ込んで無限遠調整して完成です。

ここからは組み上げが完成した出品商品の写真です。

光学系内もシンプルですからとてもキレイです。

絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。14枚絞り羽根のキレイな円形絞りです。

絞り環の開放辺りで引っかかり感がありますが支障はありません。

数枚の絞り羽根が顔を覗かせています(羽根位置固定キーの穴が微妙にズレている為)

ここからは鏡胴の写真です。アルミ材の経年劣化がほぼ進んでおらず大変キレイです。

シングルコーティングが施された「V」刻印。専用金属フードも嬉しいですね。

マウントはexaktaマウントになります。指標値位置を合わせてあります。

とても小さくて可愛いですが、専用の革製前キャップがありがたいです。

革製なのでいい質感してますよ・・。