◎ Ernst Leitz Wetzlar (エルンスト・ライツ・ヴェッツラー) Summar 5cm/f2《沈胴式》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

リクエストご依頼分ですが、初めての扱いだった為に当方の記録用として
無料掲載しておりヤフオク! 出品商品ではありません。
(オーバーホール/修理ご依頼分の当ブログ掲載は有料です)


イギリスはグレートブリテン島中部のマンチェスター北部在住の出品者から遙々20日ほどかけて届きました (海外オークションebay)。

戦前ドイツのWetzlar (ヴェッツラー) に本社を構えるLeica (ライカ) が1932年に発売した当時としては大口径で高速な標準レンズ
Summar 5cm/f2《沈胴式》(L39)』が今回扱うオールドレンズ になります。

ちなみに本拠地の地名はあくまでもドイツ語なので「」はラテン語/英語で言うところの「」にあたリ、カタカナ表記すれば「」ですから「ウェツラー」とは読みません。
例えば広角レンズのドイツ語は「Weitwinkel Linse (Objktiv)」なので「ヴァイトヴィンクル・レンズ」であってウェイトウィンケルとは読みません。従ってWikiでの表記と発音はちゃんと正しくなっていますね(笑)

当方ではこのモデルを今回初めて扱いましたが、何しろ普段の資金難からまず以てライカ製のオールドレンズなど120%手を出せるハズがありません(笑) しかし今回の扱いに際し実写を ピックアップしたところこのモデルの素晴らしさに初めて触れました・・。

このような機会を恵んで頂いた今回のリクエストご依頼者様にお礼申し上げます
ありがとう御座います!!!

製産されていた当時は当然ながらフィルムカメラに装着して使っていたワケで、さらに時代 からして白黒フィルムでの撮影になります。すると開放f値「f2〜f2.2」辺りでは中心部は取り敢えずシャープながらも画の周辺域は壮大な流れ/収差が生じますから、ある程度絞って撮影するなら何とか使えると言う、当時から酷評の嵐の中でひたすらに耐え凌いでいたモデルだったようです(笑)

・・と言うお話しをネット上の数多くの紹介サイトで目にする事ができますが(笑)、当方の 評価は使えないどころか「凄ッ!」と息を飲んだくらいです(笑)

ハッキリ言って今回扱ってみてスッカリこのモデルの虜に堕ちてしまいましたね・・(笑)
こんなに愉しいオールドレンズは本当に久しぶりです。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して溶けていき円形ボケを経て、やがて消えていく様を順にピックアップしていますが、そもそもシャボン玉ボケの段階から真円を維持できない円形ボケなのであまりキレイで明確な円形ボケには至りません。とにかく画の周辺域に行くに従い酷い レベルで収差の影響を受けるので被写体の背景に気を遣いながら撮影する必要があります。

おそらくはこの問題が当時から現在まで酷評を受ける謂われなのでしょうが、当方はむしろ 愉しくて仕方ありません!(笑) それは画の周辺域の収差による乱れが「光の影響を受けつつ 生じている」からです。

このモデルは「光のコントロールで何かしらの効果が必ず現れる」と言う非常に奥の深い表現性を持つので、単にひと言で汚い収差と片付けてしまうと、このモデルの本当の魅力に気づかないまましまってしまう事になります。

特にシャボン玉ボケや円形ボケにこだわるなら確かに消化不良ですが、そこは他のオールドレンズにも当てはまる要素なので、むしろ得意なオールドレンズに任せたほうが良いと割り切ってしまいます。このモデルでの円形ボケの活かし方は、全く別次元で被写体と背景の乱れ方とのアンバランスを楽しむのか、或いはバランスを楽しみたいのかと言う撮影者の思慮を写し込めるモデルだと感じました。

その意味では被写体の背景に気を遣わないとガチャガチャと煩い写真になってしまうと考えずに、逆手に取ってむしろ背景の中途半端なボケ方を活かす角度で撮るにはどうすれば良いか?
・・など、そのような別の思考回路を目一杯刺激してくれるのが当方にとっては「メッチャ 愉し!」になっているだけです(笑) それだけで十分魅力いっぱいですッ!(笑)

二段目
今流行りの「インスタ映え」するライトト〜ンかと思いきや、左から2枚目の写真のような ハレーションの世界の中の写真を撮っても良いと思います (ダメな部類として使わない)。実はこれらライトト〜ンを見ていてダイナミックレンジの広さが素晴らしい点に気づきました。またそれは白黒撮影とカラーとではガラッと変化していくので、それがまた愉しさを倍増させてしまいます。

右側2枚の白黒写真は、まさに「光のコントロール」の賜物ではないでしょうか・・。
溜息が出ますね・・(涙)

三段目
ある程度絞って撮影すると、今度は「唖然!」です(笑) このリアル感、空気感、距離感、現場感などなど、挙げたらキリが無いくらい生々しい表現性です。このような写り方をするオールドレンズをあまり知りませんね(笑)

左から2枚目の写真など、普通にオールドレンズで撮影したら誰も見ずに次の写真にめくってしまうでしょうが(笑)、このモデルで撮ると背中に見入ってしまいます。例えば前を歩いているのが父親なら、まさに父の背中を見て・・と言うシ〜ンにもなり、そんな事を一瞬の間に 連想してしまうほどリアルな背中を表現できています (感動しました!)。

四段目
街中写真はカラーと白黒とではグラデーションの現れ方が変わるので、それを効果的に活かす事ができるお手本のような写真です。また右側2枚の白黒写真のグラデーションの美しさ、ここまで光をちゃんと留めた写真と言うのはオドロキです。テーブルと椅子と床のそれぞれに当たる光のグラデーションの違いを存分に愉しめます。レースカーテン越しに射し込む光の柔らかな印象は、まるでそよ風すら感じてしまいレースカーテンが緩やかに揺れるのではないかと錯覚してしまうほどリアルです。

これらはまさにダイナミックレンジの広さがモノを言っているワケで、単に解像度や収差の影響の話だけで完結しない良い例ではないでしょうか。少なくとも当方は画全体の印象から入るタチなので、等倍撮影による一部領域の厳密な検査にあまり興味関心が沸きません(笑) つまりは「自分の目で見たままの印象を写真にも追ってしまう」ワケであり、それは一にも二にも「人の目で見たままの自然な表現性」とも言い替えられます。

五段目
左端の写真は背景のボケ味が収差の影響を受けていても、それを利用する事で被写界深度が決して浅くなくても浅いように見せてしまう写し方があるのだと感じ入りましたね。逆光耐性もそれほど高いレベルではありませんが、上手くゴースト処理できているのではないでしょうか。

いずれにしても中心部のこのモデル精一杯の解像度をだけを狙った写真も、敢えて背景の収差を効果として活かしてしまう撮り方も、或いはグラデーションや陰影の活用にボケ味と収差との相乗効果を狙ったとてもリアルな写真など、まず以て「コリャダメだわ」ッて言う写真が 1枚も残らないのではないかと逆に危惧してしまうほど(笑)、本当に素晴らしい、そしてこんなにも愉しめるモデルなのだと改めて感心しました!

本当に久しぶりにこの沈胴式持って、撮りに出かけたいと言う衝動を感じましたね・・。然し実際それやったら、アッと言う間に自らの撮影スキルの低さを思い知らされるだけなんですがね・・(笑) いつもそのパターンです(笑)

それが当方の正直な感想です・・。

光学系は4群6枚のダブルガウス型構成ですが、ご覧のとおり中央の絞りユニットには「歪曲絞り羽根」が入っています。これはおそらく第2群の貼り合わせレンズ直下での遮光処理がこの光学系には必須だったのだと考えています (当方は光学知識がド素人レベルです)。

またネット上の数多くのサイトで指摘されているノンコーティングもバラして清掃する際にチェックできました。今回の個体は製造番号から1938年の製産個体と推測できますが、例えばCarl Zeiss Jenaでは1932年に既にシングルコーティング (単層膜コーティング) が開発されていますし、その後1939年の時点でモノコーティング (複層膜コーティング) もパテント登録しています。そのような状況下にあってもなおもノンコーティングで これだけの描写性能を達成していたと言うのがオドロキにしかなりません(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。「沈胴式」モデルなので「L39マウント」である分、他のマウント規格のオールドレンズと比べると「距離計連動ヘリコイド」の分だけ余計なのですが、それをこのモデルは上手い方法で (上手い設計で) 簡素化しています。従って至って簡素で構成パーツ点数も少なめのまるで「初心者向け」のような印象ですが、実は「高難易度モデル」に分類されます(笑)

↑当初バラし始めて洗浄しただけの状態で各構成パーツを並べて撮っています。するとご覧のように一部に酸化/腐食/錆びが生じているのが分かります (一部は緑青も生じている) 。

バラした際に内部に使われていた古いグリースは「白色系グリース」でしたが、それでもこれだけの腐食が進行しています。どうして油成分しか配合されていないグリースの中にあって、このようにサビが生じるのでしょうか?

油成分は酸化/腐食/錆びを促進しませんョね? 仮に水分/湿気に経年でされされ続けていたのならサビが生じるのは容易に察しが付きます。何方か説明できますか?

この問題について当方の持論を展開すると、またウソを載せてやがるとSNSで批判の嵐になるので(笑)、ここでは控えておきます (当方は信用/信頼が皆無らしいので)。

↑当方による「DOH」を施した絞りユニットや光学系前後群が組み付けられる鏡筒と「開閉環」を並べて撮っています。

↑同様今度は少し向きを変えて並べて撮りました。鏡筒の最深部に「位置決めキー用の穴」が並んでいます。また「開閉環」には切り欠き/スリットが備わっていますね。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

すると冒頭解説のとおりこのモデルの絞り羽根は「歪曲型絞り羽根」の設計である事がこれで判明します。当方がウソを載せていると言われるので、ちゃんと「証拠写真」を撮りました(笑)

【このモデルの歪曲絞り羽根】
AとBの2種類のカタチの絞り羽根が1セットになり、それが6セット実装されるので「絞り 羽根が閉じる時の開口部が正六角形になる」ワケです。さらにその絞り羽根が閉じる時「互いに重なり合っているから枚数が多く見える」ワケですね。

逆に言えば、このモデルの絞り羽根が閉じている写真を見れば一目瞭然で「6枚だけのハズがない」のが歴然です。数多く紹介記事が載っているネット上のサイトの中で、このモデルの 絞り羽根が曲がっている点を指摘できていたサイトは「たったの一つ」だけでしたから(笑)、そう言う情報のほうがありがたいような気がします (紹介の話はそこいら中に載っているからお腹いっぱい!)(笑)

↑2枚で1セットが6セット入って「合計12枚の絞り羽根」が鏡筒最深部に絞りユニットとして組み込まれた状態です。取り敢えず「絞り環をセットしないとバラけてしまう」ので仮に締付ネジを入れて撮っています。

↑実際に最小絞り値の方向に閉じていくとこんな感じです。どう見てもこれを「6枚絞り」とは言わないと思うのですが・・(笑)

そして絞り羽根が手前方向に盛り上がっているのが分かるでしょうか (つまり平坦ではなく 歪曲しているから)。

このモデルで最初の難関は (高難易度モデルの証は)、この「歪曲型絞り羽根の組み付け工程」です。前述のAとBの2種類のカタチがあるワケですが、それが2枚で1セットになるとしてもどのように使えば良いのでしょうか? もっと端的に言えばAとBはどのように重なり合っているのでしょうか?

この部分が「原理原則」に基づいた判断で組み込んでいく話であり、まずはそれが分かるかどうかになります。そして組み込み方法が分かったとしても、実際に重ね合わせながら12枚もの絞り羽根をセットしていくとすぐに「コレ、ムリだわ!」と分かります(笑)

互いが歪曲しているので、その重なり方が適切でない限り絞り羽根の「表裏のキーが穴に入らない」ので、つまりは組み込んでいる最中に片っ端に最初の絞り羽根から順にキーが穴から外れていきます(笑)

つまり組み込んでは外れてを繰り返すハメに陥り、何時間経っても組み上がりません(笑)

これが「歪曲型絞り羽根の組み込み工程の難しさ」になります。

例えば普通の平坦な絞り羽根であれば互いに重なり合った時の自重で「キーは外れにくくなる」のですが、この「歪曲型」の場合は、自重以外に「曲がりの度合い」が大きく影響する為、カタチが適合していなければすぐに浅いキーが穴から外れてしまいズレていきます(笑)

従って同道巡りを繰り返すワケですね・・(笑)

さらに2つ目の難関が「絞り環を回す時のトルク」です。ここの工程で何とか上手く12枚の絞り羽根をセットできて組み上がったとしても、今度は絞り環をセットした時に「絞り環が軽い操作性で回せるかどうか」は別問題です。

それもやはり「12枚の絞り羽根のカタチがキッチリ100%適合していて初めてスムーズに互いが接触しながら開閉動作する」のが「歪曲型の難しさ」です。

従って当方は技術スキルが低いので(笑)、ここの工程だけで何と4時間を費やしました(笑)

要はその程度の技術スキルレベル止まりだと言うお話であり「証」なのです(笑)

完成した絞りユニットを回して絞り羽根を最小絞り値まで閉じきった状態で前玉側方向から撮影しました。ご覧のとおり中心部が迫り上がっている膨らんだカタチで閉じていく仕組みですね。

↑せっかく組み込んだ絞り羽根がバラけてしまうので、早々に絞り環をセットしてしまいます。実は絞り環は単に入っているだけなので、両サイドから締付ネジで絞りユニットに締め付け固定しています。しかし当然ながら絞り環が回転する為の「空間/マチ」が極僅かに必要ですから、このままでは絞り羽根が浮き易くなります。

つまりこのモデルは「光学系前群が絞りユニットの固定を兼ねている設計」を採っています。

するとここで気が付かなければイケナイのですが、絞りユニットに入っている「開閉環が常時光学系前群の第2群直下で接触したまま回転している」点です。何故なら光学系前群が絞り ユニットの固定の役目も兼務しているワケですから「接触するのが当たり前」ですョね?(笑)

ここが整備者が気が付いたかどうかのトラップであり落とし穴でもあります(笑)

この問題を気が付いて正しく対処しない限り、このモデルの絞りユニットにはグリースが塗られてしまい (そうしないと絞り環が硬くて回せないから) 経年の絞り羽根油染みの因果関係になり、下手すればカビの発生にも繋がる話になりますね(笑)

残念ながら今回の個体は過去メンテナンス時に「絞りユニット内壁にグリースを塗布していた」為に冒頭写真のとおり「開閉環が腐食しまくっていた」次第です。

全てには必ず因果関係がありますね・・(笑)

もちろん今回のオーバーホールではグリースなど一切塗りません。当然ながらそれで製産時点と同一の条件のハズなので (ライカでは絞りユニットにグリースなど塗らないハズです)(笑)、ちゃんとスムーズに軽い操作性で動くのが「当たり前の話」です。

何も当方が褒められる要素には至りませんね・・(笑)
だからこそ当方の技術スキルは低いままなのです(笑)

↑光学系前後群をセットしてしまいます。すると互いに貼り合わせレンズを内包しますから、ちょうど「歪曲型絞り羽根の絞りユニットは中央辺りに居る」事になりますね (赤色矢印)。このモデルは鏡胴が「沈胴式」なので、鏡胴「前部/後部」の2つに分かれますから、これで鏡胴「前部」はほぼ完成です。

↑ヘリコイド (オスメス) を内包する鏡胴「後部」側の組み立て工程に移ります。「距離計連動ヘリコイド」を下部に有する「距離環」です。

↑「L39マウント」のネジ込み式マウントの他に「距離計連動ヘリコイド」が存在するダブルヘリコイドシステムなのが「L39マウント」規格ですが、それを非常に簡素な構造化で設計してしまいました。

空転ヘリコイド」にその役目を持たせてしまったので、コンパクトな筐体サイズが実現できたワケです (だから沈胴式で設計できた)。その字の如く「いつまでもクルクルと回転を続ける」大変滑らかなヘリコイドが「空転ヘリコイド」ですから、このモデルの「距離環を回す トルクを決定づけるのはグリースの種別や粘性ではなく空転ヘリコイドの平滑性だけしか存在しない」と言えますね(笑)

ところが逆に「どの程度平滑に処置すれば良いのか」が問題になってくるので、そう簡単な 話ではありません。磨きすぎて隙間が空きすぎれば例え0.1mmだとしても「金属の面 vs 面の接触」に際しカジリ付が起きて止まってしまいます。ここがこのモデルでの3つ目の難関にあたります。

↑マウント部をセットしたところです。

↑封入環をセットして鏡胴「後部」が完成しました。この後は完成している鏡胴「前部」を差し込んで「沈胴処理」を行って無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初届いた時の操作性は、それはそれは酷いモノで(笑)、とてもピント合わせできるような軽いトルク感ではなく、相当気合いを入れてピント合わせするような感じです。

さらには絞り環まで異常に重いので、せっかくピント合わせが終わってもボケ味の調整でアッと言う間に (瞬時に) ピント位置がズレてしまうので、厄介極まる状況でした(笑)

現在は「おぉ〜ッ!」と唸りたくなるような軽い操作性に仕上がっています。もちろん撮影時の手順は「自然な人の動き」に合う操作性を確立しており、ちゃんと距離環操作でピント合わせしてからボケ味の微調整で絞り環操作すれば良いだけです。

至ってフツ〜の操作方法ですね・・(笑)
従って低い技術スキルでもちゃんと仕上げられます(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無ですが、残念ながら光学系後群側の貼り合わせレンズの一部に汚れ状がとても薄〜く残っていますが、言われて探せば分かる程度の薄さですから写真には全く影響しません。ご覧のとおり大小の「気泡」が混入しています。

気泡
光学硝子材精製時に適正な高温度帯に一定時間維持し続けたことを示す「」と捉えていたので、当時光学メーカーは正常品として出荷していました。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。

↑12枚の絞り羽根は「カーボン仕上げ」なので、汚れているからと磨いたりすると却って寿命を縮めてしまうので、サビが無い限りはできるだけそのまま (経年のキズが残っているまま) で使ったほうが無難です。

よくキレイに磨いてしまう整備者が居ますが「キー脱落」の因果関係を将来に渡って用意しているような話になるので、むしろ好ましくありません

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」の「粘性中程度と軽め」を使い分けて塗っています。距離環を回すトルクは「完璧に全域に渡って均一」であり、トルク感は「普通」人により「重め」に感じシットリ感漂うピント合わせができます。

↑筐体の材質が総真鍮 (黄鋼) 製なので、クロームメッキが施されている関係から一部の箇所は多少メッキが薄くなっています (経年で僅かに地の金色が見えている箇所がある)。

↑今回汎用の樹脂製スナップ式前キャップと「L39」のネジ込み式汎用後キャップを用意して添付しています (せめてものお礼の気持ちです)。

↑こんな感じで「沈胴」状態にもなりますね。今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼などに マウントアダプタ経由装着される場合は「沈胴に操作しない」ほうが無難です。下手すれば 撮像素子の保護ガード部分にキズを付けかねません(怖)

↑「沈胴」時はこれだけ内部に飛び出てくるので怖いです・・。

このモデルの絞り環の刻印絞り値は「大陸式」を採っているので、
一般的な一段ずつのf値ではありません。

凡そ1/3ステップでの変化になるので「2.0→2.2→3.2→4.5→6.3→9→12.5」の順です。

絞り環操作は距離環操作でピント合わせした後の最後に (シャッターボタン押し下げ直前に)
ボケ味の微調整をするハズなので、ちゃんと軽い操作性で絞り環を回せるように処置済です。とは言っても決してスカスカにならぬよう、ちゃんと「トルクを与えている」仕上がり方に なっています。


↑上の写真 (7枚) は、最小絞り値の写真がウソを載せているとのSNSでの当方批判らしいので(笑)、証拠写真として撮影しました。完全開放状態の「f2.0」から順に絞り環刻印絞り値で 閉じていった時の状態を撮影しました。

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.2」で撮影しました。

↑さらに回してf値「f3.2」で撮っています。

↑f値は「f4.5」に上がりました。

↑f値「f6.3」です。

↑f値「f9」での撮影です。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めているでしょうか。ギリギリの感じなので頑張って耐え凌いでいるようです。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f12.5」での撮影です。ノンコーティングのオールドレンズで最小絞り値の時にこれだけコントラストを維持できていて解像度の低下も低い率なのは、相当なレベルではないでしょうか。恐るべしSummar 5cm/f2《沈胴式》・・!