◆ Ernst Leitz Wetzlar (エルンスト・ライツ・ヴェッツラー) Elmar 9cm/f4 (black & chrome)《第2世代:1941年製》(L39)

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今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するもでるは、戦前ドイツは
Ernst Leitz Wetzlar製中望遠レンズ・・・・、
Elmar 9cm/f4 (black & chrome)《第2世代:1941年製》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のErnst Leitz Wetzlar製中望遠レンズ域で括っても僅か2本目の扱いです。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜り、
ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います

実はつい先日同型モデルの「1935年製」個体を扱ったばかりですが、引き続き2本目の作業になます。前回の個体の製造番号から換算するとこの「Elmar 9cm/f4」だけの製産数で数えて「308本後に製造された個体」と言うことができますが、実は1935年と1941年の僅か6年のタイムラグで変化した事実を2つ掴みました(汗)

・・こういう事実は、実際に完全解体してみないと全く掴めませんね(汗)

1つ目は、製品重量の違いとその根拠です。「1935年製の重量271g」に対し、今回扱う「1941年製の重量234g」と僅かですが「37gの減量」を確認できたワケですが、これは計測ミスではなく(笑)「内部構成パーツの一つが黄銅材からアルミ合金材へと変わったから」と指摘でき、こんなどうでも良い発見ですが、当方にとっては「おぉ〜!」と唸ってしまう変遷だったりします(笑)

・・当方は外面では掴めないこういう発見が、とってもトレジャ〜!(笑)

1935年にしろ1941年にしろ、いずれも戦前〜戦中のタイミングだったことは間違いありません。1930年に「初期型」たる、巷で「ファット型/ダルマ型」と呼ぶモデルが初めて登場しますが、その時の年間製産台数は「一定数」を保っていません。

一方で1933年から登場した「第2世代」(今回と前回に扱っているモデルバリエーション) の製造は、年間で千台〜4千台辺りを保ち、凡そ千台/年が多く1945年の敗戦まで向かいます。

戦争に突入する1939年直前の製産数が4千本にまでピークを迎える一方、1941年以降激減し、1943年〜1944年には「年間生産台数0台」に至ります(汗) 敗戦後すぐの1945年は終戦時でありながらその年に千台を製産している事実からすると、直前の2年間に製産を停止していた理由は「軍需品を最優先していたから」との妄想が適いますが、その時おそらくは内部の構成パーツをそのまま温存していたのではないかと考えられます。

・・その背景がちゃんと歴史として残っています(汗)

1941年以降に製産台数が激減した理由は、歴史をみる限り旧ソビエト連邦への侵攻が大きく影響したのではないかとみています(汗)・・それはヒトラーの予想に反してモスクワ直前で頓挫してしまい、以降旧ソ連軍の猛反撃を食らったからとも妄想できます(汗)

その意味で、1943年〜1944年の2年間は、とても製造を続けられる猶予すら存在しなかったのではないかと思います・・実際、この2年間のヴェッツラー市 (ヘッセン州ラーン=ディル郡) に対する連合国軍による爆撃は熾烈を極めますが、旧市街地が爆撃を免れていた為にErnst Leitz Wetzlarの存続は大きく運命が変わったのではないかと捉えています(涙) これが温存していた構成パーツを使い終戦の年にすぐに千台の製産数を実現できた背景ではないかと妄想しています (実際に資料などから検証した話ではありません/今後引退したらゆっくり調べてみたいと思います)。

ちなみに今膨らんでいる妄想の一つとして興味関心が強い内容があります(笑) 当時戦時中にライカが供給を義務付けられていた先がドイツ陸軍だったことから (海軍ihagee EXAKTA/空軍robotなど) 主体的に製産していたのは、もちろんレンジファインダーカメラの本体に合わせて標準レンズ広角レンズではないかと容易に推察が適います。例えば空軍でも爆撃機に実装される「射爆照準器」は中望遠レンズや望遠レンズではなく「爆撃目標地点の手前から照準を合わせる」のが標準的な水平爆撃手法とすれば、それは広角レンズの役目だったと推察できます(汗)

すると確かに戦時中に中盤から今回扱った「Elmar 9cm/f4」の製産数が激減した理由にも繋がるように妄想できますが、実は当方は映画鑑賞が大好きなので、以前観た当時戦時中の記録映像の中で「ドイツ陸軍将校 (おそらく国防軍所属) が双眼鏡ではなく何か小さな望遠鏡を覗いて様子をうかがっていたシ~ン」を記憶しています (もちろん白黒フィルムです)。

その時、多くの記録実写で使われていたのが双眼鏡だったのに、そのシ~ンで小さな望遠鏡を使っていることに違和感を覚えた記憶があったのです(汗)

今回その時に使っていた小さな望遠鏡の真偽について、ようやく核心に迫れたのではないかとの妄想に辿り着きました!(驚)

←その妄想を育んでくれたのが(笑)、左の特許出願申請書です。DE767287C (1939-07-12)』ドイツ特許省宛て出願で、3群4枚テッサー型光学系に対するガレリオ式望遠鏡方式の接眼レンズ発明になります。

まさにこの発明案件が「Elmar 9cm/f4」を望遠鏡として転用できる話に結びつき、もしかしたらあの記録映像に登場した小さな望遠鏡だったのではないかと、妄想を膨らませる結果になりました(笑) 是非とも引退後に時間ができたら、実際に使われていたシ~ン別にライカ製オールドレンズの素性を探ってみたいと思っています(笑)

逆に指摘するなら、このような発明案件を通過させていたくらいですから、実際にこの接眼式レンズが製産されていた可能性が捨てきれませんし、もしかしたら「Elmar 9cm/f4」も間違いなく転用されていたのかも知れません(汗)

すると3群4枚テッサー型光学系を実装していた裏付けの一つにもなり得ますし (少々こじつけがましいですが)、望遠鏡にも転用できるとなれば「単に遠方を観る」ではなく「できるだけ精緻に確認する」に主体を置いていたとの憶測すら適い、まさにこのモデルの描写性能に合致するが故に当方の妄想も膨らみ続けている始末です(笑)

自分勝手に妄想を膨らませているにすぎませんが(笑)、然し当時そのように様々な使い方で活用されていた中望遠レンズなのだとすれば、それがどんなに愉しいロマンなのかと言う話であり、十分に酒の肴になってしまいます(笑)・・しかもこんなにちっちゃくて、然し緻密な描写は図り知りません (単なる緻密だけに終わらず、空気まで写し込むリアル感が伴うのが使い勝手の良さに繋がっていたのではないかと妄想できるから)(汗)

もしもあの記録映像に写っていたのが「Elmar 9cm/f4」なら、まさにそのリアル感こそが最前線で求められていたハズだからです (例えば道の先の木陰に待ち伏せされていないかどうかなど、妄想が絶えません)(笑)

話が長くなりましたが、2つ目の事実は光学系第3群の設計変更です・・とは言っても、デジタルノギスで計測すると、光学硝子レンズの設計変更は行われていなかったように判定しました (単に製品設計で格納筒の切削が大きく変わっただけ)。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はElmar 9cm/f4 (black & chrome)《第2世代:1935年製》(L39)』のページをご参照下さいませ。

内部構造は同じ「第2世代」との憶測どおり、全く前回扱った「1935年製」個体と変わりありませんが、一部構成パーツのみ設計変更、或いは製品設計が確認できました。

↑上の写真は前回扱った「1935年製」個体の掲載写真から転用したヘリコイド群の写真です。この時の個体は「全て黄銅材」なのが分かります。

↑一方今回扱った「1941年製」個体は、上の写真のとおり中央の「ヘリコイドメス側」のみアルミ合金材削り出しに製品設計を変更しています(汗) 採取ゥ的な組み上がり後の総重量で「34gの減量」に居た蔦根拠が、まさにこのアルミ合金材ーの変更分ではないかとみています。

↑上の写真も前回掲載した写真からの転載ですが、光学系後群側の第3群後玉をヒックリ返して撮影している写真です (写真下側が後玉の露出面側方向)。

赤色矢印は前回の個体固有の問題だったのでここでは説明しませんが、同様に今回の個体も「反射防止黒色塗料」が塗りまくられていたので、完全除去しています。

↑こちらが今回扱った個体の同じ光学系第3群後玉です (同じ向き)。カタチが変わったことがこれで分かりますが、冒頭解説のとおり光学設計を変更している形跡は確認できませんでした(汗)

この光学系第3群を格納する際に絞りユニットの裏側に干渉するなどの問題を一切抱えていない製品設計と光学設計なので「そもそもカタチを設計変更する必要性が無い」ことから考察するに、おそらくは光学硝子材の種類を変更してきたのではないかとみています・・その根拠は、光学硝子材を変更したにもかかわらず光学設計をイジっていないと言うことは「単に成分配合面で硝子資材調達に問題が起きた」故に、ギリギリ性能を維持できる範疇で硝子材を変更したが為に、モールド一体成型時の圧力に対し耐えられないことから製品設計を変更してきたのではないかと考察しています (単なる当方の妄想範疇を超えず、何等証拠になる資料など残っていません)(汗)

封入圧力を下げるべく、黄銅材の肉厚を変更してきた要素に着目しているだけなので、実のところよく分かりませんが、少なくとも戦時中真っ盛りの「1941年製」とのタイミングを捉えれば、あながち妄想だけに留まらないとも言えそうな気がします (その分、ライカがドイツ陸軍に供給していたライフル小銃用の照準器に使う硝子材のほうが最優先された経緯は捨てきれません)(笑)

それはそもそもこの後玉が2枚貼り合わせレンズなので、屈折率の関係性からクラウンガラスとフリントガラスの両方を必要とする分で、資材の調整が求められてしまったのは十分考えられる話だと思うからです(汗)

その分もしかしたら描写性能の一部を犠牲にしている可能性すら捨てきれていませんが、そのような話はネット上の何処にも載っていません(笑) 何しろ戦争となれば常識など一切存在しないので、何が起きていても不思議ではありませんね(汗)

↑実は今回扱った個体は瑕疵が生じていました(涙)・・絞りユニットの中の構成パーツの一つで「位置決め環」の固定位置が全く合致していないのです(驚)

位置決め環をチェックすると、側面に残る「2つの締付ネジ用のネジ穴」は筐体外装から見える位置に締付ネジが締め付け固定される為、その位置を変更する意味がなく、合わせて両サイドに締め付け固定するとなればネジ穴の一目瞭然まるで均等です。

ところが絞り環をセットして上の写真の「連結ネシ」をネジ込むと、最小絞り値まで絞り環が回らず「f18」で停止してしまうのです(怖)

まさかそんな状況に陥っているとは予測もしていなかった為、或いはそもそも筐体の絞り値刻印で「銀象嵌が既に腐食していてよく見えていなかった」ために、当初バラす前時点での確認を怠っています・・大変申し訳ございません!(涙)

上の写真はその「絞り環と絞りユニット内の開閉環との連結用ネジ (両サイドに1本ずつ)」を撮影していますが、よ〜く観ると「赤色矢印の方向に傾いている/曲がっている/変形している」ワケで(汗)、ネジ込んでいてネジ込む回数に従い抵抗/負荷/摩擦が増えたり減ったりする指に伝わってくる妙な締めつけ感に「???」になり、ようやく気づきました(汗)

つまり最小絞り値側で絞り羽根が閉じきらないので (f18で止まってしまうので) 回そうと試みてチカラを入れ、ムリに回していた結果の変形ではないかとみています(涙)

ライカ製オールドレンズで使われる多くのイモネジが上の写真のように「ネジ部の先端に円柱の突出を伴う」ネジ種ばかりなので、一般的に使われる (左に掲示した) 写真の「尖頭式イモネジ」のタイプとはまるで別モノです。

つまりライカの場合は、ネジ込み先対象は「単なる穴」の切削なので、どの位置でネジ込みが停止しても対象先は影響を受けないという徹底的な配慮なのです(驚)

こういう細かいネジ一つにまで追求を怠らない、その徹底的な思想に本当に畏敬の念を覚えます!(涙)

結果、どう考えても「この個体に適合しない位置決め環」或いは「鏡筒なのか絞り環なのか開閉環なのか」分かりませんが、鏡筒と絞りユニットとの整合性が執れていないとしか考えられません(泣)

従って仕方ないので、位置決め環に別の位置で穴をドリルを使い開けて締め付け固定し、ようやく適合する絞り羽根の開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) に合致し納得できました (閉じ具合を見ていけば自ずと明白になる道理)。

↑上の写真は今回の個体の光学系第1群前玉と第2群とのネジ込み具合を撮影していますが、やはり過去メンテナンス時にマーキングされており、その位置が「反射防止黒色塗料」の完全除去、及び当方の手による『磨き研磨』の結果、ご覧のようにズレてキッチリ最後までネジ込めたのが分かります (赤色矢印)。

ちなみに光学硝子レンズのコバ端に浮き領域が現れているのは、これら光学硝子レンズが黄銅材にモールド一体成型であるにも関わらず、経年の中で黄銅材の熱膨張/収縮の影響を受けた結果として「コバ端塗料が剥離してしまった/浮いてしまった」ワケであり、もしも仮にこのモールド一体成型を解体することができたなら「内部にちゃんと塗料の一部が残っている」と指摘でき、決して剥がれ落ちて消失している話ではありませんね (モールド一体成型なので当たり前の話)(笑)

従って逆に言うなら、これらコバ端の浮きは過去メンテナンス時に整備者による所為ではなく「製産時点からの経年の中で自然に剥離していった」との納得に至るので、せめてもの「心の健康」程度のお話です(笑)

↑組み上がった鏡筒を前玉側方向から撮影しています。前玉表層面に写る模様は、コバ端の浮きの反射です。また前回暑かった個体同様「光学硝子レンズの表層面に虹色の光彩が確認できる」点で、いくらノンコーティングとは言え、素のままの光学硝子材が切削研磨後にそのまま露出して出荷されているとは考えにくいですね (その根拠などについては前回の掲載時に説明しています)(笑)

↑同様ヒックリ返して後玉側方向からの撮影ですが、赤色矢印で指し示しているように、光に反射させると後玉表層面に劣化が視認できます(汗)

その意味では確かにノンコーティングであり「入射光の反射をできるだけ防いで透過率を上げる」狙いのコーティング層は蒸着されていないものの「その目的/狙い以外の何か」が蒸着されているのではないかとみていますが、残念ながら未だそれを明示する特許出願申請書の発見に至っていません (あくまでも光学知識皆無な当方の妄想範疇に留まります)(涙)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。仕上がり具合は前回扱った先日の個体と大きく変わりありませんが、今回の個体が当初バラ前時点で「酷いトルクムラ」と「グリース切れ」が起きていた分、その影響が特に「直進キーとそのガイド/溝」部分に現れているようです。

再現性が低いので判定表には明記しませんが、距離環を回していると時々トルクムラと言うか抵抗/負荷/摩擦を掴んでいる指が感じ取る場合があります・・申し訳ございません。

これを改善できない理由は「ヘリコイドの条ネジの瑕疵なのか、直進キーや直進キーガイドの瑕疵なのかの検査と判定ができない」からです・・申し訳ございません。レーザー光線で検査する機械設備を使わないと調べようがないと思います (当方ではムリ)(汗)

↑例によって今回の個体も光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。但し、前述の後玉表層面の劣化が相応の領域で残るので、それが多少なりとも影響を来し描写性としてコントラストの低下を招いている懸念は残ります(汗)

↑その描写性への影響度合いを計測する機械設備も手法も無いので、やはり当方では断定できかねます・・申し訳ございません。

↑15枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に真円の円形絞りを維持」しながら閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

しかし前述の通り、再現性低いものの「トルクムラ」と「抵抗/負荷/摩擦」を感じる場合があることを確認済です・・申し訳ございません。

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

ちなみにこのような「減額システム」は「納得できないモノにお金を払いたくない」とのご依頼者様の思いを尊重して設けていますが、その一方で当方にしてみれば「ヤレるだけのことはヤッた」或いは「決してごまかさずに最後まで改善を追求した」結果残ってしまった瑕疵なので、それについてもしも減額されるなら「当方とのオールドレンズ整備に係る意思疎通が適わない」相手と当方は捉えブラックリストに登録し今後の一切のご依頼をご辞退申し上げます。場合によっては『無償扱い』を当方より進言し、一切お金の支払を拒否します!(怒)

・・オーバーホール/修理に係るご依頼者様と当方の『50 vs 50』というスタンスです。

逆ギレしていると言われますが、そもそも「お客は神様」を『是』と捉えていないのが当方のスタンスなので「できないと言っている事柄にクレームしてくる人間相手に商売しているつもりは無い」点を、ここで明確に告知しておきます (そもそも商売のつもりもない)!(汗)

それはちゃんと事前に『オーバーホール/修理ご依頼受付フォーム』冒頭で告知しており、一般の方からのご依頼も受け付けるようになったとホンネで申し上げており、当初からオーバーホール/修理を賜っていたワケではありません!・・純粋に皆様からのご要望があまりにも多かった為にスタートしたのが始まりです (従って商売目的ではない)(汗)

ではオーバーホール/修理後にご返却した際「ご請求金額」が付随するのはどうしてなのかと言えば、それはあからさまに「作業対価でしかない」ワケで、それを指して商売している/営業していると受け取る人達とはお付き合いしたくないと言っているのです!

・・クレームする人はプロのカメラ店様や修理専門会社様宛て整備依頼されるのが最善です。

では当方の整備がそういうプロのカメラ店様や修理専門会社様などとどのように違うのかと言えば「完全解体が大前提で可能な限り製産時点を目指す」点に於いて、そもそもオーバーホール/修理に対する概念の角度が別モノです(笑)

・・それを一緒くたにしてくる人達には、徹底抗戦します!!!(怒)

実際このような内容の話は、昨年末来起きていたクレームに対する事件に対し、数人の方々 (特に物理や理工学系のお仕事の方や医師の方、或いは研究者の方や写真家の方々など) から似た内容で支援メールを頂戴したのが大きな支えになっています (ありがとう御座います)(涙)

↑残念ながら組み上がった仕上がり状況を比較すると、先日アップした「1935年製」の個体のほうが、当方的には納得できる要素が圧倒的に多いように受け取れますが、当初バラす前時点の今回の個体の状況からすれば、当然の如く想定範囲内の仕上がり状況なので、これはひれでアリと認識しています(汗)

なお筐体外装の多くの不文を再着色していますが、使っているうちに剥がれてきます (メッキではないから)。 また前玉外周部分も着色しましたが、不ずくしていた純正フードが被せ式の為、おそらく装着がキツクなると考えられ、その際着色も剥がれてしまうと思います(汗)

↑例によって当方所有RICOH製GXRにLMマウント規格のA12レンズユニットを装着し、ライブビューで無限遠位置の確認等行い、微調整の上仕上げています。その際使っているのは「Rayqual製変換リング (赤色矢印)」です。無限遠位置は「∞」刻印ピタリの位置でセットしています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離90㎜開放F値f4.0被写体までの距離78m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度39m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、40m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の80m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑今回装着して実写していませんが、純正のスライド式金属製フードで『FIKUS』です。標準レンズ域の「Elmar 5cmシリーズ」から「Elmar 13.5cmシリーズ」までをカバーしている、とてもありがたい純正フードです(涙)

もちろんシルバークロームの光沢メッキが施されている真鍮材/ブラス材部分は「磨き入れ」し、剥がれていた箇所も再着色しています。また内側のシルバーな押さえ込板も「平滑研磨」しています(汗)

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4.5」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f6.3」での撮影です。

↑f値は「f9」に上がっています。

↑f値「f12.5」での撮影です。おそらくこのモデルではこの絞り値がピークの写りに見えます。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めます。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑f値「f18」での撮影です。

↑f値「f25」です。

↑最小絞り値「f36」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。明日まとめて厳重梱包しクロネコヤマト宅急便で発送させて頂きます。

なお、もう1本OLYMPUS製OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm/f2 (OM)』については、大変申し訳ございませんが「相当な気合/気力を回復してから出ないととりかかれない超高難度のオールドレンズ」なので、また後日心の準備が整い次第オーバーホールに入りたいと思います・・申し訳ございません。

どうぞよろしくお願い申し上げます。