◎ OLYMPUS (オリンパス) OM-SYSTEM H.ZUIKO AUTO-W 24mm/f2.8《後期型》(OM)

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OM2428(0519)レンズ銘板

olympus-logos-100新今回のモデルも当方での扱いは初めてになります。「H.ZUIKO AUTO-W 24mm/f2.8」のモデルとしては銀枠飾り環が無くなった後期型になります。

ネット上の解説などではこのモデルの描写性として開放〜f4くらいまでの撮影では少々甘いピント面との印象が書かれていることがあります。今回出品する個体を最初に実写した際も同じように少々甘めの印象を受けました。しかし、光学系にLED光を照射して確認すると後群 (第5群) の貼り合わせレンズ (2枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせてひとつにしたレンズ群) が全面に渡って薄く曇っていました。

オーバーホールの作業を進めていく中で光学系を清掃してみると問題の第5群は清掃しても薄いクモリ状を除去できませんでした・・つまりバルサム切れ (貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態) です。

仕方なく貼り合わせレンズを剥がしてみたところバルサムが異常に多く塗られていました・・少々厚みが多すぎる印象です。当然ながらそのような厚く塗られたバルサムは容易には拭いきれませんでした。今回の個体はバラしてみると過去に一度メンテナンスされている痕跡が窺えたのですが、どうやらその時点で既にバルサム切れが生じていたようです・・つまり過去のメンテナンスでバルサムを入れ替えているようでした。それで厚みがある接着をしていたことに納得できました。

結果、当方にてバルサム切れを改善させ (通常は執り行いません) たところこの個体の写りが大変鋭いピント面を構成することを確認しました。光学系はほんの僅かに第5群の位置がズレていたのかも知れません・・。

OM2428(0519)仕様

OM2428(0519)レンズ銘板

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。

すべて解体したパーツの全景写真です。

OM2428(0519)11ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

先日「どうしてオーバーホールの工程を掲載しているのですか?」 と言うご質問を頂きました。そもそもバラしてオーバーホールするのが好きなのではありますが、それだけではなく実はヤフオク! に出品する際に「証拠」として掲載している意味合いも含んでいます。

ヤフオク! で出品されているオークションでも希に「整備済」或いは「オーバーホール済」と謳って出品しているオークションがあります。中には「整備作業書」の類を撮影して写真を掲載している出品者も居ます。しかしひと言に「整備」や「オーバーホール」と言ってもいったい何処までのレベルで作業を施したのかが意外と不明瞭だったりします。例えば「光学系清掃、他点検済」と言った場合に光学系の清掃を施したことは間違いないワケですが、その他の「点検済」と言うのが非常に漠然としています。

点検して調整を施してくれたのか、或いは点検しただけで正常の範疇として何もしなかったのか・・このコトバだけでは不明瞭ですが、意外と簡潔な短文で記載されている整備作業書が多かったりしますね(笑) 当方も前の仕事で家電業界に携わっていましたが修理明細書を確認してもどの程度の作業をしたのか不明瞭だと感じたことが多かったりします。

ましてやヤフオク! に出品されているオークションでは同じ「整備作業書」を複数の出品に掲載してすべて整備が済んでいるかのように出品しているオークションもあるようです・・疑い始めたらきりがありません(笑)

そのような背景から確実に整備作業を施したことを「証拠」としてこのブログに掲載している意味合いも含まれています。もちろん具体的な不具合箇所の説明や特に光学系のキズの状態などはやはり拡大写真を掲載するのが言葉で説明するよりも確実に伝わります。

OM2428(0519)12絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルではヘリコイド (オス側) は独立しており別に存在します。

OM2428(0519)13絞りユニットのベース環です。既に各連動系・連係系パーツをすべて取り払い「磨き研磨」が終わった状態で撮影しています。

OM2428(0519)14先のベース環に外して個別に磨き研磨を施した各連動系・連係系パーツを組み付けます。

OM2428(0519)15さらに絞り環と連係する部位をセットします。上の写真解説の通り既に第3階層までこの鏡筒の内部に組付けが完了しました。

  • 第1階層:絞り羽根を含んだ絞りユニット
  • 第2階層:各連動系・連係系パーツの集合体
  • 第3階層:絞り環との連係、及び絞り連動ピンとの連係
  • 第4階層:光学系前群

・・このような感じで鏡筒の中には4つの階層が組み込まれる構造化をしています。上の写真の上には最後の光学系前群がセットされるワケです。

OM2428(0519)16鏡筒を立てて撮影しました。絞り環との連係アームがちゃんと外側に飛び出ていますね。

OM2428(0519)17ここで先にヘリコイド (オス側) を鏡筒にネジ止めして固定します。

OM2428(0519)18こちらは距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

OM2428(0519)19ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

OM2428(0519)20鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルには全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

OM2428(0519)21ここで距離環を仮止めしておきます。このモデルには「無限遠位置調整機能」が備わっているので各確認作業の最後に距離環を本締め固定します。

上の写真では薄く見えていますが距離環に「G84」の白文字印刷がされています。オリンパスの社内暗号ですが「1977年8月4日生産出荷個体」であることを示しています。

OM2428(0519)22マウント部内部の各連動系・連係系パーツを外して「磨き研磨」を施した状態で撮影しています。

OM2428(0519)23外していた連動系・連係系パーツも個別に磨き研磨をして組み込みます。

OM2428(0519)24マウント部を基台にセットして同時に鏡筒とも連係させれば完成間近です。無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後に距離環のラバー製ローレットとレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

OM2428(0519)1当時としては超広角レンズですが歪曲も少なくなかなか端正な写りでピント面もとてもシャープです。

OM2428(0519)2光学系内の透明度もとても高くなりました。

OM2428(0519)2-1

OM2428(0519)2-2上の写真 (2枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。2枚とも極微細な点キズを撮っていますが微細すぎてハッキリ写りませんでした。

OM2428(0519)9光学系後群は経年のコーティング層劣化に拠る極微細な点キズが順光目視できる状態です。

OM2428(0519)9-1

OM2428(0519)9-2上の写真 (2枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。1枚目は後玉の極微細な点キズを撮っています。2枚目はそのままの位置で焦点をズラして後群内にある薄い微細なヘアラインキズを撮りましたが、やはり微細すぎて明確には写っていません。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
前群内:8点、目立つ点キズ:3点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:6点
コーティング経年劣化:前後群あり
カビ除去痕:あり、カビ:なし
ヘアラインキズ:あり
・その他:バルサム切れなし。後群内には僅かに目立つヘアラインキズ1本があります。後群はコーティング層劣化に拠る極微細な点キズが少々多目にありますが写真には影響ないレベルです。
・光学系内の透明度が非常に高い個体です。
・光学系内はLED光照射でようやく視認可能レベルの極微細な拭きキズや汚れ、クモリもありますがいずれもすべて写真への影響はありませんでした。

OM2428(0519)3絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。

ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感が僅かにある個体ですが当方による「磨き」を筐体外装にいれたのでとても落ち着いた美しさに仕上がっています。

OM2428(0519)4

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OM2428(0519)7【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドのグリースは「粘性:中程度」を塗布しています。距離環や絞り環の操作は大変滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「軽め」で滑らかに感じ完璧に均一です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

OM2428(0519)8距離環のトルクも滑らかで絞り環もシッカリしたクリック感でとても操作性の良い仕上がりになりました。

OM2428(0519)10当レンズによる最短撮影距離25cm附近での開放実写です。如何ですか? 開放でも鋭いピント面を構成しているのがお分かり頂けるでしょうか・・。