解説:着眼点の違い・・『磨き研磨』

いつもお世話になっている当方のファンの方から、問い合わせメールを頂戴したので、ここで解説したいと思います。

当方は高卒上がりで社会に出たので、頭の回転が悪く(笑)、ブラスして『文化系思考しか持たない人間』なので、とても褒められるような身の上ではないのですが(汗)、実は大変ありがたいことに、当方を懇意にして頂くファンの方々の中には、今現在も現役で、最前線でバリバリに奮闘していらっしゃる「医療関係の先生方」の他、大学の「助教授/講師の方」や「研究機関の方」さらには「物理学者や数学者、専門分野の学者の方々」に合わせて、当然ながら以前に大変お世話になった「金属加工会社の社長さん」はもちろん「工業用光学硝子精製会社の部長さん」などなど、とても当方のような人間が対等に口をきけるような業界の方々ではない一握の方々に、常日頃、影に日向に当方を支え、励まし、チカラを与え、勇気を頂くメールを送信して頂く神々しい方々がいらっしゃいます(涙)

・・まさに13年もの間、挫けずに来られたのも、これら皆様のお陰で御座います!(涙)

毎年毎年、正月の元旦に、ここのブログで年頭のご挨拶をアップする際、欠かさずお世話に
なってきたことに心から感謝し、お礼の言葉で心の中が充たされる年明けを迎えています(涙)

・・本当に、ありがとう御座います!(涙)

早いもので、今年ももう半年が過ぎますが、特に今月に入ってからの暑い日々の中で、さすがに呼吸が上がり、睡眠障害も酷くなり、体調が悪化してしまい、現在ほぼ丸一日中横になって休んでいる始末です (暑いのにつま先は冷えまくっていて眠れない)(汗)

どうも暑い夏場よりは、寒い冬場のほうが、まだまだ過ごしやすいと言うか、生きられる思いが増すような感覚があったりします(笑) その意味で、あと何回暑い夏を乗り切ることができるのか、甚だ自信を失っているような昨今で御座います(汗)

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届いたメールの内容は、最近ヤフオク!で多くなりつつある「分解整備済」を謳ったオールドレンズの出品者が掲げる、出品ページ記載内容に関するお問い合わせです。

今回お問い合わせ頂いた方とは全く別の人が、或るヤフオク!出品者の「分解設備済」について、その整備の際に処置している「金属研磨」と、洗浄時に使う「中性洗剤」に拠る、将来的な部品の影響度合いについて質問したらしいです。

今回お問い合わせ頂いた方が送られたメールの問い合わせ内容は、そのヤフオク!出品者の「答え」が出品ページに掲載されていた事に対する、当方への問い合わせでした。

そのヤフオク!出品者の出品ページと、さらに今回のその「答え」を読むと、どうやら当方のDOHを真似ているのではないか・・との推測で、今回お問い合わせ頂きました。

教えて頂いたその参照先を見ると、確かに当方のDOHを真似ているようにも思いますが
今回お問い合わせを頂いた方の感想は「何だかその処置内容に違和感を感じている」らしく、その点について当方の意見を聞きたいような印象でした (気を遣ってダイレクトには当方の返答を要求しない、いつもながらのお優しい方です)(笑)

その「違和感」の一つは、その出品者が現在ヤフオク!に出品しているオールドレンズの、内部構成パーツに施した「金属研磨」に対するご感想です。その出品者が施す処置は「5µmの酸化アルミニウム微粒子が石油系由来のペーストに混ぜた金属用研磨剤を使い磨いている」とのことです (出品ページ記載内容から引用)。

オールドレンズ内部のアルミ合金材削り出しによる構成パーツに対して使う金属用研磨剤が「酸化アルミニウム」なので、それこそ同系の金属質のように受け取られがちですが、実は「酸化アルミニウムは金属ではなく材料」なので関係ありません(笑)

この点をそのヤフオク!出品者も理解していてちゃんと使っている事が出品ページの解説から窺えます。

要は化学式「Al2O3」の「酸化アルミニウム (Aluminum Oxide:アルミニウム オキサイド)」を指し、巷で「アルミナ」と呼称されるセラミックスの中で最も頻繁に多用される材料の一つで、白色、或いは象牙色で、且つ天然としてはコランダムやルビー、サファイアとして産出し
アルミニウム金属精製時の原材料の一つとして使われたり、まさに今回のような硬度を生かした「研磨剤」或いは高融点からの「耐火材」として混ぜる使い方も一般的です。「研磨剤」として使うには高温度帯で焼成した後、粉砕し結晶のカタチを狙う粒子状まで整えてから使う
ようです。

そのヤフオク!出品者はヘリコイドネジ山 (オスメス両方) を研磨しているらしく、ヘリコイドネジ山の山谷全てが平滑に至り、ザラザラ感消えたトルク感に仕上げられていると出品ページで説明しているようです。

実は当方もこの出品者のヤフオク!出品状況を知っていて、その金属研磨の内容に関心がありましたが「当方の答えとしては、さらに拡大しないよう警鐘を鳴らす程度に留める」と言うのが今のところの捉え方です(笑)

↑上の写真は、今現在オーバーホール作業中のオールドレンズ個体から取り出した「ヘリコイドのオス (右) メス (左) 両方」です(笑) 左側のヘリコイドメス側が「黄銅材」であり、右側ヘリコイドオス側が「アルミ合金材削り出し」です。

どうして黄銅材とアルミ合金材と2つの金属材で分けて切削した設計にしたのか??? 或いはもちろんこの後の時代になると「同じアルミ合金材同士のヘリコイドオスメス」で造られるように技術革新が進んだりします(笑)

・・実は金属質の違いも「磨き研磨」にはとても重要な要素だったりします(笑)

↑さらに上の写真は、アルミ合金材削り出しのヘリコイドオス側のネジ山部分だけ拡大撮影していますが、写真スキルがド下手なので上手く撮影できておらず、大変申し訳ございません(汗)

赤色矢印で指し示している場所は「ヘリコイドネジ山の頂上部分」であり、その一方グリーン色の矢印で指し示している場所は「ネジ山の谷部分を含めた斜面」を意味しています。

ネジ山なので、ヘリコイドのオスメス互いに凹凸が切削されていて「山谷」に分かれるのが
ネジ部ですね(笑)

上の写真で解説したかったのは「ネジ山の頂上部分たる山 (赤色矢印) を当方の手により磨き研磨を施した」ものの、実は「谷の方向に向かっては斜面の途中までしか磨き研磨していない」ために「グリーン色の矢印で指し示している斜面の途中〜谷底までは磨き研磨していない」のを撮影しています(笑)

従って、本当は現ブツを目視すれば一目瞭然なのですが、ヘリコイドのネジ山で「山部分はキレイに磨き研磨されている」ものの「谷部分はところどころが白っぽく残っている」のが当方のDOH処置です(笑)

逆に言うなら「ネジ山の山谷全てを磨き研磨していない」ワケですね(笑)

これには理由があり、まさに「ネジ山の原理/道理」であり、例えばネジ山の「山部分ピッチ」とし「山と山との距離リード」とした時「ピッチ÷リード」となり、ネジが1回転した時に進む距離をリードと捉えるので、その時の移動量を指して「1条 (1倍ピッチ) 2条 (2倍ピッチ) 3条 (3倍ピッチ)」と言う関係になります。

つまり山谷の関係はその回転量 (移動量) も関係しますから、必ずしも山谷全ての面で100%互いが接触している必要がありません。ここに移動する時のチカラの加減が現れ、進む方向性が加味されていきます (いわゆる直進動の動き方)。

実際、ネジ山の状態をネット上でいろいろ調べれば解説がいくらでも出てきますが、山谷の双方のネジは100%全ての面で接触していないのが明らかです・・ちなみに、ここにも問題が残っていて「その非接触域のエイジング処理」と言う話もあったりします。

するとオールドレンズで言うなら、距離環を回して内部の鏡筒を繰り出したり、或いは逆転させて収納したりの動き方を意味します。

その方向性/移動量が必ず関わるのが「トルク」なので、人の手の指から伝わる、非常に少ないチカラの量だけで鏡筒を滑らかにスムーズに繰り出し/収納させる時、実は「その操作を何の為にヤッているのかと言えばピント合わせ以外の何物でもない」話なのであり、単なるボルトや小さいネジのネジ山の話をしているのではありません (要は締め付ける時のチカラ加減の話をしているのではない)。

・・先ず、この点を見間違うとこのヤフオク!出品者のような話になります(笑)

ヘリコイドのネジ山は「山谷の全ての面で100%接触しきっていない」ことをその原理/道理としてしっかり正しく捉えるべきですね(笑)

すると今度は「100%接触していないなら、なおさらに100%全てを磨いても関係ないではないか」と来ますが、今度は今回お問い合わせ頂いた方の「違和感」の話に物語が向かっていきます。

当方が言いたいのは「はたしてその磨いてしまった斜面〜谷部分エイジングはどうしているのか???」です(笑) 上の写真で「白っぽく見えているのはキズや削れてしまった痕ではなく酸化した場所」なのです (つまり長年互いに接触していなかった場所)(汗)

その酸化していた場所までもしも仮に「金属研磨」したのなら、ちゃんとその場所まで「エイジング処理」しないと将来的な部品の状態を担保できません(怖) 何故なら、このヤフオク!の出品者もちゃんと自分の出品ページに明記していますが、経年の中で摩耗した金属粉などがそれらネジ山の谷部分に残ると (自分で) 述べています(笑)

ところが、当方の技術スキルはチョ〜低いので(笑)、「斜面〜谷部分まで磨き研磨してもエイジング処理できない」ために「山〜斜面の一部だけ磨き研磨している」次第です(汗)

従って上の写真のように「一部白っぽい場所が残ったまま」であり、その「白っぽい場所は
経年の使用で酸化した場所のまま残している
」詰まる処、な〜んにも処置してないのです(笑)

それはそもそも数十年・・半世紀以上の時間を経て酸化が進んだのに、それ以上拡大していない最大の理由は「互いに接触していない場所で、且つグリースが被さっていたから嫌気状態に限りなく近かった」とも指摘できます。そのように捉えるなら、或る意味経年に拠る酸化によって金属材側から捉えるなら「むしろ保護してくれていた場所」とも言え、ヘリコイドグリースが被さってオスメスのネジ山の関係性で保護され続けるなら、それ以上の酸化を招かない場所とも受け取れそうです (半世紀を超えて再び酸化が促進される与件を新たに与えない限り、それ以上の酸化の進行は無い)(汗)・・要はな〜んにも手を加えないのが良いのです (頭が悪いからそう言う安直な発想にしか到達し得ない)(笑)

・・ネジ山の原理/道理を尊重して、ムリヤリ何でもかんでも研磨しきらない(笑)

実は、これはライカショップに連れて行ってもらい、新調したライカカメラとレンズを (ありがたいことに) イジらせてくれた人が昔居たので(涙)、その時のレンズの感触を当方自身の脳が記憶していて「新品なのにツルツルのツ〜ツ〜のトルク感ではなかった」が為に、そのトルクの感触を狙って当方のオーバーホール作業でも参考にしている次第です (ぜ〜んぜん近づきま
せんが
)(汗)

例えばこれが「動画撮影に使うオールドレンズの操作性」なら、逆にツルツルでツ〜ツ〜のトルク感のほうが「距離環を回す操作音が音声に入らない」とも指摘できるので、そう言う部分にまで配慮して作業を進めているのが当方のオーバーホールだったりします (たま〜にそう言う人から依頼が来ます)(汗)

↑上の写真2枚も、今作業しているオールドレンズの個体から取り出したモノですが「マウント部」です。するとご覧のように赤色矢印で指し示した箇所は「平滑に近い光沢メッキ加工」であり、一方グリーン色の矢印で指し示している箇所は「完璧な平滑面」です。

相手が「メッキ加工」なのか無垢のアルミ合金材削り出し部分なのか、その違いによっても「磨き研磨」の内容は変化します。

↑上の写真2枚も同じく個体から取り出した光学系前群格納筒 (右) と後群格納筒 (左) ですが、それぞれでメッキ加工が全く違います。

赤色矢印で指し示している箇所は「限りなく平滑に近い光沢メッキ加工」である一方、グリーン色の矢印の箇所は「完璧な平滑面」である必要性が担保されなければイケマセン (但し決して駆動系ではないので真の平滑面ではない)。さらにブルー色の矢印で指し示している箇所はその反対で「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」であり、要は経年劣化進行に伴う揮発油成分の侵入を嫌う箇所でもあります(怖)

特にブルー色の矢印の箇所は、そこに光学硝子レズが「落とし込み方式」で格納していく場所なので「平滑性の担保」が求められるのであり、それはまさに光学硝子レンズの光路長適正化の第一歩みたいな話です (だから駆動系ではない)(笑)

逆に言うなら、どうしてそのように表層面のメッキ加工を違えて設計してきたのか??? はたして「金属用研磨剤」でそれらメッキ加工の目的と役目は維持できるのか??? もっと言えば「処置の影響はどう捉えているのか???」ではないでしょうか。

ところが上の写真の光学系前群格納筒 (右) と後群格納筒 (左) 共に同じ金属材たるアルミ合金材削り出しパーツですから、それをもしも仮に「5µmの酸化アルミニウム微粒子が混ざった石油系由来のペースト」で金属研磨してしまったら、いったいどのような懸念が近い将来的に残るでしょうか???(怖)

・・今回問い合わせしてきた方の「違和感」とは、そう言う内容だったのです(涙)

さすが考察が鋭くてオドロキでしたが(汗)、まさに仰る通り当方の磨き研磨は金属材の違いと共に、合わせてその目的や役目まで見合わせて処置しているので、全てが同一の研磨処置には到底成り得ません(笑)

もッと言うなら、例えば内部で使っている「ネジ類」さえも金属材の違いがありますし、ネジ頭のカタチすらちゃんと意味があり、その目的と役目に従い使います。よく多い過去メンテナンス時の整備者の所為に「皿頭ネジに一生懸命固着剤を塗布しまくっている整備者が居る」など、このブログでも何回も登場しますが(笑)、要はネジの使い方を理解していないから、適切な所為になっていません(笑)

そもそも「固着剤」の使い方すら間違っているので、整備者の方々は少なくとも新品の今ドキのデジタルなレンズを一本自分で買って、完全解体して中身を確認してみたらどうなのかと
思いますね(笑)・・はたして製産時点の「固着剤」の使い方とは???(笑)

例えばトーションバネ (捻りバネ) も、完全に左右が同一な「ハの字型」なのか、左右の片方だけが長いのか、どうしてそのカタチに設計してきたのか??? このブログでもご紹介していますが、過去メンテナンス時の整備者の中には「トーションバネ (捻りバネ) の左右を固着剤で固めてしまうバカが居る」のも何度も現れます(笑) その結果、本来のトーションバネ (捻り
バネ) の役目が果たせず、可哀想にトーションバネ (捻りバネ) が及ぼすチカラの方向性が逆転してしまい、結果的に設計者が狙った動き方に仕上がっていません(汗) しかもその結果新たに現れた不具合をごまかすために、今度は自ら所為を加えて別の部位のパーツを曲げたり削ったりと「ごまかしの整備」に余念がない始末です(汗)

オールドレンズの内部とは、そのように様々な部品やパーツが介在して、結果的に組み上がり、人の手に掴まれて操作され、製品としての目的を達成する道具なのです。如何にも操作性良く仕上げるのが目的の如く謳っていますが、それらヤフオク!出品者のやっている所為は「全く以て中途半端な内容」であり、その場限りの表面的な目的の為だけに「分解設備済」を謳っているようにしか・・残念ながら当方には見えません(笑)

・・何度も執拗に述べますが、当方の目的は「製品寿命の延命化」以外あり得ません!

その目的を達するには「100%の完全解体」と共に「本来在るべき姿」での組み上げこそが
求められる整備内容なのではないかと、強く、本当に強く申し上げたいのです。

従って「中途半端な整備」は、結果的に他の部位や様々な構成パーツに影響を来し、設計者が期待していた仕上がりからは乖離しているとしか受け取れません(汗) 観ていると塗布しているヘリコイドグリースの量も多めなので、はたして当方が整備した個体の8年後と比較して・・どうなのか「???」な部分があったりしますね(笑)

なお、構成パーツの洗浄については「水の内容と後処理が問題」なのであって「中性洗剤が問題なのではない」とここでは申し上げておきます(笑) むしろちゃんと「中性洗剤」を使っている辺りは、よく研究していらっしゃると感心しますが、これらの内容から以下の話へと繋がっていきます(笑)

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昔、当方がまだ家具専門店に勤務していた頃、凡そ8年間ですが、職人に師事し磨き術を直伝頂きました(涙) その時に一番最初渡されたのは「木綿の雑巾」で(笑)、それを使って家具の引き出しや天板、或いは筋から取っ手から何やらと、いろいろ6ヶ月間「さぁ〜磨け」との号令一下、朝から晩まで磨き続けました(笑)

もちろん手の指には豆ができるのは当たり前で、痛いは辛いはチカラが入らないは、もぉ〜
地獄的で拷問みたいでした(笑)・・何故ならどんだけ丸一日磨き込んでも「全く変わらない
のです(笑)

それはそうです! 使っている工具と言うか「道具」が・・木綿の雑巾・・ですから、そんなので磨けるワケがありません(笑)

暫くして「オマエ本当に高卒だな!」と額をコツンと叩かれました(汗)・・何でも一生懸命やれば、必ず道が開けて先が見え始めるとの信条だったので、ひたすらにゴシゴシゴシゴシやり続けていたのですが、流石に見かねたのかヒントをくれました(笑)

・・磨く先を考えろ!

???」です(笑) 実はこの「磨く先」とは、「磨く対象物」と「磨いた結果」さらには「磨いた影響」を考えろ・・を指していたのです(笑)

それを真に理解するのに6ヶ月必要と師匠はみていたのですが、残念ながら当方の頭では短すぎました(笑)・・10ヶ月目にしてようやく次なる工具を渡され、初めて磨きの「」とは何か???みたいな内容へと進んだのです(笑)

とても懐かしいですが、正直な話、そのいの一番に使った「木綿の雑巾」ですら、今現在も
なお「磨き研磨の工具の一つ」だったりします(笑)

せっかくですからヒントを言いましょう(笑)・・家具と言うのは「木で作られているモノ」と囚われがちですが、実は現在の家具の多くが「木材を粉砕して粉末にしてから接着剤のようなものを混ぜて高熱圧縮した人工材」といっても良いでしょうか。要は「天然木」とは全くの別モノです(笑)

さらに指摘するなら天然木だろうが何だろうが「物理的な表層面はそのままの無垢ではない」ワケで、必ず塗膜で覆われています。アミノアルキド樹脂塗装かも知れませんし、ウレタン塗装かも知れません。自然の風合いを恣意的に残した柑橘系の擦り込みかも知れません。

いずれにしても材の表層面には必ず何某かの塗膜が関わっているハズです。それら塗膜面を「磨き研磨」するのに、前述の・・木綿の雑巾・・を使うこともあったりするのです(笑)

例えば「フランスはP. ANGENIEUX PARIS製オールドレンズの筐体外装メッキ加工」は、そのメッキ成分の問題から下手にゴシゴシ磨くとキズが付きます(怖) この時にちょっと下地慣らし的に使うのが・・木綿の雑巾・・の役目の一つでもあります(笑) 他にも樹脂製パーツの艶出しにも使えますね(笑) たかが・・木綿の雑巾・・ですが、ちゃんと使い道は「あ・る・の・で・す」(笑)

つい先日も、P. ANGENIEUX PARIS製広角レンズのオーバーホール/修理ご依頼を承りましたが、筐体外装をピッカピカに磨いてご返送したら、とても喜んで頂きました!(笑) この時に
こそ使ったのがまさに・・木綿の雑巾・・であり、ひたすらにゴシゴシゴシゴシと凡そ1時間に渡り距離環と絞り環にプリセット絞り環や前玉外枠に至るまで、総ての紺色メッキ加工箇所を磨きまくったのです(笑) 金属製の筐体外装表層面を痛めてしまうので(怖)、中性洗剤などを使って水で洗い流したりなどゼッタイにしません(涙)・・木綿の雑巾・・なのです(笑)

従って「金属用研磨剤」の類は、残念ながら当方のDOHでは先ず以て使いません(笑) 前述のとおりメッキ加工の違いによっても、使っている道具も内容も処置の工程すら全く
別モノです(笑)

さらに洗浄に関しては「水の成分」が問題になるのと同時に (洗剤を問題視しているのではない) 金属材に起きたクラックに対する処置をどうしているのかが、水を使って洗浄した場合に大きく影響してきます。ちゃんと拭き取って短時間に乾燥していると説明されていますが、そう言うレベルの話ではありません(汗)

例えば、水ではありませんが、ヘリコイドグリースの問題からアルミ合金材削り出しのネジ山に「白く菌糸状に腐食が入る/浸透する」のを説明してほしいくらいです(笑) どうしてそのような菌糸状の腐食が経年の中で入るのでしょうか???

菌糸状と言っても本当のカビ菌の繁殖ではありません「菌糸が広がるようなカタチに見える
ことから菌糸状
」と述べているにすぎません。

仮にその「菌糸状」をアルミ合金材だからとゴシゴシ削っていっても、どんどん削れてしまい「どんだけ深い階層にまで進んでいるのか」と言わんばかりに削る必要があったりします(怖)

・・これの説明をしてほしいですね(笑)

このような話からも分かるように、金属だから固くて簡単には何も浸透しないと考えたら間違いです(笑) 例えアルミ合金材削り出しでも、クラックは起きていて「単に酸化して被膜ができているだけ」の話です(笑)

重要なのは「何の為に磨くのか???」であって、その点からして残念ながら当方の観点からは「観ている角度が全く違う」のが、これらヤフオク!出品者が執っている「分解整備済」の内容だったりします(笑)

・・当方が観ている角度は「オールドレンズの製品寿命延命化」が最終目的のゴールです。

従って、単にヘリコイドの操作性や外見上の見てくれの良さ、或いは光学系のスッキリ感など
凡そそのような表面的な次元で捉えているレベルではありません(笑)

だからこそ「完全解体」は100%必須作業であり、ヘリコイドを操作するトルク感も「ツルツルツ〜ツ〜」がベストではなく、むしろ「ピント合わせしている感」と言う、撮影に没頭している時に指から伝わってくる「感覚/感触/ザラザラ感」こそが脳裏に焼き付き、それが撮られた写真とともに「渾身の一枚」へと変わっていくのだとの信条です・・まさにライカレンズで感動した時の衝撃そのモノを表すかのような微妙なザラザラ感です (いわゆる本当の金属材の擦れ感とは違う)(笑)

詰まる処、当方のファンの方々が皆様仰る「ヌメヌメっとシットリ感漂うトルク感」或いは「ピント合わせしている時のこのコトバで表現できない擦れ感の気持ち良さ」さらには「ほんの僅かな指への想い伝達だけで叶う鋭いピントの山」などなど、それぞれのオールドレンズのモデル別に異なる「ピントのピーク/山の前後動にこだわった配慮」から生まれる、皆様の率直で正直で素直な生の声なのだと、本当にありがたく受け取っています(涙)

・・皆様、ありがとう御座います!!!(涙)

その意味で残念ながら「分解整備済」で処置される「金属研磨」や「中性洗剤による洗浄」は
当方の目的からは全く以て完全乖離した世界の話であり、当方は「それは逆効果ですョ!」の立場から「製品寿命の短命化に対する警鐘」として、ここに述べる次第で御座います(涙)

当方に直伝してくれた「磨き術」の師匠が言ってましたが「最新の技術を決して否定しないが
先達が残してくれた技にも、長き古
(いにしえ) の日本人らしい発想とその素晴らしさが込められている」との御言葉を、今現在も心の奥底に宝物のようにしまってあります(涙)

例えば、話は違いますが「土の中に埋まっていた、何百年も昔の遺跡から出土する木簡に記されている黒い文字は、いったい何を使って記したのか???」と考えれば、その凄さに今一度驚愕せざるを得ません(驚)・・それこそが海外と日本との大きな違いの一つではないでしょうか??? 土器ですら日本では当然の如く全国に流行っていた当時の縄文土器が、海外では
はたしていつの時代から登場したのかと似たような話です (縄文時代は研究者の間では1万
6千年も前から凡そ1万年近く続いていたと述べられています/世界の四大文明の発祥はいつ
からでしょうか
)(笑)

別の言い方をするなら、それこそ当方が貶しまくっている「ごまかしの整備」が得意な整備者と同じで(笑)、そういう短絡的で表面的な結果だけを追求せず、当方が自ら整備した8年前の個体を回収して検証しているが如く経年劣化進行に伴う内部の状況把握」から確信した「延命化の流れとその結果」であり、8年目にしてようやく経年劣化の進行が始まっていることを突き止めたくらいのレベルです (それでもついに内部の酸化/腐食/錆びは未だ確認できず)(笑)

ちなみに「8年目」と記しているのは、ちゃんと「6年目」や「7年目」まで個体を手に入れて、自らの整備内容の進捗とその後の状況把握を実地検証しているワケで、単に入手した個体がたまたま「8年目」だった話ではありません(笑) それは心の奥底に自らを省みて反省する必要性を感じているからであり (要は自分の技術スキルに全く以て自信が無い)、真摯に謙虚に臨むなら、ちゃんと有言実行して真っ当なことを当たり前に正直に (ちゃんとお金を払って) 取り組み、改善の方向性へと繋げていく努力です(汗)

昨今、不正を行う大企業が増加傾向ですが(笑)、昔からあいも変わらず、本当に正しいと考えることを真面目に真っ正面からやろうとしたら、とんでもない経費がかかるのが常であり、それでも顧客の手に製品が渡った時に「至極当たり前の出来上がりにしか受け取られない」のが、ニッポン人気質の真髄なのではないでしょうか???(涙)・・当たり前のことを当たり前にやるとは、そう言う辛い世界の中でのたうち回る謙虚さが必要だと思うので御座いまする(笑)

・・僅か8年で経年劣化進行が始まると受け取るか否かは、まさに皆様の判定次第です(怖)