◎ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) RoBoT Xenon 40mm/f1.9(M26)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分に関する、ご依頼者様や一般の方々へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。
写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、事情があり無料で掲載しています (オーバーホール/修理全行程の写真掲載/解説は有料)。オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。


先日ヤフオク! のほうで同型品出品の際ブログにも掲載したばかりですが、ご依頼者様から「RoBoT M26 → SONY E マウントアダプタ」をワザワザ新品をお買い求めの上でプレゼント頂きましたので、お礼も兼ねてブログ掲載することにしました。

当方にオーバーホール/修理をご依頼頂く方の中には、ご請求額より多くお支払い頂ける方や、パトロンのお申し出、或いはご旅行のお土産や今回のようにアクセサリーなどをプレゼント 頂く方がいらっしゃいます。

本当にありがとう御座います。お礼申し上げてもしきれない想いです・・。

オーバーホール/修理を承り初めて扱うモデルの場合はご請求の際に料金表(5) 構造検討」を必ず加算請求します。しかし前述のような事情もありたまたま同型モデルを入手していたため先にヤフオク! 出品を行うことで今回のご請求には含まないよう配慮しました。

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ネット検索などでヒットしてこのページを初めてご覧頂く方のために重複しますがこのモデルの解説をしていきます。

RoBoT」のロゴが現在でも遜色なく通用してしまうほど斬新ですが、一般的なロボットの意ではなく世界で初めてゼンマイ方式に拠るフィルムの自動巻上げ機構を装備してきたフィルムカメラ「RoBoT I」を戦前1933年に発売した旧西ドイツのフィルムカメラメーカー「Otto Berning & CO. (オットー・ベルニング商会)」のロゴ (商標登録ブランド) です。

1931年に戦前ドイツのデュッセルドルフで創業したフィルムカメラ メーカーですが、ゼンマイによるフィルム自動巻上げ機構のみならず「24x24mm」フォーマットの連続撮影 (最大54枚) が可能なフィルムカメラとして「RoBoT I」を世に送り出した会社であり、第二次大戦中にはドイツ空軍にも採用され連続撮影による航空機撮影を実現していたようです。

実はこのゼンマイ式自動巻上げによる連続撮影を考案/開発した人物が当方が愛用している世界初のマクロレンズ「Makro-Kilar 4cm/f2.8 D 」の開発/設計者「Heintz Kilfitt (ハインツ・キルフィット)」であり、27歳の頃に想起し5年間の開発期間を経て1931年にようやく 最初のプロトタイプを完成しています (箱形筐体にゼンマイ式の巻き上げ機構を備えCarl Zeiss Jena製Biotar 2cm/f1.4を装備)。

このパテントを基にOtto Berning氏らと共に設立した会社でKilfittはゼンマイ式巻き上げ機構を装備する前の小型フィルムカメラを幾つか開発した後に退社し、長い間温め続けていた自ら光学製品を開発設計する会社「Kamerabau-Anstalt-Vaduz (KAV)」創業へと繋げていき1955年の世界初マクロレンズの発売に漕ぎ着けています。

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今回ありがたいことにご依頼者様からフィルムカメラ「RoBoT Star」までお借りできました (初めて手にしました!)。

カメラトップにある巨大な巻き上げノブをグリグリと巻くとゼンマイが巻かれていくのを感じます。シャッターボタンを押し下げるとお聞きのような音と共にフィルムが自動的に巻き上げられてシャッターチャージまで進みます。シャッターボタンを押すだけでよいので撮影に専念できるワケですね (シャッタースピード最大の1/500秒にセット)。
(レリーズケーブルを装着して少しゆっくりシャッターボタン押し下げ/解除をしています)

RoBoT」は長い歴史の中で創業時の「Otto Berning & CO. (オットー・ベルニング商会)」から「RoBoT Berning & CO、KG」や「Robot Visual Systems GmbH」を経て現在はJenoptik AGの完全子会社「Jenoptik Robot GmbH」として現存している主にスピードカメラや公衆監視システムの開発/導入に至るオペレーションを請け負っている会社のようです。

オールドレンズ「RoBoT」マウントは初期のシネレンズモデル「M25」から「M26」に仕様変更した後バヨネットマウントや「M30/M45」など変遷しています。左写真は今回のモデル「M26」マウントの「ネジ山径:⌀26mm xピッチ:0.75mm」を撮りましたが他にも「ピッチ:1.0mm」があるようです。

また後の時代に登場した「RoBoT Royalシリーズ」ではバヨネット マウントが採用されたため右写真のようなマウントに仕様変更しています。マウント部の「斜め状にカッティングされている部位」は「RoBoT Royalシリーズ」のマウント部下部に備わっているリリースレバーによりオールドレンズを「保持する/固定する」役目として締め付けるために斜め状にカットされているワケです。

ところがこのバヨネットマウントの先にさらに「スクリューネジ部」のマウントがちゃんと備わっており、そのネジ部が「M30/M45」になるワケですね (ネジ部は全周に切削されておらず3箇所のみ用意されている)。これは後の黒色鏡胴モデルでも同じです。

このように特殊マウントを採用しているため日本ではさほど有名ではなく「通の人」だけに 知られるマイナーモデルかも知れません。しかし当方が考えるに、フルサイズフォーマット (36mmx24mm) のオールドレンズを装着して光学系の美味しい部分 (中心付近) だけを使うのではなく、外周部分も含めた流れや収差など全てを含んだ画だからこそ、オールドレンズの「」として愉しめるのであり、その意味でオールドレンズはできればフルサイズのレンズはフルサイズのカメラボディで使うのがベストと言うことになります。

そう考えた時、この「RoBoT」マウントのオールドレンズ群のメリットはフィルムカメラ側の「24mmx24mm 」スクエアフォーマットが活きてきます。つまりオールドレンズ側が「RoBoT」専用モデルとして設計されているならば、その光学系全ての要素を余すところ無く使って撮影できる恩恵は写真へのオールドレンズの「」として大きく貢献してくれると考えるからです。

何を言いたいのか???

そもそもフィルムカメラ側が「24x24mmスクエアフォーマット」ですからオールドレンズ側のイメージサークルも小さい設計です。
あるシ〜ンを撮影しようとした時 (右写真)、今ドキのデジカメ一眼/ ミラーレス一眼でフルサイズ (ライカ判:36x24mm) はブルーラインになり「24x24mmスクエアフォーマット (イエローライン)」に対して四隅にケラレ (黒っぽくなる/或いは減光される) が発生しますが、カメラボディ側の撮像素子サイズがAPS-C (23.6x16mm前後) なら 四隅のケラレの影響も受けずにちょうどピタリと画角に収まります (ピンクライン)

もちろんフルサイズのデジカメ一眼/ミラーレス一眼で使うならばクロップ、或いはスクエアのフォーマットで撮影すれば良いですが前述の話で考えるならば、まさに「RoBoT」交換レンズ群はAPS-Cカメラボディにうってつけの「フルサイズ感覚」で使える (オールドレンズの光学系要素を全て出し切る) 愉しみが最大の魅力だと考えます

つまり最大限に恩恵を受けるなら、現在に於いて富士フィルム製カメラボディ (APS-C) に装備されているフィルムシミュレーションとの併用は具体的に当時のフィルム撮影ライクな写真を愉しめるこの上ない醍醐味を味わえるワケで、もう少し日本でも見直されてファンの方が増えれば良いなぁ〜と思いますね・・。

   
   

上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「円形ボケ・背景ボケ・グルグルボケ・ボケ味」で、下段左端に移って「リアル感・質感・動物毛・ハレ」です。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)

収差の影響や周辺部の流れもあるので円形ボケは真円に収まりません (口径食もある)。背景のボケ味が独特に滲んでいくので立体感を感じる写真が得意でしょうか。しかしピント面の鋭さが高いので、被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力に優れているのが下段の写真で分かります。またSchneider-Kreuznach製オールドレンズに共通する「シアンに振れる」発色性が影響して人肌の表現性は本当にリアルで美しいです。

光学系はネット上のどの解説を見ても4群6枚のダブルガウス型と案内していますし、そもそもSchneider-Kreuznachのサイトでそのような仕様として掲載しています。ところが実際にバラすと5群6枚のウルトロン型構成にしか見えません (右構成図は今回バラした際の光学系清掃時にスケッチしたイメージ図なので曲率や寸法などは正確ではありません)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部の構造化や構成パーツは全て前回ヤフオク! 出品の個体と同一で、やはりズッシリと重みを感じるオール真鍮製なのでアルミ合金材のパーツは皆無です。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する真鍮製の鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。絞りユニットまで真鍮製ですから経年劣化による酸化/腐食が酷いと絞り環の操作性自体も重くなってしまいます。ご覧のとおりキレイに「磨き研磨」を施し表層面の平滑性を確保しています。

↑15枚もある絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。大変キレイな真円に近い 円形絞りになていますが当初バラした際は絞り羽根に油染みが生じており、且つ経年の赤サビが相当発生していました。上の写真で絞り羽根に白っぽい擦れのような部位が見られますが、赤サビの発生で剥がれている箇所になります (キーも含め可能な限り赤サビを除去しました)。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。ネジ山の塊です・・。

↑絞り羽根を開閉している「開閉環」を適正な位置までネジ込みます。ここをミスると絞り環操作のトルク感が変わってしまいます。

↑このモデルは鏡胴が「前部」と「後部」の二分割方式ではないので、ここで先にヘリコイド (オス側) をセットしてしまいます。

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みますが、ネジ山の使い方が一般的なオールドレンズとは逆なので、ここの工程が「原理原則」を理解していないと 調整できません。

↑鏡筒とヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑面倒なのでここで先に光学系前後群を組み付けてしまいます。

今回の個体は製造番号から1955年8月頃の製産出荷個体と推測できますが、前回のヤフオク! 出品個体と一部構造が変わっており「直進キー」が1本しか存在しません。
前回の個体は両サイドに1本ずつの合計2本備わっていたので2本→1本へと設計が変わった事を表しますが (ネジ穴自体が無いから)、直進キーは距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目のパーツなので、1本の場合は距離環を回す時チカラの伝達が集中してしまいます。

当初バラした際に塗られていた古いグリースは「黄褐色系グリース」でしたが既に経年劣化の進行からだいぶ液化しており (おそらく数十年経過しています) 一部の揮発油成分が光学系内に侵入していました。そのため当初バラす前のほうがスムーズに距離環が回っていたように感じます (新しいグリースに入れ替えたので僅かに当初より重めのトルク感に変わっています)。

実はオールドレンズに対してこの認識が理解できていない (違う) 方が時々いらっしゃいます
(今回のご依頼者様のお話ではありません/一般論です)

 バラす前の距離環を回すトルク感がちょうどいい
グリースを入れ替えたばかりならそのグリースの粘性が好みに合致している。
既に数十年経過しているなら当初塗布した時のグリースのトルク感はもっと重い。

の場合はグリースを入れ替えたばかりなので、まさにグリースの種別や粘性がご自分の好みに合致していることになります。ところがの場合は、過去に塗布された時点より経年劣化で必ず液化が進行しているので、当初塗布された数十年前のトルク感はもっと重かったことになります。

グリースは経年で液化が進行すると軽くなり始め、やがて油成分が揮発してくるとスカスカ感に陥り、最後は油成分が完全に揮発してしまいヘリコイドのネジ山カジリ付 (完全固着) により製品寿命に至ります。

この時、当初バラす前の軽い印象のトルク感にどうしても拘るなら「潤滑油」を塗ってしまえば同じ液性に近い状態に仕上がるので軽い操作性を期待できます。ところがグリースに比べて潤滑油は揮発油成分が飛ぶ率が非常に高くなるので「光学系コーティング層の劣化」を促す事を考えると好ましくありません (数年で揮発油成分が光学系内に再び廻り始めるから)。しかも新しい油成分なので影響は大きくなります。

オーバーホールで新たに光学系の劣化をさらに促進する環境を整える整備とは、はたしてどうなのでしょぅか?

実際当方が受けるクレームとして、依頼する前より距離環を回すトルクが重くなったと言われることがあります。当たり前です。古いグリースの経年劣化が進行し液化していたなら、同じトルク感に収める場合潤滑油を入れるしか方法がありませが、それでは光学系劣化を促すことに繋がり当方の方針に沿いません (グリースを入れ替えた以上トルク感が重くなるのは必然)。

もちろん当初バラす前のトルク感が重かった、或いはスカスカだったのなら程良いトルク感に改善させるグリースの塗布は可能です。

はたして光学系の劣化を促すメンテナンスのほうが本当に良いのでしょうか?
却って当方にはそのような考え方が理解できません・・。

それ故、当方のオーバーホール/修理ご依頼では受付の際に「グリース交換せず」をちゃんとご選択頂けるよう指示内容を用意しています。オーバーホールで、且つグリースも交換してと言う内容にも拘わらず前述のようなクレームが来ること自体、オールドレンズに対する認識の相違としか考えられません。当方ではなく技術スキルが高いプロのカメラ店様や修理専門会社様宛メンテナンスご依頼頂くのが最善だと思います (そのほうが信用/信頼が高く安心です)。

↑マウント部をセットします。

↑距離感を本締めで組み込んでから絞り環にベアリングを入れ込んでセットして、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが完了しました。当初バラす前のチェックで絞り環の遊びが極僅かにあったので適正化しています。

↑ご依頼内容であった「光学系内に斑点状のシミが見える」と言うのがどれを指すのか今一つ分からなかったのですが、光学系をバラしたところ各硝子レンズの表面には相当数の「点状の揮発油成分固着」があったので、それを言われているのでしょうか?

そもそも点状のシミよりも外周附近の「汚れ/クモリ」のほうが問題のように見えます。

光学系を清掃してみるとフツ〜の清掃作業では点状の揮発油成分固着は除去できず、相当強めに洗浄しなければ取りきれませんでした。つまり経年の揮発油成分が光学系内に廻り、しかもだいぶ長い期間そのまま放置されていたと推測します。この揮発油成分の周りに水分が引き寄せられ、そのCO2溶解でコーティング層が浸食され具体的な点キズに至りますから「光学系内への揮発油成分侵入」は極力避けたいと考えます。
(掲載の光学系内写真は全て清掃済の状態を撮っています)

↑同じ角度のままピント位置をズラして光学系内の「気泡」を撮影しました。「気泡」はこの当時の光学メーカーが光学硝子精製時に一定時間規定の高温度帯を維持していた「」と捉えていたので、全数検査でも引っ掛からずにそのまま正常品として出荷されていました (写真に影響しません)。

↑光学系後群側の外周附近に相当頑固な「汚れ/クモリ」があり清掃しても除去できません。

前述の「揮発油成分固着」も同じでしたが今回は仕方なくコーティング層を傷めない特殊洗浄液 (問屋から仕入れた専用液) を使って数十回洗浄したところようやく両方共除去できました。本当に相当な固着だったようです。いくらシルボン紙という光学硝子専用紙で拭いていても、ゴシゴシとチカラを入れたらキズだらけになりますしコーティング層も剥がし兼ねません。 それでもチカラを入れなければ取りきれないのが今回の「揮発油成分の固着」なので、まさにホラ〜映画並みに背筋凍る時間を過ごしました。暑い夏なんかにこのような作業をすれば涼めていいですョね(笑)

↑15枚の絞り羽根も赤サビがほぼ除去できたのでキレイになりました。15枚の絞り羽根のうち11枚に極僅かな「への字型変形」が生じていたので、過去のある期間絞り羽根同士が癒着したまま使用していたことがあるようです。油染みが粘着化したまま絞り環操作すると、絞り羽根同士が癒着してくっつき「への字型 (或いは逆への字型)」に絞り羽根が曲がってしまい、最悪脱落或いは破損に至ります。今回のオーバーホールでは11枚の絞り羽根変形を正したので上の写真のようなキレイな真円に近い「円形絞り」に仕上がっています (絞り羽根に見える白っぽいポツポツは赤サビの除去痕です)。

ここからは鏡胴の写真ですが、経年の使用感がほとんど感じられない大変キレイな状態を維持した個体です。当方による「磨きいれ」を筐体外装に施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」の「粘性:軽め」を塗りましたが、当初バラす前の距離環を回すトルク感と比べると「僅かに重め」に仕上がっています。これ以上軽くするには「潤滑油」を注入するしかないのでご理解下さいませ。同じ潤滑油でも粘性が高めのタイプがあり、いわゆる工業用潤滑油になりますが、それでも定期的な入替をしない限り揮発油成分の廻りは早いので、特にオールドレンズに関しては光学系コーティング層への劣化促進の懸念から当方では使いません。今回はまだ塗りたてなので1年ほどで少し軽いトルク感に落ち着いてくると思います。

↑無限遠位置は当初位置で固定しました。絞り環は前述のとおり遊びを僅かに改善しています。鏡筒の刻印指標値のうち「黒色」のみ洗浄時に薄くなってしまったので視認性向上のために当方で着色しています (RoBoTのロゴも)(笑)。

ご依頼内容であった光学系内の「汚れ/クモリ/シミ」を除去するためちょっと拘って清掃したので、光学系内は非常にクリアになりました。光学系の透明度が素晴らしく (極微細な点キズはある)、距離環を回すトルク感も当方にしては上出来な仕上がりで組み上がっています。
もちろん
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む)
確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環の絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。また筐体クロームメッキ部分の「光沢研磨」は研磨後に「エイジング」工程を経ていますから、数年で再び輝きが失せたりポツポツと錆が浮き出たりすることもありません。
(昔家具屋に勤めていたので職人から磨きについて直伝されており多少なりとも詳しい)

当方がヤフオク! に出品するオールドレンズで特にシルバー鏡胴の場合に「光沢研磨」により自然で美しい仕上がりになっているのは、この「エイジング処理」を施しているからであり「光沢剤」などの化学薬品を塗布したり (却って将来的に問題を起こす)、金属質が剥き出しになるまで磨ききったり (1年で再び酸化してしまう) していません。同じことは黒色鏡胴にも通用する話で、すべてに於いて必ず「磨きいれ」工程の最後には「エイジング」処理を経ています (エイジングにより酸化被膜で再び保護され耐食性を得る)。

なお、黒色鏡胴のオールドレンズを光に翳すと塗膜面に「斑模様」が見えたりしますが、これは汚れ/手垢などではなく経年で「カビ」が塗膜面に根を下ろしている状態であり、必然的にカビの代謝からいずれ腐食が進行します。つまり筐体外装の「磨きいれ」は最終的に製品寿命の延命に僅かながらも貢献しています。

しかしそうは言っても、描写性には一切関係ない話なので何の価値もありませんね(笑)

↑今回に大変貴重な金属製の純正フードが附属していました。初めて手にします! 上の写真に写っているマウントアダプタが今回プレゼント頂いた「M26 → SONY Eマウントアダプタ」です。とても嬉しいです! ありがとう御座います!

↑この金属製純正フードには固定位置を定める「ロックピン」が両サイドに1本ずつ用意されており、そのロックピンを解除すると (押し込むと) フードがスライドしてご覧のように筐体の カバーに早変わり!(驚)

RoBoT」のロゴだけではなく、こんなところにも粋を感じます・・素晴らしい!

↑どう言うワケか逆向きに刻印されているのですが、ちゃんと「RoBoT」のロゴも刻印されています。「Germany」の筆記体が重なっているこのロゴも、何だか誇らしげに見えますね(笑)

↑フィルター枠径「38mm」にネジ込んだ後、赤色矢印のロックピンを押し込むことでフードがフリーになりスライドできるようになります。2本のロックピンのうち1本は既に内部の棒バネが錆びついているため弱っています。微細なトルクスレンチが無いので解体できず調整できませんでした (スミマセン)。

↑今回マウントアダプタをプレゼント頂いたせめてものお礼で、当初ボロボロに破けていた 不織布を剥がして代用布に貼り替えました。そうしないと破けるのが酷くなりそうでせっかくのフードのスライドが操作できずつまらないです。こう言うことも「所有欲」を満たす重要な要素のひとつだと思うのですが、どうでしょうか・・?(笑)

いえ、こんなことしかできないので「心の健康」程度ですね (もちろん無償扱いです)(笑)
スライド機構部の内部にもフェルトが巻かれているのですが、これを外すと入らなくなってしまうのでそのまま使っています。そのフェルトに浸みた「赤サビ」が今回貼り替えた代用布にスライドする際附着するのですぐに汚れてしまいます (気が効かずスミマセン)。

↑1箇所あった打痕が引っ掛かってせっかくのフードが極僅かに斜めっていたので、その打痕箇所も叩き込んで平にしました (赤色矢印)。

↑さらに別途附属していた「M26 → 富士フィルムFXマウントアダプタ」です (ご依頼者様所有カメラボディが富士フィルム製なのでしょう)。KIPON製 (中国製) なのですが、M30の切削 ネジ径が設計ミスで適合していません。ご依頼者様は一度返品して商品を交換したのに変わらず・・らしいです(泣)

上の写真赤色矢印の箇所、最終週のネジ山ピッチが異なっておりオールドレンズ側のM30ネジ部が最後までネジ込めません。間違いなく設計ミスです (切削ミスではない)。何故なら、この1周分だけではM30マウントのネジ部が最後までネジ込み完了しないので、そもそもネジ切りのスタート位置をミスっているのかもう1周分必要だったのか不明ですが設計ミスです。

せっかく富士フィルムのカメラボディAPS-Cサイズで、いわゆるフルサイズ的に使えるのに、しかもフィルムシミュレーション使って様々なフィルムライクな写真が撮れるのに・・何とも哀しいことか(泣)

あまりにも寂しいお話なので「M26 → L39 マウントアダプタ」を 同梱しますから、お手数ですが別途「L39 → 富士フィルムFXマウントアダプタ」をご用意頂き、是非ともご活用下さいませ。一応マウントアダプタ装着状態で「」マーカー位置が真上に来るよう黒色のマウント部ネジ (3本) を緩めて位置調整が完了しています (マウントアダプタ個体別にバラつきがあるので、もしもズレていた場合はお手数ですがご自分で位置調整をして下さい)。

当方もいつの日にか富士フィルム製カメラボディでオールドレンズを愉しめる日を迎えたいです・・(笑)

↑ちょっと恥ずかしい写真なのでアップするか否か悩みましたが(笑)、当方のミニスタジオを 今回のオールドレンズで撮影した写真です。SONY製α7IIでフルサイズ状態で撮影するとこんな感じで画の四隅に周辺減光が起きます (イメージサークルがフルサイズの設計ではないから)。

恥ずかしいのですぐ次の写真を見て下さい!

↑当レンズによる最短撮影距離75cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しました。

↑さらに回してf値「f4」で撮っています。

↑f値は「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。もう少し距離環を回すトルク感が軽ければ申し分なかったのでしょうが、不本意なる仕上がりで申し訳御座いません。

マウントアダプタのプレゼント・・まさか当方へのプレゼントだとは露にも思わず本当に嬉しかったです!!!
いつの日かご恩返しさせて頂きます!