〓 Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 (silver) (M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回オーバーホール/修理をを賜りご案内するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製中望遠レンズ・・・・、
『CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 (silver) (CRX)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回のご案内はオーバーホール/修理を承ったオールドレンズのご依頼者様に対するご報告の意味合いも兼ねこのブログにアップしています。但し、皆様にも参考になる内容も含まれると考えアップしていますので、このモデルに興味関心がある方は宜しくお願い申し上げます。
↑今回のオーバーホール/修理ご依頼内容は、1年前に当方がオーバーホール/修理した個体の不具合に伴う「再整備のご依頼」です。
内容は「haoge製CRX→LMマウントアダプタ」に装着して使用しているうちに「絞り羽根開閉ができなくなった」という症状で、マウントアダプタに装備している絞り環操作で絞り羽根の開閉駆動が不可能な状況です。
ご存知の通り、このモデル「CONTAREXシリーズ向けのオプション交換レンズ群」には絞り環が備わっていません。絞り環操作は一眼レフ (フィルム) カメラ本体たる「CONTAREX版フィルムカメラ」側の操作で行う仕組みです。
従ってこのモデルにはマウント面に絞り羽根の開閉駆動を司る「制御環」と言うパーツが剥き出しになっているだけの構造です。
上の写真は今回再びバラして鏡筒を取り出した時の撮影です。
鏡筒側面に横方向のスリット/切り欠きが備わり、そこから「開閉アーム」と言う薄い板状の爪が飛び出ています (赤色矢印)。この「開閉アーム」は絞りユニット内部の構成パーツ「開閉環」に一体で備わりますから、この開閉アームが上の写真ブルーの矢印間を移動するに従い絞り羽根が開いたり閉じたりする仕組みです。
↑さらに拡大撮影しました。実は1年前のオーバーホール/修理の際にこの「開閉アーム」は摩耗が酷く進行しており、先端部分が台形型に僅かに削れていました。すると先端部分が角張っていないためにこの開閉アームがささる先のガイド (溝) 部分から外れてしまい、今回の不具合と同じ「絞り羽根の開閉駆動ができなくなる」問題が起きます。
そこで1年前のオーバーホール/修理の際は「先端部分を強力に叩き込んで台形だったのを四角形に近づけた」処置を執りました。但し前回のオーバーホール/修理作業でバラした時点で既にこの「開閉アーム」の先端部分は潰されていたので、おそらく過去メンテナンス時に同じように叩き込んで広げていたのだと考えられます。
もちろん本来の正しいパーツの状態は「四角形に突出した板状」であり、先端部分までキレイに四角形を維持しています。それが先端の角部分で既に銀色に叩かれている痕が残っていたとなれば、過去メンテナンス時の仕業としか考えられません。前回のオーバーホール/修理作業では同じ処置を当方でも講じたという意味です。
今回同じ不具合「絞り羽根が一切動かなくなる」症状が発生したので取り出してみると、ご覧のように板状の先端部分が極僅かに摩耗して再び僅かに丸まってしまいました。
この「開閉アーム」のサイズは幅が「4.98㎜」しかなく (グリーンの矢印)、さらにスリット/切り欠き部の隙間も「僅か1.85㎜」と薄い環境の中で起きている不具合です (ブルーの矢印)。
↑この「開閉アーム」が刺さる先を撮影しました。鏡胴内部の「制御環」に用意されているガイド (溝) 部分に板状の爪部分 (開閉アーム) が刺さります (赤色矢印)。
さらに距離環を回して繰り出し/収納操作でこのガイド部分の長さ分を上下に行ったり来たりする仕組みです (ブルーのライン)。従ってこのガイド (溝) の長さそのモノが「鏡筒の繰り出し/収納量」と言う話につながり、且つこの「開閉アームの爪がその長さを逸脱したら脱落して絞り羽根制御ができなくなる」のも自明の理です。
すると上の写真を見ると明白ですが、ガイド (溝) の上端だけが開いているので (底辺部分は詰まっている) 距離環を回して繰り出した時だけ脱落する事がある話に至ります。
つまりこのオールドレンズを組み上げる際に鏡筒を入れ込む深さをミスっていると、例えば無限遠位置側で詰まって停止したり、逆に最短撮影距離位置側になると絞り羽根制御ができなくなるなどの現象も想定できます。
このようにオールドレンズ内部の構造はとても簡素ですが、その環境の中で現実にどのような不具合が起こりうるのかの「想定」は、整備者である限り熟知しておくべき話になります。
ちなみに、このガイド (溝) の有効幅が「僅か5.0㎜」しかないので (グリーンの矢印)、前述の「開閉アームの幅もそれを考慮しなければならない」のは必然的な話です (この幅に合致してしまうと上下動の際抵抗/負荷/摩擦が生じ摩耗度合いが激しくなってしまう)。
従ってこれらの話全てを考慮して1年前のオーバーホール/修理の際は処置を施した次第です。
↑ひっくり返して今度はマウント面を撮影しました。「CONTAREXシリーズ」のオプション交換レンズ群は全てのモデルでこのような仕組みに造られています。
鏡胴内部の制御環に締め付け固定される「制御環の板バネ」がご覧のように迫り上がって固定されています。左側に集中的に3本の締付ネジで締め付け固定される一方、反対側 (上の写真では右側) は僅かに迫り上がっていて飛び出す量が増える設計です。
このように設計する理由が「板バネとして機能させる目的」だから、このように迫り上がっています。「板バネの途中にコの字型の切り欠き」が用意されています (グリーンの矢印)。
ここに一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREXシリーズ」のマウント面に用意されている爪が刺さるので、本体側から絞り環操作が適い、設定絞り値の伝達が実現する仕組みであり、その際絞り羽根の開閉動作で移動する量が上の写真ブルーの矢印の範囲です (ほぼ90度の範囲で駆動)。
↑従って、今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着する為に市販されているマウントアダプタにはご覧のような「咬み合わせの爪」が突出しています (グリーンの矢印)。赤色矢印で指し示している箇所の環/リング/輪っかが丸ごとマウントアダプタ側絞り環を回すと動くので「絞り羽根の開閉ができる」動き方です (クリック感を伴ってカチカチと動かせる)。
↑冒頭写真のように鏡筒を取り出し、且つ光学系前後群まで抜いていろいろあ〜だこ〜だ調べたところ、ほぼ4時間経過した時点でようやく今回のトラブルの因果関係が判明しました。
上の写真は附属で同梱頂いた (一緒に送って頂いた)「haoge製CRX→LMマウントアダプタ」に備わる「咬み合わせの爪」を拡大撮影していますが、実はほんの僅かに赤色矢印方向に斜めッていました・・本当に僅かです。
前述の「開閉アームのカタチを整えた後」に正しく制御環のガイド (溝) に差し込み、鏡筒のセットが完了し、合わせてマウント面の「制御環」を動かして正しく絞り羽根が開閉動作するのを確認してからマウントアダプタに装着してみると「一度だけは絞り羽根が開閉動作するものの、すぐに再び絞り羽根が一切動かなくなる」のを繰り返しました。
凡そ3時間、開閉アームを叩き込んだり水平にしたり、ガイドを凝視したり差し込み位置をチェックしたりと、いろいろあ〜だこ〜だやっているうちに「あれ? もしかしてマウントアダプタ側絞り環操作が硬いのが原因?」と気づきました。
実際、マウントアダプタに装着する前時点はオールドレンズ側マウント面の「制御環」はほぼ無抵抗状態で駆動しています。ところがマウントアダプタに装着すると、どういうワケか絞り環操作は硬くて重く、そのうちに絞り羽根が動かなくなります。
再び外してチェックすると、また開閉アームがガイド (溝) から外れてしまい、絞り羽根の開閉が不可能な状況に陥っていました。
↑上の写真は当方が在庫品として所有していた「ノーブランド製CRX→LMマウントアダプタ」の同じ「咬み合わせ爪」部分を拡大撮影しています (赤色矢印)。
よ〜く見ると分かりますが、こちらの爪のほうが薄い設計で、勝つ垂直に突出し、さらに「オールドレンズ側板バネが必要以上に刺さらないよう押し上げる出っ張りが土台に用意されている」のが判明しました。
・・判明したとの意味合いは当方も今まで知らなかったというお粗末なお話しだから!(恥)
そうなんです・・今まで数社が発売し市場流通させている「CRX→LMマウントアダプタ」について、この咬み合わせ爪の部位で相違が顕在する事を全く気づいていなかった・・いえ、気にしていなかったのです。
・・こう言うレベルなので当方の技術スキルは低いと何度もこのブログで述べています。
そのクセ、言いたい放題なので「必ず逃げの一手を打っている」と貶されるのも反論できません(恥)
今回のオーバーホール/修理ご依頼では、ご依頼者様の使い方が悪かった為に壊してしまったと述べられていましたが、そうではないのです!(涙)
「haoge製CRX→LMマウントアダプタの咬み合わせ爪のカタチが拙い」のがそもそもの因果関係です。これは製品の個体差があるのかも知れませんが、当方はそこまで気づいておらず今までチェックしていないのです(汗)
・・申し訳御座いません!(汗)
実際、haoge製マウントアダプタに装着すると硬く重い操作性なのに、当方が用意したノーブランド品マウントアダプタに装着すると絞り羽根開閉動作は20回繰り返しても問題が起きませんでした (後で述べますが最後に確認で追加で30回駆動チェックしているので合計50回分です)。
従って、ようやく3時間経過後に「因果関係をやっと突き止められた」と言う・・何ともお恥ずかしい状況です(涙)
↑最後の1時間は上の写真の処置を施していました。開閉アームが既に (再びになりますが) 摩耗が進行してしまいカタチが崩れ始めていたので、さすがに今回の強めに叩き込んでも板厚をさらに薄くしてしまい「強度を下げている原因に繋がる懸念が高い」と考え、別の一手を撃ちました。
「開閉アーム」に表裏面で薄い〜非常に薄い〜アルミ板を貼り合わせて強度面で補強しつつも先端部のカタチを「長方形」に整え、且つ「約0.6㎜」突出量を増やしました (赤色矢印)。
これにより「制御環」のガイド (溝) に確実に刺さると共に、脱落まで防御する意味合い・・と言うか当方自身の心の健康みたいな・・のつもりで処置を施しました。
↑本来附属品として同梱頂いた「haoge製CRX→LMマウントアダプタ」を背後に並べて撮影していますが、オールドレンズに装着しているのは当方所有の「ノーブランド製CRX→LMマウントアダプタ」です。
カチカチとクリック感を伴いつつ軽い操作性で、もちろんちゃんと絞り羽根の開閉駆動が適い、且つ試しに30回開放側〜最小絞り値側〜開放側の駆動を確認しました。
・・問題なく駆動していると思います。
「将来的に問題を起こさないよう改善しました」ではなく「思います」としか述べられていないのは、まさに当方の技術スキルの低さ故です・・申し訳御座いません(涙)
何故なら、補強した (つもりになっている) アルミ板が何しろ薄いので、どんだけ耐えられるのか確約できないからです。
・・そう言うレベルに留まる技術スキルなので皆様も重々ご承知おき下さいませ!
↑上の写真はマウント部に前述の「ノーブランド製CRX→LMマウントアダプタ」が既に装着済で撮影しています。
ご覧のとおり完全開放状態にセットできています。この時マウントアダプタ側の絞り値は「1.4」になっています。
↑こちらの写真はマウントアダプタの絞り環を操作して最小絞り値「22」の刻印位置まで回した時の絞り羽根の状況を撮りました。簡易検査具で確認すると「ほぼf32手前辺り」まで閉じている感じです。
そもそもオールドレンズ側モデル自体の開放f値が「f2」なのに、マウントアダプタ側絞り環の刻印絞り値で咬み合っているのは「f1.4」ですから一致していません。
この点について、よくご質問を皆様から頂戴しますし、ネット上のサイトでもちゃんと解説しているサイトがありません。
冒頭でさんざん執拗に「板バネ」と申し上げ、解説を進めた理由がここにあります。
「そもそも設計上絞り羽根制御環の咬み合わせ部が板バネになっている」点についての認識が皆さんできていないのです。
何故なら、この「CONTAREXシリーズ」のオプション交換レンズ群に備わる「製品上の開放絞り値の伝達」の役目はマウント部の爪側に用意されていて「制御環の板バネ部分には製品の開放f値を伝達する仕様が一切備わっていない」点について「誰も説明しようとしない」からです。
逆に言うなら「マウント部の制御環に備わる噛み合わせの爪は板バネが咬み合う目的だけの役目」である事を、誰もちゃんと説明していません(泣)
もしもこの話を疑うなら実験してみれば分かります。今回のモデル「CONTAREX版Sonnar 85mm/f2 (CRX)」でも良いですし、標準レンズの「CONTAREX版Planar 50mm/f2 (CRX)」でも構いません。
製品上の開放f値が「f2」なので、マウントアダプタ側絞り環を「f2の位置にカチッと一段だけ回してセットした後にオールドレンズを装着する」と、ちゃんとそのまま装着が終わり正しく「f2からのスタートで絞り環操作できる」次第です、
ところが、もしも一度たりとも「絞り環をf1.4の位置まで回してしまったらバチンッと大きな音が聞こえてその位置でカチッと填まってしまう」のです(驚)
つまりこの時「バチンと大きな音が聞こえた」のは咬み合わせていた板バネが一旦マウントアダプタ側の「咬み合わせ爪」から浮いて再び咬み合った時の音なのです。実際前述の操作を実験すると音が聞こえてきた時に「指に板バネが再び咬みあうバネの振動が伝わってくる」から分かります。
・・何を言いたいのか???
要はもしもオールドレンズ側マウント面の板バネに「製品上の開放f値伝達機能が備わっていれば絞り環側絞り値は一切変わらない」ハズなのです。開放f値の絞り値伝達は「マウントの爪部分の要素で伝達させている」が為に板バネは「単に咬み合わせているだけの役目」と申し上げているのです。
この問題についてちゃんと誰も解説しないので、間違った認識のままいろいろなトラブルを起こしてしまいます(涙)
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以上、大変長くなりましたが今回の不具合についての因果関係を追求できました。もちろんちゃんと絞り羽根が開閉するようマウントアダプタ側絞り値との連係動作まで確認済ですが、前述のとおり「いったいいつまで薄いアルミ板が耐えられるのか?」の確約ができません(涙)
さらに勝手に当方所有「ノーブランド製CRX→LMマウントアダプタ」を使用した時だけ適切に駆動するよう処置を施した事になっています。
・・つまりご依頼者様想定の使用環境から逸脱してしまった!(怖)
これらの点について、以下の通りご通知させて頂きます。
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
今回当方が用意した「ノーブランド製CRX→LMマウントアダプタ」の製品代金までご請求金額に加算している都合上、その点に於いてご納得頂けない場合は上記のとおり「無償扱い」が可能です (無償にてマウントアダプタをご提供します)。
・・当方が勝手に処置しているのですから。
しかもノーブランド品ですし・・(汗) いろいろ申し訳御座いません。
以上にて、今回のオーバーホール/修理「再修理」についてのご報告とさせて頂きます。
引き続き他のオールドレンズについてのオーバーホール/修理作業に入らせて頂きます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。