◎ Asahi Opt. Co., (旭光学工業) Super-Multi-Coated TAKUMAR 85mm/f1.8(M42)

旭光学工業のTAKUMARシリーズは、当方でのオーバーホール済出品は今回が最後となります。次回の出品予定はありません。残念ながら今後の取り扱いは見送りますので、お探しの方はこの機会に是非ご利用下さいませ。

オーバーホールのために解体した後、組み立てていく工程を解説を交えて掲載しています。

すべて解体したパーツの全景写真です。

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ここからは解体したパーツを使って実際に組み上げていく工程を写しています。

まずは絞りユニットや光学系前群を収納する鏡筒(ヘリコイド:メス側)です。

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この当時のタクマーシリーズは、当時の国内光学メーカーのレンズと比較してもヘリコイドのネジ山数が大変少ないです。ネジ山数が少ない場合は相当な精度を保っていないと「僅かなチカラ」による鏡筒の繰り出しが難しくなります。同じ頃のロシアンレンズなどが非常に多いネジ山数でグルグルと距離環を回転させて鏡筒を繰り出していたのとは大きな違いですね。しかも、そのヘリコイドのネジ山は半世紀近くを経た現在も尚、その精度を維持しています。日本のGDPが中国に追い越されて世界第3位に甘んじるようになってから久しいですが、果たして技術立国日本としての確固たる「証」が、このような処にもまだまだ顕在しているように思いますが、どうなのでしょうか・・。

絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

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絞りユニットの「メクラ蓋」にはネジ穴がちゃんと用意されており、鏡筒の外側からネジで締め付けて固定されます。別件で掲載しているヤシカ (富岡光学製OEMモデル) のレンズのように「イモネジ」で単に締め付けているだけではありません。正しいポジションで固定される仕様で作られています。

次の写真は距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

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真鍮製のヘリコイド(オス側)を無限遠位置のアタリを付けてネジ込みます。タクマーシリーズでは組み上げ後の「無限遠位置調整機能」が装備されているので楽ですね。

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鏡筒(ヘリコイド:メス側)をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションにてネジ込みます。

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上の写真で鏡筒のヘリコイド(メス側)のネジ山数が大変少ないのがお分かりでしょうか?

次の写真はマウント部になります。

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「自動/手動スイッチ」の内部パーツや絞り連動アーム、或いはカムなどを組み付けます。

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この状態で次の段階として、このマウント部を基台にセットするので、その前に光学系の前後群を鏡筒に組み付けます。

まずは光学系前群です。開放F値「f1.8」なので大きな前玉になっています。

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前玉には写真には写らないような、極微細な点キズが6点、第2群にも同様に極微細な点キズが4点目視できます。

次の写真は光学系後群です。

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後群は残念ながら固定環の固着化で解体することができず、後玉と中玉の清掃のみ実施しています。しかし外せなかった中玉の裏側に極薄いクモリが生じており (光に翳さないと視認することはできません)、バルサム切れなのか否か判明していません。ご留意下さいませ。

後玉には少々多目の微細な点キズがあります。これらはいずれも写真への影響はありませんでしたが、光が入射するシーンなどでは前述のクモリが影響を来す可能性はあります。

光学系を組み付けた後に、マウント部を基台にセットします。

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この状態で初めて絞り環を組み付けることが可能になります。

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指標値環をセットして距離環を仮付けすれば完成間近ですね。

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ここからは組み上げが完成した出品商品の写真になります。

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光学系前群は完全解体できたのでキレイになりました。

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絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。

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ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感が少々感じられる外観の状態ですが、当方の状態表示では「美品」として出品しています。

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市場にも時々出回りますが、オーバーホール済で出回ることは少ないと思います。この機会に是非如何でしょうか?

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光学系後群も後玉と中玉の清掃のみ実施しています。

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当レンズによる最短撮影距離85cm附近での開放実写です。撮影に使用しているスタジオでは、被写体に2方向からのライティングをしています。今回実写をした限りでは、中玉のクモリの影響はありませんでしたが、直接光源が入ってくるとハロが生じ易くなるかも知れません。ご留意下さいませ。

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このモデルはヤフオクでもゴロゴロと安値で出回っているので、わざわざ当方から入手頂く必要もないかも知れませんね・・しかも高い価格で(笑) しかし上記のようなオーバーホールを施した個体は、そう頻繁には出回っていないと思います。

今回は特に意識して (ワザと) ゴロゴロ市場に出回っている「TAKUMAR (タクマー) シリーズ」を採り上げて整備してみました。金属製の鏡胴で角形のローレットレに、ズシリと重みを感じられる造りの良さがまだまだ人気の的です。一通り各焦点距離でのモデルをオーバーホールした上で出品しました (残念ながら貴重な「20mm/f4.5」に関しては出品後5時間足らずですぐにご落札頂いたので今はありません)。

確かにこのモデルは (旭光学のレンズは) 数十年を経た今もなお、非常に滑らかな操作性を維持した個体が多く出回っています。当方のオーバーホールでもさらに、その操作性は改善され大変滑らかに軽いチカラで距離環や絞り環の操作ができるようになりました。しかしそのような整備済の個体を果たしてご落札頂けるのか・・??? それを承知の上で立て続けにまとめて整備しての出品です。

これはひとつの「検証」です。市場に流通量が多い日本製レンズを整備の上で出品したら、どのような結果になるか・・。この結果次第では次の同型モデルでの出品はありません(笑) それは、これだけの本数ですから相当な時間と手間を掛けての出品です。やはり「価格優先指向」なのか、それとも整備された個体にも「魅力を感じられる」のか・・検証です。

残念ながら、旭光学工業の「TAKUMARシリーズ」 の取り扱いは今回が最後とします。お探しの方は、オーバーホール済の個体を入手されるチャンスですので、是非ご検討下さいませ。