◎ KONICA (コニカ) HEXANON AR 50mm/f1.7 AE(AR)
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今回の掲載は、オーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関するご依頼者様へのご案内ですので、ヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いため掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。
1973年に発売されたフィルムカメラ「AUTOREFLEX T3」のセット用レンズとして一緒に発売されたモデルで、「前期型」「中期型」「後期型」の3つのモデル・バリエーションが存在し、今回のモデルは「後期型」にあたります。
- 前期型:絞り環にEE刻印、最短撮影距離45cm、距離環大枠
- 中期型:絞り環にAE刻印、最短撮影距離45cm、距離環大枠
- 後期型:絞り環にAE刻印、最短撮影距離55cm、距離環同一 ←
とかく市場ではこの「50mm/f1.7」のモデルはゴロゴロといくらでも出回っていますが、人気があるのは「57mm/f1.4」のようです。しかしミラーレス一眼、特にAPS-Cサイズの撮像素子のカメラボデイに装着することを考えたら、むしろこちらの50mmのほうが扱い易そうにも思うのですが・・。
描写性は特筆するべき部分がありませんが、逆に言えば開放f値「f1.4」のモデルと比較しても神経質な要素が無く、どんなシーンでもそつなくこなしてくれる安心感は高いと思います。その意味で、同じように市場でゴロゴロしている旭光学工業の「Super-Takumar 55mm/f1.8」などと似ていますが、片やタクマーのほうは描写性で高い評価を受けている傾向があります。しかし、HEXANONのほうが「優しい印象の画造り」と言う一貫した要素を (どのモデルでも) 見出せるので、もう少し評価されても良いように考えます。当方も当初は (数年前までですが) HEXANONファンでしたが、絞り環の絞り値が半段単位でガチガチと細かく動くのがどうしても馴染めず離れてしまいました。今は「優しい感じ」で言うとMINOLTAのファンになってしまっています・・。
このモデルに関しては、何度か整備した経験があるので今回はオーバーホールの工程写真を省きます。オーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
カニ目溝の作業中に指が滑ってしまい樹脂製 (プラスティック製) のレンズ銘板にキズを付けてしまいました・・申し訳御座いません。
光学系は順光目視ではとてもクリアに見えますが、LED光照射では残念ながらカビ除去痕が前玉と後玉に経年相応に浮かび上がります。また塵や埃状に見える拭きキズなども見受けられますが、概ね透明度は高い状態をキープしています (つまり写真に影響する懸念はありません)。
当初はヘリコイド・グリースに「黄褐色系グリース」がドップリと塗られており、既に経年劣化で液化がだいぶ進行していました。結果、絞りユニット内部まで揮発油成分が侵入していました。絞り羽根はキレイになり確実に駆動しています。
ここからは鏡胴の写真です。
塗布したヘリコイド・グリースは「粘性:中程度」を使っていますが、距離環を回すトルクは「軽め」の仕上がりになっています。その他筐体は当方による「磨き」をいれたので相応に落ち着いた美しい仕上がりになっています。
一般的な評価は低いモデルのようですが、当方ではむしろ上手くまとめ上げたモデルと評価しています。同じコニカのパンケーキレンズ「HEXANON AR 40mm/f1.8」よりも当然ながらこちらのほうが特徴がある写りです。