◎ KMZ (クラスノゴルスク機械工廠) ГЕЛИОС-40 (HELIOS-40) 8.5cm/f1.5 Π silver《初期型》(M39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます

今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分に関するご依頼者様や一般の方々へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。
写真付解説のほうが分かり易いこともありますが今回は当方での扱いが初めてのモデルだったので記録の意味合いもあり無料で掲載しています。
(オーバーホール/修理の全行程の写真掲載/解説は有料です)
オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。


ロシアンレンズを初めてご覧になる方のために基本的な前提をお話しておきます。

当方では「ロシアンレンズ」と呼んでいますが、第二次世界大戦後の旧ソビエト連邦 (ソ連) 時代から現在に至るまでに生産されていたオールドレンズの総称として使っています。

ソ連 (現ロシア) は共産主義体制国家でしたから、戦後1949年のCOMECONを基に旧東ドイツを初めとする東欧圏の技術と市場を手に入れ、中央集権型の計画経済 (統制型経済体制) を推し進めていました。私企業の概念を廃した国営企業 (旧東ドイツでは人民所有企業/VEB) の体系として、5カ年計画に則り全ての産業工業を国家一元管理していたようです。
よくネット上で頻繁に「人民公社」が使われていますが同じ共産主義体制でも国によって企業の呼称や概念が違うので「人民公社」はどちらかと言うと中国のほうが当てはまる呼称ではないかと考えます (中国製オールドレンズはまだ知識が皆無なので何とも断言できませんが)。

従ってオールドレンズに於いては、ひとつのモデルを複数工場で並行生産しており、どの工場で生産されたモデルなのかを表すためにレンズ銘板に「生産工場を表すロゴマーク」を刻印しています。実際には光学系の設計だけが同一で、それ以外は各工場の設計に任されていたようなので、同じモデル銘でも異なるカタチのタイプが混在していますし、マウント別に違う工場で生産している場合もあるようです。

【旧ソ連の戦後に於けるカメラの生産】
旧ソビエト連邦に於ける公示されている各産業分野別の商品別生産台数統計値を見るとレンズの項目は無くカメラのみ公示されている。
カメラの生産は戦後1948年の157,400台から始まり、1955年には100万台を突破し1970年に入り200万台に達している。従って、戦後1946年〜1947年の2年間に於ける年間数百台の生産数はプロトタイプの生産数を示し、量産開始は1948年と捉えるのが適切と考える。

【旧ソ連の各工場の性格】
旧ソビエト連邦に於ける産業工業5カ年計画に基づく各工場の性格をみると、特にオールドレンズの分野に関して大きく2つに区分けされる。旧ソ連軍を含む軍需生産を主体とした重機械工業生産 (艦船・戦車/装甲車などを含む軍用車両・軍用航空機) を行っていた「工廠」と、各民生品分野別の「専業工場」とに大別されると考えられるので、例えばKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) では軍用重機械工業を主体としながら、光学硝子製品の生産も並行して行っていたと考えられる。

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当方では今回のモデルKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) 製『ГЕЛИОС-40 (HELIOS-40) 8.5cm/f1.5 Π silver』は今までに何本も扱っています。ところがその中で製造番号「No.00xxxx」と「0番」で始まっている個体を扱うのは今回が初めてだったのです。

そもそもこのモデルは1938年に発売された戦前ドイツのCarl Zeiss Jena製Biotar 7.5cm/f1.5 (CONTAX版) の光学設計を模倣して旧ソ連GOI Leningrad光学研究所で開発したのがスタートになります。それはドイツ敗戦時にCarl Zeiss Jenaから主だった設計技師も含めた主要人材と産業機械設備まで含めた工場設備と資材を接収したからに他なりません。何故なら単にバラして光学硝子レンズを取り出し、そのサイズや曲率などを計測しただけではなかなか製品としての本来の描写性能を割り出すところまで到達できないからです。光学硝子材に含まれる資材の成分や配合率、或いは光学硝子精製時の温度や工程など詳細まで把握できない限り短期間での開発には至りません (従って接収した意味が活かされる)。

このモデルのプロトタイプは製造番号「No.000xxx」であり1950年に開発されています。
そして実は量産を始めた1956年時点で一番最初に製産された個体が「No.00xxxx」になりHELIOS-40シリーズに於ける製造番号で「0番」付番は特別な個体であることを意味します。逆に言うと1956年以降の量産品 (通常出荷品) の製造番号は「No.56xxxx」のように製造年度を先頭2桁に付番する従来のロシアンレンズと同じ付番ルールに従っているので容易に貴重であることが理解できると思います。ネット上の一部解説に製造番号「No.00xxxx」を2000年の製産個体と案内している場合がありますがデタラメですね(笑)

さて、ではこの製造番号「No.00xxxx」の個体はプロトタイプ以降何の為にワザワザ製産されたのでしょうか (プロトタイプで量産化の方向性を決めているので量産開始後の初期ロット分でさらに設計の思考錯誤は行いません)?

答えは「共産党上級幹部への頒布分」だったからです。ロシアンレンズの世界では他のモデルにも「0番」付番で頒布用に製産された個体が存在しますから、さすが共産主義体制の国です (但し一部モデルには量産途中に設計変更の為プロトタイプを作り付番していたモデルがある)

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変わった仕様の要素を表しています。

初期型:KMZ製
生産:1956年〜1965年
鏡胴色:シルバークロームメッキ
三脚座:固定
コーティング:モノコーティング


前期型:KMZ製
生産:1965年〜
鏡胴色:シルバークロームメッキ
三脚座:位置可変/着脱式
コーティング:モノコーティング


後期型:KMZ製
生産:2012年〜2015年
鏡胴色:ブラック
三脚座:位置可変/着脱式
コーティング:モノコーティング


最新型:KMZ製
生産:2015年〜
鏡胴色:ブラック
三脚座:なし
コーティング:マルチコーティング


・・このような感じですが、実はこのモデルの光学系から派生させた全く別モノの製品が近年登場しています (一部は軍用製品が市場に流れている場合もある)。

Cyclop製:ナイトビジョンカメラ用「H3T-1 85mm/f1.5」
生産:1990年〜
マウント:M42
機構部:無し (絞り/ヘリコイド無し)
光学系:4群6枚変形ダブルガウス型


KMZ製:MC ZENITAR-1 (※) 85mm/f1.4
生産:2015年〜
マウント (※):K (PK) / C (EF) / N (NF)
光学系:6群7枚拡張ダブルガウス型



当然ながら民生用製品のみならず軍用品も設計されていたので様々な光学製品が開発/設計されています。なお「HELIOS-40-2」シリーズは1969年〜1990年まで製産が続き旧ソ連崩壊と共に製産が完了していますが、2012年 (10月) より再生産が始まりました。またCanonとNikonマウントフォーマットも2013年5月から追加販売し、現在もネット販売でM42マウントモデルも含め入手が可能です。

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このモデルで特に初期の頃〜1969年までに生産された個体の中で注意が必要な要素があります。

左図は当時の旧ソ連GOI Leningrad光学研究所の設計諸元書から抜粋した図面ですが、マウントが「M39」と表記しながらもそのフランジバックは「45.2mm±0.22」となっています。

M39」は図面を見る限り「ネジ径:39mm x ピッチ:1mm」であり、まさにライカ判スクリューマウント「L39」と同一規格です。しかし「L39」のフランジバックは「28.8mm」なのでそのままネジ込んでも全く使いモノになりませんね(笑)

ところがここに落とし穴があり、現在市場に出回っている個体を入手する際に大きなリスクを伴う原因に至っています

【フランジバック】
L39 (ネジ径:39mm x ピッチ:1mm):28.8mm
M39 (ネジ径:39mm x ピッチ:1mm):45.2mm
M42 (ネジ径:42mm x ピッチ:1mm):45.46mm

今回オーバーホール/修理を承った時のご依頼内容には一切ありませんでしたが、残念ながら今回の個体は無限遠が出ていません (合焦しません)。

現在に於いても平気で市場に流されてしまっているのが、まさに今回のような「変換リング」によるネジマウント径合わせと言う「常套手段」であり、無限遠が出ていない (合焦しない) まま (隠されたまま) 流され続けています。

前述の数値を見れば一目瞭然であり、オールドレンズ使いならば「常にフランジバックを意識して考える癖」が必要です。何故ならフランジバックが僅か「0.2mm」ズレただけで無限遠は甘い描写に至るからです (今回の個体は全く合焦しない)。

L39」がライカ判のネジマウントに対して「M39」はゼニット (Zenit) 版マウントですからフランジバックが違っているワケです。そこに「M39→M42変換リング」を装着してそのまま「M42マウントモデル」として平気でネット上に流されているので怖いのです。

これはさすがに写真を見ただけでは特定できません。当方は時代背景や時系列の変遷から考えて必ず写真をチェックして手に入れています。つまり今回の個体に関して言えば、製造番号「No.00xxxx」の「0番」付番個体なので「M39」のZenit版しか存在しませんから「M42」で製産されていたハズがないのです (後に変換リングが装着され市場流布していると言える)。と言うことは無限遠位置が違いますから内部をイジって調整しているか、或いはそのまま知らん顔して流れているかのいずれだと推測できます

今回は残念ながら後者でした。ロシアンレンズにはこのようなリスクも伴うので事前知識が必要になりますが、意外とこの点をちゃんと正しく解説しているサイトが少なかったりしますし下手すればネットショップやヤフオク! 出品の中でも「製産後数十年を経たオールドレンズだから / 素人なので詳細は分かりません」と言う逃げ口上で済ませている人も居るから始末が悪いです(笑) シロウトも何も関係無く品物が手元にある以上チェックはできるワケで面倒くさいから逃げ口上で済ませています。特にヤフオク! の場合は「ノークレーム/ノーリターン」などと言う意味不明な暗黙のルールが出来上がっているから不思議でなりません。世界何処を見てもそのようなルールは存在せず日本独自の概念ですが、最近はこの概念を日本から輸入して海外オークションebayでも使われるようになっています (昔はas isで掲載写真の見たがままと言う概念しか無かった)。

日本人は世界的に見ても民度が高い民族などと揶揄していますが(笑)、実のところ「NCNR」は日本発だったりしますから情けない限りです・・本来出品者/落札者は対等な立場で取引するのが海外で言う処の「ディール」のハズなのですがね (落札者からのクレームに対して対応するのは取引上当たり前のこと)(笑)

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上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「シャボン玉ボケ①・シャボン玉ボケ②・円形ボケ①・円形ボケ②」中段左端から「背景ボケ①〜背景ボケ④」で、下段左端「明暗・赤色・立体感・被写界深度」です。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)

ピックアップ写真の中で特徴的なのが上段左から2枚目と中段右端、そして下段右から2枚目の女性です。

このモデルは海外では「Bokeh Monster (ボケモンスター)」と呼ばれていますが、実は「Bokeh」と言うコトバ (日本語) が英語辞書に登録されたのは近年です。ところがどうも海外の写真を見ていると日本人が本来「ボケ味」として感じている概念が正しく伝わっていないことを強く感じます。

海外では残念ながら「Bokeh=円形ボケ」と認識されているように考えます。特に玉ボケやリングボケを指して「Bokeh」と書いている外国人が非常に多いように感じます。日本人の概念は「ピント面のエッジから少しずつ滲んでいく様」全てを指して「ボケ味」と捉えているハズなので、円形ボケばかりを意味していないのですが正しく伝わっていません(笑)

今の世の中、多量に広まってしまった事柄が既成事実 (まるで真実であるが如く) として広まってしまう時代でありちょっとした恐ろしさを感じています。その意味では洗脳し易い時代に入ってしまったのではないかと危惧してやみません。それこそプロパガンダは政府がするよりもSNSを使って無名の戦士が (政府の委託を受けて) 広めた方が手っ取り早かったりします(笑)
特に日本人の「皆がやっている慣例は正義」と言う感覚がSNSとくっつくと危険な思想さえも拡散できそうでちょっと怖いですね(笑)

話が反れましたが、4群6枚のダブルガウス型光学系なので上のピックアップ写真上段左端2枚目のようなグルグルボケが表出しますし、円形ボケは収差の影響を受けてキレイな真円に至りにくい傾向があります。またオドロキなのは中段右端の写真で「まるで油絵」状態です(笑) この写真を残せるオールドレンズと言うのはそう多くないと思います。

そして極めつけが下段右端から2枚目のポーズをとった女性の写真。まるでステレオメガネ越しかの如くググッと迫り来るような錯覚を覚える効果が背景のグルグルボケによって強められており相当撮影スキルの高い撮影者ではないかと考えます。

いずれにしてもオモシロイのは「ロシアンレンズの特徴的な性質」です。一つはピント面のエッジがどのモデルも明確で「骨太」に出てくる描写性質です。富岡光学製オールドレンズの特徴が相反する特性で「繊細で細いエッジ」なのと対極的です。さらに2つ目が「ト〜ン」でありコントラストが少々低めなライトト〜ンとして画が構成される印象が強いです。このモデルもFlickriverのFlorence Richerataux氏のアルバムがあり、そこでこのモデルの素晴らしさを再認識した次第です。

今回のオーバーホール/修理は「フィルター枠の凹み」と「絞り環指標値ズレ/経年の汚れ」と言うご依頼内容ですが、作業を始めると相当な重症個体でした。

【当初バラす前のチェック内容】
 距離環を回すとトルクが重い。
プリセット絞り環操作も重め。
 無限遠が出ていない (合焦が甘い)。
開放時に絞り羽根が既に閉じており完全開放していない。
最小絞り値 (f22) で閉じすぎており絞り羽根が噛み合っている。
フィルター枠に凹みが複数箇所あり。
プリセット絞り環のクリック感と「」マーカー位置がズレている。

【バラした後に確認できた内容】
過去メンテナンス時に白色系グリースを塗布しており既に経年劣化し乾き始めている。
製産時ミスの他に、過去メンテナンス時にドリル穴開けしている。
 過去に油じみの癒着があり絞り羽根が変形している。

↑こちらの写真はバラし始めてヘリコイド (オスメス) を取り出したところです。ご覧のとおり白色系グリースが過去メンテナンス時に塗られており既に経年劣化から揮発してしまい乾き始めている状態です。このグリースを指でグリグリしてみましたが相当ネジ山の摩耗粉を含んだ状態でした。

本来製産時の純正グリースは「黄褐色系グリース」でありロシアは国土にマイナス40度以下になる極寒地帯を含むので金属凍結を防ぐ意味から油成分の強いグリースを多量塗布しており、且つ絞りユニット内部にまでグリースが塗られているのが標準ですから、ネット上で語られている「過去のシロウト整備」などと言うのは間違いですね(笑)

そもそも日本で流通しているほとんどのグリースがマイナス20度〜200度が主流なのをみても明らかにお国柄 (国土の緯度経度) が全く頭に無いお話です。オールドレンズのことを本当に知ろうとするなら「生産国」の背景をちゃんと認識しなければ正しく考えることができません。

↑バラしている最中に取り外した鏡筒を立てて撮影しました。どう言うワケか鏡筒の一部のネジ山が削られていて銀色です (赤色矢印)。詳しく見るとネジ山の山谷が粗くなっているので金属部らしか何かでゴシゴシやったのではないかと推察します。

上の写真でグリーンの矢印で囲った部分は本来このモデルで一般的な鏡筒の深さを示しており、今回の個体が違う設計であることが判明します。

左写真は過去にオーバーホールした「HELIOS-40」の鏡筒ですがご覧のとおり短いサイズです。よく見ると下部の光学系後群側が入る格納筒の長さまで異なっています。

つまり今回の個体が製造番号「No.00xxxx」と「0番」で貴重なワケですがバラしてみると内部の設計も全くその後のタイプとは異なることが判明しました (こんな構造は今回が初めてです)。

このモデルの扱いは今回が13本目になりますが、実は今現在販売されている同型モデルの後継機種「HELIOS-40-2」の基本設計が今回の個体と同じなのです(笑) 何故に逆行した設計に戻す必要があったのかオモシロイですね(笑)

さらにもっと言えば、今現在販売されている後継機種でさえも当時と同じ設計のまま「本当に再生産しているだけ」と言う構造なのが何ともおロシアと言うかお国柄と言うか民族性をよく表しているように思います(笑) その意味で昔のモノコーティング (Π) か今現在のマルチコーティングなのかの相違だけであり (必然的にマルチコーティング化で光学系は一度再設計されている) どちらの個体を選ぶのかはそれ程大きな相違になりません (下手すればデザイン性の相違だけ)。但し、ピント面の解像度だけに限ればマルチコーティング化によって最大で30%ほど向上しているメリットは現在のモデルのほうにあります (収差も一部改善されている)

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オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。撮影に使っている楢材のお盆に並び切りません(笑) まさに環 (リング/輪っか) の集合体です。

↑絞りユニットや光学系前後群を組み付ける為の鏡筒です。このモデルは鏡胴が「前部」と「後部」に二分割するのでヘリコイド (オス側) は鏡胴「後部」に配置されています。

この鏡筒からして設計が異なり、絞りユニットが独立しています。左写真は過去にオーバーホールした個体から転用しましたがご覧のように絞りユニットの「位置決め環」が予め切削で用意されています。ここに絞り羽根のキーの一方が刺さって格納位置が確定します。

このことから明確になるのは、1956年以降の量産型で一部の設計が変更され左写真のように変わっていたことが判明しました。つまりプロトタイプで量産化の設計まで確定していたハズなのに、実際に生産を始めたら何かの不都合から設計変更せざるを得なかったことが窺えます。

このヒントは「INDUSTAR-61 L/Z 50mm/f2.8 (M42)」にありました。光学系の各硝子レンズが今回の個体は「積み上げ式」だったのです。硝子レンズ格納筒の中にストンと落とし込んでいき最後に締め付け環 (前後の各1本ずつ) で前後を締め付け固定するだけと言う方式を指します。

考察すると実はここに「お国柄 (らしさ)」を垣間見ることができました(笑) INDUSTARのほうではすべてのモデルバリエーションで一貫して「積み上げ式」の光学硝子レンズ格納方法を採っていましたが、今回のモデル「HELIOS-40」では開放f値が「f1.5」と明るいので厳密な光路長制御をしない限り鋭いピント面が出せないことに気づいたのだと考えます。そこで仕方なく量産型モデルでは硝子レンズ格納筒を別途用意して都度各硝子レンズを締め付け環で締め付け固定していく方式に変更したのだと推測しています。

と言うことは、今回の個体のように「初期の頃のHELIOS-40」にはピント面が甘い個体が存在する可能性が強くなってきます。と言うのも各硝子レンズが一体成形で用意されているので「積み上げ式」で格納して経年劣化が進むと金属部分の経年劣化 (酸化) が進みます。すると過去メンテナンス時の格納が適切ではなかった場合に光路長にズレが生じ結果的に甘いピント面に至ってしまう個体が存在することを容易に想像できますから入手する際には要注意です。

ちなみに右写真は鏡筒の大きさを比較する為に日本製の標準レンズと並べて撮影しました。如何に大きいのかがお分かり頂けるのではないでしょうか。試しに鏡筒の中にこのレンズを落とし込むとスッポリ入ってしまいます (右写真は別個体からの転用掲載)(笑)

「HELIOS-40」シリーズの描写性は素晴らしいので、せめて現在販売している後継機種だけでもより小型化させて軽くしてくれれば大変有難かったと思いますね。そんくらい重くてバカデカイです。

↑まるで大きな蛾が羽を広げたように見えるので正直あまり好きな絞り羽根ではありません (キモイ)(笑)

絞り羽根には必ず「キー」と言う金属製の突起棒がプレッシングされており (一部は穴の場合もある)、それぞれ「位置決めキー」と「開閉キー」になります。

位置決めキー
位置決め環」に刺さって絞り羽根の格納位置を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

絞り環を回すとことで「開閉環」が連動して回り、刺さっている「開閉キー」が移動するので「位置決めキーを軸にして絞り羽根の角度が変化する (つまり開閉する)」のが絞り羽根開閉の原理です。

今回の個体は過去に相当な油じみが進んでいたようで既に絞り羽根の表層面はカーボンに一部赤サビが生じていました。また今回の個体は当初バラす前のチェック時点で最小絞り値「f22」で閉じすぎていた為、絞り羽根が互いに噛んでしまう状態に陥っていました。

これらのことから10枚の絞り羽根は過去の癒着 (油じみが粘性を帯びてきて互いに引き合い膨れあがる状態) していた時期が相当期間あり、残念ながらすべての絞り羽根が「への字型」に変形していました。このまま放置するといずれ「キー脱落」に至り製品寿命を迎えますから「絞り羽根の油染み放置」は実は怖いのです。特にロシアンレンズは油じみが当たり前のような感覚で使っている人が多いですから (実際絞りユニット内部にまでグリースを塗って製産しているから) 気をつける必要があります。

↑このモデルでは今回初めて登場する独立した絞りユニット (位置決め環) です。

↑10枚の「への字型」に変形していた絞り羽根を平坦に戻してから組み付けて絞りユニットを完成させます。よくオールドレンズで「絞り羽根の汚れ」を気にされる方がいらっしゃいますが(笑)、製産されてから数十年〜半世紀もの時間が経過している中で生じていた「油じみ」を放置していたがために絞り羽根の表層面が変質しているので、それを「汚れているから」と気にしても仕方ないと思うのですがねぇ〜(笑)

それよりも「絞り羽根の油染み放置」の結果、内部がどのようになっているのかのほうが重要ではないかと思いますがね・・つまり絞り羽根がキレイな状態を維持している個体を一生懸命手に入れても、はたしてメンテナンスまでキッチリできているのかはイコールのお話ではありませんから本末転倒のような気もします(笑)

↑さて、出てきました。絞りユニットを鏡筒内にセットしてから鏡筒の側面よりイモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) 1本で締め付け固定するのですが、その「下穴」が用意されています。

問題なのは冒頭「問題点の」になりますがプリセット絞り環の刻印指標値とクリック感、及び「」マーカーがズレていた根本原因がこの「下穴の位置」なのです。

ご覧のとおり下穴は1箇所だけしか存在しないので製産時に用意された下穴であることは疑いようのない事実です (複数あれば別)。従って根本的に製産時のミスが影響しているとしか言いようがありません。さすがはロシアンレンズ、こんな個体が工場出荷時の検査を抜けて外に出てくるとは恐れ入りました(笑)

↑完成した絞りユニットを組み込んで鏡筒を完成させた状態です。1回目に組み上げた時はそもそも前述絞りユニットの「下穴」位置がミスだとは分からなかったのでそのまま組み上げてしまい、後の工程でどうにもこうにも修復できないことに気がつきここまで戻った次第です。

なお、上の写真は最小絞り値「f22」まで閉じた時の閉じ具合ですが、当初バラす前はもっと閉じており絞り羽根同士が噛み合っていました (つまり適正な閉じ具合ではない/閉じすぎ)。

↑この状態で完成した鏡筒を立てて撮影しました。非常に長い (深い) 鏡筒でこのモデルとしては大変珍しい設計です。従って当初バラしている最中に構造が異なることに気がついたので「構造検討」を一部行っています。

↑このモデルは鏡筒の下部方向からひたすらに環 (リング/輪っか) をネジ込んでいき上まで到達させる方式です。上の写真では既にプリセット絞り環用の機構部を組み付け終わっています。

赤色矢印の箇所にイモネジ用の下穴が2個用意されています (同じ径で同じ水平位置)。さらにその右隣にちょっとズレた位置で3個目の下穴が用意されています (グリーンの矢印)。この3個目の下穴が過去メンテナンス時に電気ドリルで開けられた下穴で水平位置がズレています(笑)

つまりこのことから過去メンテナンス時にも既にプリセット絞り環の刻印指標値ズレ (クリック感の位置ズレも伴う) が発生していた事実が浮かんできました。ムリに位置合わせしようとした痕跡です (グリーンの矢印)。

↑さらに機構部を組み付けてプリセット絞り機構部を完成させたところです。「プリセット絞り値キー ()」に棒状ピンがカチカチと填ることでクリック感を実現させている仕組みであり、同時に絞り環用ベース環に用意されている「」がピンに突き当たることで設定絞り値まで絞り羽根を閉じさせる方式です。ロシアンレンズのプリセット絞りの仕組みですね。

↑プリセット絞り環や絞り環をセットします。

↑実はこの段階では無限遠位置の調整に難儀するとは思ってもいなかったので、「」と「●」マーカーの間隔を広くとっていました。後の工程でこれが仇となり再びバラしてここまで戻るハメに陥ります(笑) 如何に当方の技術スキルが低いのか思い知らされた次第です。

↑完成した鏡胴「前部」をひっくり返して撮影しました。光学系後群用の格納筒が長いので各硝子レンズを落とし込む「積み上げ式」であることが分かります。

↑光学系前後群をセットします。これで鏡胴「前部」が完成したので次は鏡胴「後部」に入ります。

↑鏡胴「後部」はシンプルでヘリコイド (オスメス) とマウント部しかありませんから非常にシンプルです。

↑こんな感じで簡単に組み上げできます。上の写真では既にヘリコイドグリースを塗布済ですから、如何に当方の塗布量が少ないのかご理解頂けると思います。もちろんこんなに少なくてもちゃんと4年前までの当方オーバーホール済個体回収ができており塗布したグリースの経年劣化状況を把握していますが「経年劣化も進行せず液化もせず適正なトルク感を維持したまま」であることを確認済ですからご安心下さいませ(笑)

これが白色系グリースになると2年くらいでもう液化が始まっているので一部の揮発油成分は光学系へ廻っているハズです (つまり再び光学系のコーティング層劣化が進むことになる)。もちろんアルミ合金材のヘリコイドだった場合は「摩耗粉」で真っ白だったグリースも「濃いグレー状」に変質しているのでトルクムラが生じるのも仕方ありません。

何故に製産時に黄褐色系グリースを塗っていたのに平気で白色系グリースでメンテナンスするのでしょうか・・と騒いでいるのは当方だけですが(笑)

この後は距離環をセットして鏡胴「前部」を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑大変珍しい製造番号「No.00xxxx」の幹部向け頒布個体のひとつです。レンズ銘板の刻印文字はロシア語のキリル文字で「Π」はモノコーティングを表し「Просветленная (コーティングされている)」の頭文字です。ラテン語/英語では「P」になるのでピーコーティングと呼ばれています。

まさにΠコーティングの光彩であり濃いめの「パープルアンバーブル〜」が大変美しいです。

↑光学系内の透明度が非常に高い個体です。もちろんLED光照射でもコーティング層の経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑光学系内はキズと言えるようなキズがほとんど無いので素晴らしいです。

↑散々苦労して調整した絞り羽根も確実に駆動しています。

↑塗布したヘリコイドグリースは黄褐色系グリース粘性:中程度」で距離環を回すトルク感は「全域に渡り完璧に均一」ですが「少々重め」です。当初の重さから比べるとオドロキの軽さではないかと思いますが・・(笑)

↑筐体外装は当方による「光沢研磨」を施したので当初のホワイトシルバーな要素は微塵も残っていません (もちろん表層面のエイジング処理済み)。触った指の指紋が見えるくらいです(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

↑ご依頼内容の一つフィルター枠の変形箇所は1箇所とのお話でしたが、実際は上の写真赤色矢印のように数箇所有りすべてを修復しない限りレンズ銘板を外せませんでした。

↑フィルター枠の外回りにはご覧のように過去メンテナンス時に修復した時の痕跡が残っておりアルミ合金材が弱くなり亀裂が入りかけている箇所 (赤色矢印) と逆に修復をし過ぎてしまい膨れあがってしまった箇所 (グリーンの矢印) があります (当方が今回付けてしまったのではありません)。

これらの事実からフィルター枠の強度が限界に到達しているので今回のオーバーホールではムリに仕上げませんでした。あくまでもレンズ銘板が外せる状態まで修復することとフィルターが着脱できることを優先した処置に留めています。

↑またこちらは当初途中の工程で間隔を開けて「●」マーカー (上下) を仕上げましたが、再度バラして縮めています。

理由はこの個体がZenit版「M39」仕様の設計だったことから無限遠が出ず (合焦せず/僅かに甘いピント面) それを優先した調整からの結果です。もしもご納得頂けない場合はご請求額より必要額分「減額申請」にて減額下さいませ。申し訳御座いません・・。

↑結局、プリセット絞り環の刻印絞り値のズレは元々の製産時点絞りユニット側面の「下穴位置ズレ」が原因でした。さらにそれにブラスしてムリに位置合わせしようと過去メンテナンス時に下穴を追加で開けたりしているのが却って悪化原因に至っていました。

絞りユニットの側面「下穴」を適正な正しい位置に開けて上の写真のようにピタリと開放位置で適合させました。また当初開放状態で絞り羽根が顔出ししていたのを完全開放になるよう調整したので、逆に最小絞り値「f22」で絞り羽根同士が噛み合わないようになっています (それが正しい状態)。

キッチリ位置合わせしたので特に開放からプリセット絞り環を回す際に注意が必要です。

必ず絞り環を時計と反対方向に回す (赤色矢印①)。
プリセット絞り環を回して (クリック感伴う) 希望絞り値にセットする (グリーンの矢印②)。
回してあった絞り環をセットした絞り値まで (突き当て停止するまで) 時計方向に回す (ブルーの矢印③)。

ロシアンレンズのプリセット絞り環機構部は必ずこの手順で操作が必要ですから、例えば赤色矢印①を忘れたままプリセット絞り環を回そうとしても一切動きません (何故なら内部で壁がピンに接触したままなので動かないように設計されているから)。それをムリなチカラで回そうとするとプリセット絞り環を固定しているイモネジが削れて空回りすることになります(怖)

特に今回の個体は下穴を開ける位置がギリギリ1mm程度の差だったので開放時にマチがありません (ほぼ同じ位置)。従って上の写真の時 (開放f値1.5の時) 絞り環が動くのは「極僅か1mm弱程度」の話ですが、必ずそれをしないとプリセット絞り環が動きません。その代わり開放時には絞り羽根が一切顔出ししていない完全開放状態に戻っています (つまり最小絞り値側も適正になっている)。

↑上の写真がマウント部の相違を解説しています。本来はZenit版「M39」の個体なのでフランジバックは「45.2mm」です。それに変換リングをつけたとしても、そのままではフランジバックは変わりませんから(笑)、必然的に無限遠位置はズレたままですね。

この変換リングは昔は真鍮製だったりするので「変換リングが填っていたら要注意」と受け取った方が無難です。後は掲載写真の製造番号で製産年度チェックしたりしてフランジバックの検討付けが必要です。

結局、今回のオーバーホールではフランジバックが適合しないので無限遠位置を合わせる為に内部の「シム環」を自作しました。シム環は無限遠位置合わせの意味もありますが本来の役目は距離環と絞り環との間の間隔を適正に開ける意味が強いです。

従って今回の調整で相当難儀な作業になってしまったのは (何度もバラすハメに陥ったのは) 無限遠位置がバッチリ適合してピント面が鋭くなっても、今度は絞り環が当たってしまい動かなくなると言う問題が発生したからです (シム環の調整だけでは済まなかった)。

それで組み直し回数は増えるは無限遠は出なくなるはアッチ良ければこっちダメみたいな同道巡りを4時間延々と続けていましたから、本当に自分の技術スキルが低いのだと思い知らされたワケです(笑)

このブログをご覧の皆様もどうかご承知置き下さいませ。当方の技術スキルはその程度ですから・・(笑)

↑問題だったのはそれだけではありません。このモデルは本来適正な状態ならば上の写真のとおり上から下までピッタリと基準マーカー「」と「」が一直線上に並ばなければイケマセン (グリーンのライン)。ところが鏡胴「前部」は鏡胴「後部」にネジ込み式で固定されるのでその間のシム環の厚みを変えると鏡胴「前部」がさらにネジ込まれる為、必然的に「」の位置がズレてしまいます(笑)

つまりは間にシム環を挟んでいる設計なのがそもそも拙いワケですが(笑)、それを言っても仕方ありません。何故なら本来はZenit用なのですから・・。

最終的にシム環の厚みだけでは調整ができないので (構造上ムリです)、鏡胴「前部」のネジ込みを最後までキッチリ締めていません。鏡胴「前部」と「後部」を互いに手に保持して反対方向に回せばすぐに回り始めて外れてしまいます。ギリギリ抵抗がかかる状態までネジ込んだ位置で無限遠が出るようシム環調整しましたので、これ以上回さないようご留意下さいませ。

と言うことは、上の写真のように装着しているフィルターも外さないで頂きたいのです

フィルターの着脱時に一緒に鏡胴「前部」が回り始めてしまうからです。これを改善しようとすると無限遠が出なくなる (合焦しなくなる) か、或いは無限遠位置を優先するなら今度はプリセット絞り環の刻印絞り値がチグハグに戻ります。

どちらか一方を優先するしか過去メンテナンス時には選択肢が無かったのだと思います。それでもしも今回当方にオーバーホール/修理をご依頼頂いたのに改善できていないとご納得頂けないならば、前述のように「減額申請」下さいませ。申し訳御座いません・・。

↑附属で一緒にお送り頂いたカラーフィルターと前後キャップです。ご覧のとおりカラーフィルターの一つが硝子だけになっています。

↑実はご依頼内容にはありませんでしたが、当方の判断で勝手にカラーフィルターの一つをバラして当方の手元にあった中古UVフィルターから取り外した硝子と入れ替えました。
(写真が下手クソですがちゃんとUV硝子がフィルターに入っています)

このモデルのフィルター枠は「⌀66mm径」なので一般的なフィルターを装着できません (普通は⌀62mmか⌀67mmだから)。そこでカラーフィルターの中で一番濃い黄色の硝子を取り外してUVフィルターの硝子と入れ替えたワケです (1965年以降のタイプでは⌀67mmに径が変更された個体が一部にある/2012年以降のタイプは全て⌀67mm径に統一されている)。

これを行ったのには理由があり、前述のとおりフィルター着脱をすると鏡胴「前部」が一緒に回ってしまいます (つまり無限遠位置がまたズレる)。それを防ぐ為に予めUVフィルターを用意してしまったワケです。一応中古フィルターですがキレイなモノを選びましたし、他のカラーフィルターも含めすべて光学清掃が終わっています。

無限遠位置の問題 (ひいてはマウントの問題) からこのようなことに至ったので加算請求が発生していますが、そうは言ってもご依頼内容には無いことですのでご納得頂けない場合は減額下さいませ。申し訳御座いません・・。

↑なおご指示に拠り三脚座は取り外しました (同梱します)。

仕上がり状態としては、

【当初バラす前のチェック内容】
 距離環を回すとトルクが重い。
→普通〜重め程度まで改善。シットリ感あり軽いピント合わせが可能。
プリセット絞り環操作も重め。
→普通程度まで改善。クリック感も軽い操作性。
 無限遠が出ていない (合焦が甘い)。
→無限遠位置はオーバーインフで合焦。ピント面は鋭く改善。
開放時に絞り羽根が既に閉じており完全開放していない。
→完全開放に改善。
最小絞り値 (f22) で閉じすぎており絞り羽根が噛み合っている。
→適正状態に改善。
フィルター枠に凹みが複数箇所あり。
→可能な限り修復。フィルター着脱は一応可能 (相当キツイ)。
プリセット絞り環のクリック感と「」マーカー位置がズレている。
→合致させてクリック感位置も適合。

【バラした後に確認できた内容】
過去メンテナンス時に白色系グリースを塗布しており既に経年劣化し乾き始めている。
→黄褐色系グリース「粘性:中程度」塗布。
製産時ミスの他に、過去メンテナンス時にドリル穴開けしている。
→別位置で下穴を用意した。
 過去に油じみの癒着があり絞り羽根が変形している。
→への字型変形を正しい適正状態に戻しました。

減額は「減額申請」からお願い申し上げます。スミマセン。

↑当レンズによる最短撮影距離80cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に変わっています。

↑f値「f5.6」です。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」で撮影しています。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。